特開2019-194207(P2019-194207A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-194207(P2019-194207A)
(43)【公開日】2019年11月7日
(54)【発明の名称】重合性化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/307 20060101AFI20191011BHJP
   C07C 69/753 20060101ALI20191011BHJP
   C08F 20/22 20060101ALI20191011BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20191011BHJP
【FI】
   C07C67/307CSP
   C07C69/753 A
   C08F20/22
   G02B5/30
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-110300(P2019-110300)
(22)【出願日】2019年6月13日
(62)【分割の表示】特願2016-508797(P2016-508797)の分割
【原出願日】2015年3月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-57042(P2014-57042)
(32)【優先日】2014年3月19日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】奥山 久美
(72)【発明者】
【氏名】佐貫 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】坂本 圭
【テーマコード(参考)】
2H149
4H006
4J100
【Fターム(参考)】
2H149AB06
2H149AB26
2H149DA04
2H149DA05
2H149DA12
2H149FA15Z
2H149FA24Y
2H149FA42Z
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC47
4H006BD60
4H006BJ20
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM72
4H006BP30
4H006BS20
4H006KA31
4H006KC14
4H006KC20
4J100AL08P
4J100BA02P
4J100BA15P
4J100BA19P
4J100BC04P
4J100BC43P
4J100BD13P
4J100JA32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを作製することができる重合性化合物を、高純度、高収率で製造する方法の提供。
【解決手段】下記式(II−a)で表される化合物に、ハロゲン化剤を作用させることにより、下記式(II−b)で表される化合物を得る工程と、式(II−b)で表される化合物を含む溶液を濃縮する工程とを有する、重合性化合物の製造方法。下記式中、Aは、水素原子、メチル基又は塩素原子を表し、nは1〜20のいずれかの整数を表し、halは、ハロゲン原子を表す。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(II−a)
【化1】
(式中、Aは、水素原子、メチル基又は塩素原子を表し、nは1〜20のいずれかの整数を表す。)
で表される化合物に、ハロゲン化剤を作用させることにより、下記式(II−b)
【化2】
(式中、A及びnは、前記と同じ意味を表し、halは、ハロゲン原子を表す。)
で表される化合物を得る工程と、
式(II−b)で表される化合物を含む溶液を濃縮する工程とを有する、
重合性化合物の製造方法。
【請求項2】
下記式で表される化合物。
【化3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを作製することができる重合性化合物を、高純度、高収率で製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示装置(FPD)等に用いられる位相差板には、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板や直線偏光の偏光振動面を90度変換する1/2波長板等がある。これらの位相差板は、ある特定の単色光に対しては正確に光線波長の1/4λあるいは1/2λの位相差に変換可能なものである。近年においては、広い波長域の光に対して均一な位相差を与え得る広帯域位相差板、いわゆる逆波長分散性を有する位相差板が種々検討されている(特許文献1〜6等)。
【0003】
一方、モバイルパソコン、携帯電話等携帯型の情報端末の高機能化及び普及に伴い、フラットパネル表示装置の厚みを極力薄く抑えることが求められてきている。その結果、構成部材である位相差板の薄層化も求められている。
薄層化の方法としては、フィルム基材に低分子重合性化合物を含有する重合性組成物を塗布することにより位相差板を作成する方法が近年有力視されている。そして、優れた波長分散性を有する低分子重合性化合物又はそれを用いた重合性組成物の開発が多く行われている(例えば、特許文献7〜24)。
【0004】
しかしながら、これらの文献に記載の低分子重合性化合物又は重合性組成物は、逆波長分散性が不十分であったり、工業的プロセスにおける加工には適していない高い融点を有しているため、フィルムに塗布することが困難であったり、液晶性を示す温度範囲が極端に狭かったり、工業的プロセスにおいて一般に使用される溶媒への溶解度が低かったりするなど、性能面で多くの課題を有していた。また、これらの低分子重合性化合物等は、非常に高価な試薬を用いる合成法を駆使し、多段階で合成されるものであることから、コスト面でも課題を有する。
また、光学部材に使用される化合物に、ハロゲン、アルカリ等のイオン性不純物が含有されていると、光学的な欠陥を生じるため、重合性化合物を製造する過程でイオン性不純物の含有量を低減させることも必須の課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−68816号公報
【特許文献2】特開平10−90521号公報
【特許文献3】特開平11−52131号公報
【特許文献4】特開2000−284126号公報(US20020159005A1)
【特許文献5】特開2001−4837号公報
【特許文献6】国際公開第2000/026705号
【特許文献7】特開2002−267838号公報
【特許文献8】特開2003−160540号公報(US20030102458A1)
【特許文献9】特開2005−208414号公報
【特許文献10】特開2005−208415号公報
【特許文献11】特開2005−208416号公報
【特許文献12】特開2005−289980号公報(US20070176145A1)
【特許文献13】特開2006−330710号公報(US20090072194A1)
【特許文献14】特開2009−179563号公報(US20090189120A1)
【特許文献15】特開2010−31223号公報
【特許文献16】特開2011−6360号公報
【特許文献17】特開2011−6361号公報
【特許文献18】特開2011−42606号公報
【特許文献19】特表2010−537954号公報(US20100201920A1)
【特許文献20】特表2010−537955号公報(US20100301271A1)
【特許文献21】国際公開第2006/052001号(US20070298191A1)
【特許文献22】米国特許第6,139,771号
【特許文献23】米国特許第6,203,724号
【特許文献24】米国特許第5,567,349号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願人は、先に、下記式
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、Aはそれぞれ独立して水素原子、メチル基、塩素原子を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子等を表し、nは1〜20のいずれかの整数を表す。)で示される重合性化合物は、実用的な低い融点を有し、汎用溶媒に対する溶解性に優れ、低コストで製造可能で、かつ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを得ることができる化合物であることを報告している(国際公開第2014/010325号パンフレット)。
