【目的】レギュレータで生成された電圧の変動を抑えるために外付けされた部品が正しく接続されているか否かを確認することができるテスト回路を含む半導体装置、及び電子機器を提供することを目的とする。
【構成】本発明は、第1電圧を生成して第1のラインに印加するレギュレータと、第1のラインに接続されており、部品を外付けする為の外部端子と、この部品の接続状態をテストするテスト回路と、を含み、テスト回路は、テスト開始信号を受けた場合に、レギュレータの動作を停止させると共に第1のラインを所定電位に接続することで上位機した部品を放電させ得るように構成されたテスト放電実行部と、テスト開始信号を受けてから、第1のラインの電圧が所定の第2電圧より低くなるまでに掛る時間を上記部品の放電継続期間として計測し、この放電継続期間を表す情報を含むテスト結果信号を出力する放電継続期間計測部と、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る半導体装置としてのメモリ制御チップMC、メモリセルアレイ部MA、及びコンデンサCsが配置されている基板10を有する電子機器100の構成を示すブロック図である。
【0016】
メモリセルアレイ部MAには、夫々が2値又は多値のデータを記憶する複数のメモリセルが配置されている。メモリセルアレイ部MAは、メモリ制御チップMCからの書込アクセスに応じて、指定されたアドレスに属する複数のメモリセルにデータを書き込む。また、メモリセルアレイ部MAは、メモリ制御チップMCからの読出アクセスに応じて、指定されたアドレスに属する複数のメモリセルに書き込まれているデータを読み出して、メモリ制御チップMCに供給する。
【0017】
メモリ制御チップMCは、半導体ICチップであり、メモリコントローラ20、レギュレータ21、及びテスト回路22を含む。
【0018】
メモリコントローラ20は、レギュレータ21で生成された内部電源電圧VDLを受けて動作する。メモリコントローラ20は、外部端子群P0を介して半導体ICチップの外部から各種のコマンド信号CMD(イネーブル信号、書込信号、読出信号等)、アドレスAD又は書込用のデータDTを受ける。メモリコントローラ20は、かかるコマンド信号CMD、アドレスAD及び書込用のデータDTに応じて、メモリセルアレイ部MAに対して上記した書込アクセスを行う。また、メモリコントローラ20は、コマンド信号CMD、及びアドレスADに応じて、メモリセルアレイ部MAに対して上記した読出アクセスを行う。メモリコントローラ20は、メモリセルアレイ部MAから読み出されたデータを読出データDTとして、外部端子群P0を介して出力する。
【0019】
レギュレータ21は、半導体ICチップの外部端子P1を介して外部電源電圧VDDを受け、当該外部電源電圧VDDに基づき、所定の電圧値を有する電圧を生成する。レギュレータ21は、生成した電圧を内部電源電圧VDLとし、これを電源ラインLgを介してメモリコントローラ20及びテスト回路22に供給する。
【0020】
尚、レギュレータ21は、テスト回路22から送出されたテスト実行信号STAを自身のイネーブル端子ENで受け、当該テスト実行信号STAがテストの非実行を表す論理レベル0の状態にある場合にだけ、上記した内部電源電圧VDLの生成を行う。
【0021】
一方、かかるテスト実行信号STAがテストの実行を促す論理レベル1の状態にある場合には、レギュレータ21は、内部電源電圧VDLの生成動作を停止すると共に、自身の出力端子をハイインピーダンス状態に設定する。
【0022】
テスト回路22は、半導体ICチップの外部端子P2を介してテスト開始を促すテスト開始信号TSTを受けた場合に、先ず、テストの実行を促す例えば論理レベル1のテスト実行信号STAをレギュレータ21のイネーブル端子ENに供給する。これにより、テスト回路22は、レギュレータ21の動作を停止させる。そして、テスト回路22は、電源ラインLgの電圧に基づき、外付けの容量性の部品である、規定の静電容量を有するコンデンサCsが外部端子P4に正しく接続されているか否かを確認する為のテストを行う。尚、コンデンサCsは、レギュレータ21で生成された内部電源電圧VDLの電圧変動を抑える安定化容量であり、その一端が半導体ICチップの外部端子P4に外付けされており、他端には接地電位が印加されている。
【0023】
テスト回路22は、テスト結果を表すテスト結果信号TRDを半導体ICチップの外部端子P3を介して出力する。
【0024】
図2は、テスト回路22の内部構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、テスト回路22は、テスト制御部210、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のトランジスタ211、参照電圧生成回路212、比較回路213、及びカウンタ214を含む。
