特開2019-194292(P2019-194292A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-194292光架橋性樹脂組成物及びその架橋物、並びに架橋物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-194292(P2019-194292A)
(43)【公開日】2019年11月7日
(54)【発明の名称】光架橋性樹脂組成物及びその架橋物、並びに架橋物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/68 20060101AFI20191011BHJP
【FI】
   C08G59/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-88614(P2018-88614)
(22)【出願日】2018年5月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(71)【出願人】
【識別番号】390034348
【氏名又は名称】ケイ・アイ化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173495
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 高正
(72)【発明者】
【氏名】有光 晃二
(72)【発明者】
【氏名】福山 昇治
(72)【発明者】
【氏名】袴田 祐介
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AA01
4J036AC18
4J036AD08
4J036AG06
4J036AH07
4J036AJ01
4J036AJ02
4J036AJ03
4J036AJ05
4J036AJ09
4J036AJ21
4J036DA04
4J036DC38
4J036DC42
4J036EA06
4J036EA07
4J036GA01
4J036GA02
4J036HA02
4J036JA06
4J036JA15
4J036KA01
(57)【要約】
【課題】エポキシ樹脂にマレイミド化合物を加えた混合物を光塩基発生剤の存在下、光照射により架橋させることにより、光硬化反応が早く、得られる架橋物の強度を向上させた光架橋性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】1分子中に少なくとも1個のマレイミド基を有するマレイミド化合物と、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、光を照射することによって塩基を発生する光塩基発生剤とを含有する、光架橋性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に少なくとも1個のマレイミド基を有するマレイミド化合物と、
1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
光を照射することによって塩基を発生する光塩基発生剤とを含有する、光架橋性樹脂組成物。
【請求項2】
前記マレイミド化合物と前記エポキシ化合物との重量比が、マレイミド化合物:エポキシ化合物=5:95〜95:5である、請求項1に記載の光架橋性樹脂組成物。
【請求項3】
前記マレイミド化合物と前記エポキシ化合物との重量比が、マレイミド化合物:エポキシ化合物=25:75〜75:25である、請求項1に記載の光架橋性樹脂組成物。
【請求項4】
前記光塩基発生剤が、前記マレイミド化合物と前記エポキシ化合物の和に対し、1重量%以上40重量%以下配合される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光架橋性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光架橋性樹脂組成物が光照射によって架橋させられて形成される架橋物。
【請求項6】
前記光照射が波長190〜400nm、露光量100〜40000mJ/cmにて行われる請求項5に記載の架橋物。
【請求項7】
前記光照射と同時に、又は前記光照射後に前記光架橋性樹脂組成物が加熱によって架橋させられて形成される請求項5又は6に記載の架橋物。
【請求項8】
前記加熱が50〜230℃にて行われる請求項7に記載の架橋物。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光架橋性樹脂組成物に光照射し、架橋させて形成する架橋物の製造方法。
【請求項10】
前記光照射を波長190〜400nm、露光量100〜40000mJ/cmにて行う請求項9に記載の架橋物の製造方法。
【請求項11】
前記光照射と同時に、又は前記光照射後に前記光架橋性樹脂組成物を加熱し、架橋させて形成する請求項9又は10に記載の架橋物の製造方法。
【請求項12】
前記加熱を50〜230℃にて行う請求項11に記載の架橋物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光架橋性樹脂組成物及びその架橋物、並びに架橋物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光の照射によって硬化する性質を有する光架橋性樹脂組成物は、例えば、塗料、プリンターインク、接着剤、レジストインク、複合材料マトリックス樹脂、フレキシブルプリント基板等の数々の用途において、幅広く使用されている。
【0003】
従来、光架橋性樹脂組成物としては、例えば、露光によりラジカル種を発生する光開始剤と、ラジカル重合性のモノマー又はオリゴマーとを含有するラジカル重合系の光架橋性樹脂組成物や、露光により酸を発生する光酸発生剤と、酸の作用により硬化するモノマー又はオリゴマーとを含有する酸触媒系の光架橋性樹脂組成物や、露光により塩基を発生する光塩基発生剤と、塩基の作用により硬化するモノマー又はオリゴマーとを含有する塩基触媒系の光架橋性樹脂組成物の研究開発が知られている。
