【解決手段】センシング工程では、ロボットアームにより基板がセンシング領域を移動することによりセンサからセンシング情報が取得される。中心位置算出工程では、センシング情報に基づいて、ロボットアームに対する基板の中心位置が算出される。マーカー検出工程では、基板のエッジがセンシング領域内にある状態で、ロボットアームを制御して基板の中心位置を中心として基板を回転させることにより、センサにより基板の基準方向を示すマーカーが検出される。向き算出工程では、基板のマーカーの位置に基づいて、ロボットアームに対する基板の向きが算出される。補正量算出工程では、基板の中心位置および向きに基づいて補正量が算出される。載置工程では、補正量に応じた中心位置および向きとなるように、基板が処理室内のステージに載置される。
センサによってセンシングされる真空搬送室内の領域であるセンシング領域を基板が通過するように、前記真空搬送室内に配置されたロボットアームにより前記基板を移動させることによりセンサからセンシング情報を取得するセンシング情報取得工程と、
前記センシング情報に基づいて、前記ロボットアームに対する前記基板の中心位置を算出する中心位置算出工程と、
前記基板のエッジが前記センシング領域内にある状態で、前記ロボットアームを制御して前記中心位置を中心として前記基板を回転させることにより、前記センサにより前記基板の基準方向を示すマーカーを検出するマーカー検出工程と、
前記マーカーの位置に基づいて、前記ロボットアームに対する前記基板の向きを算出する向き算出工程と、
前記基板の中心位置および向きに基づいて、前記真空搬送室に接続された処理室内のステージに前記基板を載置する際の補正量を算出する補正量算出工程と、
前記補正量に応じた中心位置および向きとなるように、前記基板を前記処理室内のステージに載置する載置工程と
を含むことを特徴とする搬送方法。
前記マーカー検出工程において、前記基板を所定角度以上回転させても前記センサにより前記マーカーが検出されなかった場合、前記基板を一時的に置くための仮置き台に前記基板を置くことにより、前記基板を持ち替える持ち替え工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、開示される搬送方法および搬送装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、開示される搬送方法および搬送装置が限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
[処理システム1の構成]
図1は、本開示の第1の実施形態における処理システム1の一例を示すシステム構成図である。
図1では、便宜的に内部の構成要素が透過するように図示されている。処理システム1は、処理システム本体10と、処理システム本体10を制御する制御装置100とを備える。処理システム本体10は、例えば
図1に示されるように、真空搬送室11と、複数のプロセスチャンバ13と、複数のロードロック室14と、ローダモジュール15とを備える。処理システム1は、搬送装置の一例である。
【0012】
真空搬送室11には、複数のプロセスチャンバ13および複数のロードロック室14が接続されている。本実施形態において、真空搬送室11には4個のプロセスチャンバ13が接続されているが、真空搬送室11には3個以下のプロセスチャンバ13が接続されていてもよく、5個以上のプロセスチャンバ13が接続されていてもよい。また、真空搬送室11には、複数のプロセスチャンバ13の他に、複数のプロセスチャンバ13が接続された他の真空搬送室11がさらに接続されていてもよい。また、本実施形態において、真空搬送室11には2個のロードロック室14が接続されているが、真空搬送室11には1個のロードロック室14が接続されていてもよく、3個以上のロードロック室14が接続されていてもよい。
【0013】
プロセスチャンバ13は、基板に対して、例えば低圧環境下でエッチングや成膜等の処理を施す。プロセスチャンバ13と真空搬送室11とはゲートバルブ131によって開閉可能に仕切られている。プロセスチャンバ13は、処理室の一例である。それぞれのプロセスチャンバ13は、製造工程の中で同一の工程を実行するモジュールであってもよく、異なる工程を実行するモジュールであってもよい。
【0014】
それぞれのロードロック室14は、ドア140および141を有し、内部の圧力を、所定の真空度の圧力から大気圧に、または、大気圧から所定の真空度の圧力に切り替える。ロードロック室14と真空搬送室11とはドア140によって開閉可能に仕切られている。また、ロードロック室14とローダモジュール15とはドア141によって開閉可能に仕切られている。
【0015】
