特開2019-202242(P2019-202242A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-202242(P2019-202242A)
(43)【公開日】2019年11月28日
(54)【発明の名称】除濁システムの診断装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 65/00 20060101AFI20191101BHJP
【FI】
   B01D65/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-97217(P2018-97217)
(22)【出願日】2018年5月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】亀田 英邦
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006HA95
4D006KA01
4D006KA52
4D006KA55
4D006KA57
4D006KA72
4D006KB11
4D006KB13
4D006KC03
4D006KC14
4D006KC16
4D006KE01P
4D006KE06P
4D006KE07P
4D006KE08P
4D006KE15P
4D006KE30P
4D006LA10
4D006MA21
4D006MC29
4D006PA01
4D006PB02
4D006PB05
4D006PB06
4D006PB08
(57)【要約】
【課題】除濁システムの動作不調に対する対策を的確に決定することができる除濁システムの診断装置を提供する。
【解決手段】被処理水を膜濾過する除濁膜装置5を有する除濁システムの動作状態を診断する診断装置であって、該除濁システムの動作状態情報の入力部と、該除濁システムの動作不調状態と対策との関係を表わすデータを記憶する記憶部と、前記入力部で入力された動作状態情報と該記憶部に記憶されたデータとに基づき除濁膜装置の動作不調に対する対策を判定する判定部とを有する除濁システムの診断装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を膜濾過する除濁膜装置を有する除濁システムの動作状態を診断する診断装置であって、
該除濁システムの動作状態情報の入力部と、
該除濁システムの動作不調状態と対策との関係を表わすデータを記憶する記憶部と、
前記入力部で入力された動作状態情報と該記憶部に記憶されたデータとに基づき除濁膜装置の動作不調に対する対策を判定する判定部と
を有する除濁システムの診断装置。
【請求項2】
前記入力部は、複数の質問を表示する表示手段及び質問に対する回答の入力手段を備えている請求項1の除濁システムの診断装置。
【請求項3】
前記除濁膜装置の前段に凝集処理装置を備えている請求項1又は2の除濁システムの診断装置。
【請求項4】
前記動作状態情報は、除濁膜装置への給水のSS及びpH、処理水のMFF値、除濁膜装置の逆洗空気圧力、除濁膜装置の逆洗水量、並びに凝集処理装置の凝集剤の添加量の少なくともいずれかである請求項1〜3のいずれかの除濁システムの診断装置。
【請求項5】
前記除濁膜装置の膜差圧が所定値以上となった場合、又は膜差圧の上昇速度が所定値以上となった場合に前記診断を行う請求項1〜4のいずれかの除濁システムの診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水を除濁膜処理する除濁システムの動作不調に対する対策を決定するための診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸水、工業用水、水道水などを原水とする用水処理や、各種排水処理、排水回収等においては、原水に凝集剤を添加し、原水中の懸濁物質、コロイダル成分や有機物質等を凝結かつ粗大化させた後、沈殿、浮上、濾過、膜濾過等により固液分離する方法や、膜濾過単独で除濁・除菌して処理水を回収することが行われている。
【0003】
一般に、膜閉塞原因としては、(i)給水の濁質過多や(ii)逆洗不良、(iii)除濁膜前に処理がある場合は前処理不良等があげられる。その対策として、次のようなことが行われている。
【0004】
(i)については、例えば除濁膜給水の濁度を測定する。所定濁度以上の場合、通水時間の変更等で対応する。(ii)については、例えば空気バブリング量を確認し、所定バブリング量以下の場合、それ以上となるように調整する。(iii)については、前処理の凝集剤の添加濃度を確認し、所定添加濃度以下の場合、それ以上となるように調整する。
【0005】
除濁膜の濾過抵抗が上昇した場合、逆洗や酸、アルカリ等による薬品洗浄が行われる(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−58022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
除濁膜の閉塞原因としては、給水の濁質過多や除濁膜運用上の問題(逆洗不備等)、前処理不良等の多くの原因があり、原因によって対応策が異なるため、原因を正確に判断して、迅速かつ適切に対応策を立案することが求められている。
【0008】
