特開2019-210406(P2019-210406A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-210406ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用いた複合体、並びにポリエチレン樹脂組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-210406(P2019-210406A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用いた複合体、並びにポリエチレン樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/06 20060101AFI20191115BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20191115BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20191115BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20191115BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20191115BHJP
   F16L 9/12 20060101ALI20191115BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20191115BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20191115BHJP
   C09J 123/06 20060101ALI20191115BHJP
   C09J 101/00 20060101ALI20191115BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20191115BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20191115BHJP
   B32B 15/085 20060101ALI20191115BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20191115BHJP
   C08J 5/12 20060101ALI20191115BHJP
   E04B 1/92 20060101ALI20191115BHJP
   B62D 29/04 20060101ALN20191115BHJP
【FI】
   C08L23/06ZAB
   C08L1/00
   C08K3/08
   C08L67/02
   C08L77/00
   F16L9/12
   C09J7/10
   C09J7/35
   C09J123/06
   C09J101/00
   C09J11/04
   B09B3/00 304Z
   B32B15/085 Z
   B32B27/32 Z
   C08J5/12CES
   E04B1/92
   B62D29/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-109011(P2018-109011)
(22)【出願日】2018年6月6日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テトラパック
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】特許業務法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】原 英和
(72)【発明者】
【氏名】廣石 治郎
(72)【発明者】
【氏名】澤田 由香
(72)【発明者】
【氏名】太附 雅巳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊宏
【テーマコード(参考)】
2E001
3D203
3H111
4D004
4F071
4F100
4J002
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2E001DH01
2E001GA65
2E001HB04
2E001HD11
2E001JC03
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3D203CA05
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3D203CB57
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3H111BA02
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(57)【要約】      (修正有)
【課題】アルミニウム等の金属との接着性に優れたポリエチレン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリエチレン樹脂とセルロース繊維とアルミニウムとが分散したポリエチレン樹脂組成物であって、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中の前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対する前記アルミニウムの含有量が1質量部以上40質量部以下であり、前記ポリエチレン樹脂組成物は、アルミニウム箔と熱融着した場合に該アルミニウム箔との間で1.0N/10mm以上の剥離強度を示す、ポリエチレン樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維とアルミニウムとが分散したポリエチレン樹脂組成物であって、
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中の前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対する前記アルミニウムの含有量が1質量部以上40質量部以下であり、
前記ポリエチレン樹脂組成物は、アルミニウム箔と熱融着した場合に該アルミニウム箔との間で1.0N/10mm以上の剥離強度を示す、ポリエチレン樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリエチレン樹脂組成物中の分散アルミニウムは、X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が2mm以上のアルミニウムの数の割合が1%未満である、請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。
ここで、X−Y最大長は、ポリエチレン樹脂組成物の表面において、アルミニウム分散質に対し特定方向(X軸方向)に直線を引き、該直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離と、当該特定方向に対して垂直方向(Y軸方向)に直線を引き、該直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離のうち、長い方の長さである。
【請求項3】
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対する前記アルミニウムの含有量が5質量部以上30質量部以下である、請求項1又は2に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリエチレン樹脂組成物がポリプロピレンを含有し、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記ポリプロピレンの含有量が20質量部以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリエチレン樹脂組成物がポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンを含有し、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総含有量が10質量部以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項6】
前記ポリエチレン樹脂組成物中の分散アルミニウムは、X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が1mm以上のアルミニウムの数の割合が1%未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
ここで、X−Y最大長は、ポリエチレン樹脂組成物の表面において、アルミニウム分散質に対し特定方向(X軸方向)に直線を引き、該直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離と、当該特定方向に対して垂直方向(Y軸方向)に直線を引き、該直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離のうち、長い方の長さである。
【請求項7】
金属と接合して複合体を形成するために用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項8】
前記複合体が、前記ポリエチレン樹脂組成物の層と前記金属の層とを含む積層体である、請求項7に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項9】
前記複合体が、金属管の外周及び/又は内周に前記ポリエチレン樹脂組成物を用いた被覆層を有する被覆金属管である、請求項7に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項10】
前記被覆金属管が電磁波シールド管である、請求項9に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項11】
接着シートとして用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項12】
ホットメルト接着剤として用いる、請求項1〜6に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項13】
土木用、建材用、又は自動車用の部材又はその原料として用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物と金属とが接合されてなる複合体。
【請求項15】
前記複合体が、前記ポリエチレン樹脂組成物の層と前記金属の層とを含む積層体である、請求項14に記載の複合体。
【請求項16】
前記複合体が、金属管の外周及び/又は内周に前記ポリエチレン樹脂組成物を用いた被覆層を有する被覆金属管である、請求項14に記載の複合体。
【請求項17】
前記被覆金属管が電磁波シールド管である、請求項16に記載の複合体。
【請求項18】
土木用、建材用、又は自動車用の部材として用いる、請求項14〜17のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項19】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物又は請求項14〜17のいずれか1項に記載の複合体の、土木用、建材用、又は自動車用の部材への使用。
【請求項20】
