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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-213296(P2019-213296A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】電源回路、および振動発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20191115BHJP
   H02N 1/06 20060101ALI20191115BHJP
   H02M 3/24 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   H02M3/155 P
   H02N1/06
   H02M3/155 U
   H02M3/24 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-105436(P2018-105436)
(22)【出願日】2018年5月31日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト/超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100169029
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】年吉 洋
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 久幸
(72)【発明者】
【氏名】森田 將裕
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB86
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE48
5H730FD11
5H730FF05
5H730FG05
5H730ZZ19
(57)【要約】
【課題】環境振動を高い効率で電気エネルギーに変化する振動発電装置および電源回路を提供する。
【解決手段】振動発電素子10から入力される電力を外部負荷に出力する電源回路50は、振動発電素子10から入力される交流電力を整流する整流回路20、整流回路20から出力される電力を蓄積する第1コンデンサC1、チョッパタイミングを制御するスイッチング素子T1を有し入力部が第1コンデンサC1に接続されているチョッパ回路30、およびスイッチング素子T1に制御信号を供給する制御信号生成部S1、を備えるとともに、制御信号生成部は、第1コンデンサC1の電圧を参照することなく制御信号を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発電素子から入力される電力を外部負荷に出力する電源回路において、
前記振動発電素子から入力される交流電力を整流する整流回路、
前記整流回路から出力される電力を蓄積する第1コンデンサ、
チョッパタイミングを制御するスイッチング素子を有し入力部が前記第1コンデンサに接続されているチョッパ回路、および
前記スイッチング素子に制御信号を供給する制御信号生成部、を備えるとともに、
制御信号生成部は、前記第1コンデンサの電圧を参照することなく前記制御信号を生成する、電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電源回路において、
入力部が前記チョッパ回路の出力部に接続されている電圧変換回路をさらに備える、電源回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電源回路において、
前記制御信号生成部は、一定の周期およびデューティを有する前記制御信号を生成する、電源回路。
【請求項4】
請求項3に記載の電源回路において、
前記周期および前記デューティは、前記振動発電素子および前記振動発電素子の設置状況に基づいて決定されている、電源回路。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の電源回路において、
前記制御信号生成部は、前記振動発電素子の振動の振幅に基づく状態信号を受信し、前記状態信号に基づいて前記制御信号を生成する、電源回路。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電源回路と、
前記電源回路に電力を供給する振動発電素子とを備える、振動発電装置。
【請求項7】
請求項5に記載の電源回路と、
前記電源回路に電力を供給するとともに、前記電源回路の前記制御信号生成部に、前記状態信号を供給する振動発電素子とを備える、振動発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路、および振動発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境振動からエネルギーを収穫するエナジーハーベスティング技術の一つとして、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動素子である振動発電素子を用いて環境振動から発電を行う手法が知られている。振動発電素子自体は、圧電素子や静電容量型素子を備え、それを環境振動の周波数で振動させると、その周波数に等しい交流の電力を発生する素子である。そこで、振動発電素子と、振動発電素子が発生した交流電力を利用に適した電圧の直流または交流に変換する電源回路とを組み合わせた振動発電装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5990352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
