特開2019-197788(P2019-197788A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友金属鉱山株式会社の特許一覧
特開2019-197788金属配線プラスチック基板の製造方法
<>
  • 特開2019197788-金属配線プラスチック基板の製造方法 図000003
  • 特開2019197788-金属配線プラスチック基板の製造方法 図000004
  • 特開2019197788-金属配線プラスチック基板の製造方法 図000005
  • 特開2019197788-金属配線プラスチック基板の製造方法 図000006
  • 特開2019197788-金属配線プラスチック基板の製造方法 図000007
  • 特開2019197788-金属配線プラスチック基板の製造方法 図000008
  • 特開2019197788-金属配線プラスチック基板の製造方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-197788(P2019-197788A)
(43)【公開日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】金属配線プラスチック基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/10 20060101AFI20191018BHJP
【FI】
   H05K3/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-90291(P2018-90291)
(22)【出願日】2018年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅川 吉幸
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343BB01
5E343BB71
5E343DD33
5E343DD43
5E343EE34
5E343EE35
5E343EE36
5E343GG11
(57)【要約】
【課題】加工時間やコストがかかる研磨処理を省略、または少なくできる金属配線プラスチック基板の製造方法を提供する。
【解決手段】金属配線プラスチック基板の製造方法は、凹部形成工程と、スパッタリングにより第1金属層14を形成する第1金属層形成工程と、プラスチックフィルム11の凹部12の側面12a以外の表面に存在する第1金属層14に、電気めっきにより第2金属層15を選択的に形成する第2金属層形成工程と、が含まれる。第1金属層形成工程で、スパッタリングにより第1金属層が形成されることにより、第2金属層15が形成されない部分が特定され、導電を行う第2金属層15が凹部12の側面12a以外の表面に形成される。これにより配線構造を確保するための研磨処理を省略できたり、それにかける時間を少なくできたりする。また安価に金属配線プラスチック基板を製造することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムの表面に凹部を形成する凹部形成工程と、
前記プラスチックフィルムに、スパッタリングにより第1金属層を形成する第1金属層形成工程と、
前記プラスチックフィルムの凹部の側面以外の表面に存在する前記第1金属層に、電気めっきにより第2金属層を選択的に形成する第2金属層形成工程と、が含まれる、
ことを特徴とする金属配線プラスチック基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1金属層形成工程のあとに、
前記凹部の側面に形成された前記第1金属層を除去する除去工程が含まれる、
ことを特徴とする請求項1記載の金属配線プラスチック基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1金属層形成工程の前に、前記プラスチックフィルムに前記第1金属層との密着性を高めるための表面処理を行う表面処理工程が含まれる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属配線プラスチック基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2金属層形成工程後の前記プラスチックフィルムの表面に、前記プラスチックフィルムと同じ性質を持つ封止フィルムを熱圧着して、前記配線を封止する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の金属配線プラスチック基板の製造方法。
【請求項5】
前記凹部形成工程が、熱インプリントにより凹部を形成する工程であり、
