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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-209316(P2019-209316A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】縦型粉砕機
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/18 20060101AFI20191115BHJP
   B02C 17/16 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   B02C17/18 Z
   B02C17/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-217038(P2018-217038)
(22)【出願日】2018年11月20日
(31)【優先権主張番号】特願2018-107914(P2018-107914)
(32)【優先日】2018年6月5日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】597009046
【氏名又は名称】日本アイリッヒ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 雅人
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄大
(72)【発明者】
【氏名】大石 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝輝
(72)【発明者】
【氏名】石川 秀正
(72)【発明者】
【氏名】橋口 敬生
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063FF15
4D063FF34
4D063GA02
4D063GA07
4D063GC40
4D063GD27
(57)【要約】
【課題】スラリーを攪拌する羽根の摩耗などを抑制できる縦型粉砕機を提供する。
【解決手段】処理対象物Dを粉砕媒体Mとの干渉によって粉砕する縦型粉砕機1であって、処理対象物Dおよび粉砕媒体Mが収容される処理槽2と、処理槽2内に配置される金属製のスクリュー10と、を備えており、スクリュー10は、回転軸11と、回転軸11の周囲に設けられた羽根15と、を備えており、羽根15の表面に、その表面から凹んだ粉砕媒体Mを収容し得る大きさの収容空間20が形成されており、収容空間15の内面にセラミックコーティング層が形成されている。収容空間20内に粉砕媒体Mを収容できるので、羽根15の表面を粉砕媒体Mによってセルフライニングすることができる。また、収容空間20の内面にセラミックコーティング層18sが形成されているので、セルフライニングされるまで間における羽根15の損傷を抑制できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を粉砕媒体との干渉によって粉砕する縦型粉砕機であって、
処理対象物および粉砕媒体が収容される処理槽と、
該処理槽内に配置される金属製のスクリューと、を備えており、
該スクリューは、
回転軸と、該回転軸の周囲に設けられた羽根と、を備えており、
該羽根の表面に、
その表面から凹んだ前記粉砕媒体を収容し得る大きさの収容空間が形成されており、
該収容空間の内面にセラミックコーティング層が形成されている
ことを特徴とする縦型粉砕機。
【請求項2】
前記収容空間が複数の空間に分割されており、
該収容空間の内面に複数のセラミックプレートを貼り付けてセラミックコーティング層が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の縦型粉砕機。
【請求項3】
前記羽根は、
前記収容空間における前記スクリューの半径方向と交差する壁は、該羽根の基端側よりも先端側の方が高くなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の縦型粉砕機。
【請求項4】
前記羽根の先端面に、
前記粉砕媒体を収容し得る大きさの端面収容空間が形成されている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の縦型粉砕機。
【請求項5】
前記スクリューの羽根が耐食性を有する金属製である
