【解決手段】 発光装置は、光を放射する発光素子と、光を反射する光反射面を有する光反射部材と、発光素子から放射された光の進行方向を制御するレンズ部を有するレンズ部材と、を備え、レンズ部は、光の進行方向の制御に係る第1レンズ形状と第2レンズ形状とを有し、第1レンズ形状は、放射された光のうち、光反射面に向かって進行し反射された反射光の進行方向を制御し、第2レンズ形状は、放射された光のうち、光反射面の端部を境界に光反射面に向かって進行した反射光以外の光であって、光反射面の端部を境界に光反射面の外に向かって進行する光である非反射光の進行方向を制御する。
前記レンズ部材は、前記光反射面を介して反射された後、前記基部の前記平面から離れる方向に進行する前記反射光が通過する前記第1レンズ形状と、前記光反射面を経由せずに前記基部の前記平面から離れる方向に進行する前記非反射光が通過する前記第2レンズ形状と、を有する
請求項4に記載の発光装置。
前記第1発光素子から放射される光の垂直方向の拡がり角は、前記第2発光素子から放射される光の垂直方向の拡がり角よりも大きい、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら以下に説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る発光装置1の模式図である。発光装置1は、基部10、サブマウント20、半導体レーザ素子30、光反射部材40、及びレンズ部材50を有する。また、発光装置1は、基部10の平面上に、サブマウント20、半導体レーザ素子30、光反射部材40、及びレンズ部材50を配置する。また、発光装置1は、基部10において光反射部材40が配置される配置面を基準に、その配置面の上に配置される半導体レーザ素子30及び光反射部材40よりも更に上方に、レンズ部材50が配置される。以下、発光装置1の構成要素について説明する。なお、本明細書において「上方」とは、基部10の配置面を基準にして、半導体レーザ素子30が配置される方向を指す。
【0010】
基部10は、平面上に直接サブマウント20及び光反射部材40を配置する。また、基部10は、平面上にサブマウント20を介して半導体レーザ素子30を配置する。ここで、本願においては、ある面の上に部材が直接配置される状態、あるいは、その面の上に直接配置された別の物体の上に部材が直接配置される状態のいずれも、「面の上に部材を配置する」と表現するものとする。つまり、その面の上方に部材が配置され、間接物を介してあるいは介さずにその面と部材が物理的に繋がっている状態は、その面の上に部材が配置されている状態と表記する。なお、面の上に部材が直接配置されていることに特定する場合は「直接」の文言を用いて表現するものとする。直接配置されていることに特定されていない場合は、いずれであってもよいことを示している。
【0011】
基部10は、半導体レーザ素子30を外部電源と電気的に接続するための電極を有しており、この電極に半導体レーザ素子30が電気的に接続される。これにより、基部10は半導体レーザ素子30を外部電源と電気的に接続する役割を果たす。基部10としてはセラミックや金属、これらの複合体等を用いることができる。
【0012】
サブマウント20は、その底面で基部10と接合し、その上面に半導体レーザ素子30を配置する。サブマウント20は、基部10の上面から半導体レーザ素子30が光を放射する位置までの高さを十分に確保する役割を担っている。従って、半導体レーザ素子30のみで既に十分な高さが確保できていれば、サブマウント20は発光装置1の構成から省くことが可能である。なお、サブマウント20は、その熱伝導率が基部10の熱伝導率よりも高いものを用いることで、高さの確保の他、放熱性を向上させる役割も果たし得る。発光装置1において半導体レーザ素子30の発光点は光反射部材40に近い側の側面に設けられており、発光点から光反射部材40の方向に光は放射される。
【0013】
ここで、確保したい十分な高さとは、例えば、半導体レーザ素子30から放射される光の主要部分が基部10に直接照射されない高さとすることができる。半導体レーザ素子30から放射された光は、基部10の配置面を基準にして捉えると、配置面へと進む光と、配置面と平行に進む光と、配置面から離れる光と、に区分することができる。従って、この例の場合、主要部分のうち配置面へと進む光が、そのまま配置面に直接照射されず、光反射部材40に照射されるように高さを確保する。そのため、確保する高さは、半導体レーザ素子30から放射される光の拡がりや、配置面の上に配される半導体レーザ素子30と光反射部材40との距離、などを考慮して決定される。ここで、レーザ素子による光の主要部分とは、レーザ光のピーク強度値から1/e
2等の任意の強度に落ちたところまでの強度範囲の部分を指す。
【0014】
サブマウント20としては、基部10及び半導体レーザ素子30と好適に接合するものが望ましい。例えば、半導体レーザ素子30として窒化物半導体を含む材料を用い、基部10の主材料として窒化アルミニウムを用いる場合は、サブマウント20として、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いることができる。また、サブマウント20には金属膜が設けられており、半導体レーザ素子30はAu−Sn等の導電層によりサブマウント20に固定されている。
【0015】
