特開2019-168574(P2019-168574A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-168574(P2019-168574A)
(43)【公開日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】光導波路素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20190906BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20190906BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20190906BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20190906BHJP
【FI】
   G02B6/122 311
   G02B6/125 301
   G02B6/12 361
   G02F1/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-55613(P2018-55613)
(22)【出願日】2018年3月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】片岡 優
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徳一
【テーマコード(参考)】
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H147AB02
2H147BA02
2H147BB02
2H147BD02
2H147BE01
2H147BE13
2H147BE14
2H147CD02
2H147CD04
2H147EA05C
2H147EA12C
2H147EA14C
2H147EA37A
2H147GA25
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102BD09
2K102CA13
2K102CA20
2K102DA04
2K102DB04
2K102DB05
2K102DC04
2K102DC08
2K102DD05
2K102EA02
2K102EB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】不要光用導波路から出射される不要光が不要光集光用導波路に導入される際の屈折を抑制し、光学特性の劣化等を防止した光導波路素子を提供する。
【解決手段】基板に光導波路が形成され、光導波路は、信号光を伝播する主導波路と、主導波路から放出される不要光を導波する不要光用導波路3と、不要光用導波路から出射される不要光が導入される不要光集光用導波路4とを有する光導波路素子において、不要光用導波路は、接続用導波路5を介して不要光集光用導波路に接続され、接続用導波路は、不要光の伝播方向に直交する方向の幅であって不要光集光用導波路との接続部における幅W4を、不要光用導波路の接続用導波路との接続部における幅W3よりも広げてある。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に光導波路が形成され、
該光導波路は、信号光を伝播する主導波路と、該主導波路から放出される不要光を導波する不要光用導波路と、該不要光用導波路から出射される不要光が導入される不要光集光用導波路とを有する光導波路素子において、
該不要光用導波路は、接続用導波路を介して該不要光集光用導波路に接続され、
該接続用導波路は、不要光の伝播方向に直交する方向の幅であって該不要光集光用導波路との接続部における幅を、該不要光用導波路の該接続用導波路との接続部における幅よりも広げてあることを特徴とする光導波路素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光導波路素子において、
該不要光集光用導波路は、該接続用導波路と接続される部分の前後でほぼ等しい幅であることを特徴とする光導波路素子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光導波路素子において、
該基板を平面視した場合に、該接続用導波路の該不要光集光用導波路に近い側の境界線と該不要光集光用導波路との接続点から該接続用導波路の中心線までの距離が、該不要光用導波路の延長線で形成される形状の該不要光集光用導波路に近い側の境界線と該不要光集光用導波路との接続点から該接続用導波路の中心線までの距離よりも大きいことを特徴とする光導波路素子。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光導波路素子において、
