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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218337(P2019-218337A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】化合物及び有機膜形成用組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/20 20060101AFI20191129BHJP
   C07D 221/16 20060101ALI20191129BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20191129BHJP
   C08F 38/00 20060101ALI20191129BHJP
   G03F 7/11 20060101ALN20191129BHJP
【FI】
   C07C43/20 DCSP
   C07D221/16
   C07C43/23 D
   C08F38/00
   G03F7/11 503
   G03F7/11 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2019-102014(P2019-102014)
(22)【出願日】2019年5月31日
(31)【優先権主張番号】16/013,728
(32)【優先日】2018年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】橘 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 武
(72)【発明者】
【氏名】新井田 恵介
(72)【発明者】
【氏名】長井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】澤村 昂志
(72)【発明者】
【氏名】荻原 勤
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー エドワード ヘス
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ブレイタ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ポール サンダース
(72)【発明者】
【氏名】ルディ ジェイ ウォジテッキ
【テーマコード(参考)】
2H225
4C034
4H006
4J100
【Fターム(参考)】
2H225AE05N
2H225AF18N
2H225AF24P
2H225AF44N
2H225AF44P
2H225AH17
2H225AJ13
2H225AJ54
2H225AJ59
2H225AM22N
2H225AM79N
2H225AM91N
2H225AM94N
2H225AM99N
2H225AN02N
2H225AN11N
2H225AN28N
2H225AN31N
2H225AN34N
2H225AN38N
2H225AN39N
2H225AN39P
2H225AN43N
2H225AN56N
2H225AN62P
2H225AN82N
2H225BA01N
2H225BA02N
2H225BA24N
2H225BA26P
2H225BA32P
2H225CA12
2H225CB10
2H225CC03
2H225CC15
4C034CH01
4H006AA01
4H006AB46
4H006GP03
4J100AT13P
4J100AT20P
4J100BA02P
4J100BA03P
4J100BC12P
4J100BC43P
4J100BC49P
4J100BC65P
4J100DA01
4J100DA04
4J100HA53
4J100HC10
4J100HC39
4J100HC43
4J100HC51
4J100HC54
4J100HC64
4J100JA37
4J100JA38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】空気中のみならず、不活性ガス中での成膜条件でも硬化し、副生物が発生せず、耐熱性や、基板上に形成されたパターンの埋め込みや平坦化特性に優れるだけでなく、基板加工時のドライエッチング耐性も良好な有機下層膜を形成できる化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1−1)で示される化合物。

(式中、AR1、AR2は芳香環又は窒素原子、硫黄原子のうち1個以上を含む芳香環を示し、2つのAR1、AR1とAR2、2つのAR2が連結してもよい。AR3はベンゼン環などである。Aは有機基、Bはアニオン性脱離基、Yは2価の有機基、pは1または2、qは1または2、rは0または1、sは2〜4である。s=2のとき、Zは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の、原子または有機基である。)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1−1)で示される化合物。
【化1】
(式中、AR1、AR2はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香環、または置換基を有してもよい、窒素原子、硫黄原子のうち少なくとも1個を含む芳香環を示し、2つのAR1同士、AR1とAR2、または2つのAR2同士が連結して環構造を形成してもよい。AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環である。Aは炭素数1〜30の有機基、Bは熱、酸のいずれか一方または両方の作用により反応性カチオンを生成できるアニオン性脱離基、Yは1つ以上の酸素を含んでいても良い炭素数が1〜10の2価の有機基、pは1または2、qは1または2、rは0または1、sは2〜4である。s=2のとき、Zは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の、原子または有機基である。)
【請求項2】
前記化合物が、下記一般式(1−2)で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化2】
(式中、AR3は前述の通りであり、AR4、AR5は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環またはピリジン環であり、mは0又は1であり、m=0のとき、AR4、AR5は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR4、AR5はXを介して橋かけ構造を形成し、Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかであり、s、Zは前述の通りである。)
【化3】
【請求項3】
前記化合物が、下記一般式(1−3)で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化4】
(式中、AR3は前述の通りであり、Rは水素原子または炭素数が1〜30個の1価の有機基である。s、Zは前述の通りである。)
【請求項4】
有機膜形成用の組成物であって、(A)下記一般式(1−1)で示される化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする有機膜形成用組成物。
【化5】
(式中、AR1、AR2はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香環、または置換基を有してもよい、窒素原子、硫黄原子のうち少なくとも1個を含む芳香環を示し、2つのAR1同士、AR1とAR2、または2つのAR2同士が連結して環構造を形成してもよい。AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環であり、Aは炭素数1〜30の有機基、Bは熱、酸のいずれか一方または両方の作用により反応性カチオンを生成できるアニオン性脱離基、Yは1つ以上の酸素を含んでいても良い炭素数が1〜10の2価の有機基、pは1または2、qは1または2、rは0または1、sは2〜4である。s=2のとき、Zは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の、原子または有機基である。)
【請求項5】
前記(A)の化合物が、下記一般式(1−2)で示される化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の有機膜形成用組成物。
【化6】
(式中、AR3は前述の通りである。AR4、AR5は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環またはピリジン環であり、mは0又は1であり、m=0のとき、AR4、AR5は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR4、AR5はXを介して橋かけ構造を形成し、Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかである。s、Zは前述の通りである。)
【化7】
【請求項6】
前記(A)の化合物が、下記一般式(1−3)で示される化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の有機膜形成用組成物。
【化8】
(式中、AR3は前述の通りであり、Rは水素原子または炭素数が1〜30個の1価の有機基である。s、Zは前述の通りである。)
【請求項7】
更に、(C)酸発生剤、(D)界面活性剤、(E)架橋剤、及び(F)可塑剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の有機膜形成用組成物。
【請求項8】
下記一般式(1−4)で示される化合物。
【化9】
(式中、AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環であり、AR6、AR7は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、又はピリジン環である。mは0又は1であり、m=0のとき、AR6、AR7は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR6、AR7はXを介して橋かけ構造を形成する。Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかであり、AR6とAR7が単結合で連結する場合にはAR6とAR7の少なくとも一方はベンゼン環ではない。sは2〜4であり、s=2のとき、Zは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の、原子または有機基である。)
【化10】
【請求項9】
下記一般式(1−5)で示される化合物。
【化11】
(式中、AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環であり、AR6、AR7は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、又はピリジン環である。mは0又は1であり、m=0のとき、AR6、AR7は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR6、AR7はXを介して橋かけ構造を形成する。Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかであり、AR6とAR7が単結合で連結する場合にはAR6とAR7の少なくとも一方がベンゼン環ではない。sは2〜4であり、s=2のときZは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の原子または有機基である。)
【化12】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置製造工程等で使用される、化合物、当該化合物を含有する有機膜形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の高集積化と高速度化は、汎用技術として光露光を用いたリソグラフィー技術(光リソグラフィー)における光源の短波長化によるパターン寸法の微細化によって達成されてきた。このような微細な回路パターンを半導体装置基板(被加工基板)上に形成するためには、通常パターンが形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして、ドライエッチングにより被加工基板を加工する方法が用いられる。しかしながら、現実的にはフォトレジスト膜と被加工基板の間に完全なエッチング選択性を取ることのできるドライエッチング方法が存在しないため、近年では多層レジスト法による基板加工が一般化している。この方法は、フォトレジスト膜(以下レジスト上層膜)とエッチング選択性が異なる中間膜をレジスト上層膜と被加工基板の間に介在させ、レジスト上層膜にパターンを得た後、レジスト上層膜パターンをドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより中間膜にパターンを転写し、更に中間膜をドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより被加工基板にパターンを転写する方法である。
【0003】