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の縦型粉砕機。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型粉砕機に関する。さらに詳しくは、鉄、非鉄金属、貴金属鉱石、無機物・有機物を含む塊もしくは粉体を粉砕して目的の粒径の粒子を生成する縦型粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄、非鉄金属、貴金属鉱石、無機物・有機物を含む塊もしくは粉体(処理対象物)を粉砕して目的の粒径の粒子を生成する際には縦型粉砕機が使用される。縦型粉砕機は、処理槽と、処理槽内に設置されたスクリューと、処理槽内に処理対象物とともに投与されるセラミックボール等の耐腐食性材料製のボールと、から構成されている。なお、縦型粉砕機が縦型の場合には、スクリューはその回転軸が鉛直となるように設置される。
【0003】
かかる縦型の縦型粉砕機では、以下のような方法で処理対象物が破砕粉砕される。
まず、処理槽内に、処理対象物と、水や溶剤、油、腐食性流体、プロセス溶液等の液体が混合したスラリーおよびボールを投入してスクリューを回転させる。すると、スクリューの回転に伴って処理槽内においてスラリーが攪拌され、スクリューの回転軸を上方に移動し処理槽内面を下方に移動するスラリーの流れが発生する。このとき、スラリー中の処理対象物同士の接触および処理対象物とボールの接触するので、処理対象物が破砕粉砕される。
【0004】
一方、スラリーの流れにともなって処理対象物やボールが移動すれば、処理対象物やボールが処理槽やスクリューに接触する。すると、処理槽やスクリューは通常金属によって形成されているので、処理対象物やボールとの接触によって処理槽やスクリューの摩耗や損傷が生じる。
【0005】
処理槽やスクリューの摩耗などを防止するために、処理槽の内面やスクリューの表面にはゴムのライナーが設置される場合がある。
【0006】
また、処理槽の摩耗を防止する方法として、特許文献1のように、処理槽の内面にセルフライニング層を設ける方法も開発されている。特許文献1の方法では、処理槽の内面にグリットを設けており、スラリーの流れにともなってそのグリット内にボールが配置されることによってセルフライニング層を形成する。このようにボールによってセルフライニング層が形成されれば、移動する処理対象物やボールが直接処理槽に接触することを防止できるので、処理槽の摩耗などを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3231538号公報
【特許文献2】実開平4−37541号公報
【特許文献3】特開平5−329393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の方法は、あくまでも処理槽の摩耗などを防止する技術にすぎず、スクリューの摩耗に対する対策は何ら示唆がない。とくに、スクリューの場合、スラリー中をスラリーをせん断するように羽根が移動するため、処理槽に比べて摩耗等が生じやすく、摩耗対策が重要である。
【0009】
一方、スクリューの表面にセルフライニング層を形成することを目的とした技術も開示されている(特許文献2、3参照)が、現状では十分な摩耗対策ができていないのが現状である。
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、スラリーを攪拌する羽根の摩耗などを抑制できる縦型粉砕機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の縦型粉砕機は、処理対象物を粉砕媒体との干渉によって粉砕する縦型粉砕機であって、処理対象物および粉砕媒体が収容される処理槽と、該処理槽内に配置される金属製のスクリューと、を備えており、該スクリューは、回転軸と、該回転軸の周囲に設けられた羽根と、を備えており、該羽根の表面に、その表面から凹んだ前記粉砕媒体を収容し得る大きさの収容空間が形成されており、該収容空間の内面にコーティング層が形成されていることを特徴とする。
第2発明の縦型粉砕機は、第1発明において、前記収容空間が複数の空間に分割されており、該収容空間の内面に複数のセラミックプレートを貼り付けてセラミックコーティング層が形成されていることを特徴とする。
