【実施例】
【0113】
以下、合成例、比較合成例、実施例、及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、分子量及び分散度としては、テトラヒドロフランを溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め、分散度(Mw/Mn)を求めた。
【0114】
合成例 高耐熱有機化合物の合成
【0115】
[合成例1]化合物(A1)の合成
ジオール(B1)200g、1,2−ジクロロエタン800g、アセチルクロリド76gを混合し、72時間加熱還流した。室温に冷却後、ジイソプロピルエーテル400mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して211gのジクロリド(B2)を得た。
氷冷したエチニルベンゼン10.2gとトルエン80gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液100mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B2)13.2gを加え、60℃で5時間加熱撹拌した。冷却後、希塩酸を加えて反応を停止した。水洗後、減圧濃縮を行い、目的物(A1)16.3gを得た。合成した化合物(A1)のIR、LC−MS分析結果を以下に示す。
【化34】
【0116】
IR(D−ATR):
ν=3285、3060、1600、1490、1448、815、754、744、690cm
−1
LC−MS(MM−ES Positive/aq.AcONH
4−MeCN):
m/z=683(C
54H
34+H
+).
【0117】
[合成例2]化合物(A2)の合成
エチニルベンゼンの代わりに、1−エチニル−4−メトキシベンゼンを用いた以外は、[合成例1]に準じた方法により(A2)を合成した。合成した化合物(A2)のIR、LC−MS分析結果を以下に示す。
【化35】
【0118】
IR(D−ATR):
ν=3037、2955、2933、2835、1605、1509、1448、1290、1248、1170、1030、831、812、765、754、736cm
−1
LC−MS(MM−ES Positive/aq.AcONH
4−MeCN):
m/z=743(C
56H
38O
2+H
+).
【0119】
[合成例3]化合物(A3)の合成
ジクロリド(B2)6.9gとトルエン50gの混合物に、臭化エチニルマグネシウム0.5Nテトラヒドロフラン溶液100mLを加え、200分加熱還流した。冷却後、希塩酸を加えて反応を停止した。水洗後、減圧濃縮を行い、化合物(A3)6.6gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=1100、Mw/Mn=1.74となった。合成した化合物(A3)のIR、
1H−NMR分析結果を以下に示す。
【化36】
【0120】
IR(D−ATR): ν=3291、3061、3036、1604、1493、1475、1448、1005、920、815、753、730、650cm
−1。
1H−NMR(600MHz、THF−d8): δ=2.85−2.90(2H、
HC≡C−)、7.00−7.85(49H、Ar−
H)。
【0121】
[合成例4]化合物(A4)の合成
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン11gとトルエン80gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液100mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B2)23gを加え、60℃で2時間加熱撹拌した。冷却後、希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、メタノールを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A4)27gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2000、Mw/Mn=1.58となった。
【化37】
【0122】
合成した化合物(A4)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3291、3061、3028、1594、1493、1475、1448、813、794、753、732cm
−1
【0123】
[合成例5]化合物(A5)の合成
N
2雰囲気下で−20℃まで冷却したビス(4−ブロモフェニル)エーテル219gとt−ブチルメチルエーテル1000mLの混合液に、n−ブチルリチウム2.67Mヘキサン溶液500mLを加え、−20℃で20分間撹拌した。9−フルオレノン(B4)229gを加え、徐々に室温に昇温し、室温にて4時間撹拌した。水を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ヘキサンを加え、生じた固体をろ取、ヘキサン洗浄、減圧乾燥して293gのジオール(B5)を得た。
ジオール(B5)265g、1,2−ジクロロエタン1000g、アセチルクロリド157gを混合し、室温にて22時間撹拌した。ヘキサン1000mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して181gのジクロリド(B6)を得た。
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン10.1gとトルエン50gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液50mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B6)11.4gを加え、40℃まで昇温して4時間撹拌した。希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、メタノールを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A5)13.3gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=1000、Mw/Mn=1.17となった。
【0124】
【化38】
【0125】
合成した化合物(A5)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3289、3062、1594、1496、1475、1448、1240、825、751、733cm
−1
【0126】
[合成例6]化合物(A6)の合成
N
2雰囲気下で−20℃まで冷却した2,8−ジブロモジベンゾフラン43.2gとt−ブチルメチルエーテル200mLの混合液に、n−ブチルリチウム2.65Mヘキサン溶液100mLを加え、−20℃で15分間撹拌した。9−フルオレノン(B4)45.4gを加え、徐々に室温に昇温し、室温にて5時間撹拌した。水を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ヘプタンを加え、生じた固体をろ取、へプタン洗浄、減圧乾燥して60.2gのジオール(B7)を得た。
ジオール(B7)31.7g、1,2−ジクロロエタン150g、アセチルクロリド18.8gを混合し、40℃まで昇温して18時間撹拌した。室温に冷却後、ヘキサン300mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して24.9gのジクロリド(B8)を得た。
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン10.5gとトルエン140gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液100mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B8)23.6gを加え、40℃まで昇温して19時間撹拌した。室温に冷却後、希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ジイソプロピルエーテルを加え、生じた固体をろ取、ジイソプロピルエーテル洗浄、減圧乾燥し、目的物(A6)21.4gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=1600、Mw/Mn=1.44となった。