環境振動の振動エネルギーは微弱であるため、環境振動を高い効率で電気エネルギーに変換する電源回路および振動発電装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様による電源回路は、振動発電素子から入力される電力を外部負荷に出力する電源回路において、前記振動発電素子から入力される交流電力を整流する整流回路、前記整流回路から出力される電力を蓄積する第1コンデンサ、チョッパタイミングを制御するスイッチング素子を有し入力部が前記第1コンデンサに接続されているチョッパ回路、および前記スイッチング素子に制御信号を供給する制御信号生成部、を備えるともに、制御信号生成部は、前記第1コンデンサの電圧を参照することなく前記制御信号を生成する。
本発明の第2の態様による電源回路は、第2の態様による電源回路において、前記制御信号生成部は、前記振動発電素子の振動の振幅に基づく状態信号を受信し、前記状態信号に基づいて前記制御信号を生成する。
本発明の第3の態様による振動発電装置は、第1の態様による電源回路と、前記電源回路に電力を供給する振動発電素子とを備える。
本発明の第4の態様による振動発電装置は、第2の態様による電源回路と、前記電源回路に電力を供給するとともに、前記電源回路の前記制御信号生成部に、前記状態信号を供給する振動発電素子とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、環境振動のエネルギーを高効率で電気エネルギーに変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態の電源回路50および振動発電装置100の概略構成を示す模式図。
図2】振動発電装置100が備える振動発電素子10の概略を示す図。
図3】振動発電素子の変形例1を示す図。
図4】本発明の第2実施形態の電源回路50aおよび振動発電装置100aの概略構成を示す模式図。
図5】本発明の第3実施形態の電源回路50bおよび振動発電装置100bの概略構成を示す模式図。
図6】振動発電素子の変形例2を示す図。
図7】出力線W3の出力電圧V3Pを示す図。
図8】本発明の第4実施形態の電源回路50cおよび振動発電装置100cの概略構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、図を参照して本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の電源回路50および振動発電装置100の概略構成を示す模式図である。振動発電装置100は、環境振動により交流電力を発電する振動発電素子10と、発電した交流電力を取り出して外部の機器等に出力する電源回路50とを備える。
電源回路50は、整流回路20、第1コンデンサC1、チョッパ回路30、第2コンデンサC2、電圧変換回路40、および第3コンデンサC3とを備えている。
【0009】
振動発電素子10は、一例としてエレクトレット電極を備える静電容量型の発電素子(エレクトレット形発電素子)であり、図2を参照してその概要を説明する。
振動発電素子10は、可動電極である第1電極11と、固定電極である第2電極12を有している。第1電極11は一例として2本の櫛歯部分15を有する櫛歯電極であり、第2電極12は一例として3本の櫛歯部分16を有する櫛歯電極である。
【0010】
第1電極11の櫛歯部分15と第2電極12の櫛歯部分16は、図中のZ方向に所定の厚さを有しており、かつ、それらが噛合する部分において互いに他方の電極に対向している。第1電極11および第2電極12は、たとえばシリコンを基材としたMEMS構造体として製造することができる。
第2電極12の櫛歯部分16のうち、第1電極11の櫛歯部分15と対向する面の表面の領域17には、公知の帯電処理(例えば、特開2014−049557号公報に記載の帯電処理)を施すことにより、負の電荷を有するエレクトレットが形成されている。
【0011】
エレクトレット化により第2電極12の櫛歯部分16が半永久的に帯電する。この結果、エレクトレット化された電極と対向する第1電極11の櫛歯部分15には、エレクトレット化された電極とは逆特性の、すなわち正の誘導電荷が誘起される。
【0012】
第2電極12は絶縁性の支持枠13により固定的に保持されている。
一方、第1電極11は、保持部14(電極保持部14a、連結部14b、固定部14c)により、支持枠13に対して図中の上下方向(X方向)に振動するように保持されている。保持部14は、第1電極11を保持する電極保持部14aと、支持枠13に固定されている固定部14cと、電極保持部14aと固定部14cをつなぐ、可撓性を有する連結部14bから構成されている。
【0013】
