特開2019-205986(P2019-205986A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-205986(P2019-205986A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】ビーカー用挾み
(51)【国際特許分類】
   B01L 9/00 20060101AFI20191108BHJP
   B25B 9/02 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   B01L9/00
   B25B9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-103843(P2018-103843)
(22)【出願日】2018年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 光弘
【テーマコード(参考)】
3C020
4G057
【Fターム(参考)】
3C020UU05
3C020UU06
3C020UU07
4G057AE21
(57)【要約】
【課題】ホットプレート上の手前のビーカーを動かさなくても奥側のビーカーを持ち上げて移動させることができるビーカー用挾みを提供する。
【解決手段】一対の横柄1,1と、横柄1,1を開閉自在に保つバネ部2と、横柄1,1の先端から直角に延ばされた一対の縦柄3,3と、一対の縦柄3,3の端部に取付けられた一対の把持部4,4とからなる。把持部4が、平面視において湾曲しており、各把持部4の対面側が凹面に形成され、その凹面側の横方向両端部に弾性を有するホールド部材6が取付けられている。横柄1の先端から下方に延びる縦柄3が付いており、縦柄3の下端に取付けられた把持部4でビーカーの外周面を把持できる。横柄1は手前のビーカーの上方に位置させることができるので、手前のビーカーを取り除くことなく、奥側のビーカーを移動させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の横柄と、
該一対の横柄を開閉自在に保つ接続部と、
前記一対の横柄の先端から前記横柄に対し直角に延ばされた一対の縦柄と、
該一対の縦柄の端部に取付けられた一対の把持部とからなる
ことを特徴とするビーカー用挾み。
【請求項2】
前記横柄の全長が、300〜500mmである
ことを特徴とする請求項1記載のビーカー用挾み。
【請求項3】
前記縦柄の上下長さが、50〜80mmである
ことを特徴とする請求項1記載のビーカー用挾み。
【請求項4】
前記把持部が、平面視において湾曲しており、各把持部の対面側が凹面に形成されている
ことを特徴とする請求項1,2または3記載のビーカー用挾み。
【請求項5】
前記把持部は、その凹面側の幅方向両端部に弾性を有するホールド部材が取付けられている
ことを特徴とする請求項1,2,3または4記載のビーカー用挾み。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーカー用挾みに関する。さらに詳しくは、成分分析等を行う現場その他種々の現場で、ビーカーを垂直に持ち上げて移動させることができるビーカー用挾みに関する。
【背景技術】
【0002】
化学分析を行う際は試料を酸等で分解処理することが必要であり、この作業を効率よく行うために加熱分解を実施する。この際、化学反応により発生するガスを中和処理設備に送るため、前面のみにスライド窓を有し箱状に囲われた作業台であるドラフトチャンバー等の局所排気装置内に設置したホットプレートやサンドバス等の上に、化学薬品が混入したビーカーを乗せ、加熱と化学反応により試料を溶解させる作業が行われる。
【0003】
このような化学分析中のビーカーの移動には、特許文献1に示すようなビーカー用挾みが用いられていた。
このビーカー用挾みは、一対の木製の柄を備え、この柄の先端は円弧状に形成された把持部となっており、柄の基端部は金属製の板バネで接続されている。
通常は板バネの弾性で一対の柄は開き加減であるが、手で握ると閉じることができ、その閉じ動作によってビーカーを把持部で挾むことができる。