半導体レーザ素子30は、その底面でサブマウント20と接合しており、光反射部材40に近い側の側面から光を放射する。半導体レーザ素子30の放射光は、光の出射端面と平行な面において、活性層を含む複数の半導体層の積層方向の長さがそれに垂直な方向の長さよりも長い、楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を有する。ここでいうFFPとは、半導体レーザ素子の光出射端面からある程度離れており且つ光出射端面と平行な面において放射光の光強度分布を測定したものである。FFPの形状は、光の主要部分による形状として特定される。
【0016】
光反射部材40は、その底面で基部10と接合し、半導体レーザ素子30から放射された光を反射する。光反射部材40により反射された光は、その上方に配置されるレンズ部材50へと向かう。半導体レーザ素子30から放射された光がレンズ部材50に入射するまでの光路長は、光反射部材40を介在させないよりもさせる方が長くなる傾向にある。光路長が長い方が光反射部材40と半導体レーザ素子30との実装ずれによる影響を小さくすることができる。
【0017】
光反射部材40は、少なくとも一面に光反射面を有する。光反射部材40は、半導体レーザ素子30からの放射光を受けるため、熱に強い材料を主材として用い、反射率の高い材料を光反射面に用いることが望ましい。主材として、石英若しくはBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属、又はSi等を採用することができ、光反射面として金属や誘電体多層膜等を採用することができる。なお、発光装置1は、必要に応じて複数の光反射面を有する光反射部材40としてもよいし、光反射部材40以外に光反射部材を有していてもよい。
【0018】
レンズ部材50は、半導体レーザ素子30から放射された光が入射する位置に配置される。また、レンズ部材50に入射する光には、光反射部材40による反射を介して入射する光と、光反射部材40による反射を介さず光反射部材40の上方に進行して入射する光と、が含まれる。説明上の便宜のため、以下、光反射部材40による反射を介して入射する光を反射光、光反射部材40による反射を介さず光反射部材40の上方に進行して入射する光を非反射光と呼ぶ。レンズ部材50には、例えば、BK7やB270等のガラス等を用いることができる。
【0019】
図2は、第1実施形態に係る発光装置1において、本発明のレンズ部材の構造を説明するための模式図である。
図3は、第1実施形態に係る半導体レーザ素子30から放射される光を説明するための発光装置1の斜視図である。なお、
図3は説明の便宜上、レンズ部材50を省いている。
【0020】
図2に示すように、発光装置1のレンズ部材50は、第1レンズ形状51と、第2レンズ形状52を有する。第1レンズ形状51は、半導体レーザ素子30から放射された光のうち、反射光を制御するために設計されたレンズ形状を有している。一方で、第2レンズ形状52は、非反射光を制御するために設計されたレンズ形状を有している。具体的には、第1実施形態に係る発光装置1において、第1レンズ形状51は、反射光における焦点FRに基づいてレンズ形状が設計されており、第2レンズ形状52は、非反射光における焦点FDに基づいてレンズ形状が設計されている。なお、レンズ部材50を用いた光の制御とは、例えば、光の集光、拡散、コリメートが挙げられる。
【0021】
図2及び
図3において矢印で記される実線は、半導体レーザ素子30から発せられる光Lの進行方向を記している。また、
図3における破線は、光反射部材40の光反射面41が存在する平面上において、半導体レーザ素子30から放射された光の主要部分が照射される放射領域を示している。
【0022】
半導体レーザ素子30は、楕円形状のFFPを有する光を放射する。この光の拡がり角は、水平方向の拡がり角よりも垂直方向の拡がり角の方が大きい。そのため、放射領域もこれに起因した形状となっている。また、
図3に示されるように、発光装置1において、放射領域の一部は光反射部材40の光反射面41に収まっていない。この一部の光は光反射面41に照射されずにその上方を通過する。半導体レーザ素子30から放射される光のうち、光反射面41に照射して反射する光が反射光、光反射面41に照射されず光反射面41の上方に向かっていく光が非反射光に該当する。
【0023】
また、放射領域において、光の垂直方向拡がりの両端に対応する点LU及びLDのうち、点LDは光反射面41に存在しているのが好ましい。この場合、光の垂直方向拡がりの端を進む光のうち、基部10の配置面から離れる方向に進む光は、光反射部材40の外を進む非反射光となり、基部10の配置面へと向かう方向に進む光は、光反射面41に照射して反射する反射光となる。光反射面41の端部のうち上端部において光が放射される部分は、反射光と非反射光の境界と捉えることができる。
【0024】
図2に示すように、第1レンズ形状51は、光反射部材40を介して上方に進行する反射光の出射方向を制御するためのものであるから、この境界において反射された光が第1レンズ形状51を通過してレンズ部材50の外に出射するように設計される。また、光反射面41の下端に近い位置で反射される主要部分の光も第1レンズ形状51を通過してレンズ部材50の外に出射するように設計される。
【0025】
