【解決手段】所定の機能を有する光機能素子と、前記光機能素子を収容する筐体と、を備え、前記筐体の少なくとも一の側面には、当該筐体の外部と前記光機能素子との間で光及び又は電気信号の入出力を行うための孔及び又は凹部が設けられており、前記筐体の前記孔及び又は凹部が設けられたそれぞれの側面の厚さに対し、当該側面に対向する他の側面のそれぞれの厚さが薄く構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光デバイスである光変調器100の構成を示す平面図、
図2は、光変調器100の側面図である。この光変調器100は、例えば光伝送システムを構成する光送信装置に用いられる。なお、光変調器100は、本発明に係る光デバイスの一例であって、以下に示す光変調器100の構成は、筐体内に光機能素子を備えて当該筐体に光の入出射を行う光ファイバや電気端子が設けられる光デバイスにおいて広く一般に用いることができる。
【0015】
光変調器100は、所定の機能として光変調機能を有する光機能素子である光変調素子102と、光変調素子102を収容する筐体104と、を備える。ここで、筐体104は、例えば、平面視が略長方形であり、
図1の図示左右方向に延びる長辺側側面と、図示上下方向に延びる短辺側側面を有する。また、光変調器100は、筐体104の外部から光変調素子102に光を入射するための入力用光ファイバである光ファイバ108と、光変調素子102から出力される光を筐体104の外部へ導く出力用光ファイバである光ファイバ110と、を備える。
【0016】
筐体104は、光変調素子102が固定されるケース114aと、カバー114bと、で構成されている。なお、筐体104内部における構成の理解を容易するため、
図1においては、カバー114bの一部のみを図示中央に示しているが、実際には、カバー114bは、箱状のケース114aの全体を覆うように配されて筐体104の内部を気密封止する。
【0017】
光変調素子102は、例えばLN基板上に設けられた4つのマッハツェンダ型光導波路と、当該マッハツェンダ型光導波路上にそれぞれ設けられて光導波路内を伝搬する光波を変調する4つのRF電極(高周波電極)と、を備えた、光導波路素子であるDP―QPSK光変調器である。
【0018】
光ファイバ108は、筐体104(のケース114a)の一の長辺側側面である側面112(
図1における図示下の面であって、
図2に示す面)に固定されており、当該側面112に設けられた孔(貫通穴)116を通って、例えば、石英等で構成されるPLC(プレーナ光波回路、Planar Lightwave Circuit)118の光導波路(不図示)に対し光学的に結合されている。これにより、光ファイバ108から入射する光は、PLC118を介して光変調素子102に入射される。なお、以下において貫通穴を単に孔と称する。前記PLC118はミラー等を用いた空間光学系により構成されてもよい。
【0019】
光変調素子102から
図1の図示左方へ出力される2つの光は、例えば2つのレンズを備えるマイクロレンズアレイ120を通過した後、偏波合成器122により合成されて、図示下方へ出力される。光ファイバ110は、光ファイバ108と同様に、筐体104の側面112に固定されており、当該側面112に設けられた孔124内に配されたレンズ126を介して、上記偏波合成器122により合成されて出力された光を、筐体104の外部へと導く。ここで、孔116及び124は、筐体104の外部と光機能素子である光変調素子102との間で光の入出力を行うための孔に相当する。
【0020】
また、筐体104の側面112には、壁厚が所定の厚さとなる深さまで、互いに隣接する4つの円形の凹部130、132、134、136が設けられている。これらの凹部130、132、134、136のそれぞれには、RF(高周波)コネクタ群140を構成する4つのRFコネクタのそれぞれが配されている。これらのRFコネクタは、光変調を行うための4つの高周波信号を光変調素子102に入力する電気端子である。
【0021】
さらに、筐体104の側面112には、壁厚が所定の厚さとなる深さまで、互いに隣接する3つの凹部150、152、154が設けられている。これらの凹部150、152、154のそれぞれには、それぞれ4つのリードピンで構成されるリードピン群160、162、164が設けられている。これらのリードピンのそれぞれは、例えば、光変調素子102における変調動作のバイアス点調整を行うための、DC(直流)バイアス電圧を入力する電気端子や、光変調素子102に設けられた光信号モニタ用のホトダイオード等の受光器(不図示)からの電気信号を出力するための電気端子である。