本発明は、除濁システムの動作不調に対する対策を的確に決定することができる除濁システムの診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の除濁システムの診断装置は、被処理水を膜濾過する除濁膜装置を有する除濁システムの動作状態を診断する診断装置であって、該除濁システムの動作状態情報の入力部と、該除濁システムの動作不調状態と対策との関係を表わすデータを記憶する記憶部と、前記入力部で入力された動作状態情報と該記憶部に記憶されたデータとに基づき除濁膜装置の動作不調に対する対策を判定する判定部とを有する。
【0010】
本発明の一態様では、前記入力部は、複数の質問を表示する表示手段及び質問に対する回答の入力手段を備えている。
【0011】
本発明の一態様では、前記除濁膜装置の前段に凝集処理装置を備えている。
【0012】
本発明の一態様では、前記動作状態情報は、除濁膜装置への給水のSS及びpH、処理水のMFF値、除濁膜装置の逆洗空気圧力、除濁膜装置の逆洗水量、並びに凝集処理装置の凝集剤の添加量の少なくともいずれかである。
【0013】
本発明の一態様では、前記除濁膜装置の膜差圧が所定値以上となった場合、又は膜差圧の上昇速度が所定値以上となった場合に前記診断を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、除濁システムの動作状態を的確に診断することができる。
【0015】
本発明の一態様によると、除濁システムの不調の原因を適切に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】除濁膜システムの構成図である。
図2】除濁膜システムの診断装置の構成図である。
図3】除濁膜システムの診断方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は実施の形態に係る除濁システムの構成図である。原水は凝集装置1にて凝集処理された後、ポンプ2、弁3、及び配管4を介して除濁膜装置(この実施の形態ではUF膜モジュール)5に供給される。膜5aの透過水は、配管6及び弁7を介して処理水として取り出される。配管4,6には、それぞれ圧力センサ8,9が設けられている。凝集装置1からの凝集処理水のpHを測定するようにpH計19が設けられている。
【0018】
除濁膜装置5を空気又は水で逆洗するように、膜5aの2次側に逆洗用空気が配管10及び弁11を介して供給可能とされていると共に、逆洗水が配管12及び弁13を介して供給可能とされている。膜5aを2次側から1次側へ透過した空気又は水は、膜5aの1次側から逆洗流体排出配管17及び排出弁18を介して排出可能とされている。逆洗空気配管10には流量計14及び圧力センサ15が設けられている。逆洗水配管12には流量計16が設けられている。
【0019】
なお、膜5aの1次側に空気を供給してバブリング洗浄を行う空気供給配管を1次側に接続してもよい。
【0020】
通常の膜濾過運転を行うときには、弁3,6のみが開とされ、他の弁11,13,18は閉とされる。空気又は水により逆洗を行う場合は、弁3,7は閉とされ、弁11,13の一方又は双方が開とされ、また排出弁18が開とされる。
【0021】
前記圧力センサ8,9の検出圧力は差圧検出回路20に入力され、両者の差が膜差圧として演算される。この差圧が過大(所定値a以上)であるか、又は差圧の上昇速度が過大(所定値b以上)であるときには、アラーム回路21に信号を送って音及び/又は光によるアラームを発生させると共に、診断装置30に信号を送って診断を行う。
【0022】
診断装置30は、図2の通り、本体部31と、タッチスイッチ機能を有する入力部としての液晶表示パネル36を備えている。本体部31は、データ収集部32、データ保存部33、データベース(記憶部)34及び判定部35を備えている。
【0023】
本体部31は、CPU(中央演算処理装置)や、フラッシュメモリ、ROM、RAM、ハードディスク等からなるコンピュータで構成されている。
【0024】
本体部31のCPUが管理プログラムを実行することで、データ収集部32、データ保存部33、データベース34及び判定部35の機能が実現される。
【0025】
データ収集部32は、差圧データのほか、表示パネル36からの診断項目別データの回答データを受信する。データ保存部33は回答データ及び後述の判定結果を差圧等の運転データと共に保存する。データベース34には、除濁システムの動作不調状態とそれに対する対策との関係を表わすデータが格納されている。
【0026】
判定部35は、データ収集部32が収集した表示パネル36からの回答データと、データベース34の関係データとに基づいて対策を決定し、表示パネル36に表示する。
【0027】
図3の通り、除濁膜装置5の差圧又は差圧上昇速度が所定値以上である場合、アラームを作動させると共に、表示パネル36に、例えば次のような複数の質問文Q1〜Qnを表示させる。また、各質問文の右側に隣接してYes回答スイッチYとNo回答スイッチNとを表示させる。回答スイッチY,Nは、それぞれ1回タッチすると明色となり、もう1回タッチする暗色となる照明機能も備えている。Y,Nのうち、明色に発光しているものが選択された回答を表わす。この回答操作は、除濁膜システムの運転担当者等が行う。なお、アラーム作動に伴って表示パネル36にアラームスイッチを表示させ、運転担当者等が該アラームスイッチにタッチすると質問文等が表示されるようにしてもよい。
【0028】
Q1:UF給水SS濃度は△△mg/L以下?
Q2:空気逆洗浄圧力は△△〜□□MPa?
Q3:空気バブリング量(散気管)△△〜□□NL/min/モジュール?
Q4:空気バブリング量(導水管)△△〜□□NL/min/モジュール?
Q5:水逆洗量が濾過通水量と同じ?
Q6:UF給水pHは△△〜□□?
Q7:凝集剤添加量は△△〜□□?