図3の点LDに照射して反射した光が、半導体レーザ素子30あるいはサブマウント20に照射されてレンズ部材50に入射しない場合、光反射面41の下端に近い位置で反射される光には、レンズ部材50に入射しない光が含まれることとなる。光の主要部分がこのような光を含むか否かは、半導体レーザ素子30の材質やサイズ、レーザ光の拡がり角、光反射部材40の光反射面41の角度などが影響する。
【0026】
点LDにおける反射光がレンズ部材に入射する場合は、点LDにおいて反射された光が第1レンズ形状を通過するようにレンズ部材50を設計すればよい。一方で、入射しない場合は、
図2に示すように、光反射面41の下端に近い位置で反射される光のうち、半導体レーザ素子30の上端UEへと進む光の進行方向の延長線上に第1レンズ形状51が設けられればよい。ここで、発光装置1における上端UEは、基部10の配置面とレンズ部材50における光の入射面との間で、光反射面41からレンズ部材50の入射面のある平面へと進む反射光の進路上に他の部材が存在する場合に、反射光の進路上における他の部材が存在する領域と存在しない領域の境界である。
【0027】
第2レンズ形状52は、半導体レーザ素子30から放射される光のうち、最も上方へ向かって放射される光が、第2レンズ形状52を通過してレンズ部材50の外に出射するように設計することが考えられる。また、
図2において、半導体レーザ素子30における光の放射点FDと光反射面41の上端部の境界とを結ぶ直線が第2レンズ形状52を通過するようにレンズ部材50を設計すれば、光反射面41の外に向かう光、つまり、光反射面41の境界よりも上方に向かって放射される非反射光の全てを、第2レンズ形状52から出射させることができる。
【0028】
理論上は、最も上方へ向かって放射される光の進路と、光反射面41の境界で反射した光の進路との交点CPに第1レンズ形状51と第2レンズ形状52の境界を設ければ、反射光が第2レンズ形状52を通過することも、非反射光が第1レンズ形状51を通過することも避けられる。しかし、発光装置1を製造するときの実装誤差を考えれば、
図2に示すように、交点CPよりも離れた位置を第1レンズ形状51と第2レンズ形状52の境界DPを設定するのが望ましい。具体的には、焦点FDあるいはFRを基準に点CPよりも離れた位置し、最も上方へ向かって放射される光の進路と光反射面41の境界で反射した光の進路との間に挟まれた領域であって、理論上、反射光も非反射光も通過しない領域に境界DPを設けることができる。
【0029】
一方で、このようにDPを設定すると、垂直方向の光の拡がり角が大きくなることで、発光装置1のサイズが大きくなる。交点CPがより上方に位置するため、DPもその分上方に位置することとなり、全体として発光装置1の高さが大きくなるためである。従って、発光装置1のサイズを抑えるために、CPよりも近い位置に境界DPを設けることもある。このような場合には、レンズ部材50のレンズ球面において、反射光と非反射光の両方が出射する領域が生じる。この場合には、反射光を優先し、この領域を第1レンズ形状51とする方がよい。反射光の方が光の強度が強いため、反射光を優先する方が、制御されて出射する光の全体的な光量は多い。従って、いずれにしても、光反射面41の上端部を反射する光が第1レンズ形状51を通過するように、実装誤差を考慮してレンズ部材50は設計されるのが好ましく、光の主要部分における反射光が全て第1レンズ形状51を通過するように設計されるのが好ましい。
【0030】
なお、
図2では、半導体レーザ素子30により放射される光のうち出射端面に垂直な方向を進む光の進行方向OAは、基部10と光反射部材40との接合面と平行となるよう設計されているが、必ずしも平行である必要はない。平行であることが要求される発光装置が対象であっても、平行であることが要求されない発光装置が対象であっても、本発明は適用できる。
【0031】
図4A〜4Dは、レンズ部材50による光の制御の例示である。
図4Aは、反射光と非反射光を同じ方向にコリメートする制御を示す。つまり、この場合第1レンズ形状51及び第2レンズ形状52はそれぞれ、反射光をコリメートするコリメートレンズ及び非反射光をコリメートするコリメートレンズとして機能する形状を有する。また、第1レンズ形状51は、焦点FRからの光を制御したい方向へコリメートする形状で設計され、第2レンズ形状52は、焦点FDからの光が、第1レンズ形状51が制御したい方向と同じ方向へコリメートされる形状で設計される。このようにすることで、例えば、半導体レーザ素子30により放射される光の一部が非反射光となる場合に、反射光だけを利用するよりも、より多くの光量を有するコリメート光を出射することが出来る。
【0032】
図4Bは、反射光と非反射光を共にコリメートさせるが、それぞれをコリメートする方向が異なっている。よって、それぞれ焦点FR、FDを基準とし、それぞれに制御したい方向へと光がコリメートされるように第1レンズ形状51及び第2レンズ形状52は設計される。このようにすることで、例えば、反射光と非反射光の比率を調整し、1の半導体レーザ素子30から放射された光を2つの光に分光し、それぞれをコリメート光として利用することが出来る。また例えば、非反射光が、反射光によるコリメート光の照射領域に進行して干渉しないように、非反射光の進行方向を制御することが出来る。
【0033】