また、従来からある市販品は、上記特許文献1に開示の基本構造を踏襲しながら、湾曲した把持部の内周面はたとえば曲率半径50mm程度とされている。このように先端部を湾曲させたのは、ビーカーを挾んだときにビーカーが安定するように意図したものである。
【0004】
ところで、上記従来のビーカー用挟みを使用してホットプレート等の上に複数のビーカーを乗せる際は奥から順番に配置し、取り出す際は手前からに限定される。
そして、ビーカーの加熱による化学反応や溶液の蒸発はホットプレート等に先に置いたビーカーから進むので奥側から進行する。この場合、溶液が完全に蒸発する寸前に加熱を停止しなければならない作業では、事前にホットプレート等の手前に配置したビーカーをホットプレート等の上から降ろすか、ホットプレート等の手前に配置したビーカーを横にずらしてから奥の目的のビーカーを取り出すしかない。
【0005】
つまり、従来のビーカー用挾みを使う場合、横方向(ほぼ水平方向)からビーカー用挾みをホットプレート上に進入させて、ビーカーを把持するしかないので、奥に設置したビーカーを取るためには、手前のビーカーを先に移動させるしかなかった。
【0006】
しかしながら、例えば、上記のような溶液が完全に蒸発する寸前に加熱を停止しなければならない作業、すなわち、取り出しのタイミングが重要な作業では、手前のビーカーを移動させている間に奥側のビーカーの溶液が完全に蒸発してしまうことが無いように、早目に、頻繁に手前のビーカーを移動させる必要がある。そうすると、手前のビーカーは、移動の都度加熱が中断されるため、加熱分解に時間が掛かると共に、ビーカー毎に加熱時間のムラが発生してしまっていた。そのことを回避するために、ホットプレート等に乗せるビーカーの数を減らして対応することは可能だが、そうすると生産性が著しく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭52−108990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、ホットプレート等の上の手前のビーカーを動かさなくても奥側のビーカーを持ち上げて移動させることができるビーカー用挾みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明のビーカー用挾みは、一対の横柄と、該一対の横柄を開閉自在に保つ接続部と、前記一対の横柄の先端から前記横柄に対し直角に延ばされた一対の縦柄と、該一対の縦柄の端部に取付けられた一対の把持部とからなることを特徴とする。
第2発明のビーカー用挾みは、第1発明において、前記横柄の全長が、300〜500mmであることを特徴とする。
第3発明のビーカー用挾みは、第1発明において、前記縦柄の上下長さが、50〜80mmであることを特徴とする。
第4発明のビーカー用挾みは、第1,第2または第3発明において、前記把持部が、平面視において湾曲しており、各把持部の対面側が凹面に形成されていることを特徴とする。
第5発明のビーカー用挾みは、第1,第2,第3または第4発明において、前記把持部は、その凹面側の幅方向両端部に弾性を有するホールド部材が取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、横柄の先端から直角に延びる縦柄が付いており、この縦柄の端部に把持部があることにより、ビーカー用挾みをビーカーに対し上方から近づけて把持することができる。この場合、横柄はホットプレート上の手前のビーカーの上方に位置させることができるので、手前のビーカーを取り除くことなく、奥側のビーカーを把持して持ち上げ移動させることができる。
第2発明によれば、横柄がホットプレートの奥行きに対して充分な長さをもっているので、手前のビーカーに邪魔されずに奥側のビーカーを移動させる作業が容易に行える。
第3発明によれば、縦柄が、各種ビーカーが並んでいる状態で目的のビーカーを挾むに適した上下長さを有しているので、ビーカーを上方から把持する作業が容易に行える。
第4発明によれば、把持部は、その内側が凹面となるように湾曲しているので、外側に凸面となるビーカーの外周面をしっかりと把持することができる。
第5発明によれば、ホールド部材がビーカーの外面に4ヶ所で接触して弾性的に撓むので、把持部がビーカーに密着してしっかりとビーカーを把持でき、安定したビーカーの移動ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るビーカー用挾みAの平面図である。
