【解決手段】電気光学効果を有する基板11と、該基板に形成された光導波路12と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極41とを有する光導波路素子10において、該制御電極は、該基板の一方の面に形成された信号電極21と、該基板の前記一方の面とは反対側の面に形成された裏面接地電極とを備え、該基板の前記一方の面に形成され、該基板を貫通するビア24で該裏面接地電極と電気的に接続された表面接地電極22を備え、該信号電極と該ヒータ電極との間に、該ヒータ電極により発生した熱の伝導を抑制するための熱伝導抑制手段51を有し、該熱伝導抑制手段は、該表面接地電極の一部を用いていることを特徴とする。
電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極とを有する光導波路素子において、
該制御電極は、該基板の一方の面に形成された信号電極と、該基板の前記一方の面とは反対側の面に形成された裏面接地電極とを備え、
該基板の前記一方の面に形成され、該基板を貫通するビアで該裏面接地電極と電気的に接続された表面接地電極を備え、
該信号電極と該ヒータ電極との間に、該ヒータ電極により発生した熱の伝導を抑制するための熱伝導抑制手段を有し、
該熱伝導抑制手段は、該表面接地電極の一部を用いていることを特徴とする光導波路素子。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信や光計測の分野においては、電気光学効果を示す材料を用いて光導波路を形成した光導波路素子が多く用いられている。光導波路素子は、一般的に、上記の光導波路と共に、該光導波路内を伝搬する光波を制御するための制御電極を備える。
【0003】
このような光導波路素子として、電気光学効果を示す材料を用いた光導波路でマッハツェンダー干渉計を形成した、マッハツェンダー型光変調素子が広く用いられている。マッハツェンダー型光変調素子は、外部から光を導入するための入射導波路と、該入射導波路により導入された光を2つの経路に分けて伝搬させるための分岐部と、該分岐部の後段に分岐されたそれぞれの光を伝搬させる2つの並行導波路と、該2本の並行導波路を伝搬した光を合波して外部へ出力するための出射導波路とを用いて構成される。また、マッハツェンダー型光変調素子は、光波を制御するための制御電極として、並行導波路の片方または両方を伝搬する光波に高周波の変調信号を作用させるための高周波変調電極と、バイアス点を調整するためのバイアス点調整電極が備えられている。
【0004】
このような光変調素子の一種に、電気光学効果を示す材料として、有機の非線形光学化合物を高分子材料中に分散した有機電気光学高分子材料を用いた光変調素子が開発されている。この光変調素子の場合、高周波変調電極には、ニオブ酸リチウム(LN)材料などの電気光学基板を用いた光変調素子と同様に進行型の高周波電極が用いられる。一方、バイアス点調整には、DCドリフトの問題から、ヒータ電極を用いて熱光学効果によりバイアス点を調整する構成が用いられることが多い。
【0005】
ここで、高周波の変調信号を並行導波路の片方または両方を伝搬する光波に作用させる領域を高周波変調領域とし、ヒータからの熱を作用させてバイアス点を調整する領域をバイアス点調整領域とした場合、光変調素子を安定的に動作させるためには、高周波変調領域からバイアス点調整領域への高周波クロストーク、及び、バイアス点調整領域から高周波変調領域への熱クロストークを抑制することが必要となる。仮に、高周波クロストークや熱クロストークが発生した場合、変調した信号の品質が著しく低下し、所望の特性を得ることが困難になる。
【0006】
このような問題の発生を避けるために、特許文献1では、高周波変調領域とバイアス点調整領域を別々の材料の基板による素子を組み合わせて作製した、有機電気光学高分子材料による光変調器が提案されている。
しかしながら、特許文献1のように、それぞれの領域を別素子として作製するということは、製造工程の複雑化、コスト増加に繋がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、高周波クロストークおよび熱クロストークを効果的に抑制することが可能な光導波路素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の光導波路素子は、以下の技術的特徴を有する。
