特開2019-215257(P2019-215257A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-215257オートクレーブのレベル測定器の校正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-215257(P2019-215257A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】オートクレーブのレベル測定器の校正方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 25/00 20060101AFI20191122BHJP
   G01F 23/288 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   G01F25/00 A
   G01F23/288
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-112611(P2018-112611)
(22)【出願日】2018年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 真伍
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AA05
2F014FD00
(57)【要約】
【課題】 校正時間を短縮することで定期整備期間の短縮を可能にし、よって設備稼働率を向上させることが可能なレベル測定器の校正方法を提供する。
【解決手段】 オートクレーブ1内において堰2a、2b等で区分された複数の貯留部1a、1b等のうち、レベル測定器が設けられている最も下流側の貯留部1aを区分する最下流堰2aに設けられているマンウェイMWa及びスラリー移送用通液口4aを閉じると共に該最下流堰2aの下部に位置するマンホールMH2のうち該貯留部1aに通じる開口部を閉じた後、一端部を該貯留部1a内に連通させた透明チューブ23を該貯留部1aの最低液面レベルから最高液面レベルまでの範囲をカバーするように鉛直方向に延在させ、該貯留部1aにのみ水を導入したときの該透明チューブ23内の液面レベルに基づいて該レベル測定器を校正する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートクレーブ内において堰で区分された複数の貯留部のうち、レベル測定器が設けられている最も下流側の貯留部を区分する最下流堰に設けられているマンウェイ及びスラリー移送用通液口を閉じると共に該最下流堰の下部に位置するマンホールのうち該最も下流側の貯留部に通じる開口部を閉じた後、一端部を該最も下流側の貯留部内に連通させた透明チューブを該最も下流側の貯留部の最低液面レベルから最高液面レベルまでの範囲をカバーするように鉛直方向に延在させ、該最も下流側の貯留部にのみ水を導入したときの該透明チューブ内の液面レベルに基づいて該レベル測定器を校正することを特徴とするオートクレーブのレベル測定器の校正方法。
【請求項2】
前記透明チューブは、前記一端部側を前記マンホールから差し込んだ後、前記通液口に開閉自在に設けられている扉の貫通孔に接続することで前記最も下流側の貯留部に連通させることを特徴とする、請求項1記載のオートクレーブのレベル測定器の校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出処理に用いるオートクレーブのレベル測定器の校正方法に関し、より詳しくは、開閉自在なスラリー移送用通液口を有する堰によって内部が複数の貯留部に区分されているオートクレーブの液面レベルを測定するレベル測定器の校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法として、例えば特許文献1に記載のように、略円筒形の圧力容器を横向きにした横長形状のオートクレーブを利用した高圧酸浸出法(HPAL法)が知られている。このオートクレーブの内部は、開閉自在なスラリー移送用通液口を有する堰によって長手方向に連続する複数の貯留部に区分されており、硫酸と共に装入されたニッケル酸化鉱石のスラリーは、これら複数の貯留部の上流側から下流側に向けて堰をオーバーフローしながら順次移送されるが、一部は上記通液口を通過することで下流側に移送される。
