特開2019-206728(P2019-206728A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-206728(P2019-206728A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】機械の組付け用潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 171/02 20060101AFI20191108BHJP
   C10M 169/04 20060101ALI20191108BHJP
   C10M 143/00 20060101ALI20191108BHJP
   C10M 145/14 20060101ALI20191108BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20191108BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20191108BHJP
   C10N 30/04 20060101ALN20191108BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20191108BHJP
   C10N 30/12 20060101ALN20191108BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20191108BHJP
【FI】
   C10M171/02
   C10M169/04
   C10M143/00
   C10M145/14
   C10N30:00 Z
   C10N30:02
   C10N30:04
   C10N30:06
   C10N30:12
   C10N40:02
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-168792(P2019-168792)
(22)【出願日】2019年9月17日
(62)【分割の表示】特願2015-38940(P2015-38940)の分割
【原出願日】2015年2月27日
(31)【優先権主張番号】特願2014-38902(P2014-38902)
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(72)【発明者】
【氏名】篠田 実男
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 三治
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104CA01C
4H104CB08C
4H104DA02A
4H104EB05
4H104EB08
4H104EB09
4H104EB10
4H104LA01
4H104LA02
4H104LA03
4H104LA06
4H104LA20
4H104PA01
(57)【要約】
【課題】機械の組付け用潤滑油の分野において、機械を空転始動する際に損傷が生じず、摩擦係数が低く、防錆性能を有し、かつ使用した潤滑油と混合した時にスラッジを起こしにくい機械の組付け用潤滑油組成物を提供すること。
【解決手段】(A)粘度指数向上剤、及び(B)防錆剤を配合してなり、かつ、40℃における動粘度が1500〜7000mm/sである機械の組付け用潤滑油組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)粘度指数向上剤、及び(B)防錆剤を配合してなり、かつ、40℃における動粘度が1500〜7000mm/sである機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項2】
前記(A)粘度指数向上剤を30質量%以上配合してなる請求項1に記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項3】
前記(A)粘度指数向上剤が、ポリ(メタ)アクリレートポリマー、エチレン−α−オレフィン共重合体及びポリα−オレフィン重合体から選択される1種以上を含む請求項1又は2に記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項4】
前記(B)防錆剤が、ポリオキシアルキレンが結合した防錆剤、アルケニル基を有する防錆剤、及びアルキル基を有する防錆剤から選択される1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項5】
組成物全量基準における金属含有量が0.01質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項6】
さらに摩擦緩和剤を配合してなる請求項1〜5のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項7】
さらに酸化防止剤を配合してなる請求項1〜6のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械の組付け用潤滑油組成物に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸−軸受構造を有する機械の組付けを行う際には、回転軸と軸受との接触部位を潤滑するために、事前に回転体や軸受に歯車の潤滑油を塗布することが一般に行われている。