(1) 電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極とを有する光導波路素子において、該制御電極は、該基板の一方の面に形成された信号電極と、該基板の前記一方の面とは反対側の面に形成された裏面接地電極とを備え、該基板の前記一方の面に形成され、該基板を貫通するビアで該裏面接地電極と電気的に接続された表面接地電極を備え、該信号電極と該ヒータ電極との間に、該ヒータ電極により発生した熱の伝導を抑制するための熱伝導抑制手段を有し、該熱伝導抑制手段は、該表面接地電極の一部を用いていることを特徴とする。
【0010】
(2) 上記(1)に記載の光導波路素子において、該信号電極の入力端部又は出力端部に、該信号電極を挟むように該表面接地電極が形成され、該熱伝導抑制手段は、該ヒータ電極に最も近い該表面接地電極を用いていることを特徴とする。
【0011】
(3) 上記(2)に記載の光導波路素子において、該信号電極として、該基板の光波進行方向に沿った一方の側端に該入力端部又は該出力端部を持つ第1の信号電極と、該基板の光波進行方向に沿った他方の側端に該入力端部又は該出力端部を持つ第2の信号電極とを有し、該熱伝導抑制手段は、該基板を光波進行方向に対して直交する方向に横断して形成されていることを特徴とする。
【0012】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光導波路素子において、該熱伝導抑制手段は、複数のビアを介して該裏面接地電極と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0013】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光導波路素子において、該熱伝導抑制手段は、該光導波路を横切る部分で、該光導波路の一方の側と他方の側とに分離して形成され、該熱伝導抑制手段の前記一方の側と前記他方の側とは、該光導波路の上側の空間を通る空中配線で電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、信号電極とヒータ電極との間に、ヒータ電極により発生した熱の伝導を抑制するための熱伝導抑制手段を設け、熱伝導抑制手段を、基板を貫通するビアで裏面接地電極と電気的に接続された表面接地電極の一部を用いて構成したので、高周波クロストークおよび熱クロストークを効果的に抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る光導波路素子について、好適例を用いて詳細に説明する。なお、以下で示す例によって本発明が限定されるものではない。
本発明の光導波路素子は、例えば
図1に示すように、電気光学効果を有する基板(11)と、該基板に形成された光導波路(12)と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極(41)とを有する光導波路素子(10)において、該制御電極は、該基板の一方の面に形成された信号電極(21)と、該基板の前記一方の面とは反対側の面に形成された裏面接地電極(不図示)とを備え、該基板の前記一方の面に形成され、該基板を貫通するビア(24)で該裏面接地電極と電気的に接続された表面接地電極(22)を備え、該信号電極と該ヒータ電極との間に、該ヒータ電極により発生した熱の伝導を抑制するための熱伝導抑制手段(51)を有し、該熱伝導抑制手段は、該表面接地電極の一部を用いていることを特徴とする。
【0017】
このような構造によれば、ヒータ電極により発生した熱が信号電極側に伝搬することを、信号電極とヒータ電極との間に配置した熱伝導抑制手段で抑制することができる。しかも、熱伝導抑制手段は、基板を貫通するビアで裏面接地電極と電気的に接続された表面接地電極の一部を用いて構成されているので、信号電極から放射されて漏れた高周波信号がヒータ電極に干渉することも抑制することができる。すなわち、簡易な構造でありながら、熱クロストークの抑制と高周波クロストークの抑制とを実現することができる。従って、低コストで高性能の光導波路素子を提供することが可能となる。更に、熱伝導抑制手段として用いる表面接地電極の一部は、信号電極に対する接地電極でもあるので、接地電極とは別に熱伝導抑制手段を設けた構成に比べ、光導波路素子を小型化することができる。
【0018】
以下、本発明に係る光導波路素子の具体的な構成について、実施例を挙げて説明する。
[第1実施例]
図1は、本発明の第1実施例に係る光導波路素子を示す平面図である。
第1実施例に係る光導波路素子10は、基材15(
図8B,
図9Bを参照)と、電気光学効果を有する基板11と、該基板に形成された光導波路12と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極41とを有する。