【0003】
このようにして各貯留部で高圧酸浸出が行われた後、最も下流側の貯留部に到達したスラリーは、オートクレーブの上部から垂下する抜出管を介して抜き出される。この抜出管を介したスラリーの抜出量は、上記の最も下流側の貯留部のスラリーの液面高さ(以下、液面レベル又は液位とも称する)に応じて調整される。このオートクレーブ内の液面レベルの測定には、例えば特許文献2に示すような高温高圧下でも液面レベルの計測を安定して行うことが可能な放射線式レベル測定器を用いることが一般的である。この放射線式レベル測定器は、放射線源と受信器とがオートクレーブを挟んで対向するように配置されており、オートクレーブ内の液面レベルの高低に応じて増減する放射線のカウント数を検出してこれを液面レベルに換算するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−025143号公報
【特許文献2】特開2017−146221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の放射線式レベル測定器において放射線源となる放射性物質には半減期があるため、オートクレーブ内の液面レベルが一定でも放射線受信器側のカウント数は刻々と減少していくことになる。オートクレーブ内の液面レベルの管理はプロセス上の理由のみならず、安全管理上極めて重要な管理項目であるため、受信器の指示値が実際のオートクレーブの液面レベルと相違している疑いが生じた場合はもちろんのこと、製錬工場の定期整備時のオートクレーブの補修終了後はオートクレーブ内に校正用の水を張ってレベル計の校正を行うことが必要になる。しかしながら、放射線式レベル測定器の校正においては、オートクレーブが大型になると準備段階から校正作業後の復旧までに長時間を要し、これが整備期間を延長させる要因となっていた。その結果、製錬工場の年間設備稼働率が低下し、生産性に悪影響を及ぼすことがあった。
【0006】
本発明は、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出処理を行うオートクレーブにおいて、その液面レベルを測定するレベル測定器の上記した従来の校正方法が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、該レベル測定器の校正時間を短縮することで定期整備期間の短縮を可能にし、結果的に製錬工場の設備稼働率を向上させることが可能なレベル測定器の校正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るオートクレーブのレベル測定器の校正方法は、オートクレーブ内において堰で区分された複数の貯留部のうち、レベル測定器が設けられている最も下流側の貯留部を区分する最下流堰に設けられているマンウェイ及びスラリー移送用通液口を閉じると共に該最下流堰の下部に位置するマンホールのうち該最も下流側の貯留部に通じる開口部を閉じた後、一端部を該最も下流側の貯留部内に連通させた透明チューブを該最も下流側の貯留部の最低液面レベルから最高液面レベルまでの範囲をカバーするように鉛直方向に延在させ、該最も下流側の貯留部にのみ水を導入したときの該透明チューブ内の液面レベルに基づいて該レベル測定器を校正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オートクレーブのレベル測定器の校正時間を従来に比べて大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の校正方法が適用されるオートクレーブで行われる浸出工程を有するニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの一般的な工程フロー図である。
図2】本発明の校正方法が適用されるオートクレーブの下流側部分をその中心軸を通る平面で水平方向に切断した下半分の横断面図(a)、及び該中心軸を通る平面で鉛直方向に切断した縦断面図(b)である。
図3】本発明の校正方法が好適に適用される放射線式レベル測定器が液面レベルを測定するしくみを説明する模式的正面図である。