本発明は、上記式(I)で示される重合性化合物を、高純度で、収率よく、工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、有機溶媒中、塩基存在下に、下記式(II)で示される化合物と、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドとを、塩基存在下で反応させて、下記式(III)で表される化合物を含む反応液を得、得られた反応液に、下記式(IV)で示される化合物と酸性水溶液を添加して、前記反応で生成する塩類を酸性水溶液に一旦完全に溶解させながら反応を行うことで、下記式(I)で示される重合性化合物を、高収率、かつ、イオン性不純物の含有量が極めて少ない、高純度な重合性化合物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
かくして本発明によれば、下記(1)〜(5)の重合性化合物の製造方法が提供される。
(1)有機溶媒中、塩基存在下、下記式(II)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、Aは、水素原子、メチル基又は塩素原子を表し、Lは脱離基を表し、nは1〜20のいずれかの整数を表す。)で示される化合物と、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドとを反応させて、下記式(III)
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、A及びnは、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物を含む反応液を得る工程(1)、及び、
工程(1)で得られた反応液に、下記式(IV)
【0015】
【化4】
【0016】
(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−C(R)(R)−、又は、−N−R−を表す。ここでR、Rはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。
Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、一置換アミノ基、二置換アミノ基又は、−C(=O)−O−Rを表す。ここで、Rは、前記R、Rと同じ意味を表す。複数のR同士は、すべて同一であっても、相異なっていてもよく、環を構成する任意のC−Rは窒素原子に置き換えられていてもよい。)で示される化合物、及び酸性水溶液を添加して反応を行う工程(2)を有する、下記式(I)
【0017】
【化5】
【0018】
(式中、A、R、R、X、nは、前記と同じ意味を表す。)
で示される重合性化合物の製造方法。
(2)前記式(IV)で表される化合物が、式(IV)中、Rが、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族基、又は、置換基を有していてもよい炭素数4〜18の複素環式芳香族基の化合物である、(1)に記載の製造方法。
【0019】
(3)前記式(IV)で表される化合物が、式(IV)中、Rが全て水素原子の化合物である、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記酸性水溶液の酸成分が、無機酸又は炭素数1〜20の有機酸である、(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記酸性水溶液の酸成分が、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、スルホン酸類、スルフィン酸類、ギ酸、酢酸及びシュウ酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製造方法によれば、実用的な低い融点を有し、汎用溶媒に対する溶解性に優れ、低コストで製造可能で、かつ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムの製造原料として有用な、前記式(I)で示される重合性化合物を、高純度、高収率で得ることができる。
本発明の製造方法は、反応を連続的に行うものであるため、操作が簡便で、経済的にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「置換基を有していてもよい」とは、「無置換又は置換基を有する」という意味である。
本発明は、有機溶媒中、塩基存在下、下記式(II)で示される化合物(以下、「化合物(II)」ということがある。)と、下記式(V)で示される2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド(以下、「化合物(V)」ということがある。)を反応させて、下記式(III)で表される化合物(以下、「化合物(III)」ということがある。)を含む反応液を得る工程(1)、及び、工程(1)で得られた反応液に、下記式(IV)で示される化合物(以下、「化合物(IV)」ということがある。)、及び酸性水溶液を添加して、反応させる工程(2)、を有することを特徴とする、下記式(I)で示される重合性化合物(以下、「重合性化合物(I)」ということがある。)の製造方法である。
【0022】
【化6】
【0023】
(工程1)
工程(1)は、有機溶媒中、塩基の存在下、化合物(II)と化合物(V)とを反応させて化合物(III)を含む反応液を得る工程である。
化合物(II)において、前記式(II)中、Aは、水素原子、メチル基又は塩素原子を表し、水素原子であるのが好ましい。
Lは脱離基を表す。脱離基としては、水酸基;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、カンファースルホニルオキシ基等の有機スルホニルオキシ基;等が挙げられる。これらの中でも、低コストで、収率よく目的物が得られる観点から、ハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
nは1〜20のいずれかの整数を表す。nとしては、2〜8の整数が好ましく、6であるのがより好ましい。
【0024】
化合物(V)と化合物(II)との使用割合は、(化合物(V):化合物(II))のモル比で、1:2〜1:4、好ましくは1:2〜1:3である。
なお、化合物(II)の異なる2種〔化合物(II−1)、化合物(II−2)〕を用い、下記に示すように、段階的に反応を行えば、左右に異なる基を有する化合物(III−1)を得ることができる。すなわち、化合物(V)の1モルに、化合物(II−1)の1モルを反応させた後、化合物(II−2)の1モルを反応させ、化合物(III−1)を得ることができる。下記式中、Lはそれぞれ前記と同じ意味を表す。A、Aは、Aと同じ意味を表し、n1、n2は、nと同じ意味を表すが、AとA、又は、n1とn2は相違する。また、下記式(II−1)、(II−2)において、Lは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
【0025】
【化7】
【0026】
工程(I)において、用いる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基;が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(II)1モルに対し、通常1〜3モルである。
また、式(II)で示される化合物において、Lが水酸基である場合には、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等の脱水縮合剤の存在下に反応させることもできる。
【0027】
反応は有機溶媒中で行われる。用いる有機溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定されない。例えば、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;及びこれらの溶媒の2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、収率よく目的物が得られる観点から、アミド系溶媒、エーテル系溶媒等の極性溶媒が好ましい。
【0028】
有機溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、化合物(II)1gに対し、通常1〜50gである。
【0029】