第3発明の縦型粉砕機は、第1または第2発明において、前記羽根は、前記収容空間における前記スクリューの半径方向と交差する壁は、該羽根の基端側よりも先端側の方が高くなるように形成されていることを特徴とする。
第4発明の縦型粉砕機は、第1、第2または第3発明において、前記羽根の先端面に、前記粉砕媒体を収容し得る大きさの端面収容空間が形成されていることを特徴とする。
第5発明の縦型粉砕機は、第1、第2、第3または第4発明において、前記スクリューの羽根が耐食性を有する金属製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、収容空間内に粉砕媒体を収容できるので、羽根の表面に粉砕媒体によってセルフライニング層を形成することができる。また、収容空間の内面にコーティング層が形成されているので、セルフライニング層が形成されるまで間における羽根の損傷を抑制できるし、収容空間内における粉砕媒体等の移動による羽根の損傷を抑制できる。
第2発明によれば、収容空間の内面を効果的にコーティングできる。とくに、螺旋羽根の撹拌方向にもリブを設けて収容空間を小さくすれば、セルフライニング層を強固なものとすることができる。
第3発明によれば、粉砕媒体等の移動を効果的に抑えることができ、羽根に形成されたセルフライニング層を維持しやすくなる。
第4発明によれば、移動速度が大きい羽根の先端面にセルフライニング層を形成できるので、羽根を連続使用できる期間を長くできる。
第5発明によれば、処理対象物等が耐食性を有するものであっても、スクリューの羽根が腐食などによって損傷することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の縦型粉砕機1の概略説明図である。
図2図1のA矢視図におけるスクリュー10の単体図である。
図3】羽根部材17Bの基材18の単体図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)のB−B線断面図であり、(C)は(B)のC矢視図である。
図4】羽根部材17Bが設けられた羽根15の半径方向に沿った断面図であり、(A)は基材18にセラミックコーティング層18sが形成された状態の断面図であり、(B)は基材18に樹脂コーティング層rが形成された状態の断面図であり、(C)は基材18にセルフライニング層SLが形成された状態の断面図である。
図5】スクリュー10の最下層に位置する羽根部材17Cの概略説明図であり、(A)は上面側から見た図であり、(B)は先端側から見た図であり、(C)は(A)のC線断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の縦型粉砕機は、塊を破砕粉砕して粉状にする機械であって、耐久性を向上させることができるようにしたものである。
【0015】
本発明の縦型粉砕機によって粉状にする処理対象物はとくに限定されない。処理対象物としては、例えば、鉄、非鉄金属、貴金属鉱石、無機物・有機物を含む塊もしくは粉体を挙げることができる。
【0016】
また、本発明の縦型粉砕機によって処理対象物を処理する際には、処理対象物を液体と混合したスラリーとしてを縦型粉砕機に投入するが、使用する液体はとくに限定されない。例えば、水や溶剤、油、腐食性流体、プロセス溶液等を処理対象物と混合する液体として使用することができる。
【0017】
以下では、処理対象物を液体と混合したスラリーを、単に処理対象スラリーSという場合がある。
【0018】
<本実施形態の縦型粉砕機1>
図1に示すように、本実施形態の縦型粉砕機1は、処理槽2と、スクリュー10と、処理槽2内に処理対象スラリーSともに投入される粉砕媒体Mと、を備えている。
本実施形態の縦型粉砕機1では、スクリュー10の羽根15の耐久性を向上できる構造をしたことに特徴があるが、まず、本実施形態の縦型粉砕機1の概略構造を説明する。
【0019】
<処理槽2>
図1に示すように、処理槽2は上部に処理対象スラリーSを供給する供給口2aを有する中空な円筒状の容器である。この処理槽2は、その内面が、処理対象スラリーSを収容してスクリュー10によって攪拌しても損傷が生じにくい構造を有している。処理槽2の内面は、例えば、ゴムライニング層が設けられていたり、粉砕媒体Mによってセルフライニング層が形成される構造に形成されている。セルフライニング層が形成される構造とは、例えば、特許第3231538号公報に記載されているように、処理槽2の内面に粉砕媒体Mが収容できるグリットや棚などを有する構造を挙げることができる。
【0020】