図4】本発明の校正方法が好適に適用されるオートクレーブの下流側の貯留部をオートクレーブの中心軸を通る平面で鉛直方向に切断した縦断面図(a)、及びオートクレーブを該中心軸に垂直な平面で切断したときのA-A矢視図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るオートクレーブのレベル測定器の校正方法の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この本発明の実施形態の校正方法が対象とするレベル測定器は、湿式製錬プロセスにおいてニッケル酸化鉱石スラリーの高圧酸浸出処理を行うオートクレーブ内の液面レベルを測定するものであり、オートクレーブ内は硫酸が存在する高温高圧の腐食性雰囲気にさらされるので、オートクレーブの外部から液面レベルを測定できる放射線式のレベル測定器が採用されている。このレベル測定器の校正方法について具体的に説明する前に、先ず、高圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの概要について説明する。
【0011】
<湿式製錬プロセス>
図1の工程フロー図に示すように、湿式製錬プロセスは、原料のニッケル酸化鉱石のスラリー(以下、単に「鉱石スラリー」とも称する)に硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す浸出工程S1と、得られた浸出スラリーを多段洗浄しながら浸出液と浸出残渣とに固液分離する固液分離工程S2と、得られた浸出液に中和剤を添加してpHを調整することで不純物元素を含む中和澱物をスラリーの形態で分離してニッケル及びコバルトを含む中和終液を得る中和工程S3と、得られた中和終液に硫化剤を添加することでニッケル及びコバルトの混合硫化物を生成させる硫化工程S4とからなる。以下、これら工程の各々について具体的に説明する。
【0012】
(1)浸出工程
浸出工程S1では、加圧反応容器であるオートクレーブに硫酸等の酸と共に装入された原料としてのニッケル酸化鉱石のスラリーに対して、更に高圧蒸気を吹き込むことで例えば温度230℃〜270℃、圧力3MPa〜5MPaの高温高圧の条件下で浸出処理を施す。上記のニッケル酸化鉱石原料はニッケルやコバルトを含有する鉱石であり、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。このラテライト鉱のニッケル含有量は0.5%〜2.5%程度であり、ニッケルは水酸化物又は含水ケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は30%〜50%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態を有している。このニッケル酸化鉱石は、浸出工程S1の前処理工程において例えば破砕や分級により粗大な鉱石や夾雑物が除去された後、水を加えて湿式で篩別されることで粒子状の鉱石からなる鉱石スラリーに調製される。
【0013】
上記のオートクレーブ内の浸出処理では、例えば下記式1〜3の浸出反応と下記式4〜5の高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。
[式1]
MO+HSO→MSO+H
(式中、Mは、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Mg、Cr、Mn等を表す)
[式2]
2Fe(OH)+3HSO→Fe(SO+6H
[式3]
FeO+HSO→FeSO+H
[式4]
2FeSO+HSO+1/2O→Fe(SO+H
[式5]
Fe(SO+3HO→Fe+3HSO
【0014】
浸出工程S1における硫酸の添加量には特に限定はないが、鉱石中の鉄が浸出されるように過剰に添加するのが好ましい。具体的には、得られる浸出液のpHが0.1〜1.0となるように硫酸の添加量を調整するのが好ましい。これにより、ニッケル及びコバルトを不純物成分と共に含む浸出液と、ヘマタイト等を含む浸出残渣とからなる浸出スラリーが生成される。得られた浸出スラリーは、次工程の固液分離工程S2において固液分離処理を施す前に、予備中和処理を施して浸出反応に関与しなかった余剰の硫酸を部分的に中和するのが好ましい。この予備中和処理の条件としては、例えば浸出スラリーのpHが2.8〜3.2程度となるように中和剤を添加するのが好ましい。