しかしながら、火力発電に用いられる蒸気タービン、ガスタービン、風力発電に代表される極めて大型な機械においては、回転体や歯車を軸受に組付ける際に、タービン油やギヤ油、圧縮機油をそのまま使用すると、回転体や軸受の大きさに比して潤滑油の粘度が低いため、組付けが完了した後、機械を空転始動する際に回転体や軸受の損傷が生じることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記損傷を抑止するために、組付けの際に回転体や軸受に塗布するために、極めて粘度の高い機械の組付け用潤滑油を別途用意する方法が考えられる。しかしながらこの場合、当該機械の組付け用潤滑油は、摩擦係数が高くなり、防錆性能が得られないという問題が生じることがあった。
また、機械を空転始動した後にはタービン油、ギヤ油、圧縮機油等の使用した潤滑油と分離しないことが必要である。分離すると装置の循環系を構成するオイルタンク内や、配管の潤滑油滞留部分に沈降して堆積する問題があった。さらに、滞留物がデポジット化しスラッジの原因となり、使用した潤滑油の性能を著しく低下させたり、循環系路のつまりの問題となる。
従って本発明は、回転体を軸受に組付ける際に塗布する機械の組付け用潤滑油の分野において、機械を空転始動する際に損傷が生じず、摩擦係数が低く、防錆性能を有し、かつ使用した潤滑油と混合した時にスラッジを生じにくい機械の組付け用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、粘度指数向上剤と防錆剤を含有し、かつ、特定の動粘度を有する潤滑油組成物を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、以下を提供するものである。
1.(A)粘度指数向上剤、及び(B)防錆剤を配合してなり、かつ、40℃における動粘度が1500〜7000mm/sである機械の組付け用潤滑油組成物。
2.前記(A)粘度指数向上剤を30質量%以上配合してなる上記1に記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
3.前記(A)粘度指数向上剤が、ポリ(メタ)アクリレートポリマー、エチレン−α−オレフィン共重合体及びポリα−オレフィン重合体から選択される1種以上を含む上記1又は2に記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
4.前記(B)防錆剤が、ポリオキシアルキレンが結合した防錆剤、アルケニル基を有する防錆剤、及びアルキル基を有する防錆剤から選択される1種以上である上記1〜3のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
5.組成物全量基準における金属含有量が0.01質量%以下である上記1〜4のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
6.さらに摩擦緩和剤を配合してなる上記1〜5のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
7.さらに酸化防止剤を配合してなる上記1〜6のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、機械の組付け用潤滑油の分野において、空転始動する際に損傷が生じず、摩擦係数が低く、防錆性能を有し、かつ使用した潤滑油と混合した時にスラッジを生じにくい機械の組付け用潤滑油組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[機械の組付け用潤滑油組成物]
本発明の機械の組付け用潤滑油組成物(以下、「本発明の潤滑油組成物」と略記することがある。)は、(A)粘度指数向上剤、及び(B)防錆剤を配合してなり、かつ、40℃における動粘度が1500〜7000mm/sであることを特徴とする。
本発明において、例えば、「(A)成分及び(B)成分を配合してなる組成物」と規定された組成物は、「(A)成分及び(B)成分を含有する組成物」だけでなく、「(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方の成分の代わりに、当該成分が変性した変性物を含む組成物」や、「(A)成分と(B)成分とが反応して得られた反応生成物を含む組成物」も含まれる。
【0007】
本発明の潤滑油組成物は、40℃における動粘度が1500〜7000mm/sであり、3000〜6000mm/sであることが好ましく、3000〜5000mm/sであることがより好ましい。潤滑油組成物の40℃における動粘度が1500mm/s未満であると、機械を始動する際に焼き付きが発生することがあり、7000mm/s超であると、摩擦係数が高くなる虞がある。
さらに、本発明の機械の組付け用潤滑油組成物は、流動点が−35℃以下であることが好ましく、−40℃以下であることがより好ましく、−45℃以下であることがさらに好ましい。潤滑油組成物の流動点が−35℃を超えると、屋外使用時に粘度高くなり取扱が困難となることや、摩擦係数が高くなる虞がある。
【0008】
〔(A)粘度指数向上剤〕