前記プラスチックフィルムが、シクロオレフィンポリマーフィルムである、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の金属配線プラスチック基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属配線プラスチック基板の製造方法に関する。さらに詳しくは、微細な回路パターンを形成することが可能となる金属配線プラスチック基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属配線プラスチック基板の製造方法としては、銅張積層板を用いて、エッチングなどで配線を形成する方法が一般的である。しかし、より微細な回路パターンを形成するために、たとえばインプリント法による配線形成法が提案されている。インプリント法として、熱インプリント法、光インプリント法が挙げられる。熱インプリント法を用いた金属配線プラスチック基板の製造方法は、特許文献1に開示されている。すなわち、凹凸のパターンを有する金型が、加熱された状態で基板(プラスチックフィルムなど)へ加圧されることで、この基板の表面が成形される(請求項1の(A)、(B))。金型の微細表面形状が基板へ転写されたあと、無電解めっき法によって基板の表面に金属膜が形成される(請求項1の(D))。その後、電気めっき等で金属厚膜が形成され(請求項1の(E))、不要な部分がエッチングで除去される(請求項1の(F))ことで、配線パターンが形成された金属配線プラスチック基板が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−303438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無電解めっき法で金属膜が形成されたあと、電解めっき工程で金属厚膜が形成される場合、無電解めっき法ではプラスチックフィルムの全体へ均等に金属膜が形成されるため、プラスチックフィルム全体に金属厚膜が形成される。そしてこの金属厚膜うち配線間の絶縁を確保するためにプラスチックフィルムの凸部の頂面や側面に積層された金属厚膜を除去する必要がある。このためこの金属厚膜の除去の負荷が増大するという問題がある。
【0005】
詳細を説明すると、特許文献1では、基板の表面に凹部が形成されたあと、無電解めっきによって金属膜が基板の全面に形成され、この金属膜の上に金属厚膜が積層されている。このため形成された金属膜および金属厚膜のうち、樹脂層凸部の頂面や側面にあるものを研磨処理により除去する必要があり、加工時間がかかるとともにコストが大きくなる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、配線として用いない部分、すなわち金属厚膜が形成されてはいけない部分を金属厚膜形成前に特定し、これにより金属厚膜の形成を抑制することができ、加工時間またはコストがかかる研磨処理を省略、または少なくできる金属配線プラスチック基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の金属配線プラスチック基板の製造方法は、プラスチックフィルムの表面に凹部を形成する凹部形成工程と、前記プラスチックフィルムに、スパッタリングにより第1金属層を形成する第1金属層形成工程と、前記プラスチックフィルムの凹部の側面以外の表面に存在する前記第1金属層に、電気めっきにより第2金属層を選択的に形成する第2金属層形成工程と、が含まれることを特徴とする。
第2発明の金属配線プラスチック基板の製造方法は、前記第1金属層形成工程のあとに、前記凹部の側面に形成された前記第1金属層を除去する除去工程が含まれることを特徴とする。
第3発明の金属配線プラスチック基板の製造方法は、第1発明または第2発明において、前記第1金属層形成工程の前に、前記プラスチックフィルムに前記第1金属層との密着性を高めるための表面処理を行う表面処理工程が含まれることを特徴とする。
第4発明の金属配線プラスチック基板の製造方法は、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記第2金属層形成工程後の前記プラスチックフィルムの表面に、前記プラスチックフィルムと同じ性質を持つ封止フィルムを熱圧着して、前記配線を封止することを特徴とする。
第5発明の金属配線プラスチック基板の製造方法は、第1発明から第4発明のいずれかにおいて、前記凹部形成工程が、熱インプリントにより凹部を形成する工程であり、前記プラスチックフィルムが、シクロオレフィンポリマーフィルムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、第1金属層形成工程で、スパッタリングにより第1金属層が形成されることにより、プラスチックフィルムの凹部の側面には必要な第1金属層が形成されないので、第2金属層が形成されない部分が特定され、導電を行う第2金属層が凹部の側面以外の表面に形成される。これにより配線構造を確保するための研磨処理を省略できたり、それにかける時間を少なくできたりする。また、安価に金属配線プラスチック基板を製造することができる。
第2発明によれば、第1金属層形成工程のあとに、除去工程で凹部の側面に形成された第1金属層が除去されるので、第2金属層が形成されてはいけない部分、すなわち凹部の側面の第2金属層の形成が抑制される。これにより確実に金属配線プラスチック基板を製造することができる。
第3発明によれば、第1金属層形成工程の前に、プラスチックフィルムに第1金属層との密着性を高めるための表面処理が行うことにより、第1金属層とプラスチックフィルムとの間の密着性を高めることができる。
第4発明によれば、第2金属層形成工程後のプラスチックフィルムの表面に、このプラスチックフィルムと同じ性質を持つ封止フィルムで配線を封止することにより、熱などに対する特性が同じであるので、封止の加工が容易になる。
第5発明によれば、凹部形成工程が、熱インプリントにより行われ、プラスチックフィルムがシクロオレフィンポリマーフィルムであることにより、熱インプリント後の離形が容易に行われ、凹部形成が容易に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る金属配線プラスチック基板の製造方法の全体説明図である。