【0019】
基材15は、光導波路12を形成するのに十分な平坦性を有しており、かつ機械的に十分な強度を有するものであれば、材質、形状とも特に限定されない。基材15としては、例えば、シリコン基板、石英基板、ガラス基板、セラミック基板等を用いることができる。
【0020】
基板11は、下部クラッド層、コア層、上部クラッド層などを積層して構成される。コア層は上下クラッド層よりも屈折率が高い材料が用いられ、その形状を制御することにより光導波路12が形成される。光導波路12の形状について特に制限はないが、例えば、コア層の一部を上側又は下側に突出させたリブ状の光導波路がある。
【0021】
コア層および上下クラッド層の少なくとも一層は、有機非線形光学化合物を高分子材料中に分散した有機電気光学高分子材料により形成される。有機電気光学高分子材料に用いる高分子材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリキノリン系樹脂、ポリキノキサリン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂などが挙げられる。
【0022】
非線形光学有機化合物は、公知のものであれば特に限定されないが、1分子中に、電子供与性を有する原子団(以下、「ドナー」と言う。)と、電子吸引性を有する原子団(以下、「アクセプター」と言う。)との両方を有しており、ドナーとアクセプターの間に、π電子共役系の原子団を配している構造を有した分子が望ましい。このような分子としては、具体的には、Disperse Red類、Disperse Orange類、スチルベン化合物などが挙げられる。非線形光学有機化合物は、前述の高分子材料への添加、または上述の高分子材料の側鎖または主鎖への化学結合により、高分子材料に導入することができる。
有機電気光学高分子材料中に分散された非線形光学有機化合物の双極子を配向させることにより、基板11に電気光学効果を持たせることができる。
【0023】
基板11には、光導波路12を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極41が配置される。制御電極は、基板11の一方の面(表面)に形成された信号電極21と、その反対側の面(裏面)に形成された裏面接地電極(不図示)とを含む。裏面接地電極は、基板11とその下側の基材15との間に形成される。基板11を挟むように配置された信号電極21及び裏面接地電極は、マイクロストリップライン構造の伝送線路を形成する。
【0024】
基板11の表面には更に、基板11を貫通するビア24で裏面接地電極と電気的に接続された表面接地電極22(1)〜(4)も形成される。表面接地電極22(1),(2)は、信号電極21の入力端部(入力用フィードスルー)を挟むように配置されており、表面接地電極22(3),(4)は、信号電極21の出力端部(出力用フィードスルー)を挟むように配置されている。
これらの電極は、例えば、基板表面に、Ti・Au等による下地電極パターンを形成し、金メッキ方法などにより形成することが可能である。表面接地電極は「上部接地電極」とも称され、裏面接地電極は「下部接地電極」とも称される。
【0025】
信号電極21は、光導波路12の上側を光導波路12の延伸方向と同じ方向に延びる作用区間と、信号電極21の入力端部から作用区間の始点部に向かって延びる区間と、作用区間の終点部から信号電極21の出力端部に向かって延びる区間とを有する。信号電極21には、外部のドライバ素子(不図示)から高周波の変調信号が入力される。作用区間は、高周波の変調信号によって発生する電界により、光導波路12を伝搬する光波に変調作用を及ぼす区間である。
【0026】
ヒータ電極41は、光導波路12の上側を光導波路12の延伸方向と同じ方向に延びるバイアス点調整区間と、ヒータ電極41の入力端部からバイアス点調整区間の始点部に向かって延びる区間と、バイアス点調整区間の終点部からヒータ電極41の出力端部に向かって延びる区間とを有する。ヒータ電極41には、外部のDC電圧制御部42からバイアス変調用のDC信号が入力される。バイアス点調整区間は、DC信号の印加による発熱により、光導波路12を伝搬する光波にバイアス点の調整作用を及ぼす区間である。
【0027】
信号電極21とヒータ電極41との間には、ヒータ電極41により発生した熱の伝導を抑制するための熱伝導抑制手段51が配置される。熱伝導抑制手段51は、表面接地電極の一部を用いて構成される。より具体的には、ヒータ電極41に最も近い表面接地電極22(4)を用いて構成される。熱伝導抑制手段51は、表面接地電極22(4)と一体的に形成されているとも言える。表面接地電極22は、基板11を貫通するビア26で裏面接地電極と電気的に接続されているので、熱伝導抑制手段51も裏面接地電極と電気的に接続されることになる。