連結部14bは、図1中のX方向の厚さが薄く、Z方向の厚さが厚い、金属等の可撓性材料からなる薄片である。支持枠13に外部から振動が加わると、図中の電極保持部14aの左右に設けられている2つの連結部14bが撓むことにより、電極保持部14aは支持枠13に対してX方向に振動する。この結果、電極保持部14aに保持された第1電極11は、支持枠13に固定されている第2電極12に対して、X方向に振動する構成となっている。
【0014】
第1電極11と第2電極12とのX方向への振動に伴い、第1電極11の櫛歯部分15と第2電極12の櫛歯部分16が対向する面の面積が増減する。その結果、第1電極11と第2電極12とが対向する部分の面積が変化し、エレクトレットによる誘導電荷も変化し、第1電極11と第2電極12との間の電位差が変化して起電力が発生することで、振動発電素子10による発電が行われる。
【0015】
振動発電素子10の発電効率は、第1電極11と第2電極12との相対振動の振幅に依存する。すなわち、基本的には第1電極11と第2電極12との相対振動の振幅が大きい程、発電効率が向上する。ただし、振動発電素子10の機械構造上の制約から、振幅があまりに大きくなると、振動に伴う機械的な抵抗も増大してしまう。このため、振動発電素子10には、その構造から決まる、発電効率を最大にする振幅(最適振幅)が存在する。以下では、第1電極11と第2電極12との相対振動の振幅のことを、単に振動発電素子10の振幅と呼ぶ。
【0016】
振動発電素子10からの交流電圧が出力される2本の出力線のうち、第1電極11に接続されている出力線W1は、図1中のダイオードブリッジ型の全波整流型の整流回路20を構成する第1ダイオードD1のアノードおよび第3ダイオードD3のカソードに接続されている。一方の第2電極12に接続されている出力線W2は、第2ダイオードD2のアノードおよび第4ダイオードD4のカソードに接続されている。整流回路20の出力部P1には、第1ダイオードD1のカソードおよび第2ダイオードD2のカソードが接続されている。第3ダイオードD3のアノードおよび第4ダイオードD4のアノードは、電源回路50のグランドに接続されている。
【0017】
整流回路20の整流作用により、整流回路20の出力部P1からは正電位の電力が出力される。この電力は、一端が整流回路20の出力部P1に接続され、他端がグランドに接続されている第1コンデンサC1に蓄積されるとともに、チョッパ回路30に供給される。整流回路20の出力部P1は、チョッパ回路30の入力部P1でもある。
第1実施形態のチョッパ回路30は、チョッパタイミングを制御する一例としてnMOSトランジスタ(nMOSFET)のスイッチング素子T1と、スイッチング素子T1に一定の周期およびデューティの制御信号を供給する制御信号生成部S1とを備えている。従って、スイッチング素子T1は、一定の周期で、一定のデューティで(すなわち一定の時間比率で)オンになる。
【0018】
スイッチング素子T1がオンになると、第1コンデンサC1に蓄えられている電流(電気エネルギー)は、スイッチング素子T1およびコイルL1を通って、チョッパ回路30の出力部P2に接続されている第2コンデンサC2へと流れる。このとき、コイルL1には、電気エネルギーが磁気エネルギーに変換されて蓄積される。一方、整流ダイオードD5はスイッチング素子T1側にカソードが接続されており、従って、逆バイアスになるために整流ダイオードD5には電流は流れない。
【0019】
スイッチング素子T1がオフになると、コイルL1の自己インダクタンスにより、コイルL1に蓄えられた磁気エネルギーが電気エネルギーに変換され、電気エネルギー(電流)として第2コンデンサC2に移送される。この場合には、電流の向きは、コイルL1から第2コンデンサC2および整流ダイオードD5を通ってコイルL1に戻る向きとなるので、整流ダイオードD5は順バイアスとなり電流を妨げない。
【0020】
チョッパ回路30から出力された電力は、第2コンデンサC2に蓄積され、第2コンデンサC2から電圧変換回路40の入力部Vinへと出力される。
電圧変換回路40は、出力部Voutから外部負荷ROに出力する電圧が正の所定の一定値となるように、反転チョッパ回路30から出力され入力部Vinに入力する電圧を、電圧変換する。電圧変換回路40は、一般的なスイッチングレギュレータ型のDC/DCコンバータを使用することができる。電圧変換回路40の出力部Voutとグランドの間には第3コンデンサC3が設けられており、これにより電圧変換回路40からの出力電圧がより平滑化される。
【0021】
なお、電圧変換回路40は、チョッパ回路30から出力された電力を、外部負荷ROに適した電圧に変換するための回路である。従って、外部負荷ROに適した電圧がチョッパ回路30の出力電圧と一致する場合や、外部負荷RO自体が電圧を変換する機能を有する場合には、電源回路50が電圧変換回路40を備えている必要はない。この場合、外部負荷ROが第2コンデンサC2や第3コンデンサC3に相当するコンデンサを有している場合には、電源回路50が第2コンデンサC2および第3コンデンサC3を備えている必要はない。
【0022】
上述のとおり、振動発電素子10の発電効率を最大にするには、振動発電素子10を最適な振幅で振動させることが好ましい。しかし、第1コンデンサC1が充電され第1コンデンサC1の電圧が高くなり過ぎると、振動発電素子10からみた第1コンデンサC1の電気抵抗が増大するため振動発電素子10の負荷が増大し、振動発電素子10の振幅が減少し発電効率が低下してしまう。
