特開2019-210407(P2019-210407A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-210407セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材、これを用いたペレット及び成形体、並びにこれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-210407(P2019-210407A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材、これを用いたペレット及び成形体、並びにこれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20191115BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20191115BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20191115BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20191115BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20191115BHJP
   B29B 7/16 20060101ALI20191115BHJP
   B29B 7/94 20060101ALI20191115BHJP
   B29B 7/84 20060101ALI20191115BHJP
   B29B 17/02 20060101ALI20191115BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   C08J5/04CES
   C08L23/06
   C08K3/08
   C08L1/00
   C08J3/20
   B29B7/16
   B29B7/94
   B29B7/84
   B29B17/02ZAB
   B09B3/00 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】49
【出願形態】OL
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2018-109012(P2018-109012)
(22)【出願日】2018年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】特許業務法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】原 英和
(72)【発明者】
【氏名】廣石 治郎
(72)【発明者】
【氏名】太附 雅巳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】澤田 由香
【テーマコード(参考)】
4D004
4F070
4F072
4F201
4F401
4J002
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004AA12
4D004AA16
4D004BA06
4D004CA03
4D004CA04
4D004CA15
4D004CA23
4D004CA39
4D004CB16
4D004CB21
4D004CC03
4D004DA01
4D004DA03
4D004DA06
4D004DA07
4D004DA10
4D004DA13
4D004DA20
4F070AA13
4F070AC06
4F070AC12
4F070AC72
4F070AE01
4F070AE28
4F070FB06
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4F070FC04
4F072AA02
4F072AB03
4F072AB14
4F072AD04
4F072AF03
4F072AG04
4F072AH04
4F072AH06
4F072AH23
4F072AJ04
4F072AK04
4F072AK15
4F072AK16
4F072AL01
4F201AA04
4F201AA50
4F201AB07
4F201AB16A
4F201AB19
4F201AB25
4F201AR09
4F201BA01
4F201BK01
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4F201BK36
4F201BK55
4F401AA09
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4F401AD03
4F401AD05
4F401BA06
4F401CA08
4F401CA14
4F401CA32
4F401CA48
4F401CA51
4F401CA59
4F401CB01
4F401CB18
4F401EA46
4F401FA01X
4F401FA02X
4F401FA03X
4F401FA03Z
4F401FA07Z
4F401FA20X
4J002AB012
4J002AB01X
4J002BB031
4J002BB03W
4J002BB121
4J002BB12W
4J002CF003
4J002CL003
4J002DE146
4J002FA042
4J002FA04X
4J002FD012
4J002FD01X
4J002GG01
4J002GG02
(57)【要約】
【課題】
樹脂製品の原料として有用なセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を提供する。
【解決手段】ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなり、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm以上2000μm以下であり、吸水率が次式を満たす、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材、この複合材を用いたペレット及び成形体、並びにこれらの製造方法。
[式] (吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなり、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm以上2000μm以下であり、吸水率が次式を満たす、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
[式] (吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
【請求項2】
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が5質量部以上50質量部未満である、請求項1に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項3】
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が25質量部以上50質量部未満である、請求項1に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項4】
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が25質量部以上50質量部未満であり、前記複合材を成形したときの成形体の引張強度が20MPa以上である、請求項1に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項5】
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が25質量部以上50質量部未満であり、前記複合材を成形したときの成形体の引張強度が25MPa以上である、請求項1に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項6】
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上15質量部未満であり、前記複合材を成形したときの成形体の曲げ強度が8〜20MPaである、請求項1に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項7】
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が15質量部以上50質量部未満であり、前記複合材を成形したときの成形体の曲げ強度が15〜40MPaである、請求項1に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項8】
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記アルミニウムの含有量が1質量部以上40質量部以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項9】
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記アルミニウムの含有量が5質量部以上30質量部以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項10】
前記ポリエチレン樹脂が、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で得られる分子量パターンにおいて1.7>半値幅(Log(MH/ML))>1.0の関係を満たす、請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項11】
繊維長1mm以上のセルロース繊維を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項12】
X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が1mm以上のアルミニウムの数の割合が1%未満である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項13】
前記ポリエチレン樹脂の50質量%以上が低密度ポリエチレンである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項14】
前記ポリエチレン樹脂の80質量%以上が低密度ポリエチレンである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項15】
前記複合材がポリプロピレンを含有し、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記ポリプロピレンの含有量が20質量部以下である、請求項1〜14のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項16】
前記複合材の、138℃の熱キシレン溶解質量比をGa(%)、105℃の熱キシレンへ溶解質量比をGb(%)、セルロース有効質量比をGc(%)としたとき、下記式を満たす、請求項1〜15いずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
{(Ga−Gb)/(Gb+Gc)}×100≦20
ここで、
Ga={(W0−Wa)/W0}×100
Gb={(W0−Wb)/W0}×100
W0:熱キシレンに浸漬する前の複合材の質量
Wa:138℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
Wb:105℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
Gc={Wc/W00}×100
Wc:窒素雰囲気中で270℃〜390℃に昇温する間の、乾燥複合材の質量減少量
W00:昇温前(23℃)の乾燥複合材の質量
である。
【請求項17】
前記複合材がポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンを含有し、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総含有量が10質量部以下である、請求項1〜16のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項18】
前記ポリエチレン樹脂及び/又は前記ポリプロピレンの少なくとも一部が再生材に由来する、請求項15に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項19】
前記複合材が、原料として少なくとも
(a)紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、及び/又は
(b)前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パック
を用いて得られる、請求項1〜18のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項20】
前記複合材が、原料として少なくともセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を用いて得られる、請求項1〜19のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項21】
前記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片が、
(a)紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、及び/又は
(b)前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パック
から紙部分を剥ぎ取り除去して得られたものである、請求項20に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項22】
前記複合材が無機質材を含有し、前記ポリエチレン樹脂100質量部に対し、前記無機質材の含有量が1質量部以上100質量部以下である、請求項1〜21のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項23】
温度230℃、荷重5kgfにおけるメルトフローレート(MFR)が、0.05〜50.0g/10minである、請求項1〜22のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項24】
前記複合材が、23℃の水に20日間浸漬した後の吸水率が0.1〜10%であり、かつ耐衝撃性が、23℃の水に20日間浸漬する前よりも浸漬した後の方が高い、請求項1〜23のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項25】
線膨張係数が1×10−4以下である、請求項1〜24のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項26】
前記線膨張係数が8×10−5以下である、請求項25に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項27】
含水率が1質量%未満である、請求項1〜26のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材からなるペレット。
【請求項29】
請求項1〜27のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を用いた成形体。
【請求項30】
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm以上2000μm以下であり、吸水率が次式を満たす、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法であって、
[式] (吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維、アルミニウムを水の存在下で溶融混錬し、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得ることを含む、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項31】
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm以上2000μm以下であり、吸水率が次式を満たす、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法であって、
[式] (吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
少なくともセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下で溶融混練し、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得ることを含み、
前記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片が、
(a)紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、及び/又は
(b)前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パック
から得られるものである、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項32】
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm以上2000μm以下であり、吸水率が次式を満たす、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法であって、
[式] (吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを、水中で撹拌することにより前記紙の一部が取り除かれたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得、該セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片と水とを、ポリエチレンが溶融しセルロース繊維が変質しない温度で溶融混練し、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得ることを含む、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項33】
前記溶融混練がバッチ式混練装置を用いて行われ、前記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片と、水とを該バッチ式混練装置に投入して、該装置の回転軸に突設された撹拌羽根を回転させて撹拌し、この撹拌により装置内の温度を高めて溶融混練を行う、請求項30〜32のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項34】
前記溶融混練を、前記撹拌羽根の先端の周速を20〜50m/秒として行う、請求項33に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項35】
前記複合材が、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中の前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対して前記アルミニウムの含有量が1質量部以上40質量部以下である、請求項30〜34のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項36】