【0004】
ラジカル重合系の光架橋性樹脂組成物は、従来から広く使用されているが、ラジカル種は空気中の酸素によって失活し、重合反応が阻害され反応が抑制されるという欠点が存在する。酸触媒系の光架橋性樹脂組成物は、酸素による阻害を受けないことから、多種多様の酸触媒系の光架橋性樹脂組成物が開発されている。しかしながら、発生する酸が硬化後においても系内に存在する場合があり、酸発生剤を含む光架橋性樹脂組成物を硬化した後の硬化膜が残存する酸の影響により変性して膜性能が低下するなどの問題や酸による半導体基板上の金属配線に対する腐食性の問題を有するという欠点が存在する。これに対し、塩基触媒系での光硬化に関してはこれまで開発が遅れていたが、空気中の酸素の阻害を受けず、酸発生剤を使用する場合の硬化膜の変性の問題や腐食性の問題を生じにくいことから、近年その研究開発が盛んに行なわれている。
【0005】
このような塩基触媒系の光架橋性樹脂組成物として、エポキシ基を有する化合物が、塩基の作用により架橋反応を起こして硬化することを利用し、光の照射によってアミン類をエポキシ樹脂内で発生させ、次いで加熱処理によってエポキシ樹脂を硬化させるものが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0006】
また、マレイミド樹脂は、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂として電子材料分野など様々な分野において、高耐熱積層板や含浸ワニスに使用されている。(メタ)アクリレート化合物にエポキシ樹脂、および光によりラジカルを発生させる光重合開始剤で構成される光硬化性組成物にマレイミド化合物が使用され、耐熱性に優れた光硬化膜を得ることが知られている(特許文献4)。エポキシ基やマレイミド基などの官能性末端基を有するシロキサンベースポリマーに、光塩基発生剤を加えたフォトレジスト組成物をソフトベイクし、光照射後、更に加熱するなどの工程を経て電子デバイスを得ることは知られている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−280785号公報
【特許文献2】特開2011−80032号公報
【特許文献3】特開2012−237776号公報
【特許文献4】特開2012−31357号公報
【特許文献5】特表2015−508184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示された光架橋性樹脂組成物は、光硬化反応して得られる架橋物の強度も十分なものではなく、耐熱性を満足するものではなかった。また、特許文献4に開示された光架橋性樹脂組成物は、マレイミド化合物を用いることで得られた架橋物の耐熱性は向上するが、ラジカル種が空気中の酸素によって失活し、重合反応が阻害され反応そのものが抑制されるという欠点が残される。特許文献5に開示された光架橋性樹脂組成物は、シロキサンベース内にあるエポキシ基やマレイミド基などの官能基を、塩基発生剤を利用して単独で光架橋反応を行っている事例はあるが、本発明であるエポキシ化合物とマレイミド化合物を混合させたものを光塩基発生剤で硬化させることについての報告事例はない。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、耐熱性に優れ、強靭な強度を有する架橋物を形成できる光架橋性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、光照射による架橋反応を迅速に推進させることができる光架橋性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、マレイミド化合物と、エポキシ化合物と、光塩基発生剤とを含有する光架橋性樹脂組成物が前記課題を解決し得ることを見出した。即ち、本発明によれば、以下に示す光架橋性樹脂組成物及びその架橋物、並びに架橋物の製造方法が提供される。
【0011】
[1]1分子中に少なくとも1個のマレイミド基を有するマレイミド化合物と、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、光を照射することによって塩基を発生する光塩基発生剤とを含有する、光架橋性樹脂組成物。
【0012】
[2]前記マレイミド化合物と前記エポキシ化合物との重量比が、マレイミド化合物:エポキシ化合物=5:95〜95:5である、前記[1]に記載の光架橋性樹脂組成物。
【0013】
[3]前記マレイミド化合物と前記エポキシ化合物との重量比が、マレイミド化合物:エポキシ化合物=25:75〜75:25である、前記[1]に記載の光架橋性樹脂組成物。
【0014】
[4]前記光塩基発生剤が、前記マレイミド化合物と前記エポキシ化合物の和に対し、1重量%以上40重量%以下配合される、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の光架橋性樹脂組成物。
【0015】
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の光架橋性樹脂組成物が光照射によって架橋させられて形成される架橋物。
【0016】
[6]前記光照射が波長190〜400nm、露光量100〜40000mJ/cmにて行われる前記[5]に記載の架橋物。
【0017】
[7]前記光照射と同時に、又は前記光照射後に前記光架橋性樹脂組成物が加熱によって架橋させられて形成される前記[5]又は[6]に記載の架橋物。
【0018】
[8]前記加熱が50〜230℃にて行われる前記[7]に記載の架橋物。
【0019】
[9]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の光架橋性樹脂組成物に光照射し、架橋させて形成する架橋物の製造方法。
【0020】