上述のように、本発明の潤滑油組成物は、極めて高い動粘度を有するものでありながら、同時に摩擦係数が低いという特徴を有する。このような特性を実現する観点から、本発明の潤滑油組成物は、(A)粘度指数向上剤を有するものであり、また、(A)粘度指数向上剤を30質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することがより好ましく、また、90質量%以下含有することが好ましい。
上記(A)粘度指数向上剤としては、重合体を鉱油等で希釈しているものも含まれる。
上記(A)粘度指数向上剤としては、ポリ(メタ)アクリレートポリマー、エチレン−α−オレフィン共重合体及びポリα−オレフィン重合体から選択される1種以上を含むことが好ましい。
上記ポリ(メタ)アクリレートポリマーとしては、ポリアルキルメタクリレートが好ましい。
さらに、上記(A)粘度指数向上剤としては、40℃動粘度が3000mm/s〜100000mm/sであることが好ましく、4000mm/s〜90000mm/sであることがより好ましく、4000mm/s〜50000mm/sであることがさらに好ましい。
また、上記(A)粘度指数向上剤としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した場合のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10000〜500000であることが好ましく、20000〜250000であることがより好ましく、50000〜150000であることがさらに好ましい。
【0009】
また、本発明の潤滑油組成物は、粘度調整等の観点から、鉱油を3〜50質量%含有することが好ましく、5〜30質量%含有することがより好ましく、7〜20質量%含有することがさらに好ましい。
上記鉱油としては、例えばパラフィン系、中間基系、又はナフテン系原油を常圧蒸留するか、あるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいは鉱油系ワックスやフィッシャ−トロプシュプロセス等により製造されるワックス(ガストゥリキッドワックス)を異性化することによって製造される基油等が挙げられる。
このような鉱油の中では、40℃における動粘度が10〜200mm/sのものが好ましく用いられ、40℃における動粘度が20〜100mm/sのものがより好ましい。
【0010】
〔(B)防錆剤〕
本発明の潤滑油組成物に配合される(B)防錆剤としては、種々の防錆剤を使用し得る。洗浄分散能の観点から、ポリオキシアルキレンが結合したもの、アルケニル基を有するもの、及びアルキル基を有するものから選択される1種以上が好ましく、さらに、スラッジを抑制するという観点で、金属分を含まない防錆剤がより好ましい。
具体的には、例えば、コハク酸イミド等を例示することができ、また、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸エステル等の無灰系防錆剤、ステアリン酸等の脂肪酸類、ジカルボン酸類、(短鎖)アルケニルコハク酸類、それらの部分エステル及びそれらの含窒素誘導体、各種アミン化合物、アルキルスルホン酸塩、多価アルコールエステル(例えば、ソルビタンモノオレート等の部分カルボン酸エステル等)、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、ノニオン性ポリオキシアルキレン剤(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビトール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、及びモノオレイン酸ポリエチレングリコール)、リン酸エステル等のリン化合物、及びスルホン酸化合物等が挙げられ、アルケニルコハク酸エステルが好ましく、アルケニルコハク酸多価アルコールエステルが特に好ましい。
上記(B)防錆剤としては、希釈用の鉱油等を含有しているものも含まれる。
本発明の潤滑油組成物は、(B)防錆剤を0.01〜3.0質量%含有することが好ましく、0.05〜2.0質量%含有することがより好ましく、0.10〜1.0質量%含有することがさらに好ましい。
【0011】
さらに本発明の潤滑油組成物は、実質的に金属原子を含む添加剤を含有しないものが好ましく、例えば、組成物全量基準における金属含有量が0.01質量%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の潤滑油組成物は、さらに他の添加剤を配合してなるものであってもよく、添加剤の具体例としては、酸化防止剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、極圧剤、増粘剤、金属不活性化剤等が挙げられる。
【0013】
(酸化防止剤)
本発明の潤滑油組成物に配合される酸化防止剤としては、種々公知の酸化防止剤を使用し得る。
具体的には、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−{4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ}フェノール等のモノフェノール系、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)等のジフェノール系酸化防止剤、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、ホスホン酸エステル等のリン系酸化防止剤等が挙げられる