【0127】
【化39】
【0128】
合成した化合物(A6)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3292、3061、1594、1476、1448、1205、812、793、746、733cm
−1
【0129】
[合成例7]化合物(A7)の合成
N
2雰囲気下で−20℃まで冷却した3,6−ジブロモ−9−フェニルカルバゾール31.1gとt−ブチルメチルエーテル200mLの混合液に、n−ブチルリチウム1.55Mヘキサン溶液100mLを加え、−10℃で30分間撹拌した。9−フルオレノン(B4)26.5gを加え、徐々に室温に昇温し、室温にて6時間撹拌した。水を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ヘプタンを加え、生じた固体をろ取、へプタン洗浄、減圧乾燥して36.7gのジオール(B9)を得た。
ジオール(B9)18.1g、1,2−ジクロロエタン80g、アセチルクロリド9.4gを混合し、60℃まで昇温して21時間撹拌した。室温に冷却後、ジイソプロピルエーテル45mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して12.7gのジクロリド(B10)を得た。
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン5.0gとトルエン60gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液48mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B10)12.8gを加え、室温にて22時間撹拌した。希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ジイソプロピルエーテルを加え、生じた固体をろ取、ジイソプロピルエーテル洗浄、減圧乾燥し、目的物(A7)15.7gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=1500、Mw/Mn=1.37となった。
【0130】
【化40】
【0131】
合成した化合物(A7)のIR分析結果を以下に示す。IR(D−ATR):
ν=3292、3062、1596、1501、1483,1475、1448、1236、809、793、746、732cm
−1
【0132】
[合成例8]化合物(A8)の合成
N
2雰囲気下で−20℃まで冷却した3,3’−ジブロモ−4,4’−ジメトキシビフェニル28.8gとt−ブチルメチルエーテル200mLの混合液に、n−ブチルリチウム1.55Mヘキサン溶液100mLを加え、−20℃で10分間撹拌した。9−フルオレン(B4)26.5gを加え、徐々に室温に昇温し、室温にて4時間撹拌した。水を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ヘプタンを加え、生じた固体をろ取、へプタン洗浄、減圧乾燥して36.0gのジオール(B11)を得た。
ジオール(B11)11.5g、1,2−ジクロロエタン50g、アセチルクロリド6.3gを混合し、60℃まで昇温して22時間撹拌した。室温に冷却後、ヘキサン30mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して6.7gのジクロリド(B12)を得た。
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン2.1gとトルエン30gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液20mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B12)5.1gを加え、60℃まで昇温して4時間撹拌した。室温に冷却後、希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ジイソプロピルエーテルを加え、生じた固体をろ取、ジイソプロピルエーテル洗浄、減圧乾燥し、目的物(A8)4.2gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2100、Mw/Mn=1.64となった。
【0133】
【化41】
【0134】
合成した化合物(A8)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3289、3060、2933、2833、1594、1487、1475、1448、1251、1023、811、794、750、733cm
−1
【0135】
[合成例9]化合物(A9)の合成
N
2雰囲気下で−20℃まで冷却した5,5’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン42.9gとt−ブチルメチルエーテル200mLの混合液に、n−ブチルリチウム2.65Mヘキサン溶液100mLを加え、−20℃で20分間撹拌した。9−フルオレン(B4)45.4gを加え、徐々に室温に昇温し、室温にて5時間撹拌した。水を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ヘキサンを加え、生じた固体をろ取、ヘキサン洗浄、減圧乾燥して50.2gのジオール(B13)を得た。
ジオール(B13)21.1g、1,2−ジクロロエタン100g、アセチルクロリド12.6gを混合し、60℃まで昇温して4時間撹拌した。室温に冷却後、ヘキサン150mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して18.6gのジクロリド(B14)を得た。
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン5.0gとトルエン30gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液25mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B14)5.6gを加え、室温にて7時間撹拌した。希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、メタノールを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A9)5.5gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=5800、Mw/Mn=3.21となった。
【0136】
【化42】
【0137】
合成した化合物(A9)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3294、3060、1593、1475、1446、1349、895、794、740、732cm
−1
【0138】
[合成例10]化合物(A10)の合成
N
2雰囲気下で−20℃まで冷却した4,4’−ジブロモビフェニル24.2gとt−ブチルメチルエーテル100mLとシクロペンチルメチルエーテル100mLの混合液に、n−ブチルリチウム2.67Mヘキサン溶液100mLを加え、−20℃で20分間撹拌した。4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(B15)35.67gを加え、徐々に室温に昇温し、室温にて4時間撹拌した。水を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、へプタンを加え、生じた固体をろ取、へプタン洗浄、減圧乾燥して42.2gのジオール(B16)を得た。
ジオール(B16)19.2g、1,2−ジクロロエタン80g、アセチルクロリド9.42gを混合し、40℃まで昇温して23時間撹拌した。室温に冷却後、ジイソプロピルエーテル80mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して18.4gのジクロリド(B17)を得た。
