【解決手段】シャワープレート105の昇降温時に生じる熱変形に対応してスライド可能とされ、かつ、シャワープレートと電極フランジ104と絶縁シールド106とで囲まれる空間101bをシールしてスライド可能とされるとともに、シャワープレートの周縁部を前記電極フランジに接続するスライドシール部材110,210が設けられる。
矩形輪郭形状とされる前記シャワープレートの角部位置には、前記スライドシール部材端部どうしをスライド可能にシールするコーナー部材が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の真空処理装置。
前記コーナー部材には、前記シャワープレートの主面と並行で前記ブラケットの前記スライド部とシール可能なすべりシール面と、前記シャワープレートの輪郭線と並行で前記ブラケットの前記壁部とシール可能なすべりシール面と、が設けられることを特徴とする請求項5記載の真空処理装置。
前記コーナー部材の前記すべりシール面が、前記コーナー部材と前記ブラケットおよび前記支持部とが、矩形輪郭形状とされる前記シャワープレートの辺に並行な方向に伸縮してもシール可能に配置されることを特徴とする請求項6記載の真空処理装置。
前記シャワープレートの周縁面と、前記絶縁シールドとの間には、前記シャワープレートが熱伸び可能とする隙間部が設けられることを特徴とする請求項1から7のいずれか記載の真空処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の技術では、側壁24等が可撓性金属からなる構成とされているため、一辺1800mm以上などとされるFPDなどの大面積処理をおこなう際には、シャワープレートの熱収縮がおおきくなりすぎて、側壁24の変形可能量では対応できなくなり、部品の対応処理回数が減少してしまう、ひどい場合には、一回ごとの使い捨てに近くなってしまうという問題があった。
【0008】
さらに、特許文献1記載の技術では、例えば「可撓性側壁24の上方リップ26の間にはガスの漏れないシールを必要としない」とあるように、シャワープレートの周縁外側に漏れたガスが被処理基板側に到達してしまうことは気にしていない。特に、「ディフューザの4つの角」と記載される角部におけるシールが不完全であるため、これを解決したいという要求がある。
【0009】
特許文献1には、「プラズマCVDが動作する間のガス分配プレート20の好ましい温度は、少なくとも200℃、好ましくは250℃〜325℃、最も好ましくは、約300℃である」との記載があるが、近年、400℃をこえた処理温度が可能な装置が要求されている。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.シャワープレートまわりから漏れるガスシールの向上を図ること。
2.大面積処理におけるシャワープレート熱伸縮に対応可能とすること。
3.400℃越とされる処理温度の上昇に対応可能とすること。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の真空処理装置は、プラズマ処理をおこなう真空処理装置であって、
チャンバ内に、高周波電源に接続された電極フランジと、前記電極フランジと離間して対向し前記電極フランジとともにカソードとされるシャワープレートと、前記シャワープレートの周囲に設けられた絶縁シールドと、前記シャワープレートにおける前記電極フランジと反対側で被処理基板が配置される処理室と、
を有し、
前記シャワープレートの昇降温時に生じる熱変形に対応してスライド可能とされ、かつ、前記シャワープレートと前記電極フランジと前記絶縁シールドとで囲まれる空間をシールしてスライド可能とされるとともに、前記シャワープレートの周縁部を前記電極フランジに接続するスライドシール部材が設けられることにより上記課題を解決した。
本発明において、前記シャワープレートが略矩形輪郭を有し、
前記スライドシール部材が、前記シャワープレートに取り付けられるブラケットと、このブラケットに対応して前記電極フランジに取り付けられる支持部と、からなり、
前記ブラケットは、前記シャワープレートにおける前記電極フランジ側周縁部に取り付けられた基部と、この基部に接続されて前記シャワープレートから前記電極フランジに向かって立設される壁部と、前記壁部先端に、前記シャワープレートの主面と並行なすべりシール面を有するスライド部とを有し、
前記支持部は、前記すべりシール面に接するすべりシール面を有し前記スライド部よりも前記シャワープレート側に位置する支持スライド部と、前記支持スライド部を前記電極フランジに固定する固定部とを有することがより好ましい。
本発明は、前記ブラケットのスライド部が、前記シャワープレートの輪郭から内側中心に向かう配置とされるか、
前記ブラケットのスライド部が、前記シャワープレートの輪郭から外側に向かう配置とされることが可能である。
また、本発明において、前記ブラケットと前記支持部とが、矩形輪郭形状とされる前記シャワープレートの4辺に対応して配置される手段を採用することもできる。
また、矩形輪郭形状とされる前記シャワープレートの角部位置には、前記スライドシール部材端部どうしをスライド可能にシールするコーナー部材が設けられることができる。
また、前記コーナー部材には、前記シャワープレートの主面と並行で前記ブラケットの前記スライド部とシール可能なすべりシール面と、前記シャワープレートの輪郭線と並行で前記ブラケットの前記壁部とシール可能なすべりシール面と、が設けられることが好ましい。
本発明においては、前記コーナー部材の前記すべりシール面が、前記コーナー部材と前記ブラケットおよび前記支持部とが、矩形輪郭形状とされる前記シャワープレートの辺に並行な方向に伸縮してもシール可能に配置されることができる。
また、前記シャワープレートの周縁面と、前記絶縁シールドとの間には、前記シャワープレートが熱伸び可能とする隙間部が設けられることができる。
【0012】
本発明の真空処理装置は、プラズマ処理をおこなう真空処理装置であって、
チャンバ内に、高周波電源に接続された電極フランジと、前記電極フランジと離間して対向し前記電極フランジとともにカソードとされるシャワープレートと、前記シャワープレートの周囲に設けられた絶縁シールドと、前記シャワープレートにおける前記電極フランジと反対側で被処理基板が配置される処理室と、
を有し、