【0022】
ここで、凹部130等及び150等は、筐体104の外部と光機能素子である光変調素子102との間で電気信号の入出力を行うための凹部に相当する。凹部130等及び150等に設けられてRFコネクタ及びリードピンが固定される孔は、筐体104の外部と光機能素子である光変調素子102との間で電気信号の入出力を行うための孔に相当する。
【0023】
上記の構成を有する光変調器100は、光ファイバ108、110、及び、電気端子であるRFコネクタ及びリードピンで構成されるRFコネクタ群140及びリードピン群160、162、164が、すべて筐体104の側面112に配されている。このため、例えば光送信装置内において光変調器100を用いる場合には、光送信装置の装置筐体内の角部に光変調器100を実装することが可能となり、装置筐体内に各種部品を収容する際の空間利用率を向上することができる。
【0024】
特に、光変調器100では、筐体104は、入出力を行うための孔116、124、及び種々の電気端子が配された凹部130、132、134、136、150、152、154が設けられた側面112の部分の壁厚t1に対し、当該側面112に対向する側面170の部分の壁厚t2が薄く(すなわち、t2<t1となるように)構成されている。
【0025】
言い換えると光変調器100では、孔116等や凹部130等の加工が施されることにより機械強度が低下した筐体104の側面112の壁厚t1に対し、対向する側面170の壁厚t2を薄く構成されている。これにより、これら対向する2つの側面112、170の機械強度を同程度のものとして、一方の側面に歪や応力が集中することによる筐体104の変形の発生を低減することができる。その結果、筐体104における歪の偏在や環境温度変動時の応力の偏在を抑制して、より安定な光学特性を実現することができる。
【0026】
なお、本実施形態では筐体104の外部と光機能素子である光変調素子102との間で光及び又は電気信号の入出力を行う孔116等並びに凹部130等及び150等は、同じ側面112に設けられるものとしたが、これには限られない。例えば、筐体104の少なくとも一つの側面(例えば、二つの側面)に、筐体104の外部と光機能素子である光変調素子102との間で光及び又は電気信号の入出力を行う孔116等及び又は凹部130等、150等を分散して設けるものとしてもよい。
【0027】
この場合には、筐体104において上記孔及び又は凹部が設けられたそれぞれの側面の厚さに対して、当該側面に対向する他の側面のそれぞれの厚さが薄く構成されているものとすればよい。尚、本実施例で示したRFコネクタやリードピンの数はこれに限定されない。
【0028】
次に第1の実施形態に係る光変調器100の変形例について説明する。
<第1変形例>
図3は、光変調器100の第1の変形例に係る光変調器100−1の平面図であり、
図1に示す光変調器100の平面図に相当する図である。なお、
図3において
図1に示す光変調器100と同じ構成要素については、
図1における符号と同じ符号を用いて示す。また、光変調器100−1の構成要素のうち、
図3において
図1と異なる符号を用いて示した構成要素を除く構成要素については、上述した
図1及び
図2についての説明を援用する。
【0029】
光変調器100−1は、光変調器100と同様の構成を有するが、ケース114a及びカバー114bとで構成される筐体104に代えて、ケース114a−1とカバー114bとで構成される筐体104−1を有する点が異なる。ケース114a−1は、ケース114aと同様の構成を有するが、側面170の壁厚t2が、側面112の壁厚t1とほぼ同じ厚さで(すなわち、t1≒t2となるように)構成されている。
【0030】
また、ケース114a−1には、側面170のうち、側面112に設けられた孔116及び124の位置に対し、筐体104の幅方向に対する中心線350を挟んで対向する対称な位置に、それぞれ、歪抑制手段である凹部310及び312が設けられている。また、ケース114a−1には、隣接して設けられた凹部130、132、134、136を含む側面112の部分に対し、中心線350を挟んで対向する対称な側面170の部分に、歪抑制手段である凹部314が設けられている。