【0023】
一方、第1コンデンサC1が放電され第1コンデンサC1の電圧が低くなり過ぎると、振動発電素子10からみた第1コンデンサC1の電気抵抗が減少する。そのため振動発電素子10の負荷が減少し、振動発電素子10の振幅が過度に増大して機械的な抵抗が増し、振動のエネルギーが機械的な抵抗により浪費されるため、やはり発電効率が低下してしまう。
そのため、チョッパ回路30には、振動発電素子10の発電能力に見合った適度な量の電気エネルギーを、第1コンデンサC1からチョッパ回路30の出力部P2に接続されている第2コンデンサC2に移送させることが望まれる。
【0024】
第1実施形態のチョッパ回路30は、上述のとおり、一定の周期およびデューティの制御信号を発生する制御信号生成部S1を備えている。そして、制御信号生成部S1から一定の周期およびデューティを持つ制御信号が、スイッチング素子T1に供給されている。
この構成により、チョッパ回路30は、一定量の電気エネルギーを第1コンデンサC1から第2コンデンサC2に移送することができる。そして、制御信号生成部S1が生成する制御信号の周期およびデューティを、振動発電素子10の発電量に合わせて最適な値に設定することにより、第1コンデンサC1から第2コンデンサC2に移送する電気エネルギーの量を最適な値に設定することができる。これにより、振動発電素子10の振幅を最適な値に保つことができ、振動発電素子10の発電効率を高めることができる。
【0025】
なお、振動発電素子10の発電量は、振動発電素子10の構成や、振動発電素子10を含む振動発電装置100が設置される場所の状況(振動状態、あるいはさらに温度環境等)に基づいて予測できるため、制御信号生成部S1が生成する制御信号の周期およびデューティは、振動発電素子10の構成や、振動発電素子10の設置状況に基づいて決定することが望ましい。
制御信号生成部S1は、発振回路と、発振回路が生成する信号をスイッチング素子T1に出力する回路を備えるものであり、公知の種々の回路を適用することができる。また、制御信号生成部S1への電力は、後述の第3実施形態で説明する制御信号生成部S1aと同様に、チョッパ回路30自体から供給すればよい。
【0026】
なお、上述のように、第1コンデンサC1の電圧値は振動発電素子10の振幅と相関を持つことから、第1実施形態の構成に代えて、スイッチング素子T1のオンおよびオフの制御を、第1コンデンサC1の電圧値に基づいて行うことも考えられる。しかし、第1コンデンサC1の電圧値は、振動発電素子10から供給されるパルス的な電力により脈動する。また、振動発電素子10の振幅が第1コンデンサC1の電圧値に反映されるまでに第1コンデンサC1の充電時間に伴う遅延時間が生じてしまう。
よって、第1コンデンサC1の電圧値に基づく制御では、第1コンデンサC1の電圧値の上記の脈動や遅延時間により誤差が生じ易く、正確な制御を行うことは難しい。
従って、上述の第1実施形態では、制御信号生成部S1は、第1コンデンサc1の電圧を参照することなく制御信号を生成する構成となっており、これにより、第1コンデンサC1から第2コンデンサC2に移送する電気エネルギーの量を最適な値に設定することを実現している。
【0027】
(振動発電素子の変形例)
図3は、変形例の振動発電素子10aを示す概略図である。振動発電素子10aは、上述の図2の振動発電素子10に対し、保持部14を挟んで図中の下側に、もう一つの振動発電素子10を上下反転させて並列して配置したような構成である。
【0028】
2つの固定電極である第2電極12aおよび第2電極12bは、それぞれ支持枠13の+X側および−X側の端部の内側に固定されている。一方、2つの可動電極である第1電極11aおよび第1電極11bは、保持部14を構成する電極保持部14aのそれぞれ+X側および−X側に設置されている。第1電極11aと第1電極11bは、配線W0で相互に接続されている。第2電極12a、12bのそれぞれの櫛歯部分16a、16bのうち、第1電極11a、11bの櫛歯部分15a、15bと対向する面の表面の領域17a、17bには、負の電荷を有するエレクトレットが形成されている。
【0029】
外部からの振動により保持部14が振動すると、第2電極12a、12bに対して、第1電極11a、11bは一体としてX方向に振動する。振動の各位相において、第1電極11aと第2電極12aが対向する面積が増大するときには、第1電極11bと第2電極12bが対向する面積は減少する。従って、配線W0で相互に接続されている第1電極11aと第1電極11bに対して、第2電極12aおよび第2電極12bには相互に位相が反転した電圧が発生する。
【0030】
第2電極12bに接続されている出力線W1は、図1中の整流回路20を構成する第1ダイオードD1のアノードおよび第3ダイオードD3のカソードに接続されている。一方の第2電極12aに接続されている出力線W2は、第2ダイオードD2のアノードおよび第4ダイオードD4のカソードに接続されている。
変形例の振動発電素子10aは、図2に示した振動発電素子10に対して、装置面積および装置体積あたりの発電量をより多く得ることができる。
【0031】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態の電源回路50aおよび振動発電装置100aの概略構成を示す模式図である。なお、上述の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付して、説明を省略する。