なお、△△、□□は具体的な数字を表わす。これらの質問文は一例であり、さらに他の質問文が表示されてもよい。
【0029】
すべての質問文に対する回答をスイッチY又はNにタッチすることにより行った後、回答終了を意味するEntスイッチにタッチする。これにより、回答データが表示パネル36からデータ収集部32に送信される。
【0030】
判定部35は、Q1の回答がNの場合、データベース34より次の対策A1〜A3を読み出して表示パネル36に表示する。
A1:逆洗条件の確認、逆洗頻度を変更する。
A2:凝集条件の確認/見直しする。
A3:(3日後もアラームが消えない場合)薬品洗浄する。
【0031】
Q2〜5の少なくとも1以上の回答がNである場合は、次の対策B1、B2をデータベース34から読み出して表示パネル36に表示する。
B1:逆洗条件の改善を行う。
B2:(3日後もアラームが消えない場合)薬品洗浄する。
【0032】
Q6,7の少なくとも一方の回答がNである場合は、次のC1,C2の表示を行う。
C1:凝集条件の確認/見直しを行う。
C2:除濁膜装置を薬品洗浄する。
【0033】
Q1〜7のいずれに対しても回答がYである場合は、データベース34から読み出して次の表示を行う。「原水水質が変動した可能性が高いので管理部門へ連絡し凝集条件を見直してください。」
このようにして、除濁膜システムに不調が生じた場合、早急に効果的な対策を行うことができる。
【0034】
本発明を特に限定するものではないが、原水としては、水道水、工業用水、井戸水、排水全般が例示される。
【0035】
凝集処理に用いられる凝集剤、凝集助剤は、特に限定されないが、鉄系凝集剤を使用することが望ましい。
【0036】
鉄系凝集剤を使用する場合はpH4.5〜7.0、特に5.0〜6.0が良好である。pHが過度に低いと、鉄リークにより膜閉塞のリスクがある。pHが過度に高いと凝集不良の可能性がある。
【0037】
原水には酸化剤(通常は次亜塩素酸Na)を添加することが好ましい。添加量は0.3〜1.0mg/LasCl程度が好ましい。
【0038】
除濁膜装置5は、クロスフロー方式のものであっても全量濾過方式のものであってもよい。
【0039】
除濁膜装置5による処理工程は、通水、エアバブリング、逆洗、水張りの各工程を有する。濾過通水時間は20〜40分。初期差圧(入口圧力−出口圧力)は0.02〜0.05MPa程度で運転。差圧が0.07〜0.10MPaになった場合、定置洗浄することが好ましい。膜の材質はPVDFが耐薬品性が良く、好ましい。孔径は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0040】
除濁膜装置5の後段に、RO装置やイオン交換塔が設置されてもよい。
【0041】
本発明では、膜差圧が所定値(例えば80kPa)に到達し、かつ膜差圧の上昇速度が所定値(例えば1.0kPa/day、又は20kPa/week)以上となった場合に、上記の診断を行うようにしてもよい。
【0042】
また、本発明では、膜差圧が所定値(例えば80kPa)に到達したが、膜差圧の上昇速度が所定値(例えば1.0kPa/day、又は20kPa/week)以下である場合には、上記の診断を行わず、除濁膜を薬品洗浄し、薬品洗浄しても差圧が低下しない場合には、膜交換を行うという対策を表示するようにしてもよい。
【0043】
本発明では、原水(被処理水)として市水等の比較的清澄な水が用いられる場合には、凝集処理装置は省略することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 凝集処理装置
5 除濁膜装置
30 診断装置
36 表示パネル
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2019年9月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を凝集処理する凝集処理装置と、該凝集処理装置からの凝集処理水を膜濾過する除濁膜装置を有する除濁システムの動作状態を診断する診断装置であって、
該除濁システムの動作状態情報の入力部と、
該除濁システムの動作不調状態と対策との関係を表わすデータを記憶する記憶部と、
前記除濁膜装置の膜差圧が所定値以上となった場合、又は膜差圧の上昇速度が所定値以上となった場合に、前記入力部で入力された動作状態情報と該記憶部に記憶されたデータとに基づき、発生した動作不調状態を特定し、除濁膜装置の動作不調に対する対策を判定する対策判定部と、
判定した対策を表示する対策表示部と、
を有する除濁システムの診断装置であって、
前記入力部は、複数の質問を表示する質問表示手段及び質問に対する回答を入力する回答入力手段を備えており、
前記動作状態情報は、次の情報群A,B又はCであり
情報群A:除濁膜装置への給水のSS、濁度及びpH、並びに処理水のMFF値
情報群B:除濁膜装置の逆洗空気圧力、除濁膜装置の逆洗水量、及び空気バブリング量
情報群C:凝集処理装置の凝集剤の添加量
前記診断装置は、
前記情報群Aの少なくとも1つを前記質問表示手段に表示し、該質問に対する回答に基づいて給水の濁質過多の有無を判定し、
前記情報群Bの少なくとも1つを前記質問表示手段に表示し、該質問に対する回答に基づいて前記除濁膜装置の逆洗不良の有無を判定し、
前記情報群Cの少なくとも1つを前記質問表示手段に表示し、該質問に対する回答に基づいて前記凝集処理装置の処理不良の有無を判定し、
これらの判定結果に基づいて前記対策判定部が前記対策を判定する
除濁システムの診断装置。