図4Cは、反射光と非反射光を、同じ点に集光する制御を示す。この場合、反射光と非反射光が同じ点に集光されるように、それぞれ第1レンズ形状51と第2レンズ形状52は設計される。このようにすることで、例えば、半導体レーザ素子30により放射される光の一部が非反射光となる場合に、反射光だけを利用するよりも、より多くの光を集光することが出来る。
【0034】
図4Dは、反射光と非反射光を、それぞれ異なる点に集光する制御を示しており、集光したい点に合わせて第1レンズ形状51と第2レンズ形状52は設計される。このようにすることで、例えば、反射光と非反射光の比率を調整し、1の半導体レーザ素子30から放射された光を2つの光に分光し、それぞれを特定の位置に集光させることが出来る。なお、制御の方法はこれらに限らない。反射光と非反射光とをそれぞれどのように制御したいかに応じて、第1レンズ形状51と第2レンズ形状52の形状は設計されればよい。
【0035】
以上、第1実施形態に係る発光装置1によれば、半導体レーザ素子30から放射された光のうち、反射光と非反射光のそれぞれに合わせた光の出射制御を実現することができる。
【0036】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る発光装置2は、複数の半導体レーザ素子から放射された光がレンズ部材を通過して発光装置2の外部へ出射する装置である。また、第2実施形態に係る発光装置2は、制御された光を出射する発光機能を有するパッケージと、実装基板と、を有している。なお、実装基板は有していなくてもよい。
図5乃至
図8は、発光装置2を説明する図である。
図5は発光装置2の斜視図を、
図6は発光装置2の基部210の枠内に配置される各構成要素を記した上面図を、
図7は発光装置2の上面図を、
図8は
図7のVIII-VIIIを結ぶ直線における当該発光装置の断面図を示す。なお、説明の便宜上、
図6は発光装置2の基部210と接合している蓋部260を外した状態の図を記す。
図5乃至
図8において点線で記されるS1及びS2は、図面間で発光装置2の向きの対応を示すための補助線であり、発光装置2の構成要素ではない。
【0037】
図5に示すように、発光装置2は、実装基板としての基板200と、パッケージとしての基部210、蓋部260、接着部270、及び、レンズ部材250と、を有する。また、基部210は全体として凹形であり、
図6に示すように、基部210の側部により囲われる枠内には、さらに複数の半導体レーザ素子、各半導体レーザ素子に対応したサブマウント、及び、複数の光反射部材が配置される。
【0038】
具体的には、基部210の枠内の平面に、第1半導体レーザ素子230、第2半導体レーザ素子231、第3半導体レーザ素子232、第1半導体レーザ素子230を配する第1サブマウント220、第2半導体レーザ素子231を配する第2サブマウント221、第3半導体レーザ素子232を配する第3サブマウント222、第1半導体レーザ素子230に対応した第1光反射部材240、第2半導体レーザ素子231に対応した第2光反射部材241、第3半導体レーザ素子232に対応した第3光反射部材242が配置される。以下、発光装置2の構成要素について説明する。
【0039】
基板200は、基部210と接合し、基部210の平面上に配される半導体レーザ素子を電気的に接続する役割を果たす。
図7に示される複数の金属膜280はそのためのものである。基板200の上面には、対となる金属膜280が3組、それぞれの対が各半導体レーザ素子に対応して配置されている。各金属膜280は絶縁膜で被覆される部分282を有しており、金属膜281及び283の領域は覆われていない。この絶縁膜282は、基部210を基板200に半田実装する際に、半田が金属膜281の領域に広がることを抑制する。基板200は、例えばセラミックスなどの絶縁性材料と金属などの導電性材料との組み合わせによって形成することができる。
【0040】
基部210は、
図8に示されるように、底部と側部を有し、底部の上面213と側部の内側面とによって凹部を形成する。側部の外側面は、底部の下面と交わり、側部の下面は底部の下面の一部として捉えることができる。基部210の側部の上面211は蓋部260と接合し、底部の下面で基板200と接合する。また、
図6に示されるように、底部の上面213には複数の光反射部材及び各半導体レーザ素子に対応したサブマウントが直接配置される。なお、サブマウントを省き、各半導体レーザ素子を底部の上面に直接配置してもよいことは、第1実施形態と同様である。底部の下面は基板200との接合面、底部の上面は半導体レーザ素子、光反射部材、あるいはサブマウントが配される配置面、側部の上面は蓋部260との接合面といえる。
【0041】
また、
図6及び8に示すように、基部210は、側部の一部分において凹部内に段差を有している。
図6の例では、S1側を除く側部の内側に段差が設けられている。この段差によって形成される平面212、つまり基部210の底部の上面213と交わる側部の内側面と、基部210の側部の上面211と交わる側部の内側面と、の間に形成される平面212には、基板200と電気的に接続するための金属膜が設けられる。各半導体レーザ素子はこの金属膜とワイヤを介して電気的に接続することで、発光装置2の外部から電力の供給を受けることができる。
【0042】