第2実施形態の電源回路50aは、負電圧を出力する整流回路20aと、整流回路20aからの負電圧を正電圧に変換するチョッパ回路30aを備える点で、上述の第1実施形態と異なる。すなわち、振動発電素子10から入力される交流電力は、整流回路20aにより負電圧のパルス電力に整流され、第1コンデンサC1に蓄積される。そして、チョッパ回路30aにより正電圧に変換され、第2コンデンサC2に蓄積される。それ以降の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
なお、チョッパ回路30aは、負の入力電圧を正の出力電圧に反転して出力するので、以降、反転チョッパ回路30aとも呼ぶ。
【0032】
反転チョッパ回路30aは、チョッパタイミングを制御する一例としてnMOSトランジスタ(nMOSFET)のスイッチング素子T2と、スイッチング素子T2に一定の周期およびデューティの制御信号を供給する制御信号生成部S2とを備えている。従って、スイッチング素子T2は、一定の周期で、一定のデューティで(すなわち一定の時間比率で)オンになる。制御信号生成部S2は、図1に示した制御信号生成部S1と同様に、発振回路と、発振回路が生成する信号をスイッチング素子T2に出力する回路を備えるものであり、公知の種々の回路を適用することができる。
【0033】
第1コンデンサC1には負電圧の電力が蓄えられているので、スイッチング素子T2がオンになると、第1コンデンサC1に蓄えられている電力は、電流となって第1コンデンサC1、グランド線、コイルL2およびスイッチング素子T2の順に流れる。このとき、コイルL2には、電気エネルギーが磁気エネルギーに変換されて蓄積される。一方、整流ダイオードD10はスイッチング素子T2側にアノードが接続されているため逆バイアスとなり、整流ダイオードD10および第2コンデンサC2には電流は流れない。
【0034】
スイッチング素子T2がオフになると、コイルL2の自己インダクタンスにより、コイルL2に蓄えられた磁気エネルギーが電流のエネルギーに変換される。このときには、コイルL2のグランドとは反対側が正の電圧となるため整流ダイオードD10は正バイアスとなり、電流は整流ダイオードD10を通って反転チョッパ回路30aの出力部P2に流れ、第2コンデンサC2に正電圧の電気エネルギーが蓄積される。
以上のように、反転チョッパ回路30aにより、負電圧の電力が、正電圧の電力に変換される。
第2実施形態においても、電圧変換回路40およびそれ以降の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
なお、第2実施形態においても、振動発電素子10の代わりに、図3に示した変形例の振動発電素子10aを用いることができる。
【0035】
第2実施形態においても、チョッパ回路(反転チョッパ回路30a)は、一定の周期およびデューティの制御信号を発生する制御信号生成部S2を備えており、一定量の電気エネルギーを第1コンデンサC1から第2コンデンサC2に移送することができる。そして、制御信号生成部S2が生成する制御信号の周期およびデューティを、振動発電素子10の発電量に合わせて最適な値に設定することにより、第1コンデンサC1から第2コンデンサC2に移送する電気エネルギーの量を最適な値に設定することができる。これにより、振動発電素子10の振幅を最適な値に保つことができ、振動発電素子10の発電効率を高めることができる。
【0036】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態の電源回路50bおよび振動発電装置100bの概略構成を示す模式図である。なお、上述の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付して、説明を省略する。
第3実施形態の電源回路50bおよび振動発電装置100bは、制御信号生成部S1aが、振動発電素子10bの振動の振幅に基づく状態信号を受信して、その状態信号に基づいて制御信号を生成する構成である点で、上述の第1実施形態とは異なっている。
【0037】
図6は、上記状態信号を出力する振動発電素子10bの概要を示す図である。図2に示した振動発電素子10と同様の部分については、同一の符号を付して、説明を省略する。
振動発電素子10bは、図2に示した振動発電素子10に対して、さらに別の電極対を有する構成となっている。すなわち、第1電極11と第2電極12の対に平行して、Y方向にずれた位置に、対になって配列される第3電極21と第4電極22とを有している。第3電極21と第4電極22の構成は、それぞれ第1電極11と第2電極12と同様である。そして、第4電極22の櫛歯部分23のうち、第3電極21と対向する面の表面の領域24には、負の電荷を有するエレクトレットが形成されている。
【0038】
第4電極22は支持枠13により固定的に保持される。一方、第3電極21は、保持部14により保持され、第1電極11と一体となって支持枠13に対して図中の上下方向(X方向)に振動するように保持されている。従って、振動発電素子10bがX方向に振動すると、第3電極21と第4電極22との間にも、第1電極11と第2電極12との間に発生する電圧と、同符号の電圧が発生する。
