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特開2019-214181加飾フィルムの製造方法、加飾フィルム付き3次元成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-214181(P2019-214181A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】加飾フィルムの製造方法、加飾フィルム付き3次元成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20191122BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20191122BHJP
   B29C 51/12 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   B32B27/30 D
   B29C51/10
   B29C51/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-113006(P2018-113006)
(22)【出願日】2018年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100121393
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(72)【発明者】
【氏名】尾知 修平
(72)【発明者】
【氏名】由上 栞
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 剛
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊
【テーマコード(参考)】
4F100
4F208
【Fターム(参考)】
4F100AK03A
4F100AK03J
4F100AK17A
4F100AK17B
4F100AK17J
4F100AK19A
4F100AK42C
4F100AK74D
4F100AL01A
4F100AL01B
4F100AT00C
4F100AT00D
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100BA16
4F100CC01B
4F100EH462
4F100EH46B
4F100EJ083
4F100EJ08B
4F100EJ242
4F100EJ42
4F100EJ862
4F100EJ86B
4F100GB32
4F100GB33
4F100JB04A
4F100JB04B
4F100YY00
4F208AA16
4F208AC03
4F208AD18
4F208AG03
4F208MA01
4F208MB01
4F208MB11
4F208MC10
4F208MG04
4F208MG11
(57)【要約】
【課題】耐擦傷性および層間密着性に優れる加飾フィルム、加飾フィルム付き3次元成形品の製造方法の提供。
【解決手段】架橋性基を有さない含フッ素重合体を含む第1層上に、架橋性基を有する含フッ素重合体、硬化剤、および、溶媒を含む組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜を硬化させて第2層を形成する、加飾フィルムの製造方法であって、架橋性基を有さない含フッ素重合体の溶解パラメータと、溶媒の溶解パラメータとの差の絶対値が、9.0(J/cm1/2以下であることを特徴とする加飾フィルムの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性基を有さない含フッ素重合体を含む第1層上に、架橋性基を有する含フッ素重合体、硬化剤、および、溶媒を含む組成物を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させて第2層を形成する、加飾フィルムの製造方法であって、
前記架橋性基を有さない含フッ素重合体の溶解パラメータと、前記溶媒の溶解パラメータとの差の絶対値が、9.0(J/cm1/2以下であることを特徴とする加飾フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記架橋性基を有さない含フッ素重合体が、フルオロオレフィンに基づく単位を含む、請求項1に記載の加飾フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記架橋性基を有さない含フッ素重合体が、ポリフッ化ビニリデン、ならびに、フルオロオレフィンに基づく単位およびアルケンに基づく単位を含む含フッ素重合体からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1または2に記載の加飾フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記架橋性基を有する含フッ素重合体が、フルオロオレフィンに基づく単位および架橋性基を有する単位を含み、
前記架橋性基が、水酸基およびカルボキシ基からなる群から選択される1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記溶媒の溶解パラメータが、12.0〜29.0(J/cm1/2である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記溶媒が、ケトンおよびエステルからなる群から選択される1種以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記第1層が、基材フィルム上に配置されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により製造される加飾フィルムと3次元成形品の被加飾面とを減圧下で圧着して、前記第2層を最表面に有する加飾フィルム付き3次元成形品を得ることを特徴とする加飾フィルム付き3次元成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾フィルムの製造方法、および、加飾フィルム付き3次元成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用内外装品等の分野で使用される3次元成形品の表面は、意匠性の付与や表面の保護を目的として、加飾フィルムによる加飾が施される場合がある。特許文献1には、ポリフッ化ビニリデンを含む層を表面に有する加飾フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−184726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特許文献1に記載のポリフッ化ビニリデンを含む層を表面に有する加飾フィルムは、耐擦傷性について改善の余地があるのを知見した。
また、加飾フィルムにおいては、含まれる層同士の密着性(以下、「層間密着性」ともいう。)に優れるのが望ましい。
【0005】
本発明は、耐擦傷性および層間密着性に優れる加飾フィルムの提供を課題とする。
また、本発明は、加飾フィルム付き3次元成形品の製造方法の提供も課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の構成により課題を解決できるのを見出した。
【0007】
(1) 架橋性基を有さない含フッ素重合体を含む第1層上に、架橋性基を有する含フッ素重合体、硬化剤、および、溶媒を含む組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜を硬化させて第2層を形成する、加飾フィルムの製造方法であって、