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン4.21gとトルエン80gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液40mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B17)11.3gを加え、室温にて22時間撹拌した。希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、メタノールを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A10)11.3gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2100、Mw/Mn=1.40となった。
【0139】
【化43】
【0140】
合成した化合物(A10)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3290、3032、2997、2951、2930、2904、2833、1606、1506、1440、1298、1250、1177、1034、824、795、731cm
−1
【0141】
[合成例11]化合物(A11)の合成
N
2雰囲気下で−20℃まで冷却したビス(4−ブロモフェニル)エーテル43.5gとt−ブチルメチルエーテル200mLの混合液に、n−ブチルリチウム2.65Mヘキサン溶液100mLを加え、−20℃で30分間撹拌した。キサントン(B18)49.4gを加え、徐々に室温に昇温し、室温にて4時間撹拌した。水を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ヘプタンを加え、生じた固体をろ取、へプタン洗浄、減圧乾燥して63.4gのジオール(B19)を得た。
ジオール(B19)33.8g、1,2−ジクロロエタン150g、アセチルクロリド18.8gを混合し、40℃まで昇温して24時間撹拌した。室温に冷却後、へプタン300mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して18.5gのジクロリド(B20)を得た。
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン5.26gとトルエン80gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液50mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B20)12.5gを加え、室温にて24時間撹拌した。希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、へプタンを加え、生じた固体をろ取、へプタン洗浄、減圧乾燥し、目的物(A11)10.4gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=1700、Mw/Mn=1.67となった。
【0142】
【化44】
【0143】
合成した化合物(A11)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3291、3036、1598、1495、1445、1242、825、752cm
−1
【0144】
[合成例12]化合物(A12)の合成
ジオール(B21)9.3g、1,2−ジクロロエタン60g、アセチルクロリド5.0gを混合し、60℃まで昇温して20時間撹拌した。室温に冷却後、ヘキサン100mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して7.2gのジクロリド(B22)を得た。
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン1.6gとトルエン20gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液15mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B22)3.4gを加え、室温にて5時間撹拌した。希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、メタノールを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A12)3.7gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2500、Mw/Mn=2.38となった。
【0145】
【化45】
【0146】
合成した化合物(A12)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3291、3058、3027、1591、1491、1474、1457、1440、1393、1189、816、794、752cm
−1
【0147】
[合成例13]化合物(A13)の合成
N
2雰囲気下で−20℃まで冷却したトリス(4−ブロモフェニル)アミン42.6gとt−ブチルメチルエーテル300mLの混合液に、n−ブチルリチウム2.65Mヘキサン溶液100mLを加え、−20℃で30分間撹拌した。9−フルオレン(B4)45.4gを加え、徐々に室温に昇温し、室温にて5時間撹拌した。水を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ヘプタンを加え、生じた固体をろ取、ヘプタン洗浄、減圧乾燥して33.3gのトリオール(B23)を得た。
トリオール(B23)23.6g、1,2−ジクロロエタン200g、アセチルクロリド14.1gを混合し、室温にて19時間撹拌した。ヘキサン150mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して22.0gのトリクロリド(B24)を得た。
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン9.7gとトルエン40gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液46mLを加え、徐々に室温に昇温した。トリクロリド(B24)10.0gを加え、室温にて4時間撹拌した。希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、メタノールを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A13)13.4gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2100、Mw/Mn=1.37となった。
【0148】
【化46】
【0149】
合成した化合物(A13)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3289、3060、3034、1595、1502、1447、1280、823、752、732、685cm
−1
【0150】
[合成例14]化合物(A14)の合成
氷冷したエチニルベンゼン2.0gとトルエン20gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液20mLを加え、徐々に室温に昇温した。トリクロリド(B24)4.4gを加え、室温にて6時間撹拌した。希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ヘキサンを加え、生じた固体をろ取、ヘキサン洗浄、減圧乾燥し、目的物(A14)4.9gを得た。
【0151】
【化47】
【0152】
合成した化合物(A14)のIR、LC−MS分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3058、1599、1503、1447、1280、824、754、743、690cm
−1
LC−MS(MM−ES Positive/aq.AcONH
4−MeCN):
m/z=1038(C
81H
51N+H
+).