反応方法としては、(α)化合物(V)及び塩基の有機溶媒溶液に、化合物(II)又は化合物(II)の有機溶媒溶液を添加する方法、(β)化合物(II)及び塩基の有機溶媒溶液に、化合物(V)又は化合物(V)の有機溶媒溶液を添加する方法、(γ)化合物(V)又は化合物(II)の有機溶媒溶液に塩基を添加する方法;等が挙げられ、収率よく目的物が得られることから、(α)の方法が好ましい。
【0030】
反応温度は、−20℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは−15℃〜+30℃である。
反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から数時間である。
得られる反応液は、上記温度を保ったまま、洗浄・抽出操作等することなく、そのまま次の工程(2)に供される。
【0031】
なお、前記化合物(V)、化合物(II)の多くは公知物質であり、公知の方法(例えば、国際公開第2014/010325号に記載の方法)で製造し、入手することができる。化合物(V)は、市販されているものをそのまま、又は所望により精製して用いることができる。
例えば、化合物(II)のうち、Lがハロゲン原子(hal)である化合物は、下記の反応式に示す方法により製造することができる。
【0032】
【化8】
【0033】
(式中、A、nは前記と同じ意味を表す。Rは、メチル基、エチル基等のアルキル基;フェニル基、p−メチルフェニル基、10−(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプチル)基等の置換基を有していてもよいアリール基;を表す。halは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。)
すなわち、先ず、前記式(1)で表されるトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(化合物(1))に、式(2)で表されるスルホニルクロライドを、トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基存在下で反応させる。
次いで、得られた反応混合物に、化合物(3)と、トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基を加えて反応を行うことで、式(II−a)で表される化合物を得る。
スルホニルクロライドの使用量は、化合物(1)1当量に対して、通常0.5〜1.0当量である。
化合物(3)の使用量は、化合物(1)1当量に対して、通常0.5〜1.0当量である。
塩基の使用量は、化合物(1)1当量に対して、通常1.0〜2.5当量である。
反応温度は、20〜30℃であり、反応時間は反応規模等にもよるが、数分から数時間である。
その後、得られた式(II−a)で表される化合物に、塩化チオニル、臭化チオニル、塩化スルフリル等のハロゲン化剤を作用させることにより、式(II−b)で表される化合物を得ることができる。
【0034】
上記式(II−a)で表される化合物を得る反応に用いる溶媒としては、前記化合物(III)を製造する際に用いることができる溶媒として例示したものを用いることができる。なかでも、エーテル系溶媒が好ましい。
また、式(II−b)で表される化合物を得る反応に用いる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド等のアミド系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;これらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、化合物(1)1gに対し、通常1〜50gである。
【0035】
(工程(2))
工程(2)は、前記工程(1)で得られた反応液に、化合物(IV)及び酸性水溶液を添加して、化合物(III)と化合物(IV)とを反応させる工程である。
この反応により、目的とする重合性化合物(I)を、高収率、高純度で得ることができる。
【0036】
化合物(IV)において、前記式(IV)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−C(R)(R)−、−NR−を表す。ここでR、Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。
【0037】
、Rの、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基の炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0038】
炭素数1〜10のアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基等のアリール基;シクロプロピル基、シクロペンチル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;水酸基;等が挙げられる。
【0039】
これらの中でも、本発明の効果がより得られやすいことから、Xは、酸素原子、硫黄原子、−CH−であるのが好ましく、酸素原子、硫黄原子であるのがより好ましく、硫黄原子であるのが特に好ましい。
【0040】
Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表す。炭素数1〜20の有機基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20の芳香族基の炭化水素基;複素環式芳香族基;カルボキシル基、酸無水物基、アミド基等が挙げられる。
【0041】
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基等が挙げられる。
炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルキニル基としては、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
複素環式芳香族基としては、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジル基、トリアジニル基が挙げられる。
【0042】
前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;水酸基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換された炭素数1〜6のアルコキシ基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;ニトロ基;フェニル基、4−クロロフェニル基、ナフチル基等のアリール基;−C(=O)−OR基;−SO基;等が挙げられる。ここでRは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表す。
【0043】
前記シクロアルキル基、芳香族基、複素環式芳香族基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換された炭素数1〜6のアルコキシ基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;ニトロ基;フェニル基、4−クロロフェニル基、ナフチル基等のアリール基;−C(=O)−OR基;−SO基;等が挙げられる。ここでRは前記と同じ意味を表す。
【0044】
これらの中でも、前記Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族基、又は、置換基を有していてもよい炭素数4〜18の複素環式芳香族基がより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基が特に好ましい。
【0045】
は、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜6のアルキルチオ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基等の一置換アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の二置換アミノ基;又は、−C(=O)−O−Rを表す。ここで、Rは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。