前記金属が、アルミニウム、銅、鋼、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス鋼、マグネシウム合金、鉛合金、銀、金、及び白金の少なくとも1種を含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
【請求項21】
前記金属が、アルミニウム、銅、鋼、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス鋼、マグネシウム合金、鉛合金、銀、金、及び白金の少なくとも1種を含む、請求項14〜17のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項22】
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを、水中で撹拌することにより前記紙の一部が取り除かれたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片と水とを、ポリエチレンが溶融しセルロース繊維が変質しない温度で溶融混練し、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維とアルミニウムとを分散したポリエチレン樹脂組成物を得ることを含む、請求項1〜13いずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用いた複合体、並びにポリエチレン樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン樹脂は、成形性に優れ、また、ポリエチレン樹脂を用いた成形品は機械的特性、電気的特性、耐薬品性等に優れることから、樹脂成形品の材料として広く用いられている。他方、ポリエチレン樹脂は、金属等の異種材との接着性に劣り、ポリエチレン樹脂と金属等との複合化にはこの点の配慮が必要であった。
ポリエチレン樹脂と金属等の異種材との接着方法としては、熱可塑性であるポリエチレン樹脂を加熱して、ポリエチレン樹脂を軟化させて接着(熱融着)させる方法、接着性を有する樹脂層を介して接着する方法、接着剤を塗布して接着する方法等が提案されている。
しかし、接着性樹脂層を介在させたり接着剤を用いたりする方法は、得られる複合体の構成が複雑となる。また、接着性樹脂や接着剤の取扱い、接着層の形成プロセスの管理などの負担も生じる。
他方、熱融着させる方法は、接着対象物以外の材料を必要とせず、工程管理が容易である。この熱融着による接着方法として、例えば、ポリエチレン樹脂をシート状に押出すと同時にこの押出シートにアルミシートを積層してポリエチレン樹脂とアルミシートとを接着する方法が提案されている。
【0003】
また、ポリエチレン樹脂を酸変性したり、エチレン-メタクリル酸共重合体等を添加したりして、ポリエチレン樹脂自体の接着性を高めることも提案されている。
例えば、特許文献1(特開昭59−6240号公報)には、特定のポリエチレンに不飽和カルボン酸又はその誘導体をグラフトしたことを特徴とする接着性能の改善された変性ポリエチレン樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2(特開平6−31876号公報)には、低密度ポリエチレンと、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、粘着付与樹脂とを含有する樹脂組成物をアルミニウム上に設けた積層蓋材が開示されている。なお、粘着付与樹脂としては、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン類、スチレン系樹脂、クロマン・インデン樹脂などが挙げられている。
また、特許文献3(特開平9−111062号公報)には、ポリエチレン樹脂とエポキシ基含有エチレン共重合体とを含有し、アルミニウム箔等の被着体への接着性に優れる押出ラミネート用の樹脂組成物が開示されている。この特許文献3には、エポキシ基含有エチレン共重合体が、エチレンとエポキシ基含有不飽和単量体との2成分共重合体であること、該エポキシ基含有不飽和単量体が、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテルまたは2−メチルアリルグリシジルエーテルであることが記載されている。
しかし、接着性向上のためのポリエチレン樹脂の変性処理は、特定の押出工程等を要し、手間とコストがかかる。また、接着性向上のために用いる共重合体等は、汎用樹脂であるポリエチレン樹脂に比べて高価であり、またポリエチレン樹脂との混錬工程等を要し、製造コストが上昇してしまう。
【0004】
リサイクル原料をポリエチレン樹脂として有効活用する技術開発が進められている。例えば特許文献4(特許第4680000号公報)には、ラミネート加工紙からなる使用済み飲料容器の再利用技術として、ラミネート加工紙を、小さく粉砕して、ポリプロピレンなどと共に二軸押出機で混練することによって紙含有樹脂組成物を製造し、さらにこれに流動性向上剤を加えて射出成形する方法が記載されている。
また、特許文献5(欧州特許第2296858号明細書)と特許文献6(欧州特許第2463071号明細書)には、セルロース、プラスチック材、アルミニウムからなる多層ラミネート材に処理を施して、ポリエチレンとアルミウムを主体とする複合材としてリサイクルする方法が開示されている。より詳細には、特許文献5には、セルロース、プラスチック材、アルミニウムからなる多層ラミネート材をパルピングしたものを水槽に導入した後、遠心分離、粉砕、乾燥を施すことにより水分とセルロースを2%未満に低減し、さらに、圧密化、押出成形による造粒を施して複合材料を得る技術が開示されている。また特許文献6には、大部分のセルロースが取られた残りのテトラパック廃材(LDPE、アルミニウム、セルロースを含む)に、粉砕と、水を使用しない熱風による洗浄処理を施してセルロースを約2%に低減し、さらに、細断、添加物の添加、顆粒化、射出/圧縮成形をしてプラスチック複合部材を得る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−6240号公報
【特許文献2】特開平6−31876号公報
【特許文献3】特開平9−111062号公報
【特許文献4】特許第4680000号公報
【特許文献5】欧州特許第2296858号明細書
【特許文献6】欧州特許第2463071号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように特許文献1におけるポリエチレン樹脂の変性は、特定の処理工程が必要であり製造コストが上昇する問題がある。また、特許文献2及び3においてポリエチレン樹脂とブレンドされる樹脂成分は、いずれも比較的高価でやはり製造コストの観点で問題がある。
他方、特許文献4〜6はラミネート加工紙をリサイクル利用するものであり、資源の有効活用や原料コストの低減に資するものである。しかし、特許文献4には原料のラミネート加工紙がアルミニウムを含有することは記載されておらず、特許文献5及び6の技術で得られるポリエチレン樹脂複合材はセルロース繊維の含有量が2%以下と少ない。また、特許文献4〜6には、得られる樹脂組成物ないし複合材の接着特性は記載されていない。
【0007】
本発明は、アルミニウム等の金属との接着性に優れたポリエチレン樹脂組成物を提供することを課題とする。また本発明は、アルミニウム等の金属との接着性に優れ、さらに原料コストの低減を可能とするポリエチレン樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、又はこのポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パックないし食品パックを水中で撹拌することにより紙部分を剥ぎ取り除去して得られる、紙部分がラミネート加工紙から、一部剥ぎ取られたポリエチレン薄膜片(このポリエチレン薄膜は、アルミニウム薄膜の貼りついたポリエチレン薄膜に除去しきれなかった紙成分(セルロース繊維)が不均一に付着してなる薄膜片と、アルミニウム薄膜の貼りついていないポリエチレン薄膜に除去しきれなかった紙成分が不均一に付着してなる薄膜片とを含む混合物(この混合物を「セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片」と称す。)である。)を原料として、この原料を、水の存在下で溶融混練することにより、水分を取り除きながら、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維と微細化されたアルミニウムとが均一に分散して一体化した組成物(以降、単に「ポリエチレン樹脂組成物」という場合、この組成物を意味する。)を、低原料コストで得ることができること、また、得られる組成物が、アルミニウム等の金属との接着性に優れることを見い出した。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明の上記課題は下記の手段により解決される。
〔1〕
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維とアルミニウムとが分散したポリエチレン樹脂組成物であって、
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中の前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対する前記アルミニウムの含有量が1質量部以上40質量部以下であり、
前記ポリエチレン樹脂組成物は、アルミニウム箔と熱融着した場合に該アルミニウム箔との間で1.0N/10mm以上の剥離強度を示す、ポリエチレン樹脂組成物。
〔2〕
前記ポリエチレン樹脂組成物中の分散アルミニウムは、X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が2mm以上のアルミニウムの数の割合が1%未満である、〔1〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
ここで、X−Y最大長は、ポリエチレン樹脂組成物の表面において、アルミニウム分散質に対し特定方向(X軸方向)に直線を引き、該直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離と、当該特定方向に対して垂直方向(Y軸方向)に直線を引き、該直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離のうち、長い方の長さである。
〔3〕
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対する前記アルミニウムの含有量が5質量部以上30質量部以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔4〕
前記ポリエチレン樹脂組成物がポリプロピレンを含有し、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記ポリプロピレンの含有量が20質量部以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔5〕
前記ポリエチレン樹脂組成物がポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンを含有し、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総含有量が10質量部以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔6〕
前記ポリエチレン樹脂組成物中の分散アルミニウムは、X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が1mm以上のアルミニウムの数の割合が1%未満である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