【0153】
[合成例15]化合物(A15)の合成
ジオール(B25)7.0g、1,2−ジクロロエタン50g、アセチルクロリド3.0gを混合し、室温にて22時間撹拌した。ヘキサン45mLを加え、固体をろ取、減圧乾燥して3.9gのジクロリド(B26)を得た。
氷冷した1,3−ジエチニルベンゼン1.3gとトルエン20gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液12mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B26)3.8gを加え、40℃まで昇温して22時間撹拌した。希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、メタノールを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A15)3.4gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2400、Mw/Mn=1.57となった。
【0154】
【化48】
【0155】
合成した化合物(A15)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3284、3035、2917、2858、2301、2228、1606、1505、1448、1221、1005、821cm
−1
【0156】
[合成例16]化合物(A16)の合成
3,5−ジブロモアニソール(B27)47.9g、2−メチル−3−ブチン−2−オール36.3g、ヨウ化銅1.71g、トリエチルアミン150g、テトラヒドロフラン75g、ジクロロビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)6.32gを混合し、60℃まで昇温して7時間撹拌した。室温に冷却後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮後、ヘキサンを加え、生じた固体をろ取、ヘキサン洗浄、減圧乾燥し、ジオール(B28)41.4gを得た。
ジオール(B28)35.0g、水酸化ナトリウム2.06g、トルエン150gを混合し、110℃まで昇温して2時間撹拌した。室温に冷却後、水洗、減圧濃縮して、得られた固体をカラムクロマトグラフィ―[シリカゲル N60(350g),ヘキサン:酢酸エチル=15:1]により精製し、ジエチニル化合物(B29)4.71gを得た。
【0157】
【化49】
【0158】
合成した化合物(B29)のIR、1H NMR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3276、3075、3000、2960、2940、2838、1580、1448、1323、1294、1157、1060、881、858cm
−1
1H NMR(600 MHz,DMSO−d6)δ7.11(dd,J=1.7,1.7 Hz,1H),7.06(d,J=1.7 Hz,2H),4.26(s,2H),3.77(s,3H).
【0159】
氷冷したジエチニル化合物(B29)2.6gとトルエン30gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液20mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B6)4.7gを加え、40℃まで昇温して5時間撹拌した。室温に冷却後、希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、ジイソプロピルエーテルを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A16)4.5gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2000、Mw/Mn=1.37となった。
【0160】
【化50】
【0161】
合成した化合物(A16)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3289、3063、2967、2934、2838、1580、1496、1448、1240、1014、849、749、728cm
−1
【0162】
[合成例17]化合物(A17)の合成
2,4−ジブロモアニソール(B30)53.2g、2−メチル−3−ブチン−2−オール40.4g、ヨウ化銅3.81g、トリエチルアミン150g、テトラヒドロフラン75g、ジクロロビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)14.0gを混合し、60℃まで昇温して7時間撹拌した。室温に冷却後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮後、得られた油状物質をカラムクロマトグラフィ―[シリカゲル(600g),ヘキサン:酢酸エチル=2:1]により精製し、ジオール(B31)50.9gを得た。
ジオール(B31)50.2g、水酸化ナトリウム29.4g、トルエン200gを混合し、110℃まで昇温して5時間撹拌した。室温に冷却後、水洗、減圧濃縮して、得られた固体をカラムクロマトグラフィ―[シリカゲル N60(500g),ヘキサン:酢酸エチル=20:1]により精製し、ジエチニル化合物(B32)10.1gを得た。
【0163】
【化51】
【0164】
合成した化合物(B32)のIR、1H NMR、LC−MS分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3304、3271、3009、2974、2948、2896、2843、1598、1496、1290、1259、1118、1020、897、821、812cm
−1
1H NMR(600 MHz,DMSO−d6)δ7.48−7.46(m,2H),7.06(d,J=8.7 Hz,1H),4.29(s,1H),4.07(s,1H),3.83(s,3H).
LC−MS(MM−ES Positive/aq.AcONH
4−MeCN):
m/z=157(C
11H
8O+H
+).