水を含んだ状態の前記薄膜片を減容処理し、この減容処理物を溶融混練することにより、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得る、請求項30〜35のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項37】
水を含んだ状態の前記薄膜片を粉砕し、この粉砕物を溶融混練することにより、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得る、請求項30〜36のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項38】
前記溶融混練を、前記薄膜片100質量部に対して水を5質量部以上150質量部未満として行う、請求項30〜37のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項39】
前記溶融混練を、セルロース材を混合して行う、請求項30〜38のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項40】
前記セルロース材として、ペーパースラッジを用いる、請求項39に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項41】
前記セルロース材として、吸水した状態のセルロース材を用いる、請求項39又は40に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項42】
前記溶融混練を、低密度ポリエチレン及び/又は高密度ポリエチレンを混合して行う、請求項30〜41のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項43】
前記複合材を構成するポリエチレン樹脂の50質量%以上が低密度ポリエチレンである、請求項30〜42のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項44】
前記複合材を構成するポリエチレン樹脂の80質量%以上が低密度ポリエチレンである、請求項30〜43のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項45】
前記複合材中、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対するポリプロピレンの含有量が20質量部以下である、請求項30〜44のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項46】
前記複合材中、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対するポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総含有量が10質量部以下である、請求項30〜45のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項47】
前記複合材中、X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が1mm以上のアルミニウムの数が1%未満である、請求項30〜46のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
【請求項48】
請求項30〜47のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法を実施することを含む、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パックのリサイクル方法。
【請求項49】
請求項1〜27のいずれか1項に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材又は請求項28に記載のペレットと、少なくとも高密度ポリエチレン及び/又はポリプロピレンとを混合し、該混合物を成形して成形体を得ることを含む、成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維及びアルミニウムが分散してなるポリエチレン樹脂複合材、これを用いたペレット及び成形体、並びにこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳パックのような紙製飲料容器を構成しているラミネート加工紙の形態として、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有する積層体の形態が広く実用化されている。このラミネート加工紙は、例えば、ポリエチレン薄膜層/紙/ポリエチレン薄膜層/アルミニウム薄膜層/ポリエチレン薄膜層の層構成をとる。このようなラミネート加工紙をリサイクルするに当たっては、紙部分(パルプ)とそれ以外の部分(ポリエチレン薄膜、アルミニウム薄膜)とに分離処理する必要がある。
分離処理の方法は、パルパーと呼ばれる装置内でラミネート加工紙を長時間水中で撹拌することにより、ラミネート加工紙から紙部分を剥ぎ取る方法が一般的であり、こうして分離された紙部分は、再生紙の原料とされている。他方、紙部分がラミネート加工紙から、一部剥ぎ取られたポリエチレン薄膜片(このポリエチレン薄膜は、アルミニウム薄膜の貼りついたポリエチレン薄膜に除去しきれなかった紙成分(セルロース繊維)が不均一に付着してなる薄膜片と、アルミニウム薄膜の貼りついていないポリエチレン薄膜に除去しきれなかった紙成分が不均一に付着してなる薄膜片とを含む混合物(この混合物を「セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片」と称す。)である。)については、その再利用において次のような問題がある。
上記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、その表面に多数の紙成分(セルロース繊維からなる紙片)が不均一に付着した状態でしかも大きさや形状がまちまちであり、さらに、付着しているセルロース繊維は、上記パルパーによる紙の分離処理により多量に吸水している。このように水分を多量に含んだ状態のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を再利用しようとすれば、十分な乾燥処理が必要となり、多くのエネルギーを消費してしまう。また、原料の大きさや形状のばらつきが大きく、さらにアルミニウムを含むことなどから、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を一体として再利用すること自体が容易ではない。それゆえ、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は通常、そのまま埋め立てられて廃棄処分されたり、燃料として再利用されたりしているのが実情である。
【0003】
ラミネート加工紙の再利用に関連する技術、あるいはセルロースを含有する樹脂材料に関連する技術がいくつか報告されている。
特開2000−62746号公報(特許文献1)には、ラミネート加工紙からなる使用済み飲料容器を再利用して包装用トレイを製造するモウルド成形技術が開示されており、パルパーによってラミネート加工紙から分離されたセルロース繊維付着ポリエチレン薄膜片を、乾燥・粉砕した後に一次成形機によって板状に成形し、さらに加熱成形機を用いて、卵包装用トレイなどの所定の形状に二次成形としてモウルド成形する技術が記載されている。
【0004】
また、特許第4680000号公報(特許文献2)には、ラミネート加工紙からなる使用済み飲料容器の再利用技術として、ラミネート加工紙を、紙部分とポリエチレン薄膜部分に分離することなくそのまま小さく粉砕して、ポリプロピレンなどと共に二軸押出機で混練することによって紙含有樹脂組成物を製造し、さらにこれに流動性向上剤を加えて射出成形する方法が記載されている。
【0005】
また、特許第4950939号公報(特許文献3)には、使用済みのPPC用紙と、使用済みの飲料容器などのPET材等とを合わせて再利用する技術が開示されており、PPC用紙を細かく裁断して含水させた後、細かく裁断したPET材と共に、亜臨界状態の水の存在下で混練することで、射出成形用樹脂を作製する方法が記載されている。
この特許文献3の技術は、PPC用紙とPET材とを亜臨界状態の水の存在下で混練することで、PPC用紙のセルロース繊維と溶融したPET材とを、比較的に均一に混ざり易くするものである。
【0006】
また、樹脂中にセルロース繊維を均一に分散させると、樹脂単体よりも、曲げ強度が向上するなど、物性が改善することが知られている。例えば特開2011−93990号公報(特許文献4)には、非フィブリル化繊維状セルロースと熱可塑性樹脂とをバッチ式密閉型混練装置を用いて溶融混練することで、セルロース繊維を含有する強度の高い樹脂成形体を製造する技術が開示されている。
【0007】
特開2004−358423号公報(特許文献5)には、アルミニウムとプラスチックラミネート加工紙からなる使用済み飲料容器の再利用技術として、アルミニウムを、あるいはアルミニウムとプラスチックとを個々に、分離回収することができる技術が記載されている。より詳細には、アルミニウムと樹脂との複合材を超臨界水または亜臨界水と接触させることにより、アルミニウムをイオン化して超臨界水または亜臨界水中に溶解させた後、この溶解させた金属を超臨界水または亜臨界水から析出させ、回収する金属・樹脂複合材のリサイクル技術が記載されている。特許文献5には、分離回収処理時に、メタ水酸化アルミや水酸化アルミが生成することも記載されている。
【0008】
特開平6−65883号公報(特許文献6)には、紙繊維を有するプラスチック、又は紙繊維を有するプラスチック/金属複合材料から、パルパーを使用して紙繊維を分離する方法と装置が開示されている。
【0009】
欧州特許第2296858号明細書(特許文献7)と欧州特許第2463071号明細書(特許文献8)には、セルロース、プラスチック材、アルミニウムからなる多層ラミネート材に処理を施して、ポリエチレンとアルミウムを主体とする複合材としてリサイクルする方法が開示されている。より詳細には、特許文献7には、セルロース、プラスチック材、アルミニウムからなる多層ラミネート材をパルピングしたものを水槽に導入した後、遠心分離、粉砕、乾燥を施すことにより水分とセルロースを2%未満に低減し、さらに、圧密化、押出成形による造粒を施して複合材料を得る技術が開示されている。また特許文献8には、大部分のセルロースが取られた残りのテトラッパク廃材(LDPE、アルミニウム、セルロースを含む)に、粉砕と、水を使用しない熱風による洗浄処理を施してセルロースを約2%に低減し、さらに、細断、添加物の添加、顆粒化、射出/圧縮成形をしてプラスチック複合部材を得る技術が開示されている。
【0010】
特開平6−173182号公報(特許文献9)には、飲料包装カートンの再処理方法が開示され、また、熱可塑性樹脂、セルロース繊維及びアルミニウムを含む熱可塑性樹脂材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−62746号公報
【特許文献2】特許第4680000号公報
【特許文献3】特許第4950939号公報
【特許文献4】特開2011−93990号公報
【特許文献5】特開2004−358423号公報
【特許文献6】特開平6−65883号公報
【特許文献7】欧州特許第2296858号明細書
【特許文献8】欧州特許第2463071号明細書
【特許文献9】特開平6−173182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、溶融状態での混練行わずに、単にモウルド成形により包装用トレイを製造するものであり、後述するような水の存在下で溶融混練するものではない。そのため、特許文献1では、ポリエチレンを含んだ紙廃棄物を細かく粉砕してモウルド成形を行うが、溶融混練工程がないためセルロースの分布に偏りが生じる。さらにモウルド成形では、材料を再溶融せずに加熱融着するに過ぎず、薄膜片同士の融着部分は少なく、セルロース繊維の分散状態を均一化することができず、得られる成形体の融着部の強度が低いという問題がある。また、かかる成形体は、セルロース繊維の多くが樹脂から露出した状態であるため、吸水しやすく乾燥し難い特性を有し、その用途が限定されてしまう。
【0013】
また、特許文献2記載の技術では、ラミネート加工紙から紙部分を剥ぎぎ取らずに0.5mm〜2.5mmの微細な粒径に粉砕してポリプロピレンや変性ポリプロピレンを加え、二軸押出機で混練して紙含有樹脂組成物を得て、さらに、これに流動性向上剤を含有する混合物を加えて射出成形を行っている。すなわち特許文献2記載の技術は、ラミネート加工紙の古紙から得た水分を含むセルロース繊維付着ポリエチレン薄膜片を水の存在下で溶融混練するものではない。さらに、特許文献2には、針葉樹漂白化学パルプを含有する紙含有樹脂組成物が記載されている。しかし、この組成物に使用する樹脂はポリプロピレンないし変性ポリプロピレン樹脂でありポリエチレンではない。さらに、特許文献2記載の技術では、紙含有樹脂組成物に含まれるセルロースの量が相対的に多く、そのままでは混練時に良好な流動性が得られず、成形体を作製した場合に材料強度のばらつきや十分な強度が得らない部分が生じる問題がある。これを解決すべく特許文献2には、原料として別途にポリプロピレンや流動性向上剤を添加することが記載されているが、ポリエチレンを用いることは記載されていない。
【0014】
また、特許文献3はオフィスから排出される使用済み排出紙であるPPC用紙を含水させた後、脱水し、PET樹脂またはPP樹脂と混合して亜臨界もしくは超臨界処理を行って射出成形用樹脂を製造する製造方法に関する発明である。
特許文献3記載の発明は、単にPPC古紙とPET樹脂等の容器リサイクル樹脂を別々に準備して混合処理してリサイクルするものであり、紙製飲料容器をパルパー処理して紙成分を取り除いて得られる、水を多量に含み、大きさも形状もまちまちで、樹脂にセルロースが不均一に付着した状態の薄膜片をリサイクルするものではない。
特許文献3記載の技術においては、PPC用紙を構成する多数のセルロース繊維が複雑に絡み合っており、これを十分に解繊してバラバラの状態にすることは難しいため、PPC用紙を細かく裁断したものを用いている。
また、PPC用紙は、裁断面からの吸水が優位であるため、裁断面の表面積を増加させるためにPPC用紙を細かく裁断して含水、脱水処理を行なわないと、亜臨界もしくは超臨界処理によるセルロース繊維の解繊が十分に進行しない。この裁断を十分に行わない場合、製造した射出成形用樹脂の中に、解繊されていない紙片(セルロース繊維の集塊)が少なからず残存し、これが射出成形用樹脂の強度低下、吸水特性低下の原因になりうる問題がある。
【0015】
さらに、上記特許文献4記載の技術では、熱可塑性樹脂と繊維状セルロースを別々の材料としてバッチ式溶融混連装置の攪拌室に投入して、熱可塑性樹脂と繊維状セルロースを溶融混練するに当たり、繊維状セルロースは溶融せず熱可塑性樹脂は溶融させるものである。すなわち、特許文献4記載の技術では、用いる原料が、目的の樹脂組成物を得るのに適したいわば純品であり、上述のような水を多量に含み、大きさも形状もまちまちで、樹脂にセルロースが不均一に付着した状態の薄膜片をリサイクルするものではない。
また物性の異なる熱可塑性樹脂と繊維状セルロースを別々に投入して混ぜ合わせた場合、熱可塑性樹脂中に繊維状セルロースが十分均一な状態で分散し、一体化した樹脂組成物とすることは難しい。すなわち、繊維状セルロースの凝集体が生じやすく、樹脂成形体の強度低下を招く恐れがある。そのため、特許文献4には、アスペクト比が5〜500の繊維状のセルロースを用いることが記載されている。
【0016】
そして、上述した特許文献1〜4記載の技術は、ラミネート加工紙あるいはセルロースを含有する樹脂材料に関する技術であるが、アルミニウム層を含むラミネート加工紙を再利用することは記載されていないし、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材は記載されていない。
【0017】
また、特許文献5及び特許文献6記載の技術は上述の通り、アルミニウムや紙繊維の分離回収技術であり、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を一体としてそのまま再利用することは記載されていない。
【0018】
特許文献7及び特許文献8には、セルロース、プラスチック材、アルミニウムからなる多層ラミネート材に所定の処理を施して、セルロースを除去してポリエチレンとアルミニウムを主体とする複合材としてリサイクルする方法が開示されている。しかし、特許文献7及び特許文献8はいずれも、セルロース繊維を高度に分離除去して、2%以下のセルロース繊維を含む、ポリエチレンとアルミニウムとの複合材を得るものである。セルロース繊維を高度に分離、除去するため、その処理に手間とコストがかかるという問題がある。さらに、押出加工の前に実質的に材料を乾燥、裁断させる工程を含むため、この点からもコストと手間がかかるという問題がある。また、紙飲料容器の多層ラミネート材に使用されるポリエチレンの主体は低密度ポリエチレンであるため、セルロース繊維を十分に除去して得られる複合材は強度に劣るものとなる。したがって、この複合材は汎用性に乏しく、用途は限定的である。特許文献7及び特許文献8には、紙飲料容器の多層ラミネート材を溶融混練し、アルミニウムを含むセルロース繊維分散樹脂複合材を製造することは記載されていない。
【0019】
また特許文献9には、飲料包装カートン等を原料とし、熱可塑性樹脂、セルロース繊維及びアルミニウムを含む熱可塑性樹脂材料を得ることが記載されている。しかし、その調製においては細分化、離解、分離、凝集、再粒状化などの処理を要し、やはりコストと手間がかかる。特許文献9にはセルロース繊維の含有により特性が変わることも記載されているが、特性に関する具体的な記載は無い。
【0020】
このように、上記特許文献1〜9には、紙成分を含み吸水した状態にあるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、そのまま一体的に簡単な処理工程に付して、再利用する技術は記載されていない。
【0021】
本発明は、樹脂製品の原料として有用なセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材に関する。また、本発明は、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片の再利用技術に関する。すなわち本発明は、ポリエチレン樹脂中に、特定量のセルロース繊維と、アルミニウムとが十分均一な状態で分散してなり、セルロースを一定量含有しながらも吸水率の増大を抑制できる、樹脂製品の原料として有用なセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材、この複合材を用いたペレット及び成形体を提供することを課題とする。
また本発明は、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パックないし食品パックから得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、簡単な処理工程で一体的に処理し、樹脂製品の原料として有用な、所定のセルロース有効質量比に対して所定の吸水率を有するセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を製造する方法を提供することを課題とする。