【0025】
テスト制御部210は、外部端子P2を介してテスト開始を促す論理レベル1のテスト開始信号TSTを受けた場合には、例えば論理レベル1のテスト実行信号STAをレギュレータ21、トランジスタ211のゲート、及びカウンタ214に供給する。尚、テスト制御部210は、比較回路213から、テスト終了を促す例えば論理レベル1のテスト終了信号ENDが供給された場合には、テスト実行信号STAの状態を論理レベル1から論理レベル0に遷移する。
【0026】
トランジスタ211のドレインは電源ラインLgに接続されており、トランジスタ211のソースには接地電位が印加されている。トランジスタ211は、テスト実行信号STAが論理レベル1の状態にある間に亘りオン状態となり、電源ラインLgに接地電位を印加する。尚、トランジスタ211は、テスト実行信号STAが論理レベル0の状態にある場合にはオフ状態となり、電源ラインLgへの接地電位の印加を停止する。
【0027】
参照電圧生成回路212は、所定電圧値を有する参照電圧Vrfを生成し、これを比較回路213に供給する。尚、参照電圧Vrfは、例えば外部端子P4にコンデンサCsが接続されていない状態でレギュレータ21を動作状態から停止状態に遷移させた後に電源ラインLgに生じる電圧に、所定のマージン電圧を付加した電圧値を有する。
【0028】
比較回路213は、電源ラインLgの電圧と参照電圧Vrfとを比較し、電源ラインLgの電圧が参照電圧Vrf以上である場合には論理レベル0のテスト終了信号ENDを生成する。一方、電源ラインLgの電圧が参照電圧Vrfより低い場合には、テスト終了を促す論理レベル1のテスト終了信号ENDを生成する。
【0029】
比較回路213は、生成したテスト終了信号ENDを、上記したテスト制御部210、及びカウンタ214に供給する。
【0030】
カウンタ214は、論理レベル1のテスト実行信号STAを受けている間に亘り、クロック信号CLKにおけるパルスの数をカウントしてカウント値を得る。カウンタ214は、論理レベル1のテスト終了信号ENDを受けた場合にカウント動作を停止すると共に、その停止時点でのカウント値を、コンデンサCsの放電継続期間とし、この放電継続期間を示す放電継続期間情報DPTを外部端子P3に供給する。
【0031】
ここで、
図2に示す実施例では、テスト回路22は、放電継続期間情報DPTをテスト結果として表すテスト結果信号TRDを外部端子P3を介して出力する。
【0032】
以下に、
図1に示す基板10の製品出荷前に行われるテストについて説明する。
【0033】
図3は、当該製品出荷前のテストを行うためのテストシステム300の構成を示すブロック図であり、
図4は、当該テストのシーケンスを示すタイムチャートである。
【0034】
尚、
図3に示すテストシステム300では、基板10に配置されているメモリ制御チップMCの外部端子P2及びP3にテスタ400が接続される。
【0035】
先ず、基板10に外部電源電圧VDDを投入してレギュレータ21を動作させる。これによりレギュレータ21は、内部電源電圧VDLを生成して電源ラインLgに印加する。この際、メモリ制御チップMCの外部端子P4にコンデンサCsが正しく接続されていれば、コンデンサCsが充電され、当該コンデンサCs内に電荷が蓄積される。
【0036】
その後、テスタ400は、
図4に示すようにテスト開始を促す論理レベル1のテスト開始信号TSTをメモリ制御チップMCの外部端子P2に供給する。
【0037】
当該論理レベル1のテスト開始信号TSTに応じて、メモリ制御チップMCのテスト制御部210は、
図4に示すように、論理レベル0から論理レベル1に遷移し、当該論理レベル1の状態を維持するテスト実行信号STAを生成する。
【0038】
論理レベル1のテスト実行信号STAに応じて、レギュレータ21は、内部電源電圧VDLの生成動作を停止すると共に、自身の出力端子をハイインピーダンス状態に設定する。
【0039】
また、論理レベル1のテスト実行信号STAに応じて、
図4に示すようにトランジスタ211がオン状態となり、電源ラインLgに接地電位を印加する。
【0040】
これにより、コンデンサCsに蓄積されていた電荷が放電され、それに伴い電源ラインLgの電圧が
図4に示すように徐々に低下する。
【0041】
また、テスト実行信号STAが
図4に示すように論理レベル0から論理レベル1に遷移した時点t1から、カウンタ214が、クロック信号CLKにおけるパルス数のカウントを開始する。カウンタ214は、
図4に示すようにテスト実行信号STAが論理レベル1の状態を維持している間に亘りカウント動作を継続する。
【0042】
ここで、電源ラインLgの電圧が徐々に低下し、