図2図1の金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する凹部形成工程の説明図である。
図3図1の金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する第1金属層形成工程の説明図である。
図4図1の金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する除去工程の説明図である。
図5図1の金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する第2金属層形成工程の説明図である。
図6図1の金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する切断工程の説明図である。
図7図1の金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する封止工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための金属配線プラスチック基板の製造方法を例示するものであって、本発明は金属配線プラスチック基板の製造方法を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0011】
図1には、本発明の第1実施形態に係る金属配線プラスチック基板10の製造方法の全体の概略が示されている。図1に示すように、本発明に係る金属配線プラスチック基板の製造方法は、プラスチックフィルム11に対し、凹部形成工程、スパッタリングによる第1金属層形成工程、除去工程、電気めっきによる第2金属層形成工程、切断工程など複数の工程を経て金属配線プラスチック基板10を製造する方法である。以下各工程、および各工程で用いられる材料について説明する。
【0012】
(プラスチックフィルム11)
本実施形態に係るプラスチックフィルム11の材料は、凹部形成工程で用いられる方法に対して最適な材料が選択される。凹部形成工程が熱インプリントで行われる場合、熱可塑性を有する各種プラスチック材料により形成されたプラスチックフィルム11が好適に用いられる。
【0013】
熱インプリントが行われる際のプラスチックフィルム11の材料としては、たとえばオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレートなどの対熱性樹脂、またはポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、液晶ポリマー系樹脂から選択された1種以上の熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、プラスチックフィルム11の材料として2種以上の樹脂を混合した材料が用いられる場合もある。
【0014】
プラスチックフィルム11として、たとえばオレフィン系樹脂の一つであるシクロオレフィンポリマーフィルムを用いる場合、商業的に流通しているフィルムである日本ゼオン株式会社製のゼオノア(登録商標)シリーズ等が好適に用いられる。なお、ゼオノア(登録商標)シリーズは、吸水量がほぼゼロであるため、後述する各工程において加熱処理はほとんど必要ない。
【0015】
凹部形成工程が、熱インプリントにより行われ、プラスチックフィルム11がシクロオレフィンポリマーフィルムである場合は、熱インプリント後の離形が容易に行われ、凹部形成が容易に行われる。
【0016】
プラスチックフィルム11の厚さは特に限定されるものではないが、たとえば、プラスチックフィルム11の厚さは、5μm以上、さらに好適には10μm以上であることが好ましい。
【0017】
後述する凹部形成工程が光インプリントで行われる場合、プラスチックフィルム11は光硬化性を有する樹脂から製造される。たとえば、光硬化性を有する樹脂としては、東洋合成工業株式会社のUVナノインプリント用樹脂PAK−01が用いられる。
【0018】
(凹部形成工程)
図2には、本実施形態にかかる金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する凹部形成工程の説明図が示されている。図2は、上側に示されているプラスチックフィルム11が、凹部形成工程を経て、下側に示されているプラスチックフィルム11となる状態を表している。図(A−1)はプラスチックフィルム11の一部を斜視方向から見た図であり、図(A−2)はプラスチックフィルム11の正面図である。また図(B−1)は、凹部形成工程後のプラスチックフィルム11の一部を斜視方向から見た図であり、図(B−2)は、凹部形成工程後のプラスチックフィルム11の正面図である。
【0019】
凹部形成工程は、公知の熱インプリントまたは光インプリントで行われる。熱インプリントで凹部形成工程が行われる場合、プラスチックフィルム11はあらかじめ加熱されて軟化している状態で、金型(不図示)に押し付けられる。金型に押し付けられることで、金型の表面のパターンがプラスチックフィルム11に形成される。このパターンの一つの例が、図1の図(B−1)、図(B−2)に示されている。図(B−1)、図(B−2)では、4つの凹部12と3つの凸部13とが形成されている。このパターンが形成されたあとプラスチックフィルム11は冷却される。
【0020】