蓋部260は、基部210と接合し、基部210の側部により囲われた枠を覆う。蓋部260の下面において基部210と接合される領域には金属膜が設けられ、AuSn等を介して基部210と蓋部260は接合し固定される。また、基部210と蓋部260とが接合することで形成された閉空間は気密封止された空間となる。この閉空間内に半導体レーザ素子等が配置されるため、半導体レーザ素子の光出射端面に有機物等が集塵することを抑制することができる。蓋部260としては、例えば、ガラスに金属膜が設けられたもの又はサファイアに金属膜が設けられたものを用いることができ、中でもサファイアに金属膜が設けられたものを用いることが好ましい。光が拡がると、その光を通過させるレンズ部の形状は大きくなるが、サファイアは、比較的屈折率が高く光の拡がりを抑えることができるため、レンズ部材250のレンズ部の大きさを抑えることができる。また、比較的強度が高いため破損しにくいため、閉空間の気密信頼性を確保することができる。
【0043】
接着部270は、蓋部260とレンズ部材250とを接着する接着剤によって形成される。接着部270は、蓋部260の上面とレンズ部材250の下面とに接着し、これによって蓋部260とレンズ部材250は固定される。また、接着部270は、蓋部260の上面の全域あるいはレンズ部材250の下面の全域に形成されてはおらず、半導体レーザ素子から発せられた光の経路の邪魔にならないように配される。そのため、接着部270は、第1レンズ部253、第2レンズ部254、第3レンズ部255が形成されている領域に対応するレンズ部材250の下面には形成されず、レンズ部材250の外縁の領域に形成されるように利用するのが望ましい。接着部270を形成する接着剤としては、紫外線硬化型の樹脂を用いることが好ましい。紫外線硬化型の樹脂は加熱せずに比較的短い時間で硬化することができるため所望の位置にレンズ部材250を固定しやすい。
【0044】
レンズ部材250は、複数のレンズ部が連結したレンズ形状を有している。具体的には、第1レンズ部253、第2レンズ部254、第3レンズ部255が連結しており、各レンズ部は異なる半導体レーザ素子からの光を通過させる。また、第1レンズ部253は、第1レンズ形状251及び第2レンズ形状252を有する。第1レンズ形状251及び第2レンズ形状252は、第1実施形態で説明した第1レンズ形状51及び第2レンズ形状52と同様のものである。
【0045】
第2実施形態に係る発光装置2は、3つの半導体レーザ素子を有し、第1半導体レーザ素子230から発せられた赤色の光L1が第1レンズ部253を通過し、第2半導体レーザ素子231から発せられた青色の光L2が第2レンズ部254を通過し、第3半導体レーザ素子232から発せられた緑色の光L3が第3レンズ部255を通過する。第1レンズ部253の第1レンズ形状251は、赤色の反射光をコリメートするレンズ形状で設計され、第1レンズ部253の第2レンズ形状252は、赤色の非反射光をコリメートするレンズ形状で設計される。第2レンズ部254は、青色の反射光をコリメートするレンズ形状で設計され、第3レンズ部255は、緑色の反射光をコリメートするレンズ形状で設計される。
【0046】
青色光の発光ピーク波長は、420nm〜494nmの範囲内にあることが好ましく、440nm〜475nmの範囲内にあることがより好ましい。青色のレーザ光を発する半導体レーザ素子としては、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。
【0047】
緑色光の発光ピーク波長は、495nm〜570nmの範囲内にあることが好ましく、510nm〜550nmの範囲内にあることがより好ましい。緑色のレーザ光を発する半導体レーザ素子としては、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。
【0048】
赤色光の発光ピーク波長は、605nm〜750nmの範囲内にあることが好ましく、610nm〜700nmの範囲内にあることがより好ましい。赤色発光の半導体レーザ素子としては、例えば、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半導体を含むものが挙げられる。ここでは、赤色発光の半導体レーザ素子として、2以上の導波路領域を備えるものを用いている。これらの半導体を含む半導体レーザ素子は、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子と比べて、熱により出力が低下しやすい。そこで導波路領域を増やすことにより熱を分散させ、半導体レーザ素子の出力低下を低減することができる。
【0049】
なお、発光装置2は、赤色、青色、緑色の3色の半導体レーザ素子を用いる以外に、色の組合せを変えることもできる。上述したように、赤色光は熱に対する出力特性が他と比べて悪く、青色光の方が緑色光よりも発熱量が少ない。発光装置2において3つの半導体レーザ素子のうち緑色光を放射する半導体レーザ素子231が中央に配置されているのは、半導体レーザ素子231の熱特性が最も良好なためである。言い換えると、赤色、青色、緑色の3色の半導体レーザ素子を用いる以外の場合であっても、3つの半導体レーザ素子のうち熱特性が最も良好なものを真ん中に配置すると良い。
【0050】
光反射部材は半導体レーザ素子毎に用意される。第1半導体レーザ素子230に対応した第1光反射部材240、第2半導体レーザ素子231に対応した第2光反射部材241、第3半導体レーザ素子232に対応した第3光反射部材242が、基部210の平面に配置される。
【0051】