架橋性基を有さない含フッ素重合体の溶解パラメータと、溶媒の溶解パラメータとの差の絶対値が、9.0(J/cm1/2以下であることを特徴とする加飾フィルムの製造方法。
(2) 架橋性基を有さない含フッ素重合体が、フルオロオレフィンに基づく単位を含む、(1)に記載の加飾フィルムの製造方法。
(3) 架橋性基を有さない含フッ素重合体が、ポリフッ化ビニリデン、ならびに、フルオロオレフィンに基づく単位およびアルケンに基づく単位を含む含フッ素重合体からなる群から選択される1種以上を含む、(1)または(2)に記載の加飾フィルムの製造方法。
(4) 架橋性基を有する含フッ素重合体が、フルオロオレフィンに基づく単位および架橋性基を有する単位を含み、
架橋性基が、水酸基およびカルボキシ基からなる群から選択される1種以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の加飾フィルムの製造方法。
(5) 溶媒の溶解パラメータが、12.0〜29.0(J/cm1/2である、(1)〜(4)のいずれかに記載の加飾フィルムの製造方法。
(6) 溶媒が、ケトンおよびエステルからなる群から選択される1種以上である、(1)〜(5)のいずれかに記載の加飾フィルムの製造方法。
(7) 第1層が、基材フィルム層上に配置されている、(1)〜(6)のいずれかに記載の加飾フィルムの製造方法。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法により製造される加飾フィルムと3次元成形品の被加飾面とを減圧下で圧着して、第2層を最表面に有する加飾フィルム付き3次元成形品を得ることを特徴とする加飾フィルム付き3次元成形品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐擦傷性および層間密着性に優れる加飾フィルムを提供できる。
また、本発明によれば、加飾フィルム付き3次元成形品の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における用語の意味は以下の通りである。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」および「メタクリレート」の総称であり、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」の総称である。
「単位」とは、単量体が重合して直接形成された、上記単量体1分子に基づく原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。なお、重合体が含む全単位に対する、それぞれの単位の含有量(モル%)は、重合体を核磁気共鳴スペクトル(NMR)法により分析して求められる。
「酸価」と「水酸基価」は、それぞれ、JIS K 0070−3(1992)の方法に準じて測定される値である。
「ガラス転移温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定される、重合体の中間点ガラス転移温度である。「ガラス転移温度」は「Tg」ともいう。
「軟化温度」は、JIS K 7196(1991)の方法に準じて測定される値である。
「数平均分子量」および「重量平均分子量」は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値である。「数平均分子量」は「Mn」ともいい、「重量平均分子量」は「Mw」ともいう。
【0010】
「溶解パラメータ」とは、化合物の凝集エネルギー密度、すなわち1分子の単位体積当たりの蒸発エネルギーを1/2乗した値であり、単位体積当たりの極性の大きさを示す指標である。「溶解パラメータ」は、「SP値」(Solubility Parameter)ともいう。
【0011】
加飾フィルムの厚さは、渦電流式膜厚計(商品名「EDY−5000」、サンコウ電子社製)を用いて測定される値である。加飾フィルムにおける各層の層厚は、エネルギー分散型X線分析装置を備えた走査型電子顕微鏡によって加飾フィルムの断面を観察して得られる各層の層厚の比と、加飾フィルムの厚さとから算出される値である。
「全光線透過率」は、JIS K 7361−1:1997に準拠し、D光源にて測定される値である。
各組成物の「固形分」の質量とは、各組成物が溶媒を含む場合に、各組成物から溶媒を除去した質量である。なお、溶媒以外の組成物の固形分を構成する成分に関して、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。なお、組成物の固形分の質量は、組成物を130℃で20分加熱した後に残存する質量として求められる。
【0012】
本発明の加飾フィルムの製造方法は、架橋性基を有さない含フッ素重合体(以下、「第1重合体」ともいう。)を含む第1層上に、架橋性基を有する含フッ素重合体(以下、「第2重合体」ともいう。)、硬化剤、および、溶媒を含む組成物(以下、「第2層形成剤」ともいう。)を塗布して塗膜を形成し、塗膜を硬化させて第2層を形成する、加飾フィルムの製造方法であって、第1重合体のSP値と、溶媒のSP値との差の絶対値が、9.0(J/cm1/2以下であることを特徴とする。
第1層中に含まれる第1重合体のSP値と、溶媒のSP値との差を所定の範囲に調整すると、上記組成物を第1層上に塗布する際に、第1層の表面の第1重合体の一部が溶解する。結果として、第1層の表面に凹凸形状が形成され、その凹凸に第2層を構成する成分が入り込み、第1層と第2層との層間密着性が向上すると考えられる。
また、第2層は第2重合体を用いて硬化させてなる層であるため、第2層には架橋構造が導入され、加飾フィルムの耐擦傷性も向上すると考えられる。
さらには、第1層は架橋性基を有さない含フッ素重合体を含むため、第2層と比較して柔軟性に優れる。したがって、第2層表面に対して力が加えられた場合にも、第2層と好適に密着した第1層によって、その力を緩和できる。そのため、加飾フィルムの耐擦傷性がさらに優れると考えられる。
以下、本発明の加飾フィルムの製造方法によって得られる加飾フィルムを、「本加飾フィルム」ともいう。
【0013】
本発明の加飾フィルムの製造方法の一実施形態は、好ましくは以下の工程1〜工程3を有する。
工程1:基材フィルム上に第1重合体を含む第1層を形成する工程
工程2:第1層上に、第2層形成剤を塗布して塗膜を形成する工程
工程3:塗膜を硬化させて、第2層を形成する工程
以下、本実施形態の手順について、詳述する。
【0014】
工程1は、基材フィルム上に第1重合体を含む第1層を形成する工程である。本工程により、第1層が形成される。
以下では、まず、本工程で使用される材料について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
【0015】
基材フィルムは、本加飾フィルムを製造する際に、各層を支持するための支持材として機能する。
基材フィルムを構成する材料の具体例は、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン樹脂が挙げられる。中でも、基材フィルムを構成する材料は、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、および、(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。
基材フィルムの厚さは、10〜500μmが好ましく、20〜100μmが特に好ましい。
基材フィルムは、少なくとも片面に凹凸模様を有していてもよい。凹凸模様は、エンボス加工、ヘアーライン加工、ケミカルエッチング加工等の加工方法により形成できる。
【0016】