なお、連続して処理対象スラリーSを処理する場合には、処理された粉砕物を次工程に排出する排出部2bが処理槽2の上部に設けられる。
また、処理槽2の形状は円筒状が好ましいが、断面四角形等でもよく、とくに限定されない。
【0021】
<スクリュー10>
図1に示すように、スクリュー10は、回転軸11と、回転軸11の側面に螺旋状に設けられた羽根15と、を備えている。このスクリュー10は、その回転軸11が鉛直かつ処理槽2の中心に位置するように、処理槽2内に設けられている。そして、スクリュー10は、その基端がモータ等の駆動源Gに連結されている。したがって、駆動源Gを駆動するとスクリュー10が回転するので、処理槽2内の処理対象スラリーSを攪拌することができる。
【0022】
<粉砕媒体M>
粉砕媒体Mにはセラミックス球や鋼球が使用されるが、粉砕媒体Mの素材や形状はとくに限定されない。粉砕媒体Mの素材や形状は、処理対象スラリーS中の処理対象物Dと接触することによって処理対象物Dを破砕粉砕できるようになっていればよい。粉砕媒体Mの素材としては、例えば、セラミックスや無機材料、耐腐食材料の球、鋼球等を挙げることができる。また、粉砕媒体Mの形状としては、例えば、球形や円筒状等を挙げることができるが、とくに限定されない。
【0023】
さらに、粉砕媒体Mの大きさもとくに限定されず、粉砕する処理対象物Dの大きさや処理後に得られる粉体の大きさなどに合わせて適宜調整することができる。例えば、粉砕媒体Mの大きさは10mm〜25mm程度のものを使用することができる。
【0024】
本実施形態の縦型粉砕機1は以上のような構造を有しているので、以下のように処理対象スラリーSを処理することができる。
【0025】
まず、処理槽2内に処理対象スラリーSと粉砕媒体Mと投入して駆動源Gを駆動する。すると、スクリュー10が回転し処理槽2内に処理対象スラリーSが攪拌される。上述したように、スクリュー10の回転軸11の側面に螺旋状に羽根15が設けられていれば、処理対象スラリーSは、スクリュー10の回転軸11の軸方向に沿って上方に移動し、処理槽2の上部まで移動すると処理槽2の内面に沿って下方に移動する。つまり、処理槽2内には処理対象スラリーSの対流が発生する。このとき、処理対象スラリーSに含まれる処理対象物D同士および粉砕媒体Mと処理対象物Dとが接触するので、処理対象物Dが破砕粉砕される。そして、対流を繰り返すうちに、処理対象物Dは小さく粉砕され、所望の粒径の粉体を得ることができる。
【0026】
<羽根15について>
上述したように、スクリュー10の回転によって処理槽2内の処理対象スラリーSが対流するが、その際にスクリュー10の羽根15は処理対象物Dおよび粉砕媒体Mに接触する。このため、スクリュー10の羽根15も摩耗したり損傷したりする。
【0027】
本実施形態の縦型粉砕機1では、スクリュー10の羽根15を以下のような構造とすることによって羽根15の耐久性を向上している。
【0028】
図1図2および図4に示すように、羽根15は、回転軸11に設けられた取付部16と、この取付部16に取り付けられた複数の羽根部材17A〜17Cと、から構成されている。つまり、複数の羽根部材17A〜17Cを連続して並べて取付部16に取り付けることによって、螺旋状の羽根15が形成されるようになっている。
【0029】
取付部16は、一端が回転軸11の側面に固定された板状の部材である。この取付部16は、その上面が回転軸11の軸方向に沿って螺旋状の面となるように設けられた部材である。なお、この取付部16には、その上下の面を貫通する貫通孔16hが形成されている。この貫通孔16hは、羽根部材17A〜17Cを固定する際にボルトB等が挿通される孔である。
【0030】
図1および図2に示すように、取付部16には、複数枚の羽根部材17A〜17Cが取付部16の表面に沿って並ぶように配設されている。
【0031】
<羽根部材17A>
複数の羽根部材17A〜17Cのうち、このスクリュー10の上方(例えば上から2/3程度)に位置する取付部16には、羽根部材17Aが設置されている。この羽根部材17Aは、金属製もしくはゴム製の部材であり、その表面(上面)がほぼ平面上に形成されている。より具体的には、羽根部材17Aは、複数の羽根部材17Aが取付部16に設置されることによってその上面で螺旋状の面が形成されるように形成されている。また、羽根部材17Aは、複数の羽根部材17Aが取付部16に設置されることによってその外端面でも螺旋状の面が形成されるように形成されている。
