特開2019-207629(P2019-207629A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2019207629-水処理制御監視装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-207629(P2019-207629A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】水処理制御監視装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20191108BHJP
   C02F 1/00 20060101ALI20191108BHJP
   C02F 5/00 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   C02F1/00 K
   C02F5/00 610G
   C02F1/00 V
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-103714(P2018-103714)
(22)【出願日】2018年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】角田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】井石 智
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】リアルタイムで水処理状況を遠隔監視し、タイムリーな水処理管理を可能とする。
【解決手段】冷却設備の補給水、循環水の導電率、補給水量、及び薬注量を測定する測定器と、データをデータベースに送信する通信機器と、データベースに蓄積したデータを用いて、水質、水バランスから濃縮倍数、循環水中の薬剤濃度、及びpHを算出する算出手段とを有する水処理制御監視装置。さらに、算出結果をウェブ上に表示する表示手段を有する。また、測定値及び計算値を用いて報告書を作成する手段を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却設備の補給水の導電率、循環水の導電率、補給水量、及び薬注量を測定する測定器と、
該測定器による測定データをデータベースに送信する通信機器と、
該データベースに蓄積したデータを用いて、濃縮倍数、循環水中の薬剤濃度、及びpHからなる群から選択される1以上を算出する算出手段と
を有する水処理制御監視装置。
【請求項2】
算出結果をウェブ上に表示する表示手段を有する請求項1の水処理制御監視装置。
【請求項3】
測定値及び計算値を用いて報告書を作成する手段を有する請求項1又は2の水処理制御監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水処理の薬注制御及び監視を行う水処理制御監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却水を用いる機器冷却設備において、機器冷却により昇温した冷却水は、冷却塔にて蒸発潜熱により冷却され、再度機器冷却水として利用される。冷却塔では、冷却水の一部は蒸発し系外に放出される。減少した量の補給水が補給水ラインから注入される。冷却設備の稼動が継続すると、水中の硬度成分、その他不純物の濃度が徐々に上昇するので、冷却水のブロー管理が行われるとともに、硬度成分が析出しないよう薬剤が注入される。冷却水のブロー管理は、冷却水の電気伝導度を測定し、上限を超えないように行われる。
【0003】
薬剤の濃度管理は、(1)タイマー注入による定量注入、(2)補給水量比例注入、(3)オンライン分析装置を用いた薬注制御が主な方法である。(1),(2)は、冷却水をサンプリングした冷却水を試験施設に持ち込んで分析し、その結果に応じて薬注量を調整するため、リアルタイムな対応が出来ない。また、月に数回のサンプルでの水処理状況の確認となるため、連続的な水処理状況の確認は出来ない。(3)の薬注制御では、分析装置を現場に設置し、分析結果に応じて薬注制御を行い、薬品濃度をコントロールする。この方法には、リアルタイムな分析が可能であるが、分析装置が高価であるため適用出来る設備が限定されてしまうというデメリットがあった。
【0004】
このように、上記(1),(2)の水処理管理では、サンプリングを月に数回行い水質分析結果を確認後、水処理設備の調整を行うため突発的な水質の変化、冷却水設備の負荷変化に対応する事が難しい。上記(3)の水処理管理では、冷却水中の薬品濃度の制御が可能であるが、コスト高である。このようなことから、従来の冷却水系の水処理管理には、以下に挙げるような課題があった。
(イ) 水処理の状態をリアルタイムに把握できず、水処理不良状態に長期間陥るリスクがある。
(ロ) 水処理状況把握のための点検工数が多い(実際には問題がないのに、点検を行う必要がある。)
(ハ) 水処理による効果を把握できない。
(ニ) 水質状態、薬注量などの記録を手作業で記録しレポートを作成する必要があり、手間がかかる。
(ホ) 記録ミスを起こすリスクがある。
【0005】
特許文献1,2には冷却塔の水処理機器を遠隔制御することが記載されている。特許文献3には、冷却塔の運転データを通信回線によって情報センタに送信し、データベースに登録することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−117559号公報
【特許文献2】特開2003−269889号公報
【特許文献3】特開2007−87117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、リアルタイムで水処理状況を遠隔監視し、タイムリーな水処理管理を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水処理制御監視装置は、冷却設備の補給水の導電率、循環水の導電率、補給水量、及び薬注量を測定する測定器と、該測定器による測定データをデータベースに送信する通信機器と、該データベースに蓄積したデータを用いて、濃縮倍数、循環水中の薬剤濃度、及びpHからなる群から選択される1以上を算出する算出手段とを有する。
【0009】
本発明の一態様の水処理制御監視装置は、さらに算出結果をウェブ上に表示する表示手段を有する。
【0010】