第1重合体は、架橋性基を有さない。第1重合体が架橋性基を有さないとは、第1重合体が含む全単位に対して、架橋性基を有する単位の含有量が2モル%未満であり、好ましくは1モル%未満、特に好ましくは0モル%であることを意味する。第1重合体が架橋性基を有さないことで、架橋による層の硬化や、架橋性基間の相互作用が生じず、第1層の柔軟性が保持される。このため、本発明の加飾フィルムにおいては、加飾フィルム表面に配置する第2層に対して力が加えられた場合でも、第1層によってその力を緩和できる。
架橋性基の具体例としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基が挙げられる。
第1重合体は、フルオロオレフィンに基づく単位(以下、「単位F」ともいう。)を含むのが好ましい。
フルオロオレフィンは、水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたオレフィンである。フルオロオレフィンは、フッ素原子で置換されていない水素原子の1個以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンの具体例としては、CF=CF、CF=CFCl、CF=CHF、CH=CF、CF=CFCF、CF=CHCF、CFCH=CHF、CFCF=CH、式CH=CXf1(CFn2f1(式中、Xf1およびYf1は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、n2は2〜10の整数である。)で表される化合物が挙げられる。
フルオロオレフィンは、2種以上を併用してもよい。
第1重合体中の単位Fの含有量は、第1重合体が含む全単位に対して、20〜100モル%が好ましい。
【0017】
第1重合体は、ポリフッ化ビニリデン、および、単位Fならびにアルケンに基づく単位を含む含フッ素重合体(以下、「第11重合体」ともいう。)からなる群から選択される1種以上であるのが好ましい。
【0018】
ポリフッ化ビニリデンとは、フッ化ビニリデンを重合して得られる高分子である。ポリフッ化ビニリデンは、顔料等と併用することで加飾フィルムに意匠性を付与しやすく、また耐候性に優れる点で好ましい。
ポリフッ化ビニリデンは、フッ化ビニリデンの単独重合体であってもよいし、ポリフッ化ビニリデンの特性を損なわない範囲において、フッ化ビニリデンと他の単量体との共重合体であってもよい。他の単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン等の炭化水素系ビニル単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル単量体、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系ビニル単量体が挙げられる。
なお、ポリフッ化ビニリデンの特性を損なわない範囲とは、上記他の単量体に基づく単位の含有量が、ポリフッ化ビニリデンが含む全単位に対して、70モル%以下であることを意味し、50モル%未満がより好ましく、5モル%未満がさらに好ましく、3モル%未満が特に好ましい。
ポリフッ化ビニリデンのMwは、加飾フィルムの柔軟性に優れる点から、50,000〜5,000,000が好ましく、70,000〜500,000が特に好ましい。
【0019】
第11重合体は、顔料等と併用することで加飾フィルムに意匠性を付与しやすく、また柔軟性に優れる点で好ましい。第11重合体の具体例としては、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体が挙げられる。
第11重合体に含まれる単位Fの具体例は、第1重合体の説明で挙げた通りである。
第11重合体中の単位Fの含有量は、第11重合体が含む全単位に対して、20〜80モル%が好ましく、40〜60モル%が特に好ましい。
【0020】
第11重合体に含まれるアルケンに基づく単位のアルケンとしては、炭素数2〜15のアルケンが好ましい。また、上記アルケンは、二重結合を有しハロゲン原子等を有さない不飽和炭化水素である。アルケンは、2種以上を併用してもよい。
アルケンの具体例としては、エチレン、プロピレン、イソブテンが挙げられ、エチレンが好ましい。つまり、第11重合体はエチレンに基づく単位を含むのが好ましい。
アルケンに基づく単位の含有量は、第11重合体が含む全単位に対して、20〜80モル%が好ましく、40〜60モル%が特に好ましい。
【0021】
第11重合体は上述した以外の単位を含んでいてもよい。
上記単位としては、以下の化合物に基づく単位が挙げられる。
・式CF=CFORf21(Rf21は、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。)で表される化合物等のフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ペルフルオロ(ブチルビニルエーテル)等)。
・式CF=CFORf22SOf22(Rf22はエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のフルオロアルキレン基であり、Xf22はハロゲン原子または水酸基である。)で表される化合物。
・式CF=CFORf23COf23(Rf23はエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のフルオロアルキレン基であり、Xf23は水素原子または炭素数3以下のアルキル基である。)で表される化合物。
・式CF=CF(CFn2OCF=CF(n2は、1または2である。)で表される化合物(CF=CFOCFCF=CF、CF=CFO(CFCF=CF等)。
・フッ素原子および脂肪族環構造を有する化合物(ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等)。
【0022】
第11重合体のMwは、加飾フィルムの柔軟性に優れる点から、50,000〜500,000が好ましい。
【0023】
第1重合体のSP値としては、加飾フィルムの層間密着性がより優れる点から、12.0〜22.0(J/cm1/2が好ましく、15.0〜20.0(J/cm1/2がより好ましく、16.0〜18.0(J/cm1/2が特に好ましい。第1重合体のSP値は、第1重合体が含む単位の種類および量によって適宜調節できる。
第1重合体のSP値は、第1重合体をNMR分析して得られる、第1重合体が含む単位の種類と量とから、フェドロス(Fedros)法(文献:R.F.Fedros,Polym.Eng.Sci.,14[2]147(1974)を参照)により算出する。具体的には、SP値は下式によって計算される値である。
SP値=(ΔH/V)1/2
ただし、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm)を示す。なお、ΔHおよびVは上記文献に記載の原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)を用いる。なお、1(cal/cm1/2は、2.05(J/cm1/2として換算する。
【0024】
第1層は、第1重合体以外の、架橋性基を有さない樹脂(「他の樹脂」ともいう。)を含んでいてもよい。ただし、第1層は、第2重合体は含まない。
他の樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。第1層がポリフッ化ビニリデンを含む場合、第1層への柔軟性付与の点から、好ましくは(メタ)アクリル樹脂が併用される。この場合、ポリフッ化ビニリデンに対する(メタ)アクリル樹脂の質量比((メタ)アクリル樹脂の質量/ポリフッ化ビニリデンの質量)は、0.1〜9.5が好ましく、0.9〜9.0が特に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリレートの単独重合体や共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル樹脂としては、ポリフッ化ビニリデンとの相溶性に優れる点から、メチルメタクリレート(以下、「MMA」ともいう。)に基づく単位とMMA以外の単量体に基づく単位とからなるMMA共重合体が好ましい。