凹部形成工程が、光インプリントで行われる場合、パターンが設けられた石英等の基板上にスピンコート塗布により光硬化性を有する樹脂が供給され、波長365nmの紫外線が高圧水銀ランプにより照射され、100mJ/cmでほぼ完全に硬化し、光硬化性を有する樹脂はプラスチックフィルム11となり、この時点で凹部形成工程が完了している。
【0021】
なお、この凹部形成工程の前後いずれか、すなわち後述する第1金属層形成工程を実施する前に、プラスチックフィルム11に第1金属層14(図3参照)との密着性を高めるための表面処理を行う表面処理工程が行われる場合がある。この場合、プラスチックフィルム11の一方の面、または両面に、たとえば真空プロセスであれば、プラズマ照射、またはイオンビーム照射の表面処理が行われる。大気中のプロセスであれば、コロ放電処理、または大気圧プラズマ処理の表面処理が行われる。なお、プラスチックフィルム11からの揮発成分がある場合は、表面処理の前に、プラスチックフィルム11が加熱される場合もある。
【0022】
第1金属層形成工程の前に、プラスチックフィルム11に第1金属層14との密着性を高めるための表面処理が行われる場合は、第1金属層14とプラスチックフィルム11との間の密着性を高めることができる。
【0023】
(第1金属層形成工程)
図3には、本実施形態にかかる金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する第1金属層形成工程の説明図が示されている。図3は、上側に示されているプラスチックフィルム11が、第1金属層形成工程を経て、下側に示されているプラスチックフィルム11となる状態を表している。図(B−1)、図(B−2)は、図2のものと同じである。また図(C−1)は、第1金属層形成工程後のプラスチックフィルム11の一部を斜視方向から見た図であり、図(C−2)は、第1金属層形成工程後のプラスチックフィルム11の正面図である。また、図(C−2)の一部について拡大された図が記載されている。
【0024】
第1金属層14の材料は、用途に応じて適切な電気伝導率を有する材料が選択される。たとえば、第1金属層14の材料は、CuとNi、Mo、Ta、Ti、V、Cr、Fe、Mn、Co、Wから選択される少なくとも1種の金属との銅合金、または銅を含む材料であることが好ましい。また、第1金属層14は銅単体から構成される銅層とすることもできる。
【0025】
凹部12の底面、または凸部13の頂面に形成される第1金属層14の厚さは、たとえば10nm以上500nm以下とする。第2金属層15の形成は、後述するように、湿式の電気めっきにより行われるが、第1金属層14の厚さが10nm以上であることで、電気めっきを行う際に十分な給電量が確保されるからである。また500nmを超えると、スパッタリングに必要となる時間が長くなる。このため第1金属層14の厚さは500nm以下とする。なお、第1金属層14の厚さは、さらに好ましくは、50nm以上350nm以下の厚さとする。
【0026】
凹部形成工程後のプラスチックフィルム11には、物理蒸着の一つであるスパッタリングにより第1金属層14が形成される。図3の図(C−2)の拡大図に示すように、スパッタリングにより第1金属層14が形成されると、スパッタリングによる粒子の積層は方向性があるため、第1金属層14は、凹部12の底面、または凸部13の頂面には比較的厚く形成され、凹部12の側面12aには比較的薄く形成される。
【0027】
(除去工程)
図4には、本実施形態にかかる金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する除去工程の説明図が示されている。図4は、上側に示されているプラスチックフィルム11が、除去工程を経て、下側に示されているプラスチックフィルム11となる状態を表している。図(C−1)、図(C−2)は、図3のものと同じである。また図(D−1)は、除去工程後のプラスチックフィルム11の一部を斜視方向から見た図であり、図(D−2)は、除去工程後のプラスチックフィルム11の正面図である。また、図(D−2)の一部について拡大された図が記載されている。
【0028】
図4の図(D−2)に示すように、除去工程では、エッチングにより凹部12の側面12aに形成された第1金属層14が除去される。凹部12の側面12aに形成された第1金属層14は、比較的薄く形成されているので、第1金属層形成工程後のプラスチックフィルム11全体をエッチングすると、エッチングはどのような面も同じように均等に除去が進行するので、側面12aの部分の第1金属層14が早くなくなる。そして凹部12の底面、または凸部13の頂面の第1金属層14は、除去工程後も残存する。
【0029】
第1金属層形成工程のあとに、除去工程で凹部12の側面12aに形成された第1金属層14が除去されるので、第2金属層15が形成されてはいけない部分、すなわち凹部12の側面12a、または場合によっては凹部12の底面の第2金属層15の形成が抑制される。これにより確実に金属配線プラスチック基板10を製造することができる。
【0030】
なお、スパッタリングによる第1金属層14の形成状態によっては、除去工程は省略される場合がある。たとえば、凹部12の側面12aに第1金属層14が形成されていない場合、または形成されたとしても第1金属層14の厚さが、後述する第2金属層15を形成するための給電量として十分に確保できない場合は、除去工程は省略される。
【0031】
(第2金属層形成工程)