ここで、X−Y最大長は、ポリエチレン樹脂組成物の表面において、アルミニウム分散質に対し特定方向(X軸方向)に直線を引き、該直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離と、当該特定方向に対して垂直方向(Y軸方向)に直線を引き、該直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離のうち、長い方の長さである。
〔7〕
金属と接合して複合体を形成するために用いる、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔8〕
前記複合体が、前記ポリエチレン樹脂組成物の層と前記金属の層とを含む積層体である、〔7〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔9〕
前記複合体が、金属管の外周及び/又は内周に前記ポリエチレン樹脂組成物を用いた被覆層を有する被覆金属管である、〔7〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔10〕
前記被覆金属管が電磁波シールド管である、〔9〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔11〕
接着シートとして用いる、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔12〕
ホットメルト接着剤として用いる、〔1〕〜〔6〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔13〕
土木用、建材用、又は自動車用の部材又はその原料として用いる、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔14〕
〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物と金属とが接合されてなる複合体。
〔15〕
前記複合体が、前記ポリエチレン樹脂組成物の層と前記金属の層とを含む積層体である、〔14〕に記載の複合体。
〔16〕
前記複合体が、金属管の外周及び/又は内周に前記ポリエチレン樹脂組成物を用いた被覆層を有する被覆金属管である、〔14〕に記載の複合体。
〔17〕
前記被覆金属管が電磁波シールド管である、〔16〕に記載の複合体。
〔18〕
土木用、建材用、又は自動車用の部材として用いる、〔14〕〜〔17〕のいずれかに記載の複合体。
〔19〕
〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物又は〔14〕〜〔17〕のいずれかに記載の複合体の、土木用、建材用、又は自動車用の部材への使用。
〔20〕
前記金属が、アルミニウム、銅、鋼、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス鋼、マグネシウム合金、鉛合金、銀、金、及び白金の少なくとも1種を含む、〔7〕〜〔10〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔21〕
前記金属が、アルミニウム、銅、鋼、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス鋼、マグネシウム合金、鉛合金、銀、金、及び白金の少なくとも1種を含む、〔14〕〜〔17〕のいずれかに記載の複合体。
〔22〕
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを、水中で撹拌することにより前記紙の一部が取り除かれたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片と水とを、ポリエチレンが溶融しセルロース繊維が変質しない温度で溶融混練し、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維とアルミニウムとを分散したポリエチレン樹脂組成物を得ることを含む、〔1〕〜〔13〕いずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
【0010】
本発明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
本発明において、「ポリエチレン」という場合、低密度ポリエチレン及び/又は高密度ポリエチレン(HDPE)を意味する。
上記低密度ポリエチレンは、密度が880kg/m以上940kg/m未満のポリエチレンを意味する。上記高密度ポリエチレンは、上記低密度ポリエチレンの密度より密度が大きいポリエチレンを意味する。
低密度ポリエチレンは、長鎖分岐を有する、いわゆる「低密度ポリエチレン」及び「超低密度ポリエチレン」といわれるものでもよく、エチレンと少量のα−オレフィンモノマーを共重合させた直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)でもよく、さらには上記密度範囲に包含される「エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー」であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、アルミニウム等の金属との接着性に優れる。また本発明のポリエチレン樹脂組成物の一実施形態では、この組成物を得るための原料コストの低減も可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のポリエチレン樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」とも称す。)は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなり(ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなる形態を含む)、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下である。
本発明の組成物は、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムが十分均一な状態で分散した組成物の状態にあり、押出成形及び射出成形などへの適応性が高いものである。
【0014】
本発明の組成物は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合を70質量部以下とする。この割合が70質量部を超えると、溶融混練によりセルロース繊維が均一に分散した組成物が得られにくくなり、得られる組成物の吸水性が大きく上昇する傾向があり、接着性も低下する場合がある。吸水性をより抑え、接着性を高め、また後述する耐衝撃性をさらに高める観点から、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合は、好ましくは60質量部未満、より好ましくは55質量部未満である。
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合は、1質量部以上である。この割合を1質量部以上とすることにより、接着性をより高め、また、後述する曲げ強度をより向上させることができる。この観点からは、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合は3質量部以上が好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。また引張強度をより向上させる点も考慮すれば、当該割合は20質量部以上が好ましく、30質量部以上であることがより好ましい。
【0015】
本発明の組成物は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、アルミニウム(以下、アルミニウム分散質ともいう。)の含有量が1質量部以上40質量部以下である。アルミニウムの含有量をこの範囲内とすることにより、組成物の接着性、加工性をより高めることができ、また、組成物の加工時にアルミニウムの塊まりがより生じにくくなる。原料として好適なポリエチレンラミネート加工紙のアルミニウム薄膜層は、溶融混練時の剪断力により、徐々に剪断され微細化させることができる。
上記接着性、加工性の観点に加え、熱伝導性、難燃性等をも考慮した場合、本発明の組成物は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、アルミニウムの含有量が好ましくは5質量部以上35質量部以下であり、さらに好ましくは10質量部以上30質量部以下である。
【0016】
本発明のポリエチレン樹脂組成物中、ポリエチレン樹脂、セルロース繊維、及びアルミニウムの含有量の合計は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。また、本発明のポリエチレン樹脂組成物中、ポリエチレン樹脂、セルロース繊維、及びアルミニウムの含有量の合計は85質量%以上でもよく、90質量%以上でもよい。
また、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、ポリエチレン樹脂、セルロース繊維、及びアルミニウムからなる組成でもよいが、ポリエチレン樹脂、セルロース繊維、及びアルミニウムの含有量の合計は99質量%以下であってもよく、98質量%以下であってもよく、96質量%以下であってもよい。
【0017】
本発明の組成物は、アルミニウム箔と熱融着した場合に該アルミニウム箔との間で1.0N/10mm以上の剥離強度を示す接着特性を有する。すなわち、アルミニウム等の金属に対する接着性が高められている。
ここで、上記剥離強度は次のようにして決定される。
ポリエチレン樹脂組成物を厚さ1mmのシート状に成形し、このシートと、厚さ0.1mmのアルミニウム箔とを積層し、170℃で5分間、4.2MPaの圧力をかけて加熱プレスすることにより、上記シートとアルミニウム箔とを熱融着させる。こうして得られた積層体を幅25mm、長さ20cmの短冊状に切り出した試料5個について、アルミニウム箔を90℃方向(シート表面に対して垂直方向)に、速度50mm/分で剥離する。この剥離において、剥離強度の最大の試料と最小の試料について、各剥離強度の平均を算出し、得られた平均値を剥離強度(N/10mm)とする。
本発明の組成物とアルミニウム箔との間の上記剥離強度は、1.1〜5.0N/10mmが好ましく、1.2〜4.0N/10mmがより好ましく、1.3〜3.5N/10mmがさらに好ましく、1.4〜3.0N/10mmがさらに好ましい。
【0018】
本発明の組成物が上記接着特性を示すための要件は定かではないが、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維とアルミニウムの各成分が十分に均一に混じり合っていることが重要な要素と考えられる。後述するような、水の存在下における原料の溶融混練は、得られるポリエチレン樹脂組成物の接着性を所望のレベルへと高めるための有用な方法である。
【0019】
本発明の組成物の調製のための原料は特に制限されない。例えば、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、及び/又は紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを原料として好適に用いることができる。なお、「原料として用いる」とは、当該原料を一定の処理(例えば水中における撹拌処理)に付した後のものを、本発明の組成物の原料として用いることを含む意味である。