図2図1に示すビーカー用挾みAの正面図である。
図3図1に示すビーカー用挾みAの側面図である。
図4】ビーカーBを挾んだ状態のビーカー用挾みAの平面図である。
図5】ビーカー用挾みAの使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1図3に基づき、本発明の一実施形態に係るビーカー用挾みAの構造を説明する。なお、これらの図において、上下方向を示す用語は横柄1を水平にした通常の使用状態で上下を向く方向を意図したものとして使用する。また、手前や奥などの奥行き方向の用語の意味は横柄1を水平にして手で握った状態で、ホットプレート上で手前に引いたり前へ進める方向を意図したものとして使用する。
【0013】
本実施形態のビーカー用挾みAは、一対の横柄1,1と、一対の横柄1,1を開閉自在に保つ接続部と、各横柄1,1の先端から直角に延ばされた一対の縦柄3,3と、この一対の縦柄3,3の端部に取付けられた一対の把持部4,4とから構成されている。
【0014】
横柄1,1の基部はバネ部2に結合されている。横柄1,1の基部はバネ部2で閉じられているが、先端側は自然な状態で開くように構成されている。バネ部2は、一対の横柄1,1を開き加減に保持すると共に手で一対の横柄1,1を握ると閉じることを可能とする機能があればよい。このバネ部2が、特許請求の範囲にいう接続部に該当する。
【0015】
図示のバネ部2は、横柄1,1に連続する金属棒をC型に成形したC型リングであるが、C型リングの代わりに板バネやコイルバネを用いたものであってもよい。
なお、接続部は上記バネ部2を含む上位概念であって、上記のような一対の横柄1,1を開閉自在に保つ機能があればよい。
【0016】
横柄1は、金属製の棒材で作成されている。棒材の金属としては、炭素鋼、アルミ合金や真鍮などが使えるが、ステレンス鋼が最も好ましい。その理由は、耐酸性が高く、曲げ加工によりバネ部を成形した際に適度な弾性を有するからである。なお、バネ部に板バネやコイルバネを用いた場合であって、必要な強度および剛性が担保できれば、中実の棒材に限らず、中空のパイプ状の部材も使用することができる。
【0017】
横柄1,1が上記のような金属製であるとバネ部2に加え、横柄1,1自体にも弾力性をもたせることができるので、横柄1,1の中間部を人の手で握って開閉することができる。この場合、一対の横柄1,1のうち手で握った部分が外力が加わる力点となり、バネ部2が支点となる。
【0018】
横柄1の全長は、300〜600mmが好ましく、400〜500mmがより好ましい。
横柄1の全長が400〜500mmの範囲であると、現用サイズのホットプレートの多くに本発明のビーカー用挾みAを適用でき、ホットプレートの奥側のビーカーを移動させることができる。
横柄1の全長が、300〜600mmの範囲であると、現用サイズのホットプレートのうち小型のホットプレートにも大型のホットプレートにも本発明のビーカー用挾みAを使用できる。
【0019】
なお、本発明では上記寸法以外のものを排除する趣旨ではなく、上記寸法以外の横柄を用いても、本発明のビーカー用挾みAに含まれる。
ただし、横柄1の全長が600mmを超えると、横柄を構成する金属そのものの撓みが大きくなるときがあるので、そのときは剛性の高い材質を選定する等の工夫が必要である。
【0020】
縦柄3は横柄1に対し直角に延びている。横柄1が水平な状態にあるときは縦柄3は垂直下方に向いて延びるように設けられている。縦柄3の上下長さは、50〜80mmが好ましく、60〜70mmがより好ましい。
縦柄3の長さが60〜70mmの範囲であると、現用サイズのビーカーのうち使用割合の多いビーカーに対応でき、上方からの把持が容易に行える。
縦柄3の長さが50〜80mmの範囲であると、現用サイズのビーカーのほとんど全てを上方から把持することができる。
【0021】
ただし、縦柄3の長さが80mmを超えると、把持部4,4を閉じたときに縦柄3を構成する金属そのものの撓みが大きくなり下方に向かって斜めに開くときがある。そのときは剛性の高い材質を選定する等の工夫が必要である。
【0022】