また本発明は、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パックないし食品パックから得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、シンプルな処理工程で一体的に処理し、樹脂製品の原料として有用なセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材へとリサイクルする方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パックないし食品パックを水中で撹拌することにより紙部分を剥ぎ取り除去して得られる、上記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を原料として、この原料を、水の存在下で溶融混練することにより、水分を取り除きながら、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維と微細化されたアルミニウムとが十分均一に分散して一体化した複合材(セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材)を、優れたエネルギー効率で得ることができること、得られる複合材がセルロースを一定量含有するにもかかわらず、吸水率の増大を抑制でき、樹脂製品の原料として好適な物性を有することを見い出した。
すなわち、上述したように従来は、樹脂原料としての再利用の実用化には高いハードルがあった上記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下で溶融混練することにより、セルロース繊維とアルミニウムとポリエチレン樹脂とが一体化され、吸水率の増大を抑制でき、樹脂製品の原料として有用な複合材が得られることを見い出した。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
【0023】
すなわち上記課題は以下の手段により解決された。
〔1〕
ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなり、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm以上2000μm以下であり、吸水率が次式を満たす、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
[式] (吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
〔2〕
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が5質量部以上50質量部未満である、〔1〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔3〕
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が25質量部以上50質量部未満である、〔1〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔4〕
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が25質量部以上50質量部未満であり、前記複合材を成形したときの成形体の引張強度が20MPa以上である、〔1〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔5〕
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が25質量部以上50質量部未満であり、前記複合材を成形したときの成形体の引張強度が25MPa以上である、〔1〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔6〕
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上15質量部未満であり、前記複合材を成形したときの成形体の曲げ強度が8〜20MPaである、〔1〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔7〕
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が15質量部以上50質量部未満であり、前記複合材を成形したときの成形体の曲げ強度が15〜40MPaである、〔1〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔8〕
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記アルミニウムの含有量が1質量部以上40質量部以下である、〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔9〕
前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記アルミニウムの含有量が5質量部以上30質量部以下である、〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔10〕
前記ポリエチレン樹脂が、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で得られる分子量パターンにおいて1.7>半値幅(Log(MH/ML))>1.0の関係を満たす、〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔11〕
繊維長1mm以上のセルロース繊維を含有する、〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔12〕
X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が1mm以上のアルミニウムの数の割合が1%未満である、〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔13〕
前記ポリエチレン樹脂の50質量%以上が低密度ポリエチレンである、〔1〕〜〔12〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔14〕
前記ポリエチレン樹脂の80質量%以上が低密度ポリエチレンである、〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔15〕
前記複合材がポリプロピレンを含有し、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記ポリプロピレンの含有量が20質量部以下である、〔1〕〜〔14〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔16〕
前記複合材の、138℃の熱キシレン溶解質量比をGa(%)、105℃の熱キシレンへ溶解質量比をGb(%)、セルロース有効質量比をGc(%)としたとき、下記式を満たす、〔1〕〜〔15〕いずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
{(Ga−Gb)/(Gb+Gc)}×100≦20
ここで、
Ga={(W0−Wa)/W0}×100
Gb={(W0−Wb)/W0}×100
W0:熱キシレンに浸漬する前の複合材の質量
Wa:138℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
Wb:105℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
Gc={Wc/W00}×100
Wc:窒素雰囲気中で270℃〜390℃に昇温する間の、乾燥複合材の質量減少量
W00:昇温前(23℃)の乾燥複合材の質量
である。
〔17〕
前記複合材がポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンを含有し、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対し、前記ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総含有量が10質量部以下である、〔1〕〜〔16〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔18〕
前記ポリエチレン樹脂及び/又は前記ポリプロピレンの少なくとも一部が再生材に由来する、〔15〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔19〕
前記複合材が、原料として少なくとも
(a)紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、及び/又は
(b)前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パック
を用いて得られる、〔1〕〜〔18〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔20〕
前記複合材が、原料として少なくともセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を用いて得られる、〔1〕〜〔19〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔21〕
前記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片が、
(a)紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、及び/又は
(b)前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パック
から紙部分を剥ぎ取り除去して得られたものである、〔20〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔22〕
前記複合材が無機質材を含有し、前記ポリエチレン樹脂100質量部に対し、前記無機質材の含有量が1質量部以上100質量部以下である、〔1〕〜〔21〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔23〕
温度230℃、荷重5kgfにおけるメルトフローレート(MFR)が、0.05〜50.0g/10minである、〔1〕〜〔22〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔24〕
前記複合材が、23℃の水に20日間浸漬した後の吸水率が0.1〜10%であり、かつ耐衝撃性が、23℃の水に20日間浸漬する前よりも浸漬した後の方が高い、〔1〕〜〔23〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔25〕
線膨張係数が1×10−4以下である、〔1〕〜〔24〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔26〕
前記線膨張係数が8×10−5以下である、〔25〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔27〕
含水率が1質量%未満である、〔1〕〜〔26〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材。
〔28〕
〔1〕〜〔27〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材からなるペレット。
〔29〕
〔1〕〜〔27〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を用いた成形体。
〔30〕
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm以上2000μm以下であり、吸水率が次式を満たす、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法であって、
[式] (吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維、アルミニウムを水の存在下で溶融混錬し、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得ることを含む、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔31〕
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm以上2000μm以下であり、吸水率が次式を満たす、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法であって、
[式] (吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
少なくともセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下で溶融混練し、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得ることを含み、
前記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片が、
(a)紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、及び/又は
(b)前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パック
から得られるものである、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔32〕
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm以上2000μm以下であり、吸水率が次式を満たす、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法であって、
[式] (吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを、水中で撹拌することにより前記紙の一部が取り除かれたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得、該セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片と水とを、ポリエチレンが溶融しセルロース繊維が変質しない温度で溶融混練し、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得ることを含む、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔33〕
前記溶融混練がバッチ式混練装置を用いて行われ、前記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片と、水とを該バッチ式混練装置に投入して、該装置の回転軸に突設された撹拌羽根を回転させて撹拌し、この撹拌により装置内の温度を高めて溶融混練を行う、〔30〕〜〔32〕のいずれかに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔34〕
前記溶融混練を、前記撹拌羽根の先端の周速を20〜50m/秒として行う、〔33〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔35〕
前記複合材が、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中の前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下であり、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対して前記アルミニウムの含有量が1質量部以上40質量部以下である、〔30〕〜〔34〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔36〕
水を含んだ状態の前記薄膜片を減容処理し、この減容処理物を溶融混練することにより、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得る、〔30〕〜〔35〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔37〕
水を含んだ状態の前記薄膜片を粉砕し、この粉砕物を溶融混練することにより、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得る、〔30〕〜〔36〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔38〕
前記溶融混練を、前記薄膜片100質量部に対して水を5質量部以上150質量部未満として行う、〔30〕〜〔37〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔39〕
前記溶融混練を、セルロース材を混合して行う、〔30〕〜〔38〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔40〕
前記セルロース材として、ペーパースラッジを用いる、〔39〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔41〕
前記セルロース材として、吸水した状態のセルロース材を用いる、〔39〕又は〔40〕に記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔42〕
前記溶融混練を、低密度ポリエチレン及び/又は高密度ポリエチレンを混合して行う、〔30〕〜〔41〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔43〕
前記複合材を構成するポリエチレン樹脂の50質量%以上が低密度ポリエチレンである、〔30〕〜〔42〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔44〕
前記複合材を構成するポリエチレン樹脂の80質量%以上が低密度ポリエチレンである、〔30〕〜〔43〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔45〕
前記複合材中、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対するポリプロピレンの含有量が20質量部以下である、〔30〕〜〔44〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔46〕
前記複合材中、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部に対するポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総含有量が10質量部以下である、〔30〕〜〔45〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔47〕
前記複合材中、X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムの数に占めるX−Y最大長が1mm以上のアルミニウムの数が1%未満である、〔30〕〜〔46〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法。
〔48〕
〔30〕〜〔47〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法を実施することを含む、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パックのリサイクル方法。
〔49〕
〔1〕〜〔27〕のいずれか1つに記載のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材又は〔28〕に記載のペレットと、少なくとも高密度ポリエチレン及び/又はポリプロピレンとを混合し、該混合物を成形して成形体を得ることを含む、成形体の製造方法。
【0024】
本発明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0025】