図4の時点t2にてその電圧が参照電圧Vrfを下回ると、比較回路213が、
図4に示すように論理レベル1のテスト終了信号ENDをカウンタ214及びテスト制御部210に供給する。
【0043】
カウンタ214は、この論理レベル1のテスト終了信号ENDに応じてカウント動作を停止すると共に、その停止時点でのカウント値を、コンデンサCsに蓄積されている電荷の放電に掛る放電継続期間を表す放電継続期間情報DPTとして出力する。例えば、
図4に示す一例では、カウンタ214は、カウント値(n+3)(nは正の整数)を放電継続期間を表す放電継続期間情報DPTとして出力する。
【0044】
すなわち、カウンタ214は、
図4に示すように、時点t1から、徐々に低下する電源ラインLgの電圧が参照電圧Vrfに至るまでの時間長を、コンデンサCsに蓄積されている電荷の放電に掛る放電継続期間として計測する。カウンタ214は、この計測した放電継続期間を表す放電継続期間情報DPTを含むテスト結果信号TRDを、外部端子P3を介してテスタ400に供給する。
【0045】
また、当該論理レベル1のテスト終了信号ENDに応じて、テスト制御部210は、
図4に示すようにテスト実行信号STAを、テスト実行を促す論理レベル1の状態からテスト非実行を表す論理レベル0の状態に遷移させる。更に、論理レベル0のテスト実行信号STAに応じて、
図4に示すように、トランジスタ211がオン状態からオフ状態に遷移すると共に、レギュレータ21が内部電源電圧の生成動作を開始し、生成した電圧を電源ラインLgに印加する。これにより、電源ラインLgの電圧は
図4に示すように徐々に上昇する。その後、電源ラインLgの電圧が参照電圧Vrf以上になると、比較回路213は、
図4に示すように、テスト終了信号ENDを論理レベル1の状態から論理レベル0に遷移させる。
【0046】
よって、
図4に示す時点t2以降、レギュレータ21が動作を開始し且つトランジスタ211がオン状態からオフ状態に遷移した時点で、テスト回路22によるテスト動作が終了する。
【0047】
テスタ400は、テスト結果信号TRDに含まれる放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間が、所定の基準放電継続期間未満であるか否かを判定する。尚、基準放電継続期間とは、例えば規定の静電容量を有するコンデンサCsが外部端子P4に正しく接続されている際に、当該コンデンサCsに蓄積されている電荷を放電させたときにかかる放電継続期間として想定される範囲内の最下限の時間長を有する。
【0048】
よって、規定の静電容量を有するコンデンサCsが外部端子P4に正しく接続されているならば、放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間は、基準放電継続期間以上となる。一方、コンデンサCsの静電容量が規定の静電容量に満たない場合、或いは、コンデンサCsが外部端子P4に正しく接続されていない場合には、放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間が基準放電継続期間未満となる。
【0049】
そこで、テスタ400は、
図4に示す時点t2以降に取り込んだ放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間が基準放電継続期間未満であると判定した場合には、コンデンサCsが正しく接続されていないことを例えば文字等で表す画像を表示部に表示させる。一方、放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間が基準放電継続期間以上であると判定した場合には、テスタ400は、コンデンサCsが外部端子P4に正しく接続されていることを表す画像を表示部に表示させる。
【0050】
ところで、放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間は、外部端子P4に接続されているコンデンサCsの静電容量に対応した時間長となる。そこで、放電継続期間と静電容量との対応関係を表すマップを予め作成しておき、テスタ400にて、当該マップから、放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間に対応した静電容量を取得し、この静電容量を表す画像を表示部に表示させても良い。
【0051】
以上のように、
図2に示すテスト回路22によれば、製品出荷前のテストで、レギュレータ21で生成された内部電源電圧の変動を抑える為に外付けされたコンデンサCsが正しく接続されているか否かを確認することが可能となる。
【0052】
尚、