【0165】
氷冷したジエチニル化合物(B32)2.6gとトルエン30gの混合物に、臭化エチルマグネシウム1Nテトラヒドロフラン溶液20mLを加え、徐々に室温に昇温した。ジクロリド(B6)4.7gを加え、40℃まで昇温して4時間撹拌した。室温に冷却後、希塩酸を加えて反応を停止した。水洗、減圧濃縮後、メタノールを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A17)6.0gを得た。GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=1800、Mw/Mn=1.55となった。
【0166】
【化52】
【0167】
合成した化合物(A17)のIR分析結果を以下に示す。
IR(D−ATR):
ν=3288、3062、2940、2840、1597、1495、1448、1243、1016、818、744、734cm
−1
【0168】
[合成例18]化合物(A18)の合成
(B―33)を58.7g、9−フルオレノン41.3g、3−メルカプトプロピオン酸5mlおよび1,2−ジクロロエタン300mlを窒素雰囲気下内温70℃で均一溶液とした後、メタンスルホン酸10mlをゆっくりと加え、内温70℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン500gを加え、有機層を純水100gで5回洗浄後、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF200gを加え均一溶液とした後、メタノール1500gでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別、メタノール800gで2回洗浄を行い回収した。回収したポリマーを70℃で真空乾燥することで(A18)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A18):Mw=3500、Mw/Mn=2.94
【化53】
【0169】
[合成例19]化合物(A19)の合成
(B―33)を70.7g、ベンズアルデヒド29.3g、3−メルカプトプロピオン酸5mlおよび1,2−ジクロロエタン300mlを窒素雰囲気下内温70℃で均一溶液とした後、メタンスルホン酸10mlをゆっくりと加え、内温70℃で24時間反応を行った。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン500gを加え、有機層を純水100gで5回洗浄後、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF200gを加え均一溶液とした後、メタノール1500gでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別、メタノール800gで2回洗浄を行い回収した。回収したポリマーを70℃で真空乾燥することで(A19)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A19):Mw=3700、Mw/Mn=2.87
【化54】
【0170】
比較合成例 有機化合物の合成
【0171】
[比較合成例1]化合物(A20)の合成
窒素雰囲気下、マグネシウム26.4g(1.09mol)を秤量した5Lの4つ口フラスコ内に脱水THF(テトラヒドロフラン)1,000mlで予め溶解した4,4’−ジブロモビフェニル168g(0.54mol)、塩化リチウム23.0g(0.54mol)をマグネシウムが浸る程度に加えた。ジブロモエタンを少量加え、反応をスタートさせた後、発熱を維持したまま残りのTHF溶液を3時間かけ滴下した。滴下終了後、THF500mlを加え、還流下で8時間熟成してGrignard試薬を調製した。内温55℃まで冷却した後、予め脱水THF400mlに溶解した9−フルオレノン150g(0.83mol)を2時間かけ滴下した。滴下終了後、還流下で5時間半熟成を行い、氷浴でフラスコを冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液1,000mlと純水1,000mlで反応をクエンチした。このとき溶液は白色の析出物が生じ、懸濁液となった。反応溶液にMIBK(メチルイソブチルケトン)150mlを追加し、懸濁液のまま分液ロートに移し変え、水層を抜き出し、更に純水500mlで分液水洗を行った後、有機層を減圧濃縮した。ジイソプロピルエーテルで再結晶を行い、生じた白色の結晶を濾別し、乾燥することでビフェニル誘導体(B3)を109g、収率51.0%で得た。
【0172】
【化55】
【0173】
ビフェニル誘導体(B3) :
IR(D−ATR):ν=3539,3064,3039,1605,1495,1447,1164,1030,909,820,771,754,736cm
−1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=6.34(2H,−OH,s),7.24(4H,t),7.27(8H,d),7.36(4H,t−t),7.45(4H,d),7.81(4H,d)ppm。
13C−NMR(150MHz i n DMSO−d6):δ=82.44,120.10,124.66,125.66,126.28,128.07,128.51,138.41,139.14,144.19,151.23ppm。
【0174】
ビフェニル誘導体(B3)40.3g(78.4mmol)、2−ナフトール23.73g(164.6mmol)、1,2−ジクロロエタン240mlを1Lの3つ口フラスコに秤量した。30℃のオイルバス中で撹拌しながら、メタンスルホン酸7.3mlをゆっくり滴下した。滴下終了後オイルバスの温度を50℃に上げ、6時間反応を行った。室温まで放冷後、MIBK500mlで希釈し、不溶分を濾別して分液ロートに移し変え、300mlの超純水で分液水洗を9回繰り返した。有機層を減圧濃縮し、残渣にTHF800ml加え、溶解させた後、ヘキサン2,500mlで晶出後、結晶を濾別、乾燥することでビフェニル誘導体化合物(A20)を51.6g、収率85.8%で得た。
【0175】
【化56】
【0176】
化合物(A20):
IR(KBr):ν=3528,3389,3059,3030,1633,1604,