本発明において、「ポリエチレン」という場合、低密度ポリエチレン及び/又は高密度ポリエチレン(HDPE)を意味する。上記低密度ポリエチレンは、密度が880kg/m3以上940kg/m未満のポリエチレンを意味する。上記高密度ポリエチレンは、上記低密度ポリエチレンの密度より密度が大きいポリエチレンを意味する。低密度ポリエチレンは、長鎖分岐を有する、いわゆる「低密度ポリエチレン」及び「超低密度ポリエチレン」といわれるものでもよく、エチレンと少量のα−オレフィンモノマーを共重合させた直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)でもよく、さらには上記密度範囲に包含される「エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー」であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材、ペレット及び成形体は、吸水率の増大を抑制でき、かつ機械強度にも優れ樹脂製品の原料として有用である。
本発明のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法によれば、吸水率の増大を抑制でき、かつ機械強度にも優れた樹脂製品の原料として有用な、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなる複合材を効率的に得ることができる。
また、本発明のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法によれば、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙あるいはこのポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パックないし食品パックから得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片をそのまま原料として用いて、樹脂製品の原料として有用な、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなる複合材を効率的に得ることができる。
本発明のリサイクル方法によれば、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙あるいはこのポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パックないし食品パックを、樹脂製品の原料として有用な、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなる複合材へと効率的にリサイクルすることができる。すなわち、従来は技術上もコストの上でも樹脂原料としての再利用には困難性のあったセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片をそのまま、簡単な処理工程に付すだけで、有効利用することができ、廃棄物を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】分子量分布の半値幅の一例を示す図面である。図1中の矢印で示された幅が半値幅である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0029】
[セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材]
本発明のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材(以下、単に「本発明の複合材」とも称す。)は、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを分散してなり、前記ポリエチレン樹脂と前記セルロース繊維の総含有量100質量部中、前記セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下である。
本発明の複合材は、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムが十分均一な状態で分散しており、押出成形及び射出成形などへの適応性が高いものである。
【0030】
本発明の複合材は、吸水率が次式を満たす。吸水率が高すぎると吸水時の曲げ強度等の機械特性が低下する。後述するセルロース有効質量比が5〜40%の範囲であれば、より好ましい。なお、「吸水率」(単位:%)は、複合材を用いて成形した、縦100mm、横100mm、厚さ1mmの成形体を、23℃の水に20日間浸漬した際の吸水率を意味し、後述する方法で測定される。
[式] (吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
ここで、セルロース有効質量比(単位:%)は、事前に大気雰囲気にて80℃×1時間の乾燥を行って乾燥状態にしたセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の試料を、窒素雰囲気下において+10℃/minの昇温速度で、23℃から400℃まで熱重量分析(TGA)を行い、次式により算出することができる。
(セルロース有効質量比[%])=
(270〜390℃の質量減少[mg])×100/(熱重量分析に付す前の乾燥状態の樹脂複合材試料の質量[mg])
なお、セルロース有効質量比は、複合材中の質量百分率で示されるセルロース含有量に相応するものでもある。
吸水率は、事前に含水率0.5質量%以下になるまで、80℃の温風乾燥機で乾燥し
た複合材を、プレスで100mm×100mm×1mmのシート状に成形して成形体を得、この成形体を23℃の水に20日間浸漬し、浸漬前後の重量の測定値に基づいて、下記〔式A〕により吸水率を算出する。
〔式A〕(吸水率[%])
=(浸漬後質量[g]−浸漬前質量[g])×100/(浸漬前質量[g])
【0031】
本発明の複合材は、吸水性の高いセルロース繊維を含有するにもかかわらず、この複合材は吸水率の増大が所定のレベルに抑えられている。この理由は定かではないが、セルロース繊維がポリエチレン樹脂中に均一に分散してなる形態により、セルロース繊維とポリエチレン樹脂がいわば一体化した状態となってセルロース繊維の吸水性がポリエチレン樹脂により効果的にマスクされ、さらにポリエチレン樹脂中に微細化されて均一分散したアルミニウムの撥水作用等が相俟って吸水性が抑制されるものと推定される。また、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムとを均一分散させるためには、後述するように水の存在下で溶融混練することが必要である。この溶融混練においてポリエチレン樹脂の一部が低分子化し、その表面に親水基が生成し、この親水基がセルロース繊維表面の親水性基と結合し、結果的に表面の親水性基が減少すること、あるいは溶融混練における熱水ないし亜臨界状態の水の作用でセルロースが分解し、親水性基が減少することなども吸水性抑制の一因と考えられる。
【0032】
本発明の複合材は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合を70質量部以下とする。この割合が70質量部を超えると、溶融混練によりセルロース繊維が均一に分散した複合材が得られにくくなり、得られる複合材の吸水性が大きく上昇する傾向がある。吸水性をより抑え、また後述する耐衝撃性をさらに高める観点から、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合は、好ましくは50質量部未満である。
【0033】
本発明において、複合材中のセルロース繊維の含有量は前述のセルロース有効質量比に対応し、複合材中のポリエチレンの含有量は後述する測定によるものに対応する。即ち、百分率で示されるセルロース有効質量比(%)と後述による百分率で示されるポリエチレンの含有量(%、ポリエチレンの質量比(%))とより、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合A(質量部)とポリエチレンの割合B(質量部)は次のように示される。

ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合A(質量部)={セルロース有効質量比(%)/(セルロース有効質量比(%)+ポリエチレンの含有量(%))}×100(質量部)

ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるポリエチレンの割合B(質量部)={ポリエチレンの含有量(%)/(セルロース有効質量比(%)+ポリエチレンの含有量(%))}×100(質量部)

逆に、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合A(質量部)、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるポリエチレンの割合B(質量部)、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量を100質量部としたきの複合材の総含有物量C(質量部)より、セルロース有効質量比(%)、ポリエチレンの含有量(%)は、次の通りに示される。

セルロース有効質量比(%)={ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合A(質量部)/ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量を100質量部としたきの複合材の総含有物量(複合材に含まれる成分の全量)C(質量部)}×100

ポリエチレンの含有量(%)={ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるポリエチレンの割合B(質量部)/ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量を100質量部としたきの複合材の総含有物量C(質量部)}×100

ここで、複合材がポリエチレン樹脂、セルロース繊維、及びアルミニウムにより構成される場合、複合材の総含有物量C(質量部)は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に、アルミニウム含有量(質量部)を加えたものである。この場合、複合材中のアルミニウム含有量(%)は、次により示される。
アルミニウムの含有量(%)=100−{(セルロース有効質量比(%)+ポリエチレンの含有量(%)}
また、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対するアルミニウムの量(質量部)は次により示される。
アルミニウムの量(質量部)=〔アルミニウムの含有量(%)/{(セルロース有効質量比(%)+ポリエチレンの含有量(%)}〕×100
【0034】
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合は、1質量部以上である。この割合を1質量部以上とすることにより、後述する曲げ強度をより向上させることができる。この観点からは、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中に占めるセルロース繊維の割合は5質量部以上が好ましく、15質量部以上であることがより好ましい。また引張強度をより向上させる点も考慮すれば、当該割合は25質量部以上であることが好ましい。
本発明の複合材において、セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は300μm以上2000μm以下である。セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm未満であると、引張強度や曲げ強度等の機械強度の高い複合材とならない。また、セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が300μm未満であると吸水特性が安定せず、目的の吸水率の実現が難しくなる。これらの点から、セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は好ましくは400μm以上、より好ましくは450μm以上、さらに好ましくは500μm以上である。セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が2000μmを超えると複合材の溶融時の流動性が低下し成形性におとるおそれがある。また、セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が2000μmを超えるとセルロース繊維がからみやすくなり、セルロース繊維長の割に複合材の機械強度がでなくなるおそれがある。また、セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が2000μmを超えるものとするには、元の長さが長いセルロース材を使用する必要が生じる。さらに溶融混錬して複合材を得る際に、繊維長は低下する傾向があるので、溶融混錬による繊維長の低下をおさえて十分均一な複合材を得る必要があり、複合材中のセルロース繊維の長さ加重平均繊維長を2000μm以上のものとするのは現実的ではない。この点と複合材の流動性の点、繊維のからみからの点から好ましくは1500μm以下、複合材の流動性の点、繊維のからみからの点からさらに好ましくは1000μm以下である。
セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は、セルロース繊維分散ポリエチレン樹脂複合材の熱キシレン溶解残さ(不溶分)についてISO 16065(JIS P8226)で規定されたパルプ−光学的自動分析法による繊維長測定方法により測定することができる。
なお、本発明において、複合材の吸水率を本発明の規定まで抑制するには、上記のセルロース繊維の長さ加重平均繊維長に加え、後述するアルミニウム長の制御(アルミニウムの分散性向上)も影響する。
【0035】
本発明の複合材は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、アルミニウム(以下、アルミニウム分散質ともいう。)の含有量が1質量部以上40質量部以下であることが好ましい。アルミニウムの含有量をこの範囲内とすることにより、複合材の加工性をより高めることができ、また、複合材の加工時にアルミニウムの塊まりがより生じにくくなる。ポリエチレンラミネート加工紙のアルミニウム薄膜層は溶融混練時に、アルミニウムが溶融することはないが混練時の剪断力により、徐々に剪断され微細化させる。
上記加工性の観点に加え、熱伝導性、難燃性等をも考慮した場合、本発明の複合材は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、アルミニウムの含有量が好ましくは5質量部以上30質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以上10質量部以下である。
【0036】
本発明の複合材は、X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウムを含むことが好ましい。X−Y最大長が0.005mm以上のアルミニウム(組成物中に分散しているアルミニウムを意味する。「アルミニウム分散質」、「分散アルミニウム」とも称す。)の数に占めるX−Y最大長が1mm以上のアルミニウムの数の割合が1%未満であることが好ましい。この割合を1%未満とすることにより、吸水率を効果的に抑えることができる。また、複合材の加工性をより高めることができ、また、複合材の加工時にアルミニウムの塊まりがより生じにくくなる。
X−Y最大長は、複合材の表面を観察して決定されるものである。この観察面において、個々のアルミニウム分散質(組成物中に分散しているアルミニウムを意味する。分散アルミニウムとも称す。)に対し、特定方向(X軸方向)に直線を引き、当該直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離(X軸最大長)を測定し、また、当該特定方向に対して垂直方向(Y軸方向)に直線を引き、この直線とアルミニウム分散質の外周とが交わる2つの交点間を結ぶ距離が最大となる当該距離(Y軸最大長)を測定し、X軸最大長とY軸最大長のうち長い方の長さをX−Y最大長とする。X−Y最大長は、後述する実施例に記載されるように画像解析ソフトを用いて決定することができる。
【0037】
本発明の複合材中に分散しているアルミニウム分散質は、個々のアルミニウム分散質のX−Y最大長の平均が0.02〜0.2mmであることが好ましく、0.04〜0.1mmであることがより好ましい。X−Y最大長の平均は、後述するように、画像解析ソフトを用いて測定されるX−Y最大長の平均とする。
【0038】
本発明の複合材に含まれるセルロース繊維は、繊維長1mm以上のものを含むことが好ましい。繊維長1mm以上のセルロース繊維を含むことにより、引張強度、曲強度等の機械強度をより向上させることができる。
すなわち、長さ加重平均繊維長を、所定範囲とし、さらに繊維長1mm以上のものを含むことにより、引張強度、曲強度等の機械強度をより向上させることができる。ここで長さ加重平均繊維長は、分布の平均繊維長であるが、繊維長1mm以上ものを含むものとは、後述の方法によるものである。
本発明の複合材は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が25質量部以上50質量部未満であり、引張強度が20MPa以上であることが好ましい。本発明の複合材はポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が25質量部以上50質量部未満であり、引張強度が25MPa以上であることがより好ましい。特に複合材を構成するポリエチレン樹脂が後述するように低密度ポリエチレンを主成分とし、あるいは、低密度ポリエチレンを80質量%以上含むものであっても、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が25質量部以上50質量部未満であり、引張強度が20MPa以上(さらに好ましくは25MPa以上)であることが好ましい。複合材を構成するポリエチレン樹脂が低密度ポリエチレンを主成分とし、あるいは低密度ポリエチレンを80質量%以上含むものであっても、上記の所望の引張強度を示す複合材を、後述する本発明の製造方法により得ることができる。
【0039】
本発明の複合材は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が1質量部以上15質量部未満であり、曲げ強度が8〜20MPaであることが好ましい。また本発明の複合材は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が5質量部以上15質量部未満であり、曲げ強度が10〜20MPaであってもよい。また本発明の複合材は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が15質量部以上50質量部未満であり、曲げ強度が15〜40MPaとすることもできる。
上記の曲げ強度は、複合材を特定形状に成形して測定される。より詳細には、後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0040】
本発明の複合材は、含水率が1質量%未満であることが好ましい。後述するように本発明の複合材は、水の存在下、樹脂を含む原料を溶融混練することにより製造することができる。この方法は、溶融混練しながら、水を蒸気として効率的に除去することができ、得られる複合材の含水率を1質量%未満にまで低減することができる。したがって、水分の除去と溶融混練とを別のプロセスで行う場合に比べて、水分除去にかかるエネルギー使用量(消費電力等)を大幅に抑えることができる。
【0041】
本発明の複合材は、23℃の水に20日間浸漬した後の吸水率が0.1〜10%であることが好ましい。本発明のポリエチレン樹脂複合材は、上述の通り吸水率の増大を抑制できるものであり、また、少量の水が吸水された場合においては、曲げ強度を大きく低下させずに、耐衝撃性が高まる物性であることが好ましい。このような物性を有することにより、本発明の複合材を用いた成形体を、屋外での使用にも好適に用いることができる。