多層レジスト法の一つに、単層レジスト法で使用されている一般的なレジスト組成物を用いて行うことができる3層レジスト法がある。この方法は、被加工基板上に有機樹脂含有組成物からなる有機下層膜材料を用いて塗布、焼成することにより有機下層膜(以下、有機膜)を成膜し、その上にケイ素含有樹脂含有組成物からなるレジスト中間膜材料を用いて塗布、焼成することによりケイ素含有膜(以下、ケイ素中間膜)として成膜し、その上に一般的なレジスト上層膜を形成する。当該レジスト上層膜をパターニングした後、フッ素系ガスプラズマによるドライエッチングを行うと、有機系のレジスト上層膜はケイ素中間膜に対して良好なエッチング選択比を取ることが出来るため、レジスト上層膜パターンをケイ素中間膜に転写することができる。この方法によれば、直接被加工基板を加工するための十分な膜厚を持たないレジスト上層膜や、被加工基板の加工に十分なドライエッチング耐性を持たないレジスト上層膜を用いても、通常、ケイ素中間膜はレジスト上層膜に比べて同等以下の膜厚であるため、容易にケイ素中間膜にパターンを転写することができる。続いてパターン転写されたケイ素中間膜をドライエッチングマスクとして酸素系又は水素系ガスプラズマによるドライエッチングで有機下層膜にパターン転写すれば、基板の加工に十分なドライエッチング耐性を持つ有機下層膜にパターン転写することができる。このパターン転写された有機下層膜パターンをフッ素系ガスや塩素系ガスなどを用いてドライエッチングで基板にパターン転写することが出来る。
【0004】
一方、半導体装置の製造工程における微細化は、光リソグラフィー用光源の波長に由来する本質的な限界に近づきつつある。そのため、近年においては微細化に頼らない半導体装置の高集積化が検討されており、その方法の一つとしてマルチゲート構造やゲートオールアラウンド等の複雑な構造を有する半導体装置が検討されており、一部は既に実用化されている。このような構造を多層レジスト法で形成する場合、被加工基板上で形成されたホール、トレンチ、フィン等の微小パターンを空隙なく有機膜材料で埋め込んだり、段差やパターン密集部分とパターンのない領域を有機膜材料で埋め込んで平坦化(planarization)可能な有機膜材料を適用することが出来る。このような有機膜材料を用いて段差基板上に平坦な有機下層膜表面を形成することによって、その上に成膜するケイ素中間膜やレジスト上層膜の膜厚変動を抑え、光リソグラフィーの焦点裕度やその後の被加工基板の加工工程におけるマージン低下を抑制することが出来る。これにより、歩留まり良く半導体装置を製造することが可能となる。一方、単層レジスト法では、段差やパターンのある被加工基板を埋めるためには、上層レジスト膜の膜厚が厚くなり、それによる露光現像後のパターン倒れや、露光時の基板からの反射によりパターン形状劣化など、露光時のパターン形成裕度が狭くなり、歩留まり良く半導体装置を製造することが困難である。
【0005】
更に次世代の半導体装置の高速度化の手法として、例えば、歪シリコンやガリウムヒ素などを用いた電子移動度の高い新規材料やオングストローム単位で制御された超薄膜ポリシリコン等の精密材料の適用も検討され始めている。しかしながら、このような新規精密材料が適用されている被加工基板では、上記のような有機下層膜材料による平坦化膜形成時の条件、例えば空気中、300℃以上の成膜条件においては、空気中の酸素によって当該材料が腐食され、半導体装置の高速度化が材料設計どおりの性能を発揮することが出来ず、工業的な生産として成り立つ歩留まりに達成しない可能性がある。そこで、このような高温条件下の空気による基板の腐食に起因する歩留まりの低下を避けるため、不活性ガス中で成膜出来る有機下層膜材料が期待されている。
【0006】
従来、フェノール系やナフトール系化合物に対して縮合剤としてケトン類やアルデヒド類などのカルボニル化合物や芳香族アルコール類を用いた縮合樹脂類が多層レジスト法用の有機膜形成用材料として知られている。例えば、特許文献1に記載のフルオレンビスフェノールノボラック樹脂、特許文献2に記載のビスフェノール化合物及びこのノボラック樹脂、特許文献3に記載のアダマンタンフェノール化合物のノボラック樹脂、特許文献4に記載のビスナフトール化合物及びこのノボラック樹脂などが例示できる。このような材料は、架橋剤としてメチロール化合物による架橋や、空気中の酸素の作用による芳香環のα位での酸化とその後の縮合による架橋反応による硬化作用により、次工程で使用される塗布膜材料に対する溶剤耐性を持つ膜として成膜されている。
【0007】
更に、三重結合を硬化性樹脂の分子間架橋基として適用している材料の例として、特許文献5〜10などが知られている。しかしながら、これらの材料では、硬化条件として実際に不活性ガス中での例示がされておらず、これらの材料における不活性ガス中における硬化膜の形成や、高温条件下の熱分解による膜厚変動などについては知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−128509号公報
【特許文献2】特開2006−293298号公報
【特許文献3】特開2006−285095号公報
【特許文献4】特開2010−122656号公報
【特許文献5】特開2010−181605号公報
【特許文献6】WO2014−208324号
【特許文献7】特開2012−215842号公報
【特許文献8】特開2016−044272号公報
【特許文献9】特開2016−060886号公報
【特許文献10】特開2017−119671公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述事情に鑑みてなされたものであり、空気中のみならず、不活性ガス中での成膜条件でも硬化し、揮発性の副生物が発生せず、耐熱性や、基板に形成されたパターンの埋め込みや平坦化特性に優れるだけでなく、基板加工時のドライエッチング耐性も良好な有機下層膜を形成できる化合物、該化合物を用いた有機膜形成用組成物、及び該化合物を得るための中間体として好適な化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、下記一般式(1−1)で示される化合物を提供する。
【化1】
(式中、AR1、AR2はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香環、または置換基を有してもよい、窒素原子、硫黄原子のうち少なくとも1個を含む芳香環を示し、2つのAR1同士、AR1とAR2、または2つのAR2同士が連結して環構造を形成してもよい。AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環である。Aは炭素数1〜30の有機基、Bは熱、酸のいずれか一方または両方の作用により反応性カチオンを生成できるアニオン性脱離基、Yは1つ以上の酸素を含んでいても良い炭素数が1〜10の2価の有機基、pは1または2、qは1または2、rは0または1、sは2〜4である。s=2のとき、Zは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の、原子または有機基である。)
【0011】
本発明の化合物は、空気中のみならず、不活性ガス中においても架橋して有機膜を形成可能であり、副生物が発生せず、耐熱性や、基板に形成されたパターンの埋め込みや平坦化特性に優れるだけでなく、基板加工時のドライエッチング耐性も良好な有機下層膜を形成できる化合物となる。また、該化合物の架橋により得られた有機膜はCVD−ハードマスク形成時にも熱分解による膜厚変動のない有機膜となる。
【0012】
またこの場合、前記化合物が、下記一般式(1−2)で示されるものであることが好ましい。
【化2】
(式中、AR3は前述の通りであり、AR4、AR5は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環またはピリジン環であり、mは0又は1であり、m=0のとき、AR4、AR5は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR4、AR5はXを介して橋かけ構造を形成し、Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかであり、s、Zは前述の通りである。)
【化3】
【0013】
またこの場合、前記化合物が、下記一般式(1−3)で示されるものであることが好ましい。
【化4】
(式中、AR3は前述の通りであり、Rは水素原子または炭素数が1〜30個の1価の有機基である。s、Zは前述の通りである。)
【0014】
このように、本発明の上記化合物としては、上記一般式(1−2)で示される化合物や、上記一般式(1−3)で示される化合物が好ましい。
【0015】
また、本発明では、有機膜形成用の組成物であって、(A)下記一般式(1−1)で示される化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする有機膜形成用組成物を提供する。
【化5】
(式中、AR1、AR2はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香環、または置換基を有してもよい、窒素原子、硫黄原子のうち少なくとも1個を含む芳香環を示し、2つのAR1同士、AR1とAR2、または2つのAR2同士が連結して環構造を形成してもよい。AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環であり、Aは炭素数1〜30の有機基、Bは熱、酸のいずれか一方または両方の作用により反応性カチオンを生成できるアニオン性脱離基、Yは1つ以上の酸素を含んでいても良い炭素数が1〜10の2価の有機基、pは1または2、qは1または2、rは0または1、sは2〜4である。s=2のときZは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の、原子または有機基である。)
【0016】
本発明の有機膜形成用組成物は、高い耐熱性、高いドライエッチング耐性、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ有機膜を不活性ガス中で形成することができる有機膜形成用組成物となる。
【0017】
この場合、前記(A)の化合物が、下記一般式(1−2)で示される化合物であることが好ましい。
【化6】
(式中、AR3は前述の通りである。AR4、AR5は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環またはピリジン環であり、mは0又は1であり、m=0のとき、AR4、AR5は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR4、AR5はXを介して橋かけ構造を形成し、Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかである。s、Zは前述の通りである。)
【化7】
【0018】
またこの場合、前記(A)の化合物が、下記一般式(1−3)で示される化合物であることが好ましい。
【化8】
(式中、AR3は前述の通りであり、Rは水素原子または炭素数が1〜30個の1価の有機基である。s、Zは前述の通りである。)
【0019】
このように、上記(A)の化合物として、上記一般式(1−2)で示される化合物や、上記一般式(1−3)で示される化合物が好ましい。
【0020】
本発明の有機膜形成用組成物は、更に、(C)酸発生剤、(D)界面活性剤、(E)架橋剤、及び(F)可塑剤のうち1種以上を含有するものとすることができる。
【0021】
本発明の有機膜形成用組成物は、その目的に応じて、上記(C)〜(F)成分のうち1種以上を含有するものとすることができる。
【0022】
また本発明では、下記一般式(1−4)で示される化合物を提供する。
【化9】
(式中、AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環である。AR6、AR7は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、又はピリジン環である。mは0又は1であり、m=0のとき、AR6、AR7は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR6、AR7はXを介して橋かけ構造を形成する。Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかであり、AR6とAR7が単結合で連結する場合にはAR6とAR7の少なくとも一方はベンゼン環ではない。sは2〜4であり、s=2のとき、Zは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の、原子または有機基である。)
【化10】
【0023】
また本発明では、下記一般式(1−5)で示される化合物を提供する。
【化11】
(式中、AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環である。AR6、AR7は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、又はピリジン環である。mは0又は1であり、m=0のとき、AR6、AR7は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR6、AR7はXを介して橋かけ構造を形成する。Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかであり、AR6とAR7が単結合で連結する場合にはAR6とAR7の少なくとも一方がベンゼン環ではない。sは2〜4であり、s=2のときZは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の原子または有機基である。)
【化12】
【0024】
本発明の上記一般式(1−4)で示される化合物及び一般式(1−5)で示される化合物は、高い耐熱性、高いドライエッチング耐性、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ有機膜を不活性ガス中で形成することができる有機膜形成用材料である一般式(1−1)で示される化合物を製造する際の中間体として好適である。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の上記(1−1)で示される化合物は、基板の腐食が防止される不活性ガス中での成膜において揮発性の副生物を発生することなく硬化し、高度な埋め込みおよび平坦化特性を併せ持つ有機下層膜を形成するために有用な化合物となる。また、この化合物を含む有機膜形成用組成物は、優れた埋め込み/平坦化特性を有するとともに、耐熱性、エッチング耐性等の諸特性を兼ね備えた有機膜を形成する材料となる。そのため、例えば、2層レジスト法、ケイ素中間膜を用いた3層レジスト法、ケイ素中間膜及び有機反射防止膜を用いた4層レジスト法といった多層レジスト法における有機膜材料、あるいは、半導体装置製造用平坦化材料として極めて有用である。また、本発明の有機膜形成用組成物から形成される有機膜は、耐熱性に優れるため、当該有機下層膜上にCVDハードマスクを形成する場合でも熱分解による膜厚変動が無く、パターン形成に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明における平坦化特性の説明図である。
