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特開2019-218239原料粉末押し出し治具、粉体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218239(P2019-218239A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】原料粉末押し出し治具、粉体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/64 20060101AFI20191129BHJP
   B22F 3/035 20060101ALI20191129BHJP
   C04B 35/468 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   C04B35/64
   B22F3/035 D
   C04B35/468
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-117440(P2018-117440)
(22)【出願日】2018年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】野口 治夫
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018CA15
(57)【要約】
【課題】焼成容器内に充填した原料粉末に凹部を形成することができ、該凹部を形成した原料粉末を焼成して得られる粉体中の特性のばらつきを抑制することが可能な原料粉末押し出し治具を提供することを目的とする。
【解決手段】焼成容器内に充填した原料粉末に凹部を形成するための原料粉末押し出し治具であって、
回転軸と、
前記回転軸の一方の端部側に接続され、前記回転軸を中心に回転させることで回転する押し出し羽根とを有する原料粉末押し出し治具を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成容器内に充填した原料粉末に凹部を形成するための原料粉末押し出し治具であって、
回転軸と、
前記回転軸の一方の端部側に接続され、前記回転軸を中心に回転させることで回転する押し出し羽根とを有する原料粉末押し出し治具。
【請求項2】
前記押し出し羽根を前記回転軸の軸方向に沿って見た場合に、前記押し出し羽根が、前記回転軸を中心とした円の直径方向に沿って配置された板状体を有する請求項1に記載の原料粉末押し出し治具。
【請求項3】
前記押し出し羽根を前記回転軸の軸方向に沿って見た場合に、前記板状体は湾曲部を有する請求項2に記載の原料粉末押し出し治具。
【請求項4】
前記押し出し羽根は、複数枚の板を有し、
前記押し出し羽根を前記回転軸の軸方向に沿って見た場合に、
複数枚の前記板は、その主面が互いに平行に、かつ前記回転軸を中心とした円の直径方向沿って並べて配置された請求項1に記載の原料粉末押し出し治具。
【請求項5】
焼成容器内に原料粉末を充填する充填工程と、
前記焼成容器内において、前記原料粉末の上部中央に位置する前記原料粉末を周囲に押し出し、前記原料粉末の上部中央に凹部を形成する原料粉末押し出し工程と、
前記凹部を形成した前記原料粉末を焼成する焼成工程とを有する粉体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料粉末押し出し治具、粉体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から焼成容器に原料粉末を充填し、焼成することで目的とする粉体を調製することが行われてきた。
【0003】
例えば特許文献1には、ジルコン、ペタライト、コージライト、及びホタテ貝殻の粗混合物をボールミルに入れ精混合した後、得られた混合粉末を匣鉢に充填して焼成し、さらに焼成品を粉砕等することで白色系遠赤外線放射原料を含む、塩基性セラミック材料を調製した例が開示されている。
【0004】
ところで近年では生産性を高め、コストを低減するために、原料粉末の焼成容器への充填量を増やし、焼成することが行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−131486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、焼成容器への充填量が増加するほど、原料混合物を均一に焼成することが困難であり、同じ焼成容器内であったとしても、得られた粉体について物性や、組成等の特性に大きなばらつきを生じる場合があった。
【0007】
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、焼成容器内に充填した原料粉末に凹部を形成することができ、該凹部を形成した原料粉末を焼成して得られる粉体中の特性のばらつきを抑制することが可能な原料粉末押し出し治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
焼成容器内に充填した原料粉末に凹部を形成するための原料粉末押し出し治具であって、
回転軸と、
前記回転軸の一方の端部側に接続され、前記回転軸を中心に回転させることで回転する押し出し羽根とを有する原料粉末押し出し治具を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、焼成容器内に充填した原料粉末に凹部を形成することができ、該凹部を形成した原料粉末を焼成して得られる粉体中の特性のばらつきを抑制することが可能な原料粉末押し出し治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具の一構成例の説明図。
図2】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具を焼成容器に設置した構成の説明図。
図3】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の一構成例の説明図。
図4】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の他の構成例の説明図。