図2に示すテスト回路22では、テスト結果を示す信号として、カウンタ214で計測された放電継続期間情報DPTを含むテスト結果信号TRDを外部端子P3を介して出力しているが、テスト結果信号の内容としては放電継続期間情報DPTに限定されない。
【0053】
図5は、かかる点に鑑みて為された、
図2に示すテスト回路22の変形例としてのテスト回路22Aの内部構成を示すブロック図である。
【0054】
図5に示す構成では、比較回路215及びレジスタ216を新たに追加した点を除く他の構成及びその動作は
図2に示すものと同一である。そこで、以下に、比較回路215及びレジスタ216を中心として、テスト回路22Aの動作について説明する。
【0055】
図5に示す構成では、カウンタ214は、計測した放電継続期間情報DPTを、外部端子P3及び比較回路215に供給する。
【0056】
レジスタ216には、テスタ400で用いた基準放電継続期間を表す情報が記憶されている。レジスタ216は、自身に記憶されている基準放電継続期間を表す基準放電継続期間情報EVを比較回路215に供給する。
【0057】
比較回路215は、上記した放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間と、基準放電継続期間情報EVにて示される基準放電継続期間と、を比較する。つまり、比較回路215は、放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間が基準放電継続期間情報EVにて示される基準放電継続期間未満であるか否かを判定する。
【0058】
比較回路215は、放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間が基準放電継続期間情報EVにて示される基準放電継続期間未満であると判定した場合には、コンデンサCsが外部端子P4に正しく接続されていないことを表す論理レベル1の接続状態情報ERを生成する。
【0059】
一方、放電継続期間情報DPTにて示される放電継続期間が基準放電継続期間情報EVにて示される基準放電継続期間以上であると判定した場合には、比較回路215は、規定の静電容量を有するコンデンサCsが外部端子P4に正しく接続されていることを表す論理レベル0の接続状態情報ERを生成する。
【0060】
比較回路215は、生成した接続状態情報ERを外部端子P3に供給する。この際、テスト回路22Aは、テスト結果として、当該接続状態情報ER及び放電継続期間情報DPTを含むテスト結果信号TRDを外部端子P3を介してテスタ400に供給する。
【0061】
テスタ400は、テスト結果信号TRDに含まれる接続状態情報ERにて表される内容を表す画像、つまり規定の静電容量を有するコンデンサCsが正しく接続されているか否かを表す画像を表示部に表示させる。また、テスタ400は、放電継続期間情報DPTに基づき、前述した方法でコンデンサCsの静電容量を求め、この静電容量を表す画像を表示部に表示させる。
【0062】
尚、
図5に構成では、放電継続期間情報DPT及び接続状態情報ERを含むテスト結果信号TRDを外部端子P3から外部に出力しているが、接続状態情報ERのみを含むテスト結果信号TRDを外部出力するようにしても良い。
【0063】
また、
図2及び
図5に示す実施例では、テスト開始信号TSTに応じて、コンデンサCsに蓄積されている電荷を放電させるテスト放電実行部として、テスト制御部210及びトランジスタ211を採用しているが、かかる構成に限定されない。
【0064】
また、
図2及び
図5に示す実施例では、コンデンサCsに蓄積されている電荷を放電させた際に掛る放電継続期間を計測する放電継続期間計測部として、参照電圧生成回路212、比較回路213及びカウンタ214を採用しているが、かかる構成に限定されない。
【0065】
要するに、半導体装置としてのメモリ制御チップMCとしては、所定の第1電圧(VDL)を生成して第1のライン(Lg)に印加するレギュレータ(21)と、第1のラインに接続されており、部品(Cs)を外付けする為の外部端子(P4)と、以下の構成を有するテスト回路(22)と、を含むものであれば良い。
【0066】
テスト回路(22)は、テスト放電実行部と、放電継続期間計測部と、を含む。
【0067】
テスト放電実行部(210、211)は、テスト開始信号(TST)を受けた場合に、レギュレータ(21)の動作を停止させると共に第1のライン(Lg)を所定電位(例えば接地電位)に接続することにより、外部端子に接続されている部品(Cs)を放電させる。放電継続期間計測部(212、213、214)は、テスト開始信号(TST)を受けてから、第1のライン(Lg)の電圧が第1電圧(VDL)よりも低い所定の第2電圧(Vrf)より低くなるまでに掛る時間を部品(Cs)の放電継続期間として計測し、この放電継続期間を表す情報(DPT)を含むテスト結果信号(TRD)を出力する。