本発明の組成物は、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを原料の全てとして用いてもよいし、原料の一部として用いてもよい。ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを、乾燥重量として、原料の30重量%以上として用いることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上として用いる。
原料とするポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックは、使用前のものであっても、使用済みの回収物であっても、あるいはポリエチレンラミネート加工紙又はポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックの製造工程で排出されるポリエチレンラミネート紙の損紙であてもよく、これらの併用であってもよい。
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、及び/又は紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを原料として用いることにより、アルミニウム等の金属との接着性に優れるポリエチレン樹脂組成物を、原料コストを抑えて得ることができる点で好ましい。また、これらの原料を用いて、後述する本発明の製造方法を適用して本発明の組成物を得ることにより、アルミニウム等の金属との接着性において、より優れたポリエチレン樹脂組成物を安定して得ることができる。
【0020】
なかでも本発明の組成物は、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックから紙の一部が取り除かれたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を原料として用いることが望ましい。
本発明の組成物は、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を原料の全てとして用いてもよいし、原料の一部として用いてもよい。セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、乾燥重量として、原料の30重量%以上として用いることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上として用いる。
本発明の組成物は、上記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下、後述する溶融混練処理に付して得られるものであることが好ましい。
【0021】
すなわち、本発明の組成物の好ましい一実施形態は、原料として少なくとも
(a)紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙
を用いて得られるポリエチレン樹脂組成物である。このポリエチレンラミネート加工紙は、当該ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックであることも好ましい。
原料中に占める上記(a)に該当する原料の割合は、30質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、当該割合を80質量%以上としてもよく、90質量%以上とすることも好ましく、原料のすべてを上記(a)とすることもできる。
また、当該ポリエチレン樹脂組成物は、原料として少なくともセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を用いて得られるものであることも好ましい。原料中に占める上記(a)に該当する原料の割合は、乾燥質量基準で、30質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、当該割合を80質量%以上としてもよく、90質量%以上とすることも好ましく、原料のすべてをセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片とすることもできる。
【0022】
本発明の組成物は、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックから得られる(由来する)再生パルプを原料としてさらに含むことができる。
【0023】
本発明の組成物中の分散アルミニウムは、X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が2mm以上のアルミニウムの数の割合が1%未満であることが好ましい。このような割合であることにより、アルミニウム等の金属との接着性をより高めることができる。
本発明の組成物は、X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が1mm以上のアルミニウムの数の割合が1%未満であることが好ましい。この割合を1%未満とすることにより、組成物の加工性をより高めることができ、また、組成物の加工時にアルミニウムの塊まりがより生じにくくなる。
【0024】
X−Y最大長は、組成物の表面を観察して決定されるものである。この観察面において、個々のアルミニウム分散質(組成物中に分散しているアルミニウムを意味する。分散アルミニウムとも称す。)に対し、特定方向(X軸方向)に直線を引き、当該直線と当該アルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離(X軸最大長)を測定し、また、当該特定方向に対して垂直方向(Y軸方向)に直線を引き、この直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離(Y軸最大長)を測定し、X軸最大長とY軸最大長のうち長い方の長さをX−Y最大長とする。X−Y最大長は、後述する実施例に記載されるように画像解析ソフトを用いて決定することができる。
本発明の組成物中に分散しているアルミニウム分散質は、個々のアルミニウム分散質のX−Y最大長の平均が0.02〜0.2mmであることが好ましく、0.04〜0.1mmであることがより好ましい。X−Y最大長の平均は、後述するように、画像解析ソフトを用いて測定されるX−Y最大長の平均とする。
【0025】
本発明の組成物に含まれるセルロース繊維は、繊維長1mm以上のものを含むことが好ましい。繊維長1mm以上のセルロース繊維を含むことにより、引張強度、曲強度等の機械強度をより向上させることができる。
【0026】
続いて本発明の組成物が有し得る物性の一例について説明するが、本発明の組成物は、本発明の規定を満たす限り、これらの物性に限定されるものではない。
本発明の組成物の一実施形態では、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が25質量%部以上50質量%部未満であり、引張強度が20MPa以上の物性とすることができる。本発明の組成物はポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が25質量%部以上50質量%部未満であり、引張強度が25MPa以上とすることもできる。さらに、本発明の組成物を構成するポリエチレン樹脂が後述するように低密度ポリエチレンを主成分とし、あるいは、低密度ポリエチレンを80質量%以上含み、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が25質量部以上50質量部未満であり、引張強度が20MPa以上(さらに好ましくは25MPa以上)の物性とすることができる。
【0027】
本発明の組成物の別の実施形態では、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が1質量部以上15質量部未満であり、曲げ強度(曲げ弾性率)が8〜20MPaの物性とすることができる。また本発明の組成物は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が5質量部以上15質量部未満であり、曲げ強度が10〜20MPaであってもよい。また本発明の組成物は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が15質量部以上50質量部未満であり、曲げ強度が15〜40MPaとすることもできる。
上記の曲げ強度(曲げ弾性率)は、組成物を特定形状に成形して測定される。より詳細には、後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0028】
本発明の組成物は、含水率が1質量%未満であることが好ましい。後述するように本発明の組成物は、水の存在下、樹脂を含む原料を溶融混練することにより製造することができる。この方法は、溶融混練しながら、水を蒸気として効率的に除去することができ、得られる組成物の含水率を1質量%未満にまで低減することができる。したがって、水分の除去と溶融混練とを別のプロセスで行う場合に比べて、水分除去にかかるエネルギー使用量(消費電力等)を抑えることができる。
【0029】
本発明の組成物は、23℃の水に20日間浸漬した後の吸水率が0.1〜10%であることが好ましい。本発明の組成物は、上述の通り吸水率の増大を抑制できるものであり、また、少量の水が吸水された場合においては、曲げ強度を大きく低下させずに、耐衝撃性が高まる物性であることが好ましい。このような物性を有することにより、本発明の組成物を用いた成形体等を、屋外での使用にも好適に用いることができる。
【0030】
本発明の組成物は、温度230℃、荷重5kgfにおけるメルトフローレート(MFR)が、0.05〜50.0g/10minであることが好ましい。MFRを上記好ましい範囲内とすることにより、より良好な成形性を実現することができ、得られる成形体の耐衝撃性もより高めることができる。
【0031】
本発明の組成物を溶融させて任意の形状及び大きさに固化させ、あるいは裁断することで、ペレットとすることができる。例えば、本発明の組成物の粉砕物を、二軸押出機にてストランド状に押出し冷却固化後に裁断することによりペレットを得ることができる。あるいは、本発明の組成物の粉砕物を、ホットカットを備えた二軸押出機にて押出しカットすることによりペレットを得ることができる。これらのペレットの大きさ、形状に特に制限はなく、目的に応じて適宜選定できるが、例えば、数mmの直径を有する略円柱状あるいは円盤状の粒体などに仕上げることができる。
【0032】
本発明の組成物を構成するポリエチレン樹脂は、低密度ポリエチレンが主成分であることが好ましく、より好ましくは本発明の組成物を構成するポリエチレン樹脂の50質量%以上が低密度ポリエチレンであり、さらに好ましくは本発明の組成物を構成するポリエチレン樹脂の80質量%以上が低密度ポリエチレンである。
【0033】
本発明の組成物を構成するポリエチレン樹脂は、微量のカルボニル基を含有してもよい。カルボニル基(C=O)は、例えば赤外吸収スペクトルで1700/cm付近の吸収ピークとして観察される。カルボニル基の存在は、組成物の接着性向上に寄与すると推定される。このようなカルボニル基の存在は、例えば、ポリエチレン樹脂自体の酸化や、原料に由来することができ、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙のポリエチレン系樹脂成分に含まれるものであってもよい。
【0034】
本発明の組成物が原料として飲料パックや食品パック等を用いた場合、当該飲料パックや食品パック等には樹脂層としてポリエチレン樹脂を用いたものの他に、ポリエチレン樹脂以外の樹脂層を使用したものもある。また、使用済みの飲料パックや食品パックを回収して利用する場合、回収物には、ポリエチレン樹脂以外の樹脂成分が混入する場合がある。このような混入樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等が挙げられる。本発明の組成物は、このようなポリエチレン樹脂以外の樹脂を含むことができる。