なお、複数の羽根部材17Aが金属製の場合には、その上面および外端面には、ゴムやセラミック等のコーティング層が形成されていてもよい。かかるコーティング層が設けられていれば、羽根部材17Aが金属製の場合でも損傷を防止しやすくなる。
【0032】
<羽根部材17B>
一方、処理対象物Dや粉砕媒体Mとの接触によって損傷が生じやすいスクリュー10の上方には、以下のような構造を有する羽根部材17Bが取付部16に取り付けられている。
【0033】
羽根部材17Bは、金属製の基材18(図3参照)と、この基材18の表面に貼り付けられた複数枚のセラミックプレート19と、から構成されている(図4参照)。この複数枚のセラミックプレート19は、金属製の基材18の表面が処理対象物Dや粉砕媒体Mとの接触によって損傷することを防止するために設けられている。つまり、金属製の基材18は、その表面に複数枚のセラミックプレート19によってセラミックコーティング層18sが形成されている。
【0034】
なお、基材18の表面にセラミックコーティング層18sを形成する方法はとくに限定されない。上記のように複数枚のセラミックプレート19を貼り付けてセラミックコーティング層18sを形成してもよいし、ボルトまたはピン固定やゴムライナーへの焼付け等の方法によってセラミックコーティング層18sを形成してもよい。
また、複数枚のセラミックプレート19の大きさはとくに限定されないが、ある程度小さい方が基材18の表面を隙間なくコーティングできる。例えば、一辺が10〜20mm程度のセラミックプレート19を使用すれば、基材18の形状に合わせて隙間なくセラミックプレート19を貼り付けやすくなる。
さらに、基材18の表面形成するコーティング層は、上述したセラミックコーティング層に限られず、ゴムや樹脂などのコーティング層でもよい。
【0035】
図3に示すように、基材18は、ベースプレート18aを備えている。このベースプレート18aは、その裏面を取付部16の上面に面接触させた状態で取り付けられるものである。なお、このベースプレート18aには、その上下の面を貫通する貫通孔18hが形成されている。この貫通孔18hは、羽根部材17Bを取付部16に固定する際にボルトB等が挿通される孔である。
【0036】
図3に示すように、このベースプレート18aの基端側には、ベースプレート18aの表面に立設する基端プレート18bが設けられている。
【0037】
一方、ベースプレート18aの先端側(外方)には外方プレート18cが設けられている。この外方プレート18cは、その内面が基端プレート18bの外面と対向するように設けられている。例えば、外方プレート18cは、その内面がベースプレート18aの表面とほぼ直交するように設けられている。
【0038】
また、基端プレート18bと外方プレート18cとの間には、複数枚の連結プレート18dが設けられている。複数枚の連結プレート18dは、基材18の幅方向に間隔を空けた状態で設けられている。この複数枚の連結プレート18dは、その一端が基端プレート18bに連結され、その他端が外方プレート18cに連結され、かつ、その下端がベースプレート18aの表面に連結されている。
【0039】
また、隣接する複数枚の連結プレート18d間には、基材18の幅方向に沿って連結する複数の分離プレート18eが設けられている。この複数の分離プレート18eは、基端プレート18bと外方プレート18cとの間において間隔を空けて設けられている。
【0040】
つまり、基材18の上面には、ベースプレート18a、基端プレート18b、外方プレート18c、複数枚の連結プレート18d、複数の分離プレート18eによって複数の空間が形成されている。言い換えれば、羽根部材17Bには、基材18の上面から下方に凹んだ複数の上面収容空間21が形成されている。
【0041】
上述したように、本実施形態の縦型粉砕機1では、スクリュー10の羽根15を構成する羽根部材17Bの上面に下方に凹んだ複数の上面収容空間21を有している。このため、スクリュー10によって処理対象スラリーSを攪拌した場合、処理対象スラリーS中の粉砕媒体Mや処理対象物Dが複数の上面収容空間21内に入る(図4(C))。すると、複数の上面収容空間21内には粉砕媒体M等が積層して粉砕媒体Mの層、つまり、セルフライニング層SLが形成される。しかも、複数の上面収容空間21の内面にはセラミックコーティング層18sが形成されているので、セルフライニング層SLが形成されるまで間における基材18の損傷を抑制できる。
【0042】