図5】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の他の構成例の説明図。
図6】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の他の構成例の説明図。
図7】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の他の構成例の説明図。
図8】回転軸と、押し出し羽根との関係の説明図。
図9】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の他の構成例の説明図。
図10】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の他の構成例の説明図。
図11】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の他の構成例の説明図。
図12】本発明の実施形態に係る原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の側面形状についての他の構成例の説明図。
図13】凹部形成工程において形成した凹部の形状の構成例の説明図。
図14】実施例、比較例において評価を行ったサンプルのサンプリング位置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[原料粉末押し出し治具]
本発明の発明者らは、原料粉末を焼成容器内に充填して焼成した場合に、同じ焼成容器内において得られる粉体の特性にばらつきが生じる原因について鋭意検討を行った。
【0012】
その結果、焼成を行っている間、焼成容器に充填した原料粉末の中で焼成温度に差異があり、焼成容器への原料粉末の充填量の増加と共にその傾向が顕著になることを見出した。
【0013】
また、さらなる検討を行った結果、焼成容器に充填した原料粉末の上部に凹部を形成してから焼成を行うことで、焼成容器内に充填した原料粉末の中での焼成温度の差異を抑制し、焼成後に得られる粉体の特性のばらつきを抑制できることを見出した。そして、焼成容器に充填した原料粉末に凹部を形成する際に、所定の原料粉末押し出し治具を用いることで、原料粉末に容易に、かつ特定の形状の凹部を形成することができ、該凹部を形成した原料粉末を焼成することで、特に均一な特性の粉体を得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
本実施形態の原料粉末押し出し治具は、焼成容器内に充填した原料粉末に凹部を形成するための治具であり、回転軸と、回転軸の一方の端部側に接続され、回転軸を中心に回転させることで回転する押し出し羽根とを有する。
【0015】
以下、本実施形態の原料粉末押し出し治具について図1図12を用いて説明する。図中Z軸方向が回転軸11の軸方向に当たり、X軸、Y軸で形成されるXY平面は、係る回転軸11の軸方向と直交する面に当たる。
【0016】
図1は本実施形態の原料粉末押し出し治具10について、その回転軸11を通り、回転軸11と平行な面、すなわちXZ平面での断面図を示している。
【0017】
図2図1に示した原料粉末押し出し治具10を原料粉末22を充填した焼成容器21に設置した際の、原料粉末押し出し治具10の回転軸11を通り、回転軸11と平行な面、すなわちXZ平面での断面図を示している。
【0018】
図3図7は、本実施形態の原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の構成例の説明図であり、本実施形態の原料粉末押し出し治具の底部側から見た図を示している。
【0019】
図8は、回転軸と、押し出し羽根との関係の一構成例の説明図であり、本実施形態の原料粉末押し出し冶具の側面図に当たる。
【0020】
図9(A)、図9(B)、図10図11は、実施形態の原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の他の構成例の説明図である。
【0021】
図12は、実施形態の原料粉末押し出し治具が有する押し出し羽根の側面形状の他の構成例の説明図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の原料粉末押し出し治具10は、回転軸11と、回転軸11の一方の端部11a側に接続された押し出し羽根12とを有することができる。
【0023】
そして、図2に示すように、焼成容器21に充填した原料粉末22に押し出し羽根12が接している状態で、回転軸11を中心に原料粉末押し出し治具10を矢印Aの方向、もしくは矢印Aの逆方向に回転させることで回転軸11に接続された押し出し羽根12を回転させることができる。このため、本実施形態の原料粉末押し出し治具10の押し出し羽根12が、焼成容器21に充填した原料粉末22に接している状態で、上述のように本実施形態の原料粉末押し出し治具10を回転させることで、押し出し羽根12に接している原料粉末を押し出し、原料粉末22の上部に特定の形状の凹部を形成できる。
【0024】
以下、本実施形態の原料粉末押し出し治具の各部材について説明する。
(回転軸)
回転軸11は、本実施形態の原料粉末押し出し治具10を回転させる際の該回転の中心となる軸であり、一方の端部11aには上述のように押し出し羽根12を接続しておくことができる。
【0025】
回転軸11の形状は特に限定されず、例えば円柱形状や、多角柱形状とすることができる。
(押し出し羽根)
既述の様に、押し出し羽根12が焼成容器に充填した原料粉末に接している状態で、本実施形態の原料粉末押し出し治具10を、回転軸11を中心に回転させた場合に該原料粉末を押し出すことができる。これにより、該原料粉末の上部に凹部を形成することができる。
【0026】
押し出し羽根12の具体的な構成は特に限定されないが、例えば押し出し羽根12を回転軸11の軸方向(図中のZ軸方向)に沿って見た場合に、押し出し羽根12は、回転軸11を中心とした円の直径方向に沿って配置された板状体を有することができる。
【0027】