複数の不要光用導波路が、各々に個別に接続された接続用導波路を介して同一の不要光集光用導波路に接続されることを特徴とする光導波路素子。
【請求項5】
請求項4に記載の光導波路素子において、
前記複数の不要光用導波路は、前記同一の不要光集光用導波路の一方の辺側に配置された不要光用導波路と他方の辺側に配置された不要光用導波路とを含むことを特徴とする光変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路が基板に形成された光導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信分野や光計測分野において、光変調器などの光学機能を具備した光導波路素子が多用されている。光導波路素子の中には、石英、ニオブ酸リチウム、半導体やポリマー材料などの基板に、異なる材料を添加することで基板材料より高屈折率としたり、リッジ型の凸状部を形成して光導波路を備えるものがある。
【0003】
このような基板を用いた光導波路素子では、同一の基板内に、複数本の光導波路が形成されたり、光導波路に分岐部や合波部を多数形成する場合には、光導波路の一部から放出される不要光が、光導波路の他の部分に結合し、光学特性を悪化させる原因となる。また、マッハツェンダー型光変調器では、ON/OFF消光比などの光学特性を劣化する原因となる。
【0004】
そこで、信号光を伝播する主導波路とは別に、不要光を導波する不要光用導波路を基板に設け、不要光が主導波路と再結合することを抑制することが行われている。また、不要光用導波路で導波する不要光を吸収し消失させるために、不要光用導波路の一部に光吸収手段を配置することもある。さらに、特許文献1には、主導波路と基板の側端部との間で、主導波路を伝播する信号光が主に伝播している方向とほぼ同じ方向に沿って不要光集光用導波路を形成し、不要光用導波路から出射される不要光を不要光集光用導波路に集光する構成も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−96886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1には、従来例に係る光導波路素子の構造の一例を示してある。図1では、不要光用導波路3を、不要光集光用導波路4に対して斜めに直接接続してある。不要光用導波路3は、基本的にシングルモード導波路以上の幅に構成される。不要光集光用導波路4は、マルチモード導波路となるように、シングルモード導波路の3倍以上の幅に構成される。
【0007】
不要光用導波路3を伝搬してきた不要光は、不要光集光用導波路4に近接してくると、不要光集光用導波路4に結合し始める。すると、図4(a)に示すように、不要光用導波路から不要光集光用導波路に導入される不要光は、不要光集光用導波路への結合が強くなるのに従い、不要光集光用導波路の延伸方向から離れる方向に屈折する。つまり、不要光用導波路から出射される不要光は、不要光集光用導波路に対する進入角度θ(不要光集光用導波路の延伸方向に対する角度)が大きくなってしまう。
【0008】
その結果、不要光の一部は、不要光集光用導波路の不要光用導波路が接続された側とは反対側の境界で、全反射条件を満足しなくなってしまう。すると、図5(a)に示すように、不要光の一部が不要光集光用導波路に閉じ込められずに基板中に突き抜けて漏洩してしまう場合があり、光導波路素子の光学特性を悪化させる原因となる。特許文献1では、不要光集光用導波路の形状を工夫することで、不要光の突き抜け対策を行っている。しかしながら、その方法では、複数の不要光導波路が不要光集光用導波路に接続されていくに連れて、不要光集光用導波路の幅が次第に広くなってしまう。また、主導波路間の間隔を広くするために、素子の幅を広げる必要があり、更に、間隔を広げた主導波路に繋がる曲げ導波路のために導波路長が長くなる。したがって、素子の集積度を高めて小型化を図る上での支障となってしまうため、更なる改善が求められていた。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、不要光用導波路から出射される不要光が不要光集光用導波路に導入される際の屈折を抑制し、小型で光学特性の劣化等を防止した光導波路素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の光導波路素子は、以下のような技術的特徴を有する。
(1) 基板に光導波路が形成され、該光導波路は、信号光を伝播する主導波路と、該主導波路から放出される不要光を導波する不要光用導波路と、該不要光用導波路から出射される不要光が導入される不要光集光用導波路とを有する光導波路素子において、該不要光用導波路は、接続用導波路を介して該不要光集光用導波路に接続され、該接続用導波路は、不要光の伝播方向に直交する方向の幅であって該不要光集光用導波路との接続部における幅を、該不要光用導波路の該接続用導波路との接続部における幅よりも広げてあることを特徴とする。