図2】3層レジスト法によるパターン形成方法の一例の説明図である。
図3】実施例における埋め込み特性評価方法の説明図である。
図4】実施例における平坦化特性評価方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
上述のように、基板の腐食を防止するため、不活性ガス中の成膜条件、例えば、300℃以上においても揮発性の副生物が発生することなく、また、基板上に形成されたパターンの埋め込みや平坦化特性に優れ、基板加工時のドライエッチング耐性も良好な有機下層膜が必要とされている。更に、当該有機下層膜上にCVDハードマスクを形成する場合においても分解による膜厚変動のない有機膜が必要とされており、それら特性を実現する有機膜形成用化合物の開発が求められていた。
【0028】
通常、有機下層膜を形成する際には、有機膜形成用化合物を有機溶剤で溶解して組成物とし、これを半導体装置の構造や配線等が形成されている基板上に塗布して、焼成することで有機下層膜を形成する。組成物の塗布直後は基板上の段差構造の形状に沿った塗布膜が形成されるが、該塗布膜を焼成すると、硬化するまでの間に有機溶剤の殆どが蒸発し、基板上に残った有機膜形成用化合物によって有機膜が形成される。本発明者らは、このとき基板上に残った有機膜形成用化合物が十分な熱流動性を有するものであれば、熱流動によって塗布直後の段差形状を平坦化し、平坦な膜を形成することが可能であることに想到した。
【0029】
本発明者らは、更に鋭意検討を重ね、高い耐熱性を有するとともに、基板の腐食を防止するために酸素を含まない不活性ガス中で硬化する材料を提供するために、このような硬化反応を達成する構造として、分子間架橋基として一般式(1−1)で表される1個以上の三重結合を置換基として有する化合物が、効果的に配置された三重結合を有する置換基により空気中および不活性ガス中の成膜条件で熱硬化性を有し、不活性ガス中においても従来の下層膜材料と同等の硬化性能を示すこと、かつ、硬化反応の際に副生物が発生せず、また、効果的に配置された芳香環により高い耐熱性を有することを見出した。また、熱流動性が良好であるため高度な埋め込み/平坦化特性を有し、良好なドライエッチング耐性を有し、CVDハードマスクを形成する場合においても熱分解による塗布膜厚変動の無い耐熱性を併せ持つ有機膜形成用組成物を与えることを見出し、本発明を完成させた。
【0030】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
<化合物(1)>
即ち、本発明は、下記一般式(1−1)で示される化合物である(以下、化合物(1)とする)。
【化13】
(式中、AR1、AR2はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香環、または置換基を有してもよい、窒素原子、硫黄原子のうち少なくとも1個を含む芳香環を示し、2つのAR1同士、AR1とAR2、または2つのAR2同士が連結して環構造を形成してもよい。AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環である。Aは炭素数1〜30の有機基、Bは熱、酸のいずれか一方または両方の作用により反応性カチオンを生成できるアニオン性脱離基、Yは1つ以上の酸素を含んでいても良い炭素数が1〜10の2価の有機基、pは1または2、qは1または2、rは0または1、sは2〜4である。s=2のとき、Zは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の、原子または有機基である。)
【0032】
AR1、AR2はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香環、または置換基を有してもよい、窒素原子、硫黄原子のうち少なくとも1個を含む芳香環を示し、2つのAR1同士、AR1とAR2、または2つのAR2同士が連結して環構造を形成してもよい。
このようなAR1、AR2としては、例えば、置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環等が挙げられる。置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0033】
Aは炭素数1〜30の有機基を示し、例えばアルキル基、特にはメチル基が好ましい。Bは熱、酸のいずれか一方または両方の作用により反応性カチオンを生成できるアニオン性脱離基であり、例えば、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基等が挙げられる。Yは1つ以上の酸素を含んでいても良い炭素数が1〜10の2価の有機基であり、特には、1つの酸素を含む炭素数1〜5の有機基であることが好ましい。
【0034】
pは1または2、qは1または2、rは0または1、sは2〜4である。s=2のとき、Zは単結合、2価の原子(例えば、酸素原子、硫黄原子等)、又は2価の有機基である。また、s=3または4のとき、Zは3価または4価の、原子(例えば、窒素原子、炭素原子等)または有機基である。
【0035】
化合物(1)は、より具体的には、下記一般式(1−2)で示される化合物(2)、又は下記一般式(1−3)で示される化合物(3)である。
【化14】
(式中、AR3は前述の通りであり、AR4、AR5は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環またはピリジン環であり、mは0又は1であり、m=0のとき、AR4、AR5は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR4、AR5はXを介して橋かけ構造を形成し、Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかであり、s、Zは前述の通りである。)
【化15】
【0036】
【化16】
(式中、AR3は前述の通りであり、Rは水素原子または炭素数が1〜30個の1価の有機基である。s、Zは前述の通りである。)
【0037】
上記化合物(1)の中で、上記一般式(1−2)で示される化合物が好ましい。化合物(2)は以下のように例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0038】
【化17】
【0039】
【化18】
【0040】
【化19】
【0041】
【化20】
【0042】
【化21】
【0043】
【化22】
【0044】
【化23】
【0045】
【化24】
【化25】
【0046】
また、上記一般式(1−3)で示される化合物(3)も好ましい構造であり、化合物(3)は以下のように例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
【化26】
【0047】
【化27】
【0048】
また、本発明は下記一般式(1−4)で示される化合物(4)、及び、下記一般式(1−5)で示される化合物(5)を上記化合物(2)の有用な合成中間体として提供する。
【化28】
(式中、AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環である。AR6、AR7は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、又はピリジン環である。mは0又は1であり、m=0のとき、AR6、AR7は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR6、AR7はXを介して橋かけ構造を形成する。Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかであり、AR6とAR7が単結合で連結する場合にはAR6とAR7の少なくとも一方はベンゼン環ではない。sは2〜4であり、s=2のとき、Zは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の、原子または有機基である。)
【化29】
【0049】
【化30】
(式中、AR3は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、又はジアジン環である。AR6、AR7は置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、又はピリジン環である。mは0又は1であり、m=0のとき、AR6、AR7は橋かけ構造を形成せず、m=1のとき、AR6、AR7はXを介して橋かけ構造を形成する。Xは単結合又は下記式(1−2−1)のいずれかであり、AR6とAR7が単結合で連結する場合にはAR6とAR7の少なくとも一方がベンゼン環ではない。sは2〜4であり、s=2のときZは単結合、2価の原子、又は2価の有機基であり、s=3または4のとき、Zは3価または4価の原子または有機基である。)
【0050】
【化31】
【0051】
化合物(4)の具体例としては、化合物(2)のメチルプロパルギルオキシ基が水酸基になった構造(ただし、一般式(1−2)中のAR4、AR5が単結合で連結した場合にはAR4とAR5の少なくとも一方がベンゼン環ではない構造)を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、後述するように化合物(2)を合成するための有用な中間体となる。また、これらそのものも有機膜形成用組成物に用いることも可能である。
【0052】
化合物(5)の具体例としては、化合物(2)のメチルプロパルギルオキシ基がプロパルギルオキシ基になった構造(ただし、一般式(1−2)中のAR4、AR5が単結合で連結した場合にはAR4とAR5の少なくとも一方がベンゼン環ではない構造)を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、後述するように化合物(2)を合成するための有用な中間体となる。また、これらそのものも有機膜形成用組成物に用いることも可能である。
【0053】
[化合物の製造方法]
本発明の化合物(2)、すなわち上記一般式(1−2)で表される化合物の製造方法の一例を以下に示す。ただし、化合物(2)の製造方法はこれに限定されない。
まず、下記ケトン化合物(i)に対する有機金属試薬(ii)の付加反応により(iii)を得、(iii)にナフトールを反応させて化合物(iv)、特には上記一般式(1−4)で表される化合物(4)を中間体として得る経路によることができる。更に、この中間体(iv)を3−ハロゲン化プロピン(ハロゲン化プロパルギル)と反応して化合物(v)、特には上記一般式(1−5)で表される化合物を続く中間体として得、これをメチル化して下記一般式(1−2)を得ることができる。あるいは、中間体である化合物(iv)、特には上記一般式(1−4)と、1−ハロゲン化−2−ブチン(ハロゲン化メチルプロパルギル)を反応させて下記一般式(1−2)を得ることもできる。
【0054】
【化32】
(式中、AR3、AR4、AR5、m、X、s、Zは上記の通り、MはLi又はMg−Hal、Halはハロゲン原子を表す。)
【0055】
この場合、式(i)のケトン化合物1モルに対して有機金属試薬(ii)を0.2/s〜40/sモル、特に0.5/s〜2/sモル使用することが好ましい。
【0056】
有機金属試薬(ii)としては、Grignard試薬、有機リチウム試薬、有機亜鉛試薬、有機チタニウム試薬等が例示でき、Grignard試薬、有機リチウム試薬は特に好ましい。Grignard試薬と有機リチウム試薬は対応するハロゲン化物と金属マグネシウムか金属リチウムとの直接メタル化で調製してもよいし、ハロゲン化イソプロピルマグネシウムやメチルリチウム、ブチルリチウム等の脂肪族有機金属化合物とのメタル−ハロゲン交換反応で調製してもよい。また、有機亜鉛試薬や有機チタニウム試薬は対応するGrignard試薬か有機リチウム試薬からハロゲン化亜鉛やハロゲン化チタニウム(IV)、アルコキシチタニウム(IV)等との反応により調製できる。
【0057】
これらの有機金属試薬(ii)の調製の際、及び/又はこれらの有機金属試薬とケトン化合物(i)との反応の際に金属塩化合物を共存させてもよい。金属塩化合物としてはシアン化物、ハロゲン化物、過ハロゲン酸塩が挙げられ、特に塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム等のリチウム塩類、シアン化銅(I)、シアン化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、ジリチウムテトラクロロキュープレート等の銅塩類を好ましく例示できる。これらの金属塩化合物は、有機金属試薬に対し0.01〜5.0当量、好ましくは0.2〜2.0当量加えることで、有機金属試薬の溶解性を増加させてその調製を容易にしたり、また、試薬の求核性やLewis酸性を調節することができる。
【0058】
有機金属試薬(ii)の調製及びケトン化合物(i)との反応に用いられる溶媒としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の炭化水素類、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒類を単独又は混合して用いる。反応温度は、ケトン化合物(i)や有機金属試薬(ii)の種類・反応条件に依存するが、好ましくは−70〜150℃、例えば(ii)として有機リチウム試薬の場合は−70〜10℃、Grignard試薬の場合は室温〜溶媒の沸点での還流下等、種々選択できる。反応時間は、クロマトグラフィー等で反応を追跡し反応を完結させることが望ましいが、通常30分間から48時間実施するとよい。