の置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、R等の置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基として例示したのと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、Rは、水素原子であるのが好ましい。
【0046】
複数のR同士は、すべて同一であっても、相異なっていてもよく、環を構成する任意のC−Rは窒素原子に置き換えられていてもよい。下記に、C−Rが窒素原子に置き換えられた場合の、化合物(IV)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0047】
【化9】
【0048】
(式中、R、X、Rは、前記と同じ意味を表す。以下にて同じ。)
化合物(IV)の使用量は、化合物(III)との割合が、(化合物(III):化合物(IV))のモル比で、1:1〜1:2、好ましくは1:1〜1:1.5となる量である。
【0049】
用いる酸性水溶液としては特に制限されないが、酸性水溶液のpHは、6以下が好ましく、2以下がより好ましい。
酸性水溶液の酸成分としては、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、過塩素酸、硝酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類;p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、10−カンファースルホン酸等のスルホン酸類;ベンゼンスルフィン酸等のスルフィン酸類;等の有機酸が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、収率よく目的物が得られる観点から、無機酸、炭素数1〜20の有機酸が好ましく、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、スルホン酸類、スルフィン酸類、ギ酸、酢酸、シュウ酸が好ましく、塩酸、スルホン酸類が特に好ましい。
酸性水溶液の濃度は、0.1モル/リットル〜2モル/リットルであるのが好ましい。
【0050】
酸性水溶液の使用量は、反応液に、化合物(IV)と酸性水溶液を添加して、前記反応で生成する塩類を酸性水溶液に一旦完全に溶解させながら反応を行うことができるだけの量であることが好ましい。例えば、1.0規定の酸性水溶液であれば、化合物(II)10質量部に対し、1〜20質量部、好ましくは5〜15質量部である。
【0051】
工程(2)の反応は、工程(1)で得られた反応液に、化合物(IV)及び酸性水溶液を添加して行う。前述の通り、工程(1)で得られた反応液は、洗浄、抽出等の後処理操作等することなく、そのまま使用されるため、コスト削減が図られる。
【0052】
化合物(IV)は、所望により、適当な有機溶媒に溶解してから添加してもよい。用いる有機溶媒は、前記工程(1)で例示したのと同様のものを使用することができる。
【0053】
本発明は、工程(1)で得られた反応液に、化合物(IV)と酸性水溶液を添加して、前記反応で生成する塩類を酸性水溶液に一旦完全に溶解させながら反応を行うと、イオン性不純物の含有量が極めて少ない、高純度の重合性化合物(I)を高収率で得ることができる点に特徴を有する。すなわち、化合物(III)を含有する反応液に、酸性水溶液を添加することで、反応液中の、工程(1)の反応によって副生した塩類が完全に溶解され、反応系外にのぞかれるため、化合物(III)と化合物(IV)との反応によって得られる重合性化合物(I)における、イオン性不純物の含有量を低減することができ、高純度で目的物を得ることができると考えられる。
【0054】
本発明においては、工程(1)で用いる有機溶媒(第1の有機溶媒)、又は、工程(2)で化合物(IV)を有機溶媒溶液の形態で添加する場合に用いる有機溶媒(第2の有機溶媒)の少なくとも一方が、水非混和性有機溶媒であることが好ましい。第1の有機溶媒及び/又は第2の有機溶媒として水非混和性有機溶媒を用いることで、イオン性不純物の含有量がより少ない、より高純度の重合性化合物(I)をより高収率で得ることができる。
【0055】
ここで「水非混和性有機溶媒」は、20℃の水への溶解度が、10g(有機溶媒)/100mL(水)以下、好ましくは1g(有機溶媒)/100mL(水)以下、更に好ましくは0.1g(有機溶媒)/100mL(水)以下の有機溶媒である。
水非混和性有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等のエステル類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素類;ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;等が挙げられる。
【0056】
工程(2)の反応温度は、−20℃から用いる溶媒の沸点まで、好ましくは0℃〜80℃である。反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から10時間である。
【0057】
反応終了後、反応液が有機層と水層の2層に分離する場合には、必要に応じて、水(食塩水)及び水非混和性有機溶媒を添加し、分液して有機層を分取する。
また、反応液が2層に分離しない場合には、必要に応じて、水(食塩水)及び水非混和性有機溶媒を添加し、分液して有機層を分取する。
いずれの場合にも、得られた有機層を有機合成化学における通常の後処理操作を行い、所望により、沈澱法、再結晶法、蒸留法、カラムクロマトグラフィー等の公知の分離・精製手段を施すことにより、目的とする化合物(I)を単離することができる。
【0058】
イオン性不純物の低減、不溶分(高分子量体)を除去するため、吸着剤、及び、濾過助剤あるいは両方組み合わせて使用することができる。
ここで用いられる吸着剤としては、活性炭、シリカゲル(主成分SiO)、合成吸着剤(主成分MgO、Al、SiO)、活性白土、アルミナ、イオン交換樹脂、吸着樹脂等が挙げられる。
濾過助剤としては珪藻土、シリカゲル(主成分SiO)、合成ゼオライト、パーライト、ラジオライト等が挙げられる。
【0059】
これらの中でも、本発明においては、簡便な操作により収率よく、高純度の目的物を得ることができる観点から、得られた有機層を濃縮して、濃縮液から目的物の結晶を析出させる方法、又は、得られた有機層を濃縮し、濃縮液に貧溶媒を添加して目的物の結晶を析出させる方法のいずれかが好ましい。
後者の方法で用いる貧溶媒としては、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;等が挙げられる。
【0060】
また、得られた結晶を再結晶法により精製することも好ましい。
再結晶法は、得られた(粗)結晶を、少量の溶媒に溶かし(溶け残りがあるようにする)、このものを加熱して完全に溶かし、熱時ろ過して不溶物を除去し、その後、ろ液を冷却して、結晶を析出させる方法である。
再結晶に用いる溶媒としては、沈澱法で例示した貧溶媒と、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。
また、再結晶溶媒に、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の酸化防止剤を添加することも、高純度品を得る上で好ましい。酸化防止剤の添加量は、目的物の結晶100gに対して、1〜500mgである。
【0061】
目的物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定、元素分析等により、同定することができる。
【0062】
本発明で用いる化合物(IV)は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0063】
【化10】
【0064】
(式中、Lは、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。)
すなわち、式(4)で表される化合物とヒドラジン化合物(5)を、適当な溶媒中、(化合物(4):ヒドラジン化合物(5))のモル比で、1:1〜1:20、好ましくは1:2〜1:10で反応させることで、化合物(IV)を得ることができる。
【0065】
この反応に用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒;及びこれらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、アルコール類、エーテル類、及びアルコール類とエーテル類の混合溶媒が好ましい。