本発明の一態様の水処理制御監視装置は、さらに測定値及び計算値を用いて報告書を作成する手段を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、冷却水設備、薬注設備からデータ収集し、実測データと水バランスから冷却水中の薬品濃度を算出することで、試験施設での水質分析結果と同等の結果を得ることが可能となる。例えば、実機の補給水と、循環水の導電率を実測することにより、精度の高い結果を得ることが出来る。
【0012】
また、得られたデータをウェブに表示できる様にすることで、タイムリーな水処理管理を実現する事が出来る。さらに帳票を自動的に作成しオペレータの負担を軽減する事が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態の構成図である。
図2】実験データを示すグラフである。
図3】実験データを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、実施の形態に係る開放型循環冷却水系の薬注装置を備える開放型循環冷却水設備を示す系統図である。
【0016】
1は冷却塔であり、ケーシング(塔体)1Aを備え、ケーシング1Aの側面に空気流入口が形成され、底部に冷却水の水槽(ピット)1Cが設けられている。ケーシング1A内に充填材1Dが収容され、充填材1Dの上方に、冷却水の散水ノズル1Eが配設されている。ケーシング1Aの頂部に開口1Fが設けられ、この開口1Fに送風機1Gが設けられている。
【0017】
冷却塔1の水槽1Cから、ポンプPを有する循環配管2により冷却水が熱交換器3に送給され、戻り水が配管4より冷却塔1に戻され、散水ノズル1Eから充填材1Dに散水される。補給水は導入配管10から供給され、ブロー水はブロー配管6から流出する。
【0018】
補給水配管10は、第1配管1と第2配管12とに分岐している。第1配管11からはボールタップ13によって補給水がピット1Cに供給される。第2配管12からは電磁弁14を介して補給水がピット1Cに供給される。ピット1Cに対しては、薬液タンク15内の薬液がポンプ16及び薬注配管17を介して供給(薬注)される。
【0019】
薬注管理を行うための計装機器として、補給水配管10に流量計21と導電率計22とが設けられ、薬注配管17に流量計23が設けられている。また、ピット1Cには冷却水の導電率を測定するための導電率計24が設けられている。これらの測定データはコントローラ30に入力され、コントローラ30が電磁弁14と薬注ポンプ16を制御する。
【0020】
コントローラ30は通信機器40を介して外部例えば管理センターのサーバと通信可能となっている。
【0021】
管理センターのサーバは、通信機器40から受信したデータのファイル名、ファイルに記録されている客先コードや設備コードに基づいて、運転データベース内のデータ登録先を決定し、冷却設備の稼働状態を示す情報を運転データベースに登録する。
【0022】
管理センターのサーバには、運転データベースに登録されているデータの解析、診断、及び表示用の加工を行うデータ解析部が設けられていると共に、診断結果から薬注制御データを生成させる制御データ生成部が設けられている。サーバは、このデータを前記データベースに登録すると共に、通信機器40を介してコントローラ30へ制御データを与える。
【0023】
また、サーバは、定期的に(例えば毎月)、運転データベースに保存されている分析結果、解析結果、診断結果、トレンドグラフ等を報告書(例えば月報)の形式に加工し、データベースに保存すると共に、必要に応じ報告書を表示部に表示したり、プリンタに印刷させる報告書作成部を有する。
【0024】
この実施の形態での薬注方法は、安価で循環水中の薬品濃度を制御することができる補給水比例注入方式を適用することとし、冷却水設備の水処理状況をモニタリングするために以下のデータを採取する。薬注コントローラは薬注制御およびブロー制御を行うとともに以下のデータを取込み通信機器によりウェブサーバーに送信する。
【0025】
<実測するデータ>
・補給水導電率mS/m(MWEC)
・補給水流量m/h(M)
・循環水導電率mS/m(CWEC)
・薬品注入量g/h(CI)
【0026】
サーバのデータベースに格納されたデータを用いて以下の計算により以下の項目を算出する。
【0027】
濃縮倍数は、補給水と循環水の両方を実測するため、補給水水質の変動による影響を受けにくい。
【0028】
<計算による水質算出>
・濃縮倍数(N)=CWEC/MWEC
・補給水中薬剤濃度mg/L(CCMW)=CI/MWEC
・循環水薬剤濃度mg/L(CCCW)=CCMW×N
・pH(pH)=Fp×(Log(MA×N))+Cp
(Fpは係数(経験値)、Cpは定数(経験値)、MAは補給水の酸消費量(pH4.8)
(mgCaCO/L)である。)
【0029】
以上のように、冷却水設備、水処理設備から採取した実運転データより、水バランスを計算し、薬剤濃度、及び循環水中の薬剤濃度を算出する事が出来る。本手法を用いることで、簡便であるにも拘わらず確実にリアルタイムな水処理情報を遠隔からウェブで監視する事が出来る。
【実施例】
【0030】
[実施例1]
以下のように、本発明を用いた薬注制御を実機冷却水設備にて実施し、試験施設(ラボ)での薬剤濃度分析結果と本手法により演算した薬品濃度結果を図2に示した。
<実験条件>
薬注方式:補給水比例方式
補給水・循環水の導電率を測定し薬品濃度を演算
【0031】
[比較例1]
従来の補給水比例方式での薬注制御を実機冷却水設備にて実施した場合とラボでの薬剤濃度分析結果を図3に示した。
<実験条件>
薬注方式:補給水比例方式
循環水のみ導電率を測定し薬品濃度を演算
【0032】
<結果・考察>
実施例で冷却水中の薬品濃度を演算した場合、ラボでの分析結果と同等の結果となるが、比較例の手法(補給水のみの導電率測定)では、ラボでの分析結果との乖離が大きくなる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2019年10月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
<計算による水質算出>
・濃縮倍数(N)=CWEC/MWEC
・補給水中薬剤濃度mg/L(CCMW)=CI/
・循環水薬剤濃度mg/L(CCCW)=CCMW×N
・pH(pH)=Fp×(Log(MA×N))+Cp
(Fpは係数(経験値)、Cpは定数(経験値)、MAは補給水の酸消費量(pH4.8)(mgCaCO/L)である。)