回転軸を中心とした円の直径方向に沿って配置されたとは、押し出し羽根12が有する板状体の主表面が回転軸11を中心とした円の直径方向に沿って配置されていることを意味する。例えば押し出し羽根12が有する板状体の主表面の少なくとも一部が回転軸11を中心とした円の直径方向に平行になるように配置することができる。なお、板状体の主表面とは、板状体の最も面積の大きい面であり、原料粉末押し出し治具10を回転軸11を中心に回転させた際に原料粉末と対向し、接する面を意味する。このため、例えば後述する図3に示した板状体121において、回転軸11を中心に時計回り(右回り)に回転させる場合、回転軸11よりも上方の部分では面121aが主表面となる。
【0028】
押し出し羽根が係る構成を有することで、押し出し羽根が原料粉末に接した状態で、本実施形態の原料粉末押し出し治具10を回転させることで、押し出し羽根12が有する板状体の主表面に沿って、回転軸11を中心とした円の直径方向外側に原料粉末を押し出すことができる。このため、焼成容器に充填した原料粉末の上部に凹部を形成できる。
【0029】
本実施形態の原料粉末押し出し治具により、原料粉末に凹部を形成する場合、押し出し羽根12が有する板状体を回転軸を中心にして回転させた際に形成される立体形状が、形成される凹部の形状に対応する。このため、形成する凹部の形状にあわせて板状体の形状を選択することが好ましい。
【0030】
なお、原料粉末に形成する凹部は、押し出し羽根を回転させることで形成されることから、原料粉末に形成される凹部の上方の開口部は円形形状となる。
【0031】
ここで、図3に押し出し羽根の一構成例を示す。図3は、押し出し羽根を回転軸11の軸方向に沿って見た図であり、図1におけるブロック矢印Bに沿って見た図に当たる。
【0032】
図3に示すように、押し出し羽根12は平板形状を有する板状体121を有することができ、係る板状体121は回転軸11を中心とした円Cの直径方向に沿って配置することができる。
【0033】
押し出し羽根の構成は係る形態に限定されるものではなく、他の構成を有することもできる。押し出し羽根の他の構成例について説明する。
【0034】
押し出し羽根が板状体を有する場合において、係る板状体は上述のように平板形状とすることもできるが、押し出し羽根を回転軸の軸方向に沿って見た場合に、該板状体は湾曲部を有することもできる。
【0035】
図4を用いて湾曲部を有する板状体を備えた押し出し羽根42について説明する。図4は押し出し羽根42を回転軸11の軸方向に沿って見た図であり、図1におけるブロック矢印Bに沿って見た図に当たる。
【0036】
図4に示すように、押し出し羽根42は板状体421を備えており、該板状体421は、回転軸11を中心とした円Cの直径方向に沿って配置されており、湾曲部421a、421bを有している。湾曲部421a、421bの湾曲の向き等は特に限定されないが、例えば図4中、時計回り(右回り)を回転方向とした場合に、図4に示したように回転方向に凸形状となるように湾曲していることが好ましい。
【0037】
このように、押し出し羽根42が湾曲部421a、421bを備えた板状体421を有することで、原料粉末に押し出し羽根が接した状態で、回転軸11を中心に押し出し羽根を回転させた際に、平板形状の押し出し羽根を用いた場合と比較して、特に容易に原料粉末を押し出すことが可能になる。
【0038】
なお、図4では押し出し羽根42が有する板状体421の全体が湾曲部421a、421bとなっているが、係る形態に限定されるものではなく、例えば一部は平板形状の部分を含んでいても良い。
【0039】
また、湾曲部の湾曲の程度は図4の形態に限定されるものではない。
【0040】
図5を用いて湾曲部を有する板状体を備えた押し出し羽根の他の構成例ついて説明する。図5は押し出し羽根52を回転軸11の軸方向に沿って見た図であり、図1におけるブロック矢印Bに沿って見た図に当たる。
【0041】
図5に示すように、押し出し羽根52は板状体521を備えており、該板状体521は、回転軸11を中心とした円Cの直径方向に沿って配置されており、湾曲部521a、521bを有している。図5に示した押し出し羽根52の板状体521が有する湾曲部521a、521bは、図4に示した押し出し羽根42の板状体421が有する湾曲部421a、421bよりも湾曲の程度が大きくなっている。係る形態とすることで、原料粉末の種類等によっては押し出し羽根を回転させる際の抵抗を抑制し、容易に原料粉末に凹部を形成することが可能になる。
【0042】
湾曲部521a、521bの湾曲の向き等は特に限定されないが、例えば図5中、時計回り(右回り)を回転方向とした場合に、図5に示したように回転方向に凸形状となるように湾曲していることが好ましい。
【0043】
このように、押し出し羽根52が湾曲部521a、521bを備えた板状体521を有することで、原料粉末に押し出し羽根が接した状態で、回転軸11を中心に押し出し羽根を回転させた際に、平板形状の押し出し羽根を用いた場合と比較して、特に容易に原料粉末を押し出すことが可能になる。
【0044】
図3図5では、押し出し羽根として1枚の板状体から構成された例を示したが、係る形態に限定されず、押し出し羽根は、例えば2枚以上の板状体を有することもできる。
【0045】
具体的には例えば図3に示した例において、押し出し羽根12はさらに、図中点線で示した板状体122を有する構成とすることもできる。この場合、板状体122についても、図3に示したように回転軸11を中心とした円の直径方向に沿って配置することができる。なお、押し出し羽根が2枚以上の板状体を有する場合、係る板状体は同じ形状である必要はなく、例えば板状体122について湾曲部を有する構成とすることもできる。
【0046】
また、例えば図6図7に示すように、図4や、図5に示した湾曲部を備えた板状体を有する押し出し羽根においても複数枚の板状体を有することもできる。
【0047】
図6図7は押し出し羽根62、72をそれぞれ回転軸11の軸方向に沿って見た図であり、図1におけるブロック矢印Bに沿って見た図に当たる。
【0048】