【0031】
さらに、ケース114a−1には、隣接して設けられた凹部150、152、154を含む側面112の部分に対し、中心線350を挟んで対向する対称な側面170の部分に、歪抑制手段である凹部316が設けられている。
【0032】
すなわち、光変調器100−1では、側面112に、筐体104−1の外部と光機能素子である光変調素子102との間で光及び又は電気信号の入出力を行う孔116等及び凹部130等、150等が設けられており、筐体104の孔116等及び凹部130等、150等が設けられた側面112に対向する他の側面170に、歪抑制手段である凹部310等が設けられている。
【0033】
これにより、光変調器100−1では、側面112に孔116等や凹部130等及び150等が設けられることにより当該側面112に生じる歪が、中心線350を挟んで側面170の位置に設けられた歪抑制手段に分散されることになる。その結果、光変調器100−1では、光変調器100と同様に、筐体104における歪の偏在や環境温度変動時の応力の偏在を抑制して、より安定な光学特性を実現することができる。
【0034】
なお、本変形例では筐体104−1の外部と光機能素子である光変調素子102との間で光及び又は電気信号の入出力を行う孔116等並びに凹部130等及び150等は、同じ側面112に設けられるものとしたが、これには限られない。例えば、筐体104−1の少なくとも一つの側面(例えば、二つの側面)に、筐体104−1の外部と光機能素子である光変調素子102との間で光及び又は電気信号の入出力を行う孔116等及び又は凹部130等、150等を分散して設けるものとしてもよい。
【0035】
この場合には、筐体104−1の孔116等及び又は凹部130等、150等が設けられたそれぞれの側面に対向する他の側面のそれぞれに、歪抑制手段である凹部310等が設けられているものとすることができる。尚、凹部314は対向する凹部130、132、134、136を含むように形成され、凹部316はや凹部150、152、154を含むように形成される構成としたが、それぞれの凹部130、132、134、136、150、152、154の対向する位置に凹部314のような凹部をそれぞれ形成してもよい。また凹部130、132、134、136、150、152、154のうちの一部の凹部を含むように形成してもよい。
【0036】
<第2変形例>
図4は、光変調器100の第2の変形例に係る光変調器100−2の平面図であり、
図1に示す光変調器100の平面図に相当する図である。なお、
図4において
図1に示す光変調器100と同じ構成要素については、
図1における符号と同じ符号を用いて示す。また、光変調器100−1の構成要素のうち、
図4において
図1と異なる符号を用いて示した構成要素を除く構成要素については、上述した
図1及び
図2についての説明を援用する。
【0037】
光変調器100−2は、光変調器100と同様の構成を有するが、ケース114a及びカバー114bとで構成される筐体104に代えて、ケース114a−2とカバー114bとで構成される筐体104−2を有し、ケース114a−2の側面112の壁厚t1に対し側面170の壁厚t2が薄く構成されている点が異なる。
【0038】
また、ケース114a−2には、前述の第2変形例と同じく側面170のうち、側面112に設けられた孔116及び124の位置に対し、筐体104の幅方向に対する中心線450を挟んで対向する位置に、それぞれ、歪抑制手段である凹部410及び412が設けられている。また、ケース114a−2には、側面170のうち、隣接して設けられた凹部130、132、134、136を含む側面112の部分に対し、中心線450を挟んで対向する位置に、歪抑制手段である凹部414が設けられている。
【0039】
さらに、ケース114a−2には、側面170のうち、隣接して設けられた凹部150、152、154を含む側面112の部分に対し、中心線450を挟んで対向する位置に、歪抑制手段である凹部416が設けられている。凹部410、412、414及び416の深さは、それらが形成されている側面170の壁厚t2が当該側面に対向する側面112の壁厚t1より薄いため、t1≒t2である第1変形例の凹部の深さよりも浅く形成することができる。また、これとは逆に側面170の壁厚t2が当該側面に対向する側面112の壁厚t1より厚い場合は、t1≒t2である第1変形例の凹部の深さよりも深く形成する方が望ましい。