【0015】
(2)固液分離工程
固液分離工程S2では、複数の沈降分離装置が直列に接続された固液分離手段に上記浸出工程S1で得られた浸出スラリーを導入することで、多段洗浄を行うと共に、ニッケルやコバルト等の有価金属を含む浸出液の浸出残渣からの固液分離を行う。具体的には、複数の沈降分離装置として連続する複数のシックナーを使用し、それらの最も上流側のシックナーに上記浸出スラリーを導入すると共に最も下流側のシックナーに洗浄水を導入し、シックナー底部から抜き出される沈降物を含む濃縮スラリーを順次下流側のシックナーに移送しながら、これとは向流になるように各シックナーからオーバーフローする清澄水を順次上流側のシックナーに移送する。この場合、浸出スラリーの導入量に対する洗浄水の導入量として表される希釈の度合に応じて浸出残渣に付着するニッケル分を減少させることができる。なお、上記の洗浄水には湿式製錬プロセスに悪影響を及ぼさないものを用いることが好ましく、例えば後述する硫化工程S4で得られる低pHの貧液を繰り返して利用するのが好ましい。
【0016】
(3)中和工程
中和工程S3では、上記の固液分離工程S2においてシックナーのオーバーフロー液として回収された浸出液に炭酸カルシウム等の中和剤を添加して中和処理を施し、不純物元素としての3価の鉄を含む中和澱物を析出させる。その際、該中和処理の処理液のpHが好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0〜3.5、最も好ましくは3.1〜3.2の範囲内になるように中和剤の添加量を調整するのが好ましい。この中和処理後は、上記中和澱物を含むスラリーを例えばシックナー等の固液分離装置に導入することで該中和澱物を除去し、ニッケル及びコバルト回収用の母液となる中和終液を回収する。
【0017】
(4)硫化工程
硫化工程S4では、上記中和工程S3の固液分離装置から回収された中和終液としてのニッケル及びコバルト回収用母液(硫化反応始液)に対して、硫化剤を添加して硫化処理を行うことによって硫化反応を生じさせる。上記の硫化剤に例えば硫化水素ガスを用いる場合は、硫化反応槽等に硫化反応始液を装入し、その反応槽内の気相部分に硫化水素ガスを吹き込むことで、硫化反応始液中に硫化水素ガスが溶解するので硫化反応を生じさせることができる。この硫化処理により、硫化反応始液中に含まれるニッケル及びコバルトが混合硫化物として固定化される。
【0018】
この硫化反応の終了後は、上記のニッケル及びコバルトの混合硫化物を含むスラリーを固液分離装置に導入することで該混合硫化物を回収することができる。この固液分離装置としては、沈降分離により固液分離を行うシックナーが好ましく、これにより不純物成分の少ないニッケル及びコバルトの混合硫化物をシックナーの底部から抜き出して回収することができ、シックナーの上部からはニッケル及びコバルトの有価金属の濃度が極めて低い水準で安定された貧液がオーバーフローにより排出される。
【0019】
<オートクレーブによる浸出処理>
次に、上記の湿式製錬プロセスのうち、加圧反応容器であるオートクレーブを用いて高温高圧下で鉱石スラリーに浸出処理を施す浸出工程S1についてより詳細に説明する。浸出工程S1では、先ず処理対象となる鉱石スラリーを例えば耐圧容器からなるヒータータンクにポンプを介して装入し、高圧蒸気等を該ヒータータンク内に吹き込むことによって該ヒータータンク内の鉱石スラリーを所望の高温高圧条件にまで昇温及び昇圧させる。この昇温及び昇圧は、複数のヒータータンクがポンプを介して直列に接続された昇温昇圧設備を用いて鉱石スラリーを段階的に昇温昇圧してもよい。なお上記の昇温昇圧に用いる高圧蒸気は、HPALプロセス内で発生した蒸気を回収して再利用するのが好ましい。
【0020】
上記のヒータータンク等の昇温昇圧設備で所望の高温高圧力条件に調整した鉱石スラリーを、次に撹拌機を備えた耐圧容器からなるオートクレーブに装入する。このオートクレーブに装入した鉱石スラリーには、過剰の硫酸を添加すると共に高圧蒸気を吹き込む。これにより、鉱石スラリーは高温高圧下において撹拌されながら酸処理が施され、鉱石に含まれるニッケルやコバルト等の金属の浸出が行われる。その結果、ニッケルやコバルトを含有する浸出液と、ヘマタイト等を含有する浸出残渣とからなる浸出スラリーが生成される。