【0059】
(iii)とナフトールとの脱水縮合反応は通常、無溶媒又は溶媒中で酸又は塩基を触媒として用いて、室温又は必要に応じて冷却又は加熱下に行う。用いられる溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、塩化メチレン、クロロフォルム、ジクロロエタン、トリクロロエチレン等の塩素系溶媒類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒類が例示でき、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。用いられる酸触媒として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヘテロポリ酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸類、三塩化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化錫、四臭化錫、二塩化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキシド、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、酸化チタン(IV)等のルイス酸類を用いることができる。用いられる塩基触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム等のアルキル金属類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基類を用いることができる。反応温度は−50℃〜溶媒の沸点程度が好ましく、室温〜100℃が更に好ましい。
【0060】
化合物(iv)(特には、上記一般式(1−4)で示される化合物)と3−ハロゲン化プロピン(ハロゲン化プロパルギル)あるいは1−ハロゲン化−2−ブチン(ハロゲン化メチルプロパルギル)との反応では、塩基を用いた置換反応、遷移金属触媒を用いたカップリング反応等が例示できる。置換反応に用いられる塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、リン酸カリウム等の無機塩基化合物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、t−ブトキシカリウム等のアルコキシド、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン等の有機アミン化合物、Grignard試薬、有機リチウム試薬、Li、Na等の金属が挙げられ、これらを単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、遷移金属触媒を用いる場合は銅粉末、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酢酸銅、水酸化銅、硝酸銅等の銅触媒、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどを用いることができ、これらを前記の塩基と組み合わせることもできる。
【0061】
反応方法としては、化合物(iv)(特には上記一般式(1−4)で示される化合物)、ハロゲン化物、及び塩基を一括で仕込む方法、上記化合物(iv)とハロゲン化物を分散又は溶解後、塩基を一括添加又は溶媒で希釈し滴下する方法、又は塩基を分散又は溶解後、化合物(iv)とハロゲン化物を一括添加又は溶媒で希釈し滴下する方法が挙げられるが、化合物(iv)と塩基を反応させてアニオンを発生させた後、ハロゲン化物を仕込む方法が好ましい。
【0062】
このときに用いられる溶媒としては、上記反応に不活性な溶剤であれば特に制限はないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、水、これらを単独または混合して用いることができる。反応温度は−50℃〜溶媒の沸点程度が好ましく、室温〜100℃が更に好ましい。反応時間は、クロマトグラフィー等で反応を追跡し反応を完結させることが望ましいが、通常30分間から48時間実施するとよい。
【0063】
反応終了後、系内に存在する未反応の原料、酸触媒等を除去するために有機溶剤へ希釈後、分液による水洗処理を行って回収することもできる。
【0064】
分液洗浄の際に使用する有機溶剤としては、化合物を溶解でき、水と混合すると2層分離するものであれば特に制限はないが、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエチレン等の塩素系溶剤類、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0065】
分液洗浄の際に系内の未反応原料又は酸性成分を除去するため、塩基性水溶液で洗浄を行ってもよい。塩基性水溶液に含まれる塩基としては、具体的には、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニア、及び有機アンモニウム等が挙げられる。
【0066】
更に、分液洗浄の際に系内の未反応原料、金属不純物又は塩基成分を除去するため、酸性水溶液で洗浄を行ってもよい。酸性水溶液に含まれる酸としては、具体的には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヘテロポリ酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸類等が挙げられる。
【0067】
上記の塩基性水溶液、酸性水溶液による分液洗浄はいずれか一方のみでもよいが、組み合わせて行うこともできる。分液洗浄は、塩基性水溶液、酸性水溶液の順に行うのが金属不純物除去の観点から好ましい。
【0068】
上記の塩基性水溶液、酸性水溶液による分液洗浄後、続けて中性の水で洗浄してもよい。洗浄回数は1回以上行えばよいが、好ましくは1〜5回程度である。中性水としては、脱イオン水や超純水等を使用すればよい。洗浄回数は1回以上であれば、塩基成分、酸性成分を十分除去することができるため好ましい。洗浄効果を得るためには10回で十分であり、好ましくは1〜5回程度である。
【0069】
更に、分液洗浄後の反応生成物は減圧又は常圧で溶剤を濃縮乾固又は晶出操作を行い粉体として回収することもできるが、有機膜形成用組成物を調製する際の操作性改善のため、適度な濃度の溶液状態にしておくことも可能である。このときの濃度としては、0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30重量%である。このような濃度であれば、粘度が高くなりにくいことから操作性を損なうことを防止することができ、また、溶剤の量が過大となることがないことから経済的になる。
【0070】
このときの溶剤としては、重合体を溶解できるものであれば特に制限はないが、具体例を挙げると、シクロヘキサノン、メチル−2−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類が挙げられ、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
【0071】
化合物(v)(特には、上記一般式(1−5)で示される化合物)から上記一般式(1−2)を得る反応としては、塩基使用によるヨウ化メチル又は硫酸ジメチルとの置換反応を挙げられる。置換反応に用いられる塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、リン酸カリウム等の無機塩基化合物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、t−ブトキシカリウム等のアルコキシド、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン等の有機アミン化合物、Grignard試薬、有機リチウム試薬、Li、Na等の金属が挙げられ、これらを単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。このときに用いられる溶媒としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の炭化水素類、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒類を単独又は混合して用いる。反応温度は、上記一般式(1−5)で示される化合物や塩基の種類・反応条件に依存するが、好ましくは−70〜150℃、例えば塩基が有機リチウム試薬の場合は−70〜10℃、Grignard試薬の場合は室温〜溶媒の沸点での還流下等、種々選択できる。
【0072】
本発明の一般式(1−2)で表される化合物の設計思想について述べる。
本発明の一般式(1−2)で表される化合物は、三重構造を有するため無酸素条件下でも熱硬化し、且つ複数の芳香環を効果的に配置することでより高い耐熱性を実現している。従って、不活性ガス中での硬化成膜が求められ、その際に副生成物が発生しないというリソグラフィー用有機下層膜に好適な化合物となる。更に、同じ三重結合を有するプロパルギル基に比べた場合、メチルプロパルギル基を有する本発明の化合物は材料の熱流動性が向上していること、また、熱硬化しはじめる温度が高いことから、加熱成膜時における化合物の熱流動がより起こりやすくなっている。この特性は、基板上に形成されたパターンの埋め込み特性や平坦化特性の向上に寄与する。
【0073】
以上のように、本発明の化合物は、不活性ガス中でも硬化が可能であり、400℃以上の耐熱性及び高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ有機膜形成用組成物を与えるものとなる。
【0074】
なお、本発明において、平坦化特性とは、基板の表面を平坦化する性能のことである。本発明の一般式(1−1)で示される化合物を含有する組成物であれば、例えば、図1に示されるように、基板1上に有機膜形成用組成物3’を塗布し、加熱して有機膜3を形成することによって、基板1における100nmの段差を30nm以下まで低減することが可能である。なお、図1に示される段差形状は、半導体装置製造用基板における段差形状の典型例を示すものであって、本発明の一般式(1−1)で示される化合物を含有する組成物によって平坦化することのできる基板の段差形状は、もちろんこれに限定されるものではない。
【0075】
<有機膜形成用組成物>
また、本発明では、有機膜形成用の組成物であって、(A)上記一般式(1−1)で示される本発明の化合物及び(B)有機溶剤を含有する有機膜形成用組成物を提供する。なお、本発明の有機膜形成用組成物において、上述した本発明の一般式(1−1)で示される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
本発明の有機膜形成用組成物において使用可能な(B)有機溶剤としては、前記のベースポリマー、酸発生剤、架橋剤、その他添加剤等が溶解するものであれば特に制限はない。具体的には、特開2007−199653号公報中の(0091)〜(0092)段落に記載されている溶剤などの沸点が180℃未満の溶剤を使用することができる。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びこれらのうち2種以上の混合物が好ましく用いられる。
【0077】
このような組成物であれば、回転塗布で塗布することができ、また上述のような本発明の化合物(A)を含有するため、良好なドライエッチング耐性を有するとともに、400℃以上の耐熱性及び高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ有機膜形成用組成物となる。
【0078】
さらに、本発明の有機膜形成用組成物には有機溶剤として、上記の沸点が180℃未満の溶剤に沸点が180℃以上の高沸点溶剤を添加する事も可能である(沸点が180℃未満の溶剤と沸点が180℃以上の溶剤を混合して用いることが可能である)。高沸点有機溶剤としては、有機膜形成用化合物を溶解できるものであれば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、塩素系溶剤等の制限は特にはないが、具体例として1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、酢酸n−ノニル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノー2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチン、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4―ブタンジオールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、γ−ブチロラクトン、マロン酸ジヘキシル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジヘキシル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどを例示することができ、これらを単独または混合し用いても良い。
【0079】
上記、高沸点溶剤の沸点は、有機膜形成用組成物を熱処理する温度に合わせて適宜選択すればよく、添加する高沸点溶剤の沸点は180℃〜300℃であることが好ましく、さらに200℃〜300℃であることがより好ましい。このような沸点であれば沸点が低すぎることによってベーク(熱処理)した際に溶剤が瞬間的に揮発する恐れがないため、十分な熱流動性を得ることができる。また、このような沸点であればベーク後も膜中に揮発せず残存することがないため、エッチング耐性等の膜物性に悪影響を及ぼす恐れがない。
【0080】