【0011】
(2) 上記(1)に記載の光導波路素子において、該不要光集光用導波路は、該接続用導波路と接続される部分の前後でほぼ等しい幅であることを特徴とする。
【0012】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の光導波路素子において、該基板を平面視した場合に、該接続用導波路の該不要光集光用導波路に近い側の境界線と該不要光集光用導波路との接続点から該接続用導波路の中心線までの距離が、該不要光用導波路の延長線で形成される形状の該不要光集光用導波路に近い側の境界線と該不要光集光用導波路との接続点から該接続用導波路の中心線までの距離よりも大きいことを特徴とする。
【0013】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光導波路素子において、複数の不要光用導波路が、各々に個別に接続された接続用導波路を介して同一の不要光集光用導波路に接続されることを特徴とする。
【0014】
(5) 上記(4)に記載の光導波路素子において、前記複数の不要光用導波路は、前記同一の不要光集光用導波路の一方の辺側に配置された不要光用導波路と他方の辺側に配置された不要光用導波路とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、不要光用導波路が接続用導波路を介して不要光集光用導波路に接続され、該接続用導波路は、不要光集光用導波路との接続部における幅を、該不要光用導波路の該接続用導波路との接続部における幅よりも広げてあるので、不要光が不要光集光用導波路に導入される際の屈折が抑制される。これにより、不要光集光用導波路から不要光の一部が突き抜けて光導波路の他の部分に結合してしまうことを抑制でき、光学特性の劣化等を防止した光導波路素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来例に係る光導波路素子の構造の例を示す図である。
図2】シングルモード光及び高次モード光の波形パターンの例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る光導波路素子の構造の例を示す図である。
図4】不要光集光用導波路に導入される不要光の屈折の様子を示す図である。
図5】不要光集光用導波路に導入された不要光の伝播の様子を示す図である。
図6】不要光集光用導波路に複数の不要光導波路が接続された構成の例を示す図である。
図7】不要光集光用導波路の配置の一例を示す図である。
図8】不要光集光用導波路の配置の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る光導波路素子について、好適例を用いて詳細に説明する。なお、以下で示す例によって本発明が限定されるものではない。
本発明の光導波路素子は、図3等に示すように、基板1に光導波路が形成され、該光導波路は、信号光を伝播する主導波路2と、該主導波路から放出される不要光を導波する不要光用導波路3と、該不要光用導波路から出射される不要光が導入される不要光集光用導波路4とを有する光導波路素子において、該不要光用導波路は、接続用導波路5を介して該不要光集光用導波路に接続され、該接続用導波路は、不要光の伝播方向に直交する方向の幅であって該不要光集光用導波路との接続部における幅W4を、該不要光用導波路の該接続用導波路との接続部における幅W3よりも広げてあることを特徴とする。
【0018】
基板1としては、石英、ニオブ酸リチウム、半導体材料など光導波路を基板に形成できる材料であれば、特に限定されない。光変調器等の電極が形成する電界で光導波路を伝播する光波を変調する場合には、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムなどの電気光学効果を有する基板を用いることが好ましい。また、30μm以下の薄い基板を用いる場合には、基板そのものがスラブ導波路として振る舞ってしまうので、主導波路の近傍に不要光が残留し易く、光学特性の劣化が起こり易いため、より本発明を効果的に適用することができる。
【0019】
光導波路の形成方法としては、Ti等の金属を基板中に熱拡散し、基板材料より高屈折率な部分を形成する方法や、基板表面に凹凸を形成しリッジ型導波路を構成する方法などが適用可能である。
主導波路2としては、図6,7に示すように、マッハツェンダー型導波路や、マッハツェンダー型導波路を入れ子状に組み合わせたネスト型導波路などを用いることができる。特に、ネスト型導波路を有する光導波路素子を備えた光変調器では、原理的に、変調動作に伴って合波部で不要光が発生して後段の合波部へ影響するので、本発明を効果的に適用することができる。