前記シャワープレートの昇降温時に生じる熱変形に対応してスライド可能とされ、かつ、前記シャワープレートと前記電極フランジと前記絶縁シールドとで囲まれる空間をシールしてスライド可能とされるとともに、前記シャワープレートの周縁部を前記電極フランジに接続するスライドシール部材が設けられることにより、シャワープレートの昇温時に熱変形、特に、熱伸びが生じた際にスライドシール部材がスライドして、シャワープレートの寸法が伸長する変形を電極フランジと絶縁シールドとに影響を与えずに吸収する。同時に、スライドシール部材がスライドすることで、シャワープレートと電極フランジと絶縁シールドとで囲まれる空間におけるシール状態を維持することができる。
また、降温時に熱伸びしていたシャワープレートに縮みが生じた際にスライドシール部材がスライドして、シャワープレートの寸法が収縮する変形を電極フランジと絶縁シールドとに影響を与えずに吸収する。同時に、スライドシール部材がスライドすることで、シャワープレートと電極フランジと絶縁シールドとで囲まれる空間におけるシール状態を維持することができる。
ここで、シャワープレートと電極フランジと絶縁シールドとで囲まれる空間におけるシール状態とは、この空間に供給される原料ガスが、シャワープレートに多数形成された貫通孔を通って被処理基板側に移動する経路以外の経路を辿ってガスが漏れることを意味している。
【0013】
本発明において、前記シャワープレートが略矩形輪郭を有し、
前記スライドシール部材が、前記シャワープレートに取り付けられるブラケットと、このブラケットに対応して前記電極フランジに取り付けられる支持部と、からなり、
前記ブラケットは、前記シャワープレートにおける前記電極フランジ側周縁部に取り付けられた基部と、この基部に接続されて前記シャワープレートから前記電極フランジに向かって立設される壁部と、前記壁部先端に、前記シャワープレートの主面と並行なすべりシール面を有するスライド部とを有し、
前記支持部は、前記すべりシール面に接するすべりシール面を有し前記スライド部よりも前記シャワープレート側に位置する支持スライド部と、前記支持スライド部を前記電極フランジに固定する固定部とを有することにより、シャワープレート輪郭各辺に延在するように、かつ、シャワープレートとの間をシール状態としてブラケットが取り付けられて、また、ブラケットに対応する位置に電極フランジとの間をシール状態として支持部が取り付けられていることで、これらブラケットと支持部とがすべりシール面で、互いにスライドすることで、シール状態を維持したまま、電極フランジとシャワープレート輪郭との相対位置変更に対応することができる。
ここで、ブラケットの基部により、シャワープレートとブラケットとの間をシール状態としてブラケットを取り付けることができる。また、壁部により、離間した電極フランジとシャワープレートとの間をシールしつつこれら電極フランジとシャワープレートとを電気的に接続することができる。さらに、スライド部により、支持部とすべりシール面で互いにスライドして、シール状態を維持したまま、電極フランジとシャワープレート輪郭との相対位置変更に対応することができる。
【0014】
本発明は、前記ブラケットのスライド部が、前記シャワープレートの輪郭から内側中心に向かう配置とされるか、
前記ブラケットのスライド部が、前記シャワープレートの輪郭から外側に向かう配置とされることにより、スライド部が内側に向かう場合には、平面視した場合に、シャワープレートの輪郭とスライドシール部材の外形輪郭とが一致するように形成することができるため、絶縁シールド側に、スライドシール部材が延出してしまうことがない。また、スライド部が外側に向かう場合には、シャワープレートが熱伸びした際に、スライド部が前記外側に向けて移動するため、支持部と接するすべりシール面が増大し、よりシール状態wを確実にすることができる。
【0015】
また、本発明において、前記ブラケットと前記支持部とが、矩形輪郭形状とされる前記シャワープレートの4辺に対応して配置されることにより、シャワープレート輪郭各辺に延在するように、かつ、シャワープレートとの間をシール状態としてブラケットが取り付けられて、また、ブラケットに対応する位置に電極フランジとの間をシール状態として支持部が取り付けられることができ、これらブラケットと支持部とがすべりシール面で、互いにスライドすることで、シール状態を維持したまま、電極フランジとシャワープレート輪郭との相対位置変更に対応することができる。
【0016】
また、矩形輪郭形状とされる前記シャワープレートの角部位置には、前記スライドシール部材端部どうしをスライド可能にシールするコーナー部材が設けられることにより、温度変化に起因してシャワープレートの輪郭が変形した際に、このシャワープレートの輪郭辺方向におけるブラケット端部が位置変化するが、この変化を吸収し、シール状態を維持するようにスライドさせることができる。
【0017】
また、前記コーナー部材には、前記シャワープレートの主面と並行で前記ブラケットの前記スライド部とシール可能なすべりシール面と、前記シャワープレートの輪郭線と並行で前記ブラケットの前記壁部とシール可能なすべりシール面と、が設けられることにより、各すべりシール面がスライドする方向がシャワープレートの熱変形によって伸縮する方向に設定されることで、コーナー部材とブラケット、または、コーナー部材と支持部とがスライドしても、シール状態を維持することができる。また、熱伸びによるこれらのスライドに対して、降温による熱収縮の際に、コーナー部材とブラケット、または、コーナー部材と支持部とがスライドして位置変化してシール状態を維持することができる。
【0018】
本発明においては、前記コーナー部材の前記すべりシール面が、前記コーナー部材と前記ブラケットおよび前記支持部とが、矩形輪郭形状とされる前記シャワープレートの辺に並行な方向に伸縮してもシール可能に配置されることにより、熱伸びまたは熱縮みが発生した際に、シャワープレートの変形方向は、対角方向に最も大きくなり、同時に、ブラケットが外形輪郭の辺外側方向となるためこれに対応して、その位置変化を吸収して各部材における余計な応力が発生することなくシール状態を維持することができる。
【0019】