【0040】
これにより、光変調器100−2では、光変調器100と同様に、筐体104−2における歪の偏在や環境温度変動時の応力の偏在を抑制して、より安定な光学特性を実現することができる。
【0041】
なお、筐体104−2の少なくとも一つの側面(例えば、二つの側面)に、筐体104−2の外部と光機能素子である光変調素子102との間で光及び又は電気信号の入出力を行う孔116等及び又は凹部130等、150等を設ける場合には、筐体104−1のうち孔116等及び又は凹部130等、150等が設けられたそれぞれの側面の厚さに対し、当該側面に対向する他の側面のそれぞれの厚さが薄く構成されているものとすることができる。
【0042】
<第3変形例>
図5及び
図6は、光変調器100の第3の変形例に係る光変調器100−3の平面図及び側面図であり、
図1及び
図2に示す光変調器100の平面図及び側面図に相当する図である。なお、
図5及び
図6において
図1及び
図2に示す光変調器100と同じ構成要素については、それぞれ
図1及び
図2における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図1及び
図2についての説明を援用する。
【0043】
光変調器100−3は、光変調器100と同様の構成を有するが、ケース114a及びカバー114bとで構成される筐体104に代えて、ケース114a−3とカバー114bとで構成される筐体104−3を有する点が異なる。また、光変調器100−3では、光変調素子102からの出射光を受ける光ファイバ110が、側面112ではなく、筐体104−3の長さ方向と直交する
図5における図示左側の側面572に設けられている。このため、光変調器100−3は、偏波合成器122に代えて、光変調素子102の出射光を偏波合成して
図1における図示左方へ出力する偏波合成器122−3を備える。
【0044】
ケース114a−3は、ケース114aと同様の構成を有するが、偏波合成器122からの出力光を光ファイバ110へ導くため側面112に設けられた孔124に代えて、偏波合成器122−3からの出力光を光ファイバ110へ導くため側面572に設けられた孔524を有する。すなわち、本変形例では、筐体104−3の外部と光機能素子である光変調素子102との間で光の入力を行う孔116及び光の出力を行う孔524が、筐体104−3の互いに隣接する2つの側面112及び572にそれぞれ設けられている。
【0045】
また、ケース114a−3は、孔524が設けられた側面572の壁厚t3に対し、側面572に対向する側面574の壁厚t4が薄く(すなわち、t3>t4となるように)構成されている。
【0046】
すなわち、光変調器100−3では、光変調器100と同様に孔116並びに凹部130等及び150等が設けられた側面112の壁厚t1に対して、側面112に対向する側面170の壁厚t2が薄く構成されていることに加えて、孔524が設けられた側面572の壁厚t3に対し、側面572に対向する側面574の壁厚t4が薄く構成されている。
【0047】
これにより、光変調器100−3では、光変調器100と同様に、筐体104−3における歪の偏在や環境温度変動時の応力の偏在を抑制して、より安定な光学特性を実現することができる。尚、本変形例では側面112に入力用の光ファイバ108を配置し、側面572に出力用の光ファイバ110を配置したが、これに限定されず、側面112に出力用の光ファイバ110を配置し側面572に入力用の光ファイバ108を配置してもよい。
【0048】
<第4変形例>
図7は、光変調器100の第4の変形例に係る光変調器100−4の平面図であり、
図5に示す第3の変形例に係る光変調器100−3の平面図に相当する図である。なお、
図7において
図5に示す光変調器100−3と同じ構成要素については、
図5における符号と同じ符号を用いて示すものとする。また、光変調器100−4の構成要素のうち、
図7において
図5と異なる符号を用いて示した構成要素を除く構成要素については、上述した
図1、
図2、
図5、及び
図6についての説明を援用する。
【0049】