また、複数の上面収容空間21は、複数枚の連結プレート18dや複数の分離プレート18eによって比較的小さい空間になっている。例えば、粉砕媒体Mが10〜25mm程度の場合であれば、50mm×125mm程度の空間になるように、複数枚の連結プレート18dや複数の分離プレート18eが配設される。かかる大きさの上面収容空間21であれば、上記のような大きさの粉砕媒体M等は隙間なく密集した状態で収容されるので、粉砕媒体Mによるセルフライニング層SLが形成されやすくなるし、形成されたセルフライニング層SLを維持しやすくなる。しかも、上面収容空間21内において粉砕媒体M等との干渉による基材18の損傷を抑制できるので、単に粉砕媒体M等を収容できる空間を設けた場合に比べて、羽根部材17Bの耐久性を高くでき、スクリュー10全体の耐久性を高くすることができる。
【0043】
なお、複数の上面収容空間21の大きさは、粉砕媒体Mや処理対象物D等に合わせて上述したような効果が得られるように適宜決定すればよい。
【0044】
また、複数の羽根部材17A〜17Cは、全ての羽根部材17A〜17Cが上述した羽根部材17Bと同様の構造を有していてもよい。スクリュー10の下部では、大きい処理対象物Dが多く存在しており粉砕媒体Mも多数存在している。したがって、損傷が生じやすいスクリュー10の下部には、上述したような構造を有する羽根部材17Bを採用することが望ましい。一方、スクリュー10の上部では、下部で粉砕された小さい処理対象物Dが多く粉砕媒体Mも下部に比べて少ない。したがって、スクリュー10の上部では、上述した羽根部材17Aでも損傷が生じにくいが、スクリュー10の上部でも、羽根部材17Aに代えて、羽根部材17Bや羽根部材17Bと実施的に同様の構造を有するものを採用してもよい。
【0045】
さらに、図4に示すように、基端プレート18b、外方プレート18c、複数の分離プレート18eは、回転軸11側、つまり基端側から先端側に向かってその高さが高くなるように設けられていることが望ましい。スクリュー10が回転した際に、遠心力によって回転軸11から先端側に向かって粉砕媒体M等が移動しようとする。上記のように基端プレート18b、外方プレート18c、複数の分離プレート18eの高さを調整すれば、回転軸11から半径方向への粉砕媒体M等の移動を効果的に抑えることができ、セルフライニング層SLを維持しやすくなる。
【0046】
なお、上記のように基端プレート18b、外方プレート18c、複数の分離プレート18eの高さを調整した場合には、図3(B)に示すように、複数枚の連結プレート18dも基端側から先端側に向かってその高さが順次高くなるようにすることが望ましい。
【0047】
<端面収容空間22>
また、図4に示すように、羽根部材17Bは、その外端面(つまり羽根部材17Bの先端面(外周端面))から凹む端面収容空間22を有していてもよい。この場合、端面収容空間22にも粉砕媒体Mが収容されて、羽根部材17Bの外端面にも粉砕媒体Mによるセルフライニング層SLが形成される。羽根部材17Bの先端縁(外端面)は、スラリーSに対する相対的な移動速度が大きくなるため摩耗などが損傷しやすいが、粉砕媒体Mによるセルフライニング層SLが形成されれば、羽根部材17Bの先端縁の摩耗などを抑制できる。すると、羽根部材17Bの損傷を抑制できるので、羽根部材17Bを連続使用できる期間を長くできる。
【0048】
かかる端面収容空間22を形成する構造はとくに限定されないが、例えば、図3に示すように、基材18の外方プレート18cの外面に、上下一対のフランジプレート18f,18fを設ければ、上下一対のフランジプレート18f,18f間の空間を端面収容空間22とすることができる。
【0049】
とくに、上下一対のフランジプレート18f,18f間に、端面収容空間22を外方プレート18cの外面に沿って複数の空間に分割するリブ18rを設けてもよい。つまり、羽根部材17Bの外端面に複数の端面収容空間22を設けてもよい。この場合、基材18の外方プレート18cの外面の接線方向への粉砕媒体Mの移動を抑制できるので、端面収容空間22に粉砕媒体Mによるセルフライニング層SLが形成されやすくなるし、形成されたセルフライニング層SLを維持しやすくなる。
【0050】
なお、上記のような端面収容空間22を設けた場合には、端面収容空間22の内面にも複数のセラミックプレート19が貼り付けられて、セラミックコーティング層18sが形成される(図4(A)参照)。
【0051】
<先端部の構造>