図5には、本実施形態にかかる金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する第2金属層形成工程の説明図が示されている。図5は、上側に示されているプラスチックフィルム11が、第2金属層形成工程を経て、下側に示されているプラスチックフィルム11となる状態を表している。図(D−1)、図(D−2)は、図4のものと同じである。また図(E−1)は、第2金属層形成工程後のプラスチックフィルム11の一部を斜視方向から見た図であり、図(E−2)は、第2金属層形成工程後のプラスチックフィルム11の正面図である。また、図(E−2)の一部について拡大された図が記載されている。
【0032】
第2金属層15の材料は、第1金属層14の材料と同じく、用途に応じて選定される。具体的には第1金属層14で例示されたものが用いられる。なお、第1金属層14および第2金属層15は同じ材料から構成される場合もあり、異なる材料から構成される場合もある。
【0033】
第2金属層15の厚さは、金属配線プラスチック基板10に要求される電流の供給量、またはこの金属配線プラスチック基板10が加工される際の条件などに応じて任意に選択される。たとえば第2金属層15の厚さは、第1金属層14の厚さと合わせて、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、0.3μm以上15μm以下であることがより好ましい。なおアスペクト比を考慮すると、凸部13の高さをa、第1金属層14の厚さをb、第2金属層15の厚さをcとした場合に、0.4×a≧b+cを満足するように各パラメータが定められているのが好ましい。
【0034】
除去工程後のプラスチックフィルム11には、電気めっきにより第2金属層15が選択的に形成される。「選択的に」とは、プラスチックフィルム11の全体に電気めっきを行うのではなく、プラスチックフィルム11に部分的に電気めっきを行うことを意味する。本実施形態では凸部13の頂面に通電させて電気めっきが行われているが、凹部12の底面、および凹部12の側面12aには電気めっきが行われていない。図5の図(C−2)の拡大図に示すように、スパッタリングにより形成された第1金属層14に積み重なるように第2金属層15が形成されている。
【0035】
なお、電気めっきを行う際には、凹部12の底面および凸部13の頂面の両方、または凹部12の底面のみに通電することも可能である。
【0036】
(切断工程)
図6には、金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する切断工程の説明図が示されている。図6は、上側に示されているプラスチックフィルム11が、切断工程を経て、下側に示されているプラスチックフィルム11となる状態を表している。図(E−1)は、図5の図(E−1)に記載のものから、フラッシュエッチングを経て凹部12の底の第1金属層14が除去されたものである。また図(F−1)は、切断工程後のプラスチックフィルム11の一部を斜視方向から見た図である。
【0037】
切断工程は、配線で用いられる以外の部分をパンチング等で切断する工程である。このように切断することで、絶縁抵抗が高く、矩形性に優れた配線パターンを得ることができる。
【0038】
(封止工程)
図7には、金属配線プラスチック基板の製造方法を構成する封止工程の説明図が示されている。図7は、上側に示されているプラスチックフィルム11が、封止工程を経て、下側に示されているプラスチックフィルム11となる状態を示している。図(F−1)は、図6のものと同じである。また図(G−1)は、封止工程後のプラスチックフィルム11の一部を斜視方向から見た図である。
【0039】
切断工程後のプラスチックフィルム11は、配線部分がプラスチックフィルム11と同じ性質を持つ封止フィルム16で覆われて封止されて、金属配線プラスチック基板10となる。このとき、配線部分を覆う封止フィルム16は、本発明の金属配線プラスチック基板の製造方法において凹部12が形成されたプラスチックフィルム11と同じ材質であることが好ましい。すなわち、凹部12が形成されたプラスチックフィルム11がシクロオレフィンポリマーフィルムである場合、シクロオレフィンポリマーフィルムである封止フィルム16で配線部分を覆うことが好ましい。
【0040】
第2金属層形成工程後のプラスチックフィルム11の表面に、このプラスチックフィルム11と同じ材質の封止フィルム16で配線を封止する場合、熱などに対する特性が同じであるので、封止の加工が容易になる。
【0041】
上記のように、金属配線プラスチック基板10が製造される、すなわち、第1金属層形成工程で、第1金属層14がスパッタリングによりが形成されると、プラスチックフィルム11の凹部12の側面12aには第1金属層14が形成されないので、導電を行う第2金属層15が形成されていけない部分が、第2金属層15を形成する前に特定される。すなわち第2金属層15は、凹部12の側面12a以外の表面に形成され、凹部12の側面12aには形成されない。これにより従来配線を絶縁するために必要であった研磨処理を省略できたり、それにかける時間を少なくできたりする。また安価に金属配線プラスチック基板10を製造することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 金属配線プラスチック基板
11 プラスチックフィルム
12 凹部
12a 側面
14 第1金属層
15 第2金属層
16 封止フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7