【0066】
反応は、−10℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。各反応の反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から数時間である。
【0067】
また、下記式(6)で表される化合物を、塩基存在下、適当な溶媒中、式(7):R−Halで表される化合物と反応させることによって、目的物を得ることができる。
【0068】
【化11】
【0069】
ここで用いる塩基としては、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;等が挙げられる。
これらの塩基の使用量は、化合物(6)に対して、通常1〜8当量である。
【0070】
反応は溶媒中で行うのが好ましく、非プロトン性極性溶媒中で行うのがより好ましい。
非プロトン性極性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル系溶媒;ジエチルスルホン、ジフェニルスルホン等のスルホン系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の尿素系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;等が挙げられる。これらの溶媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
溶媒の使用量は特に制限されないが、前記化合物(6)1g当たり、通常、0.1〜50ml、好ましくは0.5〜20ml、より好ましくは1〜15mlである。
【0072】
化合物(6)と化合物(7)の使用割合は、化合物(6)と化合物(7)とのモル比で、通常、1:1〜1:2、好ましくは1:1〜1:1.3である。
【0073】
反応温度は、通常、−10℃から用いる溶媒の沸点まで、好ましくは、0℃〜70℃である。反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から20時間である。
なお、反応は、窒素気流中等不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
【0074】
本発明によれば、イオン性不純物の含有量が極めて少ない、高純度な重合性化合物を得ることができる。本発明により得られる重合性化合物を用いることにより、配向欠陥がない高品質な液晶層を形成することができる。
【実施例】
【0075】
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0076】
(実施例1)
【0077】
【化12】
【0078】
ステップ1:中間体Aの合成
【0079】
【化13】
【0080】
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 90g(0.52mol)とテトラヒドロフラン(THF)800mlを加えた。そこへ、メタンスルホニルクロライド 33g(0.29mol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、トリエチルアミン 31.7g(0.31mol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、30分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに攪拌した。
得られた反応液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン 3.2g(26.2mmol)、及び、4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール(DKSH社製)69g(0.26mol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、トリエチルアミン 31.7g(0.31mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、30分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水4000mlと飽和食塩水500mlを加え、酢酸エチル1000mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9(体積比、以下にて同じ。))により精製することで、白色固体として中間体Aを70.6g得た。収率65%。
目的物の構造はH−NMRで同定した。
【0081】
H−NMR(500MHz,DMSO−d,TMS,δppm):12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、6.32(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.48−2.56(m,1H)、2.18−2.26(m,1H)、2.04−2.10(m,2H)、1.93−2.00(m,2H)、1.59−1.75(m,4H)、1.35−1.52(m,8H)
【0082】
ステップ2:中間体Bの合成
【0083】
【化14】
【0084】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール20.0g(0.12mol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド200mlを入れ、均一な溶液とした。この溶液に、炭酸カリウム83.6g(0.61mol)、1−ヨードヘキサン30.8g(0.15mol)を加え、全容を50℃で7時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、反応液を水1000mlに投入し、酢酸エチル800mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムを濾別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製し、中間体Bを白色固体として21.0g得た(収率:69.6%)。
目的物の構造はH−NMRで同定した。
【0085】
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.60(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、4.22(s,2H)、3.74(t,2H,J=7.5Hz)、1.69−1.76(m,2H)、1.29−1.42(m,6H)、0.89(t,3H,J=7.0Hz)
【0086】
ステップ3:中間体Cの合成
【0087】
【化15】
【0088】
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体A 30g(71.7mol)及びトルエン300g、N,N−ジメチルホルムアミド5.5gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル8.96g(75.3mmol)を、反応温度を10℃以下に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。その後、抜き出した量と同じ量のトルエンを加えて、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。この操作を3回繰り返し、トルエン溶液として合成した。
【0089】
ステップ4:化合物1の合成
温度計を備えた3口反応器内で、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.13g(29.9mmol)、トリエチルアミン7.62g(75.4mmol)を150gのTHFに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、ステップ3で合成した中間体Cのトルエン150g溶液を、反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに、全容を5〜10℃で1時間撹拌した(工程(1))。反応液は、反応によって生成したトリエチルアミンの塩酸塩が析出するためクリーム状となった。
【0090】