また、前記シャワープレートの周縁面と、前記絶縁シールドとの間には、前記シャワープレートが熱伸び可能とする隙間部が設けられることにより、熱伸びした際に隙間部でその膨張変形を吸収して、各部材における余計な応力が発生することなくシール状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シャワープレートまわりから漏れるガスシールの向上を図り、大面積処理におけるシャワープレート熱伸縮に対応可能とし、400℃越とされる処理温度の上昇に対応可能とすることができるという効果を奏することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る真空処理装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における真空処理装置を示す模式断面図であり、図において、符号100は、真空処理装置である。
【0023】
また、本実施形態においては、プラズマCVD法を用いた成膜装置を説明する。
本実施形態に係る真空処理装置100は、プラズマCVD法による成膜をおこなうものとされ、
図1に示すように、反応室である成膜空間101aを有する処理室101を有する。処理室101は、真空チャンバ102(チャンバ)と、電極フランジ104と、真空チャンバ102および電極フランジ104に挟持された絶縁フランジ103とから構成されている。
【0024】
真空チャンバ102の底部102a(内底面)には、開口部が形成されている。この開口部には支柱145が挿通され、支柱25は真空チャンバ2の下部に配置されている。支柱145の先端(真空チャンバ102内)には、板状の支持部141が接続されている。また、真空チャンバ102には、排気管を介して真空ポンプ(排気手段)148が設けられている。真空ポンプ148は、真空チャンバ102内が真空状態となるように減圧する。
また、支柱145は、真空チャンバ2の外部に設けられた昇降機構(不図示)に接続されており、基板Sの鉛直方向において上下に移動可能である。
【0025】
電極フランジ104は、上壁104aと周壁104bとを有する。電極フランジ104は、電極フランジ104の開口部が基板Sの鉛直方向において下方に位置するように配置されている。また、電極フランジ104の開口部には、シャワープレート105が取り付けられている。これにより、電極フランジ104とシャワープレート105との間に空間101bが形成されている。また、電極フランジ104の上壁104aは、シャワープレート105に対向している。上壁104aには、ガス導入口を介してガス供給手段142が接続されている。
空間101bは、プロセスガスが導入されるガス導入空間として機能している。
【0026】
電極フランジ104とシャワープレート105は、それぞれ導電材で構成されている。具体的には、アルミニウムとすることができる。
電極フランジ104の周囲には、電極フランジ104を覆うようにシールドカバーが設けられている。シールドカバーは、電極フランジ104と非接触であり、かつ、真空チャンバ102の周縁部に連設するように配置されている。また、電極フランジ104には、真空チャンバ102の外部に設けられたRF電源(高周波電源)147がマッチングボックスを介して接続されている。マッチングボックスは、シールドカバーに取り付けられており、真空チャンバ102は、シールドカバーを介して接地されている。
【0027】
電極フランジ104およびシャワープレート105はカソード電極として構成されている。シャワープレート105には、複数のガス噴出口105aが形成されている。空間101b内に導入されたプロセスガスは、ガス噴出口105aから真空チャンバ102内の成膜空間101aに噴出される。
【0028】
同時に、RF電源147から電力供給された電極フランジ104およびシャワープレート105がカソード電極となり、成膜空間101aにプラズマが発生して成膜等の処理がおこなわれる。
【0029】
図2は、シャワープレート105を平面視した上面図である。
シャワープレート105は、棒状の固定シャフト109,変形シャフト108によって電極フランジ104から吊り下げられて支持されている。
固定シャフト109は、シャワープレート105を平面視した中央位置に固着して取り付けられる。変形シャフト108は、固定シャフト109を中心とした矩形の頂点および四辺の中点に配置される。
【0030】
変形シャフト108は、固定シャフト109と異なり、シャワープレート105の熱伸びに対応して、その下端に設けられた球面ブシュによってシャワープレート105に接続されており、水平方向におけるシャワープレート105の変形に対応して支持可能とされている。
【0031】
図3は、シャワープレート105縁部付近を拡大した断面図である。
シャワープレート105周縁部外側位置には、このシャワープレート105縁部と離間するように絶縁シールド106が周設されている。絶縁シールド106は、電極フランジ104b(104)に取り付けられている。絶縁シールド106とシャワープレート105周縁部との外側位置は、熱伸び吸収空間(隙間部)106aが形成されている。
【0032】
シャワープレート105周縁部上側には、スライドシール部材110が周設されて、このスライドシール部材110によりシャワープレート105縁部が電極フランジ104に吊り下げられて支持されている。
【0033】
スライドシール部材110は、
図1〜
図3に示すように、シャワープレート105の昇降温時に生じる熱変形に対応してスライド可能とされ、かつ、シャワープレート105と電極フランジ104と絶縁シールド106とで囲まれるガス導入空間101bをシールしてスライド可能とされるとともに、シャワープレート105周縁部を電極フランジ104に電気的に接続している。
【0034】
スライドシール部材110は、
図2に示すように、平面視してシャワープレート105周縁部とほぼ等しい外形輪郭である矩形輪郭を有するとともに、シャワープレート105の周囲で略等しい幅寸法を有する。スライドシール部材110は、例えば、アルミニウム等の金属製とされる。
【0035】
スライドシール部材110は、
図3に示すように、シャワープレート105に取り付けられるブラケット111と、このブラケット111に対応して電極フランジ104に取り付けられる支持部117とからなる。
【0036】
ブラケット111は、
図3に示すように、シャワープレート105における電極フランジ104側となる周縁部に固定して取り付けられた基部112と、この基部112に接続されてシャワープレート105の主面から略垂直に電極フランジ104に向かって立設される壁部113と、壁部113の電極フランジ104側先端に、シャワープレート105の主面と並行なすべりシール面114aを有するスライド部114とを有する。
【0037】