また、上記高沸点溶剤を使用する場合、高沸点溶剤の配合量は、沸点180℃未満の溶剤100質量部に対して1〜30質量部とすることが好ましい。このような配合量であれば、配合量が少なすぎてベーク時に十分な熱流動性が得られなかったり、一方で配合量が多すぎて膜中に残存しエッチング耐性などの膜物性が劣化するといった恐れがない。
【0081】
このような有機膜形成用組成物であれば、上記の本発明の化合物(A)に高沸点溶剤の添加による熱流動性が付与されることで、より高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ有機膜形成用組成物となる。
【0082】
本発明の有機膜形成用組成物においては、硬化反応を更に促進させるために(C)酸発生剤を添加することができる。酸発生剤は熱分解によって酸を発生するものや、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも添加することができる。具体的には、特開2007−199653号公報中の(0061)〜(0085)段落に記載されている材料を添加することができるがこれらに限定されない。
【0083】
上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。酸発生剤を添加する場合の添加量は、前記化合物(A)100質量部に対して好ましくは0.05〜50質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0084】
本発明の有機膜形成用組成物には、スピンコーティングにおける塗布性を向上させるために(D)界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えば、特開2009−269953号公報中の(0142)〜(0147)記載のものを用いることができる。
【0085】
また、本発明の有機膜形成用組成物には、硬化性を高め、上層膜とのインターミキシングを更に抑制するために、(E)架橋剤を添加することもできる。架橋剤としては、特に限定されることはなく、公知の種々の系統の架橋剤を広く用いることができる。一例として、メラミン系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤、ベンゾグアナミン系架橋剤、ウレア系架橋剤、β−ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤、イソシアヌレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤を例示できる。
【0086】
メラミン系架橋剤として、具体的には、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。グリコールウリル系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリル、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。ベンゾグアナミン系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。ウレア系架橋剤として、具体的には、ジメトキシメチル化ジメトキシエチレンウレア、このアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。β−ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤として具体的には、N,N,N’,N’−テトラ(2−ヒドロキシエチル)アジピン酸アミドを例示できる。イソシアヌレート系架橋剤として具体的には、トリグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートを例示できる。アジリジン系架橋剤として具体的には、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオナート]を例示できる。オキサゾリン系架橋剤として具体的には、2,2’−イソプロピリデンビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス4,5−ジフェニル−2−オキサゾリン、2,2’−メチレンビス−4−フェニル−2−オキサゾリン、2,2’−メチレンビス−4−tertブチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2−イソプロペニルオキサゾリン共重合体を例示できる。エポキシ系架橋剤として具体的には、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルを例示できる。
【0087】
また、本発明の有機膜形成用組成物には、平坦化/埋め込み特性を更に向上させるために、(F)可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、特に限定されることはなく、公知の種々の系統の可塑剤を広く用いることができる。一例として、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類などの低分子化合物、ポリエーテル系、ポリエステル系、特開2013−253227記載のポリアセタール系重合体などのポリマーを例示できる。
【0088】
また、本発明の有機膜形成用組成物には、埋め込み/平坦化特性を可塑剤と同じように付与するための添加剤として、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール構造を有する液状添加剤、又は30℃から250℃までの間の重量減少率が40質量%以上であり、かつ重量平均分子量が300〜200,000である熱分解性重合体が好ましく用いられる。この熱分解性重合体は、下記一般式(DP1)、(DP1a)で示されるアセタール構造を有する繰り返し単位を含有するものであることが好ましい。
【0089】
【化33】
(式中、Rは水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜30の飽和もしくは不飽和の一価有機基である。Y1は炭素数2〜30の飽和又は不飽和の二価有機基である。)
【0090】
【化34】
(式中、R6aは炭素数1〜4のアルキル基である。Yは炭素数4〜10の飽和又は不飽和の二価炭化水素基であり、エーテル結合を有していてもよい。nは平均繰り返し単位数を表し、3〜500である。)
【0091】
以上のように、本発明の有機膜形成用組成物は、良好なドライエッチング耐性を有するとともに、400℃以上の耐熱性及び高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ有機膜を形成するものである。従って、2層レジスト法、ケイ素含有レジスト中間膜又はケイ素含有無機ハードマスクを用いた3層レジスト法、ケイ素含有レジスト中間膜又はケイ素含有無機ハードマスク及び有機反射防止膜を用いた4層レジスト法等といった多層レジスト法に用いる有機下層膜の形成材料として、極めて有用である。また、本発明の有機膜形成用組成物は、不活性ガス中における成膜においても副生物が発生することなく、優れた埋め込み/平坦化特性を有するため、多層レジスト法以外の半導体装置製造工程における平坦化材料としても好適に用いることができる。
【0092】
<有機膜形成方法>
有機膜を形成するための加熱成膜工程は、1段ベーク、2段ベークまたは3段以上の多段ベークを適用することが出来るが、1段ベークまたは2段ベークが経済的に好ましい。1段ベークによる成膜は、100℃以上600℃以下の温度で5〜3600秒間の範囲、特には150℃以上500℃以下の温度で10〜7200秒間の範囲で行うのが好ましい。このような条件で熱処理することで、熱流動による平坦化と架橋反応を促進させることが出来る。多層レジスト法ではこの得られた膜の上に塗布型ケイ素中間膜やCVDハードマスクを形成する場合がある。塗布型ケイ素中間膜を適用する場合は、ケイ素中間膜を成膜する温度より高い温度で有機下層膜を成膜することが好ましい。通常、ケイ素中間膜は100℃以上400℃以下、好ましくは150℃以上350℃以下で成膜される。この温度より高い温度で有機下層膜を成膜すると、ケイ素中間膜形成用組成物による有機下層膜の溶解を防ぎ、当該組成物とミキシングしない有機膜を形成することができる。また、ケイ素中間膜形成中に有機下層膜が熱分解を起こし副生成物を生じる恐れがない。
【0093】
CVDハードマスクを適用する場合は、CVDハードマスクを形成する温度より高い温度で有機下層膜を成膜することが好ましい。CVDハードマスクを形成する温度としては、150℃以上500℃以下の温度を例示することが出来る。
【0094】
一方、2段ベークによる成膜において一段目のベークを空気中で行う場合、酸素による基板の腐食の起こり得る際には空気中での処理温度の上限は300℃以下好ましくは250℃以下で10〜600秒間の範囲で行う。不活性ガス中での2段目のベーク温度としては、1段目のベーク温度より高く、600℃以下好ましくは500℃以下の温度で、10〜7200秒間の範囲で行うのが好ましい。
【0095】
また、本発明の有機膜形成用組成物は、半導体装置の製造工程で使用される有機下層膜として機能する有機膜の形成方法であって、被加工基板の腐食を防止するため、被加工基板を酸素濃度1%以下の雰囲気で熱処理することにより硬化膜を形成する有機膜形成方法に適用できる。
【0096】
この有機膜形成方法では、まず、上述の本発明の有機膜形成用組成物を、被加工基板上に回転塗布する。回転塗布後、2段ベークでは、まず、空気中、300℃以下でベークした後、酸素濃度1%以下の雰囲気で2段目のベークをする。1段ベークの場合は、初めの空気中での1段目のベークをスキップすればよい。なお、ベーク中の雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを例示出来る。本発明の材料であれば、このような不活性ガス雰囲気中で加熱しても、昇華物の発生することなく十分に硬化した有機膜を形成することができる。
【0097】
また、上記有機膜形成方法は、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する被加工基板に用いることが出来る。上述のように、本発明の有機膜形成用組成物は、埋め込み/平坦化特性に優れるため、被加工基板に高さ30nm以上の構造体又は段差(凹凸)があっても、平坦な硬化膜を形成することができる。つまり、本発明の有機膜形成方法は、このような被加工基板上に平坦な有機膜を形成する場合に特に有用である。
【0098】
なお、形成される有機膜の厚さは適宜選定されるが、30〜20,000nmとすることが好ましく、特に50〜15,000nmとすることが好ましい。
【0099】
また、上記の有機膜形成方法は、本発明の有機膜形成用組成物を用いて多層レジスト法の下層膜となる有機膜を形成する場合と、平坦化膜用の有機膜を形成する場合の両方に適用可能である。
【0100】
本発明の有機膜形成用組成物は、半導体装置の製造工程で使用される段差基板の表面を平坦化することのできる有機膜の形成に用いることができ、被加工基板上に本発明の有機膜形成用組成物を回転塗布し、該有機膜形成用組成物を塗布した基板を50℃以上250℃以下の温度で10〜600秒間の範囲で空気中で熱処理し、続いて不活性ガス中250℃以上の温度で10〜7200秒間熱処理することにより硬化膜を形成する有機膜形成方法に適用できる。
【0101】
この有機膜形成方法では、まず、上述した本発明の有機膜形成用組成物を、被加工基板上に回転塗布する。回転塗布法を用いることで、良好な埋め込み特性を確実に得ることができる。回転塗布後、熱流動による平坦化と架橋反応を促進させるためにベーク(熱処理)を行う。なお、このベークにより、組成物中の溶媒を蒸発させることができるため、有機膜上にレジスト上層膜やケイ素含有レジスト中間膜を形成する場合にもミキシングを防止することができる。
【0102】
<パターン形成方法>
[ケイ素含有レジスト中間膜を用いた3層レジスト法]
被加工基板上に本発明の有機膜形成用組成物を用いて有機膜を形成し、該有機膜の上にケイ素原子を含有する膜形成材料を用いてケイ素含有膜を形成し、該ケイ素含有膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成し、該レジスト上層膜に回路パターンを形成し、該回路パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記ケイ素含有膜にエッチングでパターンを転写し、該パターンが転写されたケイ素含有膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、更に、該パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工基板にエッチングでパターンを転写するパターン形成方法が可能である。
【0103】
被加工基板としては、半導体装置基板、又は該半導体装置基板上に金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたものを用いることが好ましく、より具体的には、特に限定されないが、Si、α−Si、p−Si、SiO、SiN、SiON、W、TiN、Al等の基板や、該基板上に被加工層として、上記の金属膜等が成膜されたもの等が用いられる。
【0104】
被加工層としては、Si、SiO、SiON、SiN、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等種々のLow−k膜及びそのストッパー膜が用いられ、通常50〜10,000nm、特に100〜5,000nmの厚さに形成し得る。なお、被加工層を成膜する場合、基板と被加工層とは、異なる材質のものが用いられる。
【0105】
なお、被加工基板を構成する金属は、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、銀、金、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、コバルト、マンガン、モリブデン、又はこれらの合金であることが好ましい。
【0106】