ただし、図6に示してあるように、第3電極21および第4電極22のX方向の長さは、第1電極11と第2電極12のX方向の長さよりも短く、電極間の対向部の面積も小さい。そのため、振動により第3電極21と第4電極22との間に発生する電力は、第1電極11と第2電極12との間に発生するよりも小さなものとなる。
【0039】
第3電極21からの出力線W3は、図5中の制御信号生成部S1aの中の抵抗素子R2の一端に接続されている。一方、第4電極22からの出力線W4は、電源回路50bのグランドに接続されている。
なお、出力線W3を、第3電極21ではなく第4電極22に接続し、出力線W4を、第4電極22ではなく第3電極21に接続する構成としても構わない。
【0040】
図7は、出力線W3から出力される電圧VW3を示す図である。グラフの横軸は時間tを表し、縦軸は電圧Vを表す。電圧VW3は、周期が振動発電素子10bの振動の周期に伴って概ね正弦波状に変動する交流電圧である。電圧VW3の振幅は、振動発電素子10bの第3電極21と第4電極22との振動の振幅と、正の相関を有している。第3電極21と第4電極22との振動の振幅は、上述のとおり、電源回路50bに供給される電力を生じさせる第1電極11と第2電極12との振動の振幅(振動発電素子10bの振幅)と同一である。
【0041】
よって、電圧VW3の振幅は、振動発電素子10bの振幅に基づくものとなっている。換言すれば、電圧VW3は、振動発電素子10bの振動の振幅に基づく状態信号である。
振動発電素子10bが発電効率を最大にする最適振幅で振動している場合には、電圧VW3の電圧の振幅が、図7中に破線で示した最適電圧V1に一致する。
【0042】
電圧VW3の電圧の振幅が最適電圧V1よりも大きい場合には、振動発電素子10bは最適振幅よりも大きな振幅で振動しているため、発電効率が低下する。従って、第1コンデンサC1の電圧を増大させることで振動発電素子10bの負荷を増大させ、振動発電素子10bの振幅を最適振幅に近づけることが望ましい。このためには、チョッパ回路30b中のスイッチング素子T1aをオフすることが望ましい。
【0043】
一方、電圧VW3の電圧の振幅が最適電圧V1よりも小さい場合には、振動発電素子10bは最適振幅よりも小さな振幅で振動しているため、やはり発電効率が低下する。従って、第1コンデンサC1の電圧を低下させることで振動発電素子10bの負荷を減少させ、振動発電素子10bの振幅を最適振幅に近づけることが望ましい。このためには、チョッパ回路30b中のスイッチング素子T1aをオンして、第1コンデンサC1に蓄積された電荷を第2コンデンサC2に移送することが望ましい。
従って、電圧VW3に基づいて、チョッパ回路30b中のスイッチング素子T1aを制御することにより、発電効率を最大にする最適振幅で振動発電素子10bを振動させることができる。
【0044】
制御信号生成部S1aは、スイッチング素子T1aを上記のように制御する回路を備えている。
抵抗素子R1の一端はチョッパ回路30bの入力部P1に接続され、他端はツェナーダイオードDaのカソードに接続されており、ツェナーダイオードDaのアノードはグランドに接続されている。ツェナーダイオードDaのカソードの電圧は、入力部P1の電圧が抵抗R1により電圧降下した電圧であるが、ツェナーダイオードDaの降伏電圧の絶対値より高電圧であれば、正の一定値(ツェナーダイオードDaの降伏電圧の絶対値)に保たれる。
【0045】
抵抗素子R2の、電圧VW3が入力される一端とは反対側の他端である分圧部P3には、抵抗素子R3の一端が接続され、抵抗素子R3の他端はグランドに接続されている。分圧器を構成する抵抗素子R2と抵抗素子R3の抵抗値は、電圧VW3が上述の最適電圧V1にほぼ一致した場合に、分圧部P3の電圧がツェナーダイオードDaの降伏電圧の絶対値に一致するように設定されている。この設定を容易にするために、図5中に示したように、抵抗素子R2、R3の少なくとも一方(図5では抵抗素子R2)は、可変抵抗であることが望ましい。
【0046】
そして、電圧VW3に比例する分圧部P3の電圧と、ツェナーダイオードDaのカソードの電圧とをコンパレータ回路CPに入力し電圧比較を行うことで、電圧VW3が、振動発電素子10の発電効率を最大にする最適電圧V1以上であるか、それ以下であるかを判断する。
コンパレータ回路CPのプラス側入力には、ツェナーダイオードDaのカソードの電圧が入力される。一方、マイナス側入力には、分圧部P3の電圧が入力される。
また、コンパレータ回路CPのプラス側電源にはツェナーダイオードDaのカソードの電圧が入力され、マイナス側電源にはグランドが接続される。
【0047】
分圧部P3の電圧が、ツェナーダイオードDaのカソードの電圧より高ければ、コンパレータ回路CPは、ゼロ電圧(グランド電位)を出力する。
分圧部P3の電圧が、ツェナーダイオードDaのカソードの電圧より低ければ、コンパレータ回路CPは、正の電圧を出力する。
コンパレータ回路CPの出力は、nMOSトランジスタ(nMOSFET)T3のゲートに入力される。
【0048】
コンパレータ回路CPの出力が正であれば、トランジスタT3はオンになり、抵抗素子R5を流れる電流による電圧降下により、pMOSトランジスタ(pMOSFET)であるスイッチング素子T1aのゲートの電圧が、スイッチング素子T1aのソースの電圧より低電圧(負側の電圧)になり、スイッチング素子T1aがオンになる。なお、電圧降下の量を調整できるように、抵抗素子R5は可変抵抗であることが好ましい。