MMA以外の単量体の具体例としては、MMAを除くアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
MMAに基づく単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂が含む全単位に対して、50〜90モル%が好ましく、55〜85モル%が特に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂のMwは、30,000〜200,000が好ましく、40,000〜150,000が特に好ましい。
【0025】
第1層中に上記他の樹脂が含まれない場合、第1層中における第1重合体の含有量は、本加飾フィルムの耐候性の点から、第1層の全質量に対して、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。上限は、100質量%である。
第1層中に上記他の樹脂が含まれる場合、第1層中における第1重合体および他の樹脂の合計含有量は、本加飾フィルムの柔軟性の点から、第1層の全質量に対して、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。上限は、100質量%である。
また、第1層中に上記他の樹脂が含まれる場合、第1重合体と他の樹脂との合計量に対する、第1重合体の含有量は、加飾フィルムの耐候性の点から、30〜90質量%が好ましく、40〜85質量%が特に好ましい。
第1重合体は、2種以上を併用してもよい。
【0026】
第1層は、第1重合体および他の樹脂以外の成分(「他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。他の成分の具体例としては、フィラー(シリカ等の無機フィラー、樹脂ビーズ等の有機フィラー等)、着色剤(染料、有機顔料、無機顔料、金属またはマイカ等を用いた光輝顔料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、つや消し剤、脱ガス剤が挙げられる。
【0027】
第1層の層厚は、加飾フィルムの延伸性の点から、2〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。
【0028】
工程1の手順としては、基材フィルム上に第1重合体を含む第1層を形成できればよく、例えば、第1重合体を含むフィルム等を基材フィルム上にラミネートする方法が挙げられる。また、他の方法としては、第1重合体を含む溶液を基材フィルム上に塗布して、必要に応じて乾燥処理や加熱処理を施す方法が挙げられる。
【0029】
工程2は、第1層上に、第2層形成剤を塗布して塗膜を形成する工程である。本工程により、第2層の前駆体層に該当する塗膜が形成される。
以下では、まず、本工程で使用される材料について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
【0030】
第2層形成剤は、第2重合体を含む。
第2重合体は、架橋性基を有する。
架橋性基の具体例としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基が挙げられ、第2層の耐衝撃性、柔軟性、耐薬品性がより向上する点から、水酸基、カルボキシ基が好ましく、水酸基が特に好ましい。
第2重合体としては、単位Fおよび架橋性基を有する単位(以下、「単位1」ともいう。)を含む含フッ素重合体(以下、「第21重合体」ともいう)が好ましい。
【0031】
第21重合体に含まれる単位Fの具体例は、第1重合体の説明で挙げた通りである。なかでも、単位Fは、第21重合体の共重合性および耐候性の点から、CF=CF、CF=CFCl、CFCH=CHFおよびCFCF=CHからなる群から選択される少なくとも1種に基づく単位であるのが好ましく、CF=CFおよびCF=CFClの一方または両方に基づく単位であるのがより好ましく、CF=CFClに基づく単位であるのが特に好ましい。
第21重合体中の単位Fの含有量は、第21重合体の共重合性および耐候性の点から、第21重合体が含む全単位に対して、20〜70モル%が好ましく、40〜60モル%がより好ましく、45〜55モル%が特に好ましい。
【0032】
単位1は、架橋性基を有する単量体(以下、「単量体1」ともいう。)に基づく単位であってもよく、単位1を含む含フッ素重合体の架橋性基を、異なる架橋性基に変換させて得られる単位であってもよい。このような単位としては、ヒドロキシ基を有する単位を含む含フッ素重合体に、ポリカルボン酸やその酸無水物等を反応させて、ヒドロキシ基の一部または全部をカルボキシ基に変換させて得られる単位が挙げられる。単位1は、フッ素原子を有さないことが好ましい。
【0033】
架橋性基がヒドロキシ基である単量体1としては、アリルアルコール、および、ヒドロキシ基を有する、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、アリルアルコールまたは式X11−Z11で表される単量体(以下、「単量体11」ともいう。)が好ましい。
11は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−であり、CH=CHO−またはCH=CHCHO−であることが好ましい。
11は、ヒドロキシ基を有する炭素数2〜42の1価の有機基である。上記有機基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。また、上記有機基は、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。
上記有機基としては、水酸基を有する炭素数2〜6のアルキル基、水酸基を有する炭素数6〜8のシクロアルキレン基を含むアルキル基、水酸基を有するポリオキシアルキレン基が好ましい。
【0034】
単量体11の具体例としては、CH=CHO−CH−cycloC10−CHOH、CH=CHCHO−CH−cycloC10−CHOH、CH=CHOCHCHOH、CH=CHCHOCHCHOH、CH=CHOCHCHCHCHOH、CH=CHCHOCHCHCHCHOH、CH=CHOCH−cycloC10−CHO(CHCHO)15Hが挙げられる。なお、「−cycloC10−」はシクロへキシレン基を表し、(−cycloC10−)の結合部位は、通常1,4−である。
単量体11は、2種以上を併用してもよい。
【0035】
架橋性基がカルボキシ基である単量体1としては、不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸等が挙げられ、式X12−Z12で表される単量体(以下、「単量体12」ともいう。)が好ましい。
12は、CH=CH−、CH(CH)=CH−またはCH=C(CH)−であり、CH=CH−またはCH(CH)=CH−であることが好ましい。
12は、カルボキシ基またはカルボキシ基を有する炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基であり、カルボキシ基または炭素数1〜10のカルボキシアルキル基であることが好ましい。
【0036】
単量体12の具体例としては、CH=CHCOOH、CH(CH)=CHCOOH、CH=C(CH)COOH、式CH=CH(CHn1COOHで表される化合物(n1は1〜10の整数である。)が挙げられる。
単量体12は、2種以上を併用してもよい。
【0037】
単量体1としては、単量体11および単量体12の一方のみを用いてもよく、両方を用いてもよい。