本発明の組成物はポリプロピレンを含有してもよく、この場合、ポリエレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、ポリプロピレンの含有量が20質量部以下であることが好ましい。
また、本発明の組成物は、ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンを含有してもよく、この場合、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総含有量が10質量部以下であることが好ましい。ここで、「ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総含有量」とは、ポリエチレンテレフタレート及びナイロンのうち1種を含有する場合は、当該1種の含有量を意味し、ポリエチレンテレフタレート及びナイロンの両方を含有する場合はポリエチレンテレフタレート及びナイロンの総含有量を意味する。
【0035】
ポリエチレン樹脂組成物中に混入しうる樹脂の種類が分かっていれば、ポリエチレン樹脂以外の樹脂の量は、ポリエチレン樹脂組成物の熱キシレン溶解質量比に基づき決定することができる。
【0036】
−熱キシレン溶解質量比による樹脂分の測定−
本発明において、熱キシレン溶解質量比は次のように決定される。
自動車電線用規格JASOD618の架橋度測定に準拠し、ポリエチレン樹脂組成物の成形シートから0.1〜1gを切だし試料とし、この試料を400メッシュのステンレスメッシュで包み、所定温度のキシレン100mlに24時間浸漬する。次いで試料を引き上げ、その後試料を80℃の真空中で24時間乾燥させる。試験前後の試料の質量から、次式より熱キシレン溶解質量比G(%)が算出される。
G={(W0−W)/W0}×100
W0:熱キシレン中に浸漬する前のポリエチレン樹脂組成物の質量
W:熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後のポリエチレン樹脂組成物の質量
【0037】
例えば、「ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、ポリプロピレンの含有量が20質量部以下である」とは、ポリエチレン樹脂組成物の、138℃の熱キシレン溶解質量比をGa(%)、105℃の熱キシレンへ溶解質量比をGb(%)、セルロース有効質量比をGc(%)としたとき、Ga−Gbがポリプロピレンの質量比(%)に、Gbがポリエチレンの質量比(%)に相応する。したがって、本発明の組成物は下記式を満たすことも好ましい。
{(Ga−Gb)/(Gb+Gc)}×100≦20
ここで、
Ga={(W0−Wa)/W0}×100
Gb={(W0−Wb)/W0}×100
W0:熱キシレンに浸漬する前のポリエチレン樹脂組成物の質量
Wa:138℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後のポリエチレン樹脂組成物の質量
Wb:105℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後のポリエチレン樹脂組成物の質量
Gc={Wc/W00}×100
Wc:窒素雰囲気中で270℃〜390℃に昇温する間の、乾燥状態のポリエチレン樹脂組成物の質量減少量
W00:上記昇温前(23℃)の乾燥状態のポリエチレン樹脂組成物の質量
である。
【0038】
−セルロース有効質量比の測定−
上記「セルロース有効質量比(%)」は、組成物中に含まれるセルロース繊維の含有量(質量%)に相当するものである。上記「セルロース有効質量比(%)」は、事前に大気雰囲気にて80℃で1時間の乾燥を行って乾燥状態にしたポリエチレン樹脂組成物(10mg)を、窒素雰囲気下において+10℃/minの昇温速度で、23℃から400℃まで熱重量分析(TGA)を行い、次式により算出することができる。
(セルロース有効質量比[%])=
(270〜390℃の質量減少[mg])×100/(熱重量分析に付す前の乾燥状態の樹脂組成物の質量[mg])
なお、窒素雰囲気下において+10℃/minの昇温速度で270〜390℃まで昇温させた場合、セルロース繊維はほぼ熱分解して消失する。すなわち、セルロース有効質量比[%]を組成物中に含まれるセルロース繊維の含有量とみなすことができる。
【0039】
本発明の請求項に記載の、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中のセルロース繊維の割合A(質量部)は、測定により求めたセルロース有効質量比(%)と測定により求めたポリエチレンの質量比(%)から、次ように求めることができる。

セルロース繊維の割合A(質量部)=セルロース有効質量比(%)×100/{セルロース有効質量比(%)+ポリエチレンの質量比(%)}

また、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対するアルミニウムの含有量C(質量部)は、次ように求めることができる。

アルミニウムの含有量C(質量部)={100−セルロース有効質量比(%)−ポリエチレンの質量比(%)}×100/{セルロース有効質量比(%)+ポリエチレンの質量比(%)}

さらに、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中のポリエチレン樹脂の割合B(質量部)は、次ように求まる。

ポリエチレン樹脂の割合B(質量部)=ポリエチレンの質量比(%)×100/{セルロース有効質量比(%)+ポリエチレンの質量比(%)}

このように、セルロース有効質量比、ポリエチレンの質量比を用いて、樹脂複合材のセルロース、ポリエチレン樹脂、アルミニウムの質量部数を計算により求めることができる。
例えば、セルロース有効質量比3.1%、ポリエチレン質量比84.0%、アルミニウム質量12.9%の場合の表1の実施例1では、セルロース繊維3.6質量部、ポリエチレン樹脂96.4質量部、アルミニウム14.8質量部となる。
また、セルロース有効質量比37.0%、ポリエチレン質量比46.5%、アルミニウムの質量16.5%の場合の実施例2では、セルロース繊維44.3質量部、ポリエチレン樹脂55.7質量部、アルミニウム19.8質量部となる。
以上のように、セルロースとポリエチレン樹脂などの樹脂分の測定結果の計算から、セルロース樹脂、ポリエチレン樹脂、アルミニウムの配合部数を計算することができる。
ここで、請求項記載の質量部数の表記から実験により求めた各材料成分の分析値を求めるには、セルロースの質量部数とポリエチレンの質量部数に、アルミニウムを含めた材料成分の質量部数を合算した値で、それぞれの質量部数を割った値を%表示したものが、実験または計算により求めた各材料の配合割合に相当する。
【0040】
本発明の組成物は、無機質材を含有してもよい。無機質材を含有することにより曲げ弾性、難燃性が向上し得る。曲げ弾性と衝撃特性の観点から、ポリエチレン樹脂100質量部に対する無機質材の好ましい含有量は1〜100質量部である。難燃性を考慮し、また衝撃特性をさらに考慮すると、ポリエチレン樹脂100質量部に対する無機質材の含有量は好ましくは5〜40質量部である。
無機質材としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等があげられる。なかでも炭酸カルシウムが好ましい。無機質材は、後述するセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片にペーパースラッジ、古紙、ラミネート紙廃材等を加えて水の存在下で混練して組成物を得る場合に、これらのペーパースラッジ、古紙、ラミネート紙廃材に元々含有される填料材等を由来としてもよい。
【0041】
本発明の組成物は、目的に応じて、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、耐候剤、相溶化剤、衝撃改良剤、改質剤等を含んでもよい。
難燃剤としては、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、上述したような金属水酸化物等があげられる。難燃性向上のためにエチレン酢酸ビニル共重合体、エチルアクリレート共重合体等のエチレン系共重合体等の樹脂を含んでもよい。
【0042】
リン系難燃剤としては、分子中にリン原子を有する化合物があげられ、例えば、赤燐、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどのリン酸化物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化合物、モノアンモニウムホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、アンモニウムポリホスフェートなどのリン酸アンモニウム塩、メラミンモノホスフェート、メラミンジホスフェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸メラミン塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸金属塩、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどの芳香族系リン酸エステル類が挙げられる。
【0043】
ハロゲン系の難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素化ビスフェノール類及びその誘導体、臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、臭素系芳香族化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環状化合物、ヘキサブロモフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどの臭素系難燃剤が挙げられる。
【0044】
金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等があげられる。また、これら金属水酸化物に表面処理を施したものを用いることもできる。
酸化防止剤、安定剤、耐候剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’−チオビス(3−メチルー6−t−ブチルフェノール)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4(2,2,6,6テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系化合物等があげられる。酸化防止剤、安定剤、又は耐候剤の含有量は、本発明の組成物100質量部に対してそれぞれ0.001〜0.3質量部であることが好ましく、酸化防止剤、安定剤、又は耐候剤の種類と、本発明の組成物の用途により適宜調整される。
【0045】
相溶化剤、衝撃改良剤、改質剤としては、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー等のスチレン系エラストマー、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン等があげられる。引張強度や曲げ強度を高める観点からはマレイン酸変性ポリエチレンを好適に用いることができる。
【0046】
本発明の組成物は、加工性向上のため、オイル成分や各種の添加剤を含むことができる。パラフィン、変性ポリエチレンワックス、ステアリン酸塩、ヒドロキシステアリン酸塩、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ化ビニリデン系共重合体、有機変性シロキサン等があげられる。