基部112の電極フランジ104側(上側)にはほぼ同じ幅寸法で延在する押さえ板112eが設けられてシャワープレート105に押さえつけられている。押さえ板112eは、固定ボルト112d等によりシャワープレート105の上面に螺着されており、基部112とシャワープレート105との間がシール可能とされている。
【0038】
ブラケット111は、
図3に示すように、シャワープレート105の輪郭と直交する断面形状がコ字状となるように形成されている。
ブラケット111においては、
図3に示すように、スライド部114が、シャワープレート105の外周輪郭から内側中心に向かう配置とされている。つまり、スライド部114が、壁部113先端からシャワープレート105の内側中心に向かう配置とされている。
【0039】
支持部117は、
図3に示すように、スライド部114のすべりシール面114aに摺動可能に接するすべりシール面118aを有しスライド部114よりもシャワープレート105側に位置する支持スライド部118と、支持スライド部118を電極フランジ104に固定する固定部119と、を有する。
【0040】
固定部119は、支持スライド部118よりもシャワープレート105の内側中心に近接する配置とされている。固定部119は、固定ボルト119d等により電極フランジ104の下面にシール可能として螺着されている。なお、固定部119も、押さえ板112eに対応する押さえ板を配して固定することもできる。
【0041】
ブラケット111と支持部117とは、矩形輪郭形状とされるシャワープレート105の4辺に対応して配置されている。
また、熱伸び吸収空間(隙間部)106aは、シャワープレート105およびブラケット111の高さ寸法に対応した高さ寸法を有し、シャワープレート105の熱伸び時に、一体としてシャワープレート105の外向きに移動するブラケット111が当接しないように設定されている。
【0042】
ブラケット111におけるスライド部114のすべりシール面114aと、支持部117における支持スライド部118のすべりシール面118aとには、いずれも、アルマイト処理層116が設けられて、摺動可能およびシール可能とされている。
このように、スライド部114のすべりシール面114aと、支持スライド部118のすべりシール面118aとが、互いに接触していることにより、シャワープレート105周縁部の荷重がブラケット111および支持部117を介して電極フランジに支持されている。
【0043】
図4は、熱伸び状態におけるシャワープレート105縁部付近を拡大した断面図である。
後述する装置使用時には、加温されるためシャワープレート105が熱伸び(熱変形)する。この熱伸び時には、
図4に示すように、シャワープレート105が固定シャフト109を中心として面内方向外向きに膨張する。
【0044】
熱伸びしたシャワープレート105の周縁部は、熱伸び吸収空間(隙間部)106aに伸張することで、絶縁シールド106に当接しないため、シャワープレート105の膨張が電極フランジ104や絶縁シールド106等に応力を与えないように吸収される。
このとき、変形シャフト108は、下端の球面ブシュによって、変形したシャワープレート105を支持可能となっている。
【0045】
さらに、熱伸びしたシャワープレート105の周縁部に固定されたブラケット111は、一体として、シャワープレート105の外周外側に向けて移動し、
図4に示すように、熱伸び吸収空間(隙間部)106aが狭まる。ブラケット111は、絶縁シールド106に当接しないため、ブラケット111の移動が電極フランジ104や絶縁シールド106等に応力を与えないように吸収される。
【0046】
また、ブラケット111の移動にともなって、ブラケット111におけるスライド部114も一体として、シャワープレート105の外周外側に向けて移動する。これに対し、支持部117における支持スライド部118は、固定部119によって電極フランジ104に固定されているため、電極フランジ104および絶縁シールド106に対する相対位置は変化しない。したがって、スライドシール部材110は変形することなく、スライド部114のすべりシール面114aと、支持部117における支持スライド部118のすべりシール面118aとが摺動して、シール状態を維持したままシャワープレート105が熱伸び状態となる。
【0047】
このように、本実施形態においては、スライドシール部材110のブラケット111におけるスライド部114のすべりシール面114aと、支持部117における支持スライド部118のすべりシール面118aとが、シャワープレート105の熱伸び方向に摺動可能とされているため、熱伸び時にも、これらが変形することなく接触状態を維持することで、シール状態の維持、および、シャワープレート105の荷重支持状態を維持することができる。
【0048】
図5は、シャワープレート105角部付近を拡大した図であり、スライドシール部材およびコーナー部材を示す平面図であり、
図6は、
図5におけるvi−vi断面矢視図であり、
図7は、
図5におけるvii−vii断面矢視図であり、
図8は、
図5におけるviii−viii断面矢視図であり、
図9は、
図5におけるix−ix断面矢視図であり、
図10は、
図5におけるx−x断面矢視図である。
本実施形態において、矩形輪郭形状とされるシャワープレート105の角部位置には、スライドシール部材110の端部どうしをスライド可能にシールするコーナー部材120が設けられる。
【0049】
コーナー部材120は、また、ブラケット111端部どうしおよび支持部117端部どうしをシャワープレート105の熱伸び時にスライド可能にシールするように設けられている。
コーナー部材120は、
図5に示すように、四分の一円弧状の外側輪郭を有して、シャワープレート105の角部に立設されている。
【0050】
コーナー部材120は、
図5〜
図7,
図9に示すように、シャワープレート105における電極フランジ104側となる周縁角部に固定して取り付けられてすべりシール面122a,122b,122cを有する下スライド部122と、この下スライド部122に接続されてシャワープレート105の主面から略垂直に電極フランジ104に向かって立設されてすべりシール面123bを有する壁スライド部123と、壁スライド部123の電極フランジ104側先端に、すべりシール面124a,124b,124cを有する上スライド部124とを有する。
【0051】
コーナー部材120において、上スライド部124には、
図5〜
図7,