基部210の枠内において、第1半導体レーザ素子230、第2半導体レーザ素子231、及び、第3半導体レーザ素子232の3つの半導体レーザ素子の光の出射端面は揃えて配置される。つまり、3つの半導体レーザ素子の光の出射端面は、共通した1の平面上に存在するように配置される。
【0052】
また、3つの半導体レーザ素子のそれぞれに対応する光反射部材は、対応する半導体レーザ素子の出射端面から光反射面までの距離が等しくなるように配置される。
図6の例では、3つの半導体レーザ素子の出射端面は揃っており、3つの光反射部材の光反射面も揃っている。また、出射端面と光反射面の半導体レーザ素子側の辺とは平行である。
【0053】
さらに、それぞれの光反射部材の光反射面は、基部210の底部の上面に対して同じ角度を成す。
図6の例では、いずれの光反射部材も、その底面と光反射面とで成す角度が45度となるように設計されており、従って、基部210の底部の上面に対する角度もおよそ45度となる。また、出射端面に垂直な方向を進む光は、光反射部材の光反射面を介して反射され、基部210の底部上面と垂直に上方へと進行することとなる。
【0054】
3つの半導体レーザ素子は楕円形状の光を放射し、出射端面に垂直な方向を進む光の進行方向は、光反射部材が配される基部210の平面と平行である。加えて、光の発光位置は基部210の配置面から同じ高さとなるように揃えられているため、出射端面に垂直な方向を進む光が光反射面に照射する位置が揃う。
【0055】
なお、放射する光の楕円形状が一致していれば、3つの半導体レーザ素子から放射された光は、同じように対応する光反射部材に照射され、同じように対応するレンズ部を通過して出射する。一方で、第2実施形態に係る発光装置2においては、3つの半導体レーザ素子から放射される光は楕円形状が異なる。例えば、半導体レーザ素子230は、半導体レーザ素子231や232と比べて、大きな楕円形状の放射領域を有する。
図6には、
図3で示したものと同様に、それぞれの半導体レーザ素子から放射される光の放射領域をL1、L2、L3で示す。第2実施形態では、半導体レーザ素子230から放射される光だけが、対応する光反射部材の光反射面に収まりきらない放射領域を有している。
【0056】
第2実施形態に係る発光装置2では、半導体レーザ素子の出射端面、光反射部材の形状、光反射面の大きさ、角度等が揃うように設計されているが、このような設計でなくても本願発明を適用することはできる。例えば、特定の半導体レーザ素子だけ光反射部材との距離を離したり、特定の光反射部材だけ光反射面を大きくしたり、各半導体レーザ素子に応じて光反射面の角度を調整する等してもよい。但し、例えば、特定の半導体レーザ素子だけ光反射部材との距離を離したことが、確保すべき枠内の空間の大きさに影響を与え、基部210の側部の大きさに影響を与える可能性がある。また、光反射面を大きくすることで光反射部材の高さが大きくなり、基部210の側面の高さに影響を与える可能性がある。つまり、半導体レーザ素子、サブマウント、光反射部材の配置によっては、発光装置2に比べてサイズの大きな発光装置となる可能性がある。また、特定の半導体レーザ素子だけ光反射部材との距離を離した場合、配置面に向かって進む光が光反射面に照射されなくなることも考えられる。光反射面までの距離が長くなると、配置面に向かって進む光はそれだけ下方へと進むためである。なお、1のサブマウント上に3つの半導体レーザ素子を全て配してもよいし、1の光反射部材で3つの半導体レーザ素子から放射される光を反射する光反射面を形成してもよい。
【0057】
図7において、破線L1、L2、及び、L3はそれぞれ、第1半導体レーザ素子230、第2半導体レーザ素子231、第3半導体レーザ素子232から放射された光の主要部分がレンズ部材250を通過して出射するときの通過領域を示す。
【0058】
破線L1乃至L3が示すように、1の半導体レーザ素子から放射された光の主要部分の通過領域は1のレンズ部に収まる。また、破線L1が示すように、第1半導体レーザ素子230から放射された光の主要部分は、第1レンズ形状251を通過する光と、第2レンズ形状252を通過する光と、を有している。
【0059】
各レンズ部は、対応する半導体レーザ素子から放射される光の波長や焦点などの特性に応じてレンズ形状を設計する。
図6に示されるように第2実施形態に係る発光装置2では、第1半導体レーザ素子230から放射された光の主要部分の一部は第1光反射部材240の光反射面に照射されない非反射光を有する。一方で、第2半導体レーザ素子231から放射された光の主要部分は全て第2光反射部材241の光反射面を介して反射され、第3半導体レーザ素子232から放射された光の主要部分は全て第3光反射部材242の光反射面を介して反射される。
【0060】
従って、第1乃至第3レンズ部は、対応する半導体レーザ素子から放射され対応する光反射部材の光反射面を介して反射された反射光を制御する第1レンズ形状を有する。また、第1レンズ部253は、対応する半導体レーザ素子から放射され光反射面の照射されずに光反射面の外に向かって進行する非反射光を制御する第2レンズ形状を有する。第2レンズ部254及び第3レンズ部255は、対応する半導体レーザ素子から放射された主要部分の光が全て対応する光反射面を介して反射されるため、第2レンズ形状を有していない。なお、第2レンズ部254や第3レンズ部255が第2レンズ形状を有していてもよい。よって、第1乃至第3半導体レーザ素子から放射された光のうち、少なくとも主要部分の光については、レンズ部材250によって意図した制御を作用させることができる。