[10]前記光照射を波長190〜400nm、露光量100〜40000mJ/cmにて行う前記[9]に記載の架橋物の製造方法。
【0021】
[11]前記光照射と同時に、又は前記光照射後に前記光架橋性樹脂組成物を加熱し、架橋させて形成する前記[9]又は[10]に記載の架橋物の製造方法。
【0022】
[12]前記加熱を50〜230℃にて行う前記[11]に記載の架橋物の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光架橋性樹脂組成物は、耐熱性に優れた、強靭な強度を有する架橋物を形成することができる。また、本発明の架橋物を形成する際、光照射による架橋反応を迅速に推進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】365nmの光(50mW/cm)を0または10000mJ/cm照射後、140℃で加熱時におけるエポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の官能基の消費を示す図である。
図2】エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の混合樹脂架橋物に関する鉛筆硬度を示す図である。
図3】エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の混合樹脂に関する耐熱性の評価結果を示す図である。
図4】エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の混合樹脂を図2の140℃、60分間加熱後、更に180℃、60分間加熱した架橋物に関する鉛筆硬度を示す図である。
図5】エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比を5:5に固定した混合樹脂組成物を、光照射の有無、マレイミド化合物(BMI)を式(A2−ii)、または式(A2−iii)に変更、更にエポキシ化合物(jER828)を式(B−6)に変更、塩基発生剤を式(C−1)から式(C−2)に変更した混合樹脂架橋物に関する鉛筆強度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0026】
[1]光架橋性樹脂組成物:
本発明の光架橋性樹脂組成物の第一の実施形態は、1分子中に少なくとも1個のマレイミド基を有するマレイミド化合物と、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、光を照射することによって塩基を発生する光塩基発生剤とを含有するものである。
【0027】
このような光架橋性樹脂組成物によれば、光照射によって得られる架橋物の耐熱性、強度が向上し、更に光照射による光架橋反応を迅速に推進させることが可能となる。
【0028】
なお、本実施形態の効果を損なわない範囲であれば、他の成分が含まれていてもよい。
【0029】
本実施形態におけるマレイミド化合物とは、1分子中に少なくとも1個のマレイミド基を有する化合物のことをいう。また、マレイミド化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
【0030】
このようなマレイミド化合物として、ガラス転移温度、熱膨張率及び保存安定性の観点から、下記式(A−1)、式(A−2)で表される化合物が好ましい。
【0031】
【化1】
[式中、Rは、例えば、フェニル、2−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル基である。]
【0032】
【化2】
[式中、Rは、例えば、下記式(A2−i)、式(A2−ii)又は式(A2−iii)で表される基である。]
【0033】
【化3】
【0034】
本発明に使用されるビスマレイミドとしては、分子中にマレイミド基を1個以上含有するものであれば、特に制限はなく、例えば、N−置換マレイミド化合物を用いることができ、N−置換マレイミド化合物としては、例えばN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルメチルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(1−ヒドロキシフェニル)マレイミド、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、N,N'−p−フェニレンビスマレイミド、N,N'−m−トルイレンビスマレイミド、N,N'−4,4'−ビフェニレンビスマレイミド、N,N'−4,4'−〔3,3'−ジメチルビフェニレン〕ビスマレイミド、N,N'−4,4'−〔3,3'−ジメチルジフェニルメタン〕ビスマレイミド、N,N'−4,4'−〔3,3'−ジエチルジフェニルメタン〕ビスマレイミド、N,N'−4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'−4,4'−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N'−4,4'−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N'−3,3'−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N'−4,4'−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、3,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5.2.1.02,6〕デカン、4,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5.2.1.02,6〕デカン、3,9−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5.2.1.02,6〕デカン、4,9−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5.2.1.02,6〕デカン、1,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン、1,8−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン、1,8−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂との相溶性の観点から、芳香族の共役が少ないものが好ましい。以上の化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