【0020】
不要光用導波路3としては、公知の不要光の導波手段を採用することが可能である(例えば、特許第5071542号公報、特開2011−164388号公報、特開2004−46021号公報を参照)。例えば、合波部から放射される放射モード光を導波するために、合波部に接触又は離間して不要光用導波路を配置することができる。また、分岐部に導波する前に高次モード光を除去するために、不要光用導波路を分岐部より前の主導波路に配置する使用することも可能である。さらに、主導波路から漏れ出し基板内を伝播している漏れ光を集光する不要光用導波路を設けることも可能である。
【0021】
また、不要光用導波路3は、特許文献1の図2に開示されるような構成を採用することも可能である。すなわち、例えば、1本の連続した光導波路として形成するだけでなく、主導波路等の他の光導波路を跨ぐ際に分断して構成することも可能である。また、例えば、不要光用導波路は、複数本の導波路を合流させて構成することも可能であり、合波した不要光は単一の不要光用導波路で導出することができる。
【0022】
不要光集光用導波路4は、図7,8に示すように、主導波路2を伝播する信号光が主に伝播している方向とほぼ同じ方向に沿って形成される。また、不要光集光用導波路4は、接続用導波路5と接続される部分の前後でほぼ等しい幅(W1≒W2)とすることができる。なお、不要光集光用導波路4の配置や本数は任意であり、不要光用導波路3から出射される不要光を効率的に集光できるように形成することが好ましい。
【0023】
不要光用導波路3は、基本的にシングルモード導波路以上の幅を有する。不要光集光用導波路4は、好ましくはシングルモード導波路の3倍以上の幅を有し、より好ましくはシングルモード導波路の5倍以上の幅を有する。これにより、シングルモードや高次モード光を含む多様なモードの不要光を安定して導波することができる。
【0024】
本発明の光導波路素子の主な特徴は、不要光用導波路3が接続用導波路5を介して不要光集光用導波路4に接続されると共に、接続用導波路5は、不要光集光用導波路4との接続部における幅W4を、不要光用導波路3の接続用導波路5との接続部における幅W3よりも広げてあることである。ここで、導波路の幅とは、その導波路における不要光の伝播方向に直交する方向の幅のことをいう。
【0025】
このような構造によれば、不要光用導波路を伝播してきた不要光が接続用導波路を通過することで、不要光集光用導波路との接続部におけるビーム中心が、接続用導波路を介さずに接続した場合に比べ、不要光集光用導波路から離れるので、不要光が不要光集光用導波路に導入される際の屈折を抑制することができる。つまり、不要光用導波路を伝播してきた不要光の不要光集光用導波路に対する進入角度θを小さくすることができる。これにより、不要光集光用導波路から不要光の一部が突き抜けて光導波路の他の部分に結合してしまうことが抑制される。したがって、不要光に起因する光学特性の劣化等を効果的に防止することが可能となる。
【0026】
更に、不要光集光用導波路の形状の工夫による不要光の突き抜け対策を行う必要がないので、不要光集光用導波路として、ほぼ一定幅の光導波路を用いることができる。したがって、光導波路素子の幅の短縮化を図ることが可能であり、設計自由度も高められる。
【0027】
図3には、本発明の光導波路素子の構造の例を幾つか示してある。以下では、基板を断面視した際の接続用導波路を画定する境界線のうち、不要光集光用導波路4に対して遠い側の境界線を「外側境界線」と称し、不要光集光用導波路4に対して近い側の境界線を「内側境界線」と称する。
【0028】
図3(a)、(b)に示す接続用導波路5は、不要光用導波路3との接続部では不要光用導波路3の幅(W3)と同じ幅であり、不要光集光用導波路4に近づくに従って徐々に幅が広くなるように形成されている。なお、図3(a)は、接続用導波路5の外側境界線だけを外方向に徐々に拡張した例を示しており、図3(b)は、接続用導波路5の内側境界線も外方向に徐々に拡張した例を示している。
【0029】
図3(c)、(d)に示す接続用導波路5は、不要光用導波路3の幅よりも広い固定幅に形成されている。なお、図3(c)は、接続用導波路5の外側境界線だけを外方向に一定量で拡張した例を示しており、図3(d)は、接続用導波路5の内側境界線も徐々に外方向に一定量で拡張した例を示している。
【0030】