光変調器100−4は、光変調器100−3と同様の構成を有するが、ケース114a−4とカバー114b−4とで構成される筐体104−4を有する点が異なる。ケース114a−4は、ケース114a−3と同様の構成を有するが、側面170の壁厚t2が、側面112の壁厚t1とほぼ同じ厚さで(すなわち、t1≒t2となるように)構成されている。
【0050】
また、ケース114a−4には、第1の変形例に係る光変調器100−1のケース114a−1と同様に、側面170のうち、側面112に設けられた孔116の位置に対し筐体104の幅方向に対する中心線350を挟んで対向する位置に、歪抑制手段である凹部310が設けられている。また、ケース114a−4には、ケース114a−1と同様に、側面170のうち、隣接して設けられた凹部130、132、134、136を含む側面112の部分に対し、中心線350を挟んで対向する位置に、歪抑制手段である凹部314が設けられている。
【0051】
また、ケース114a−4には、ケース114a−1と同様に、側面170のうち、隣接して設けられた凹部150、152、154を含む側面112の部分に対し、中心線350を挟んで対向する位置に、歪抑制手段である凹部316が設けられている。
【0052】
さらに、ケース114a−4は、側面574の壁厚t4が、側面572の壁厚t3とほぼ同じ厚さで(すなわち、t3≒t4となるように)構成されている。また、ケース1141a−4には、側面572に対向する側面574のうち、側面572に設けられた孔524の位置に対し筐体104の長さ方向に対する中心線752を挟んで対向する位置に、歪抑制手段である凹部712が設けられている。
【0053】
これにより、光変調器100−4では、光変調器100−3と同様に、筐体104−4における歪の偏在や環境温度変動時の応力の偏在を抑制して、より安定な光学特性を実現することができる。
【0054】
なお、本変形例においても、第3の変形例に係る光変調器100−3と同様に、光の入出力や電気信号の入出力のための孔や凹部が形成された側面112の壁厚t1及び側面572の壁厚t3に対し、それぞれ、これらの側面に対向する側面170の壁厚t2及び側面574の壁厚t4を薄く構成することもできる。この場合には、凹部310、314、316、712の深さは、t1≒t2であり且つt3≒t4である
図7に示す深さよりも浅くすることができる。また、これとは逆に壁厚t2、t4が壁厚t1、t3より厚い場合には、t1≒t2であり且つt3≒t4である
図7に示す深さよりも深く形成する方が望ましい。
【0055】
尚、本変形例では側面112に入力用の光ファイバ108を配置し、側面572に出力用の光ファイバ110を配置したが、これに限定されず、側面112に出力用の光ファイバ110を配置し側面572に入力用の光ファイバ108を配置してもよい。
【0056】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る光デバイスである光変調器800について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る光デバイスである光変調器800の構成を示す図である。
図8においては、上から順に、光変調器800の平面図、側面820の側の側面図、底面図、及び側面822の側の側面図、である。
【0057】
この光変調器800は、例えば光伝送システムを構成する光送信装置に用いられる。なお、光変調器800は、本発明に係る光デバイスの一例であって、以下に示す光変調器100の構成は、筐体内に光機能素子を備えて当該筐体に光の入出射を行う光ファイバや電気端子が設けられる光デバイスにおいて広く一般に用いることができる。
【0058】
光変調器800は、光機能素子である光変調素子802と、光変調素子802を収容する筐体804と、を備える。ここで、筐体804は、例えば、平面視が略長方形であり、長辺側側面と短辺側側面を有する。また、光変調器800は、筐体804の外部から光変調素子802に光を入射するための入力用光ファイバである光ファイバ808と、光変調素子802から出力される光を筐体804の外部へ導く出力用光ファイバである光ファイバ810と、を備える。
【0059】
筐体804は、光変調素子802が固定されるケース814aとカバー814bとで構成されている。なお、筐体804内部における構成の理解を容易するため、
図8においては、カバー814bの一部のみを図示左方に示しているが、実際には、カバー814bは、箱状のケース814aの全体を覆うように配されて筐体104の内部を気密封止する。ここで、