複合材の吸水性及び耐衝撃性は、複合材を特定形状に成形して測定される。より詳細には、後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0042】
本発明の複合材を構成するポリエチレン樹脂は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で得られる分子量パターンにおいて1.7>半値幅(Log(MH/ML))>1.0の関係を満たすことが好ましい。この関係を満たすことにより、複合材の流動性、射出成形性をより向上させることができ、また耐衝撃性をより高めることができる。本発明の複合材を構成するポリエチレン樹脂は、より好ましくは、1.7>半値幅(Log(MH/ML))>1.2の関係を満たす。また、ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、100000〜300000が好ましい。100000未満では衝撃特性に劣る、300000を超えると流動性に劣る傾向がある。
本発明の複合材は、複合材を構成するポリエチレン樹脂が、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー測定で得られる分子量パターンにおいて、最大ピーク値を示す分子量が10000〜1000000の範囲にあり、かつ、重量平均分子量Mwが100000〜300000の範囲にあることが好ましい。最大ピーク値を示す分子量を10000以上とし、また、重量平均分子量を100000以上とすることにより、衝撃特性がより高められる傾向にある。また、最大ピーク値を示す分子量を1000000以下とし、また、重量平均分子量を300000以下とすることにより、流動性がより高められる傾向にある。
このようなポリエチレン樹脂の分子量パターンは、後述するように、本発明の複合材を、水の存在下、樹脂を含む原料を溶融混練することにより実現することができる。すなわち、水の存在下、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維とアルミニウムとを共存させて高速溶融混練することにより実現することができる。
上記の分子量パターンの半値幅は、GPCにおける分子量パターンのうち、最大ピークのピークトップ(最大頻度)周辺におけるスペクトルの広がり(分子量分布の度合い)を示す。スペクトル中の強度がピークトップ(最大頻度)の半分となっているところ(それぞれ高分子量側の分子量をMH、低分子量側の分子量をMLとする)でのGPCスペクトル線の幅を半値幅とする。
【0043】
本発明の複合材は、温度230℃、荷重5kgfにおけるメルトフローレート(MFR)が、0.05〜50.0g/10minであることが好ましい。MFRを上記好ましい範囲内とすることにより、より良好な成形性を実現することができ、得られる成形体の耐衝撃性もより高めることができる。
【0044】
本発明の複合材を溶融させて任意の形状及び大きさに固化させ、あるいは裁断することで、ペレットとすることができる。例えば、本発明の複合材の粉砕物を、二軸押出機にてストランド状に押出し冷却固化後に裁断することによりペレットを得ることができる。あるいは、本発明の複合材の粉砕物を、ホットカットを備えた二軸押出機にて押出しカットすることによりペレットを得ることができる。これらのペレットの大きさ、形状に特に制限はなく、目的に応じて適宜選定できるが、例えば、数mmの直径を有する略円柱状あるいは円盤状の粒体などに仕上げることができる。
【0045】
本発明の複合材を構成するポリエチレン樹脂は、低密度ポリエチレンが主成分であることが好ましく、より好ましくは本発明の複合材を構成するポリエチレン樹脂の50質量%以上が低密度ポリエチレンであり、さらに好ましくは本発明の複合材を構成するポリエチレン樹脂の80質量%以上が低密度ポリエチレンである。
【0046】
本発明の複合材は、ポリエチレン樹脂以外の樹脂成分を含有してもよい。例えば、ポリプロピレンを含有してもよい。この場合、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、ポリプロピレンの含有量が20質量部以下であることが好ましい。
また、本発明の複合材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンを含有してもよい。この場合、ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンを含有し、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総含有量が10質量部以下であることが好ましい。ここで、「ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンの総含有量」とは、ポリエチレンテレフタレート及びナイロンのうち1種を含有する場合は、当該1種の含有量を意味し、ポリエチレンテレフタレート及びナイロンの両方を含有する場合はポリエチレンテレフタレート及びナイロンの総含有量を意味する。
【0047】
複合材中に混入しうる樹脂の種類が分かっていれば、ポリエチレン樹脂以外の樹脂の量は、複合材の熱キシレン溶解質量比に基づき決定することができる。
【0048】
−熱キシレン溶解質量比−
本発明において、熱キシレン溶解質量比は次のように決定される。
自動車電線用規格JASOD618の架橋度測定に準拠し、複合材の成形シートから0.1〜1gを切だし試料とし、この試料を400メッシュのステンレスメッシュで包み、所定温度のキシレン100mlに24時間浸漬する。次いで試料を引き上げ、その後試料を80℃の真空中で24時間乾燥させる。試験前後の試料の質量から、次式より熱キシレン溶解質量比G(%)が算出される。
G={(W0−W)/W0}×100
W0:熱キシレン中に浸漬する前の複合材の質量
W:熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
【0049】
例えば、「ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、ポリプロピレンの含有量が20質量部以下である」とは、複合材の、138℃の熱キシレン溶解質量比をGa(%)、105℃の熱キシレンへ溶解質量比をGb(%)、セルロース有効質量比をGc(%)としたとき、Ga−Gbがポリプロピレンの質量比(%)に、Gbがポリエチレンの質量比(%)に相応する。したがって、本発明の複合材は下記式を満たすことも好ましい。
{(Ga−Gb)/(Gb+Gc)}×100≦20
ここで、
Ga={(W0−Wa)/W0}×100
Gb={(W0−Wb)/W0}×100
W0:熱キシレンに浸漬する前の複合材の質量
Wa:138℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
Wb:105℃の熱キシレンに浸漬後、キシレンを乾燥除去した後の複合材の質量
Gc={Wc/W00}×100
Wc:窒素雰囲気中で270℃〜390℃に昇温する間の、乾燥複合材の質量減少量
W00:上記昇温前(23℃)の乾燥複合材の質量
である。
【0050】
本発明の複合材を構成する上記のポリエチレン樹脂及び/又は前記ポリプロピレンは、少なくとも一部が再生材に由来することが好ましい。この再生材としては、例えば、上記のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片、紙とポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、紙とポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パック、紙とポリエチレン薄膜層及を有するポリエチレンラミネート加工紙、紙とポリエチレン薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パック等が挙げられる。
【0051】
本発明の組成物の調製のための原料は特に制限されない。例えば、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、及び/又は紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを原料として好適に用いることができる。なお、「原料として用いる」とは、当該原料を一定の処理(例えば水中における撹拌処理)に付した後のものを、本発明の組成物の原料として用いることを含む意味である。
本発明の組成物は、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを原料の全てとして用いてもよいし、原料の一部として用いてもよい。ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを、乾燥重量として、原料の30重量%以上として用いることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上として用いる。
原料とするポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックは、使用前のものであっても、使用済みの回収物であっても、あるいはポリエチレンラミネート加工紙又はポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックの製造工程で排出されるポリエチレンラミネート紙の損紙であてもよく、これらの併用であってもよい。
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙、及び/又は紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するラミネート加工紙からなる飲料・食品パックを原料として用いることにより、アルミニウム等の金属との接着性に優れるポリエチレン樹脂組成物を、原料コストを抑えて得ることができる点で好ましい。また、これらの原料を用いて、後述する本発明の製造方法を適用して本発明の組成物を得ることにより、アルミニウム等の金属との接着性において、より優れたポリエチレン樹脂組成物を安定して得ることができる。
【0052】
なかでも本発明の組成物は、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙及び/又は前記ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックから紙の一部が取り除かれたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を原料として用いることが望ましい。
本発明の組成物は、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を原料の全てとして用いてもよいし、原料の一部として用いてもよい。セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、乾燥重量として、原料の30重量%以上として用いることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上として用いる。
本発明の組成物は、上記セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下、後述する溶融混練処理に付して得られるものであることが好ましい。
【0053】
すなわち、本発明の組成物の好ましい一実施形態は、原料として少なくとも
(a)紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙
を用いて得られるポリエチレン樹脂組成物である。このポリエチレンラミネート加工紙は、当該ポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料・食品パックであることも好ましい。
原料中に占める上記(a)に該当する原料の割合は、30質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、当該割合を80質量%以上としてもよく、90質量%以上とすることも好ましく、原料のすべてを上記(a)とすることもできる。
また、当該ポリエチレン樹脂組成物は、原料として少なくともセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を用いて得られるものであることも好ましい。原料中に占める上記(a)に該当する原料の割合は、乾燥質量基準で、30質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、当該割合を80質量%以上としてもよく、90質量%以上とすることも好ましく、原料のすべてをセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片とすることもできる。
【0054】
本発明の複合材は、無機質材を含有してもよい。無機質材を含有することにより曲げ弾性、難燃性が向上し得る。曲げ弾性と衝撃特性の観点から、ポリエチレン樹脂100質量部に対する無機質材の好ましい含有量は1〜100質量部である。難燃性を考慮し、また衝撃特性をさらに考慮すると、ポリエチレン樹脂100質量部に対する無機質材の含有量は好ましくは5〜40質量部である。
無機質材としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等があげられる。なかでも炭酸カルシウムが好ましい。無機質材は、後述するセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片にペーパースラッジ、古紙、ラミネート紙廃材等を加えて水の存在下で混練して複合材を得る場合に、これらのペーパースラッジ、古紙、ラミネート紙廃材に元々含有される填料材等を由来としてもよい。
【0055】
本発明の複合材は、目的に応じて、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、耐候剤、相溶化剤、衝撃改良剤、改質剤等を含んでもよい。
難燃剤としては、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、上述したような金属水酸化物等があげられる。難燃性向上のためにエチレン酢酸ビニル共重合体、エチルアクリレート共重合体等のエチレン系共重合体等の樹脂を含んでもよい。
【0056】
リン系難燃剤としては、分子中にリン原子を有する化合物があげられ、例えば、赤燐、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどのリン酸化物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化合物、モノアンモニウムホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、アンモニウムポリホスフェートなどのリン酸アンモニウム塩、メラミンモノホスフェート、メラミンジホスフェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸メラミン塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸金属塩、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどの芳香族系リン酸エステル類が挙げられる。
【0057】
ハロゲン系の難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素化ビスフェノール類及びその誘導体、臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、臭素系芳香族化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環状化合物、ヘキサブロモフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどの臭素系難燃剤が挙げられる。
【0058】
金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等があげられる。また、これら金属水酸化物に表面処理を施したものを用いることもできる。
【0059】
酸化防止剤、安定剤、耐候剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’−チオビス(3−メチルー6−t−ブチルフェノール)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4(2,2,6,6テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系化合物等があげられる。酸化防止剤、安定剤、又は耐候剤の含有量は、複合材100質量部に対してそれぞれ0.001〜0.3質量部であることが好ましく、酸化防止剤、安定剤、又は耐候剤の種類と、複合材の用途により適宜調整される。
【0060】
相溶化剤、衝撃改良剤、改質剤としては、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー等のスチレン系エラストマー、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン等があげられる。引張強度や曲げ強度を高める観点からはマレイン酸変性ポリエチレンを好適に用いることができる。
【0061】
本発明の複合材は、加工性向上のため、オイル成分や各種の添加剤を含むことができる。パラフィン、変性ポリエチレンワックス、ステアリン酸塩、ヒドロキシステアリン酸塩、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ化ビニリデン系共重合体、有機変性シロキサン等があげられる。
【0062】
本発明の複合材は、カーボンブラック、各種の顔料、染料を含有することができる。本発明の複合材は、金属光沢系の着色材を含有することもでき、この場合、本発明の複合材に含まれるアルミニウムは、金属光沢系着色材による金属光沢をより高める方向に作用し得る。
【0063】
本発明の複合材は、導電性カーボンブラック等の、アルミニウム以外の導電性付与成分を含むことができる。この場合、本発明の複合材に含まれるアルミニウムは、導電性付与成分による導電性をより高める方向に作用し得る。
本発明の複合材は、アルミニウム以外の熱伝導性付与成分を含むことができる。この場合、本発明の複合材に含まれるアルミニウムは、熱伝導性付与成分による熱伝導性をより高める方向に作用し得る。
本発明の複合材は、発泡体であってもよい。即ち、本発明の複合材は、発泡剤の作用により発泡させた状態であってもよい。発泡剤としては有機または無機の化学発泡剤が挙げられ、具体例としては、アゾジカルボンアミドが挙げられる。
本発明の複合材は、架橋されていてもよい。架橋剤としては、有機過酸化物等が挙げられ、具体例としてジクミルパーオキサイドが挙げられる。本発明の複合材はシラン架橋法により架橋された形態であってもよい。
【0064】
本発明の複合材を用いて本発明の成形体を得ることができる。本発明の成形体は、ポリエチレン樹脂中にセルロース繊維とアルミニウムが均一な状態で分散しているため、均質性が高く、形状安定性に優れると共に、曲げ強度や耐衝撃性などに優れており、多目的な利用が可能なものである。
本発明の成形体は、ペレット状として、あるいは成形材料として用いることもできる。
【0065】
本発明の複合材又はペレットは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂と混合し、この混合物を成形することにより成形体とすることができる。この成形体は、例えば、本発明の複合材又はペレットと、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂とを溶融混練した後、射出成形、押出成形等の公知の成形法により得ることができる。こうして得られる成形体は、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械特性に優れた形態となり得る。また、この成形体は線膨張係数が抑制されたり、高熱伝導性が高められたりして熱特性にも優れた形態となり得る。さらにこの成形体は、水吸収性が抑えられ、耐水特性に優れた形態となり得る。