図6に示すように、押し出し羽根62は板状体621を備えており、該板状体621は、回転軸11を中心とした円Cの直径方向に沿って配置されており、湾曲部621a、621bを有している。なお、図6に示した板状体621は、図5に示した板状体521と同じ形状となっているため、ここでは説明を省略する。
【0049】
そして、図6に示した押し出し羽根62は、板状体621以外に、板状体622a、622bを有することができる。板状体622aと、板状体622bとを一体の板状体と見た場合、回転軸11との間に隙間6221、6222が形成されている点以外は板状体621と同様に構成することができる。ただし、板状体622a、622bは、係る形態に限定されず、例えば湾曲の程度が板状体621とは異なる構成とすることもでき、また湾曲部を有しない構成とすることもできる。さらに、板状体622a、622bは、例えば隙間6221、6222を設けない、一体の板状体とすることもできる。
【0050】
また、図7に示すように、押し出し羽根72は板状体721を備えており、該板状体721は、回転軸11を中心とした円Cの直径方向に沿って配置されており、湾曲部721a、721bを有している。なお、図7に示した板状体721は、図5に示した板状体521と同じ形状となっているため、ここでは説明を省略する。
【0051】
そして、図7に示した押し出し羽根72は、板状体721以外に、板状体722a、722b、723a、723b、724a、724bを有することができる。板状体722aと、板状体722bとを一体の板状体と見た場合、回転軸11との間に隙間7221、7222が形成されている点以外は板状体721と同様に構成することができる。板状体723aと板状体723b、及び板状体724aと板状体724bについても同様に、それぞれ一体の板状体と見た場合、回転軸11との間に隙間が形成されている以外は板状体721と同様に構成することもできる。
【0052】
ただし、板状体722a、722b、723a、723b、724a、724bは、係る形態に限定されず、例えば湾曲の程度が板状体721とは異なる構成とすることもでき、また湾曲部を有しない構成とすることもできる。さらに、板状体722aと板状体722b、板状体723aと板状体723b、板状体724aと板状体724bは、一部、または全部の板状体の組み合わせにおいて、例えば回転軸11との間に隙間を設けない、一体の板状体とすることもできる。
【0053】
このように複数枚の板状体を有することで、押し出し羽根を回転させた際に、原料粉末を押し出す効率を高めることができ、特に容易に凹部を形成することができる。
【0054】
図3図7においては、押し出し羽根が、回転軸を中心とした円の直径方向に沿って配置された板状体を有する構成例を示したが、係る押し出し羽根が有する板状体の主表面には例えば一部にスリットや、貫通孔を設けておくこともできる。
【0055】
このように、板状体の主表面に、スリットや貫通孔を設けておくことで、板状体が原料粉末と接した状態で板状体を回転させた場合に、板状体に過度に圧力が加わることを防止できる。係るスリットや、貫通孔を設ける場合、その大きさや数は特に限定されないが、原料粉末に凹部を形成できる程度に適度な間隔、大きさで設けることが好ましい。
【0056】
また、板状体は、回転軸11に固定することもできるが、係る形態に限定されるものではない。後述する押し出し羽根の他の構成例の場合と同様に、例えば板状体を回転板の一方の面に固定し、回転板の他方の面に回転軸を固定するように構成することもできる。例えば、図6図7を用いて説明した押し出し羽根62や、押し出し羽根72のように、回転軸に接していない板状体を有する押し出し羽根の場合、回転板623や、回転板725に板状体を固定することが好ましい。回転板については図9(A)、図9(B)に示した押し出し羽根の他の構成例において詳述する。
【0057】
ここで、図8を用いて、板状体と、回転軸との角度の関係について説明する。図8では、図3に示した、押し出し羽根12が有する板状体121の主表面である面121aに沿って見た、すなわち図3中のブロック矢印Dに沿って見た押し出し羽根12と、回転軸11との側面図を示している。なお、図8の場合、主表面である面121aの配置から明らかなように、図中矢印Aの方向に回転軸11を中心として回転させることになる。
【0058】
押し出し羽根が回転軸を中心とした円の直径方向に沿って配置された板状体を有する場合、図8に示した回転軸11の軸方向、すなわちZ軸方向と、押し出し羽根12が有する板状体121の主表面である面121aとの間で形成する角度θ80は特に限定されず、任意に選択することができる。
【0059】
ただし、例えば回転軸11の軸方向と、押し出し羽根12が有する板状体121の主表面である面121aとの間で形成する角度θ80が90度未満の場合に原料粉末の押し出し効率が高くなるため好ましい。このため、例えば回転軸11の軸方向と、押し出し羽根が有する板状体の主表面とが形成する角度θ80は、0≦θ80<90度とすることが好ましく、0≦θ80≦45度とすることがより好ましい。
【0060】
押し出し羽根について、押し出し羽根が回転軸を中心とした円の直径方向に沿って配置された板状体を有する場合の構成例を示したが、係る形態に限定されるものではない。
【0061】
例えば押し出し羽根は、複数枚の板を有することができる。そして、押し出し羽根を回転軸の軸方向に沿って見た場合に、複数枚の上記板が、その主面が互いに平行に、かつ回転軸を中心とした円の直径方向沿って並べて配置した構成とすることもできる。
【0062】
なお、この場合、押し出し羽根が有する複数枚の板を回転軸に沿って回転させた際に形成される立体形状が、該押し出し羽根を有する原料粉末押し出し治具を用いて形成される凹部の形状に対応する。このため、形成する凹部の形状にあわせて複数枚の板の形状や、配置を選択することが好ましい。
【0063】
ここで、図9(A)に上述の押し出し羽根の一構成例を示す。図9(A)は、押し出し羽根を回転軸方向に沿って見た図であり、図1におけるブロック矢印Bに沿って見た図に当たる。
【0064】
図9(A)に示すように、押し出し羽根92は複数枚の板921a〜921jを有することができる。そして、該複数枚の板921a〜921jをその主面が互いに平行に、かつ回転軸11を中心とした円Cの直径方向に沿って並べて配置することができる。