また、被加工基板として、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する被加工基板を用いることが好ましい。
【0107】
被加工基板上に本発明の有機膜形成用組成物を用いて有機膜を形成する際には、上述の有機膜形成方法を適用すればよい。
【0108】
次に、有機膜の上にケイ素原子を含有するレジスト中間膜材料を用いてレジスト中間膜(ケイ素含有レジスト中間膜)を形成する。ケイ素含有レジスト中間膜材料としては、ポリシロキサンベースの中間膜材料が好ましい。ケイ素含有レジスト中間膜に反射防止効果を持たせることによって、反射を抑えることができる。特に193nm露光用としては、有機膜形成用組成物として芳香族を多く含み基板とのエッチング選択性の高い材料を用いると、k値が高くなり基板反射が高くなるが、ケイ素含有レジスト中間膜として適切なk値になるような吸収を持たせることで反射を抑えることが可能になり、基板反射を0.5%以下にすることができる。反射防止効果があるケイ素含有レジスト中間膜としては、248nm、157nm露光用としてはアントラセン、193nm露光用としてはフェニル基又はケイ素−ケイ素結合を有する吸光基をペンダント構造又はポリシロキサン構造中に有し、酸あるいは熱で架橋するポリシロキサンが好ましく用いられる。
【0109】
次に、ケイ素含有レジスト中間膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成する。レジスト上層膜材料としては、ポジ型でもネガ型でもどちらでもよく、通常用いられているフォトレジスト組成物と同じものを用いることができる。レジスト上層膜材料を回転塗布後、60〜180℃で10〜300秒間の範囲でプリベークを行うのが好ましい。その後常法に従い、露光を行い、更に、ポストエクスポージャーベーク(PEB)、現像を行い、レジスト上層膜パターンを得る。なお、レジスト上層膜の厚さは特に制限されないが、30〜500nmが好ましく、特に50〜400nmが好ましい。
【0110】
次に、レジスト上層膜に回路パターン(レジスト上層膜パターン)を形成する。回路パターンの形成においては、波長が10nm以上300nm以下の光を用いたリソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティング、又はこれらの組み合わせによって回路パターンを形成することが好ましい。
【0111】
なお、露光光としては、波長300nm以下の高エネルギー線、具体的には遠紫外線、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、Fレーザー光(157nm)、Krレーザー光(146nm)、Arレーザー光(126nm)、3〜20nmの軟X線(EUV)、電子ビーム(EB)、イオンビーム、X線等を挙げることができる。
【0112】
また、回路パターンの形成において、アルカリ現像又は有機溶剤現像によって回路パターンを現像することが好ましい。
【0113】
次に、回路パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにしてケイ素含有レジスト中間膜にエッチングでパターンを転写する。レジスト上層膜パターンをマスクにして行うケイ素含有レジスト中間膜のエッチングは、フルオロカーボン系のガスを用いて行うことが好ましい。これにより、ケイ素含有レジスト中間膜パターンを形成する。
【0114】
次に、パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして有機膜にエッチングでパターンを転写する。ケイ素含有レジスト中間膜は、酸素ガス又は水素ガスに対して有機物に比較して高いエッチング耐性を示すため、ケイ素含有レジスト中間膜パターンをマスクにして行う有機膜のエッチングは、酸素ガス又は水素ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。これにより、有機膜パターンを形成することができる。
【0115】
次に、パターンが転写された有機膜をマスクにして被加工基板にエッチングでパターンを転写する。次の被加工基板(被加工層)のエッチングは、常法によって行うことができ、例えば被加工基板がSiO、SiN、シリカ系低誘電率絶縁膜であればフロン系ガスを主体としたエッチング、p−SiやAl、Wであれば塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行う。基板加工をフロン系ガスによるエッチングで行った場合、ケイ素含有レジスト中間膜パターンは基板加工と同時に剥離される。一方、基板加工を塩素系、臭素系ガスによるエッチングで行った場合は、ケイ素含有レジスト中間膜パターンを剥離するために、基板加工後にフロン系ガスによるドライエッチング剥離を別途行う必要がある。
【0116】
本発明の有機膜形成用組成物を用いて得られる有機膜は、上記のような被加工基板のエッチング時のエッチング耐性に優れたものである。
【0117】
[ケイ素含有レジスト中間膜と有機反射防止膜を用いた4層レジスト法]
また、被加工基板上に本発明の有機膜形成用組成物を用いて有機膜を形成し、該有機膜の上にケイ素原子を含有するレジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、該ケイ素含有レジスト中間膜の上に有機反射防止膜を形成し、該有機反射防止膜上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成し、該レジスト上層膜に回路パターンを形成し、該回路パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記有機反射防止膜と前記ケイ素含有レジスト中間膜にドライエッチングでパターンを転写し、該パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、更に、該パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工基板にエッチングでパターンを転写するパターン形成方法も可能である。
【0118】
なお、この方法は、ケイ素含有レジスト中間膜とレジスト上層膜の間に有機反射防止膜(BARC)を形成する以外は、上記のケイ素含有レジスト中間膜を用いた3層レジスト法と同様にして行うことができる。
【0119】
有機反射防止膜は、公知の有機反射防止膜材料を用いて回転塗布で形成することができる。
【0120】
[無機ハードマスクを用いた3層レジスト法]
また、本発明の有機膜形成用組成物を用いた3層レジスト法によるパターン形成方法として、被加工基板上に上述の本発明の有機膜形成用組成物を用いて有機膜を形成し、該有機膜の上にケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、ケイ素酸化窒化膜、チタン酸化膜、及びチタン窒化膜から選ばれる無機ハードマスクを形成し、該無機ハードマスクの上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成し、該レジスト上層膜に回路パターンを形成し、該回路パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記無機ハードマスクにエッチングでパターンを転写し、該パターンが転写された無機ハードマスクをマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、更に、該パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工基板にエッチングでパターンを転写するパターン形成方法も可能である。
【0121】
なお、この方法は、有機膜の上にケイ素含有レジスト中間膜の代わりに無機ハードマスクを形成する以外は、上記のケイ素含有レジスト中間膜を用いた3層レジスト法と同様にして行うことができる。
【0122】
ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜(SiON膜)から選ばれる無機ハードマスクは、CVD法やALD法等で形成することができる。ケイ素窒化膜の形成方法としては、例えば特開2002−334869号公報、国際公開第2004/066377号公報等に記載されている。無機ハードマスクの膜厚は好ましくは5〜200nm、より好ましくは10〜100nmである。無機ハードマスクとしては、反射防止膜としての効果が高いSiON膜が最も好ましく用いられる。SiON膜を形成するときの基板温度は300〜500℃となるために、下層膜としては300〜500℃の温度に耐える必要がある。本発明の有機膜形成用組成物を用いて形成される有機膜は高い耐熱性を有しており、300℃〜500℃の高温に耐えることができるため、CVD法又はALD法で形成された無機ハードマスクと、回転塗布法で形成された有機膜の組み合わせが可能である。
【0123】
[無機ハードマスクと有機反射防止膜を用いた4層レジスト法]
また、本発明の有機膜形成用組成物を用いた4層レジスト法によるパターン形成方法として、被加工基板上に上述の本発明の有機膜形成用組成物を用いて有機膜を形成し、該有機膜の上にケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスクを形成し、該無機ハードマスクの上に有機反射防止膜を形成し、該有機反射防止膜上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成し、該レジスト上層膜に回路パターンを形成し、該回路パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記有機反射防止膜と前記無機ハードマスクにエッチングでパターンを転写し、該パターンが転写された無機ハードマスクをマスクにして前記有機膜にエッチングでパターンを転写し、更に、該パターンが転写された有機膜をマスクにして前記被加工基板にエッチングでパターンを転写するパターン形成方法も可能である。
【0124】
なお、この方法は、無機ハードマスクとレジスト上層膜の間に有機反射防止膜(BARC)を形成する以外は、上記の無機ハードマスクを用いた3層レジスト法と同様にして行うことができる。
【0125】
特に、無機ハードマスクとしてSiON膜を用いた場合、SiON膜とBARCの2層の反射防止膜によって1.0を超える高NAの液浸露光においても反射を抑えることが可能となる。BARCを形成するもう一つのメリットとしては、SiON膜直上でのレジスト上層膜パターンの裾引きを低減させる効果があることである。
【0126】
ここで、3層レジスト法によるパターン形成方法の一例を図2(A)〜(F)に示す。3層レジスト法の場合、図2(A)に示されるように、基板1の上に形成された被加工層2上に本発明の有機膜形成用組成物を用いて有機膜3を形成した後、ケイ素含有レジスト中間膜4を形成し、その上にレジスト上層膜5を形成する。次いで、図2(B)に示されるように、レジスト上層膜5の露光部分6を露光し、PEB(ポストエクスポージャーベーク)を行う。次いで、図2(C)に示されるように、現像を行ってレジスト上層膜パターン5aを形成する。次いで、図2(D)に示されるように、レジスト上層膜パターン5aをマスクとして、フロン系ガスを用いてケイ素含有レジスト中間膜4をドライエッチング加工し、ケイ素含有レジスト中間膜パターン4aを形成する。次いで、図2(E)に示されるように、レジスト上層膜パターン5aを除去後、ケイ素含有レジスト中間膜パターン4aをマスクとして、有機膜3を酸素プラズマエッチングし、有機膜パターン3aを形成する。更に、図2(F)に示されるように、ケイ素含有レジスト中間膜パターン4aを除去後、有機膜パターン3aをマスクとして、被加工層2をエッチング加工し、パターン2aを形成する。
【0127】
無機ハードマスクを形成する場合は、ケイ素含有レジスト中間膜4を無機ハードマスクに変更すればよく、BARCを形成する場合は、ケイ素含有レジスト中間膜4とレジスト上層膜5との間にBARCを形成すればよい。BARCのエッチングは、ケイ素含有レジスト中間膜4のエッチングに先立って連続して行ってもよいし、BARCだけのエッチングを行ってからエッチング装置を変える等してケイ素含有レジスト中間膜4のエッチングを行ってもよい。
【0128】
以上のように、本発明のパターン形成方法であれば、多層レジスト法によって、被加工基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【実施例】
【0129】
以下、合成例、比較合成例、実施例、及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、分子量及び分散度としては、テトラヒドロフランを溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め、分散度(Mw/Mn)を求めた。
【0130】
合成例 高耐熱有機化合物の合成
[合成例1]化合物(A1)の合成
【化35】
ジオール(B1)7.7g、炭酸カリウム3.0g、N,N−ジメチルホルムアミド40gを混合し、55℃まで昇温した。1−ブロモ−2−ブチン2.9gをゆっくり滴下して、55℃で20時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン150gを加え、水洗、減圧濃縮後、メタノールを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A1)8.7gを得た。合成した化合物(A1)のIR、H NMR分析結果を以下に示す。
【0131】
IR(D−ATR):
ν=3057、3029、2954、2916、2867、1601、1494、1476、1446、1217、1005、819cm−1
H NMR(600 MHz,DMSO−d)δ7.94(d,J=7.3Hz,4H),7.71(d,J=9.2Hz,2H),7.60(d,J=9.2Hz,2H),7.51−7.45(m,10H),7.41−7.38(m,4H),7.31−7.28(m,6H),7.28−7.15(m,6H),7.08−7.06(m,2H),4.80(d,J=2.3Hz,4H),1.79(dd,J=2.3,2.3Hz,6H).