単位1の含有量は、第21重合体が含む全単位に対して、2〜40モル%が好ましく、3〜30モル%がより好ましく、5〜20モル%が特に好ましい。単位1の含有量が2モル%以上であれば、加飾フィルムの耐擦傷性に優れる。単位1の含有量が40モル%以下であれば、加飾フィルムの伸長性に優れる。
【0038】
第2重合体は、さらに、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、および、(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上の単量体(以下、「単量体2」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位2」ともいう。)を含むのが好ましい。なお、単位2は、架橋性基を有さない。
また、単量体2は、フッ素原子を含まないのが好ましい。
【0039】
単位2としては、式X−Yで表される単量体に基づく単位が好ましい。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−、または、CH=CHCHO−であり、本加飾フィルムの耐候性に優れる点から、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−、CH=CHCHO−が好ましく、CH=CHO−が特に好ましい。
【0040】
は炭素数1〜24の1価の炭化水素基である。1価の炭化水素基は、直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。また、1価の炭化水素基は、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。また、1価の炭化水素基は、1価の飽和炭化水素基であってもよく1価の不飽和炭化水素基であってもよい。
1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキルアルキル基が好ましく、炭素数2〜12のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基が特に好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基が挙げられる。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロヘキシル基が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル基が挙げられる。
シクロアルキルアルキル基の具体例としては、シクロヘキシルメチル基が挙げられる。
なお、シクロアルキル基またはシクロアルキルアルキル基のシクロアルキル部分、アリール基またはアラルキル基のアリール部分の水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、置換基としてのアルキル基の炭素数は、シクロアルキル基、アリール基、または、アラルキル基の炭素数には含めない。
【0041】
単量体2は、2種以上を併用してもよい。
単量体2の具体例としては、エチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、ピバル酸ビニルエステル、ネオノナン酸ビニルエステル(HEXION社製、商品名「ベオバ9」)、ネオデカン酸ビニルエステル(HEXION社製、商品名「ベオバ10」)、安息香酸ビニルエステル、tert−ブチル安息香酸ビニルエステル、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
単位2の含有量は、第2重合体が含む全単位に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%が特に好ましい。
【0042】
第2重合体は、本加飾フィルムの耐擦傷性が向上する点から、第2重合体が含む全単位に対して、単位Fと単位1と単位2とを、この順にそれぞれ20〜70モル%、2〜40モル%、5〜60モル%含むのが好ましい。
第2重合体のTgは、本加飾フィルム表面の耐久性が向上する点から、25〜120℃が好ましく、30〜100℃がより好ましく、40〜80℃が特に好ましい。
第2重合体のMnは、本加飾フィルムの柔軟性の点から、2,000〜30,000が好ましく、5,000〜20,000がより好ましく、7,000〜18,000が特に好ましい。
【0043】
第2重合体がカルボキシ基を有する場合、第2重合体の酸価は、本加飾フィルムの耐擦傷性の点から、1〜150mgKOH/gが好ましく、5〜120mgKOH/gがより好ましく、30〜100mgKOH/gがさらに好ましく、40〜80mgKOH/gが特に好ましい。
第2重合体が水酸基を有する場合、第2重合体の水酸基価は、本加飾フィルムの耐擦傷性の点から、1〜150mgKOH/gが好ましく、5〜120mgKOH/gがより好ましく、30〜100mgKOH/gがさらに好ましく、40〜80mgKOH/gが特に好ましい。
含フッ素重合体は、酸価および水酸基価の両方を有していてもよく、この場合、酸価および水酸基価の合計が、1〜150mgKOH/gであるのが好ましい。
【0044】
第2重合体のSP値(Solubility Parameter)としては、加飾フィルムの層間密着性がより優れる点から、16.0〜21.0(J/cm1/2が好ましく、16.5〜20.5(J/cm1/2がより好ましく、17.0〜20.0(J/cm1/2が特に好ましい。
第2重合体のSP値は、第1重合体が含む単位の種類および量によって適宜調節できる。
第2重合体のSP値は、第2重合体をNMR分析して得られる、第2重合体が含む単位の種類と量とから、フェドロス(Fedros)法(文献:R.F.Fedros,Polym.Eng.Sci.,14[2]147(1974)を参照)により算出する。具体的には、SP値は下式によって計算される値である。
SP値=(ΔH/V)1/2
ただし、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm)を示す。なお、ΔHおよびVは上記文献に記載の原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)を用いる。なお、1(cal/cm1/2は、2.05(J/cm1/2として換算する。
【0045】
第2層形成剤における第2重合体の含有量は、第2層形成剤の貯蔵安定性および塗布効率の点から、第2層形成剤の全固形分に対して、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%が特に好ましい。
【0046】
硬化剤は、架橋性基と反応し得る基を1分子中に2以上有する化合物である。硬化剤と、第2重合体が含む架橋性基とが反応して、架橋が進行し、架橋構造を有する第2層が形成される。
第2重合体が水酸基を有する場合、硬化剤としては、イソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を1分子中に2以上有する化合物が好ましい。
第2重合体がカルボキシ基を有する場合、硬化剤としては、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、または、β−ヒドロキシアルキルアミド基を、1分子中に2以上有する化合物が好ましい。
【0047】
イソシアネート基を1分子中に2以上有する化合物としては、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体が好ましい。
ポリイソシアネート単量体としては、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートが好ましい。ポリイソシアネート誘導体としては、ポリイソシアネート単量体の多量体または変性体(ビウレット体、イソシアヌレート体、またはアダクト体)が好ましい。