図9に示すように、ブラケット111のスライド部114端部が組み合わされてシールできるように、上面にスライド部114の厚さに対応した切欠(凹部)124Aが形成されている。切欠124Aにおけるシャワープレート105輪郭辺直線に沿った方向奥側がシャワープレート105輪郭辺直線と直交する直線状に形成されている。
【0052】
この切欠124Aの下側は、
図5〜
図7,
図9に示すように、シャワープレート105輪郭内側位置が下側に貫通している。また、この切欠124Aの下側におけるシャワープレート105輪郭外側底面位置には、すべりシール面124aが上向きに形成されている。
【0053】
切欠124Aのシャワープレート105輪郭外側側面位置には、
図5〜
図7,
図9に示すように、すべりシール面124bがシャワープレート105輪郭内側向きに形成されている。切欠124Aのシャワープレート105輪郭外側側面位置におけるブラケット111端部側は、さらに、壁部113の厚さに対応する部分が切り欠かれている。
【0054】
切欠124Aのシャワープレート105輪郭内側側面位置には、
図5〜
図7,
図9に示すように、すべりシール面124cがシャワープレート105輪郭外側向きに形成されている。
すべりシール面124aは、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った水平方向に形成されている。これら、すべりシール面124b,124cは、いずれもシャワープレート105輪郭辺直線に沿った鉛直方向に形成されている。
切欠124A外側のすべりシール面124bは、切欠124A内側のすべりシール面124c外側よりも短くなるように形成されている。
【0055】
コーナー部材120において、壁スライド部123には、
図5〜
図7,
図9に示すように、ブラケット111の壁部113端部が組み合わされてシールできるように、外側面に壁部113の厚さに対応した切欠(凹部)123Aが形成されている。
切欠(凹部)123Aには、シャワープレート105輪郭外側位置にすべりシール面123bが形成されている。切欠(凹部)123Aは、壁スライド部123の高さ方向全長に配置されている。
【0056】
コーナー部材120において、下スライド部122には、
図5〜
図7,
図9に示すように、ブラケット111の基部112端部が組み合わされてシールできるように、下面に基部112の厚さに対応した切欠(凹部)122Aが形成されている。切欠(凹部)122Aは、平面視して切欠124Aとほぼ同じ輪郭形状として形成されている。切欠122Aにおけるシャワープレート105輪郭辺直線に沿った方向奥側がシャワープレート105輪郭辺直線と直交する直線状に形成されている。
【0057】
この切欠122Aの上側は切欠124Aと異なり、その全面が上側に貫通しておらず、その全面にすべりシール面122aが下向きに形成されている。
切欠122Aのシャワープレート105輪郭外側側面位置には、
図5〜
図7,
図9に示すように、すべりシール面122bがシャワープレート105輪郭内側向きに形成されている。切欠122Aのシャワープレート105輪郭外側側面位置におけるブラケット111端部側は、さらに、壁部113の厚さに対応する部分が切り欠かれている。
【0058】
切欠122Aのシャワープレート105輪郭内側側面位置には、
図5〜
図7,
図9に示すように、すべりシール面122cがシャワープレート105輪郭外側向きに形成されている。
すべりシール面122aは、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った水平方向に形成されている。また、すべりシール面122b,122cは、いずれもシャワープレート105輪郭辺直線に沿った鉛直方向に形成されている。
【0059】
すべりシール面124aは、外側かつブラケット111側が、すべりシール面123bに連続するように形成されている。
【0060】
ブラケット111端部には、
図5,〜
図8,
図10に示すように、コーナー部材120の各すべりシール面122a〜124cに対応するすべりシール面112a〜114cが形成されている。
【0061】
ブラケット111において、スライド部114には、
図5,〜
図8,
図10に示すように、コーナー部材120の上スライド部124端部が組み合わされてシールできるように、切欠(凹部)124Aに対応した凸部114Aが形成されている。
凸部114Aにおけるシャワープレート105輪郭辺直線に沿った方向先端側が切欠(凹部)124Aに対応してシャワープレート105輪郭辺直線と直交する直線状に形成されている。
【0062】
この凸部114Aの厚さは、切欠(凹部)124Aの深さ寸法に対応してほぼ等しく形成され、凸部114Aの下側位置には、すべりシール面124aに摺動可能なすべりシール面114aが下向きに形成されている。
【0063】
凸部114Aのシャワープレート105輪郭外側側面位置には、
図5,
図8,
図10に示すように、すべりシール面124bに摺動可能なすべりシール面114bがシャワープレート105輪郭外側向きに形成されている。凸部114Aのシャワープレート105輪郭線内外方向位置は壁部113の内側面よりもさらに内側位置に設定されている。
【0064】
凸部114Aのシャワープレート105輪郭内側側面位置には、すべりシール面124cに摺動可能なすべりシール面114cがシャワープレート105輪郭内側向きに形成されている。
これら、すべりシール面114a,114b,114cは、いずれもシャワープレート105輪郭辺直線に沿った方向に形成されている。
凸部114A外側のすべりシール面114bは、凸部114A内側のすべりシール面114c外側よりも短くなるように形成されている。
【0065】
ブラケット111において、壁部113には、
図5,
図8,
図10に示すように、コーナー部材120の壁スライド部123端部が組み合わされてシールできるように、シャワープレート105輪郭内向きの面にすべりシール面123bと摺動可能とされるすべりシール面113bが形成されている。
すべりシール面113bは、壁部113の高さ方向全長に形成されている。また、すべりシール面113bは、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った鉛直方向に形成されている。
【0066】
ブラケット111において、基部112には、
図5,
図8,
