【実施例】
【0092】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0093】
[実施例1]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.96molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.04molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、190℃にて10時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール5gと、媒体粒子としての直径1mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて1時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを180℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、実施例1の正極材料A1を得た。
【0094】
「リチウムイオン二次電池の作製」
溶媒であるN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)に、正極材料A1と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)とを、ペースト中の質量比で、正極材料A1:AB:PVdF=90:5:5となるように加えて、これらを混合し、正極材料ペースト(正極用)を調製した。
次いで、この正極材料ペーストを、厚さ30μmのアルミニウム箔(電極集電体)の表面に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥し、アルミニウム箔の表面に正極合剤層を形成した。正極と負極の容量比が1.2(負極/正極)となるように正極合剤層の厚さを調整した。
その後、正極合剤層を、正極密度が1.8g/mLとなるように、所定の圧力にて加圧した後、成形機を用いて正極面積9cm
2の正方形状に打ち抜き、実施例1の正極を作製した。
【0095】
次いで、溶媒である純水に、負極活物質としての天然黒鉛と、結着剤としてのスチレンブタジエンラテックス(SBR)と、粘度調整材としてカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、ペーストの質量比で、天然黒鉛:SBR:CMC=98:1:1となるように加えて、これらを混合し、負極材料ペースト(負極用)を調製した。
調製した負極材料ペースト(負極用)を、厚さ10μmの銅箔(集電体)の表面に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥し、銅箔表面に負極合剤層を形成した。負極合剤層の目付量が4.4mg/cm
2となるよう塗布厚を調整した。
その後、負極合剤層を、負極密度が1.42g/mLとなるように、所定の圧力にて加圧した後、成形機を用いて負極面積9.6cm
2の正方形状に打ち抜き、実施例1の負極を作製した。
【0096】
作製した正極と負極とを、ポリプロピレンからなる厚さ25μmのセパレータを介して対向させ、電解液としての1mol/LのLiPF
6溶液0.5mLに浸漬した後、ラミネートフィルムにて封止して、実施例1のリチウムイオン二次電池を作製した。LiPF
6溶液としては、炭酸エチレンと、炭酸エチルメチルとを、体積比で1:1となるように混合したものを用いた。
【0097】
[実施例2]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.94molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.06molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の正極材料A2を得た。
正極材料A2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0098】
[実施例3]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.92molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.08molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の正極材料A3を得た。
正極材料A3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0099】
[実施例4]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.90molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.10molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の正極材料A4を得た。
正極材料A4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0100】
[実施例5]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.86molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.14molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の正極材料A5を得た。
正極材料A5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0101】
[実施例6]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.82molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.18molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の正極材料A6を得た。
正極材料A6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0102】
[実施例7]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.78molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.22molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の正極材料A7を得た。
正極材料A7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0103】
[実施例8]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.30molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.60molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、実施例8の正極材料A8を得た。
正極材料A8を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0104】
[実施例9]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、5.70molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.70molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.20molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、実施例9の正極材料A9を得た。
正極材料A9を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例9のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0105】
[実施例10]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、5.70molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.10molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.80molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、実施例10の正極材料A10を得た。
正極材料A10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例10のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0106】
[実施例11]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、5.70molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.50molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.40molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、実施例11の正極材料A11を得た。
正極材料A11を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例11のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0107】