真空搬送室11には、複数のセンサ20が設けられている。また、真空搬送室11内には、ロボットアーム12が配置されている。真空搬送室11内は、所定の真空度に保たれている。本実施形態において、ロボットアーム12は、それぞれ独立に駆動可能な3個の関節を有する。なお、ロボットアーム12は、それぞれ独立に駆動可能な4個以上の関節を有していてもよい。ロボットアーム12は、所定の真空度に減圧されたロードロック室14内から処理前の基板を取り出して、いずれかのプロセスチャンバ13内に搬送する。また、ロボットアーム12は、処理後の基板をプロセスチャンバ13から取り出して、他のプロセスチャンバ13またはロードロック室14内に搬送する。
【0016】
それぞれのセンサ20は、真空搬送室11とロードロック室14の接続部付近に配置されている。これにより、ロボットアーム12によって基板がロードロック室14から取り出される際に、センサ20は、基板Wに関するセンシング情報を迅速に取得することができる。本実施形態において、センサ20は、1つのロードロック室14に対して2個設けられている。なお、センサ20は、1つのロードロック室14に対して3個以上設けられていてもよい。
【0017】
図2は、ロードロック室14と真空搬送室11の断面の一例を示す図である。センサ20は、光源20aおよび受光センサ20bを有する。光源20aおよび受光センサ20bは、真空搬送室11の外部であって、真空搬送室11の上部および下部にそれぞれ設けられている。なお、本実施形態において、光源20aが真空搬送室11の上部に設けられ、受光センサ20bが真空搬送室11の下部に設けられているが、光源20aは真空搬送室11の下部に設けられ、受光センサ20bは真空搬送室11の上部に設けられていてもよい。
【0018】
光源20aは、真空搬送室11の上部の壁に設けられた窓11aを介して、真空搬送室11内に光を照射する。光源20aは、例えばレーザ光を真空搬送室11内に照射する。受光センサ20bは、真空搬送室11の下部の壁に設けられた窓11bを介して、光源20aから照射された光を受光する。窓11aおよび11bは、例えば石英等の光を透過可能な材料により構成される。受光センサ20bは、光源20aから照射された光が遮られたか否かを示す情報を、センシング情報として制御装置100へ出力する。光源20aから光が照射される領域は、センシング領域の一例である。
【0019】
ロードロック室14には、ローダモジュール15が接続されている。ローダモジュール15内には、ロボットアーム150が設けられている。ローダモジュール15には、処理前または処理後の複数の基板を収容可能な容器(例えば、FOUP:Front Opening Unified Pod)が接続される複数のロードポート16が設けられている。ロボットアーム150は、ロードポート16に接続された容器から処理前の基板を取り出してロードロック室14内に搬送する。また、ロボットアーム150は、内部の圧力が大気圧に戻されたロードロック室14から処理後の基板を取り出してロードポート16に接続された容器内に搬送する。なお、ローダモジュール15には、ロードポート16に接続された容器から取り出された基板の向きを調整するアライメントユニットが設けられていてもよい。
【0020】
[基板の中心位置の特定方法]
図3は、基板の中心位置の特定方法の一例を説明するための図である。ロボットアーム12によって基板Wがロードロック室14から取り出される際に、センサ20は、センシング情報を制御装置100へ出力する。ロボットアーム12の先端のフォーク120上の基板Wがセンシング領域を通過した場合、例えば
図3の実線で示されるように、基板W上の線分ABおよび線分CDにおいて、光源20aから照射された光が遮られる。制御装置100は、センサ20から出力されたセンシング情報と、フォーク120の位置情報とに基づいて、点A〜Dの中の少なくとも3点を通る円の中心を基板Wの中心位置Oとして特定する。フォーク120の位置情報は、例えば、ロボットアーム12の各アームの長さや各関節の角度等に基づいて特定される。
図3の例では、基板Wの中心位置Oと、フォーク120の基準位置O’とはずれている。
【0021】
なお、フォーク120に対する基板Wの位置や向きによっては、基板Wが移動する際に基板WのノッチNがセンシング領域を通過したり、フォーク120によって光が遮られる場合がある。この場合、点A〜Dの全てを通る円の中心の位置が基板Wの中心位置Oと異なる場合や、点A〜Dの全てを通る円が存在しない場合がある。そのため、点A〜Dをそれぞれ1つずつ除外した3点の組み合わせ4組のうち、2組以上において算出された円の中心位置同士が所定距離未満である場合、その中心位置を基板Wの中心位置Oとして特定することが好ましい。基板Wに形成されたノッチNは、基板Wの基準方向を示すマーカーの一例である。なお、基板Wの基準方向を示すマーカーは、基板Wに形成されたオリエンテーションフラットであってもよい。
【0022】
[基板の向きの特定方法]
図4および
図5は、第1の実施形態における基板Wの向きの特定方法の一例を説明するための図である。制御装置100は、フォーク120に対する基板Wの中心位置Oが特定された後、基板Wのエッジが少なくとも1つのセンシング領域内に位置するように、ロボットアーム12を制御して基板Wを移動させる。本実施形態において、制御装置100は、例えば