図8の最上段に示す光変調器800の平面図において、筐体804の図示下側の側面を側面820、図示上側の側面を側面822と称する。
【0060】
光変調素子802は、例えばLN基板上に設けられた4つのマッハツェンダ型光導波路と、当該マッハツェンダ型光導波路上にそれぞれ設けられて光導波路内を伝搬する光波を変調する4つのRF電極(高周波電極)(不図示)と、を備えたDP―QPSK光変調器である。
【0061】
光変調素子802に設けられた上記4つのRF電極のそれぞれは、中継基板812に形成された導体パターン(不図示)を介して4つのリードピン830、832、834、836と電気的に接続されている。リードピン830、832、834、836は、筐体804の底面880を通って筐体804の外部まで延在し、FPC(フレキシブルプリント板)850に設けられた導体パターン(不図示)と、例えばハンダにより電気的に接続されている。また、筐体804(詳細には、ケース814a)の底面880には、リードピン830、832、834、836が設けられた部分(すなわち、これらのリードピン830等が筐体804から筐体804の外部へ延在する部分)に、凹部860が形成されており、FPC850は、当該凹部860の側面820側の開口部から筐体804の側方へ延在している。ここで、凹部860は、筐体804の外部と光変調素子802との間で電気信号の入力を行うための凹部に相当する。
【0062】
特に、光変調器800では、筐体804の底面880において、電気端子であるリードピン830等が設けられた部分に形成された凹部860に対し、筐体804の幅方向に対する中心線870を挟んで対向する位置に、歪抑制手段である凹部862が形成されている。
【0063】
すなわち、光変調器800では、筐体804の外部と光変調素子802との間で電気信号の入力を行うための凹部860が設けられており、筐体804のうち凹部860が設けられた底面880には、当該凹部860に対し、底面880の平面視形状の中心線870を挟んで対称な位置に、歪抑制手段である凹部862が設けられている。
【0064】
これにより、光変調器800では、凹部860を設けることによる筐体804における機械強度低下部分の偏在を、凹部862を設けることにより防止することができる。その結果、上述した光変調器100等と同様に、筐体804における加工歪の集中や環境温度変動時の応力集中を防止して、より安定な光学特性を有する光変調器を実現することできる。尚、本実施形態で示したリードピンの数はこれに限定されない。
【0065】
また、本実施形態では筐体804の外部と光機能素子である光変調素子802との間で電気信号の入力を行うための一つの凹部860が底面880に設けられるものとしたが、これには限られない。例えば、筐体804の少なくとも一つの面に、筐体804の外部と光機能素子である光変調素子802との間で光及び又は電気信号の入出力を行うための孔及び又は凹部が設けられているものとしてもよい。
【0066】
この場合には、筐体804の上記孔及び又は凹部が設けられたそれぞれの面には、当該孔及び又は凹部に対し、当該面の平面視形状の中心線を挟んで対称な位置に、歪抑制手段である凹部が設けられるものとすることができる。尚、本実施例2の構成に前述の実施例1の構成を組み合わせてもよい。
【0067】
なお、上述の各実施形態についての説明では所定の機能を有する光機能素子として光変調機能を有する光機能素子を例にあげて説明してきたが、本発明はこれに限定されない。例えば所定の機能を有する光機能素子には、波長変換素子として用いられるPPLNや空間光学結合系として用いるレンズなど、筐体における歪の偏在や環境温度変動時の応力の偏在により光学特性が変化し得る素子が含まれる。
【0068】
以上説明したように、本発明に従う光デバイスである光変調器100は、所定の機能を有する光機能素子である光変調素子102と、光変調素子102を収容する筐体104と、を備え、前記筐体の少なくとも一の側面112には、筐体104の外部と光変調素子102との間で光及び又は電気信号の入出力を行うための孔116等及び又は凹部130等が設けられており、筐体104の孔106等及び又は凹部130等が設けられた側面112の厚さに対し、当該側面112に対向する他の側面170の厚さが薄く構成されている。
【0069】