[実施例12]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、5.70molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.40molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.40molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molの硫酸亜鉛(ZnSO
4)と、0.10molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、実施例12の正極材料A12を得た。
正極材料A12を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例12のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0108】
[実施例13]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、5.70molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.40molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.40molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molの硫酸マグネシウム(MgSO
4)と、0.10molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、実施例13の正極材料A13を得た。
正極材料A13を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例13のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0109】
[実施例14]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、5.70molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.40molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.40molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molの硫酸ニッケル(II)(NiSO
4)と、0.10molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、実施例14の正極材料A14を得た。
正極材料A14を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例14のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0110】
[実施例15]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、5.70molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.40molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.40molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molの硫酸コバルト(II)(CoSO
4)と、0.10molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、実施例15の正極材料A15を得た。
正極材料A15を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例15のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0111】
[実施例16]
有機化合物としてのポリエチレングリコールの添加量を2.5gとしたこと以外は実施例3と同様にして、実施例16の正極材料A16を得た。
正極材料A16を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例16のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0112】
[実施例17]
有機化合物としてのポリエチレングリコールの添加量を2.0gとしたこと以外は実施例3と同様にして、実施例17の正極材料A17を得た。
正極材料A17を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例17のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0113】
[実施例18]
有機化合物としてのポリエチレングリコールの添加量を1.5gとしたこと以外は実施例3と同様にして、実施例18の正極材料A18を得た。
正極材料A18を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例18のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0114】
[実施例19]
有機化合物としてのポリエチレングリコールの添加量を14.0gとしたこと以外は実施例15と同様にして、実施例19の正極材料A19を得た。
正極材料A19を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例19のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0115】
[実施例20]
有機化合物としてのポリエチレングリコールの添加量を13.0gとしたこと以外は実施例15と同様にして、実施例20の正極材料A20を得た。
正極材料A20を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例20のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0116】
[実施例21]
有機化合物としてのポリエチレングリコールの添加量を12.0gとしたこと以外は実施例15と同様にして、実施例21の正極材料A21を得た。
正極材料A21を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例21のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0117】
[比較例1]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、2.00molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の正極材料B1を得た。
正極材料B1を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0118】
[比較例2]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.98molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.02molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の正極材料B2を得た。
正極材料B2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0119】
[比較例3]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.74molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.26molのリン酸鉄(III)(FePO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の正極材料B3を得た。
正極材料B3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0120】
[比較例4]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.40molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.60molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、比較例4の正極材料B4を得た。
正極材料B4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0121】
[比較例5]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.80molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.20molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、比較例5の正極材料B5を得た。
正極材料B5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0122】
[比較例6]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.20molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.80molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、比較例6の正極材料B6を得た。
正極材料B6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例6のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0123】