図4に示されるように、2個のセンサ20のそれぞれのセンシング領域内に基板Wのエッジが位置するように、基板Wを移動させる。
【0023】
そして、制御装置100は、例えば
図5に示されるように、基板Wの中心位置Oを中心として基板Wを回転させるようにロボットアーム12を制御する。基板Wは、中心位置Oを中心として回転するので、基板Wのエッジはそれぞれのセンサ20のセンシング領域内を通過する。これにより、基板WのノッチNがいずれかのセンサ20のセンシング領域を通過する。制御装置100は、センサ20から出力されたセンシング情報に基づいて、フォーク120の向きdfに対する基板Wの向きdwを特定する。
【0024】
本実施形態において、ロボットアーム12の独立に駆動可能な関節の数は3以上であるため、ロボットアーム12は、任意の位置を中心として、フォーク120を回転させることができる。これにより、少なくとも1つのセンサ20を用いて、フォーク120の向きに対する基板WのノッチNの向きを特定することができる。なお、ロボットアーム12のアームの可動範囲には限界があるため、ロボットアーム12による基板Wの回転角度には限界がある。しかし、複数のセンサ20を用いて基板WのノッチNを検出することにより、より広い範囲の角度においてノッチNを検出することができる。
【0025】
制御装置100は、フォーク120の基準位置O’に対する基板Wの中心位置Oと、フォーク120の向きdfに対する基板Wの向きdwとに基づいて、基板Wを所定の位置に載置する場合のフォーク120の位置および向きの補正量を算出する。所定の位置は、例えばプロセスチャンバ13内のステージ130上の位置である。そして、制御装置100は、算出された補正量に応じた中心位置および向きとなるようにロボットアーム12を制御する。そして、位置および向きが補正されたフォーク120上の基板Wは、例えば
図6に示されるように、リフトピンによってプロセスチャンバ13内のステージ130上に載置される。
【0026】
[基板Wの搬送手順]
図7は、第1の実施形態における基板Wの搬送手順の一例を示すフローチャートである。
【0027】
まず、制御装置100は、ロードロック室14から基板Wを取り出し、基板Wがセンシング領域を通過するようにロボットアーム12を制御する。センサ20は、基板Wによって光が遮られたか否かを示すセンシング情報を制御装置100へ出力する。制御装置100は、センサ20からセンシング情報を取得する(S100)。ステップS100は、センシング情報取得工程の一例である。
【0028】
次に、制御装置100は、センサ20から出力されたセンシング情報と、フォーク120の位置情報とに基づいて、基板Wの中心位置Oを算出する(S101)。ステップS101は、中心位置算出工程の一例である。
【0029】
次に、制御装置100は、基板Wのエッジがセンシング領域に位置するように、ロボットアーム12を制御して基板Wを移動させる。そして、制御装置100は、基板Wの中心位置Oを中心として基板Wを回転させるようにロボットアーム12を制御する(S102)。センサ20は、センシング情報を制御装置100へ出力する。
【0030】
次に、制御装置100は、基板Wを回転させた場合のセンシング情報に基づいて、基板WのノッチNの位置を特定する(S103)。ステップS103は、マーカー検出工程の一例である。そして、制御装置100は、フォーク120の向きdfに対する基板Wの向きdwを算出する(S104)。ステップS104は、向き算出工程の一例である。
【0031】
次に、制御装置100は、フォーク120の基準位置O’に対する基板Wの中心位置Oと、フォーク120の向きdfに対する基板Wの向きdwとに基づいて、基板Wの位置および向きの補正量を算出する(S105)。ステップS105は、補正量算出工程の一例である。
【0032】
次に、制御装置100は、算出された補正量に応じた中心位置および向きとなるようにロボットアーム12を制御することにより、リフトピンを介して基板Wをプロセスチャンバ13内のステージ130上に載置する(S106)。ステップS106は、載置工程の一例である。
【0033】
以上、第1の実施形態について説明した。上記説明から明らかなように、本実施形態の処理システム1では、より少ないセンサ20により基板Wの位置および向きのずれを精度よく補正することができる。これにより、センサ20のための窓を少なくすることができ、真空搬送室11の気密性を高く保つことができる。また、センサ20の数を少なくすることができるため、処理システム1のコストを低減することもできる。
【0034】
(第2の実施形態)
図8は、本開示の第2の実施形態における処理システム1の一例を示すシステム構成図である。なお、以下に説明する点を除き、
図8において、
図1と同一の符号が付された構成は、
図1を用いて説明した構成と同様であるため、重複する説明を省略する。本実施形態において、真空搬送室11内には、複数の昇降ピン111を有する仮置き台110が設けられている。
【0035】