【0028】
熱伝導抑制手段51は、基板11の一方の側端(信号電極やヒータ電極の入出力端部がある側端)から、基板11の幅方向の中央付近まで延びるように形成されている。ここで、幅方向とは、基板11の光波進行方向に対して直交する方向のことを言う。このように、本例では、信号電極21とヒータ電極41とが、熱伝導抑制手段51によって直線的に分断されている。なお、熱伝導抑制手段51は、少なくとも、信号電極21と発熱源であるヒータ電極41のバイアス点調整区間とを直線的に分断するように形成することが好ましい。
【0029】
熱伝導抑制手段51は、裏面接地電極と電気的に接続されているので、ヒータ電極41から発生した熱を裏面接地電極から放熱させて信号電極21側に伝導することを抑制できるだけでなく、信号電極21から放射されて漏れた高周波信号がヒータ電極41に干渉することも抑制できる。従って、熱クロストークの抑制と高周波クロストークの抑制とを簡易な構成で実現することができる。
【0030】
[第2実施例]
図2は、本発明の第2実施例に係る光導波路素子を示す平面図である。第2実施例は、第1実施例の拡張例である。なお、既に説明した内容と重複する部分については説明を省略することとする(第3実施例以降も同様)。
第2実施例に係る光導波路素子10は、信号電極として、基板11の光波進行方向に沿った一方の側端に入力端部及び出力端部を持つ第1の信号電極21と、他方の側端に入力端部及び出力端部を持つ第2の信号電極31とを有している。信号電極21の入力端部及び出力端部には、信号電極21を挟むように表面接地電極22(1)〜(4)が配置される。また、信号電極31の入力端部及び出力端部にも、信号電極31を挟むように表面接地電極32(1)〜(4)が配置される。
【0031】
熱伝導抑制手段52は、基板11を幅方向(光波進行方向に対して直交する方向)に横断して形成される。熱伝導抑制手段52は、信号電極21に対して設けられた複数の表面接地電極22(1)〜(4)のうちのヒータ電極41に最も近い表面接地電極22(4)と、信号電極31に対して設けられた複数の表面接地電極32(1)〜(4)のうちのヒータ電極41に最も近い表面接地電極32(4)とを接続するように構成される。
【0032】
このように、第2実施例では、信号電極21とヒータ電極41が熱伝導抑制手段52によって分断されるだけでなく、信号電極31とヒータ電極41も熱伝導抑制手段52によって分断される。したがって、複数の光変調部を有する光導波路素子においても、熱クロストークの抑制と高周波クロストークの抑制とを簡易な構成で実現することができる。
【0033】
[第3実施例]
図3は、本発明の第3実施例に係る光導波路素子を示す平面図である。第3実施例は、第1実施例の変形例である。
第3実施例に係る光導波路素子10は、熱伝導抑制手段が、マッハツェンダー型導波路のアーム部(並行導波路部)のうちの一方の光導波路を横切る部分で、熱伝導抑制手段55,56の2つに分断されている。光導波路の一方の側にある熱伝導抑制手段55と、他方の側にある熱伝導抑制手段56とは、その光導波路の上側の空間を通る空中配線61で電気的に接続されている。空中配線61としては、金属リボンやワイヤ等を用いることができ、熱伝導抑制手段55,56にボンディング等により接続される。
【0034】
[第4実施例]
図4は、本発明の第4実施例に係る光導波路素子を示す平面図である。第4実施例は、第2実施例の変形例である。
第4実施例に係る光導波路素子10は、熱伝導抑制手段が、マッハツェンダー型導波路のアーム部(並行導波路部)の各光導波路を横切る部分で、熱伝導抑制手段55,56,57の3つに分断されている。アーム部の一方の光導波路を挟むように配置された熱伝導抑制手段55と熱伝導抑制手段56とは、その光導波路の上側の空間を通る空中配線61で電気的に接続されている。アーム部の他方の光導波路を挟むように配置された熱伝導抑制手段56と熱伝導抑制手段57とは、その光導波路の上側の空間を通る空中配線62で電気的に接続されている。
【0035】
第3実施例及び第4実施例によれば、熱伝導抑制手段が光導波路に重ならないように形成されているので、熱伝導抑制手段が光導波路を伝搬する光波を吸収することによる光波の損失を低減することができ、光導波路素子の特性の劣化を抑制することができる。
【0036】
[第5実施例]