図10に示すように、コーナー部材120の下スライド部122端部が組み合わされてシールできるように、下面側に切欠(凹部)122Aの高さ寸法に対応した凸部112Aが形成されている。凸部112Aは、平面視して切欠(凹部)122Aおよび切欠124Aとほぼ同じ輪郭形状として形成されている。
凸部112Aにおけるシャワープレート105輪郭辺直線に沿った方向先端側が、切欠122Aに対応してシャワープレート105輪郭辺直線と直交する直線状に形成されている。
【0067】
凸部112Aの上側は、
図5,
図8,
図10に示すように、切欠122Aに対応して上側の全面にすべりシール面122aと摺動可能なすべりシール面112aが下向きに形成されている。
凸部112Aのシャワープレート105輪郭外側側面位置には、すべりシール面122bと摺動可能なすべりシール面112bがシャワープレート105輪郭外側向きに形成されている。
【0068】
凸部112Aのシャワープレート105輪郭内側側面位置には、すべりシール面122cと摺動可能なすべりシール面112cがシャワープレート105輪郭内側向きに形成されている。
すべりシール面112aは、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った水平方向に形成されている。これら、すべりシール面112b,112cは、いずれもシャワープレート105輪郭辺直線に沿った鉛直方向に形成されている。
【0069】
コーナー部材120には、
図5に示すように、シャワープレート105輪郭において、隣り合う辺直線に対応する直交するブラケット111端部に対して、それぞれ切欠124A,123A,122Aが形成されている。
【0070】
後述する装置使用時には、加温されるためシャワープレート105が熱伸び(熱変形)する。この熱伸び時には、シャワープレート105が固定シャフト109を中心として面内方向外向きに膨張する。
【0071】
熱伸びしたシャワープレート105の周縁部においては、シャワープレート105の周縁部に固定されたブラケット111と、コーナー部材120とが、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った方向に離間する。
このとき、すべりシール面112aとすべりシール面122a、すべりシール面112bとすべりシール面122b、すべりシール面112cとすべりシール面122c、すべりシール面113bとすべりシール面123b、すべりシール面114aとすべりシール面124a、すべりシール面114bとすべりシール面124b、すべりシール面114cとすべりシール面124cが、それぞれ、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った方向に摺動することで、シール状態を維持したままブラケット111と、コーナー部材120とが離間することができる。
【0072】
次に、真空処理装置100を用いて基板Sの処理面に膜を形成する場合の作用について説明する。
まず、真空ポンプ148を用いて真空チャンバ102内を減圧する。真空チャンバ102内が真空に維持された状態で、真空チャンバ2の外部から成膜空間101aに向けて基板Sが搬入される。基板Sは、支持部(ヒータ)141上に載置される。支柱145が上方へ押し上げられ、ヒータ141上に載置された基板Sも上方へ移動する。これによって、適切に成膜を行うために必要な間隔になるようにシャワープレート105と基板Sとの間隔が所望に決定され、この間隔が維持される。
【0073】
その後、プロセスガス供給手段142からガス導入管およびガス導入口を介してガス導入空間101bにプロセスガスが導入される。そして、シャワープレート105のガス噴出口105aから成膜空間101a内にプロセスガスが噴出される。
次に、RF電源147を起動して電極フランジ104に高周波電力を印加する。
【0074】
すると、電極フランジ104の表面からシャワープレート105の表面を伝って高周波電流が流れ、シャワープレート105とヒータ141との間に放電が生じる。そして、シャワープレート105と基板Sの処理面との間にプラズマが発生する。
こうして発生したプラズマ内でプロセスガスが分解され、プラズマ状態のプロセスガスが得られ、基板Sの処理面で気相成長反応が生じ、薄膜が処理面上に成膜される。
【0075】
真空処理装置100の処理時には、シャワープレート105が熱伸び(熱変形)するが、スライドシール部材110と、コーナー部材120とによって、シール状態を維持し、ガス導入空間101bからガス噴出口105a以外を通って成膜空間101aへ漏出してしまうことを低減することができる。また、シャワープレート105の熱伸びにより、無理矢理変形させる部品がないため、部品の寿命を延ばすことが可能となる。
【0076】
以下、本発明に係る真空処理装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図11は、本実施形態におけるスライドシール部材およびシャワープレート周縁部を示す断面図であり、本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、ブラケットにおけるスライド部に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
本実施形態におけるスライドシール部材210は、ブラケット211におけるスライド部214が、壁部213上端位置からシャワープレート105輪郭外側向きに配置されている。なお、本実施形態において、スライドシール部材210における符号は、上述した第1実施形態におけるスライドシール部材110における符号を100番台から200番台に読み替えることで対応する。
【0078】
スライドシール部材210は、ブラケット211における基部212が、シャワープレート105上面周縁部ではなく、シャワープレート105端部側面に固定接続されている。このため、基部212は、シャワープレート105端部側面よりもシャワープレート105輪郭中心側に位置して鉛直方向に延在し、固定ボルト212d等によりシャワープレート105の上面に螺着されており、基部212とシャワープレート105との間がシール可能とされている。
【0079】
ブラケット211における壁部213は、平面視してシャワープレート105輪郭線における4辺とほぼ一致する位置に配置され、略垂直方向に立設される。
【0080】
ブラケット211においては、