【0049】
一方、コンパレータ回路CPの出力がゼロ(グランド電位)であれば、トランジスタT3はオフになり、その結果pMOSトランジスタであるスイッチング素子T1aのゲートの電圧は、スイッチング素子T1aのソースの電圧に等しくなるため、スイッチング素子T1aがオフになる。
【0050】
なお、トランジスタT3のゲートとグランドの間に配置される抵抗素子R4は、トランジスタT3のゲートに一時的に蓄積されたコンパレータ回路CPの出力をグランドに放電させるための抵抗素子であり、放電時間の調整のために可変抵抗であることが好ましい。
また、第2ツェナーダイオードDbは、入力部P1の電圧の絶対値が小さくnMOSトランジスタT3の動作が不安定な状態において、第2ツェナーダイオードDbおよび抵抗素子R5を遮断し、スイッチング素子T1aをオフにするための素子である。
【0051】
以上で説明したとおり、制御信号生成部S1aは、振動発電素子10bの振動の振幅に基づく状態信号である電圧VW3を受信し、それに基づいて制御信号を生成し、その制御信号をスイッチング素子T1aに供給する。これにより、第3実施形態の電源回路50bおよび振動発電装置100bは、振動発電素子10bの振幅を最適な値に保つことができ、振動発電素子10bの発電効率を高めることができる。
【0052】
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態の電源回路50cおよび振動発電装置100cの概略構成を示す模式図である。なお、上述の第2実施形態および第3実施形態と同様の部分には、同一の符号を付して、説明を省略する。
第4実施形態の電源回路50cおよび振動発電装置100cは、負電圧を出力する整流回路20aと、整流回路20aからの負電圧を正電圧に変換するチョッパ回路30cを備える点で、上述の第2実施形態と類似する。ただし、チョッパ回路30c内に設けられた制御信号生成部S2aが、上述の第3実施形態と同様に、振動発電素子10bの振動の振幅に基づく状態信号を受信して、その状態信号に基づいて制御信号を生成する構成である点で、第2実施形態とは異なっている。
【0053】
第4実施形態の振動発電装置100cが備える振動発電素子は、図6に示した振動発電素子10bと同様であるので説明を省略する。
制御信号生成部S2aは、振動発電素子10bの振動の振幅に基づく状態信号を受信して、その状態信号に基づいて制御信号を生成する。制御信号生成部S2aの構成は、図5に示した制御信号生成部S1aの構成に似ている。ただし、図5のチョッパ回路30bが正電圧で動作する回路であるのに対し、図8に示す本実施形態では負電圧を正電圧に変換する反転チョッパ回路30cを備えているため、構成の詳細は異なっている。
【0054】
抵抗素子R1の一端は反転チョッパ回路30cの入力部P1に接続され、他端はツェナーダイオードDcのアノードに接続されており、ツェナーダイオードDcのカソードはグランドに接続されている。ツェナーダイオードDcのアノードの電圧は、入力部P1の電圧が抵抗R1により電圧降下した電圧であるが、ツェナーダイオードDcの降伏電圧より負電圧であれば、負の一定値(ツェナーダイオードDcの降伏電圧)に保たれる。
【0055】
上述の第3実施形態と同様に、振動発電素子10bの第3電極21に繋がっている出力線W3の他端は、分圧器を構成する抵抗素子R2と抵抗素子R3の、抵抗素子R2の端部に接続されている。そして、抵抗素子R2と抵抗素子R3のそれぞれの抵抗値は、電圧VW3が、絶対値が上述の最適電圧V1である負値(以下、負の最適電圧VMと呼ぶ)に一致した場合に、分圧部P3の電圧がツェナーダイオードDcの降伏電圧に一致するように設定されている。
【0056】
そして、電圧VW3に比例する分圧部P3の電圧と、ツェナーダイオードDcのアノードの電圧とをコンパレータ回路CPに入力し電圧比較を行うことで、電圧VW3が、振動発電素子10の発電効率を最大にする負の最適電圧VM以上であるか、それ以下であるかを判断する。
コンパレータ回路CPのマイナス側入力には、ツェナーダイオードDcのアノードの電圧が入力される。一方、プラス側入力には、分圧部P3の電圧が入力される。
また、コンパレータ回路CPのプラス側電源にはグランドが接続され、マイナス側電源にはツェナーダイオードDcのアノードの電圧が入力される。
【0057】
分圧部P3の電圧が、ツェナーダイオードDcのカソードの電圧よりも正であれば、コンパレータ回路CPは、ゼロ電圧(グランド電位)を出力する。
分圧部P3の電圧が、ツェナーダイオードDcのカソードの電圧よりも負であれば、コンパレータ回路CPは、負の電圧を出力する。
コンパレータ回路CPの出力は、pMOSトランジスタ(pMOSFET)T4のゲートに入力される。
【0058】
コンパレータ回路CPの出力が負であれば、トランジスタT4はオンになり、抵抗素子R5を流れる電流による電圧降下により、nMOSトランジスタ(nMOSFET)であるスイッチング素子T2aのゲートの電圧が、スイッチング素子T2aのソースの電圧よりも正側の電圧になり、スイッチング素子T2aがオンになる。
【0059】
一方、コンパレータ回路CPの出力がゼロ(グランド電位)であれば、トランジスタT4はオフになり、その結果nMOSトランジスタであるスイッチング素子T2aのゲートの電圧は、スイッチング素子T2aのソースの電圧に等しくなるため、スイッチング素子T2aがオフになる。