【0065】
なお、ここでいう主面とは板921a〜921jの最も面積の大きい面を意味する。
【0066】
この際、複数枚の板921a〜921jのうち、最も外周側に配置された板921a、板921jの端部と、回転軸11の中心とを結ぶ直線Eと、複数枚の板921a〜921jの主面との間に角度θ921を有するように配置することが好ましい。
【0067】
なお、角度θ921の大きさは特に限定されるものではないが、0度よりも大きくすることができる。また、回転させた場合に原料粉末を効率よく押し出すことができるように角度θ921は90度以下であることが好ましく、60度以下であることがより好ましい。
【0068】
また、例えば図9に示した押し出し羽根92の様に、回転軸11の近傍には、回転軸11を中心とした円Cの直径方向に沿って配置した板状体921kもあわせて設けておくこともできる。板状体921kは、図9に示すように、その主表面が円Cの直径方向に沿うように配置できる。係る板状体921kを配置することで、原料粉末に形成する凹部の底部中央に原料粉末が残留することを抑制できる。
【0069】
図9(A)に示したように、押し出し羽根が複数枚の板を有する場合には、係る複数枚の板を回転軸11に直接固定することは構造上困難である。
【0070】
このため、押し出し羽根92は、複数枚の板を固定する回転板922を有することが好ましい。
【0071】
ここで、図9(B)に押し出し羽根92の側面図を示す。図9(B)は、図9(A)をブロック矢印Fに沿って見た図を示している。
【0072】
例えば図9(B)に示すように、押し出し羽根92は、複数枚の板921a〜921j、及び板状体921kをその一方の面922aに固定する回転板922を有することができる。そして、回転板922の他方の面922bに回転軸11の一方の端部11aを固定することができる。このように構成することで、回転軸11を中心に原料粉末押し出し治具を回転させた場合に、複数枚の板921a〜921jも同時に回転させることができる。
【0073】
回転板922は、例えば図9(A)に示すように回転軸11を中心とした円板形状を有することができる。
【0074】
回転板922に複数枚の板921a〜921jを固定する際に、回転板922を固定する回転軸11の軸方向と、複数枚の板921a〜921jの主面との間で形成する角度は特に限定されない。ただし、回転軸11の軸方向と、複数枚の板921a〜921jの主面とは平行、もしくは平行に近いことが好ましいことから、例えば0度以上30度以下であることが好ましい。
【0075】
なお、図3図7を用いて説明した板状体を有する押し出し羽根についても、押し出し羽根は回転板を有することもでき、既述の板状体を上述の複数の板の場合と同様に回転板に固定することができる。
【0076】
図9(A)では、押し出し羽根92が、互いの主面が平行な一群の複数枚の板921a〜921jを有する例を示したが、係る形態に限定されない。
【0077】
例えば図10図11に示すように、互いの主面が平行な複数枚の板の群を複数設けることもできる。図10に示した押し出し羽根102では、互いの主面が平行な複数枚の板の群1021a、1021bを有している。また、図11に示した押し出し羽根112では、互いの主面が平行な複数枚の板の群1121a〜1121fを有している。
【0078】
また、図10図11に示した押し出し羽根102、112においても、回転軸11の近傍には回転軸11を中心とした円Cの直径方向に沿って配置した板状体1021c、1121gをそれぞれ設けておくこともできる。係る板状体1021c、1121gを配置することで、原料粉末に形成する凹部の底部中央に原料粉末が残留することを抑制できる。なお、図10図11に示した押し出し羽根102、112においても、回転板1022、1122の一方の面に、複数枚の板や、板状体を固定することができる。
【0079】
図9(A)、図9(B)や、図10図11に示したように、押し出し羽根が複数枚の板を有し、該複数枚の板の底辺、すなわち原料粉末対向する側の辺の長さの合計を長くする程、原料粉末を押し出す効率が高くなり好ましい。
【0080】
なお、ここまで押し出し羽根に関して、その底面形状について主に説明したが、側面形状は特に限定されない。ただし、押し出し羽根12を回転軸11を中心として回転させた際に形成される立体形状に対応した形状が、原料粉末に形成する凹部の形状になる。このため、原料粉末に形成する凹部の形状に応じて、その側面形状を選択することができる。
【0081】
例えば図1に示したように、押し出し羽根12は方形形状を有することができる。
【0082】
また、例えば図12(A)に示すように押し出し羽根12Aは、その側面形状の底部側、すなわち原料粉末と対向する側に、テーパー部121Aを有するように構成することもできる。係る押し出し羽根12Aを用いることで、後述する図13(A)に示した凹部1311を形成できる。なお、図12(A)に示したように、押し出し羽根12Aは、形成した凹部を囲む壁部の上面を平坦に均すように、その側面形状の底部側とは反対側、すなわち原料粉末と対向する側とは反対側に、方形形状を有する上面均し部122Aを有することができる。上面均し部122Aの幅(図中の左右方向のサイズ)は特に限定されないが、例えば凹部を形成するためのテーパー部121Aよりもその幅を長くすることができる。また、壁部の上面全体を均すことができるように、押し出し羽根12Aの上面均し部122Aの側面が焼成容器の内壁近傍にまで達するようにそのサイズを選択することが好ましい。図1に示した凹部を形成するための部分が方形形状を有する押し出し羽根12においても同様に上面均し部を設けることもできる。
【0083】
また、例えば図12(B)に示すように、押し出し羽根12Bは、その側面形状において、放物線部121Bを有することもできる。係る押し出し羽根12Bを用いることで、後述する図13(B)に示した凹部1312を形成できる。図12(B)に示した押し出し羽根12Bにおいても、その側面形状の底部側とは反対側、すなわち原料粉末と対向する側とは反対側に、方形形状を有する上面均し部122Bを設けることもできる。上面均し部122Bについては、図12(A)における上面均し部122Aと同様に構成できるため、ここでは説明を省略する。