【0035】
本実施形態におけるエポキシ化合物とは、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物のことをいう。このようなエポキシ化合物は、例えば、モノマー、オリゴマー及びポリマーのいずれであってもよいし、低分子化合物及び高分子化合物のいずれであってもよい。また、エポキシ化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
【0036】
このようなエポキシ化合物として、下記式(B−1)、式(B−2)、式(B−3)、式(B−4)、式(B−5)、式(B−6)、式(B−7)、式(B−8)、式(B−9)で表される化合物が好ましい。
【0037】
【化4】
【0038】
【化5】
【0039】
【化6】
【0040】
【化7】
【0041】
【化8】
【0042】
【化9】
【0043】
【化10】
【0044】
【化11】
【0045】
【化12】
【0046】
使用可能なエポキシ化合物(エポキシ系樹脂)としては、例えば、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、脂肪族ジグリシジルエーテル、多官能グリシジルエーテル、3級脂肪酸モノグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、グリシジルプロポキシトリメトキシシラン、さらに、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートなどの脂環式エポキシ系化合物等が挙げられる。これらのエポキシ系化合物はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよく、また、これらのエポキシ系化合物は誘導体も含有する。そして、これらのエポキシ系化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
本実施形態においては、マレイミド化合物とエポキシ化合物との重量比が、マレイミド化合物:エポキシ化合物=5:95〜95:5であるのが好ましく、マレイミド化合物:エポキシ化合物=25:75〜75:25であるのがより好ましい。
【0048】
本実施形態で使用される、光塩基発生剤とは、紫外線(UV)、電子線、X線、赤外線、可視光線等の活性エネルギー線の露光により塩基を発生する物質をいう。
【0049】
このような光塩基発生剤としては、特に限定されないが、光を照射することによって塩基を発生するものであり、o−ニトロベンジル型光塩基発生剤、o−ニトロベンジルカルバメート型光塩基発生剤、(3,5−ジメトキシベンジルオキシ)カルボニル型光塩基発生剤、アミロキシイミノ基型光塩基発生剤、ジヒドロピリジン型光塩基発生剤、ボレート型塩基発生剤等が挙げられる。なかでも、塩基発生効率と合成の簡便性に優れているため、o−ニトロベンジル型光塩基発生剤が好ましく用いられる。光塩基発生剤の具体例としては、例えば、オキシムエステル系化合物、アンモニウム系化合物、ベンゾイン系化合物、ジメトキシベンジルウレタン系化合物、オルトニトロベンジルウレタン系化合物等が挙げられる。より詳細には、例えば、9−アンスリルメチル N,N−ジエチルカルバメート、(E)−1−[3−(2−ヒドロキシフェニル)−2−プロペノイル]ピペリジン、グアニジニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート、1−(アントラキノン−2−イル)エチルイミダゾールカルボキシレート、2−ニトロフェニルメチル4−メタクリロイルオキシピペリジン−1−カルボキシラート、1−(アントラキノン−2−イル)−エチルN,N−ジシクロヘキシルカルバメート、ジシクロヘキシルアンモニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート、シクロヘキシルアンモニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオナート、9−アントリルメチルN,N−ジシクロヘキシルカルバメート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサメチレン−ビス(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルカルバメート)、ビス(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)4,4‘−(プロパン−1,3−ジイル)ビス(ピペリジン−1−カルボキシレート)等が好ましい。
【0050】
本実施形態においては、一般的な製造条件として光照射が365nmで行われるため、この波長に適した光塩基発生剤を使用することが好ましい。但し、この光塩基発生剤に限られるものではない。
【0051】
本実施形態においては、光塩基発生剤が、前記マレイミド化合物と前記エポキシ化合物の和に対し、1重量%以上40重量%以下配合されるのが好ましく、5重量%以上35重量%以下配合されるのがより好ましく、8重量%以上30重量%以下配合されるのが更に好ましい。