【0021】
上記のオートクレーブから抜き出される浸出スラリーは高温高圧状態にあるため、次工程の固液分離工程S2にて固液分離処理を行う前に耐圧容器からなるフラッシュベッセルに移送され、ここで浸出スラリーは大気圧まで降圧され、その際発生する蒸気の潜熱により次工程のシックナーで処理できる程度まで温度が低下する。この浸出スラリーの降圧により発生する高圧蒸気は、前述したようにヒータータンクの昇温昇圧用に利用するのが好ましい。なお、前述したヒータータンクの場合と同様に、複数のフラッシュベッセルを直列に接続し、これらフラッシュベッセル群によって浸出スラリーを段階的に降圧降温してもよい。
【0022】
上記のように、浸出工程S2における浸出処理では、ヒータータンク、オートクレーブ、及びフラッシュベッセル等のタンクを用いて高温高圧条件が維持されるうえ硫酸等の酸が過剰に添加された密閉空間での処理であるため、操業中においてはそれらのタンク内の液面レベルをタンク内に設けたレベル計で接液させて測定するのは難しい。一方で、タンク内のスラリーの温度や圧力を短時間で目標値に到達させるには、スラリーに対して適切な量の蒸気を供給することが望ましく、そのためには、タンク内の特にオートクレーブの液面レベルをできるだけ正確に測定できることが望ましい。そこで、オートクレーブにはその内部の液面レベルを外部から正確に測定可能な放射線式レベル測定器が採用されている。以下、この放射線式レベル測定器について説明する。
【0023】
≪放射線式レベル測定器≫
図2に示すように、略円筒形の圧力容器を横向きにした形状のオートクレーブ1は、堰2a、2b等によって内部が複数の貯留部1a、1b等に区分されており、それらの各々には撹拌機3が設けられている。かかる構造のオートクレーブ1の内部点検等を行うため、最も下流側の貯留部1aの上方に上部マンホールMH1が設けられており、この最も下流側の貯留部1aとこれに隣接する貯留部1bとを区分する最下流堰2aの下側に下部マンホールMH2が設けられている。
【0024】
更に、各々の堰2a、2b等には矩形状に開口するマンウェイMWa、MWb等が設けられている。これらマンウェイMWa、MWb等は通常運転時は矩形の蓋4によって閉止されている。オートクレーブ1内のスラリーは、上記の堰の上端部を順次オーバーフローすることで下流側の貯留部へ移送されるが、一部のスラリーは、上記の蓋4に設けられた通液口4aを通過して互いに隣接する貯留部間を移送できるようになっている。
【0025】
上記の構造により、オートクレーブ1の最も上流側の貯留部(図示せず)に硫酸と共に装入された鉱石スラリーは、堰をオーバーフローすることにより隣接する下流側の貯留部に順次移送されながら浸出処理が施され、浸出スラリーとなって最も下流側の貯留部1aに到達したとき、上方から垂下する抜出管(図示せず)によって該貯留部1aの液面レベルの調整を行いながら抜き出される。従って、この最も下流側の貯留部1aには、そこに貯留する浸出スラリーの液面レベルを非接触で検出可能な放射線式レベル測定器が設けられている。
【0026】
上記の放射線式レベル測定器は、ガンマ線などの放射線がスラリーを通過すると減衰する原理を利用してスラリーの液面レベルを検出するものであり、貯留部1aの最高液面レベルと最低液面レベルをカバーする上下方向の範囲に向けてガンマ線などの放射線を照射する線源部11と、該線源部11から照射される放射線を検出できるように上下方向に延在する棒状の検出部12とが貯留部1aを挟んで互いに対向するように配置されている。
【0027】
すなわち、図3(a)に示すように、貯留部1a内の液面レベルが低ければ、線源部11から照射した放射線を遮へいするものがオートクレーブ1の壁部を除いて存在しないため、検出部12での受線量は多くなる。一方、図3(b)に示すように、貯留部1a内の液面レベルが高ければ、線源部11から照射した放射線がオートクレーブ1の壁部及びスラリーによって遮へいされるため、検出部12での受線量は小さくなる。このように、検出部12によって検出される線源部11からの放射線量は、貯留部1a内の液面レベルに応じて増減するので、この定量的に計測した放射線量から貯留部1a内の液面レベルを知ることができる。