【0084】
なお、例えば押し出し羽根が複数枚の板を有する場合には、その選択した一の側面において、複数枚の板全体で上述の側面形状を有することができる。
【0085】
本実施形態の原料粉末押し出し治具は、上述の回転軸11、及び押し出し羽根12以外にも任意の部材を有することができる。
【0086】
例えば図1図2に示すように、回転軸11の他方の端部11bにハンドル13を設けておき、回転軸11を回転し易く構成することもできる。
【0087】
また、回転軸11が貫通するように設けた飛散防止板14を設けておくこともできる。図2に示すように、本実施形態の原料粉末押し出し治具10は、原料粉末22を充填した焼成容器21にセットして用いることができ、既述の様に、押し出し羽根12が原料粉末22に接している状態で回転軸を中心として回転させることで原料粉末22に凹部を形成できる。しかし、係る操作を行う際に原料粉末22が飛散する恐れがあることから、上述のように、焼成容器21の上面を覆えるように、飛散防止板14を設けておくことが好ましい。飛散防止板14の構成は特に限定されず、用いる焼成容器21の形状に対応した形状を有することができる。また、飛散防止板14には、回転軸11の回転を阻害しないように、回転軸11を通す貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0088】
以上に説明した本実施形態の原料粉末押し出し治具によれば、焼成容器内に充填した原料粉末に凹部を形成することができ、該凹部を形成した原料粉末を焼成して得られる粉体について、該粉体中の特性のばらつきを抑制することができる。
[粉体の製造方法]
次に、本実施形態の粉体の製造方法について説明する。
【0089】
本実施形態の粉体の製造方法は以下の工程を有することができる。
【0090】
焼成容器内に原料粉末を充填する充填工程。
焼成容器内において、原料粉末の上部中央に位置する原料粉末を周囲に押し出し、原料粉末の上部中央に凹部を形成する原料粉末押し出し工程。
凹部を形成した原料粉末を焼成する焼成工程。
【0091】
以下に工程ごとに説明する。
(充填工程)
充填工程では、焼成容器内に原料粉末を充填することができる。
【0092】
焼成容器の形状やサイズは特に限定されるものではないが、上面が開放された形状を有することが好ましい。すなわち、底面と、側面とに壁面が設けられ、上面は開放されていることが好ましい。焼成炉内での充填度を高くするためには、すなわち焼成炉内に、できるだけ多くの焼成容器を配置する観点から、焼成容器は枡形の四角形容器であることが好ましい。
【0093】
焼成容器の材質は特に限定されないが、耐熱性を備え、かつ焼成工程において原料粉末と反応しにくい材質であることが好ましい。焼成容器の材質としては、例えばSiO(シリカ)やAl(アルミナ)などを成分とするコーディエライト、アルミナなど、各種セラミックス材料を用いることができる。
【0094】
焼成容器内に充填する原料粉末の量は特に限定されないが、本実施形態の粉末の製造方法によれば、焼成容器内への原料粉末の充填量を多くしても、得られる粉末の特性のばらつきを抑制することができるため、原料粉末の充填量が多いほど高い効果を発揮できる。このため、原料粉末は、焼成容器内に、焼成容器の内容積の20%以上となるように充填されていることが好ましい。
【0095】
ここで、焼成容器の内容積とは、焼成容器の内側面、内底面、及び側面の上端を通る面で囲まれた領域の容積を意味する。
【0096】
焼成容器の内容積の20%以上となるように原料粉末を充填することで特に該原料粉末を焼成して得られる粉末の生産性を高めることができるため好ましい。
【0097】
なお、原料粉末の焼成容器への充填量の、焼成容器の内容積に対する割合の上限値は特に限定されないが、例えば焼成容器の内容積の60%以下となるように、原料粉末を充填することが好ましく、50%以下となるように充填することがより好ましい。
【0098】
本実施形態の粉体の製造方法で用いる原料粉末の種類は特に限定されず、各種原料粉末を用いることができる。例えば磁性材料や、圧電材料、電池材料等の各種機能性材料の原料粉末を用いることができる。
(原料粉末押し出し工程)
原料粉末押し出し工程では、焼成容器内において、原料粉末の上部中央に位置する原料粉末を周囲に押し出し、原料粉末の上部中央に凹部を形成することができる。
【0099】
凹部は、既述の原料粉末押し出し治具を用いて形成することができる。
【0100】
本発明の発明者らの検討によると、原料粉末を充填した焼成容器を焼成した場合、昇温過程において、焼成容器の壁面に近い部分、すなわち焼成容器の底面、及び側面に近い部分、及び焼成容器の上面の温度が高くなり、壁面からの距離が離れることにより温度が低くなる。このため、凹部を形成しない場合、焼成容器の壁面近傍では温度が高くなり、壁面近傍と、焼成容器の中央部近傍とでは温度差が生じ、得られる粉体の物性のバラツキの原因となっていた。
【0101】
そこで、本実施形態の粉体の製造方法では、焼成容器の中央部の原料粉末を壁面側へ押し出し、中央部の原料粉末の量を減らし、壁面側の原料粉末の量を増加させることで、得られる粉体の物性のバラツキを抑制することを可能とした。
【0102】
形成する凹部のサイズは特に限定されず、焼成する原料粉末の種類等に応じて選択することができる。
【0103】
なお、既述の原料粉末押し出し治具を用いて原料粉末を焼成容器内で中央から壁面近傍へ押し出すため、凹部の上部開口部は円形形状となるが、凹部の断面形状は特に限定されない。
【0104】
凹部は、例えば図13(A)に示すように、焼成容器21に充填した原料粉末22に設けた凹部1311の中心軸を通る断面において、側面1311aを上部に向かって拡がるテーパー面とし、底面1311bを平坦面とすることができる。なお、側面1311aは、底面1311bと垂直な面とすることもできる。
【0105】
また、凹部は、図13(B)に示すように凹部1312の中心軸を通る断面において、放物線形状を有する構成をすることもできる。
【0106】