【0014】
(耐摩耗剤)
本発明の潤滑油組成物に配合される耐摩耗剤としては、種々公知の耐摩耗剤を使用し得る。具体的には、例えば、二硫化モリブデン等の無機又は有機モリブデン化合物、アルキルメルカプチルボレート等の有機ホウ素化合物;グラファイト、硫化アンチモン、ホウ素化合物、ポリテトラフルオロエチレン等を例示することができる。
【0015】
(摩擦調整剤)
本発明の潤滑油組成物に配合される摩擦調整剤としては、種々公知の摩擦調整剤を使用し得る。具体的には、例えば、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数8〜24の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩等が例示できる。アミン化合物としては、直鎖状若しくは分枝状のアルキル基若しくはアルケニル基を有する脂肪族(ポリ)アミン、又はこれらのアルキレンオキシド付加物等が例示できる。
【0016】
(摩擦緩和剤)
本発明の潤滑油組成物に配合される摩擦緩和剤としては、アルコキシ化脂肪族アミン;ホウ素化脂肪族エポキシド;脂肪族亜リン酸、脂肪族エポシキド、脂肪族アミン、ホウ素化アルコキシ化脂肪族アミン、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、グリセロールエステル、ホウ素化グリセロールエステル;及び米国特許第6372696号明細書に開示されているような脂肪族イミダゾリン;炭素数4〜75、好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜20の脂肪酸エステル及びリン酸エステルからなる群より選ばれるものと、アンモニア及びアルカノールアミンからなる群より選ばれる含窒素化合物との反応生成物等が挙げられ、リン酸エステルアミン塩が最も好ましい。
本発明の潤滑油組成物が摩擦緩和剤を含有する場合、その含有量は0.01〜1.0質量%であることが好ましく、0.02〜0.50質量%であることがより好ましく、0.03〜0.10質量%含有することがさらに好ましい。
【0017】
(流動点降下剤)
本発明の潤滑油組成物に配合される流動点降下剤としては、種々公知の流動点降下剤を使用し得る。具体的には、例えば、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン、アルキルナフタレン等を例示することができる。
【0018】
(消泡剤)
本発明の潤滑油組成物に配合される消泡剤としては、種々公知の消泡剤を使用し得る。具体的には、例えば、メタクリル酸アルキルの重合体、ジメチルシロキサン、シリカゲル分散体、ジメチルシリコーンの重合体等のシリコーン油化合物、アルコール系又はエステル系の化合物等を例示することができる。
【0019】
(極圧剤)
本発明の潤滑油組成物に配合される極圧剤としては種々公知の極圧剤を使用し得る。
具体的には、例えば、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、チオホスフィネート類、チオカーボネート類、硫化油脂、硫化オレフィン等のイオウ系極圧剤;リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン類等のリン酸類;塩素化炭化水素等のハロゲン系化合物等を例示することができる。
【0020】
(増粘剤)
本発明の潤滑油組成物に配合される増粘剤としては、酢酸ポリウレア、ステアリン酸リチウム等が挙げられる。
【0021】
[回転軸の組付け方法]
本発明に係る回転軸の組付け方法は、前記機械の組付け用潤滑油組成物を回転体や軸受に塗布する工程と、回転体を軸受に組付ける工程と、回転軸−軸受間に実際に使用する潤滑油組成物を供給しつつ、回転軸を回転させる工程を経る。
【0022】
本発明の組付け方法は、大型の回転軸を組付ける際に特に有用であり、このような回転軸の具体例としては、ガスタービン、蒸気タービン、風力発電、大型ギア、圧縮機等に用いられるものが挙げられる。
【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0024】
<性状の測定方法>
以下の実施例、比較例における潤滑油組成物の性状の測定は、下記方法によって行った。
(1)動粘度
JIS K2283に記載の方法に準拠して測定した。
(2)粘度指数
JIS K2283に記載の方法に準拠して測定した。
(3)酸価
JIS K2501に記載の方法に準拠して測定した。
(4)密度
JIS K2249に記載の方法に準拠して測定した。
(5)引火点
JIS K2265に記載の方法に準拠して測定した。
(6)流動点
JIS K2269に記載の方法に準拠して測定した。
【0025】
<評価方法>
以下の実施例、比較例における潤滑油組成物の性能の評価は、下記方法によって行った。
(1)防錆性能
JIS K2510記載の方法に準拠して測定した。
(2)摩擦係数
バウデンレーベンの往復駆動試験にて評価した。