なお、第2ツェナーダイオードDdは、第3実施形態の第2ツェナーダイオードDbと同様に、入力部P1の電圧の絶対値が小さくpMOSトランジスタT4の動作が不安定な状態において、第2ツェナーダイオードDdおよび抵抗素子R5を遮断し、スイッチング素子T2aをオフにするための素子である。
【0060】
以上で説明したとおり、制御信号生成部S2aは、振動発電素子10bの振動の振幅に基づく状態信号である電圧VW3を受信し、それに基づいて制御信号を生成し、その制御信号をスイッチング素子T2aに供給する。これにより、第4実施形態の電源回路50cおよび振動発電装置100cは、振動発電素子10bの振幅を最適な値に保つことができ、振動発電素子10bの発電効率を高めることができる。
【0061】
なお、上述の第3実施形態および第4実施形態においても、図3に示したように保持部14の両側(+X側、−X側)に電極の形成された振動発電素子を用いることもできる。この場合には、図6の振動発電素子10bの第3電極21および第4電極22についても、保持部14の−X側にも形成し、2つの第3電極21を導線でつなぐとともに、出力線W3は保持部14の−Xに設けた新たな第4電極に接続することができる。あるいは、第3電極21および第4電極22は、図6と同様に保持部14の+X側にのみ設けてもよい。
【0062】
(実施形態の効果)
(1)上述の各実施形態および各変形例の電源回路50は、振動発電素子10、10aから入力される電力を外部負荷に出力する。この電源回路50は、振動発電素子10、10aから入力される交流電力を整流する整流回路20、整流回路20から出力される電力を蓄積する第1コンデンサC1、チョッパタイミングを制御するスイッチング素子T1、T2を有し入力部が第1コンデンサC1に接続されているチョッパ回路30、スイッチング素子T1、T2に制御信号を供給する制御信号生成部S1、S2、を備えるともに、制御信号生成部S1、S2は、第1コンデンサC1の電圧を参照することなく制御信号を生成する構成となっている。
この構成により、振動発電素子10、10aの振幅を最適な値に保つことができ、振動発電素子10、10aの発電効率を高め、環境振動のエネルギーを高効率で電気エネルギーに変換することができる。
【0063】
(2)(1)において、入力部がチョッパ回路30の出力部に接続されている電圧変換回路40をさらに備える構成とすることで、電源回路50から、外部負荷ROに適した電圧を出力することができ、これにより、種々の外部負荷ROに適した電源回路50を実現することができる。(3)(1)または(2)において、制御信号生成部S1、S2は、一定の周期およびデューティを有する制御信号を生成する構成とすることもでき、一定量の電気エネルギーを第1コンデンサC1から第2コンデンサC2に移送することができ、振動発電素子10、10aの振幅をさらに最適な値に保つことができる。
(4)(3)において、周期およびデューティは、振動発電素子10、10aおよび振動発電素子10、10aの設置状況に基づいて決定されている構成とすることができ、これにより、振動発電素子10、10aの振幅をさらに最適な値に保つことができる。
(5)(1)または(2)において、制御信号生成部S1a、S2aは、振動発電素子10bの振動の振幅に基づく状態信号を受信し、状態信号に基づいて制御信号を生成する構成とすることができ、これにより、振動発電素子10bの振幅をさらに最適な値に保ち、発電効率をさらに高めることができる。
【0064】
(6)上述の第1実施形態および第2実施形態および各変形例の振動発電装置100、100aは、(1)から(4)までのいずれかに記載の電源回路50と、電源回路50に電力を供給する振動発電素子10、10aとを備えている。
この構成により、振動発電素子10、10aの振幅を最適な値に保つことができ、振動発電素子10、10aの発電効率を高め、環境振動のエネルギーを高効率で電気エネルギーに変換することができる。
(7)上述の第3実施形態および第4実施形態および各変形例の振動発電装置100b、100dは、(5)に記載の電源回路50b、50cと、電源回路50b、50cに電力を供給する振動発電素子10bとを備えている。
この構成により、振動発電素子1bの振幅を最適な値に保つことができ、振動発電素子10bの発電効率を高め、環境振動のエネルギーを高効率で電気エネルギーに変換することができる。
【0065】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、各実施形態および変形例は、それぞれ単独で適用しても良いし、組み合わせて用いても良い。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
100,100a,100b,100c…振動発電装置、10,10a,10b…振動発電素子、20,20a…整流回路、30,30a,30b,30c…チョッパ回路、S1,S2,S1a,S2b…制御信号生成部、40…電圧変換回路、C1…第1コンデンサ、C2…第2コンデンサ、C3…第3コンデンサ、RO…外部負荷、T1,T2,T1a,T2a…スイッチング素子、CP…コンパレータ回路、Da,Dc…ツェナーダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8