1506,1493,1446,1219,1181,750,740cm−1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=6.98(2H,d−d),7.05(2H,s−d),7.17(4H,d),7.24(2H,d−d),7.29(4H,t),7.38(4H,t),7.40(2H,s),7.45(4H,d),7.50(6H,d),7.58(2H,d),7.93(4H,d),9.72(2H,−OH,s)ppm。
13C−NMR(150MHz in DMSO−d6):δ=64.59,108.35,118.77,120.58,125.19,126.11,126.36,126.62,126.94,127.16,127.71,127.88,128.20,129.35,133.39,138.14,139.26,139.59,144.82,150.56,155.39ppm。
【0177】
[比較合成例2]化合物(A21)の合成
ジオール(A20)7.7g、炭酸カリウム3.0g、N,N−ジメチルホルムアミド40gを混合し、55℃まで昇温した。プロパルギルブロマイド80%トルエン溶液3.3gをゆっくり滴下して、55℃で14時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、トルエン150gを加え、水洗、減圧濃縮し、プロパルギル体(A21)8.4gを得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A21):Mw=1000、Mw/Mn=1.09
【0178】
【化57】
【0179】
[比較合成例3]化合物(A22)の合成
2,7−ジヒドロキシナフタレン32.0g、37%ホルマリン水溶液10.5g、及び2−メトキシ−1−プロパノール270gを窒素雰囲気下、内温80℃で均一溶液とした後、20%パラトルエンスルホン酸2−メトキシ−1−プロパノール溶液18gをゆっくり加え、内温110℃で8時間撹拌した。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン600gを加え、有機層を純水200gで5回洗浄後、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF400mlを加え、ヘキサン2,000mlでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥した。
続いて、得られた化合物、炭酸カリウム55.3g、N,N−ジメチルホルムアミド250gを混合し、55℃まで昇温した。プロパルギルブロマイド80%トルエン溶液59.5gをゆっくり滴下して、55℃で22時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、トルエン150gを加え、水洗、減圧濃縮し、プロパルギル体(A22)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A22):Mw=3500、Mw/Mn=2.75
【0180】
【化58】
【0181】
[比較合成例4]化合物(A23)の合成
9,9−フルオレニリデン―ビスナフトール90.1g、37%ホルマリン水溶液10.5g、及び2−メトキシ−1−プロパノール270gを窒素雰囲気下、内温80℃で均一溶液とした後、20%パラトルエンスルホン酸2−メトキシ−1−プロパノール溶液18gをゆっくり加え、内温110℃で8時間撹拌した。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン600gを加え、有機層を純水200gで5回洗浄後、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF400mlを加え、ヘキサン2,000mlでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥して化合物(A23)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A23):Mw=3700、Mw/Mn=2.82
【0182】
【化59】
【0183】
有機膜材料(UDL−1〜19、比較UDL1〜8)の調製
上記化合物(A3)〜(A13)、(A15)〜(A16)、(A18)〜(A23)、(B5)、添加剤として架橋剤(CR1)、酸発生剤(AG1)、高沸点溶剤として(S1)1,6−ジアセトキシヘキサン:沸点260℃または(S2)トリプロピレングリコールモノメチルエーテル:沸点242℃をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、FC−4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表1に示す割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって有機膜材料(UDL−1〜19、比較UDL−1〜8)をそれぞれ調製した。
【0184】
【表1】
【0185】
以下に、架橋剤として(CR1)、酸発生剤(AG1)を示す。
【化60】
【0186】
実施例1 窒素雰囲気中ベークでの溶媒耐性測定(実施例1−1〜1−19、比較例1−1〜1−8)
上記で調製した有機膜材料(UDL−1〜19、比較UDL−1〜8)をシリコン基板上に塗布し、酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下450℃で60秒間焼成した後、膜厚を測定し、その上にPGMEA溶媒をディスペンスし、30秒間放置しスピンドライ、100℃で60秒間ベークしてPGMEAを蒸発させ、膜厚を測定しPGMEA処理前後の膜厚差を求めた。
【0187】
【表2】
【0188】
表2に示されるように、本発明の有機膜材料(実施例1−1〜1−19)は、PGMEA処理後の残膜率が99%以上あり、窒素雰囲気下においても架橋反応が起き十分な溶剤耐性を発現していることがわかる。それに対して架橋剤と熱酸発生剤が添加されていない比較例1−3〜1−5ではPGMEA処理後の残膜率がすべて50%未満となり十分な溶剤耐性が発現せず、十分な溶剤耐性を発現させるためには架橋剤および熱酸発生剤の添加が必要となった。この結果より、本発明の三重結合を含む構造を有する化合物により熱硬化反応が起き、溶剤耐性が発現し硬化膜を形成していることがわかる。
【0189】
実施例2 大気中ベークでの溶媒耐性測定(実施例2−1〜2−19、比較例2−1〜2−8)