図5は、本発明の第5実施例に係る光導波路素子を示す平面図である。第5実施例は、第1実施例の別の変形例である。
第5実施例に係る光導波路素子10は、熱伝導抑制手段51と裏面接地電極とが、表面接地電極22(4)の部分にあるビアだけでなく、熱伝導抑制手段51に設けた他の複数のビアによっても電気的に接続されている。
【0037】
[第6実施例]
図6は、本発明の第6実施例に係る光導波路素子を示す平面図である。第6実施例は、第2実施例の別の変形例である。
第6実施例に係る光導波路素子10は、熱伝導抑制手段51と裏面接地電極とが、表面接地電極22(4),32(4)の部分にあるビアだけでなく、熱伝導抑制手段51に設けた他の複数のビアによっても電気的に接続されている。
【0038】
第5実施例及び第6実施例によれば、熱伝導抑制手段と裏面接地電極とが多数のビアで接続されるので、熱伝導抑制手段からの放熱をより促進させることができる。
【0039】
[第7実施例]
図7は、本発明の第7実施例に係る光導波路素子を示す平面図である。
第7実施例に係る光導波路素子10は、光変調器の筐体80に収容されている。筐体80には更に、光導波路素子10の制御電極と外部のドライバ素子とを電気的に接続するための中継信号線路が形成された中継基板81,82も収容されている。中継基板81の中継伝送線路は、ワイヤボンディング等により制御電極の入力端子と電気的に接続され、中継基板82の中継伝送線路は、ワイヤボンディング等により制御電極の出力端子と電気的に接続される。
【0040】
筐体80の側壁には、光導波路素子10のヒータ電極を外部のDC電圧制御部と電気的に接続するためのリードピン83,84が配設されている。リードピン83は、ワイヤボンディング等によりヒータ電極の入力端子と電気的に接続され、リードピン84は、ワイヤボンディング等によりヒータ電極の出力端子と電気的に接続される。
【0041】
第7実施例の特徴は、光導波路素子の熱伝導抑制手段51から筐体80の側壁への伝熱を促す伝熱シート91を有することである。伝熱板シート91は、熱伝導抑制手段51に部分的に重なると共に、他の一部が筐体80の側壁に接触するように、熱伝導抑制手段51または筐体80の側壁の少なくとも一方に固定される。伝熱シート91としては、例えば、セラミックスやグラファイトなどが分散されたシートを用いることができる。伝熱シート91の柔軟性や剛性について特に限定はなく、種々の材質のものを使用することができる。
【0042】
第7実施例によれば、熱伝導抑制手段と筐体とが伝熱シートで接続されるので、熱伝導抑制手段の熱を裏面接地電極に伝導させるだけでなく、筐体に対しても伝導できるので、熱伝導抑制手段からの放熱をより促進させることができる。
【0043】
[第8実施例]
図8Aは、本発明の第8実施例に係る光導波路素子を示す平面図である。
図8Bは、
図8Aの光導波路素子におけるA−A’線の断面図である。第8実施例は、第7実施例の変形例である。
第8実施例では、第7実施例の伝熱シート91に代えて、光導波路素子の熱伝導抑制手段51から筐体80の底面への伝熱を促す伝熱接着剤92を有している。伝熱接着剤92は、熱伝導抑制手段51の表面から光導波路素子の側面を経由して筐体80の底面までを繋ぐように塗布される。伝熱接着剤92としては、例えば、セラミックスやグラファイトなどが分散された接着剤を用いることができる。
【0044】
[第9実施例]
図9Aは、本発明の第9実施例に係る光導波路素子を示す平面図である。
図9Bは、
図9Aの光導波路素子におけるB−B’線の断面図である。第9実施例は、第7実施例の変形例である。
第9実施例では、第7実施例の伝熱シート91に代えて、光導波路素子の熱伝導抑制手段51から筐体80の蓋部への伝熱を促す伝熱シート93を有している。伝熱シート93は、裏面側が熱伝導抑制手段51の表面に接触し、表面側が筐体80の蓋部に接触するように貼り付けられる。伝熱シート93としては、例えば、セラミックスやグラファイトなどが分散されたシートを用いることができる。また、伝熱シート93の厚さは、熱伝導抑制手段51と筐体80の蓋部との間の空間を埋めることができる程度の厚さがあればよい。
【0045】
第8実施例及び第9実施例によっても、熱伝導抑制手段と筐体とが伝熱接着剤又は伝熱シートで接続されるので、熱伝導抑制手段の熱を裏面接地電極に伝導させるだけでなく、筐体に対しても伝導できるので、熱伝導抑制手段からの放熱をより促進させることができる。
【0046】
以上、実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更することが可能である。また、各実施例を適宜組み合わせ得ることは言うまでもない