反応終了後、10℃以下に保持しながら、反応液に、前記ステップ2で合成した中間体B 9.7g(38.9mmol)、及び1.0規定の塩酸水溶液30gを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して5時間反応を行った(工程(2))。40℃に昇温した段階で、析出したトリエチルアミンの塩酸塩は溶解して、トルエンと水の透明な2層系の溶液となった。
反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、酢酸エチル300g、10重量%食塩水300gを加えて分液操作を行った。得られた有機層はさらに2重量%の食塩水300gで2回洗浄した。
【0091】
ステップ5:沈殿
得られた有機層から、総重量の約15%をエバポレーターにて抜き出して濃縮した。この溶液を25℃にした後、ここに、メタノール300g、水60gの混合溶媒をゆっくりと滴下した。その後、10℃まで冷却して結晶を析出させ、ろ過により結晶を得た。
【0092】
ステップ6:再結晶
得られた結晶に、THF240g、メタノール240g、及び、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール20mgを加え、全容を50℃に昇温して均一な溶液とした。この溶液を50℃にて熱時ろ過し、得られたろ液をゆっくりと10℃まで冷却し、再結晶を行った。ろ過により結晶を得、真空乾燥機にて乾燥して、化合物1を25.8g得た(収率:73.7%)。
目的物の構造はH−NMRで同定した。
【0093】
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.67−7.70(m,3H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,7.0Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.12(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=2.5Hz,9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58−2.70(m,4H)、2.31−2.35(m,8H)、1.66−1.82(m,18H)、1.31−1.54(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)。
【0094】
(実施例2)
実施例1のステップ4において、1.0規定の塩酸水溶液30gの代わりに、1.0mol/Lのメタンスルホン酸水溶液30gを用いた以外は、実施例1と同様にして、化合物1を24.8g得た(収率:70.9%)。
【0095】
(実施例3)
実施例1のステップ4において、1.0規定の塩酸水溶液30gの代わりに、1.0mol/Lのカンファースルホン酸水溶液30gを用いた以外は、実施例1と同様にして、化合物1を25.0g得た(収率:71.4%)。
【0096】
(実施例4)
実施例3において、ステップ1〜5は同様に行い、ステップ5の後(ステップ6の再結晶を行わず)、析出した結晶を得、真空乾燥機にて乾燥して、化合物1を26.3g得た(収率:75.1%)。
【0097】
(実施例5)
実施例3において、ステップ1〜4は同様に行い、ステップ4で洗浄後に得られた有機層を濃縮して固体を析出させた。得られた固体に、実施例1のステップ6と同様にして、THF240g、メタノール240g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール20mgを加え、全容を50℃に昇温して均一な溶液とした。その溶液を50℃にて熱時ろ過をした。得られたろ液をゆっくりと10℃まで冷却して再結晶を行った。ろ過により結晶を得、真空乾燥機にて乾燥して、化合物1を25.1g得た(収率:71.7%)。
【0098】
(実施例6)
実施例1において、ステップ1、2は同様に行い、ステップ3において、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体A 30g(71.7mmol)、クロロホルム300g、及びN,N−ジメチルホルムアミド5.5gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル8.96g(75.3mmol)を、反応温度を10℃以下に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃にして1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。その後、抜き出した量と同じ量のクロロホルムを加えて、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。この操作を3回繰り返すことにより、中間体Cのクロロホルム溶液を得た。
また、ステップ4において、温度計を備えた3口反応器内で、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.13g(29.9mmol)、トリエチルアミン7.62g(75.4mmol)をクロロホルム150gに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、ステップ3で合成した中間体Cのクロロホルム150g溶液を、反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに、全容を5〜10℃で1時間撹拌した(工程(1))。反応液は透明な均一溶液となった。
反応終了後、10℃以下に保持しながら、反応液に、前記ステップ2で合成した中間体B 9.7g(38.9mmol)、及び1.0規定の塩酸水溶液30gを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して3時間反応を行った(工程(2))。
反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、分液操作を行った。得られた有機層は特に洗浄を実施することなく次ステップで用いた。
次いで、実施例1のステップ5、6と同様にして沈殿、再結晶操作を行い、化合物1を24.5g得た。(収率:70.0%)
【0099】
(実施例7)
実施例1において、ステップ1、2は同様に行い、ステップ3において、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体A 30g(71.7mmol)、酢酸ブチル300g、及びN,N−ジメチルホルムアミド5.5gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル8.96g(75.3mmol)を、反応温度を10℃以下に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。その後、抜き出した量と同じ量の酢酸ブチルを加えて、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。この操作を3回繰り返すことにより、中間体Cの酢酸ブチル溶液を得た。
また、ステップ4において、温度計を備えた3口反応器内で、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.13g(29.9mmol)、トリエチルアミン7.62g(75.4mmol)を酢酸ブチル150gに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、ステップ3で合成した中間体Cの酢酸ブチル150g溶液を、反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに、全容を5〜10℃で1時間撹拌した(工程(1))。反応液は透明な均一溶液となった。
反応終了後、10℃以下に保持しながら、反応液に、前記ステップ2で合成した中間体B 9.7g(38.9mmol)、及び1.0規定の塩酸水溶液30gを加えた。その後、反応液を50℃に昇温して3時間反応を行った(工程(2))。50℃に昇温した段階で、析出したトリエチルアミンの塩酸塩は溶解して、酢酸ブチルと水の透明な2層系の溶液となった。
反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、分液操作を行った。得られた有機層は特に洗浄を実施することなく次ステップで用いた。
次いで、実施例1のステップ5、6と同様にして沈殿、再結晶操作を行い、化合物1を24.3g得た。(収率:69.4%)
【0100】
(実施例8)