図3(a)〜(d)のいずれの構成においても、接続用導波路5は、不要光用導波路3の延長線で形成される形状よりも広がった形状となっているので、不要光集光用導波路4との接続部における不要光の屈折を抑制することができる。なお、これらの形状は一例に過ぎず、例えば、所定幅ずつ段階的に広がる形状としてもよく、不要光用導波路の延長線で形成される形状よりも、不要光集光用導波路との接続部におけるビーム中心が不要光集光用導波路から離れるように広がった形状であればよい。すなわち、接続用導波路5の内側境界線と不要光集光用導波路4との接続点p1から接続用導波路5のビーム中心(中心線)までの距離W5(=W4/2)が、不要光用導波路3の延長線で形成される形状の不要光集光用導波路5に近い側の境界線と不要光集光用導波路5との接続点p2から接続用導波路4のビーム中心までの距離W5’よりも大きければよい(図3(d)参照)。
【0031】
接続用導波路5の外側境界線または内側境界線は、集光用導波路3との接続部における中心からの距離が、励起される高次モード光のピーク間隔(図2のX)から十分に離れていれば、屈折を良好に抑制できると想定される。したがって、集光用導波路3と接続用導波路5との接続部におけるモードフィールド径をDとした場合に、例えば、W4/1.5>D/2を満たすように、接続用導波路5の幅を設定することが好ましい。なお、図2では、シングルモード光の波形パターンの例を破線M1で示し、高次モード光の波形パターンの例を実線M2で示している。
【0032】
図4は、不要光集光用導波路に導入される不要光の屈折の様子を示す図である。図4(a)は、図1に示した従来例の構成において不要光の屈折の様子を示し、図4(b)は、図3(a)に示した構成において不要光の屈折の様子を示し、図4(c)は、図3(d)の構成例における不要光の屈折の様子を示している。これらの図より明らかなように、本発明の構成によれば、不要光集光用導波路に導入される不要光の進入角度を従来例に比べて抑えることができる。
【0033】
図5は、不要光集光用導波路に導入された不要光の伝播の様子を示す図である。図5(a)は、従来例の構成における不要光の屈折の様子を示し、図5(b)は、本発明の構成における不要光の屈折の様子を示している。なお、不要光集光用導波路は、接続用導波路と接続される部分の前後でほぼ等しい幅としてある。従来例の構成では、不要光が不要光集光用導波路に入射されるときに大きく屈折し、不要光の一部が不要光集光用導波路から突き抜けてしまっているが、本発明の構成を採用することで、不要光の屈折が緩和され、不要光の突き抜けが無くなっている。このように、本発明によれば、不要光集光用導波路の幅を変えることなく、不要光の漏出を防ぐことが可能である。
【0034】
図6は、不要光集光用導波路に複数の不要光導波路が接続された構成の例を示す図である。図6(a)は、不要光集光用導波路4の一方の辺側に複数の不要光用光導波路3が配置され、各々に個別に接続された接続用導波路5を介して不要光集光用導波路4に接続した構成となっている。このように、複数の不要光用光導波路を同一の不要光集光用導波路に接続することで、不要光の集光を効率よく行うことが可能となる。
【0035】
また、図6(b)は、不要光集光用導波路4の一方の辺側と他方の辺側のそれぞれに不要光用光導波路3が配置され、各々に個別に接続された接続用導波路5を介して不要光集光用導波路4に接続した構成となっている。したがって、不要光集光用導波路の両側から不要光を集光できるので、不要光集光用導波路の本数を削減することができ、光導波路素子の幅の短縮化も実現できる。
【0036】
図7は、不要光集光用導波路の配置の一例を示す図である。図7では、主導波路2における1段目および2段目の各分岐部の後に、分岐後の2つの導波路の間(内側)に不要光集光用導波路4を配置してある。このような構成によれば、少ない本数の不要光集光用導波路で不要光の収集を効率よく行うことができる。なお、図7では、多数ある不要光用光導波路および不要光集光用導波路のうち、代表的なものだけを示している。
【0037】
図8は、不要光集光用導波路の配置の別の例を示す図である。図8では、1つの基盤1に、第1の光波が入力される主光導波路2Aと、第2の光波が入力される主導波路2Bとが形成され、各々独立に光変調を行うように構成されている。そして、主光導波路2Aと主導波路2Bの間に不要光集光用導波路4を配置してある。このような構成によれば、主光導波路2Aと主導波路2Bの間における光波のクロストークを防止することもできる。なお、図8では、多数ある不要光用光導波路および不要光集光用導波路のうち、代表的なものだけを示している。
【0038】
以上、実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、不要光用導波路から出射される不要光が不要光集光用導波路に導入される際の屈折を抑制し、光学特性の劣化等を防止した光導波路素子を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 基板
2 主導波路
3 不要光用光導波路
4 不要光集光用導波路
5 接続用導波路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8