[比較例7]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、1.60molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、0.40molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、比較例7の正極材料B7を得た。
正極材料B7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例7のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0124】
[比較例8]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.50molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.40molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.1molの硫酸亜鉛(ZnSO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、比較例8の正極材料B8を得た。
正極材料B8を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例8のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0125】
[比較例9]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.50molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.40molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molの硫酸マグネシウム(MgSO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを用いて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、比較例9の正極材料B9を得た。
正極材料B9を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例9のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0126】
[比較例10]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.50molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.40molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molの硫酸ニッケル(NiSO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、比較例10の正極材料B10を得た。
正極材料B10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例10のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0127】
[比較例11]
2.00molのリン酸(H
3PO
4)と、6.00molの水酸化リチウム(LiOH)と、0.50molの硫酸鉄(II)(FeSO
4)と、1.40molの硫酸マンガン(II)(MnSO
4)と、0.10molの硫酸コバルト(CoSO
4)と、水とを、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて8時間、水熱合成し、沈殿物を生成した。
次いで、この沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質100g(固形分換算)に、有機化合物としてのポリエチレングリコール10gと、媒体粒子としての直径0.5mmのジルコニアボールとを加えて、ビーズミルにて3時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、有機物で被覆された、正極活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体を540℃の非酸化性ガス雰囲気下にて40時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、比較例11の正極材料B11を得た。
正極材料B11を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例11のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0128】
[比較例12]
有機化合物としてのポリエチレングリコールの添加量を1.0gとしたこと以外は実施例3と同様にして、比較例12の正極材料B12を得た。
正極材料B12を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例12のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0129】
[比較例13]
有機化合物としてのポリエチレングリコールの添加量を15.0gとしたこと以外は実施例15と同様にして、比較例13の正極材料B13を得た。
正極材料B13を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例13のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0130】
[比較例14]
有機化合物としてのポリエチレングリコールの添加量を1.0gとしたこと以外は比較例1と同様にして、比較例14の正極材料B14を得た。
正極材料B14を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例14のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0131】
「評価」
(1)メスバウアースペクトル測定
実施例1〜実施例21および比較例1〜比較例14の正極材料について、メスバウアー分光法によるメスバウアー分光分析を行った。メスバウアースペクトルを透過法により測定した。詳細を下記に示す。
測定方法:等加速モード、室温、常圧下
線源:
57Co/Rh マトリクス、1.85[GBq]
速度軸検量の方法:純鉄箔の室温でのスペクトルの6本の磁気分裂ピークのうち、内側4本のピーク中心位置をX2、X3、X4、X5[channel]として、下記の式で求めた。
X0[channel]=(X2+X3+X4+X5)/4
Γ[channel]=20.422/{0.0835(X5−X2)+0.8385(X4−X3)}
このメスバウアー分光分析により得られたスペクトルがローレンツ型の理論線型式で近似できるものとし、成分毎のピーク半値幅はすべて等しく、対称位置にあるピーク高さはそれぞれで等しく、スペクトルが理論線型の足し合わせであると仮定して、カーブフィッティングを行い、ピーク位置を定め、各成分の面積強度を求めた。理論線型式としは、上記の式(1)を用いた。
また、最小二乗法にて残差の二乗和が最小となるときの各成分の相対面積比をスペクトルの面積強度とした。
異性体シフト値が1.0mm/sec以上かつ1.4mm/sec以下の範囲にあるスペクトルの面積強度をα、異性体シフト値が0.3mm/sec以上かつ0.7mm/sec以下の範囲にあるスペクトルの面積強度をβとした。結果を表1および表2に示す。
【0132】
(2)正極材料の炭素原子含有量
正極材料の炭素原子含有量を、炭素硫黄分析装置(商品名:EMIA−220V、堀場製作所社製)を用いてで測定した。結果を表1および表2に示す。
【0133】
(3)リチウムイオン二次電池の評価(放電容量)
リチウムイオン二次電池を、環境温度25℃にて、0.1C電流値で電池電圧が4.3Vになるまで定電流充電を行った後、定電圧充電に切替えて電流値が0.01Cとなった時点で充電を終了した。その後、10C電流値にて電池電圧が2.5Vになるまで定電流充電を行った際の放電容量を10C放電容量とした。
また、10C放電容量が3価のFe源を添加していないときと比べて20mAh/g以上向上した場合、電池評価を◎、10C放電容量が3価のFe源を添加していないときと比べて20mAh/g未満かつ10mAh/g以上向上した場合、電池評価を○、10C放電容量が3価のFe源を添加していないときと比べて10mAh/g未満かつ1mAh/g以上向上した場合、電池評価を△、10C放電容量が3価のFe源を添加していないときと比べて向上しない場合、電池評価を×と評価した。結果を表1および表2に示す。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
実施例1〜実施例7と比較例1を比較すると、{β/(β+α)×(1−y−z)}が0.01以上かつ0.1以下である実施例1〜実施例7は3価のFe源を添加していない比較例1に比べて、10C放電容量が向上することが確認された。一方、{β/(β+α)×(1−y−z)}が0.01以上かつ0.1以下でない比較例2および比較例3は、3価のFe源を添加していない比較例1に比べて、10C放電容量が低下することが確認された。
実施例8〜実施例15と比較例4〜比較例11を比較すると、{β/(β+α)×(1−y−z)}が0.01以上かつ0.1以下である実施例8〜実施例15は、3価のFe源を添加していない比較例4〜比較例11に比べて、10C放電容量が向上することが確認された。
実施例1〜実施例21と比較例1および比較例4〜比較例11を比較すると、炭素原子の含有量が0.3質量%以上かつ3.4質量%以下である実施例1〜実施例21は、3価のFe源を添加していない比較例1および比較例4〜比較例11に比べて、10C放電容量が向上することが確認された。一方、比較例12〜比較例14と比較例1および比較例11を比較すると、炭素原子の含有量が0.3質量%以上かつ3.4質量%以下ではないおよび比較例12〜比較例14は、3価のFe源を添加していない比較例1および比較例11に比べて10C放電容量が低下することが確認された。