換言すれば、本発明の複合材又はペレットは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂に対して、セルロース繊維とアルミニウムを含む改質マスターバッチとして使用することができる。この改質マスターバッチとして使用する場合、本発明の複合材又はペレットにおけるセルロース繊維の含有量は、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が25質量部以上であることが好ましい、さらに好ましくは35質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上である。
【0066】
続いて本発明の複合材の製造方法について、好ましい実施形態を以下に説明するが、本発明の複合材は、下記方法により得られたものに限定されるものではない。なお、下記で説明する、本発明の複合材の製造方法の好ましい実施形態を、「本発明の製造方法」とも称す。
【0067】
[複合材の製造方法]
本発明の製造方法では、原料として、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙から得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を用いる。このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パックから得られるものであることが好ましい。
【0068】
<セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片>
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙(好ましくは、このポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パック)は、一般に、紙部分の材質として丈夫で見た目の美しい高品質のパルプが使用されており、このようなパルプは主にセルロース繊維によって構成されている。そして、かかる紙部分の表面には、ポリエチレン押出ラミネート加工によってポリエチレン薄膜が貼着されており、紙部分への飲料の浸透を防ぐようにされている。さらに、アルミニウム薄膜層を有することで、ガスバリア性が向上され、飲料ないし食品の長期保存や香り保持に資するものとなっている。
【0069】
このような飲料パック及び/又は食品パック等のポリエチレンラミネート加工紙をリサイクルするには、一般に、パルパーに投入して水中で撹拌することによって、ラミネート加工紙から紙部分を剥ぎ取り除去し、ポリエチレン薄膜部分(アルミニウム薄膜が付着したもの、付着していないものを含む)と紙部分とに分離する。その場合、ポリエチレン薄膜部分は、例えば0.1cm〜500cm程度の大きさで、不均一な小片に切断されたもの、あるいは飲料容器を展開した大きさに近いものが含まれる。ポリエチレン薄膜部分の、紙部分が剥ぎ取られた側の表面には、除去しきれなかった多数のセルロース繊維が不均一に付着したままの状態にある。このポリエチレン薄膜部分を、本発明においては上述の通り、「セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片」という。また、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、パルパーにより紙部分がある程度除去され、飲料パック及び/又は食品パックそのものよりもセルロース繊維の量が少ない。すなわち、セルロース繊維・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片の集合体(薄膜片原料全体)として見た場合、乾燥質量において、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中のセルロース繊維の割合は1質量部以上70質量部以下であることが好ましく、5質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上50質量部未満であることがさらに好ましく、25質量部以上50質量部未満であることがさらに好ましい。また、パルパーで処理して得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、そのセルロース繊維が多量の水を吸収した状態にある。なお、本発明において単に「セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片」という場合、水分を除いた状態(吸水していない状態)の薄膜片を意味する。
パルパーによる一般的な処理では、通常、得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、当該薄膜片の集合体(薄膜片原料全体)として見た場合、乾燥質量において、ポリエチレン樹脂の量よりもセルロース繊維の量が少量となる。
【0070】
セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片」において、付着しているセルロース繊維は、繊維同士が相互に接触せずに分散した状態でもよく、繊維同士が絡まって紙の状態を保っていてもよい。「セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片」には、ポリエチレン樹脂、セルロース繊維、紙の白色度を高めるために一般的に含まれる填料(例えばカオリン、タルク)、サイズ剤などが含まれていてもよい。ここで、サイズ剤とは、紙に対してインクなど液体の浸透性を抑え、裏移りや滲みを防ぎ、ある程度の耐水性を与える目的で加えられるものである。疎水性基と親水性基を持ち、疎水性基を外側に向けて紙に疎水性をもたせる。内添方式と表面方式とがあり、いずれにも天然物と合成物とがある。主なものとして、ロジン石鹸、アルキルケテンダイマー(ADK)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ポリビニルアルコール(PVA)などが用いられる。表面サイズ剤には酸化でんぷん、スチレン・アクリル共重合体(コポリマー)、スチレン・メタクリル共重合体などを用いる。その他、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分が含まれていてもよい。例えば、原料のラミネート加工紙に含まれる各種添加剤、インク成分、等が含まれていても良い。セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片中(水分を除いたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片中)の上記他の成分の含有量は、通常は0〜10質量%であり、0〜3質量%が好ましい。
【0071】
<溶融混練における水の作用>
本発明の製造方法では、上記のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下で溶融混練する。すなわち、水の存在下で溶融混練することによって、セルロース繊維とアルミニウムが分散してなるポリエチレン樹脂複合材を得ることができる。ここで「溶融混練」とは、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片のポリエチレン樹脂が溶融する温度で混練することを意味する。好ましくは、セルロース繊維が変質しない温度で溶融混練することが好ましい。「セルロース繊維が変質しない」とは、セルロース繊維が著しい変色や燃焼、炭化を生じないことを意味する。
上記溶融混練時における最高到達温度は110〜280℃とすることが好ましく、130〜220℃とすることがより好ましい。
水の存在下で溶融混練することにより、せん断力の負荷と熱水の作用(熱水による物理的作用と化学的作用(加水分解作用)を含む)により、セルロース繊維がポリエチレン樹脂表面に埋め込まれた固着状態ないし熱融着状態から解放され、さらにそれぞれのセルロース繊維をセルロース繊維同士のネットワーク状のからみ合いから解放して、紙形状から繊維状にセルロースの形状が変化して、セルロース繊維をポリエチレン樹脂中に、均一に分散させることが可能となる。また、熱水はアルミニウムにも作用し、アルミニウムの表面への水和酸化物の生成や表面の溶解を促す。特に水の水素イオン濃度(pH)が中性から振れた場合に、溶解の作用は大きくなる。溶融混練によるせん断力と、熱水とアルミニウムとの反応が複合的に作用し、アルミニウムが十分に微細化し、大きさ、形状が不均一でセルロース繊維の付着状態も不均一なセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片から、均一な物性のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を得ることが可能になるものと考えられる。また、せん断と熱水により促進されるアルミニウムの微細化とその表面への水和酸化物の生成においては、アルミニウムが微細化するほど表面積が増え、アルミニウム表面の水和酸化物の量も増えることになる。この現象は、複合材の難燃性の向上においても有利に働くものと考えられる。
複合材の原料としてセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を用いれば、上記溶融混練している状態において、水(熱水)のpHは通常はアルカリ性側を示す。溶融混練している状態における水のpHは7.5〜10の範囲にあることが好ましく、7.5〜9の範囲にあることも好ましい。水がアルカリ性を示すことにより、アルミニウムと水とが反応してアルミニウムが溶解しやすくなり、ポリエチレン樹脂中への均一分散性をより高めることができる。
また、上記溶融混練している状態において、水のpHを酸性側(好ましくはpH4〜6.5、より好ましくはpH5〜6.5)としてもよい。この場合も、アルミニウムと水とが反応してアルミニウムが溶解しやすくなり、ポリエチレン樹脂中への均一分散性をより高めることができる。ただし、酸性側である場合は、混練装置や製造に使用する各装置の特に金属部を痛める可能性がある。この点からはアルカリ性側を示すものが望ましい。
【0072】
熱水は亜臨界状態の水となってもよい。ここで、「亜臨界状態の水」とは、水の臨界点(温度374℃・圧力22MPa)までには達しない高温高圧状態の水であり、より詳しくは、温度が水の大気圧の沸点(100℃)以上、かつ水の臨界点以下であり、圧力が少なくとも飽和水蒸気圧付近にある状態である。
亜臨界状態の水は、0℃以上100℃以下で大気圧下の水よりイオン積が大きくなり、セルロース繊維の分子間結合を弱め、セルロース繊維の解繊が促進されるものと推定される。また、亜臨界状態の水はアルミニウムとの反応性もより高く、アルミニウムの微細化と均一分散性をより高めることができるものと考えられる。
【0073】
水の存在下でセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を溶融混練する方法に特に制限はなく、例えば、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片と水とを閉鎖空間内に投入し、かかる閉鎖空間内で薄膜片と水とを激しく混練することにより、空間内の温度を上昇させて溶融混練することができる。なお、本発明において「閉鎖」とは、外部から閉ざされた空間であるが、完全な密閉状態ではないことを示す意味で用いている。すなわち、上記のように閉鎖空間内で薄膜片と水とを激しく混練すると温度と圧力が上昇するが、かかる高温高圧下において蒸気が外へと排出される機構を備えた空間を意味する。したがって、閉鎖空間内で、薄膜片と水とを激しく混練することにより、水の存在下での溶融混練が達せられる一方、水分は蒸気として外に排出され続けるため、ついには水分を大幅に低減あるいは事実上完全に取り除くことが可能となる。また、ニーダーを用いて、ポリエチレン樹脂の溶融温度以上の温度に設定して溶融混練することもできる。この場合も同様に、溶融混練しながら水分を蒸発させることができる。
セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、上述の通り、紙部分との分離処理の際に多量に含水しており、再利用にかかる消費エネルギー等を考慮した場合にも、再利用し難いものであった。しかし、本発明の製造方法では、水の存在下で溶融混練するために水が必要である。したがって、薄膜片の吸水量が多い事は全く問題にならず、むしろ水を加える手間を減ずることができるというメリットがある。しかも溶融混練においては水分を高温の蒸気として効率的に排出することができるため、得られる複合材の含水率を所望のレベルにまで十分に下げることが可能になる。
【0074】
上述した閉鎖空間内における溶融混練には、例えば、回転羽根を有する閉鎖型バッチ式混練機を用いることができる。このバッチ式閉鎖型混練装置として、例えば、株式会社エムアンドエフ・テクノロジー製の国際公開2004/076044号公報に記載のバッチ式高速撹拌装置やこれに類似した構造を有するバッチ式高速撹拌装置を使用することができる。このバッチ式密閉型混練装置には、円筒形の撹拌室が備えられており、その撹拌室中を貫通して配置された回転軸の外周には、複数枚の撹拌羽根が突設されている。また、例えば、これらのバッチ式高速撹拌装置には撹拌室の圧力を保ちながら水蒸気を解放する機構が設けられている。
撹拌室内の温度と圧力は、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片と水に、回転する撹拌羽根による高剪断力が加わることで急上昇し、高温となった水がセルロースに対して物理的、化学的(加水分解)に作用し、高速撹拌による強烈なせん断力とが相俟って、ポリエチレン薄膜片の表面にラミネート加工時に熱融着されて埋め込まれたセルロース繊維を解繊し、さらに上述した熱水とアルミニウムとの反応が生じ、セルロース繊維とアルミニウムをポリエチレン樹脂中に均一に分散させることができると考えられる。
【0075】
上記のバッチ式閉鎖型混練装置には、上述の通り円筒形の撹拌室が備えられており、その撹拌室中を貫通して配置された回転軸の外周には、複数枚(例えば4〜8枚)の撹拌羽根が突設されている。撹拌羽根が配置された回転軸は、駆動源であるモーターに連結されている。ここで、撹拌室内に取り付けた温度計や圧力計により、温度や圧力を計測し、温度計や圧力計から計測された温度や圧力を用いて、材料の溶融状態を判断して、溶融混練を判断することができる。また、材料の状態を温度や圧力から判断するのではなく、モーターにかかる回転トルクを計測して溶融状態を判断することもできる。例えば、トルクメーターから計測される回転軸の回転トルクの変化を計測し、溶融混練の終了時点を判断することもできる。溶融混練においては撹拌羽根を高速回転させる。撹拌羽根の周速(回転速度)は、撹拌羽根の先端(回転軸からの距離が最も遠い先端部分)の周速として、10m/秒以上が好ましく、20〜50m/秒がより好ましい。
【0076】
バッチ式閉鎖型混練装置を用いた溶融混練の終了時点は、得られる複合材の物性を考慮して適宜に調節されるものである。好ましくは、バッチ式閉鎖型混練装置の回転軸の回転トルクが、上昇して最大値に達した後に下降して、トルク変化率が1秒当たり5%以下になった時点から30秒以内に回転軸の回転を停止することが好ましい。こうすることで、得られる複合材のメルトフローレート(MFR:温度=230℃、荷重=5kgf)を、0.05〜50.0g/10minに調整しやすく、物性をより向上させることができる。メルトフローレートが上記範囲内にある複合材は、樹脂中にセルロース繊維が均一に分散しており、押出成形または射出成形に好適で、形状安定性、強度及び耐衝撃性の高い成形体を作製することができるものである。
溶融混練の終了時点を制御することで複合材のメルトフローレートを調整できる理由は、溶融混練中に発生する熱水や亜臨界状態の水の作用によって、ポリエチレン樹脂やセルロース繊維の分子の一部が低分子化することが一因と推定される。
本明細書において「トルク変化率が1秒当たり5%になる」とは、ある時点におけるトルクT1と、当該時点から1秒後のトルクT2とが下記式(T)を満たすことを意味する。
式(T) 100×(T1−T2)/T1≦5
【0077】
セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を含む原料と水とを、バッチ式閉鎖型混練装置やニーダーに投入する場合には、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、必要に応じて粉砕あるいは減容処理し、自重落下投入等をしやすい、取扱い易い大きさと嵩密度に処理してもよい。ここで、減容処理とは薄膜片を圧縮してかさ容積を減ずる処理で、この際、圧縮により薄膜片に必要以上に付着した水分も絞りとられる。減容処理を施すことにより、必要以上に付着した水分が絞りとられ、複合材を得るまでのエネルギー効率をより改善することができる。
上述したように、例えば、パルパーと呼ばれる装置内でラミネート加工紙を長時間水中(水中又は湯中)で撹拌することにより、ラミネート加工紙から紙部分を剥ぎ取り、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片が得られる。このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は通常、含水率が50質量%前後となり、多量の水を吸水した状態にある。かかるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、その減容処理により水分が絞られ、例えば含水率が20質量%前後となる。また、この減容処理により、見かけ上の容積を1/2〜1/5程度とすることが好ましい。減容処理に用いる装置は特に制限されないが、2つのスクリュウを有する押出し方式の減容機が好ましい。2つのスクリュウを有する押出し方式の減容機を用いることにより、連続的に処理できるとともに後工程で扱いやすい、個々の大きさが適度に小さい減容物を得ることができる。例えば、二軸式廃プラスチック減容固化機(型式:DP−3N、小熊鉄工所社製)等を用いることができる。
【0078】
また、吸水した状態のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を粉砕し、この粉砕物を溶融混練することもできる。粉砕処理は、例えば、回転刃を有する粉砕機、回転刃と固定刃を有する粉砕機、摺動刃を有する粉砕機を用いて行うことができる。
【0079】
溶融混練の際に用いる水は、上記のとおりセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片に付着しているセルロース繊維の含浸水や、薄膜片の表面の付着水などをそのまま利用することができるため、必要に応じて加水すれば良い。
なお、溶融混練の際必要な水量は、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片100質量部(乾燥質量)に対して通常は5質量部以上150質量部未満であり、この水量の範囲とすることにより、樹脂中にセルロース繊維が均一に分散しており、含水率が1質量%未満の成形性に優れた複合材が製造しやすい。溶融混練の際の水量は、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片100質量部に対して、より好ましくは5〜120質量部であり、さらに好ましくは5〜100質量部であり、さらに好ましくは5〜80質量部であり、10〜25質量部とすることがさらに好ましい。
【0080】
本発明の製造方法では、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下で溶融混練するに当たり、さらにセルロース材を混合することができる。
この場合、得られる複合材が、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が1質量部以上70質量部以下となるようにセルロース材の配合量を調整するのが好ましく、より好ましくは、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部中、セルロース繊維の割合が5質量部以上70質量部以下、さらに好ましくは5質量部以上50質量部未満、特に好ましくは25質量部以上50質量部未満となるようにセルロース材の配合量を調整するのが好ましい。