【0048】
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、リジントリイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)2−イソシアナトグルタレートが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
【0049】
ブロック化イソシアネート基を1分子中に2以上有する化合物としては、上述したポリイソシアネート単量体またはポリイソシアネート誘導体が有する2以上のイソシアネート基が、ブロック化剤によってブロックされている化合物が好ましい。
ブロック化剤は、活性水素を有する化合物であり、具体例としては、アルコール、フェノール、活性メチレン、アミン、イミン、酸アミド、ラクタム、オキシム、ピラゾール、イミダゾール、イミダゾリン、ピリミジン、グアニジンが挙げられる。
【0050】
エポキシ基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、ビスフェノール型エポキシ化合物(A型、F型、S型等)、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、ハイドロキノン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ化合物、ポリプロピレングリコール型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、グリオキザール型エポキシ化合物、脂環型エポキシ化合物、脂環式多官能エポキシ化合物、複素環型エポキシ化合物(トリグリシジルイソシアヌレート等)が挙げられる。
【0051】
カルボジイミド基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、脂環族カルボジイミド、脂肪族カルボジイミド、芳香族カルボジイミド、ならびに、これらの多量体および変性体が挙げられる。
【0052】
オキサゾリン基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、2−オキサゾリン基を有する付加重合性オキサゾリン、この付加重合性オキサゾリンの重合体が挙げられる。
【0053】
β−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、N,N,N’,N’−テトラキス−(2−ヒドロキシエチル)−アジパミド(PrimidXL−552、EMS社製)、N,N,N’,N’−テトラキス−(2−ヒドロキシプロピル)−アジパミド(Primid QM 1260、EMS社製)が挙げられる。
【0054】
第2層形成剤における硬化剤の含有量は、本加飾フィルムの硬度が好適となり、耐擦傷性がより向上する点から、第2層形成剤中の第2重合体100質量部に対して、10〜200質量部が好ましく、50〜150質量部が特に好ましい。
【0055】
溶媒は、第2重合体および硬化剤の両方を溶解できる溶媒が好ましい。
溶媒の具体例としては、水、有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒の具体例としては、炭化水素、ケトン、アルコール、エステルが挙げられる。
炭化水素の具体例としては、キシレン(SP値:18.0(J/cm1/2)、トルエン(SP値:18.2(J/cm1/2)等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素混合物が挙げられる。
ケトンとしては、炭素数3〜10のアルキルケトンが好ましく、例えば、アセトン(SP値:20.3(J/cm1/2)、メチルエチルケトン(SP値:19.1(J/cm1/2)、メチルアミルケトン(SP値:17.4(J/cm1/2)、メチルイソブチルケトン(SP値:17.2(J/cm1/2)、ジイソブチルケトン(SP値:16.0(J/cm1/2)、シクロヘキサノン(SP値:20.3(J/cm1/2)、イソホロン(SP値:18.7(J/cm1/2)が挙げられる。
アルコールとしては、炭素数1〜10のアルコールが好ましく、例えば、メタノール(SP値:29.7(J/cm1/2)、エタノール(SP値:26.0(J/cm1/2)、1−プロパノール(SP値:24.4(J/cm1/2)、2−プロパノール(SP値:23.6(J/cm1/2)、1−ブタノール(SP値:23.4(J/cm1/2)、2−ブタノール(SP値:22.1(J/cm1/2)が挙げられる。
エステルとしては、炭素数2〜10のエステルが好ましく、例えば、酢酸メチル(SP値:19.7(J/cm1/2)、酢酸エチル(SP値:18.7(J/cm1/2)、酢酸プロピル(SP値:18.0(J/cm1/2)、酢酸イソブチル(SP値:17.0(J/cm1/2)、酢酸ブチル(SP値:17.4(J/cm1/2)、酢酸ターシャリーブチル(SP値:16.8(J/cm1/2)、プロピオン酸メチル(SP値:18.2(J/cm1/2)、プロピオン酸エチル(SP値:17.2(J/cm1/2)が挙げられる。
中でも、溶媒としては、第2重合体および第1重合体の溶解性、および、第1層表面に接触した場合に第1層表面に過度な変形を生じさせず、第1層の柔軟性を保持できる点から、ケトンおよびエステルからなる群から選択される1種以上が特に好ましい。
溶媒は、2種以上を併用してもよい。
【0056】
溶媒のSP値(Solubility Parameter)としては、加飾フィルムの層間密着性がより優れる点から、12.0〜29.0(J/cm1/2が好ましく、15.0〜23.0(J/cm1/2がより好ましく、16.0〜19.0(J/cm1/2が特に好ましい。また、溶媒のSP値は、第1重合体のSP値よりも大きいことが好ましい。
なお、2種以上の溶媒を用いる場合、2種以上の溶媒少なくとも1種のSP値が、第1重合体との好適なSP値差を満たす範囲にあればよい。
溶媒のSP値は、ヒルデブランド(Hildebrand)法によって算出される値である。本明細書において、溶媒のSP値は、Polymer Handbook Fourth Edition(編者:J.brandrup、E.H.Immergut、E.A.Grulke)(1999)に記載された値である。
【0057】
第1重合体のSP値と、溶媒のSP値との差の絶対値(|第1重合体のSP値−溶媒のSP値|)は、9.0(J/cm1/2以下であり、加飾フィルムの層間密着性がより優れる点から、5.0(J/cm1/2以下が好ましく、3.0(J/cm1/2以下がより好ましく、1.0(J/cm1/2以下が特に好ましい。下限は、0(J/cm1/2である。
【0058】
第2層形成剤における溶媒の含有量は、第2層形成剤の貯蔵安定性および塗布効率の点から、第2層形成剤の全質量に対して、10〜90質量%が好ましく、25〜50質量%が特に好ましい。
【0059】
第2層形成剤は、必要に応じて、第2重合体、硬化剤、溶媒以外の成分(以下、「添加剤」ともいう。)を含んでもよい。添加剤の具体例としては、硬化触媒、表面調整剤、第2重合体以外の重合体、界面活性剤、顔料、分散剤、消泡剤、造膜助剤、増粘剤、光安定剤、紫外線吸収剤が挙げられる。
ただし、第2層形成剤および第2層は、第1重合体を含まない。
【0060】
硬化触媒は、硬化剤の架橋構造を形成する反応を促進し、第2層に良好な化学性能および物理性能を付与する化合物である。
例えば、イソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を1分子中に2以上有する化合物等の硬化剤を第2層形成剤が含む場合、硬化触媒としては、スズ触媒(オクチル酸スズ、トリブチルスズラウレート、ジブチルスズジラウレート等)が好ましい。