本発明の組成物は、カーボンブラック、各種の顔料、染料を含有することができる。本発明の組成物は、金属光沢系の着色材を含有することもでき、この場合、本発明の組成物に含まれるアルミニウムは、金属光沢系着色材による金属光沢をより高める方向に作用し得る。
【0047】
本発明の組成物は、導電性カーボンブラック等の、アルミニウム以外の導電性付与成分を含むことができる。この場合、本発明の組成物に含まれるアルミニウムは、導電性付与成分による導電性をより高める方向に作用し得る。
本発明の組成物は、アルミニウム以外の熱伝導性付与成分を含むことができる。この場合、本発明の組成物に含まれるアルミニウムは、熱伝導性付与成分による熱伝導性をより高める方向に作用し得る。
本発明の組成物は、発泡体であってもよい。即ち、本発明の組成物は、発泡剤の作用により発泡させた状態であってもよい。発泡剤としては有機または無機の化学発泡剤が挙げられ、具体例としては、アゾジカルボンアミドが挙げられる。
本発明の組成物は、架橋されていてもよい。架橋剤としては、有機過酸化物等が挙げられ、具体例としてジクミルパーオキサイドが挙げられる。本発明の組成物はシラン架橋法により架橋された形態であってもよい。
【0048】
本発明の組成物を用いて、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維とアルミニウムとが分散した複合材を得ることができる。また、本発明の組成物ないし複合材を用いて成形体を得ることができる(この成形体を、以下、本発明の成形体と称す。)。本発明の成形体は、アルミニウム等の金属との接着性に優れる。また、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムが均一な状態で分散しているため、均質性が高く、形状安定性に優れると共に、曲げ強度や耐衝撃性などに優れており、多目的な利用が可能なものである。
本発明の成形体は、ペレット状として、あるいは成形材料として用いることもできる。
【0049】
本発明の組成物又はペレットは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂と混合し、この混合物を成形することにより成形体とすることもできる。この成形体は、例えば、本発明の組成物又はペレットと、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂とを溶融混練した後、射出成形、押出成形等の公知の成形法により得ることができる。こうして得られる成形体は、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械特性に優れた形態となり得る。また、この成形体は線膨張係数が抑制されたり、高熱伝導性が高められたりして熱特性にも優れた形態となり得る。さらにこの成形体は、水吸収性が抑えられ、耐水特性に優れた形態となり得る。
換言すれば、本発明の組成物又はペレットは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂に対して、セルロース繊維とアルミニウムを含む改質マスターバッチとして使用することができる。この改質マスターバッチとして使用する場合、本発明の組成物又はペレットにおけるセルロース繊維の含有量は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、25質量部以上であることが好ましく、さらに好ましくは35質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上である。
【0050】
本発明の組成物の用途は特に制限されず、種々の部材やその原料として広く用いることができる。
例えば、本発明の組成物は、金属と接合して複合体を形成するために用いることができる。この複合体は、本発明の組成物の層と金属の層とを含む積層体とすることができる。また、この複合体は、金属管の外周及び/又は内周に本発明の組成物を用いた被覆層を有する被覆金属管であることも好ましい。この被覆金属管は、例えば電磁波シールド管として用いることができる。
本発明の組成物と金属との接合は、両者が直接結合した形態であることが好ましい。この接合は、熱融着等の常法により行うことができる。
また、本発明の組成物は接着シートとして用いることもできる。例えば、金属とポリオレフィン樹脂材料とを接着するために、本発明の組成物を、金属とポリオレフィン樹脂材料との間に介在させて、接着性樹脂層として使用することができる。
また、本発明の組成物は、ホットメルト接着剤として用いることもできる。
本発明の組成物は、土木用、建材用、又は自動車用の部材又はその原料として好適に用いることができる。
【0051】
本発明の組成物を金属と接合して複合体とする場合、当該金属の種類に特に制限はない。当該金属は、アルミニウム、銅、鋼、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス鋼、マグネシウム合金、鉛合金、銀、金、及び白金の少なくとも1種を含むことが好ましい。なかでも、当該金属はアルミニウム、アルミニウム合金、銅、及び銅合金の少なくとも1種を含むことが好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、及び銅合金の少なくとも1種であることがより好ましい。
また、当該金属はアルミニウム及び/又はアルミニウム合金を含むことが好ましく、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金であることも好ましい。
【0052】
続いて本発明の組成物の製造方法について、好ましい実施形態を以下に説明するが、本発明の組成物は、下記方法により得られたものに限定されるものではない。なお、下記で説明する、本発明の組成物の製造方法の好ましい実施形態を、単に「本発明の製造方法」とも称す。
【0053】
[ポリエチレン樹脂組成物の製造方法]
本発明の製造方法では、原料として、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙から得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を用いる。このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パックから得られるものであることが好ましい。
【0054】
<セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片>
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙(好ましくは、このポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パック)は、一般に、紙部分の材質として丈夫で見た目の美しい高品質のパルプが使用されており、このようなパルプは主にセルロース繊維によって構成されている。そして、かかる紙部分の表面には、ポリエチレン押出ラミネート加工によってポリエチレン薄膜が貼着されており、紙部分への飲料の浸透を防ぐようにされている。さらに、アルミニウム薄膜層を有することで、ガスバリア性が向上され、飲料ないし食品の長期保存や香り保持に資するものとなっている。
【0055】
このような飲料パック及び/又は食品パック等のポリエチレンラミネート加工紙をリサイクルするには、パルパーにより紙部分がある程度除去される。ポリエチレン薄膜部分の、紙部分が剥ぎ取られた側の表面には、除去しきれなかった多数のセルロース繊維が不均一に付着したままの状態にある。このポリエチレン薄膜部分を、本発明においては上述の通り、「セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片」という。また、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、パルパーにより紙部分がある程度除去され、飲料パック及び/又は食品パックそのものよりもセルロース繊維の量が少ない。すなわち、セルロース繊維・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片の集合体(薄膜片原料全体)として見た場合、乾燥質量において、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中のセルロース繊維の割合は1質量部以上70質量部以下であることが好ましく、3質量部以上60質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上60質量部未満であることがさらに好ましく、15質量部以上60質量部未満であることがさらに好ましく、20質量部以上55質量部未満であることがさらに好ましい。また、パルパーで処理して得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、そのセルロース繊維が多量の水を吸収した状態にある。なお、本発明において単に「セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片」という場合、水分を除いた状態(吸水していない状態)の薄膜片を意味する。
パルパーによる一般的な処理では、通常、得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、当該薄膜片の集合体(薄膜片原料全体)として見た場合、乾燥質量において、ポリエチレン樹脂の量よりもセルロース繊維の量が少量となる。
【0056】
「セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片」には、ポリエチレン樹脂、セルロース繊維、紙の白色度を高めるために一般的に含まれる填料(例えばカオリン、タルク)、サイズ剤などが含まれていてもよい。ここで、サイズ剤とは、紙に対してインクなど液体の浸透性を抑え、裏移りや滲みを防ぎ、ある程度の耐水性を与える目的で加えられるものである。疎水性基と親水性基を持ち、疎水性基を外側に向けて紙に疎水性をもたせる。内添方式と表面方式とがあり、いずれにも天然物と合成物とがある。主なものとして、ロジン石鹸、アルキルケテンダイマー(ADK)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ポリビニルアルコール(PVA)などが用いられる。表面サイズ剤には酸化でんぷん、スチレン・アクリル共重合体(コポリマー)、スチレン・メタクリル共重合体などを用いる。その他、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分が含まれていてもよい。例えば、原料のラミネート加工紙に含まれる各種添加剤、インク成分、等が含まれていても良い。セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片中(水分を除いたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片中)の上記他の成分の含有量は、通常は0〜10質量%であり、0〜3質量%が好ましい。
【0057】
<溶融混練における水の作用>
本発明の製造方法では、上記のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下で溶融混練する。すなわち、水の存在下で溶融混練することによって、セルロース繊維とアルミニウムが分散してなるポリエチレン樹脂組成物を得ることができる。ここで「溶融混練」とは、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片のポリエチレン樹脂が溶融する温度で混練することを意味する。好ましくは、セルロース繊維が変質しない温度で溶融混練する。「セルロース繊維が変質しない」とは、セルロース繊維が著しい変色や燃焼、炭化を生じないことを意味する。