一対の縦柄3,3の下端部には、それぞれ把持部4が取り付けられている。この把持部4は側面視で四角形の板部材であるが、この把持部4は平面視においては湾曲しており、把持部4,4同士の対面側が凹面に形成されている。この凹面はビーカーの外側に凸面となる外周面に干渉することなく沿わせるためである。
【0023】
把持部4の幅寸法4wが45mmであって、深さ寸法4dが8mmであると、最も多いサイズのビーカーBに対し、最適サイズとなり、ビーカーBを安定的に持ち上げることができる。
把持部4の幅方向寸法4wが、40〜50mmの範囲であると、把持部4の両端部から中央の最奥部までの深さ寸法4dは、5〜10mmとなる。この幅寸法および深さ寸法4dであると、現用サイズのビーカーBのほとんど全てに、その外周面と干渉することがなく、充分な把持力をもたせることができる。
【0024】
把持部4の凹面側に形成された把持部本体5の横方向両端部には弾性を有するホールド部材6が取付けられている。ホールド部材6としては、摩擦性と弾力性を有するのが好ましく、たとえば、ゴム材料が好適に使用される。
また、用途に応じて耐熱性や耐酸性をもたせることが好ましく、耐熱性をもつシリコンボンドや、耐酸性を有するOリングなどが好適に用いられる。シリコンボンドであれば、市販のチューブ式で最適な材質のものを選択し、把持部本体5の横方向両端部において縦方向の線状に塗布すれば良い。Oリングであれば、Oリングの内周長が把持部本体5の外周長以下で最適な材質のものを選択し、外挿すれば良い。
【0025】
本実施形態のビーカー用挾みAは、図4に示すように、一対の横柄1,1を閉じるように手で握ると、ビーカーBの外周面を把持することができる。
そして、把持部4は、その内側が凹面となるように湾曲していることに加え、弾力性と摩擦性を有するホールド部材6を備えているので、曲率半径が異なっていたり重さも種々異なるビーカーに対してもしっかりと把持することができる。そして、ホールド部材6がビーカーBの外面に接触して弾性的に撓むので、安定した状態でビーカーBを把持できる。
【0026】
本発明のビーカー用挾みAの材料としては、既述した金属に限らず、木やプラスチックなども利用できる。これら材料は、使用現場で要求される耐酸性や耐熱性の面から好適なものを選択すればよい。
【0027】
図5に基づき、本実施形態のビーカー用挾みAの使用方法を説明する。
図5において、符号Pはホットプレートを示しており、図中左側は奥、図中右側は手前である。このビーカー用挾みAでは、横柄1が長く縦柄3は短いので、ビーカー用挾みAをホットプレートPの手前から奥側に差し込んで、ホットプレートP上のビーカーB1、B2、B3の上方空間に挿入できる。
【0028】
そして、縦柄3は横柄1の先端から下方に延びているので、縦柄3の下端に取付けられた把持部4で、奥側のビーカーB1のみを把持することができる。このため、手前のビーカーB2、B3を取り除くことなく、奥側のビーカーB1のみを把持して持ち上げ、手前のビーカーB2、B3上の空間を移動させ手前に引き取ることができる。
【0029】
以上のように、本実施形態のビーカー用挾みAを使うと、手前のビーカーB3等を移動することなく奥側のビーカーB1等を移動できるので、作業効率が向上する。
また、ホットプレートP上に最大個数のビーカーを載せて加熱処理等を行うことができる。
【0030】
(他の実施形態)
図示の実施形態は、一対の柄1,1の基部(バネ部2)が支点となる和挾みの形態をしているが、この代りに一対の柄1,1の中間位置にピンで止じる接続部を設け、各横柄1,1の基部に握り部を設け先端に把持部4,4を設ける洋挾みの形態であってもよい。この洋挾み型のビーカー用挾みであれば、接続部を構成するピンが一対の横柄1,1に開閉機能を付与することになる。そして、このような洋挾み型のビーカー用挾みにおいて、縦柄3と把持部4との組合せを図示の実施形態と同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のビーカー用挾みは、代表的には化学分析等を行う現場で使用されるが、これに限られない。たとえば、茶碗蒸し等を扱う飲食業、食品製造業などの現場を含み、あらゆる現場で利用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 横柄
2 バネ部
3 縦柄
4 把持部
6 ホールド部材
A ビーカー用挾み
図1
図2
図3
図4
図5