【0052】
本実施形態においては、必要により、塩基の作用で増殖的に塩基を発生する塩基増殖剤を含有させることが好ましい。本実施形態の光架橋性樹脂組成物に塩基増殖剤を含有させることにより、当該樹脂組成物の感度をさらに向上させることができる。また、塩基増殖剤を含有させることにより厚みのある架橋物を形成させることができる。更に、光が樹脂膜深部に到達しない場合(感光層が厚い場合や多量の染料や顔料を含む場合等。)には、表面層で光化学的に発生した塩基の作用、及び塩基増殖剤による塩基増殖反応が開始されることにより、熱化学的に、かつ連鎖的に塩基が生成するので、膜深部の塩基触媒反応を起こすことが期待できる。使用できる塩基増殖剤としては、特に制限はないが、例えば、特開2000−330270号公報、特開2002−128750号公報や、K.Arimitsu、M.Miyamoto and K.Ichimura,Angew.Chem.Int.Ed.,39,3425(2000)、等に開示される塩基増殖剤が挙げられる。塩基増殖剤の添加量は、使用する光塩基発生剤や塩基反応性化合物等により適宜決定すればよいが、光架橋性樹脂組成物全体に対して1〜40重量%の範囲であることが好ましく、5〜20重量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0053】
本実施形態においては、架橋波長領域を拡大し、感度を高めるべく、増感剤を添加することができる。使用できる増感剤としては、特に限定はないが、例えば、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p’−テトラエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3’−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)またはコロネン等が挙げられる。これらの増感剤は、以上の化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に設定してもよい。
【0054】
本発明の光架橋性樹脂組成物において、増感剤の添加量は、使用する光塩基発生剤や塩基反応性化合物、及び必要とされる感度等により適宜決定すればよいが、光架橋性樹脂組成物全体に対して1〜30重量%の範囲であることが好ましい。増感剤が1重量%より少ないと、感度が十分に高められないことがある一方、増感剤が30重量%を超えると、感度を高めるのに過剰となることがある。増感剤の添加量は、光架橋性樹脂組成物全体に対して5〜20重量%の範囲であることが特に好ましい。
【0055】
本実施形態においては、硬化剤を含むのも好ましい。このような硬化剤として、酸無水物、芳香族アミン、脂環式アミン、脂肪族アミン、ノボラック型ポリフェノール、クレゾールノボラック、ポリアリルフェノール、ポリアリルフェニルエーテル等が挙げられる。硬化剤の含有量は任意に設定できる。
【0056】
本実施形態の光架橋性樹脂組成物を所定の基材に塗布等する場合にあっては、必要により、溶媒を適宜含有するようにしてもよい。光架橋性樹脂組成物に溶媒を含有させることにより、塗布能力を高めることができ、作業性が良好となる。溶媒としては、特に限定はないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素水素化合物;ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;シクロヘキサン、シクロヘキセン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジペンテン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、テトラヒドロナフタレン、スクワラン、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン等の飽和または不飽和炭化水素化合物;ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソアミル、ステアリン酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0057】
本実施形態において、溶媒の含有量は、例えば、所定の基材上に光架橋性樹脂組成物を塗布し、光架橋性樹脂組成物による層を形成する際に、均一に塗工されるように適宜選択すればよい。
【0058】
なお、本実施形態の光架橋性樹脂組成物には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、添加剤を適宜添加するようにしてもよい。使用することができる添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、可塑剤、可塑促進剤、タレ防止剤、硬化促進剤、充填剤等が挙げられ、これらの1種類を単独で用いるようにしてもよく、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0059】
[2]架橋物:
次に、本発明の架橋物の実施形態について説明する。本実施形態の架橋物は、前述した光架橋性樹脂組成物が光照射によって架橋させられて形成されるものである。例えば、下記スキームに示すように光照射により、光架橋性樹脂組成物中の光塩基発生剤は塩基を発生する。発生した塩基がマレイミド化合物とエポキシ化合物のそれぞれと反応し、架橋を形成する。
【0060】
【化13】
【0061】
[3]架橋物の製造方法:
次に、本発明の架橋物の製造方法の実施形態について説明する。本実施形態の架橋物の製造方法は、前述した光架橋性樹脂組成物に光照射し、架橋させることによって架橋物を形成するものである。最初に、所定の量のマレイミド化合物、エポキシ化合物及び光塩基発生剤を混合して混合物を調製する。調製に際しては、混合した成分を完全に溶解させる観点から、適宜、クロロホルム等の有機溶媒を添加してもよい。成分の混合方法は、特に制限されないが、例えば、3成分を一括で混合する方法、2成分を混合した後に残る1成分を混合する方法等、種々の方法により混合することができる。このようにして得られる光架橋性樹脂組成物は、一液型の塗工液としても用いることができる。