評価は、室温で行い押付球にSUJ2を用い、相手材としてWJ2のホワイトメタル合金(面粗さRa1.0以下)を用い試料を塗布し、荷重1.0kg、摺動速度1、2、4mm/sにて行った。
(3)付着質量
事前に質量を測定したSPCC鋼板(60×80×0.8mm)をn−ヘキサンで洗浄し、乾燥後に試料中に30分間浸漬した後、試料から取り出し、25℃にて1週間吊るした状態で静置し、その後、試料が付着したSPCC鋼板の質量を測定し、前記事前に測定した質量との差を付着質量とした。
(4)酸化安定性
JIS K2514記載の方法で、水を入れずに120℃で評価した。
試料は、出光興産(株)製のダフニースーパータービンMG32に本機械の組付け用潤滑油を1.0質量パーセント添加したものを用いた。評価は1000時間後のRPVOT維持率(評価後のRPVOT/評価前のRPVOT×100にて求めた値)、及びスラッジ量にて評価した。
RPVOTは、JIS K2514に記載の方法に準拠して測定した。
スラッジ量は、口径0.8ミクロンのメンブランフィルターを用い、試料100gを濾過し、n−ヘプタン250mlにて洗浄し、メンブランフィルターを75℃、60分かけて乾燥、冷却後、質量測定にて求めた。
【0026】
実施例1〜6及び比較例1〜5
第1−1表及び第1−2表に示した基油及び添加剤を第1−1表及び第1−2表に示す割合で配合して、潤滑油組成物を調製した。その組成物の組成、性状及び性能を第1−1表及び第1−2表に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
(A)粘度指数向上剤1:ポリ(メタ)アクリレート系重合体(固形分:70質量%、鉱油分:30質量%、重量平均分子量(Mw):69,000)
(A)粘度指数向上剤2:エチレン−プロピレンコポリマー(固形分:15質量%、鉱油分:85質量%、重量平均分子量(Mw):98,000)
(A)粘度指数向上剤3:ポリ(メタ)アクリレート系共重合体(固形分:65質量%、鉱油分:35質量%)
(A)粘度指数向上剤4:スチレン系オレフィンコポリマー(固形分:15質量%、鉱油分:85質量%、重量平均分子量(Mw):700,000)
(A)粘度指数向上剤5:エチレン−プロピレンコポリマー
(A)粘度指数向上剤6:エチレン−プロピレンコポリマー
(B)防錆剤:アルケニルコハク酸多価アルコールエステル(ドデセニルコハク酸のポリオレフィン付加物;固形分:65質量%、鉱油分:35質量%)
摩擦緩和剤:長鎖リン酸エステルアミン塩
酸化防止剤1:C7−9アルキル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
酸化防止剤2:モノブチルフェニルモノオクチルフェニルアミン
酸化防止剤3:2,6−ジターシャリーブチルフェノール
銅不活性化剤:N−ジアルキルアミノメチルベンゾトリアゾール
【0030】
上記実施例1〜6及び比較例1〜5で使用したパラフィン系鉱油1〜3、ナフテン系鉱油1〜2及び(A)粘度指数向上剤1〜6の性状を下記第2表に示す。
【0031】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の潤滑油組成物は、火力発電に用いられる蒸気タービンやガスタービン等の大径回転軸を有する機械の組付けを行う際に有用である。
【手続補正書】
【提出日】2019年10月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)粘度指数向上剤、(B)防錆剤、及び40℃における動粘度が10〜200mm/sである鉱油を配合してなり、
前記(A)粘度指数向上剤が、少なくともエチレン−α−オレフィン共重合体を含み、
前記(B)防錆剤が、アルケニルコハク酸エステルであり、
前記(A)粘度指数向上剤を50質量%以上90質量%以下、及び前記鉱油を3〜50質量%配合してなり、
かつ、40℃における動粘度が3000〜5000mm/sである機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項2】
硫黄に隣接する少なくとも一つの炭化水素基が、2級もしくは3級の炭化水素基である硫黄含有化合物を含まない、請求項1に記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項3】
硫黄系極圧剤を含まない、請求項1又は2に記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項4】
前記(A)粘度指数向上剤が、更に、ポリ(メタ)アクリレートポリマー及びポリα−オレフィン重合体から選択される1種以上を含む請求項1〜3のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項5】
組成物全量基準における金属含有量が0.01質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項6】
さらに摩擦緩和剤を配合してなる請求項1〜5のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項7】
さらに酸化防止剤を配合してなる請求項1〜6のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物。
【請求項8】
合成油を含まない、請求項1〜7のいずれかに記載の機械の組付け用潤滑油組成物