凹部は、上述のように原料粉末の上部中央に形成することができるが、係る上部中央とは原料粉末を上方から見た場合に、円形形状を有する凹部の開口部が、原料粉末の上部中央、具体的には焼成容器の上部開口部の中心と重なるように凹部を形成することを意味する。特に、円形形状を有する凹部の開口部の中心と、原料粉末の上部中央、具体的には焼成容器の上部開口部の中心とが一致することが好ましい。
(焼成工程)
焼成工程では、凹部を形成した原料粉末を焼成することができる。
【0107】
焼成条件は特に限定されず、焼成する原料粉末や、製造する粉体に応じて、雰囲気や、温度等を選択することができる。
【0108】
以上に説明した本実施形態の粉体の製造方法によれば、焼成容器内に充填した原料粉末の上部中央に凹部を形成することで、焼成を行った際に、該焼成容器に充填した原料粉末の場所による焼成温度のばらつきを抑制できる。このため、焼成容器への原料粉末の充填量に関わらず、特性のばらつきを抑制した粉体を製造することができる。
【実施例】
【0109】
以下、実施例を参照しながら本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下の手順により磁性粉体を作製し、評価を行った。
【0110】
酸化鉄(III)(α−Fe)と、酸化ランタン(La)と、炭酸ストロンチウム(SrCO)と、酸化コバルトとを、Sr:La:Co:Feが0.6:0.4:0.4:11.6となるように秤量、混合し、原料粉末を調製した。
【0111】
得られた原料粉末を、内寸が280mm(L)×280mm(W)×90mm(H)であり、上面が開口部となっているセラミック製の焼成容器である匣鉢に、充填した(充填工程)。
【0112】
次いで、図2に示したように、焼成容器21である匣鉢に充填した原料粉末22の上面の中心を含むように、原料粉末押し出し治具10をセットし、押し出し羽根12が原料粉末に接している状態で、回転軸11を中心に回転することで、原料粉末22の上部中央に凹部を形成した(原料粉末押し出し工程)。
【0113】
なお、原料粉末押し出し治具10は、押し出し羽根12として、図3に示したように、押し出し羽根を回転軸11の軸方向に沿って見た場合に、回転軸を中心とした円の直径方向に沿って配置された平板形状の板状体121を有する物を用いた。なお、回転軸11の軸方向と、押し出し羽根が有する板状体121の主表面である面121aとが形成する角度θ80図8を参照)は0度とした。
【0114】
用いた押し出し羽根は、側面形状が、図12(A)に示した押し出し羽根12Aと同様に、底部側、すなわち原料粉末と対向する側にテーパー部121Aを有し、底部側と反対側に方形形状を有する上面均し部122Aを有する形状とした。このため、回転軸11を中心に回転させた場合に、断面形状が図13(A)に示した側面1311aがテーパー面であり、底面1311bが平坦面である凹部1311を形成できる。そして、凹部1311を囲む壁部の上面は平坦面となった。
【0115】
また、図1に示すように、回転軸11の他方の端部11bにはハンドル13が設けられており、係るハンドル13を矢印Aに沿って回転させることで凹部を形成した。
【0116】
これにより、図13(A)に示したように、焼成容器21である匣鉢に充填された原料粉末22に、凹部の中心軸を通る断面において、側面1311aがテーパー面であり、底面1311bが平坦面である凹部1311を形成した。
【0117】
係る凹部が形成された原料粉末を、大気中1200℃で1時間焼成し、粉体を製造した(焼成工程)。
【0118】
得られた粉体について、1つの匣鉢内で5か所からサンプリングした。
【0119】
サンプリングした箇所について、図14を用いて説明する。図14は匣鉢内の粉体であるサンプル140を示しており、奥行きLが280mm、幅Wが280mm、高さ(最大高さ)Hが約29mmとなっている。なお、図中ではサンプルの中央に形成した凹部については記載を省略している。
【0120】
そして、匣鉢内のサンプル140の上面の4隅141の4か所、及びサンプル140の中心142の合計5か所からそれぞれサンプリングを行った。なお、図14に示すように焼成工程後の匣鉢内の粉体を、該粉体の最大高さを高さHとする直方体と見做し、係る直方体における中心位置を中心142としてサンプリングを行っている。
【0121】
以上の、匣鉢からサンプリングした、合計5サンプルについて、磁気天秤を用いて質量磁化を測定したところ、サンプル間のバラツキは中央値から3%であることが確認できた。
[実施例2]
側面形状が、図12(B)に示した押し出し羽根12Bと同様に、底部側、すなわち原料粉末と対向する側に放物線部121Bを有する形状の物を用いた点以外は実施例1と同様にして磁性粉体を製造し、評価を行った。
【0122】
用いた押し出し羽根は、側面形状が異なる点以外は、実施例1の場合と同様に図3に示したように、押し出し羽根を回転軸11の軸方向に沿って見た場合に、回転軸を中心とした円の直径方向に沿って配置された平板状の板状体121を有している。
【0123】
なお、上述の側面形状を有する押し出し羽根を用いたため、回転軸11を中心に回転させた場合に、断面形状が図13(B)に示した放物線形状の凹部1312を形成できる。
【0124】
得られた粉体について実施例1の場合と同様にサンプリングを行い、質量磁化を測定したところ、サンプル間のバラツキ幅は最大で中央値から3%であることが確認できた。
[比較例1]
凹部を形成しなかった点以外は実施例1と同様にして磁性粉体を製造し、評価を行った。
【0125】
得られた粉体について実施例1の場合と同様にサンプリングを行い、質量磁化を測定したところ、サンプル間のバラツキ幅は最大で中央値から6%であることが確認できた。
[実施例3]
以下の手順によりチタン酸バリウム粉体を作製し、評価を行った。
【0126】
炭酸バリウムと、二酸化チタン粉末とを、物質量の比でBaCO:TiO=40:100となるように秤量し、メディアとしてジルコニアを用いたポリポットを用いて24時間湿式混合した。なお、湿式混合を行う際、スラリー濃度が20質量%となるようにした。湿式混合後、乾燥して原料粉末を得た。
【0127】
得られた原料粉末を、実施例1と同じセラミック製の焼成容器である匣鉢に、充填した(充填工程)。