【0028】
≪放射線式レベル測定器の校正方法≫
上記の構造の放射線式レベル測定器を校正する場合、従来は全ての堰の点検用マンウェイMWa、MWb等又は通液口4aを開けた状態のままにして、手動バルブを有する校正用水の排水用のドレン配管をオートクレーブ1の下部の図示しないハンドホールに取り付けると共に、このドレン配管の手動バルブとハンドホールとの間に予め設けられているバルブ付きノズルの先端部に液面確認用チューブの一端部を取り付ける。そして、オートクレーブ1の全ての貯留部に水を導入したときに該貯留部の液面レベルと同じレベルとなる該液面確認用チューブ内の液面レベルに基づいてレベル測定器の測定値を校正することが行われていた。この従来の校正方法は、オートクレーブ1全体を満たすために大量の水が必要になるうえ、校正後はその処理も必要となる。従って、準備段階から校正後の復旧までを含めると極めて長時間を要していた。
【0029】
これに対して、本発明の実施形態のレベル測定器の校正方法においては、該レベル測定器で液面レベルの測定が行われる最も下流側の貯留部1aにのみ校正用の水を貯めることができるように、該貯留部1aに連通する全ての開口部を閉じた後、校正用の水を導入して校正を行うことを特徴としている。具体的には、図4(a)、(b)に示すように、オートクレーブ1の複数の貯留部のうち、レベル測定器が設けられている最も下流側の貯留部1aを区分する最下流堰2aに設けられているマンウェイMWaを蓋4で閉じると共に、その蓋4に設けられたスラリー移送用として開口する通液口4aを扉5で閉じる。そして、貯留部1aを区分する最下流堰2aの下部に位置する下部マンホールMH2のうち、該貯留部1aに通じる開口部を遮蔽板20で閉じる。これにより、レベル測定器が備えられている貯留部1aにのみ水を張ることが可能になる。
【0030】
上記遮蔽板20は、例えば下部マンホールMH2の内径よりも大きい外径を有する略半円形状の金属板で形成するのが好ましい。図4(a)に示すように、この遮蔽板20を下部マンホールMH2のうち貯留部1a側において開口する部分に貯留部1aの内側から設置し、その周囲を水が漏れないようにコーキングすることによって、下部マンホールMH2を開放した状態であっても貯留部1aのみをレベル測定器の校正用の水で満水にすることが可能になる。この最も下流側の貯留部1aの液面レベルは、下記に説明するように液位測定用透明チューブ23を用いて校正が行われる。
【0031】
すなわち、図4(b)に示すように、貯留部1aに校正用の水を導入する前に、オートクレーブ1の下部マンホールMH2において上記遮蔽板20で塞がれていない貯留部1b側の開口部から液位測定用透明チューブ23を差し込み、この差し込んだ側の一端部を貯留部1aの内部に連通させる。そして、下部マンホールMH2から延出する液位測定用透明チューブ23の他端部側をレベル測定器の検出部12に沿って鉛直方向に延在させる。
【0032】
貯留部1aの上部マンホールMH1と液位測定用透明チューブ23の上記他端部は共に大気開放されているので、オートクレーブ1の貯留部1a内と該液位測定用透明チューブ23内の液位は一致する。よって、オートクレーブ1の貯留部1a内の実際の液位を正確に知ることができる。上記の液位測定用透明チューブ23の一端部を貯留部1aに連通させる方法には特に限定はないが、例えば図4(a)に示すように、堰2aの通液口4aに開閉自在に取り付けられている扉5に貫通孔を穿孔すると共に、該貫通孔に貯留部1b側から螺合したノズルに液位測定用透明チューブ23の先端部を接続することで貯留部1aに連通させることができる。
【0033】
このレベル測定器の校正用の水は、例えばオートクレーブ1の上部マンホールMH1から差し込んだ供給ホース21を介して供給することができる。貯留部1aの満水後は、同様にオートクレーブ1の上部マンホールMH1から差し込んだ排水ホース22を用いて校正用の水を排出すればよい。その際、貯留部1a内の低下する液位を上記の液位測定用透明チューブ23の液位を用いて例えば10cmごとに測定し、その液位を検出部12の出力値と比較することで校正することができる。以上説明したように、本発明の実施形態の校正方法を採用することで、従来は極めて長時間を要していたレベル測定器の校正時間を大幅に削減することが可能になる。その結果、工場の年間設備稼働率を高めることができるので、生産量を向上させることが可能になる。