基板Wによっては、ノッチNがステージ130側に位置するようにプロセスチャンバ13内に搬入される場合がある。この場合、ロボットアーム12によってロードロック室14から取り出された基板WのノッチNは、例えば
図9に示されるように、ロボットアーム12のアーム側に位置することになる。また、フォーク120の移動により基板Wがフォーク120上でずれることによっても、基板WのノッチNが、ロボットアーム12のアーム側に位置してしまう場合もある。そのような場合、ロボットアーム12の動作のみによって基板WのノッチNがセンシング領域を通過するように基板Wを回転させることが難しい。
【0036】
そこで、本実施形態の処理システム1では、中心位置Oを中心として基板Wを所定角度以上回転させてもノッチNが検出されなかった場合、真空搬送室11内に設けられた仮置き台110を用いて基板Wを持ち替えることにより、基板Wの向きが変更される。なお、
図8の例では、仮置き台110は、3本の昇降ピン111を有するが、仮置き台110は、4本以上の昇降ピン111を有していてもよい。
【0037】
制御装置100は、基板Wを仮置き台110に仮置きして基板Wを持ち替えるようにロボットアーム12を制御することにより、フォーク120の向きに対して基板Wの向きを変更する。具体的には、制御装置100は、複数の昇降ピン111を下降させ、フォーク120上の基板Wが複数の昇降ピン111の上方に位置するようにロボットアーム12を制御する。そして、制御装置100は、複数の昇降ピン111を上昇させる。これにより、例えば
図10に示されるように、基板Wが複数の昇降ピン111の上に仮置きされる。
【0038】
そして、制御装置100は、基板Wを複数の昇降ピン111上に仮置きした際の基板Wに対するフォーク120の向きとは異なる向きとなるように、フォーク120を基板Wの下に挿入する。そして、制御装置100は、複数の昇降ピン111を下降させる。これにより、例えば
図11に示されるように、フォーク120の向きに対して基板Wの向きが変更される。なお、仮置きされた基板Wが昇降ピン111から取り出される場合、制御装置100は、基板Wの中心位置Oとフォーク120の基準位置O’とが一致するように、基板Wとフォーク120の位置を調整してもよい。
【0039】
[基板Wの搬送手順]
図12は、第2の実施形態における基板Wの搬送手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する点を除き、
図12において、
図7と同一の符号が付された処理は、
図7を用いて説明した処理と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0040】
制御装置100は、ステップS102において基板Wを回転させた後、センサ20から出力されたセンシング情報を参照して、ノッチNの位置が検出されたか否かを判定する(S110)。ノッチNの位置が検出された場合(S110:Yes)、ステップS104に示された処理が実行される。
【0041】
一方、ノッチNの位置が検出されなかった場合(S110:No)、制御装置100は、基板Wを仮置き台110に仮置きして基板Wを持ち替えるようにロボットアーム12を制御する(S111)。そして、再びステップS102に示された処理が実行される。ステップS111は、持ち替え工程の一例である。
【0042】
なお、ロボットアーム12の動作のみによってノッチNがセンシング領域を通過するように基板Wを回転させることが難しいことが予めわかっている場合には、ステップS102の前にステップS111の処理が1回以上実行されてもよい。
【0043】
また、ステップS111の実行回数が所定回数に達しても、ステップS110においてノッチが検出されない場合、制御装置100は、処理システム1の管理者等にエラーを通知してもよい。所定回数とは、例えば、基板Wの向きの変更角度の累積値が360度を超える回数である。ノッチが検出されなかった基板Wは、ロードロック室14およびローダモジュール15を介して、ロードポート16に接続された容器内に戻される。
【0044】
以上、第2の実施形態について説明した。上記説明から明らかなように、本実施形態の処理システム1では、真空搬送室11の気密性を確保しつつ、基板Wの位置および向きのずれを精度よく補正することが可能となる。また、本実施形態の処理システム1によれば、基板Wを持ち替えることにより、基板Wの任意の位置にあるノッチNを検出することができる。例えば、垂直方向においてロボットアーム12のアーム部分の位置とノッチNの位置とが重なった場合、光が遮られたか否かを検出するセンサ20では、ノッチNの位置を検出することが難しい。これに対し、本実施形態の処理システム1では、基板Wを持ち替えることにより、フォーク120の向きに対して基板Wの向きを変更する。そのため、垂直方向においてロボットアーム12のアーム部分の位置とノッチNの位置とが重ならない状態にすることができ、基板Wの任意の位置にあるノッチNを検出することが可能となる。