【0061】
第2実施形態の発光装置2において、レンズ部材250は、複数のレンズ部が連結したレンズ形状を有しているが、各レンズ部は対応する半導体レーザ素子からの光が通過する領域をカバーするだけの大きさは少なくとも有しているのが望ましい。その上で、発光装置2を小型化するためには各半導体レーザ素子を近付けて配置する必要があるため、レンズ部材250のサイズもこれに応じて加工されることとなる。放射される楕円形状の光の長径に対応するレンズ部の幅が、隣り合う半導体レーザ素子の間の距離よりも大きい場合、放射される楕円形状の光の短径に対応するレンズ部の幅は長径よりに対応する幅よりも小さくなるように設計される必要がある。
【0062】
第2実施形態の発光装置2は、光の長径に対応する第1レンズ部253のレンズ幅の半値と、光の長径に対応する第2レンズ部254のレンズ幅の半値と、の和が、第1半導体レーザ素子230と第2半導体レーザ素子231との間の距離よりも大きい。従って、それぞれのレンズ部は半球形ではなく、
図7に記されるように連結した構造を有し、放射される楕円形状の光の短径に対応するレンズ部の幅は、長径に対応するレンズ部の幅よりも小さくなる。
【0063】
図8は、
図7のVIII-VIIIを結ぶ直線における発光装置2の断面図である。
図8に示されるように、第1半導体レーザ素子230から放射された光のうち、第1光反射部材240の光反射面を介して反射された光は、蓋部260を通過し、接着部270によって生じたレンズ部材250と蓋部260の間の隙間を通過して、レンズ部材250に入射する。そして、レンズ部材250に入射した光は第1レンズ部253の第1レンズ形状251を通過して発光装置2の外部に出射する。
図8の例では、出射光は基板200から垂直方向に進行する。
【0064】
また、第1半導体レーザ素子230から放射された光のうち、第1光反射部材240の光反射面を介すことなく、光反射面の上方に向かって進行した光は、蓋部260を通過し、接着部270によって生じたレンズ部材250と蓋部260の間の隙間を通過して、レンズ部材250に入射する。そして、レンズ部材250に入射した光は第1レンズ部253の第2レンズ形状252を通過して発光装置2の外部に出射する。
図8に示すように、この出射光も基板200から垂直方向に進行する。
【0065】
よって、第1半導体レーザ素子230から放射された光のうち、反射光及び非反射光のいずれも、レンズ部材250を通過して発光装置2から外部に出射されるときには、同じ方向にコリメートさせることができる。また、第2半導体レーザ素子231及び第3半導体レーザ素子232から放射された光についても、発光装置2から外部に出射されるときには、第1半導体レーザ素子230の出射光と同じ方向にコリメートさせることができる。従って、赤色、緑色、及び、青色の3色の光の出射方向が制御された発光装置を提供することが出来る。
【0066】
なお、発光装置2のように、第1半導体レーザ素子230から放射された光が、第1光反射部材240の光反射面を介して、あるいは、介さずに、レンズ部材250に入射するまでの間に、蓋部260等の他の部材を通過したとしても、第1レンズ部253が、反射光を制御するための形状で設計された第1レンズ形状と、非反射光を制御するための形状で設計された第2レンズ形状を有する、という点は第1実施形態に係る発光装置1と変わらない。
【0067】
第2実施形態に係る発光装置2では、複数の半導体レーザ素子のうち、少なくとも1の半導体レーザ素子の光の垂直方向の拡がり角が、他の半導体レーザ素子の垂直方向の拡がり角よりも大きい。そこで、垂直方向の拡がり角の大きな半導体レーザ素子から放射された光が全て光反射部材の光反射面に照射されるように光反射面を大きくすると、光反射部材の高さが大きくなり、発光装置2のサイズが大きくなる。
【0068】
第2実施形態に係る発光装置2は、少なくとも、垂直方向の拡がり角の最も小さい半導体レーザ素子から放射された光を全て反射できるだけの光反射面を確保し、垂直方向の拡がり角の大きな半導体レーザ素子から放射された光の一部が光反射面に照射されない状況を許容する。従って、光反射面の大きさを垂直方向の拡がり角の大きな光に合わせるよりも、発光装置2のサイズを小さくすることが出来る。
【0069】
第2実施形態に係る発光装置2は、第1レンズ形状と第2レンズ形状を有するレンズ部と、第1レンズ形状を有し第2レンズ形状を有さないレンズ部と、を有する。また、光の垂直方向拡がりに対応したレンズ部の長径の長さは、第2レンズ形状を有する場合の方が、第2レンズ形状を有さない場合よりも小さい。よって、第2レンズ形状を設けることでレンズ部のサイズが大きくなることはない。
【0070】
<実施例1>
次に、第2実施形態で示した発光装置2に係る実施例を説明する。実施例1の発光装置2は、辺の長さが10mm程度で、S1側の辺の長さが、S2側の辺の長さよりも数mm程度長い基板200を有する。また、基部210の外側面の長さは、S1側の辺が約7.0mm、S2側の辺が約6.0mmである。また、基部210の底部の下面からレンズ部材250のレンズ部の頂点までの高さは約5.1mmで、基板200の厚みも含めれば、発光装置2は高さが6.0mm程度の装置となる。
【0071】