実施例1において、ステップ1、2は同様に行い、ステップ3において、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体A 30g(71.7mmol)及びシクロペンチルメチルエーテル(CPME)300g、N,N−ジメチルホルムアミド5.5gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル8.96g(75.3mmol)を、反応温度を10℃以下に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。その後、抜き出した量と同じ量のCPMEを加えて、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。この操作を3回繰り返すことにより、中間体CのCPME溶液を得た。
また、ステップ4において、温度計を備えた3口反応器内で、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.13g(29.9mmol)、トリエチルアミン7.62g(75.4mmol)を150gのTHFに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、ステップ3で合成した中間体CのCPME150g溶液を、反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに、全容を5〜10℃で1時間撹拌した(工程(1))。反応液は、反応によって生成したトリエチルアミンの塩酸塩が析出するためクリーム状となった。
反応終了後、10℃以下に保持しながら、反応液に、前記ステップ2で合成した中間体B 9.7g(38.9mmol)、及び1.0規定の塩酸水溶液30gを加えた。その後、反応液を45℃に昇温して4時間反応を行った(工程(2))。45℃に昇温した段階で、析出したトリエチルアミンの塩酸塩は溶解して、CPMEと水の透明な2層系の溶液となった。
反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、分液操作を行った。
次いで、実施例1のステップ5、6と同様にして沈殿、再結晶操作を行い、化合物1を24.1g得た。(収率:68.9%)
【0101】
(実施例9)
実施例1において、ステップ1、2は同様に行い、ステップ3において、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体A 30g(71.7mmol)、及びCPME300g、N,N−ジメチルホルムアミド5.5gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル8.96g(75.3mmol)を、反応温度を10℃以下に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。その後、抜き出した量と同じ量のCPMEを加えて、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。この操作を3回繰り返すことにより、中間体CのCPME溶液を得た。
また、ステップ4において、温度計を備えた3口反応器内で、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.13g(29.9mmol)、トリエチルアミン7.62g(75.4mmol)をクロロホルム150gに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、ステップ3で合成した中間体CのCPME150g溶液を、反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに、全容を5〜10℃で1時間撹拌した(工程(1))。反応液は、反応によって生成したトリエチルアミンの塩酸塩が析出するため懸濁していた。
反応終了後、10℃以下に保持しながら、反応液に、前記ステップ2で合成した中間体B 9.7g(38.9mmol)、及び1.0規定の塩酸水溶液30gを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して3時間反応を行った(工程(2))。40℃に昇温した段階で、析出したトリエチルアミンの塩酸塩は溶解して、CPMEとクロロホルムからなる有機層と水の透明な2層系の溶液となった。
反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、分液操作を行った。
次いで、実施例1のステップ5、6と同様にして沈殿、再結晶操作を行い、化合物1を24.9g(収率:71.2%)得た。
【0102】
(実施例10)
実施例1において、ステップ1、2は同様に行い、ステップ3において、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体A 30g(71.7mmol)及びクロロホルム300g、N,N−ジメチルホルムアミド10.5gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル8.96g(75.3mmol)を、反応温度を10℃以下に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて反応液の量が四分の一になるまで濃縮した。その後、クロロホルム75gを加えて、中間体のクロロホルム溶液を得た。
また、ステップ4において、温度計を備えた3口反応器内で、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.13g(29.9mmol)、トリエチルアミン18.1g(179mmol)を150gのクロロホルムに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、ステップ3で合成した中間体Cのクロロホルム150g溶液を、反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに、全容を5〜10℃で1時間撹拌した(工程(1))。反応液は透明な均一溶液となった。
反応終了後、10℃以下に保持しながら、反応液に、前記ステップ2で合成した中間体B 9.7g(38.9mmol)、及び1.0規定の塩酸水溶液118gを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して3時間反応を行った(工程(2))。
反応終了後、分液操作を行った。得られた有機層は特に洗浄を実施することなく次ステップで用いた。
得られた有機層に、ろ過助剤(商品名:ロカヘルプ#479、三井金属鉱業社製)1.5gを加え、30分撹拌した後、ロカヘルプ#479をろ別した。次いで、得られた反応液を濃縮し、総重量の約35%をエバポレーターにて抜き出した。この溶液を25℃にした後、メタノール780g中へゆっくりと滴下した。その後、30分撹拌して結晶を析出させ、ろ過により結晶を得た。
得られた結晶に、THF195g、ろ過助剤(商品名:ロカヘルプ#479、三井金属鉱業社製)1.5g、及び、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール300mgを加えて、全容を30分撹拌した後、ろ過助剤をろ別した。この溶液をメタノール300g中へゆっくりと滴下した。その後、30分撹拌して結晶を析出させ、ろ過により結晶を得、真空乾燥機にて乾燥して、化合物1を26.7g得た(収率:76.3%)。
【0103】
(比較例1)
実施例1において、ステップ1〜3は同様に行い、ステップ4において、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.13g(29.9mmol)、トリエチルアミン7.62g(75.4mmol)を150gのTHFに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、中間体Cのトルエン溶液を、反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を10℃以下のままで1時間さらに撹拌した。反応液は、反応によって生成したトリエチルアミンの塩酸塩が析出するためクリーム状となった。反応終了後、反応液を10℃以下に保持したまま、前記ステップ2で合成した中間体B 9.7g(38.9mmol)を加え、さらにカンファースルホン酸700mgを固体のまま加えた。その後、反応液を40℃に昇温して5時間反応を行った。40℃に昇温した段階でも、析出していたトリエチルアミンの塩酸塩は溶解せず、クリーム状のままだった。反応終了後、25℃まで冷却し、酢酸エチル300g、10重量%食塩水300gを加えて分液操作を行った。得られた有機層はさらに2重量%の食塩水300gで2回洗浄を行った。