【0045】
(第3の実施形態)
図13は、本開示の第3の実施形態における処理システム1の一例を示すシステム構成図である。なお、以下に説明する点を除き、
図8において、
図1と同一の符号が付された構成は、
図8を用いて説明した構成と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0046】
本実施形態における処理システム1では、真空搬送室11に、複数のセンサ20とは別に、基板WのノッチNの位置を検出するための複数のセンサ21が設けられている。複数のセンサ21は、基板Wの直径と同一の直径を有する円の円周上に均等な間隔で配置されている。なお、
図13の例では、4個のセンサ21が設けられているが、センサ21の数は3個以下であってもよく、5個以上であってもよい。
【0047】
本実施形態において、それぞれのセンサ21は、センサ20と同様に、真空搬送室11の外部に設けられた光源と受光センサを有する。センサ21の光源からの光は、真空搬送室11の上部に設けられた窓を介して真空搬送室11内に照射され、真空搬送室11の下部の壁に設けられた窓を介してセンサ21の受光センサによって受光される。センサ21の光源から光が照射される領域は、センシング領域の一例である。センサ21の受光センサは、センサ21の光源から照射された光が遮られたか否かを示す情報を、センシング情報として制御装置100へ出力する。
【0048】
本実施形態では、制御装置100は、ロボットアーム12によって基板Wがロードロック室14から取り出される際にセンサ20から出力されたセンシング情報に基づいて基板Wの中心位置Oを特定する。そして、制御装置100は、例えば
図14に示されるように、基板Wのエッジがそれぞれのセンサ21のセンシング領域に位置するように、ロボットアーム12を制御して基板Wを移動させる。
【0049】
そして、制御装置100は、例えば
図15に示されるように、基板Wの中心位置Oを中心として基板Wを回転させるようにロボットアーム12を制御する。基板Wは、中心位置Oを中心として回転するので、基板Wのエッジはそれぞれのセンサ20のセンシング領域内を通過する。これにより、いずれかのセンサ20によって基板WのノッチNが検出される。これにより、制御装置100は、より迅速に基板WのノッチNの位置を検出することができる。
【0050】
なお、フォーク120の向きdfと基板Wの向きdwとが、例えば
図14のような関係にある場合、例えば
図6のように基板Wをプロセスチャンバ13内に搬入することは難しい。この場合、制御装置100は、基板WのノッチNの位置を検出した後に、仮置き台110を用いて基板Wの持ち替えを実行する。
【0051】
以上、第3の実施形態について説明した。上記説明から明らかなように、本実施形態の処理システム1では、真空搬送室11の気密性を確保しつつ、基板Wの位置および向きのずれを精度よく補正することが可能となる。また、本実施形態の処理システム1によれば、より迅速に基板WのノッチNの位置を検出することができる。
【0052】
[ハードウエア]
図16は、制御装置100のハードウエアの一例を示す図である。上記した第1の実施形態から第3の実施形態に例示された制御装置100は、例えば
図16に示されるようなハードウエアにより実現される。
図16は、制御装置100のハードウエアの一例を示す図である。制御装置100は、プロセッサ101、RAM102、ROM103、補助記憶装置104、通信インターフェイス(I/F)105、入出力インターフェイス(I/F)106、およびメディアインターフェイス(I/F)107を備える。
【0053】
プロセッサ101は、ROM103または補助記憶装置104に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM103は、制御装置100の起動時にプロセッサ101によって実行されるブートプログラムや、制御装置100のハードウエアに依存するプログラム等を格納する。
【0054】
補助記憶装置104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等であり、プロセッサ101によって実行されるプログラムおよび当該プログラムによって使用されるデータ等を格納する。プロセッサ101は、当該プログラムを、補助記憶装置104から読み出してRAM102上にロードし、ロードされたプログラムを実行する。
【0055】
通信I/F105は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して処理システム本体10との間で通信を行う。通信I/F105は、通信回線を介して処理システム本体10からデータを受信してプロセッサ101へ送り、プロセッサ101が生成したデータを、通信回線を介して処理システム本体10へ送信する。プロセッサ101は、通信I/F105を介して、例えばセンサ20およびセンサ21からセンシング情報を取得する。また、プロセッサ101は、通信I/F105を介して、例えばロボットアーム12を駆動させるための制御信号をロボットアーム12へ送信する。