上記で調製した有機膜形成用組成物(UDL−1〜19、比較UDL−1〜8)をシリコン基板上に塗布し、大気中350℃で60秒間焼成した後、膜厚を測定し、その上にPGMEA溶媒をディスペンスし、30秒間放置しスピンドライ、100℃で60秒間ベークしてPGMEAを蒸発させ、膜厚を測定しPGMEA処理前後の膜厚差を求めた。
【0190】
【表3】
【0191】
表3に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例2−1〜2−19)は、PGMEA処理後の残膜率が99%以上あり、大気中においても架橋反応が起き十分な溶剤耐性を発現していることがわかる。それに対して架橋剤と熱酸発生剤が添加されていない比較例2−4、2−5ではPGMEA処理後の残膜率が50%未満となり十分な溶剤耐性が発現せず、十分な溶剤耐性を発現させるためには架橋剤および熱酸発生剤の添加が必要となった。この結果より、本発明の三重結合を含む構造を有する化合物が大気中でも熱硬化反応を起こし、溶剤耐性が発現していることがわかる。
【0192】
実施例3 耐熱特性評価(実施例3−1〜3−19、比較例3−1〜3−8)
上記の有機膜形成用組成物(UDL−1〜19、比較UDL−1〜8)をそれぞれシリコン基板上に塗布し、大気中、180℃で焼成して115nmの塗布膜を形成し、膜厚を測定した。更に、この基板を酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下にて450℃で焼成し、膜厚を測定した(実施例3−1〜3−19、比較例3−1〜3−8)。これらの結果を表4に示す。
【0193】
【表4】
【0194】
表4に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例3−1〜3−19)は、450℃での焼成後も膜厚減少が1%未満であり、本発明の有機膜形成用組成物から形成される有機膜は高い耐熱性を有していることがわかる。それに対して比較例3−1〜3−8では本発明の有機膜材料に比べて大きな膜厚減少が起きており、架橋剤を添加し硬化させた比較例3−6〜3−8においても、10%以上の膜厚減少が起きている。
【0195】
実施例4 埋め込み特性評価(実施例4−1〜4−19、比較例4−1〜4−8)
図3のように密集ホールパターン(ホール直径0.16μm、ホール深さ0.50μm、隣り合う二つのホールの中心間の距離0.32μm)を有するSiO
2ウエハー基板上に上記の有機膜形成用組成物(UDL−1〜19、比較UDL−1〜8)をそれぞれ塗布し、ホットプレートを用いて酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下450℃で60秒間焼成し、有機膜8を形成した。使用した基板は
図3(G)(俯瞰図)及び(H)(断面図)に示すような密集ホールパターンを有する下地基板7(SiO
2ウエハー基板)である。得られた各ウエハー基板の断面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、ホール内部にボイド(空隙)なく、有機膜で充填されているかどうかを確認した。結果を表5に示す。埋め込み特性に劣る有機膜形成用組成物を用いた場合は、本評価において、ホール内部にボイドが発生する。埋め込み特性が良好な有機膜形成用組成物を用いた場合は、本評価において、
図3(I)に示されるようにホール内部にボイドなく有機膜が充填される。
【0196】
【表5】
【0197】
表5に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例4−1〜4−19)は、ボイドを発生すること無くホールパターンを充填することが可能であり、良好な埋め込み特性を有することが確認出来た。一方、比較例4−1〜4−8では、ボイドが発生し埋め込み特性が不良であることが確認された。この結果から、本発明の有機膜形成用組成物は本発明の三重結合を含む構造を有する化合物により耐熱性が確保され、埋め込み特性が改善されていることがわかる。一方、比較例4−1〜4−8は、窒素雰囲気下では耐熱性が不足していることから、ボイドが発生し、良好な埋め込み特性が得られなかった。
【0198】
実施例5 平坦化特性評価(実施例5−1〜5−15、比較例5−1〜5−8)
図4に示される巨大孤立トレンチパターン(
図4(J)、トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有する下地基板9(SiO
2ウエハー基板)上に有機膜形成用組成物(UDL−2〜3、5〜13、16〜19、比較UDL−1〜8)をそれぞれ塗布し、酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下、450℃で60秒間焼成した。トレンチ部分と非トレンチ部分の有機膜10の段差(
図4(K)中のdelta10)を、パークシステムズ社製NX10原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した。結果を表6に示す。本評価において、段差が小さいほど、平坦化特性が良好であるといえる。なお、本評価では、深さ0.10μmのトレンチパターンを通常膜厚約0.2μmの有機膜形成用組成物を用いて平坦化している。平坦化特性の優劣を評価するために厳しい条件を採用している。
【0199】
【表6】
【0200】
表6に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例5−1〜5−15)は、比較例5−1〜5−8に比べて、トレンチ部分と非トレンチ部分の有機膜の段差が小さく、平坦化特性に優れることが確認された。比較例の有機膜形成用組成物のうち、架橋剤を添加したものは、特に平坦性が悪い結果となっている。平坦化特性においても、本発明の三重結合を含む構造の優位性が示された。また、高沸点溶剤を添加した実施例5−12〜5−13と添加していない実施例5−6と比較すると高沸点溶剤の添加により平坦性がより改善していることがわかる。
【0201】
実施例6 パターン形成試験(実施例6−1〜6−15、比較例6−1〜6−8)
上記の有機膜形成用組成物(UDL−2〜3、5〜13、16〜19、比較UDL−1〜8)を、それぞれ300nmのSiO