次いで、実施例1のステップ5、6と同様にして沈殿、再結晶操作を行い、化合物1を23.5g得た(収率:67.1%)。
【0104】
(比較例2)
実施例1において、ステップ1〜3は同様に行い、ステップ4において、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.13g(29.9mmol)、トリエチルアミン7.62g(75.4mmol)を150gのTHFに溶解させ、10℃以下まで冷却した。この溶液に、中間体Cのトルエン溶液を、反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を10℃以下のままで1時間さらに撹拌した。反応液は、反応によって生成したトリエチルアミンの塩酸塩が析出するためクリーム状となった。反応終了後、得られた反応液に、10℃以下で、中間体B 9.7g(38.9mmol)を加え、さらに1.0mol/Lのカンファースルホン酸のトルエン溶液35gを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して5時間反応を行った。40℃に昇温した段階でも析出していたトリエチルアミンの塩酸塩は溶解せず、クリーム状のままだった。反応終了後25℃まで冷却し、酢酸エチル300g、10重量%食塩水300gを加えて分液操作を行った。得られた有機層はさらに2重量%の食塩水300gで2回洗浄を行った。
次いで、実施例1のステップ5、6と同様にして沈殿、再結晶操作を行い、化合物1を24.8g得た(収率:70.9%)。
【0105】
(比較例3)
実施例1において、ステップ1〜3は同様に行い、ステップ4において、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.13g(29.9mmol)、トリエチルアミン7.62g(75.4mmol)を150gのTHFに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、中間体Cのトルエン溶液を、反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下し、滴下終了後、10℃以下のままでさらに1時間反応を行った。反応液は、反応によって生成したトリエチルアミンの塩酸塩が析出するためクリーム状となった。反応終了後、反応液に、酢酸エチル300g、10重量%食塩水500gを加えて分液操作を行った。得られた有機層を、2重量%の食塩水500gで2回洗浄した。このときの分液性は極めて悪く、得られた有機層は濁っていた。得られた有機層をエバポレーターにて濃縮した。濃縮により得られた固体を、THF150gに溶解し、10℃以下に冷却して、ここに、中間体B 9.7g(38.9mmol)を加え、さらに1.0規定の塩酸水溶液30gを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して5時間反応を行った。40℃に昇温した段階で、析出していたトリエチルアミンの塩酸塩は溶解して、トルエンと水の透明な2層系の溶液となった。反応終了後、25℃まで冷却し、酢酸エチル300g、10重量%食塩水300gを加えて分液操作を行った。
得られた有機層につき、実施例1のステップ5、6と同様にして沈殿、再結晶操作を行い、化合物1を19.2g得た(収率:54.9%)。
【0106】
(比較例4)
実施例1において、ステップ1〜3は同様に行い、ステップ4において、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.13g(29.9mmol)、トリエチルアミン7.62g(75.4mmol)を150gのTHFに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、中間体Cのトルエン溶液を、反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を10℃以下のままにして1時間さらに反応を行った。反応液は、反応によって生成したトリエチルアミンの塩酸塩が析出するためクリーム状となる。反応終了後、反応液に、酢酸エチル300g、及び10重量%食塩水500gを加えて分液操作を行った。得られた有機層を、さらに2重量%の食塩水500gで2回洗浄を行った。この際の分液性は極めて悪く、得られた有機層は濁っていた。得られた有機層を10℃以下に保持しながら、エバポレーターにて濃縮した。濃縮により得られた固体をTHF150gに溶解し、10℃以下に冷却して、ここに、中間体B 9.7g(38.9mmol)を加え、さらに1.0mol/Lのカンファースルホン酸のトルエン溶液35gを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して5時間反応を行った。40℃に昇温した段階でも析出していたトリエチルアミンの塩酸塩は溶解せず、クリーム状のまま反応は進行だった。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、酢酸エチル300g、10重量%食塩水300gを加えて分液操作を行った。得られた有機層はさらに2重量%の食塩水300gで2回洗浄を行った。
得られた有機層につき、実施例1のステップ5、6と同様にして沈殿、再結晶操作を行い、化合物1を18.2g得た(収率:52.0%)。
【0107】
実施例1〜10、比較例1〜4で得た化合物1につき、以下の試験を行った。
<I.イオン分の分析>
(I−1)分析試料の調製
イオン性不純物に汚染されていない洗浄された50mlのサンプル管内で、実施例1〜10、比較例1〜4で得られた化合物1の0.5gを、それぞれ、クロロホルム10gに溶解した。この溶液に、超純水15gを加えて、振とう機にて5分間激しく振とうした。その後、30分静置して油水分離し、次いで、細孔径0.45μmのディスクフィルターで水層だけをろ過して、イオンクロマト測定用の試料を調製した。
【0108】
(I−2)イオン分の測定
得られた各試料につき、イオンクロマトグラフDX−500型(ダイノネクス社製)を用いて、塩素イオンの含量を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0109】
<II.配向性の評価>
(II−1)重合性組成物1〜14の調製
実施例1〜10、比較例1〜4で得た化合物1のそれぞれ1.0g、光重合開始剤として、アデカオプトマーN−1919(ADEKA社製)を30mg、及び、界面活性剤として、KH−40(AGCセイミケミカル社製)の1%シクロペンタノン溶液100mgを、シクロペンタノン2.3gに溶解した。この溶液を、0.45μmの細孔径を有するディスポーサブルフィルターでろ過し、重合性組成物1〜14をそれぞれ調製した。
【0110】
(II−2)配向性の評価
ラビング処理されたポリイミド配向膜の付与された透明ガラス基板(商品名:配向処理ガラス基板;E.H.C.Co.,Ltd.製)に、重合性組成物1〜14のそれぞれを、♯4のワイヤーバーを使用して塗布した。塗膜を110℃で1分間乾燥した後、110℃で1分間配向処理し、液晶層を形成して配向性を評価する試料とした。室温(25℃)下にて、配向欠陥を偏光顕微鏡(ニコン社製、ECLIPSE LV100POL型)にて観察した。配向欠陥がない場合を5、配向欠陥が多い場合を1と評価し、5段階で配向欠陥の量を評価した。評価結果を下記表1に示す。
表1中、「精製法」の欄で、「沈殿」は、実施例1のステップ5に示す操作を行ったことを示し、「再結晶」は、実施例1のステップ6に示す操作を行ったことを示し、「沈殿+再結晶」は、「沈殿」操作の後「再結晶」操作を行ったことを示す。
【0111】
【表1】
【0112】
表1より、実施例1〜10では、収率よく、高純度の化合物1が得られ、このものからは、配向性評価の高い重合性組成物1〜10が得られることが分かる。
一方、ステップ4で酸性水溶液を用いず、固体の酸を用いた場合(比較例1)、塩素イオンが多く含まれる、純度の低い化合物1が低収率で得られ、このものから得られる重合性組成物11は、配向性評価の低いものだった。酸のトルエン溶液を用いた場合(比較例2)も、純度の低い化合物1が得られ、このものから得られる重合性組成物12は、配向性評価の低いものだった。また、工程(1)で得られる反応液を、分液操作を行った後に工程(2)に供した場合(比較例3、比較例4)、化合物1の収率は低いものだった。