セルロース材としては、セルロースを主体とするものセルロースを含むものが挙げられ、より具体的には、紙、古紙、紙粉、再生パルプ、ペーパースラッジ、ラミネート加工紙の損紙等が挙げられる。なかでもコストと資源の有効活用の点から古紙及び/又はペーパースラッジを使用することが好ましく、ペーパースラッジを使用することがより好ましい。このペーパースラッジは、セルロース繊維以外に無機質材を含んでいてもよい。複合材の弾性率を高める観点からは、無機質材を含むペーパースラッジが好ましい。また、複合材の衝撃強度を重視する場合は、ペーパースラッジは無機質材を含まないか、無機質材を含むとしてもその含有量の少ないものが好ましい。古紙等の紙を混合する場合は、溶融混練の前に紙は予め水で湿潤されていることが望ましい。水で湿潤された紙を使用することにより、セルロース繊維が樹脂中に均一に分散した複合材が得られやすくなる。
【0081】
本発明の製造方法では、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パックから得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、水の存在下で溶融混練する。この飲料パックや食品パックには、樹脂層としてポリエチレン樹脂を用いたものの他に、ポリエチレン樹脂以外の樹脂層を使用したものもある。また、原料とする飲料パックや食品パックとしては、使用済みのもの、未使用のものが利用可能である。使用済みの飲料パックや食品パックを回収して利用する場合、回収物には、ポリエチレン樹脂の以外の樹脂成分が混入する場合がある。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の混入が挙げられる。本発明の製造方法で得られる複合材は、このようなポリエチレン樹脂以外の樹脂を含むことができる。本発明の製造方法で得られる複合材は、例えば、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、ポリプロピレンを20質量部以下の量で含有することができる。また、例えば、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の総含有量100質量部に対し、ポリエチレンテレフタレート及び/又はナイロンについて総量で10質量部以下含むことができる。
【0082】
本発明の製造方法を実施することにより、紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料パック及び/又は食品パック、あるいは、これらをパルパーによる処理に付して得られるセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、より少ないエネルギー消費量で、簡単な処理工程を経るだけで、リサイクルすることができる。すなわち、上記の飲料パック及び/又は食品パックないしはセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材へと変換し、樹脂製品の樹脂材料としてリサイクルすることができる。
【実施例】
【0083】
本発明を実施例に基づきさらに説明するが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
まず、本発明における各指標の測定方法、評価方法を説明する。
【0084】
[メルトフローレート(MFR)]
温度=230℃、荷重=5kgfの条件で、JIS−K7210に準じて測定した。MFRの単位は「g/10min」である。
【0085】
[結果物(セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材)の形状]
混練後のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の外観を目視にて評価した。バルク(塊)の状態を合格品(○)とし、粒径2mm以下の粉体状であるもの、あるいは混練後著しく発火したものを不合格品(×)とした。粉体状のものは、かさ比重が小さいために空気中で容易に吸湿するなどの理由でブリッジングや容器壁面への付着を生じ、その後の成形の際に自重落下で成型機に投入することが困難である。
本実施例において、本発明の製造方法で得られる複合材は、いずれも上記合格品に該当するものである。
【0086】
[含水率]
製造後6時間以内の複合材10mgを、窒素雰囲気下において、23℃から120℃まで、+10℃/minの昇温速度で熱重量分析(TGA)を行った際の質量減少率(質量%)である。
【0087】
[消費電力量]
水を吸収したセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片からセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を連続的に作製した場合に、該複合材1kgを製造するまでに各装置(乾燥機、減容機、混練機)が消費した電力量の合計を求めた。
【0088】
[耐衝撃性]
射出成形で試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm)を作製し、JIS−K7110に準じて、ノッチ有りの試験片を用いてアイゾット衝撃強度を測定した。耐衝撃性の単位は「kJ/m」である。
【0089】
[曲げ強度]
射出成形で試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm)を作製し、支点間距離64mm、支点及び作用点の曲率半径5mm、試験速度2mm/minにて荷重の負荷を行い、JIS−K7171に準じて曲げ強度を算出した。曲げ強度の単位は「MPa」である。
【0090】
[セルロース有効質量比]
事前に大気雰囲気にて80℃×1時間の乾燥を行って乾燥状態にしたセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の試料(10mg)を用い、窒素雰囲気下において+10℃/minの昇温速度で、23℃から400℃まで熱重量分析(TGA)を行った結果に基づいて、次式により算出した。測定は5回行いその平均値を求めて、その平均値をセルロース有効質量比とした。
(セルロース有効質量比[%])=
(270〜390℃の質量減少[mg])×100/(試料質量[mg])
【0091】
[吸水率]
事前に含水率0.5質量%以下になるまで、80℃の温風乾燥機で乾燥した複合材を、プレスで100mm×100mm×1mmのシート状に成形して成形体を得、この成形体を23℃の水に20日間浸漬し、浸漬前後の重量の測定値に基づいて、下記〔式A〕により吸水率を算出した(但し、浸漬後の質量を測る際は、表面に付着した水滴等を乾いた布またはフィルター紙で拭き取った。)。合否判定は、算出した吸水率が下記の評価式〔式B〕を満たす場合を合格(○)とし、満たさない場合を不合格(×)とした。
〔式A〕(吸水率[%])=
(浸漬後質量[g]−浸漬前質量[g])×100/(浸漬前質量[g])
〔式B〕(吸水率[%])<(セルロース有効質量比[%])×0.01
【0092】
[吸水後耐衝撃残率]
射出成形で試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm、ノッチ有り)を作製し、この試験片を23℃の水に20日間浸漬し、JIS−K7110に準じて測定した浸漬前後の耐衝撃性の測定値に基づいて、次の計算式で算出した(但し、浸漬後の耐衝撃性を測定する際は、水から取出した後、意図的に乾燥などを行うことなく、6時間以内に測定した。)。
(吸水後耐衝撃残率[%])=
(吸水後の耐衝撃性[kJ/m])×100/(吸水前の耐衝撃性[kJ/m])
【0093】
[セルロース繊維分散性]
事前に含水率0.5質量%以下になるまで、80℃の温風乾燥機で乾燥した複合材を、プレスで100mm×100mm×1mmのシート状に成形して成形体を得、この成形体を80℃の温水に20日間浸漬した後に、温水から取り出した成形体表面の任意の箇所に、40mm×40mmの正方形を書き、さらにその正方形内部に4mm間隔で40mmの線分を9本書いた。表面粗さ測定機を用いて、カットオフ値λc=8.0mmかつλs=25.0μmの条件の下、隣り合う2本の線分の中間線上の粗さを測定し、10本の粗さ曲線(JIS−B0601にて規定、評価長さ40mm)を得た。10本全ての粗さ曲線においてピークトップが30μm以上でかつ上側に(表面から外側に向けて)凸である山の個数を数えたとき、山の個数が合計20個以上である場合を不合格品(×)とし、山の個数が20個未満である場合を合格品(○)とした。
試料中にセルロース繊維が偏在している場合は局所的に吸水が起こり、その部分の表面が膨張するため、この方法でセルロース繊維の分散性を評価することができる。
【0094】
[分子量パターン]
複合材16mgにGPC測定溶媒(1,2,4−トリクロロベンゼン)5mlを加え、160℃〜170℃で30分間攪拌した。不溶物を0.5μmの金属フィルターでろ過して除去し、得られたろ過後の試料(可溶物)に対して、GPC装置(Polymer Laboratories製PL220、型式:HT−GPC−2)を用い、カラムは、ShodexHT−G(1本)、HT−806M(2本)を用い、カラム温度を145℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用い、流速1.0mL/minで、前記試料0.2mlを注入してGPCを測定した。これより、単分散ポリスチレン(東ソー製)、ジベンジル(東京化成工業製)を標準試料として、校正曲線を作成し、GPCデータ処理システム(TRC製)でデータ処理を行い分子量パターンを得た。GPC測定で得られた分子量パターンにおいて、下記(A)を満たすものを(○)、満たさないものを(×)とした。
(A)1.7>半値幅(Log(MH/ML))>1.0
ここで分子量パターンの半値幅は、GPCにおける分子量パターンのうち、最大ピークのピークトップ(最大頻度)周辺におけるスペクトルの広がり(分子量分布の度合い)を示す。すなわち、スペクトル中の強度がピークトップ(最大頻度)の半分となっているところ(それぞれ高分子量側をMH、低分子量側をMLとする)でのGPCスペクトル線の幅を半値幅とする(図1参照)。なお、2つ以上のピークが観測される場合はピークトップの高さが最大のピークについての半値幅とする。なお、本[実施例]において、本発明の複合材を構成するポリエチレン樹脂はいずれも、最大ピーク値を示す分子量が10000〜1000000の範囲にあり、また重量平均分子量Mwが100000〜300000の範囲にあった。
【0095】
[酸素指数(OI値)による燃焼性の試験]
JIS K7201−2に準拠し、酸素指数(Oxygen Index、OI値)による燃焼性の試験の測定を行った。なお、酸素指数とは、材料が燃焼を持続するのに必要な最低酸素濃度(容量%)のことである。
【0096】
[アルミニウムのサイズ分布(アルミニウム長の判定)]
複合材をプレス加工して1mm厚のシート状の成形体を得た。この成形体の表面について顕微鏡を使用して拡大写真を撮影し、画像解析ソフトを使用して、5.1mm×4.2mmの範囲に存在する分散アルミニウムについて、これらのX−Y最大長の分布を求め、X−Y最大長0.005mm以上のアルミニウム(アルミニウム分散質)の全個数に占めるX−Y最大長1mm以上のアルミニウムの個数の割合(%)を求めた。X−Y最大長1mm以上のアルミニウムの個数の割合が1%未満の場合を(○)、それ以外を(△)とした。△のなかでも、5mm以上のアルニウムが見られるものを(×)とした。画像解析ソフトには、株式会社イノテック製“かんたん画像寸法計測ソフトPixs2000_Pro”を使用した。なお、アルミニウム長の判定が○であったものは、いずれもX−Y最大長の平均が0.02〜0.2mmの範囲内にあった。
【0097】
[熱伝導率]
熱伝導率計(京都電子工業株式会社製“QTM−500”)を使用し、厚さ3mmの複合材の加工シートについて熱伝導率を測定した。
【0098】
[引張強度]
射出成形で試験片を作製し、JIS−K7113に準拠し2号試験片にて引張強度を測定した。単位は「MPa」である。
【0099】
[セルロース繊維長(繊維長1mm以上のものを含むか否かの確認)]
複合材の成形シートから0.1〜1gを切だし試料とし、この試料を400メッシュのステンレスメッシュで包み、138℃のキシレン100mlに24時間浸漬する。次いで試料を引き上げ、その後試料を80℃の真空中で24時間乾燥させる。乾燥試料0.1gをエタノール50ml中に良く分散させ、シャーレに滴下し、顕微鏡にて15mm×12mmの範囲を観察した。繊維長1mm以上のセルロース繊維が観察されるものを(○)とし、それ以外を(×)とした。
【0100】
[曲げ弾性率]
JIS K7171に準拠しサンプル厚さ4mm、曲げ速度2mm/minにて曲げ弾性率を測定した。詳細には、射出成形で試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm)を作製し、支点間距離64mm、支点及び作用点の曲率半径5mm、試験速度2mm/minにて荷重の負荷を行い、JIS−K7171に準じて曲げ試験を行ない、曲げ弾性率を測定した。
ここで、曲げ弾性率 Etは、
歪み0.0005(εf1)におけるたわみ量において測定した曲げ応力σf1
歪み0.0025(εf2)におけるたわみ量において測定した曲げ応力σf2
を求めて、これらの差を、それぞれの対応する歪み量の差で割ること、
すなわち、次式 Ef=(σf2−σf1)/(εf2−εf1)
で求めることができる。
このときの曲げ応力を求めるための、たわみ量Sは、
下記の式により求めることができる。
S=(ε・L)/(6・h)
S:たわみ
ε:曲げ歪み
L:支点間距離
h:厚さ
【0101】
[線膨張係数]
線膨張係数は、JIS K 7197に準拠して行った。
射出成形により、厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの成形体を得た。このときの樹脂の射出方向は長さ方向であった。この成形体から奥行き4mm、幅4mm、高さ10mmの四角柱形状の試験片を、長さ方向が高さ方向に合致するように切り出した。
得られた試験片を用いて、株式会社リガク製のTMA 8310によってTMA測定を、−50〜100℃の温度範囲、荷重5g(49mN)、窒素雰囲気にて行った。このときの昇温速度は5℃/minであった。なお、データ採取の前に一度試験片を今回の試験範囲の上限温度である100℃まで昇温し、成形によるひずみを緩和させた。得られたTMA曲線から、20〜30℃、および、−40〜100℃の温度領域における平均線膨張係数を求めた。
[セルロース繊維の長さ加重平均繊維長]
セルロース繊維分散ポリエチレン樹脂複合材の熱キシレン溶解残さ(不溶分)についてISO 16065(JIS P8226)で規定されたパルプ−光学的自動分析法による繊維長測定方法に準拠して行った。複合材の試料を400メッシュのステンレスメッシュで包み、138℃のキシレンに24時間浸漬し、次いで試料を引き上げ、その後試料を80℃の真空中で24時間乾燥させることにより、複合材から分離して得られたセルロース繊維について繊維長の測定を行った。
【0102】
[試験例1]
紙、ポリエチレン薄膜層及びアルミニウム薄膜層を有するポリエチレンラミネート加工紙からなる飲料容器から、パルパーによって紙部分を剥ぎ取り除去してセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、数cm〜100cm程度のさまざまな形状、大きさの小片に切断されており、紙部分の剥ぎ取り工程において水に浸漬されたことで濡れた状態(水分を多量に吸収した状態)であった。また、この薄膜片を構成するポリエチレン樹脂と、それに付着しているセルロース繊維と、アルミニウムとの質量比(乾燥後)は、[ポリエチレン樹脂]:[セルロース繊維]:[アルミニウム]=90:10:9であった。また、ポリエチレン樹脂中の低密度ポリエチレンの割合は99.5重量%であった。
このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、80℃に設定した乾燥機で48時間乾燥して含水率を1質量%以下とし、その後意図的に水を加えて、表1に示す「実施例1」〜「実施例3」及び「比較例1」の各欄に記載の水の質量部となるように、4種類の試料材料を調製した。
なお、本明細書の[実施例]全体において配合する水のpHは、いずれも中性(pH7)のものである。また、乾燥させたセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片に水を混合した状態において、水はアルカリ性(pH7.5〜8.5)を示した。
次に、この4種類の試料材料を、別々にバッチ式閉鎖型混練装置(バッチ式高速撹拌装置)に投入し、混合溶融装置の撹拌羽根の先端の周速を40m/秒として高速攪拌して水を亜臨界状態にすると共に試料材料を混練し、4種類のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を作製した。
なお、各試験例において、特に断りの無い限り、バッチ式閉鎖型混練装置による混練終了時点は、バッチ式閉鎖型混練装置の回転軸の回転トルクが上昇して最大値に達した後、下降して、その後トルク変化が小さくなることから、トルク変化率が1秒当たり5%以下になった時点を、トルクが最小値に達した瞬間と定義して、この起点からの経過時間(下表中の「時間A」に相当)を5秒とした。また、混合溶融装置の撹拌羽根の先端の周速は上記と同様に40m/秒とした。
各複合材の評価結果は表1に示すとおりである。
なお、以下の各表において、含有物(複合材の全成分)の総量[質量部]に占めるセルロース繊維の量[質量部]の割合(百分率)がセルロース有効質量比[%]に相当する。また、以下の各表において、各複合材中のポリエチレン樹脂、セルロース繊維、及びアルミニウムの含有量の合計は95〜100質量%の範囲内にある。
【0103】
【表1】
【0104】
表1の「比較例1」より、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片の溶融混練を、水の無い環境下で行った場合には、ポリエチレン樹脂中にセルロースとアルミニウムとが均一分散された複合材(塊)が得られないことが分かる。
他方、「実施例1」より、水/セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片(質量比)を、8/109として、水の配合量を少なくした場合でも、溶融混練時に水が共存していれば、吸水率が抑えられ、また他の機械強度にも優れたセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材が得られることが分かる。また、「実施例3」より、水/セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片(質量比)を、100/109として、水の配合量を多くしても、得られるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の含水率を十分に低下させることができ、吸水性が低く、他の機械強度にも優れたセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材が得られることが分かる。したがって、水の存在下で溶融混練を行う本発明の製造方法では、溶融混練時に水が存在いていることが重要であり、水量は多くても少なくても良いことがわかる。なお、エネルギー効率を考慮すると、水量は多すぎない方が良い。
【0105】
[試験例2]
セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜中のアルミニウムの質量比を変更した場合の影響について試験した。