【0132】
GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A1):Mw=1000、Mw/Mn=1.23
【0133】
[合成例2]化合物(A1)の合成
【化36】
ジオール(B1)7.7g、炭酸カリウム3.0g、N,N−ジメチルホルムアミド40gを混合し、55℃まで昇温した。プロパルギルブロマイド80%トルエン溶液3.3gをゆっくり滴下して、55℃で14時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、トルエン150gを加え、水洗、減圧濃縮し、プロパルギル体(B2)8.4gを得た。
次いで、N雰囲気下で−30℃まで冷却したプロパルギル体(B2)8.4gとテトラヒドロフラン60mLの混合液に、n−ブチルリチウム2.65Mヘキサン溶液10mLを加え、−30℃で1時間撹拌した。硫酸ジメチル4.4gを加え、徐々に室温に昇温し、60℃まで昇温して6時間撹拌した。室温まで冷却後、希塩酸を加えて反応を停止した。メチルイソブチルケトン100gを加え、水洗、減圧濃縮後、メタノールを加え、生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥し、目的物(A1)8.5gを得た。合成した化合物(A1)のIR、H NMR分析結果を以下に示す。
【0134】
IR(D−ATR):
ν=3058、3029、2954、2917、2868、1602、1494、1477、1446、1218、1005、819cm−1
H NMR(600MHz,DMSO−d)δ7.94(d,J=7.3Hz,4H),7.71(d,J=9.2Hz,2H),7.60(d,J=9.2Hz,2H),7.51−7.45(m,10H),7.41−7.38(m,4H),7.31−7.28(m,6H),7.28−7.15(m,6H),7.08−7.06(m,2H),4.80(d,J=2.3Hz,4H),1.79(dd,J=2.3,2.3Hz,6H).
【0135】
GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A1):Mw=1000、Mw/Mn=1.32
【0136】
[合成例3]化合物(A2)の合成
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン8.78g、アセトン50mLを混合し、炭酸カリウム17gを加え、さらに1−ブロモ−2−ブチン7.9mLを滴下した。反応混合物を加熱して、終夜加熱還流した。室温まで冷却後、ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮後、メタノール:クロロホルム=9:1の混合溶媒を加え、生じた固体をろ取し、下記で示される中間体(B3)10.6gを得た。合成した中間体(B3)のH NMR分析結果を以下に示す。
【0137】
【化37】
【0138】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.81(d,Ar−,4H),7.05(d,Ar−,4H),4.75(s,CH,4H),1.90(s,CH,6H).
【0139】
次いで、N雰囲気下で−70℃まで冷却した4,4’−ジブロモビフェニル5.44gとテトラヒドロフラン50mLの混合液に、n−ブチルリチウム1.6Mヘキサン溶液23.92mLを加え、−40℃で1時間撹拌した。テトラヒドロフラン50mLに溶解した中間体(B3)12.18gを滴下して、徐々に室温に昇温し、室温にて終夜撹拌した。14%塩化アンモニウム水溶液100mLを加えて反応を停止した。酢酸エチル200mLを加え、水洗、減圧濃縮後、ジクロロメタン:ペンタン=1:3混合液を加え、0−5℃に冷却し生じた固体をろ取、ペンタン洗浄、減圧乾燥して8.7gの下記で示される化合物(A2)を得た。合成した化合物(A2)のH NMR分析結果を以下に示す。
【0140】
【化38】
【0141】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.55(d,Ar−,4H),7.35(d,Ar−,4H),7.23(d,Ar−,8H),6.93(d,Ar−,8H),4.66(s,CH,8H),1.88(s,CH,12H).
【0142】
[合成例4]化合物(A3)の合成
雰囲気下で2−クロロニコチン酸エチル25g、フェニルボロン酸21.04g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)3g、炭酸カリウム55.1g、テトラヒドロフラン:水=1:1混合液250mLを混合し、加熱還流にて終夜撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチル200mLを加え、水層を除去し、蒸留水(2×100mL)で洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた油状物質をシリカで濾過し、メタノール150mLに溶解した。この溶液に水酸化ナトリウム10.8gを加え、室温にて6時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた白色固体を水で希釈し、1M塩酸を加えてpH=4−5にした。生じた白色結晶をを濾別して、下記の化合物(B4)を得た。得られた水層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、減圧濃縮をして残りの化合物(B4)を得た。化合物(B4)は合計で21.46g得た。合成した中間体化合物(B4)のH NMR分析結果を以下に示す。
【0143】
【化39】
【0144】
H NMR (400MHz,DMSO−d) δ(ppm): 13.31(bs,COO−,1H),8.76(d,Ar−,1H),8.11(d,Ar−,1H),7.58(m,Ar−,3H),7.46(m,Ar−,3H).
【0145】
次いで、N雰囲気下で温度計を取り付けた三口フラスコに80℃に加熱したポリりん酸(化合物(B4)に対して25%の量)を加え、続いて化合物(B4)9.96gを滴下して、210℃にて3時間激しく撹拌した。反応液を60−70℃まで冷却後、pH=10となるように1M水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した。生じた固体をろ取、蒸留水洗浄、減圧乾燥し、化合物(B5)9.05gを得た。合成した化合物(B5)のH NMR分析結果を以下に示す。
【0146】
【化40】
【0147】
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):8.64(d,Ar−,1H),7.92(m,Ar−,2H),7.76(d,Ar−,1H),7.64(t,Ar−,1H),7.47(t,Ar−,1H),7.25(m,Ar−,1H).