硬化触媒は、2種以上を併用してもよい。
第2層形成剤が硬化触媒を含む場合、硬化触媒の含有量は、第2層形成剤の全固形分に対して、0.0001〜5質量%が好ましく、0.05〜1質量%が特に好ましい。
【0061】
表面調整剤は、第2層の表面平滑性の向上等する点から用いられるのが好ましい。
表面調整剤の具体例としては、ポリシロキサンおよびその変性体等のシリコーン系の表面調整剤、ならびに、アクリル系重合体およびその変性体等のアクリル系の表面調整剤が挙げられる。
表面調整剤としては、シリコーン変性されたアクリル系重合体が好ましい。
また、表面調整剤は水酸基を有するものが好ましい。第2層形成剤が硬化剤として、イソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を1分子中に2以上有する化合物を含む場合、硬化剤が表面調整剤中の水酸基とも架橋して、第2層の耐久性が向上する。
表面調整剤は、2種以上を併用してもよい。
第2層形成剤が表面調整剤を含む場合、表面調整剤の含有量は、第2層形成剤の全固形分に対して、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
【0062】
工程2の手順としては、第1層上に、第2層形成剤を塗布して塗膜を形成できればよい。
第2層形成剤を塗布する方法の具体例としては、スプレー、アプリケーター、ダイコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマコーター、ローラブラシ、はけ、へらを用いた方法が挙げられる。
第2層形成剤を塗布した後は、塗膜中の溶媒を除去するために、乾燥させるのが好ましい。
【0063】
工程3は、塗膜を硬化させて、第2層を形成する工程である。本工程により、第1層上に第2層が形成される。
塗膜の硬化は、例えば、加熱により実施できる。加熱温度としては、50〜150℃が好ましい。加熱時間としては、1〜60分間が好ましい。
【0064】
第2層の層厚は、加飾フィルムの延伸性の点から、1〜300μmが好ましく、3〜200μmがより好ましく、5〜100μmが特に好ましい。
第2層の全光線透過率は、本発明の加飾フィルム付き3次元成形品の意匠性の点から、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
【0065】
上記実施態様においては基材フィルムを用いる態様について述べたが、第1層のみからなるフィルムか、第1層を最表面に有するフィルムを別途用意して、そのフィルムの第1層上に第2層形成剤を塗布してもよく、この場合は基材フィルムを用いなくてもよい。つまり、第1層は基材フィルムの役割を兼ねることができる。この場合の本加飾フィルムは、工程1を必要とせず、工程2および工程3により製造できる。
【0066】
また、上記実施形態においては工程2と工程3とを別工程として記載したが、第1層上に第2層形成剤を塗布すると同時に、塗膜の硬化を実施してもよい。
【0067】
上記実施形態の手順によって、基材フィルム、第1層、第2層がこの順に積層された加飾フィルムが得られる。
上述したように、本加飾フィルムは、第1層と第2層とが接するように積層されていればよいので、第1層および第2層のみからなってもよく、第1層および第2層以外の層を有していてもよい。
加飾フィルムは、基材フィルムの第1層側とは反対側にさらに接合層を有していてもよい。加飾フィルムが上記のように配置された接合層を有する場合、加飾フィルムの接合層と3次元成形品(後述)の被加飾面とを貼着すると、第2層、第1層、基材フィルム、接合層、3次元成形品の順に積層された加飾フィルム付き3次元成形品が得られる。このように、第2層は、加飾フィルム付き3次元成形品の最表面に位置する。
【0068】
接合層は、本加飾フィルムと3次元成形品を接合させる層であり、接合性樹脂を含むのが好ましい。接合性樹脂の具体例としては、接着性樹脂、融着性樹脂、粘着性樹脂が挙げられる。接合層は、例えば、接合性樹脂や、熱等により反応して接合性樹脂となる成分を含む接合層形成剤を用いて形成できる。
接合性樹脂としては、熱融着性樹脂、熱架橋性樹脂が好ましい。熱融着性樹脂の場合は、熱軟化した樹脂を3次元成形品の表面に接した状態で冷却固化させて、その表面に接合できる。熱架橋性樹脂の場合は、樹脂を3次元成形品の表面に接した状態で熱架橋させて、その表面に接合できる。
熱融着性樹脂としては、軟化温度の低い部分架橋熱融着性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられる。熱融着性樹脂を含む接合層は、熱融着性樹脂や、熱等により反応して熱融着性樹脂となる成分を含む接合層形成剤を用いて形成できる。例えば、ポリオールとポリイソシアネートを含む接合層形成剤を用いて、熱融着性ポリウレタン樹脂を含む接合層を形成することができる。
【0069】
熱融着性樹脂の軟化温度は、本加飾フィルムの耐ブロッキング性および成形性の点から、20〜100℃が好ましく、25〜90℃が特に好ましい。
熱融着性樹脂のMwは、接合層の成膜性および接着性の点から、5,000〜150,000が好ましく、6,000〜130,000が特に好ましい。
熱融着性樹脂としては、3次元成形品との接着性が優れる点から、熱融着性の、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ブチラール樹脂等が好ましい。
【0070】
接合性樹脂は、主剤の樹脂と硬化剤とを含む熱架橋性樹脂であってもよい。このような熱架橋性樹脂としては、固体ポリオールや固体状のヒドロキシ末端ポリウレタンプレポリマーと、固体ポリイソシアネートや固体ブロック化ポリイソシアネートとを含む熱架橋性ウレタン樹脂、固体ポリエポキシドと固体エポキシ樹脂硬化剤とを含むエポキシ樹脂等が挙げられる。
接合層形成剤は、上記熱架橋性樹脂を含んでもよく、熱架橋性樹脂となる成分を含むものであってもよい。
【0071】
接合層は、後述する意匠層の機能を兼ね備えていてもよい。この場合、接合層に着色剤等を含ませれば、意匠層としての機能を兼ね備えた接合層が得られる
【0072】
接合層は、上記以外の成分を含んでいてもよい。上記以外の成分の具体例としては、有機系紫外線吸収剤、有機系光安定剤、硬化触媒、酸化防止剤、表面調整剤、レベリング剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、導電性充填剤が挙げられる。
接合層の層厚は、接合層の成膜性および接着性の点から、1〜1,000μmが好ましく、4〜80μmがより好ましく、10〜60μmが特に好ましい。
接合層形成剤が含んでよい成分は、上述した接合層が含んでよい成分と同様である。接合樹脂および接合層が含んでよい成分は、水や有機溶媒等の溶媒によって接合層形成剤中に溶解していてもよく、分散していてもよい。接合層形成剤が溶媒を含む場合、溶媒は接合層形成時に除去される。
【0073】
本加飾フィルムの意匠性等を向上させるために、本加飾フィルムは意匠層を有してもよい。本加飾フィルムが意匠層を含む場合、意匠層は、接合層と第2層との間に配置されるのが好ましい。
具体的には、加飾フィルムが意匠層を有する場合、例えば、接合層、意匠層、基材フィルム、第1層、および第2層の順に積層される態様が挙げられる。
なお、接合層、基材フィルム、第1層、または第2層が意匠層を兼ねていてもよく、この場合には意匠層は設けなくてもよい。
【0074】
意匠層は、3次元成形品に意匠性を付与するための層である。
意匠層の具体例としては、意匠塗膜形成剤を用いて形成された層、印刷法によって形成された層、金属蒸着法によって形成された層が挙げられる。