【0062】
次に、光架橋性樹脂組成物を各種基材に塗工した後、活性エネルギー線等の光を照射して、光架橋性樹脂組成物を架橋させる。塗工方法としては、特に制限されないが、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、ロール、スピン、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷等が挙げられる。
【0063】
このような光照射に使用する活性エネルギー線として、紫外線(UV)、遠紫外線、近紫外線、赤外線、可視光線等の光線、X線、γ線等の電磁波、電子線、プロトン線、中性子線等が使用できる。硬化速度、装置の入手のし易さ等から紫外線を使用するのが好ましい。
【0064】
紫外線を使用する方法として、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を使用する方法が挙げられる。
【0065】
照射される活性エネルギー線は、波長190〜400nmの活性エネルギー線を使用するのが好ましく、波長200〜370nmの活性エネルギー線を使用するのがより好ましい。特に、波長365nmの活性エネルギー線を使用することが好ましい。
【0066】
活性エネルギー線の照射は、露光量100〜40000mJ/cmにて行われるのが好ましく、露光量5000〜30000mJ/cmにて行われるのがより好ましい。特に、露光量10000mJ/cmにて行われるのが好ましい。
【0067】
本実施形態においては、光照射と同時に、又は光照射後に光架橋性樹脂組成物を加熱し、架橋させることも好ましい。光照射と同時に加熱することには、光架橋性樹脂組成物が外部熱源によって加熱処理されなくとも、光照射によってのみ発熱することも含まれ得る。また、光照射後に光架橋性樹脂組成物を加熱することには、外部熱源等を使用して積極的に加熱することも含まれ得る。加熱は、雰囲気温度50〜230℃にて行われるのが好ましく、100〜200℃にて行われるのがより好ましく、120〜160℃にて行われるのが更に好ましい。
【0068】
本実施形態においては、マレイミド化合物の架橋温度よりも遙かに低い温度で加熱することにより、ある程度の強度を有し、かつ柔軟な架橋物を短時間で製造することができる。また、マレイミド化合物の架橋温度よりも高い温度で加熱することにより、強靭でかつ耐熱性の高い架橋物を製造することができる。
【0069】
本実施形態の光架橋性樹脂組成物を塗工する対象である基材としては、例えば、シリコンウェハー、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン系樹脂等やそれらの成型品(フィルム、シート等)、金属基材(アルミニウム、銅、鉄、SUS、亜鉛、マグネシウム、これらの合金等)、金属蒸着膜、ガラス等が挙げられる。
【実施例】
【0070】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例についての各成分の配合割合は表1に示す。
【0071】
[光架橋性樹脂組成物及び架橋物の製造]
【0072】
[実施例1〜5、比較例1〜3]
式(A2−i)で表されるマレイミド化合物(商品名:BMI、ケイ・アイ化成社製)0.5重量部と式(B−1)で表されるエポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名:jER828、三菱ケミカル社製)0.5重量部(重量比1:1)を混合後、クロロホルム8重量部に溶解し、下記式(C−1)で表される光塩基発生剤0.09重量部を添加して光架橋性樹脂組成物を調製した。
【0073】
【化14】
【0074】
【表1】
【0075】
その後、調製した光架橋性樹脂組成物をシリコンウェハー上に塗布し、スピンコートを用いて1500rpmで30秒塗膜を作製し、その後60℃にて3分間プリベイクを行なった。365nmの光(50mW/cm)を10000mJ/cm照射後、140℃で60分間加熱して架橋物を調製した。
【0076】
実施例1は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が5:5であり、実施例2は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が3:7であり、実施例3は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が7:3であり、実施例4は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が1:9であり、実施例5は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が9:1である。比較例1は、365nmの光(50mW/cm2)を0mJ/cm照射であり、比較例2は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が10:0であり、比較例3は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が0:10である。
【0077】
シリコンウェハー上における架橋物のFT−IRスペクトル変化を観察した。結果を図1に示す。図1は、365nmの光(50mW/cm)を0(破線)または10000mJ/cm照射後(実線)、140℃で加熱時におけるjER828とBMIの官能基の消費を示す図である。
【0078】