スクリュー10の羽根15において、回転方向の最先端に位置するもの、つまり、最下層に位置する羽根15の回転方向の先端が最も摩耗が大きくなる。これは、スクリュー10が回転した際に、スラリーS中の粉砕媒体Mや処理対象物Dは羽根15の表面に沿って移動するが、最下層に位置する羽根15では、その回転方向の先端が粉砕媒体Mや処理対象物Dが衝突しつつ羽根15の表面に乗り上げるからである。すると、粉砕媒体Mや処理対象物Dが羽根15の表面に乗り上げる際に、羽根15は粉砕媒体Mや処理対象物Dとの干渉によって摩耗しやすくなる。
【0052】
そこで、最下層に位置する羽根15の羽根部材17Cでは、スクリュー10が回転した際に回転方向の先端に位置する部分に、耐摩耗部材を着脱可能に設けることが望ましい。耐摩耗部材を設けることにより、スラリーSの攪拌を開始したときから、耐摩耗部材によって羽根部材17Cの摩耗を防止できる。つまり、羽根部材17Bのように、粉砕媒体Mによるセルフライニング層SLによって羽根部材17Bを保護する場合に比べて、初期段階から羽根部材17Cの摩耗を防止できる。しかも、耐摩耗部材を着脱可能としておけば、耐摩耗部材30を変更することで、最も摩耗の激しい最下層に位置する羽根部材17Cの交換サイクルを長くできることに加えて、補修時の作業効率を高くできる。
【0053】
耐摩耗部材を設ける方法はとくに限定されないが、例えば、図5に示すような構造を有する羽根部材17Cとすれば耐摩耗部材を設置することができる。
【0054】
図5に示すように、最下層に位置する羽根部材17Cは、羽根部材17Bと実質的に同じ構造を有しているが、その先端面(羽根15が回転する方向における端面、図2参照)に、間隔を空けた状態となるように上下一対のフランジプレート18f,18fが設けられている。具体的には、上方のフランジプレート18fは羽根部材17Cの上面よりも下方に位置するように、また、下方のフランジプレート18fは羽根部材17Cの下面よりも上方に位置するように、羽根部材17Cの先端に設けられている。そして、上下一対のフランジプレート18f,18fには、上下方向を貫通する貫通孔Shが設けられている(図5(C)参照)。
【0055】
そして、羽根部材17Cは、上方のフランジプレート18fの上面には耐摩耗部材30の上側耐摩耗部材31が設けられている。具体的には、上側耐摩耗部材31は、平面視で上方のフランジプレート18fの上面と略同じ形状に形成されており(図5(B)参照)、上方のフランジプレート18fの表面全体を覆うように設けられている。また、上側耐摩耗部材31は、その外周部が上方のフランジプレート18fの先端外周と一致するか、上方のフランジプレート18fの先端外周よりも若干突出するように設けられている。なお、上側耐摩耗部材31は、上方のフランジプレート18fの上面に取り付けると、上方のフランジプレート18fの貫通孔Shと対応する位置に、ボルト用穴31hが設けられている。
【0056】
一方、下方のフランジプレート18fの下面には耐摩耗部材30の下側耐摩耗部材32が設けられている。具体的には、下側耐摩耗部材32は、羽根15を底面側から見たとき、上側側耐摩耗部材31と上方のフランジプレート18fとの関係とほぼ同じになるように設けられている。つまり、下側耐摩耗部材32は、底面視で下方のフランジプレート18fの下面と略同じ形状に形成されており、下方のフランジプレート18fの表面全体を覆うように設けられている。また、下側耐摩耗部材32は、その外周部が下方のフランジプレート18fの先端外周と一致するか、下方のフランジプレート18fの先端外周よりも若干突出するように設けられている。なお、下側耐摩耗部材32にも、下方のフランジプレート18fの下面に取り付けると、下方のフランジプレート18fの貫通孔Shと対応する位置に、ボルト用穴32hが設けられている。
【0057】
そして、上下一対のフランジプレート18f,18fの間の空間には、耐摩耗部材30の中間耐摩耗部材33が設けられている。具体的には、中間耐摩耗部材33は、上下一対のフランジプレート18f,18fの間の空間とほぼ同じ形状に形成されており、この空間に取り付けると、その先端が上下一対のフランジプレート18f,18fの先端と一致するか、上下一対のフランジプレート18f,18fの先端よりも若干突出するように設けられている。なお、中間耐摩耗部材33にも、上下一対のフランジプレート18f,18fの間の空間に取り付けると、上下一対のフランジプレート18f,18fの間の空間の貫通孔Shと対応する位置に、ボルト用穴33hが設けられている。
【0058】