2膜が形成されているシリコンウエハー基板上に塗布し、酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下にて450℃で60秒焼成し、有機膜(レジスト下層膜)を形成した。その上にCVD−SiONハードマスクを形成し、更に、有機反射防止膜材料(ARC−29A:日産化学社製)を塗布して210℃で60秒間ベークして膜厚80nmの有機反射防止膜を形成し、その上にレジスト上層膜材料のArF用単層レジストを塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。フォトレジスト膜上に液浸保護膜材料(TC−1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。
【0202】
レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)としては、ポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、塩基性化合物(Amine1)を、FC−4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表7の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0203】
【表7】
【0204】
用いたポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、及び塩基性化合物(Amine1)を以下に示す。
【化61】
【0205】
液浸保護膜材料(TC−1)としては、保護膜ポリマー(PP1)を有機溶剤中に表8の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0206】
【表8】
【0207】
用いたポリマー(PP1)を以下に示す。
【化62】
【0208】
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、55nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを得た。
【0209】
次いで、東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いてドライエッチングによりレジストパターンをマスクにして有機反射防止膜とCVD−SiONハードマスクをエッチング加工してハードマスクパターンを形成し、得られたハードマスクパターンをマスクにして有機膜をエッチングして有機膜パターンを形成し、得られた有機膜パターンをマスクにしてSiO
2膜のエッチング加工を行った。エッチング条件は下記に示すとおりである。
【0210】
レジストパターンのSiONハードマスクへの転写条件。
チャンバー圧力10.0Pa
RFパワー1,500W
CF
4ガス流量75sccm
O
2ガス流量15sccm
時間15sec
【0211】
ハードマスクパターンの有機膜への転写条件。
チャンバー圧力2.0Pa
RFパワー500W
Arガス流量75sccm
O
2ガス流量45sccm
時間120sec
【0212】
有機膜パターンのSiO
2膜への転写条件。
チャンバー圧力2.0Pa
RFパワー2,200W
C
5F
12ガス流量20sccm
C
2F
6ガス流量10sccm
Arガス流量300sccm
O
2ガス流量60sccm
時間90sec
【0213】
パターン断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−4700)にて観察した結果を表9に示す。
【0214】
【表9】
【0215】
表9に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例6−1〜6−15)の結果より、いずれの場合もレジスト上層膜パターンが最終的に基板まで良好に転写されており、本発明の有機膜形成用組成物は多層レジスト法による微細加工に好適に用いられることが確認された。一方、比較例6−3〜6−5は、窒素雰囲気下では耐熱性が不足するとともに、比較例1−3〜1−5で示した通り十分に硬化されていないことから、パターン加工時にパターン倒れが発生し良好なパターンを得ることが出来なかった。比較例6−1〜6−2、6−6〜6−8においては、耐熱性が不足するもののパターンを形成することはできた。
【0216】
実施例7 パターン形成試験(実施例7−1〜7−15、比較例7−1〜7−8)
トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiO
2ウエハー基板上に、上記の有機膜形成用組成物(UDL−2〜3、5〜13、16〜19、比較UDL−1〜8)をそれぞれ塗布し、酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下にて450℃で60秒焼成した以外は、実施例6と同じ方法で積層膜を形成し、パターニング、ドライエッチングを行ない、出来上がったパターンの形状を観察した。
【表10】
【0217】
表10に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例7−1〜7−15)の結果より、いずれの場合もレジスト上層膜パターンが最終的に基板まで良好に転写されており、本発明の有機膜形成用組成物は多層レジスト法による微細加工に好適に用いられることが確認された。一方、比較例7−3〜7−5では、窒素雰囲気下では耐熱性が不足するとともに、比較例1−3〜1−5で示した通り十分に硬化されておらず、また、パターンの埋め込みが不良であるために、パターン加工時にパターン倒れが発生し良好なパターンを得ることが出来なかった。比較例7−1〜7−2、7−6〜7−8では溶剤耐性が得られており硬化膜となっているものであるが、パターンの埋め込みが不良であるためにパターン加工時にパターン倒れが発生し、最終的に良好なパターンを得ることが出来なかった。
【0218】
以上のことから、本発明の化合物を含有する本発明の有機膜形成用組成物であれば、良好なドライエッチング耐性を有するとともに、酸素を含まない不活性ガス下においても450℃以上の耐熱性及び高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つため、多層レジスト法に用いる有機膜形成用組成物として極めて有用であり、また、これを用いたパターン形成方法であれば、被加工基板がパターンを有する基板であっても微細なパターンを高精度で形成できることが明らかとなった。
【0219】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。