【0056】
プロセッサ101は、入出力I/F106を介して、キーボード等の入力装置およびディスプレイ等の出力装置を制御する。プロセッサ101は、入出力I/F106を介して、入力装置から入力された信号を取得してプロセッサ101へ送る。また、プロセッサ101は、生成したデータを、入出力I/F106を介して出力装置へ出力する。
【0057】
メディアI/F107は、記録媒体108に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、補助記憶装置104に格納する。記録媒体108は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0058】
制御装置100のプロセッサ101は、RAM102上にロードされたプログラムを実行することにより、処理システム本体10の各部を制御する。プロセッサ101は、RAM102上にロードされるプログラムを、記録媒体108から読み取って補助記憶装置104に格納するが、他の例として、プロセッサ101は、通信回線を介して他の装置からプログラムを取得して補助記憶装置104に格納してもよい。あるいは、プロセッサ101は、他の装置から、通信回線を介して取得したプログラムを、補助記憶装置104に格納することなく、RAM102上にロードして実行してもよい。
【0059】
[その他]
なお、本願に開示された技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0060】
例えば、上記した各実施形態において、センサ20は、真空搬送室11とロードロック室14の接続部付近に設けられるが、開示の技術はこれに限られない。真空搬送室11内を光が上下方向に通過可能な場所であれば、センサ20は、いずれの場所に配置されていてもよい。例えば、センサ20がロードロック室14から離れた位置に配置されている場合、ロードロック室14のドア140が閉じられていても、制御装置100は、センサ20を用いて基板Wの中心位置Oおよび向きを特定することができる。
【0061】
また、上記した各実施形態において、基板Wがロードロック室14からプロセスチャンバ13へ搬入される際に、基板Wの位置および向きのずれが補正されたが、開示の技術はこれに限られない。例えば、一方のプロセスチャンバ13よって処理が行われた基板Wを、当該プロセスチャンバ13とは異なる処理を行う他方のプロセスチャンバ13内に搬入する際にも、基板Wの位置および向きのずれが補正されてもよい。この場合、センサ20は、真空搬送室11とプロセスチャンバ13の接続部付近に設けられてもよい。これにより、基板Wがプロセスチャンバ13から搬出される際に、基板Wの中心位置Oを迅速に特定することができる。一方のプロセスチャンバ13は第1の処理室の一例であり、他方のプロセスチャンバ13は第2の処理室の一例である。また、処理後の基板Wをロードロック室14に戻す際にも、基板Wの位置および向きのずれが補正されてもよい。
【0062】
また、上記した各実施形態において、センサ20は、光源と受光センサとを有し、基板Wによって光が遮られたか否かを示す情報をセンシング情報として制御装置100へ出力する。しかし、開示の技術はこれに限られず、センサ20は、例えばカメラであってもよい。センサ20がカメラである場合、センサ20は、真空搬送室11の上部に設けられた窓を介して基板Wを上方から撮影する。これにより、真空搬送室11の下部に窓を設ける必要がなくなり、真空搬送室11の気密性をさらに高めることができる。
【0063】
また、上記した第2の実施形態および第3の実施形態では、真空搬送室11内に仮置き台110が設けられるが、開示の技術はこれに限られない。例えば、仮置き台110に代えて、ロードロック室14内のステージやプロセスチャンバ13内のステージ130が用いられてもよい。これにより、真空搬送室11内に仮置き台110を設けるためのスペースが不要となり、真空搬送室11を小型化することができる。
【0064】
また、上記した各実施形態では、真空搬送室11に複数のセンサ20が設けられているが、開示の技術はこれに限られず、真空搬送室11に設けられるセンサ20は1個であってもよい。センサ20が1個である場合、制御装置100は、センサ20によって検出されたセンシング情報に含まれる基板Wのエッジの2点の位置情報と、予め設定された基板Wの半径の情報とに基づいて、基板Wの中心位置Oを算出する。また、基板Wの向きのずれが小さい場合には、制御装置100は、基板Wのエッジがセンシング領域にある状態で基板Wの中心位置Oを中心として基板Wを回転させることで、ノッチNの位置を検出することも可能である。
【0065】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求お範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。