羽根部材17Cが以上のような構造となっているので、上方のフランジプレート18fの上面に上側耐摩耗部材31を取り付け、下方のフランジプレート18fの下面に下側耐摩耗部材32を取り付け、上下一対のフランジプレート18f,18fの間の空間に中間耐摩耗部材33を配置すれば、羽根部材17Cの先端部、つまり、上下一対のフランジプレート18f,18fを耐摩耗部材30によって保護できる。
【0059】
しかも、上側耐摩耗部材31のボルト用穴31h、上方のフランジプレート18fの貫通孔Sh、中間耐摩耗部材33のボルト用穴33h、下方のフランジプレート18fの貫通孔Sh、下側耐摩耗部材32のボルト用穴32h、にボルトを挿通すれば、耐摩耗部材30を上下一対のフランジプレート18f,18fに着脱可能に固定することができる。つまり、耐摩耗部材30を交換すれば羽根部材17Cの交換サイクルを長くできる。
【0060】
なお、上下一対のフランジプレート18f,18f間に、空間を複数の空間に分割するリブ18rを設けてもよい。この場合には、分割された複数の空間の形状に適した中間耐摩耗部材33を使用すればよい。
【0061】
また、耐摩耗部材30の素材はとくに限定されず、羽根部材17Cよりも耐摩耗性に優れたものであればよい。例えば、炭化ケイ素(シリコンカーバイド)や窒化ケイ素等の素材によって耐摩耗部材30を形成すればよい。また、上側耐摩耗部材31、下側耐摩耗部材32、中間耐摩耗部材33の素材は全て同じでもよいし、異なる素材で形成してもよい。
【0062】
<羽根15について>
スクリュー10の羽根15は、上記のように回転軸11に設けられた取付部16に複数の羽根部材17A〜Cを取り付けて形成してもよいし、羽根15を回転軸11と一体で形成してもよい。しかし、上述したように、取付部16に複数の羽根部材17A〜Cを取り付けて羽根15を形成するようにすれば、羽根部材17A〜Cが摩耗などによって損傷した場合に、羽根部材17A〜Cだけを交換すればスクリュー10を再使用できるという利点が得られる。また、スクリュー10の位置に応じて適切な羽根部材17A〜Cを設けやすくなる。
【0063】
<羽根15の素材について>
羽根15の取付部16や、羽根部材A、羽根部材17B,Cの基材18は金属であればよくとくに限定されないが、耐食性を有する金属で形成されていることが望ましい。例えば、チタンやステンレス、耐腐食用合金、登録商標ハステロイ(クロムやモリブデンなど様々な合金成分を添加することにより耐食性および耐熱性を高めた、ニッケルを主体とするニッケル合金)等によって取付部16や、羽根部材A、羽根部材17B,Cの基材18を形成すれば、スラリーSを構成する液体として耐食性を有する液体を使用した場合などでも、羽根15の耐久性を高くすることができる。回転軸11の素材を羽根15の取付部16や羽根部材17と同じ耐食性を有する金属で形成すれば、スクリュー10全体の耐食性を高くでき、スクリュー10の耐久性を高くすることができる。
【0064】
<羽根部材17B,Cの表面コーティングについて>
羽根部材17B,Cの基材18は、その表面にセラミックコーティング層18sが形成されているが、セラミックコーティング層18sの表面にさらに樹脂コーティング層rを設けてもよい(図4参照)。樹脂コーティング層rを設ければ、セラミックコーティング層18sの損傷を軽減できるので、羽根部材17B,Cの耐久性を高くすることができる。
【0065】
また、羽根部材17B,Cの表面にボルト等で耐摩耗部材を固定できる構造とすれば、表面を保護する耐摩耗部材を交換可能に取りつけることができるので、羽根部材17B,Cの耐久性を高くすることができる。
【0066】
もちろん、羽根部材17Aを羽根部材17Bと実質同様の構造にした場合には、羽根部材17Aの表面にボルト等で耐摩耗部材を固定できる構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の縦型粉砕機は、鉄、非鉄金属、貴金属鉱石、無機物・有機物を含む塊もしくは粉体を粉砕して目的の粒径の粒子を生成する装置として適している。
【符号の説明】
【0068】
1 縦型粉砕機
2 処理槽
10 スクリュー
11 回転軸
15 羽根
16 取付部
17A 羽根部材
17B 羽根部材
17C 羽根部材
18 基材
18s セラミックコーティング層
19 セラミックプレート
20 収容空間
21 上面収容空間
22 端面収容空間
M 粉砕媒体
D 処理対象物
S スラリー
SL セルフライニング層
r 樹脂コーティング層

図1
図2
図3
図4
図5