図11に示すように、スライド部214が、シャワープレート105の外周輪郭から外側(内側中心と反対向き)に向かう配置とされている。つまり、スライド部214が、壁部213先端からシャワープレート105の外側に向かう配置とされている。スライド部214は、シャワープレート105の主面と並行なすべりシール面214aを上側面に有する。
【0081】
支持部217は、
図11に示すように、スライド部214のすべりシール面214aに摺動可能に接するすべりシール面218aを有しスライド部214よりもシャワープレート105側に位置する支持スライド部218と、支持スライド部218を電極フランジ104に固定する固定部219と、を有する。
【0082】
固定部219は、支持スライド部218よりもシャワープレート105のさらに外側位置として配置されている。固定部219は、固定ボルト219d等により電極フランジ104の下面にシール可能として螺着されている。なお、固定部219および支持スライド部218は、その下側に絶縁シールド106が位置している。
【0083】
また、熱伸び吸収空間(隙間部)106aは、シャワープレート105およびブラケット211の高さ寸法に対応した高さ寸法を有し、シャワープレート105の熱伸び時に、一体としてシャワープレート105の外向きに移動するブラケット211が当接しないように設定されている。
なお、支持スライド部218は、熱伸び吸収空間(隙間部)106aおよび絶縁シールド106の上側(電極フランジ104側)に位置し、シャワープレート105の熱伸び時に、支持スライド部218は、絶縁シールド106および電極フランジ104の間に侵入していくことになる。
【0084】
ブラケット211におけるスライド部214のすべりシール面214aと、支持部217における支持スライド部218のすべりシール面218aとには、いずれも、アルマイト処理層216が設けられて、摺動可能およびシール可能とされている。
このように、スライド部214のすべりシール面214aと、支持スライド部218のすべりシール面218aとが、互いに接触していることにより、シャワープレート105周縁部の荷重がブラケット211および支持部217を介して電極フランジに支持されている。
【0085】
図12は、本実施形態に係る熱伸び状態におけるシャワープレート105縁部付近を拡大した断面図である。
装置使用時には、加温されるためシャワープレート105が熱伸び(熱変形)する。この熱伸び時には、
図12に示すように、シャワープレート105が固定シャフト109を中心として面内方向外向きに膨張する。
【0086】
さらに、熱伸びしたシャワープレート105の周縁部に固定されたブラケット211は、一体として、シャワープレート105の外周外側に向けて移動し、
図12に示すように、熱伸び吸収空間(隙間部)106aが狭まる。ブラケット211は、絶縁シールド106に当接しないため、ブラケット211の移動が電極フランジ104や絶縁シールド106等に応力を与えないように吸収される。
【0087】
また、ブラケット211の移動にともなって、ブラケット211におけるスライド部214も一体として、シャワープレート105の外周外側に向けて移動する。これに対し、支持部217における支持スライド部118は、固定部219によって電極フランジ104に固定されているため、電極フランジ104および絶縁シールド106に対する相対位置は変化しない。
【0088】
したがって、スライド部214のすべりシール面214aと、支持部217における支持スライド部218のすべりシール面218aとが摺動して、シール状態を維持したままシャワープレート105が熱伸び状態となる。
【0089】
このとき、スライド部214は、シャワープレート105の外周外側、つまり、支持部217の支持スライド部218に近接するように移動するため、常温時に比べて熱伸び時には、すべりシール面214aとすべりシール面218aとの接触面積は大きくなる。したがって、常温時に比べて熱伸び時のほうが、スライドシール部材210におけるシール状態がより確実になる。
【0090】
このように、本実施形態においては、スライドシール部材210のブラケット211におけるスライド部214のすべりシール面214aと、支持部217における支持スライド部218のすべりシール面218aとが、シャワープレート105の熱伸び方向に摺動可能とされているため、熱伸び時にも、これらが接触状態を維持することで、より確実なシール状態の維持、および、シャワープレート105の荷重支持状態を維持することができる。
【0091】
図13は、シャワープレート105角部付近を拡大した図であり、スライドシール部材およびコーナー部材を示す平面図であり、
図14は、
図13におけるxiv−xiv断面矢視図であり、
図15は、
図13におけるxv−xv断面矢視図であり、
図16は、
図13におけるxvi−xvi断面矢視図である。
本実施形態において、矩形輪郭形状とされるシャワープレート105の角部位置には、スライドシール部材210の端部どうしをスライド可能にシールするコーナー部材220が設けられる。
【0092】
コーナー部材220は、また、ブラケット211端部どうしおよび支持部217端部どうしをシャワープレート105の熱伸び時にスライド可能にシールするように設けられている。
コーナー部材220は、
図13に示すように、シャワープレート105における電極フランジ104側となる周縁角部に固定して立設された壁スライド部223と、この壁スライド部223よりもシャワープレート105の輪郭外側位置で、電極フランジ104に取り付けられる上スライド部224と、を有している。
【0093】
壁スライド部223は、筒状に形成され、その底面が下部222として閉塞され、下部222がボルト222b等によりシャワープレート105に固定されている。
壁スライド部223は、すべりシール面223a,223b,223cを有し、上スライド部224は、すべりシール面224aを有しており、これらがブラケット211と摺動可能にシールしている。
【0094】
コーナー部材120における上スライド部124のブラケット211端部位置でシャワープレート105中心側には、
図13〜
図15に示すように、ブラケット211のスライド部214端部が組み合わされてシールできるように、上面にスライド部214の厚さに対応した切欠(凹部)224Aが形成されている。
【0095】
切欠224Aは、スライド部214の角部輪郭に対応して矩形の隣接する二辺が開放された平面形状として形成されている。この切欠224Aの底面には、すべりシール面224aが上向きに形成されている。すべりシール面224aは、スライド部214の下面に設けられたすべりシール面214aの一部が摺動可能とされている。