基部210の底部の下面から側部の上面211までの高さは約2.0mm、レンズ部材250の下面からレンズ部の頂点までの高さは約2.5mm、レンズ部の底面から頂点まで高さは約1.90mmである。なお、レンズ部の底面とは、平面上にレンズ形状を有するレンズ部が配置されたものとして見て捉えた場合のレンズ部が配置される平面にあたる。また、レンズ部材250の下面からレンズ部の底面までの高さは約0.6mmである。
【0072】
レンズ部材250のS1側の辺の長さは約6.0mm、S2側の辺の長さは約5.5mmで、レンズ部のS1方向の長さは約5.0mmである。隣り合う半導体レーザ素子間の間隔は約1.25mmであり、光の垂直方向拡がりに対応した第1レンズ部253の長さは約4.32mm、第2レンズ部254の長さは約4.48mm、第3レンズ部255の長さは約4.46mmである。なお、第2レンズ形状が無かったとした場合の第1レンズ形状の長さは約4.43mmである。各レンズ部のS1方向の長さは、第1レンズ部253が1.87mm、第2レンズ部254が1.25mm、第3レンズ部255が1.88mmである。
【0073】
赤色の光を発する第1半導体レーザ素子230から放射された光の主要部分に対応する第1レンズ部253の通過領域であって、楕円形状の光の長径に対応する放射領域の長さは約4.0mm、緑色の光を発する第2半導体レーザ素子231から放射された光の主要部分に対応する第2レンズ部254の通過領域であって、楕円形状の光の長径に対応する放射領域の長さは約3.3mm、青色の光を発する第3半導体レーザ素子232から放射された光の主要部分に対応する第3レンズ部255の通過領域であって、楕円形状の光の長径に対応する放射領域の長さは約3.3mm、である。同様に、楕円形状の光の短径に対応する放射領域の長さはそれぞれ、約0.80mm、約0.65mm、約0.80mmである。
【0074】
このように、実施例1の発光装置2では、隣り合う半導体レーザ素子間の距離よりも、各レーザの楕円形状の光の長径に対応する放射領域の長さの方が大きい。この放射領域をカバーするレンズ部の長さは放射領域の長さよりも大きくなるが、光の短径に対応するレンズ部の長さを同じにすると、半導体レーザ素子間の距離もこれに合わせて離さなければならなくなる。すると、基部210の側部も大きくなり、結果としてパッケージが大きくなる。パッケージのサイズを小型にするためには、レンズ部のレンズ径に合わせて半導体レーザ素子間の間隔を調整するのではなく、半導体レーザ素子間の間隔に合わせてレンズ部の形状を調整し、連結するようにした方がよい。
【0075】
また、実施例1の発光装置2は、S1側の辺が約7.0mm、S2側の辺が約6.0mmの外側面を有する基部210の枠内に3つの半導体レーザ素子が配置され、赤色、緑色、青色の光がそれぞれコリメートされて発光装置の外部へと出射する。3色の光のそれぞれに関する光強度や中心波長などの光特性を測定する際には、複数のダイクロイックミラーを用いて、各色の光の主要部分を別々に分光するとよい。例えば、第1レンズ部253から出射した赤色のコリメート光を1のダイクロイックミラーである方向へと進ませ、第2レンズ部254から出射された緑色のコリメート光を別のダイクロイックミラーで別の方向へと進ませる。これにより3つの光はそれぞれ別々の方向へと進むため、それぞれの進行先に測定器を設けることで、3色の光を同時に放射した状態で実施例1の発光装置2から出射される各色の光の光特性を測定することができ、1色ずつ光を発光させて測定するよりも効率的に測定することができる。
【0076】
以上、本発明に係る発光装置を、各実施形態、実施例に基づき説明してきたが、本発明の技術思想を実現する発光装置はこれに限らない。例えば、光を放射する素子として半導体レーザ素子を採用したが、他の発光素子であってもよい。第1乃至第3半導体レーザ素子は、第1乃至第3発光素子の一例である。
【0077】
本発明に係る発光装置では、発光素子から放射される光が光反射部材の方向に進むときに、光反射部材の光反射面に点で照射されるのではなく幅を持って照射される。そして、その光の一部が光反射部材に照射されずに抜けていく。このような状況が生じている場合に、本発明に開示されたレンズ部材を有する発光装置は、反射光および非反射光のいずれも制御することが出来る。
【0078】
また、本発明により開示される技術的特徴を有する発光装置は、発光装置1あるいは発光装置2の構造に限られるわけではない。例えば、第1及び第2実施形態のいずれにも開示のない構成要素を有する発光装置においても本発明は適用され得るものであり、開示された発光装置と違いがあることは本発明を適用できないことの根拠とはならない。また、第2実施形態において開示され、第1実施形態において開示されていない構成要件を、第1実施形態の発光装置に組み込むことも可能である。
【0079】
このことはつまり、第1実施形態あるいは第2実施形態により開示された発光装置の全ての構成要素を必要十分に備えることを必須としないものであっても、本発明が適用され得ることを示す。例えば、特許請求の範囲に、第1実施形態あるいは第2実施形態により開示された発光装置の一部の構成要素が記載されていなかった場合、その構成要素については、本実施形態に開示されたものに限らず、代替、省略、形状の変形、材料の変更などといった当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを請求するものである。