意匠塗膜形成剤を用いて形成された層は、意匠塗膜形成剤を塗布して形成され、意匠塗膜とも称される。意匠塗膜形成剤に含まれる成分の具体例としては、バインダー樹脂(ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等)、着色剤(染料、有機顔料、無機顔料、金属またはマイカ等を用いた光輝顔料等)、溶媒(水、有機溶媒等)が挙げられる。
印刷法によって形成された層は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、および、フレキソ印刷等の各印刷方法に適したインク(例えば、バインダー樹脂、着色剤、溶媒を含む)を用いて形成される。
金属蒸着法によって形成された層は、アルミニウム、インジウム、スズ等の金属を用いて形成される。
意匠層は、必要に応じて上記以外の成分を含んでいてもよく、具体的には、接合層形成剤で挙げた成分、上述した第2層形成剤で挙げた成分が挙げられる。
意匠層の層厚は、用途に応じて適宜設定すればよい。
【0075】
本加飾フィルムは、被加飾体(例えば、後述の3次元成形品)に意匠性を付与または被加飾体の表面を保護するために、伸長させて用いられるのが好ましく、1.2倍以上伸長させて用いられるのが特に好ましい。伸長方向および伸長方法は、3次元成形品の形状、成形時の製造条件等によって適宜選択できる。上記伸長方向は、いずれの方向であってもよく、また上記伸長方法は、いずれの方法であってもよい。つまり、本加飾フィルムの伸長は、所定の一方向または全方向に本加飾フィルムを引っ張って実施してもよく、また、本加飾フィルムを適宜加熱して膨張させて実施してもよい。
【0076】
本発明の加飾フィルム付き3次元成形品(以下、「本成形品」ともいう。)は、本加飾フィルムと3次元成形品の被加飾面とを減圧下で圧着して得るのが好ましい。
本成形品の製造方法における減圧下での圧着方法は、真空成形法(オーバーレイ成形法)とも称され、例えば、両面真空成形装置を用いて実施できる。
減圧下とは、標準大気圧より圧力が低い状態を意味する。減圧下の圧力は、70kPa以下が好ましい。
【0077】
また、本成形品は、適宜真空成形法以外の成形方法によって得てもよい。このような成形方法の具体例としては、インモールド成形、インモールド転写成形、インモールド貼合成形、オーバーレイ転写成形、オーバーレイ貼合成形、水圧転写が挙げられる。また、成形前の3次元成形品に本加飾フィルムを圧着したのち、加工して加飾フィルム付き3次元成形品を得てもよい。
【0078】
3次元成形品を構成する材料の具体例としては、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネートが挙げられる。
3次元成形品の具体例としては、ドアミラー、フロントアンダースポイラー、リヤーアンダースポイラー、サイドアンダースカート、バンパー、サイドガーニッシュ等の自動車外装部品、センターコンソール、インパネ、ドアスイッチパネル等の自動車内装部品等が挙げられる。本加飾フィルムは、上記以外に、ディスプレイの液晶面、壁材、標識看板等にも好適に使用できる。
【0079】
本加飾フィルムは、耐擦傷性および層間密着性に優れ、同時に耐候性にも優れるので、風雨や人間による接触が多く、また貼り換えが容易でない場合が多い自動車外装部品または自動車内装部品に用いられる3次元成形品を加飾するために好適に用いられる。なお、本明細書において加飾とは、物品の表面への意匠性の付与や表面の保護等を意味する。
【実施例】
【0080】
以下、例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし本発明はこれらの例に限定されない。なお、後述する表1中における各成分の配合量は、質量基準を示す。また、例1〜4は実施例であり、例5は比較例である。
【0081】
<使用した成分の略称と詳細>
含フッ素重合体A:含フッ素重合体Aが含む全単位に対して、CTFE(クロロトリフルオロエチレン)に基づく単位、EVE(エチルビニルエーテル)に基づく単位、CHVE(シクロヘキシルビニルエーテル)に基づく単位、HBVE(4−ヒドロキシブチルビニルエーテル)に基づく単位をこの順に50モル%、25モル%、15モル%、10モル%含む重合体(水酸基価:52mgKOH/g、Mn:20,000、SP値:18.7(J/cm1/2
含フッ素重合体B:含フッ素重合体Bが含む全単位に対して、TFE(テトラフルオロエチレン)に基づく単位、HEAE(ヒドロキシエチルアリルエーテル)に基づく単位、V9(ネオノナン酸ビニル)に基づく単位、VBn(安息香酸ビニル)に基づく単位を、この順に35モル%、9モル%、48モル%、8モル%含む重合体(水酸基価35mgKOH/g、Mn:11,000、SP値:18.5(J/cm1/2
PVDF:ポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、SP値:16.8(J/cm1/2
ETFE:エチレン−テトラフルオロエチレン(SP値:14.0J/cm1/2) 溶媒1:酢酸ブチル(SP値:17.4(J/cm1/2
溶媒2:メチルエチルケトン(SP値:19.1(J/cm1/2
溶媒3:キシレン(SP値:18.0(J/cm1/2
溶媒4:エタノール(SP値:26.0(J/cm1/2
硬化剤:E405−70B(イソシアネート基を1分子中に2以上有する化合物(アダクト体)、旭化成社製)
硬化触媒:ジブチルスズジラウレート
表面調整剤:BYK−Silclean3700(BYK社製)
【0082】
<例1〜5>
表1の「第2層」欄に記載の各成分を混合して、第2層形成剤1〜5を得た。
【0083】
基材フィルム(ポリエチレンテレフタラート)の一方の面上に、PVDFからなる第1層(層厚40μm)をラミネートして積層した。
次に、第1層上に、アプリケーターを用いて第2層形成剤1を塗布して塗膜を形成し、25℃で乾燥後、80℃にて5分間加熱して硬化させ、層厚20μmである第2層を得た。
上記方法により、基材フィルム、第1層、および第2層がこの順に積層している加飾フィルム1を得た。
第2層形成剤1を第2層形成剤2〜5に変更し、第1層の材料の種類を表1のように変更した以外は上記と同様にして、加飾フィルム2〜5を得た。
【0084】
<成形品の製造>
両面真空成形装置を用いて、真空成形法により、加飾フィルム1と3次元成形品(ABSパネル)とを減圧下で圧着しながら140℃で1分間加熱して、加飾フィルム付き3次元成形品である成形品1を得た。成形品1は、加飾フィルムの第2層を最表面に有していた。
加飾フィルム1を加飾フィルム2〜5に変更した以外は、上記と同様にして、成形品2〜5を得た。
【0085】
<加飾フィルムの層間密着性>
JIS 6854−1:1999に準じて、下記のように評価した。
加飾フィルムを長さ150mm、幅10mmの大きさに切断して、試験用フィルムとした。試験用フィルムの長さ方向の一端から50mmの位置まで、カッターナイフを用いて第1層から第2層を剥離させ、次いで引張試験機を用いて、引っ張り速度50mm/分にて第1層と第2層とが90度になるように剥離したときの最大荷重(N/10cm)を測定した。最大荷重の値が大きいほど、加飾フィルムにおける第1層と2層との間の層間密着性に優れる。
A:最大荷重が10N/cm以上である。
B:最大荷重が10N/cm未満である。
【0086】
<成形品における加飾フィルムの耐擦傷性>
スチールウール(#0000)を用いて、成形品1〜5の加飾フィルム側の表面を15往復擦った後、表面を目視観察し、下記の基準で評価した。なお、成形品の表面を擦る際のスチールウールへの荷重は200gであった。
S:第2層の表面に傷が付かない。
A:第2層の表面面積の20%未満に傷が認められる。
B:第2層の表面面積の20%以上に傷が認められる。
【0087】
表1中の「SP値差の絶対値」は、第1重合体のSP値と、溶媒のSP値との差の絶対値(J/cm1/2を表す。
【0088】
【表1】
【0089】
表1に示すように、所定の方法により製造された加飾フィルムは、所望の効果を示した。