【0034】
以上、本発明のオートクレーブのレベル測定器の校正方法について実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更例や代替例を含むことができる。すなわち、本発明の権利は特許請求の範囲及びその均等の範囲に及ぶものである。
【実施例】
【0035】
図4(a)、(b)に示すような堰で区分された複数の貯留部を有するオートクレーブ1において、その最も下流側の貯留部1aのみを満水状態にすべく該オートクレーブ1の下部マンホールMH2のうち貯留部1aに通じる開口部を半円形状の鋼鉄製の板状部材からなる遮蔽板20で塞ぎ、その周縁部をコーキングで封止した。更に、最下流堰2aに設けられているマンウェイMWaを蓋4で閉止し、該蓋4の通液口4aも扉5で閉止した。この扉5に予め穿孔しておいた貫通孔に貯留部1b側からノズルを螺合させて取り付けた。
【0036】
上記の下部マンホールMH2のうち、遮蔽板20で塞いでいない貯留部1b側の開口部から液位測定用透明チューブ23の一端部側を差し込み、その先端部を上記のノズルにはめ込んだ。この液位測定用透明チューブ23の他端部側は該オートクレーブ1の下部マンホールMH2から延出させて放射線式レベル測定器の棒状の検出部12に沿うように鉛直方向に延在させることでオートクレーブ1の貯留部1a内の実際の液面高さ(液位)が示されるようにした。すなわち、オートクレーブ1の貯留部1aの液位と液位測定用透明チューブ23内の液位は一致することになる。
【0037】
この状態でオートクレーブ1の上部マンホールMH1を開放し、そこから供給ホース21を差し込み、レベル測定器校正用の水を導入することでオートクレーブ1内の最下流の貯留部1aにのみ水張りを行った。この満水時の液位測定用透明チューブ23内の液位に基づいてレベル測定器の校正を行った。更に、オートクレーブ上部マンホールMH1から差し込んだ排水ホース22を用いて校正用の水を排水しながら液位測定用透明チューブ23内の液位を測定した。その際、校正精度を高めるため、レベル測定器の0−100%間の10%おきに液位を測定することで、合計11点での液位計測により校正を行った。その結果、校正の準備及び校正後の復旧作業を含めて校正に要した時間は合計20.6時間であった。
【0038】
比較のため、オートクレーブ1の各堰のマンウェイを開けた状態のまま下部ハンドホールに手動バルブを有する校正用水の排水用のドレン配管を接続し、このドレン配管の手動バルブと下部ハンドホールとの間に予め設けられているバルブ付きノズルの先端部に液面確認用チューブの一端部を取り付けた。その後、上記と同様に開放した上部マンホールMH1から校正用の水を供給することによってオートクレーブ全体に水を張ってレベル測定器の校正を実施した。校正の操作については、校正用の水を該手動バルブを開いて排水しながら該液面確認用チューブ内の液面レベルに基づいてレベル測定器の0−100%間の10%おきの合計11点で校正を行った。その結果、校正の準備及び校正後の復旧作業を含めて校正に要した時間は38.8時間であった。
【0039】
このように、本発明の校正方法に沿って校正を行うことで、従来の校正方法に比べて校正のための全作業時間を18.2時間短縮することが可能になる。なお、レベル測定器の校正に要する時間のみで比較すると、従来の29.0時間に比べて10.8時間に短縮することが可能となる。これは、生産量にすれば46t/Niの生産性向上に寄与することになる。年間2回の定期整備ごとに校正作業を行うと想定すれば本発明の校正方法を採用することによる設備稼働率の向上で、年間92t/Niの生産量向上に&#32363;がることになる。
【符号の説明】
【0040】
1 オートクレーブ
1a、1b 貯留部
2a、2b 堰
3 攪拌機
4 蓋
4a 通液口
5 扉
11 線源部
12 検出部
20 遮蔽板
21 校正用の水の供給ホース
22 排水ホース
23 液位測定用透明チューブ
MH1 上部マンホール
MH2 下部マンホール
MWa、MWb マンウェイ
図1
図2
図3
図4