図1の結果より、FT−IRスペクトル上でBMI(690cm−1付近のマレイミド由来ピーク)が大きく減少し、反応が進行していることが確認できた。jER828(910cm−1付近のエポキシ由来ピーク)も徐々に減少した。光架橋性樹脂組成物中において、マレイミドはエポキシよりも速くアミンと反応していることが示された。一方、未露光の場合は、BMI、jER828のいずれも、ほぼ減少を確認できず、反応が進行していないことが確認された。
【0079】
得られた架橋物の鉛筆硬度をJIS K 5600−5−4に準じて測定した。高硬度の架橋物の評価を、硬度B以上のものとした。結果を図2に示す。図2は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の混合樹脂に関する鉛筆硬度を示す図である。
【0080】
図2の結果より、光架橋性樹脂組成物中において、マレイミド化合物の割合が増加するにしたがい鉛筆硬度の上昇が確認され、実施例1(重量比が1:1)のときに最高硬度3Hが得られた。比較例3に示されるように、エポキシ樹脂単独では硬化せず、比較例2に示されるように、マレイミド化合物単独では鉛筆硬度が5Bとなって十分な硬度が得られなかった。
【0081】
[耐熱性の評価]
試料として実施例1〜3、比較例3を使用し、300℃における重量減少率を測定した。結果を図3に示す。図3は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の混合樹脂に関する耐熱性の評価結果を示す図である。
【0082】
図3の結果より、実施例1から実施例3に示される本発明の架橋物は、マレイミド化合物を含まない比較例3の架橋物よりも重量減少率が遙かに小さく、耐熱性に優れていることが示された。
【0083】
[実施例6〜10、比較例4、5]
式(A2−i)で表されるマレイミド化合物(商品名:BMI、ケイ・アイ化成社製)0.5重量部と式(B−1)で表されるエポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名:jER828、三菱ケミカル社製)0.5重量部(重量比1:1)を混合後、クロロホルム8重量部に溶解し、式(C−1)で表される光塩基発生剤0.09重量部を添加して光架橋性樹脂組成物を調製した。
【0084】
その後、調製した光架橋性樹脂組成物をシリコンウェハー上に塗布し、スピンコートを用いて1500rpmで30秒塗膜を作製し、その後60℃にて3分間プリベイクを行なった。365nmの光(50mW/cm)を10000mJ/cm照射後、140℃で60分間加熱後、更に180℃で60分間加熱して架橋物を調製した。
【0085】
実施例6は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が5:5であり、実施例7は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が3:7であり、実施例8は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が7:3であり、実施例9は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が1:9であり、実施例10は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が9:1である。比較例4は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が10:0であり、比較例5は、エポキシ化合物(jER828)とマレイミド化合物(BMI)の重量比が0:10である。
【0086】
図4の結果より、光架橋性樹脂組成物中において、更に180℃で60分間加熱することで実施例3、実施例5と比較して実施例8、実施例10の鉛筆硬度の上昇が確認された。比較例4においては、更なる加熱を行なうことで架橋物が脆くなり鉛筆硬度の測定が出来なかった。
【0087】
[実施例11]
式(A2−ii)で表されるマレイミド化合物(商品名:BMI−70、ケイ・アイ化成社製)0.5重量部と式(B−1)で表されるエポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名:jER828、三菱ケミカル社製)0.5重量部(重量比1:1)を混合後、クロロホルム8重量部に溶解し、式(C−1)で表される光塩基発生剤0.09重量部を添加して光架橋性樹脂組成物を調製した。
【0088】
その後、調製した光架橋性樹脂組成物をシリコンウェハー上に塗布し、スピンコートを用いて1500rpmで30秒塗膜を作製し、その後60℃にて3分間プリベイクを行なった。365nmの光(50mW/cm)を10000mJ/cm照射後、140℃で60分間加熱して架橋物を調製した。
【0089】
[実施例12]
実施例11の式(A2−ii)を式(A2−iii)で表されるマレイミド化合物(商品名:BMI−80、ケイ・アイ化成社製)に変更した以外は実施例11と同様の操作で架橋物を調製した。
【0090】
[実施例13]
実施例11の式(B−1)を式(B−6)で表されるエポキシ樹脂(試薬、東京化成工業社製)に変更した以外は実施例11と同様の操作で架橋物を調製した。
【0091】
[実施例14]
実施例11の式(C−1)を式(C−2)で表される塩基発生剤に変更した以外は実施例11と同様の操作で架橋物を調製した。
【0092】
【化15】
【0093】
図5の結果より、マレイミド化合物、エポキシ樹脂、および光塩基発生剤を変化させても、マレイミド化合物を配合することで高い鉛筆硬度を持つ架橋物が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、光反応性が向上し、高強度の架橋物を形成することが可能な光架橋性樹脂組成物を提供することができる。従って、本発明の光架橋性樹脂組成物及びその架橋物は、塗料、プリンターインク、接着剤、レジストインク、複合材料マトリックス樹脂、フレキシブルプリント基板等の分野で有用である。
図1
図2
図3
図4
図5