アルミニウムの質量比を表2に示すように変更した4種類のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、試験例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。また、この薄膜片を構成するポリエチレン樹脂と、それに付着しているセルロース繊維の質量比(乾燥後)は、表2の通りであった。この濡れた状態の薄膜片の、ポリエチレン樹脂、セルロース繊維及びアルミニウムの合計100質量部に対する付着水の量は21.8質量部であった。即ち、ポリエチレン樹脂及びセルロース繊維の合計100質量部に対する付着水の量は20質量部であった。
【0106】
次に、このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、濡れた状態のままで、試験例1と同じバッチ式閉鎖型混練装置に投入し、高速攪拌して水を亜臨界状態にすると共に溶融混練し、混練時間を変更した4種類のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の試料を作製した。
なお、各例において、バッチ式閉鎖型混練装置による混練終了時点は、バッチ式閉鎖型混練装置の回転軸の回転トルクが上昇して最大値に達した後、下降して、その後トルク変化が小さくなることから、トルク変化率が1秒当たり5%以下になった時点を、トルクが最小値に達した瞬間と定義して、この起点からの経過時間(下表中の「時間A」に相当)を7秒とした。
各試料の評価結果は表2に示すとおりである。
【0107】
【表2】
【0108】
表2に示される通り、アルミニウムの量が変化しても、所望の物性を有するセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材が得られることが分かる。また、実施例4より、アルミニウムがポリエチレン樹脂とセルロースの合計100質量部に対して5質量部であっても、0.2W/m・K以上の高い熱伝導率を有することがわかる。
【0109】
[試験例3]
セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片のポリエチレン樹脂と、この薄膜に付着しているセルロース繊維との質量比を変更した場合の影響について試験した。
【0110】
ポリエチレン樹脂とセルロース繊維の質量比を表3に示すように変更した5種類のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。これらの薄膜片は、いずれも試験例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、80℃に設定した乾燥機で48時間乾燥して含水率を1質量%以下とし、その後意図的に水を加えた。実施例8〜10についてはセルロース繊維とポリエチレンの合計100質量部に対して水が22質量部、実施例11及び比較例2についてはセルロース繊維とポリチレン樹脂の合計100質量部に対して水が44質量部となるように調整した。
次に、このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、濡れた状態のままで、試験例1と同じバッチ式閉鎖型混練装置に投入し、高速攪拌して水を亜臨界状態にすると共に溶融混練し、5種類のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の作製を試みた。
各複合材の評価結果は表3に示すとおりである。なお、各例において、バッチ式閉鎖型混練装置による混練終了時点は、バッチ式閉鎖型混練装置の回転軸の回転トルクが上昇して最大値に達した後、下降して、その後トルク変化が小さくなることから、トルク変化率が1秒当たり5%以下になった時点を、トルクが最小値に達した瞬間と定義して、この起点からの経過時間(下表中の「時間A」に相当)を5秒とした。
【0111】
【表3】
【0112】
表3の「比較例2」より、セルロース繊維とポリエチレン樹脂の合計量に対するセルロース繊維の量が多すぎると、成形性が悪化して目的の形状の複合材を得ることができなかった。(なお、比較例2は紙部分を全く除去しないポリエチレンラミネート加工紙を裁断し、吸水させたものを試料材料として用いた。)
【0113】
[試験例4]
セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を混練する方法(装置)の影響について試験した。
上記試験例1と同様にして、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、試験例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。また、この薄膜片を構成するポリエチレン樹脂と、それに付着しているセルロース繊維との質量比(乾燥後)は、表4に示す通りであった。この濡れた状態の薄膜片の、セルロース繊維とポリチレン樹脂の合計100質量部に対する付着水の量は100質量部であった。
この濡れた状態のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、上記バッチ式閉鎖型混練装置を用いて亜臨界状態の水の存在下で溶融混練した場合(実施例12)と、濡れた状態のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を乾燥してからニーダーを用いて混練した場合(比較例3)と、上記濡れた状態の薄膜片を直接モウルド成形したもの(比較例4)とを用いて、表4に記載した評価を行った。
なお、バッチ式閉鎖型混練装置による混練終了時点は、バッチ式閉鎖型混練装置の回転軸の回転トルクが上昇して最大値に達した後、下降して、その後トルク変化が小さくなることから、トルク変化率が1秒当たり5%以下になった時点を、トルクが最小値に達した瞬間と定義して、この起点からの経過時間(下表中の「時間A」に相当)を7秒としている。
各複合材の評価結果は表4に示すとおりである。
【0114】
【表4】
【0115】
表4の実施例12より、実施例1と同じく亜臨界状態の水の存在下で溶融混練して得たセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材は、含水率、耐衝撃性、吸水率、及びセルロース繊維の分散性に優れていることが分かる。また、実施例12はポリエチレン樹脂の分子量パターンが○であり、この分子量パターンも、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維との相溶性の向上に寄与し、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維との界面の微細な空隙を減らして界面の脆弱性を改善し、耐衝撃性の低下や吸水率の増加を抑制していると考えられる。
【0116】
他方、乾燥処理した薄膜片を、ニーダーを用いて混練した場合(比較例3)は、乾燥処理が必要なため複合材を得るためのトータルの消費電力は大きい。また、得られた複合材の吸水率は高く、アルミニウム長の評価やセルロース繊維の分散性評価にも劣っていた。
濡れた状態の薄膜片を直接モウルド成形したもの(比較例4)では、水分を十分に除去することができなかった。また、得られた複合材は吸水率が高く、セルロース繊維の分散性にも劣っていた。
【0117】
さらに、容器リサイクル法により回収され再生された市販の再生樹脂(株式会社グリーンループ製PEリッチ品:比較例5)を用いて表4に記載される通り、二軸押出機を用いて成形し、評価した。本発明の製造方法で作製したセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材は、市販の再生樹脂と比較して吸水後に耐衝撃性が向上していることが分かる。
【0118】
[試験例5]
セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を混練する前に減容固化を行う影響について試験した。
【0119】
上記試験例1と同様にして、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、試験例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。また、この薄膜片を構成するポリエチレン樹脂と、それに付着しているセルロース繊維と、アルミニウムとの質量比(乾燥後)は、[ポリエチレン樹脂]:[セルロース繊維]:[アルミニウム]=65:35:5であった。この濡れた状態の薄膜片の、セルロース繊維とポリエチレン樹脂の合計100質量部に対する付着水の量は50質量部であった。
次に、この薄膜片を、表5に示すとおり、試験例1と同じバッチ式閉鎖型混練装置を用いて、亜臨界状態の水の存在下で溶融混練してセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を作製した(実施例13)。
また別に、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片をバッチ式閉鎖型混練装置に投入する前に、減容固化機(小熊鉄工所社製、二軸式廃プラスチック減容固化機、型式:DP−3N)を用いて減容して固化し、その後バッチ式閉鎖型混練装置に投入してセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を作製した(実施例14)。
また別に、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を二軸押出機に投入する前に、80℃に設定した乾燥機で含水率が1質量%未満になるまで乾燥させ、その後二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX30を使用)に投入し、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を作製した(比較例6)。
各複合材の評価結果は表5に示すとおりである。
【0120】
【表5】
【0121】
表5の実施例13より、バッチ式閉鎖型混練装置を用いて亜臨界状態の水の存在下で溶融混練して得たセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材は、含水率が0.2であるにもかかわらず、その作製に必要な消費電力量が低くエネルギー効率に優れていた。またセルロース分散性に優れ、吸水性も低いことが分かる。また、溶融混練前に減容処理を施した実施例14では、消費電力をさらに大幅に低減できることもわかる。
さらに、実施例13及び14は、ポリエチレン樹脂の分子量パターンが○となった。
他方、二軸押出機により混練した場合には、得られる複合材の含水率が高く、セルロースの分散性に劣り、吸水性も高かった。二軸押出機による混練法を採用する場合、混練前にセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を乾燥処理に付すことにより、得られる複合材の含水率を0質量%近くとすることができる。しかしこの場合には、消費電力量が数倍に膨れ上がり、エネルギー効率に劣る結果となった(比較例6)。
【0122】
[試験例6]
セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を混練する方法(装置)の影響について試験した。
上記試験例1と同様にして、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、試験例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。また、この薄膜片を構成するポリエチレン樹脂と、それに付着しているセルロース繊維の質量比(乾燥後)は、表6に示す通りであった。この濡れた状態の薄膜片の、セルロース繊維とポリチレン樹脂の合計100質量部に対する付着水の量は19質量部であった。
この濡れた状態のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、上記バッチ式閉鎖型混練装置を用いて亜臨界状態の水の存在下で溶融混練した場合(実施例15)と、濡れた状態のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を乾燥してからニーダーを用いて混練した場合(比較例7)について、表6に記載した評価を行った。
なお、バッチ式閉鎖型混練装置による混練終了時点は、バッチ式閉鎖型混練装置の回転軸の回転トルクが上昇して最大値に達した後、下降して、その後トルク変化が小さくなることから、トルク変化率が1秒当たり5%以下になった時点を、トルクが最小値に達した瞬間と定義して、この起点からの経過時間(下表中の「時間A」に相当)を7秒としている。
各複合材の評価結果は表6に示すとおりである。
【0123】
【表6】
【0124】
表6の実施例15より、試験例1と同じく水の存在下で溶融混練して得たセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材は、含水率、耐衝撃性、吸水率、及びセルロース繊維の分散性に優れていることが分かる。また、実施例15はポリエチレン樹脂の分子量パターンが○である。これにより、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維との相溶性が向上し、ポリエチレン樹脂とセルロース繊維との界面の微細な空隙を減らして界面の脆弱性を改善し、耐衝撃性の低下や吸水率の増加を抑制していると考えられる。
【0125】
他方、乾燥処理した薄膜片を、ニーダーを用いて混練した場合(比較例7)は、乾燥処理が必要なため複合材を得るためのトータルの消費電力は大きい。また得られた複合材の吸水率も高く、セルロース繊維の分散性にも劣っていた。
【0126】
[試験例7]
材料として出所の異なる使用済み飲料容器の回収物を使用して複合材を試作した。
使用済み紙製飲料容器として、出所の異なる回収物を使用した以外は上記試験例1と同様にして、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、試験例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。また、この薄膜片の集合物の乾燥後の成分の比率は表に示す通りであった。この濡れた状態の薄膜片の、セルロース繊維とポリチレン樹脂の合計量100質量部に対する付着水の量は100質量部であった。
次に、このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片の集合物を、濡れた状態のままで、試験例1と同じバッチ式閉鎖型混練装置に投入し、高速攪拌して水を亜臨界状態にすると共に溶融混練し、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材の試料を作製した。
なお、バッチ式閉鎖型混練装置による混練終了時点は、バッチ式閉鎖型混練装置の回転軸の回転トルクが上昇して最大値に達した後、下降して、その後トルク変化が小さくなることから、トルク変化率が1秒当たり5%以下になった時点を、トルクが最小値に達した瞬間と定義して、この起点からの経過時間(下表中の「時間A」に相当)を7秒としている。
【0127】
各複合材の評価結果は表7に示すとおりである。
【0128】
【表7】
【0129】
表7より、実施例1と同じく水の存在下で溶融混練して得たセルロース繊維とアルミニウムが分散されたポリエチレン樹脂複合材は、含水率、耐衝撃性、吸水率、及びセルロース繊維の分散性に優れていることが分かる。
【0130】
[試験例8]
セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、バッチ式閉鎖型混練装置(バッチ式高速撹拌装置)を用いて混練するに当たり、下記の通り、セルロース材としてラミネート紙の損紙(耳ロス)を添加して複合材を作製した。
上記試験例1と同様にして、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を得た。この薄膜片は、試験例1と同じく、数cm〜100cm程度の小片に切断されており、濡れた状態であった。このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、80℃に設定した乾燥機で48時間乾燥して含水率を1質量%以下とした。このセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片に、表8に示すセルロース材と水を配合し試料材料を調製した。添加する損紙は、回転刃式の粉砕機(ホーライ社製)により粉砕したものを用いた。
次に、上記と同じバッチ式閉鎖型混練装置(バッチ式高速撹拌装置)を用いて水の存在下で溶融混練して、実施例18及び19の複合材を得た。なお、混練の終了は、バッチ式閉鎖型混練装置(バッチ式高速撹拌装置)に設置された温度計により測定される装置チャンバー内の材料温度が180℃に達した時点とした。得られた複合材のポリエチレン、セルロース繊維、アルミニウムの質量比は表8とおりであった。
結果は表8に示す。
【0131】
【表8】
【0132】
セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片と損紙と水を配合して得られるセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材は、吸水性が低く、機械強度にも優れることが分かる。
【0133】
[試験例9]
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン、LC900)とエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル、ニュークレルC0903)、セルロース繊維(レッテンマイヤー、ARBOCEL B400)、アルミニウム粉体(東洋アルミニウム、TFH−A30P)、水を、67:3:30:15:25の比率にて配合して、試験例1で使用したのとは別のバッチ式閉鎖型混練装置(バッチ式高速撹拌装置)に投入し、混合溶融装置の撹拌羽根の回転速度を回転羽根の先端の周速で40m/秒として高速攪拌して水の存在下で試料材料の混練を開始し、セルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材(実施例20)を作製した。低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン、LC900)とエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル、ニュークレルC0903)、セルロース繊維(レッテンマイヤー、ARBOCEL BC200)、アルミニウム粉体(東洋アルミニウム製、TFH−A30P)、水を、67:3:30:15:25の比率にて配合して、実施例20と同様にしてセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を作製した(比較例8)。なお、混練の終了は、バッチ式閉鎖型混練装置(バッチ式高速撹拌装置)に設置された温度計により測定される装置チャンバー内の材料温度が180℃に達した時点とした。
結果を下記表9に示す。
【0134】
【表9】
【0135】
従来、使用済み飲料容器などのポリエチレンラミネート加工紙をパルパー等の処理に付して紙部分を剥ぎ取り除去した後、除去しきれなかった紙成分が不均一にポリエチレン樹脂に付着した状態で、形状、大きさもまちまちで、さらに水を多量に吸収した状態のセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片は、樹脂組成物として有効に再利用するための、コスト面、品質面において実用性の高い技術がなく、いわばゴミ同然に埋め立てられて廃棄処分されるか、又は単に燃料としての使用が一般的であった。本発明は、上記実施例に示される通り、セルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片を、そのままの状態で(水分調節等を要さずに)簡単な処理に付し、樹脂材料として甦らせる技術に関する発明である。
本発明は、大きさ、形状、セルロース繊維の付着状態が不均一な、セルロース繊維とアルミニウムとポリエチレン樹脂の不均一な混合体としてのセルロース・アルミニウム付着ポリエチレン薄膜片から、均一な物性のセルロース・アルミニウム分散ポリエチレン樹脂複合材を製造することを可能にした技術に係る発明である。
【0136】
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。

図1