【0128】
次いで、実施例1の場合と同様にして、原料粉末押し出し治具を用いて原料粉末の上部中央に凹部を形成した(原料粉末押し出し工程)。
【0129】
なお、原料粉末押し出し治具は、押し出し羽根として、図9(A)に示したように、複数枚の板921a〜921j、および板状体921kを有し、押し出し羽根を回転軸の軸方向に沿って見た場合に、複数枚の板921a〜921jが、その主面が互いに平行に、かつ回転軸を中心とした円Cの直径方向に沿って配列されたものを用いた。複数枚の板921a〜921jは、複数枚の板921a〜921jのうち、最も外周側に配置された板921a、板921jの端部と、回転軸11の中心とを結ぶ直線Eと、複数枚の板921a〜921jの主面との間に角度θ921が45度となるように配置した。
複数枚の板921a〜921j、および板状体921kは、図9(B)に示すように、回転板922の一方の面922aに、回転板922と、複数枚の板921a〜921jの主面および板状体921kの主表面との間の角度が直角になるように固定している。また、回転板922の他方の面922bに、回転板922の他方の面922bと直角になるように回転軸11を固定している。従って、回転軸11の軸方向と、複数枚の板921a〜921jの主面および板状体921kの主表面との間の角度は0度となっている。
【0130】
用いた押し出し羽根は、複数枚の板921a〜921j、および板状体921kにより形成される側面形状が、図12(A)に示した押し出し羽根12Aと同様に、底部側、すなわち原料粉末と対向する側にテーパー部121Aを有し、底部側と反対側に方形形状を有する上面均し部122Aを有する形状とした。このため、回転軸11を中心に回転させた場合に、断面形状が図13(A)に示した側面1311aがテーパー面であり、底面1311bが平坦面である凹部1311を形成できる。そして、凹部1311を囲む壁部の上面は平坦面となった。
【0131】
また、図1に示すように、回転軸11の他方の端部11bにはハンドル13が設けられており、係るハンドル13を矢印Aに沿って回転させることで凹部を形成した。
【0132】
これにより、図13(A)に示したように、焼成容器21である匣鉢に充填された原料粉末22に、凹部の中心軸を通る断面において、側面1311aがテーパー面であり、底面1311bが平坦面である凹部1311を形成した。
【0133】
係る凹部が形成された原料粉末を、大気中600℃で2時間焼成し、粉体を製造した。なお、焼成時、室温から上記焼成温度までは3.3℃/分で昇温し、上記焼成温度で2時間保持した後、3.3℃/分で室温まで降温した(焼成工程)。
【0134】
得られた粉体について、1つの匣鉢内で5か所からサンプリングした。サンプリング箇所については、実施例1の場合と同様にしたため、ここでは説明を省略する。
【0135】
匣鉢からサンプリングした、合計5サンプルについて、X線回折装置(PANalytical製 型式:X'PertPRO)によりXRDパターンを測定した。そして、XRDパターンを用いてRietveld解析によりチタン酸バリウム生成量と、原料粉末の残留量とを算出し、転化率を求めた。
【0136】
なお、XRDパターンの測定に当たっては線源としてCu−Kα線を用い、管電圧40kV、管電流40mA、測定範囲(2θ)20〜120deg.とした。
【0137】
サンプル間でのチタン酸バリウムへの転化率のバラツキ幅は最大で中央値に対して2%であることが確認できた。
[実施例4]
原料粉末押し出し治具として、図11に示したように、互いの主面が平行な複数枚の板の群を複数有する押し出し羽根を用いた点以外は実施例3と同様にしてチタン酸バリウムを製造し、チタン酸バリウム生成量の評価を行った。
【0138】
図11に示した押し出し羽根112では、互いの主面が平行な複数枚の板の群1121a〜1121fを有している。さらに、図11に示した押し出し羽根112は、回転軸11の近傍に回転軸11を中心とした円Cの直径方向に沿って配置した板状体1121gを有している。
【0139】
なお、複数枚の板の群1121aに含まれる複数枚の板のうち、最も外周側に配置された板の端部と、回転軸11の中心とを結ぶ直線Gと、複数枚の板の群1121aに含まれる複数枚の板の主面との間に角度θ1121が45度となるように配置した。他の複数枚の板の群1121b〜1121fについても同様にしている。
【0140】
複数枚の板の群1121a〜1121fに含まれる複数枚の板、および板状体1121gは、回転板1122に、回転板1122と、複数枚の板の主面および板状体の主表面との間の角度が直角になるように固定している。また、回転板1122の他方の面に、直角になるように回転軸11を固定している。従って、回転軸11の軸方向と、複数枚の板の群1121a〜1121fに含まれる複数枚の板の主面、および板状体1121gの主表面との間の角度は0度となっている。
【0141】
得られた粉体について実施例1の場合と同様にサンプリングを行い、転化率を算出したところ、サンプル間のバラツキ幅は最大で中央値から2%であることが確認できた。
[比較例2]
凹部を形成しなかった点以外は実施例3と同様にしてチタン酸バリウムを製造し、チタン酸バリウム生成量の評価を行った。
【0142】
得られた粉体について実施例3の場合と同様にサンプリングを行い、チタン酸バリウムへの転化率を算出したところ、サンプル間でのチタン酸バリウムへの転化率のバラツキ幅は最大で中央値に対して6%であることが確認できた。
【符号の説明】
【0143】
10 原料粉末押し出し治具
11 回転軸
11a 回転軸の一方の端部
12、42、52、62、72、92、102、112、12A、12B 押し出し羽根
921a〜921j 板
121、122、421、521、621、622a、622b、721、722a、722b、723a、723b、724a、724b、921k、1021c、1121g 板状体
421a、421b、521a、521b、621a、621b、721a、721b 湾曲部
21 焼成容器
22 原料粉末
1311、1312 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14