上記溶融混練時における最高到達温度は110〜280℃とすることが好ましく、130〜220℃とすることがより好ましい。
水の存在下で溶融混練することにより、せん断力の負荷と熱水の作用(熱水による物理的作用と化学的作用(加水分解作用)を含む)により、セルロース繊維がポリエチレン樹脂表面に埋め込まれた固着状態ないし熱融着状態から解放され、さらにそれぞれのセルロース繊維をセルロース繊維同士のネットワーク状のからみ合いから解放して、紙形状から繊維状にセルロースの形状が変化して、セルロース繊維をポリエチレン樹脂中に、均一に分散させることが可能となる。また、熱水はアルミニウムにも作用し、アルミニウムの表面への水和酸化物の生成や表面の溶解を促す。特に水の水素イオン濃度(pH)が中性から振れた場合に、溶解の作用は大きくなる。溶融混練によるせん断力と、熱水とアルミニウムとの反応が複合的に作用し、アルミニウムが十分に微細化し、大きさ、形状が不均一でセルロース繊維の付着状態も不均一なセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片から、均一な物性のポリエチレン樹脂組成物を得ることが可能になるものと考えられる。また、せん断と熱水により促進されるアルミニウムの微細化とその表面への水和酸化物の生成においては、アルミニウムが微細化するほど表面積が増え、アルミニウム表面の水和酸化物の量も増えることになる。この現象は、ポリエチレン樹脂組成物の難燃性の向上においても有利に働くものと考えられる。
本発明の組成物の原料としてセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を用いれば、上記溶融混練している状態において、水(熱水)のpHは通常はアルカリ性側を示す。溶融混練している状態における水のpHは7.5〜10の範囲にあることが好ましく、7.5〜9の範囲にあることも好ましい。水がアルカリ性を示すことにより、アルミニウムと水とが反応してアルミニウムが溶解しやすくなり、ポリエチレン樹脂中への均一分散性をより高めることができる。
また、上記溶融混練している状態において、水のpHを酸性側(好ましくはpH4〜6.5、より好ましくはpH5〜6.5)としてもよい。この場合も、アルミニウムと水とが反応してアルミニウムが溶解しやすくなり、ポリエチレン樹脂中への均一分散性をより高めることができる。ただし、酸性側である場合は、混練装置や製造に使用する各装置の特に金属部を痛める可能性がある。この点からはアルカリ性側を示すものが望ましい。
【0058】
上記のバッチ式閉鎖型混練装置には、上述の通り円筒形の撹拌室が備えられており、その撹拌室中を貫通して配置された回転軸の外周には、複数枚(例えば4〜8枚)の撹拌羽根が突設されている。撹拌羽根が配置された回転軸は、駆動源であるモーターに連結されている。ここで、撹拌室内に取り付けた温度計や圧力計により、温度や圧力を計測し、温度計や圧力計から計測された温度や圧力を用いて、材料の溶融状態を判断して、溶融混練を判断することができる。また、材料の状態を温度や圧力から判断するのではなく、モーターにかかる回転トルクを計測して溶融状態を判断することもできる。例えば、トルクメーターから計測される回転軸の回転トルクの変化を計測し、溶融混練の終了時点を判断することもできる。溶融混練においては撹拌羽根を高速回転させる。撹拌羽根の周速(回転速度)は、撹拌羽根の先端(回転軸からの距離が最も遠い先端部分)の周速として、10m/秒以上が好ましく、20〜50m/秒がより好ましい。以上の他、高速混練機に代えてニーダーなどを用いることもできる。また、減容処理を行う前に、公知の減容処理を行うこともできる。減容処理には、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、その減容処理により水分が絞られ、例えば含水率が20質量%前後とし、見かけ上の容積を1/2〜1/5程度とすることが好ましい。
【0059】
また、吸水した状態のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を粉砕し、この粉砕物を溶融混練することもできる。粉砕処理は、例えば、回転刃を有する粉砕機、回転刃と固定刃を有する粉砕機、摺動刃を有する粉砕機を用いて行うことができる。
【0060】
溶融混練の際に用いる水は、上記のとおりセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片に付着しているセルロース繊維の含浸水や、薄膜片の表面の付着水などをそのまま利用することができるため、必要に応じて加水すれば良い。
なお、溶融混練の際必要な水量は、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片100質量部(乾燥質量)に対して通常は5質量部以上150質量部未満であり、この水量の範囲とすることにより、樹脂中にセルロース繊維が均一に分散しており、含水率が1質量%未満の成形性に優れた組成物が製造しやすい。溶融混練の際の水量は、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片100質量部に対して、より好ましくは5〜120質量部であり、さらに好ましくは5〜100質量部であり、さらに好ましくは5〜80質量部であり、10〜25質量部とすることがさらに好ましい。
【0061】
本発明の製造方法では、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下で溶融混練するに当たり、さらにセルロース材を混合することができる。
この場合、得られる組成物が、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下となるようにセルロース材の配合量を調整するのが好ましく、より好ましくは、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が3質量部以上60質量部未満、さらに好ましくは5質量部以上60質量部未満、さらに好ましくは15質量部以上60質量部未満、特に好ましくは20質量部以上55質量部となるようにセルロース材の配合量を調整するのが好ましい。
セルロース材としては、セルロースを主体とするものセルロースを含むものが挙げられ、より具体的には、紙、古紙、紙粉、再生パルプ、ペーパースラッジ、ラミネート加工紙の損紙等が挙げられる。なかでもコストと資源の有効活用の点から古紙及び/又はペーパースラッジを使用することが好ましく、ペーパースラッジを使用することがより好ましい。このペーパースラッジは、セルロース繊維以外に無機質材を含んでいてもよい。組成物の弾性率を高める観点からは、無機質材を含むペーパースラッジが好ましい。また、組成物の衝撃強度を重視する場合は、ペーパースラッジは無機質材を含まないか、無機質材を含むとしてもその含有量の少ないものが好ましい。古紙等の紙を混合する場合は、溶融混練の前に紙は予め水で湿潤されていることが望ましい。水で湿潤された紙を使用することにより、セルロース繊維が樹脂中に均一に分散した組成物が得られやすくなる。
【0062】
本発明の製造方法では、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パックから得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下で溶融混練する。この飲料パックや食品パックには、樹脂層としてポリエチレン樹脂を用いたものの他に、ポリエチレン樹脂以外の樹脂層を使用したものもある。また、原料とする飲料パックや食品パックとしては、使用済みのもの、未使用のものが利用可能である。使用済みの飲料パックや食品パックを回収して利用する場合、回収物には、ポリエチレン樹脂の以外の樹脂成分が混入する場合がある。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の混入が挙げられる。本発明の製造方法で得られる組成物は、このようなポリエチレン樹脂以外の樹脂を含むことができる。本発明の製造方法で得られる組成物は、例えば、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、ポリプロピレンを20質量部以下の量で含有することができる。また、例えば、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンについて総量で10質量部以下含むことができる。
【0063】
本発明の製造方法を実施することにより、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パック、あるいは、これらをパルパーによる処理に付して得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、より少ないエネルギー消費量で、簡単な処理工程を経るだけで、リサイクルすることができる。すなわち、上記の飲料パック及び/又は食品パックないしはセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、ポリエチレン樹脂組成物へと変換し、樹脂製品の樹脂原料ないし樹脂材料等としてリサイクルすることができる。
【実施例】
【0064】
本発明を実施例に基づきさらに説明するが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
まず、本発明における各指標の測定方法、評価方法を説明する。
【0065】
[剥離強度]
ポリエチレン樹脂組成物をプレス成型により厚さ1mm、長さ20cmのシート状とした。このシートと、厚さ0.1mmのアルミニウム箔(株式会社UACJ製、1N−30材(軟質)、両艶)とを積層し、170℃にて5分間余熱後、170℃、加圧4.2MPaにて5分間、加熱プレスすることにより熱融着した。こうして得られた積層体を、23℃の環境下で2日以上放置した後、この積層体を幅25mm、長さ20cmの短冊に切り出した試料5個を調製した。各短冊状試料について、アルミニウム箔を90°方向(シート表面に対して垂直方向)に、速度50mm/分で剥離した。この剥離において、剥離強度が最大の試料と最小の試料について、各剥離強度の平均を算出し、得られた平均値をポリエチレン樹脂組成物の剥離強度とした。
【0066】
[含水率]
ポリエチレン樹脂組成物を製造後6時間以内に、このポリエチレン樹脂組成物10mgを窒素雰囲気下に置き、23℃から120℃まで、+10℃/minの昇温速度で熱重量分析(TGA)を行った。この熱重量分析における質量減少率(質量%)に基づき、ポリエチレン樹脂組成物の含水率を決定した。
【0067】
[アルミニウムのサイズ分布(アルミニウム長の判定)]
ポリエチレン樹脂組成物をプレス加工して1mm厚のシート状の成形体を得た。この成形体の表面について顕微鏡を使用して拡大写真を撮影し、画像解析ソフトを使用して、5.1mm×4.2mmの範囲に存在する分散アルミニウムについて、これらのX−Y最大長の分布を求め、X−Y最大長0.005mm以上のアルミニウム(アルミニウム分散質)の全個数に占めるX−Y最大長2mm以上のアルミニウムの個数の割合(%)を求めた。X−Y最大長2mm以上のアルミニウムの占める率が1%未満の場合を(〇)、それ以外を(△)とした。〇のなかでも、X−Y最大長1mm以上のアルミニウムの占める率が1%未満の場合を(◎)とした。画像解析ソフトには、株式会社イノテック製“かんたん画像寸法計測ソフト Pixs2000_Pro”を使用した。なお、アルミニウム長の判定が◎であったものは、X−Y最大長の平均が0.02〜0.2mmの範囲内にあった。
【0068】
[セルロース繊維長]