本構成によれば、孔116等や凹部130等の加工が施されることにより機械強度が低下した筐体104の側面112の壁厚t1に対し、対向する側面170の壁厚t2を薄くすることで、これら対向する2つの側面112、170の機械強度を同程度のものとして、一方の側面に歪や応力が集中することによる筐体104の変形の発生を低減することができる。その結果、筐体104における歪の偏在や環境温度変動時の応力の偏在を抑制して、より安定な光学特性を実現することができる。
【0070】
また、光変調器100の変形例である光変調器100−1では、筐体104−1の外部と光変調素子102との間で光及び又は電気信号の入出力を行うための孔116等及び又は凹部130等が設けられた側面112に対向する他の側面170には、歪抑制手段である凹部310等が設けられている。
【0071】
この構成によれば、側面112に孔116等や凹部130等及び150等が設けられることにより当該側面112に生じる歪に対し、中心線350を挟んで当該歪とバランスする側面170の位置に歪抑制手段である凹部310等が設けられこととなる。その結果、光変調器100−1では、光変調器100と同様に、筐体104における歪の偏在や環境温度変動時の応力の偏在を抑制して、より安定な光学特性を実現することができる。
【0072】
また、光変調器100の変形例である光変調器100−2は、上記歪抑制手段である凹部310等を設けることに加えて、孔116等及び又は凹部130等が設けられた側面112の厚さに対し、当該側面112に対向する他の側面170の厚さが薄く構成されている。
【0073】
本構成によれば、光変調器100と同様に、筐体104−2における歪の偏在や環境温度変動時の応力の偏在を抑制して、より安定な光学特性を実現することができる。
【0074】
また、光変調器100では、筐体104は、平面視が略矩形であって長辺側側面と短辺側側面とを有し、筐体104の長辺側側面である側面112に、孔116等並びに凹部130等及び150等が設けられている。この構成によれば、光変調器100を光送信装置の装置筐体内の角部に実装することができ、装置筐体内に各種部品を収容する際の空間利用率を向上することができる。
【0075】
また、光変調器100の変形例である光変調器100−3は、筐体104−3の外部と光変調素子102との間で光の入力を行う孔116及び光の出力を行う孔524が、筐体104−3の互いに隣接する2つの側面112及び572にそれぞれ設けられている。この構成によれば、光送信装置の装置筐体内における光変調器100−3の実装場所の自由度を向上して、装置筐体内に各種部品を収容する際の空間利用率を向上することができる。
【0076】
また、光変調器100では、筐体104の外部と光変調素子102との間で光の入出力を行うための孔116等と、筐体104の外部と光変調素子102との間で電気信号の入出力を行う電気端子を設けるための孔又は凹部130等が、筐体104の同じ側面112に設けられている。この構成によれば、光変調器100を光送信装置の装置筐体内の角部に実装することができ、装置筐体内に各種部品を収容する際の空間利用率を向上することができる。
【0077】
また、本発明に従う光デバイスである光変調器800は、光変調素子802と、光変調素子802を収容する筐体804と、を備え、筐体804の底面880には、筐体804の外部と光変調素子802との間で電気信号の入出力を行うための凹部860が設けられており、当該凹部860が設けられた底面880には、凹部862に対し、当該底面880の平面視形状の中心線870を挟んで対称な位置に、歪抑制手段である凹部862が設けられている。
【0078】
この構成によれば、凹部860の加工が施されることにより機械強度が低下した筐体804の底面880の部分に対し、中心線870挟んで対向する底面880の部分に歪抑制手段である凹部862が設けられるので、底面880の一部に歪や応力が集中することによる筐体804の変形の発生を低減することができる。その結果、筐体804における歪の偏在や環境温度変動時の応力の偏在を抑制して、より安定な光学特性を実現することができる。
【0079】
また、光変調器100等では、光機能素子は、光導波路と当該光導波路を伝搬する光波を制御する電極が設けられた光導波路素子である光変調素子102等である。この構成によれば、より安定な光学特性を有する光変調器を実現して、より安定な伝送品質を持つ光送信装置を実現することができる。