【0096】
上スライド部124におけるシャワープレート105の角頂部位置には、シャワープレート105の面内方向中心向きに突出する支持突部224Bが形成されている。
支持突部224Bは、シャワープレート105の角頂部から中心向き、つまり、シャワープレート105の熱伸びが最も大きい方向に沿って設けられている。
【0097】
支持突部224Bは、壁スライド部223のシャワープレート105輪郭外側位置に設けられた支持横穴223Bに挿入されて、これら支持突部224Bと支持横穴223Bとの挿入位置が可変となるように設定されている。
電極フランジ104に吊り下げ固定された支持突部224B側に、支持横穴223Bの設けられた壁スライド部223の下部222が固定されたシャワープレート105周縁部の荷重がかかっており、熱伸び時にもこれを支持することができる。
【0098】
コーナー部材220において、壁スライド部223には、
図13〜
図15に示すように、ブラケット211の壁部213端部が組み合わされてシールできるように、シャワープレート105中心側となる内側面に壁部213の厚さに対応した切欠(凹部)223Aが形成されている。
【0099】
切欠(凹部)223Aは、壁スライド部223の高さ方向全長に形成されている。切欠(凹部)223Aには、シャワープレート105輪郭内側位置に、鉛直なすべりシール面223bが外側に向けて形成されている。また、切欠(凹部)223Aには、シャワープレート105輪郭内側位置に、鉛直なすべりシール面223cが内側に向けて形成されている。
【0100】
すべりシール面223bとすべりシール面223cとは、壁部213の表裏面(内外面)に位置するすべりシール面213bとすべりシール面213cとに摺動可能とされている。すべりシール面223bとすべりシール面223cとは、平行状態に対向した位置に配置されている。
【0101】
切欠(凹部)223Aにおいては、中心側位置のすべりシール面223bに比べて、外側位置のすべりシール面223cはその上端がスライド部214の厚さに対応して短く設定されており、すべりシール面223cの上端が、外側位置に延在するすべりシール面223aに連続している。切欠(凹部)223Aは、上端外側位置が、さらに切り欠かれた形状とされている。
【0102】
すべりシール面223aは、スライド部214の下面に設けられたすべりシール面214aのうち壁部213に隣接する部分が摺動可能とされている。
すべりシール面223aは、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った水平方向に形成されている。これら、すべりシール面223b,223cは、いずれもシャワープレート105輪郭辺直線に沿った鉛直方向に形成されている。
【0103】
ブラケット211端部には、
図13,
図16に示すように、コーナー部材220の各すべりシール面223a〜224aに対応するすべりシール面213b〜214aが形成されている。
ブラケット211端部は、シャワープレート105輪郭辺直線に直交する略直線状に形成されている。
【0104】
ブラケット211において、スライド部214下面には、
図13,
図16に示すように、コーナー部材220の上スライド部224および切欠223Aが組み合わされてシールできるように、すべりシール面224aおよびすべりシール面223aに摺動可能なすべりシール面214aが下向きに形成されている。
【0105】
なお、すべりシール面224aとすべりシール面223aとは離間しているが、すべりシール面214aはこれら両方に摺動可能とされている。
すべりシール面214aは、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った水平方向に形成されている。
【0106】
ブラケット211において、壁部213端部には、
図13,
図16に示すように、コーナー部材220の壁スライド部223に形成された切欠223Aに挿入された位置で組み合わされてシールできるように、シャワープレート105輪郭内向きの面にすべりシール面223bと摺動可能とされるすべりシール面213bが形成されている。また、壁部213端部には、シャワープレート105輪郭外向きの面にすべりシール面223cと摺動可能とされるすべりシール面213cが形成されている。
【0107】
すべりシール面213bおよびすべりシール面213cは、壁部213の高さ方向全長に形成されている。また、すべりシール面213bおよびすべりシール面213cは、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った鉛直方向に形成されている。
【0108】
コーナー部材220には、
図13に示すように、シャワープレート105輪郭において、隣り合う辺直線に対応する直交するブラケット211端部に対して、それぞれ切欠224A,223Aが形成されている。
【0109】
装置使用時には、加温されるためシャワープレート105が熱伸び(熱変形)する。この熱伸び時には、シャワープレート105が固定シャフト109を中心として面内方向外向きに膨張する。
【0110】
熱伸びしたシャワープレート105の周縁部においては、シャワープレート105の周縁部に固定されたブラケット211と、コーナー部材220とが、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った方向に離間する。
同時に、電極フランジ104に固定された上スライド部224と、ブラケット211およびコーナー部材220とが位置変化する。
【0111】
このとき、すべりシール面214aとすべりシール面224aおよびすべりシール面223a、すべりシール面213bとすべりシール面213b、すべりシール面213cとすべりシール面213cが、それぞれ、シャワープレート105輪郭辺直線に沿った方向に摺動することで、シール状態を維持したままブラケット211と、コーナー部材220とが離間することができる。
【0112】
また、上スライド部224の支持突部224Bと支持横穴223Bとが、支持突部224Bの設けられた軸方向であるシャワープレート105の対角方向に摺動することで、荷重支持状態を、熱伸び時にも支持することができる。
【0113】
本実施形態においては、これらに加えて、上述した第1実施形態と同等の効果を奏することができる。