ポリエチレン樹脂組成物の成形シートから0.1〜1gを切だし試料とし、この試料を400メッシュのステンレスメッシュで包み、138℃のキシレン100mlに24時間浸漬した。次いで試料を引き上げ、試料を80℃の真空中で24時間乾燥させた。乾燥試料0.1gをエタノール50ml中に分散させ、これをシャーレに滴下し、顕微鏡にて15mm×12mmの範囲を観察した。繊維長1mm以上のセルロース繊維が観察されるものを(○)とし、それ以外を(×)とした。
【0069】
[曲げ弾性率]
JIS K7171に準拠しサンプル厚さ4mm、曲げ速度2mm/minにて曲げ弾
性率を測定した。詳細には、射出成形で試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm)を作製し、支点間距離64mm、支点及び作用点の曲率半径5mm、試験速度2mm/minにて荷重の負荷を行い、JIS−K7171に準じて曲げ試験を行ない、曲げ弾性率を測定した。
ここで、曲げ弾性率 Etは、
歪み0.0005(εf1)におけるたわみ量において測定した曲げ応力σf1
歪み0.0025(εf2)におけるたわみ量において測定した曲げ応力σf2
を求めて、これらの差を、それぞれの対応する歪み量の差で割ること、
すなわち、下記の式
Ef=(σf2―σf1)/(εf2―εf1)
で求めることができる。
このときの曲げ応力を求めるための、たわみ量はSは、
下記の式により求めることができる。
S=(ε・L)/(6・h)
S:たわみ
ε:曲げ歪み
L:支点間距離
h:厚さ
【0070】
[実施例1]
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料容器の回収物からパルパーによって紙部分を剥ぎ取り除去してセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、数cm〜100cm程度のさまざまな形状、大きさの小片に切断されており、紙部分の剥ぎ取り工程において水に浸漬されたことで濡れた状態(水分を多量に吸収した状態)であった。また、この薄膜片を構成するポリエチレン樹脂と、それに付着しているセルロース繊維と、アルミニウムとの質量比(乾燥後)は、表1に示す通りであった。また、ポリエチレン樹脂中の低密度ポリエチレンの割合は99.5質量%であった。
このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、80℃に設定した乾燥機で48時間乾燥して含水率を1質量%以下とし、その後、意図的に水を加えて、表1に示す水の質量部とし、溶融混練前の試料とした。
なお、本明細書の[実施例]全体において配合する水のpHは、いずれも中性(pH7)のものである。また、乾燥させたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片に水を混合した状態において、水はアルカリ性(pH7.5〜8.5)を示した。
次に、上記溶融混練前の試料を、バッチ式混練装置であるニーダーに投入し、溶融混練して各成分を均一化し、セルロース繊維とアルミニウムが分散されたポリエチレン樹脂組成物を得た。
得られたポリエチレン樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0071】
[実施例2]
実施例1とは出所の異なる、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる使用済み飲料容器の回収物を原料としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、実施例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。また、この薄膜片を構成するポリエチレン樹脂と、それに付着しているセルロース繊維と、アルミニウムとの質量比(乾燥後)は、表1に示す通りであった。この濡れた状態の薄膜片の、セルロース繊維とポリチレン樹脂の合計量100質量部に対する付着水の量は100質量部であった。また、ポリエチレン樹脂中の低密度ポリエチレンの割合は99.5重量%であった。この濡れた状態の薄膜片を、溶融混練前の試料とした。
次に、上記溶融混練前の試料を、バッチ式閉鎖型混練装置(バッチ式高速撹拌装置)に投入し、混合溶融装置の撹拌羽根の先端の周速を40m/秒として高速攪拌して試料を溶融混練して各成分を均一化し、ポリエチレン樹脂組成物を得た。なお、混練の終了は、バッチ式閉鎖型混練装置に設置された温度計により測定される装置チャンバー内の材料温度が170℃に達した時点とした。
得られたポリエチレン樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0072】
[実施例3]
実施例1及び2とは出所の異なる、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる使用済み飲料容器の回収物を原料としたこと以外は上記実施例1と同様にして、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、実施例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。また、この薄膜片を構成するポリエチレン樹脂と、それに付着しているセルロース繊維と、アルミニウムとの質量比(乾燥後)は表1に示す通りであった。この濡れた状態の薄膜片の、セルロース繊維とポリチレン樹脂の合計量100質量部に対する付着水の量は100質量部であった。また、ポリエチレン樹脂中の低密度ポリエチレンの割合は99.5重量%であった。この濡れた状態の薄膜片を、溶融混練前の試料とした。
次に、上記溶融混練前の試料を、バッチ式混練装置であるニーダーに投入し、溶融混練して各成分を均一化し、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
得られたポリエチレン樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0073】
[実施例4]
実施例1〜3とは出所の異なる、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる使用済み飲料容器の回収物を原料としたこと以外は上記実施例1と同様にして、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、実施例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。また、この薄膜片を構成するポリエチレン樹脂と、それに付着しているセルロース繊維と、アルミニウムとの質量比(乾燥後)は表1に示す通りであった。この濡れた状態の薄膜片の、セルロース繊維とポリチレン樹脂の合計量100質量部に対する付着水の量は100質量部であった。また、ポリエチレン樹脂中の低密度ポリエチレンの割合は99.5重量%であった。この濡れた状態の薄膜片を、溶融混練前の試料とした。
次に、上記溶融混練前の試料を、バッチ式混練装置であるニーダーに投入し、溶融混練して各成分を均一化し、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
得られたポリエチレン樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0074】
[実施例5]
実施例1〜4とは出所の異なる、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる使用済み飲料容器の回収物を原料としたこと以外は上記実施例1と同様にして、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、実施例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。また、この薄膜片を構成するポリエチレン樹脂と、それに付着しているセルロース繊維と、アルミニウムとの質量比(乾燥後)は表1に示す通りであった。この濡れた状態の薄膜片の、セルロース繊維とポリチレン樹脂の合計量100質量部に対する付着水の量は100質量部であった。また、ポリエチレン樹脂中の低密度ポリエチレンの割合は99.5重量%であった。
このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、80℃に設定した乾燥機で48時間乾燥して水分を除去し、溶融混練前の試料とした。
次に、上記溶融混練前の試料を、バッチ式混練装置であるニーダーに投入し、溶融混練して各成分を均一化し、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
得られたポリエチレン樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0075】
[比較例1]
市販の低密度ポリエチレンのペレット(日本ポリエチレン製、ノバテックLF600A)をニーダーに投入し、溶融混練し、比較例1のポリエチレン樹脂を得た。
得られたポリエチレン樹脂の評価結果を表1に示す。
【0076】
[比較例2]
市販の低密度ポリエチレンのペレット(日本ポリエチレン製、ノバテックLF600A)とセルロース繊維として市販パルプ(レッテンマイヤー製、VITACEL L500、繊維長900μm)とを表1に示す配合比でニーダーに投入し、溶融混練して各成分を均一化し、比較例2のポリエチレン樹脂組成物を得た。
得られたポリエチレン樹脂組成物(アルミニウム不含)の評価結果を表1に示す。
【0077】
[比較例3]、[比較例4]
市販の低密度ポリエチレンのペレット(日本ポリエチレン製、ノバテックLF600A)とアルミ粉(東洋アルミニウム制、球状アルミ、粒径30μm)とを表1に示す配合比でニーダーに投入し、溶融混練して各成分を均一化し、比較例3のポリエチレン樹脂組成物を得た。
得られたポリエチレン樹脂組成物(セルロース繊維不含)の評価結果を表1に示す。
【0078】
【0079】
上記実施例1〜5において、ポリエチレン樹脂組成物中のポリエチレン樹脂、セルロース繊維、及びアルミニウムの含有量は、合計で95〜100質量%の範囲内にある。
実施例2と実施例4のポリエチレン樹脂組成物について、FT−IRにより赤外吸収スペクトルを測定したところ、1700/cm付近に吸収ピークがみられ、カルボニル基を有していることがわかった。
【0080】
上記表1の結果から、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料容器からパルパーによって紙部分を剥ぎ取り除去して得られたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下で溶融混練することにより得られた実施例1〜4のポリエチレン樹脂組成物は、ポリエチレン単体(比較例1)、アルミニウム不含のポリエチレン樹脂組成物(比較例2)、及びセルロース繊維不含のポリエチレン樹脂組成物(比較例3、4)に比べて剥離強度が高められていることがわかる。
また、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料容器からパルパーによって紙部分を剥ぎ取り除去して得られたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の非存在下で溶融混練することによっても、得られるポリエチレン樹脂組成物の剥離強度が高められることもわかった(実施例5)。しかし、実施例1〜4の水を添加して溶融混錬したものと比較すると剥離強度は低かった。この実施例5のポリエチレン樹脂組成物は、X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が2mm以上のアルミニウムの数の割合が1%以上と多く、セルロース繊維の紙状の大きな塊もみられセルロース繊維の分散性にも劣っていた。