【0148】
次いで、N雰囲気下で−70℃まで冷却した4,4’−ジブロモビフェニル2.38gとテトラヒドロフラン50mLの混合液に、n−ブチルリチウム1.6Mヘキサン溶液10.45mLを加え、−40℃で1時間撹拌した。化合物(B5)500mgを加え、徐々に室温に昇温し、室温にて終夜撹拌した。14%塩化アンモニウム水溶液50mLを加えて反応を停止した。水層を除去し、有機層を減圧濃縮後、塩化メチレンを加え、0−5℃に冷却し、激しく撹拌した。生じた固体をろ取、メタノール洗浄、減圧乾燥してジオール(B6)2.2gを得た。合成した化合物(B6)のH NMR、MALDI−TOF MS分析結果を以下に示す。
【化41】
【0149】
H NMR(400MHz,DMSO−d) δ (ppm):8.53(d,Ar−H,2H),7.87(d,Ar−H,2H),7.65(d,Ar−H,2H),7.51−7.45(m,Ar−H,6H),7.42−7.38(m,Ar−H,4H),7.34(d,Ar−H,4H),7.26−7.23(m,Ar−,2H),6.60(bs,O,2H).MALDI−TOF MS m/z(+ve):498[M−OH]
【0150】
次いで、化合物(B6)500mg、2−ナフトール307mg、酢酸18mLを混合した。この懸濁液にメタンスルホン酸2mLを加え、N置換した後、16時間加熱還流した。室温に冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、蒸留水(2×50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、減圧濃縮後、エタノールを加え、0−5℃にて1時間撹拌した。生じた固体をろ取、エタノール洗浄、減圧乾燥し、化合物(B7)320mgを得た。合成した化合物(B7)のH NMR、MALDI−TOF MS分析結果を以下に示す。
【化42】
【0151】
H NMR (400MHz,DMF−d) δ(ppm):9.76(bs,O,2H),8.60(s,Ar−,2H),8.02(d,Ar−,2H),7.80(m,Ar−,2H),7.69−7.13 (m,Ar−,26H),7.12−6.95(m,Ar−,2H).MALDI−TOF MS m/z(+ve):768[M−H]
【0152】
次いで、化合物(B7)200mg、プロパルギルブロマイド74mg、炭酸カリウム108mg、N,N−ジメチルホルムアミド10mLを混合し、80℃まで昇温して24時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル60mLを加え、飽和塩化ナトリウム水溶液(2×50mL)、蒸留水(2×50mL)で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、減圧濃縮後、ヘキサン200mLを加え、0−5℃に冷却して1時間撹拌した。生じた固体をろ取、ヘキサン洗浄、減圧乾燥し、化合物(B8)181mgを得た。合成した化合物(B8)のH NMR、MALDI−TOF MS分析結果を以下に示す。
【0153】
【化43】
【0154】
H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ(ppm): 8.60 (s, Ar−, 2H), 8.04 (d, Ar−, 2H), 7.94−6.94 (m, Ar−, 30H), 4.88 (s, C, 4H), 3.58 (s, C, 2H). MALDI−TOF MS m/z (+ve): 845 [M−H]
【0155】
雰囲気下で−60〜−70℃まで冷却した化合物(B8)100mgとテトラヒドロフラン10mLの混合液に、n−ブチルリチウム1.6Mヘキサン溶液0.162mLを加え、−50〜−40℃で1時間撹拌した。反応液を−60〜−70℃まで冷却した後、ヨウ化メチル0.022mLを加え、徐々に室温に昇温し、室温にて終夜撹拌した。冷却後、酢酸エチル30mLを加え、飽和塩化ナトリウム水溶液(2×25mL)、蒸留水(2×25mL)で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、減圧濃縮後、ヘキサン100mLを加え、0−5℃に冷却して1時間撹拌した。生じた固体をろ取、ヘキサン洗浄、減圧乾燥し、目的物(A3)83mgを得た。合成した化合物(A3)のH NMR、MALDI−TOF MS分析結果を以下に示す。
【化44】
【0156】
H NMR (400 MHz,DMSO−d) δ(ppm):8.62(s,Ar−,2H),8.04(d,Ar−,2H),7.94−6.94(m,Ar−,30H),4.87(s,C,4H),1.77(s,C,6H).MALDI−TOF MS m/z(+ve): 873 [M−H]
【0157】
GPCにより、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A3):Mw=500、Mw/Mn=1.14
【0158】
比較合成例 有機化合物の合成
[比較合成例1]化合物(A4)の合成
ジオール(B1)7.7g、炭酸カリウム3.0g、N,N−ジメチルホルムアミド40gを混合し、55℃まで昇温した。プロパルギルブロマイド80%トルエン溶液3.3gをゆっくり滴下して、55℃で14時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、トルエン150gを加え、水洗、減圧濃縮し、プロパルギル体(A4)8.4gを得た。
【0159】
【化45】
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A4):Mw=1000、Mw/Mn=1.09
【0160】
[比較合成例2]化合物(A5)の合成
9,9−フルオレニリデン―ビスナフトール90.1g、37%ホルマリン水溶液10.5g、及び2−メトキシ−1−プロパノール270gを窒素雰囲気下、内温80℃で均一溶液とした後、20%パラトルエンスルホン酸2−メトキシ−1−プロパノール溶液18gをゆっくり加え、内温110℃で8時間撹拌した。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン600gを加え、有機層を純水200gで5回洗浄後、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF400mlを加え、ヘキサン2,000mlでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥して化合物(A5)を得た。
【化46】
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(A5):Mw=3700、Mw/Mn=2.82
【0161】
[比較合成例3]化合物(A6)の合成
窒素雰囲気下、マグネシウム26.4g(1.09mol)を秤量した5Lの4つ口フラスコ内に脱水THF(テトラヒドロフラン)1,000mlで予め溶解した4,4’−ジブロモビフェニル168g(0.54mol)、塩化リチウム23.0g(0.54mol)をマグネシウムが浸る程度に加えた。ジブロモエタンを少量加え、反応をスタートさせた後、発熱を維持したまま残りのTHF溶液を3時間かけ滴下した。滴下終了後、THF500mlを加え、還流下で8時間熟成してGrignard試薬を調製した。内温55℃まで冷却した後、予め脱水THF400mlに溶解した9−フルオレノン150g(0.83mol)を2時間かけ滴下した。滴下終了後、還流下で5時間半熟成を行い、氷浴でフラスコを冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液1,000mlと純水1,000mlで反応をクエンチした。このとき溶液は白色の析出物が生じ、懸濁液となった。反応溶液にMIBK(メチルイソブチルケトン)150mlを追加し、懸濁液のまま分液ロートに移し変え、水層を抜き出し、更に純水500mlで分液水洗を行った後、有機層を減圧濃縮した。ジイソプロピルエーテルで再結晶を行い、生じた白色の結晶を濾別し、乾燥することでビフェニル誘導体(B9)を109g、収率51.0%で得た。
【化47】
【0162】
ビフェニル誘導体(B9) :
IR(D−ATR):ν=3539,3064,3039,1605,1495,1447,1164,1030,909,820,771,754,736cm−1
H−NMR(600MHz inDMSO−d):δ=6.34(2H,−OH,s),7.24(4H,t),7.27(8H,d),7.36(4H,t−t),7.45(4H,d),7.81(4H,d)ppm。
13C−NMR(150MHzinDMSO−d):δ=82.44,120.10,124.66,125.66,126.28,128.07,128.51,138.41,139.14,144.19,151.23ppm。
【0163】
次いで、ビフェニル誘導体(B9)40.3g(78.4mmol)、2−ナフトール23.73g(164.6mmol)、1,2−ジクロロエタン240mlを1Lの3つ口フラスコに秤量した。30℃のオイルバス中で撹拌しながら、メタンスルホン酸7.3mlをゆっくり滴下した。滴下終了後オイルバスの温度を50℃に上げ、6時間反応を行った。室温まで放冷後、MIBK500mlで希釈し、不溶分を濾別して分液ロートに移し変え、300mlの超純水で分液水洗を9回繰り返した。有機層を減圧濃縮し、残渣にTHF800ml加え、溶解させた後、ヘキサン2,500mlで晶出後、結晶を濾別、乾燥することでビフェニル誘導体化合物(A6)を51.6g、収率85.8%で得た。
【化48】
【0164】
化合物(A6):
IR(KBr):ν=3528,3389,3059,3030,1633,1604,
1506,1493,1446,1219,1181,750,740cm−1
H−NMR(600MHz inDMSO−d):δ=6.98(2H,d−d),7.05(2H,s−d),7.17(4H,d),7.24(2H,d−d),7.29(4H,t),7.38(4H,t),7.40(2H,s),7.45(4H,d),7.50(6H,d),7.58(2H,d),7.93(4H,d),9.72(2H,−OH,s)ppm。
13C−NMR(150MHz inDMSO−d):δ=64.59,108.35,118.77,120.58,125.19,126.11,126.36,126.62,126.94,127.16,127.71,127.88,128.20,129.35,133.39,138.14,139.26,139.59,144.82,150.56,155.39ppm。
【0165】
有機膜形成用組成物(UDL−1〜5、比較UDL1〜4)の調製
上記化合物(A1)〜(A6)、添加剤として架橋剤(CR1)、酸発生剤(AG1)、溶剤(S1)1,6−ジアセトキシヘキサン(沸点260℃)、または(S2)トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点242℃)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、FC−4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表1に示す割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって有機膜形成用組成物(UDL−1〜5、比較UDL−1〜4)をそれぞれ調製した。
【0166】
【表1】
【0167】
以下に、架橋剤(CR1)、酸発生剤(AG1)を示す。
【化49】
【0168】
実施例1 窒素雰囲気中ベークでの溶媒耐性測定(実施例1−1〜1−5、比較例1−1〜1−4)
上記で調製した有機膜形成用組成物(UDL−1〜5、比較UDL−1〜4)をシリコン基板上に塗布し、酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下400℃で60秒間焼成した後、膜厚を測定し、その上にPGMEA溶媒をディスペンスし、30秒間放置しスピンドライ、100℃で60秒間ベークしてPGMEAを蒸発させ、膜厚を測定しPGMEA処理前後の膜厚差を求めた。
【0169】
【表2】
【0170】
表2に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例1−1〜1−5)は、PGMEA処理後の残膜率が99%以上あり、窒素雰囲気下において架橋反応が起き十分な溶剤耐性を発現していることがわかる。それに対して架橋剤と熱酸発生剤が添加されていない比較例1−2、1−3ではPGMEA処理後の残膜率が50%未満となり十分な溶剤耐性が発現せず、十分な溶剤耐性を発現させるためには架橋剤および熱酸発生剤の添加が必要となった。この結果より、上記一般式(1−1)中における(A−炭素炭素三重結合−Y)で表される部分構造が窒素雰囲気下で熱硬化反応を起こし、溶剤耐性が発現していることがわかる。
【0171】
実施例2 大気中ベークでの溶媒耐性測定(実施例2−1〜2−5、比較例2−1〜2−4)
上記で調製した有機膜形成用組成物(UDL−1〜5、比較UDL−1〜4)をシリコン基板上に塗布し、大気中350℃で60秒間焼成した後、膜厚を測定し、その上にPGMEA溶媒をディスペンスし、30秒間放置しスピンドライ、100℃で60秒間ベークしてPGMEAを蒸発させ、膜厚を測定しPGMEA処理前後の膜厚差を求めた。
【0172】
【表3】
【0173】
表3に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例2−1〜2−5)は、PGMEA処理後の残膜率が99%以上あり、大気中においても架橋反応が起き十分な溶剤耐性を発現していることがわかる。それに対して架橋剤と熱酸発生剤が添加されていない比較例2−3ではPGMEA処理後の残膜率が50%未満となり十分な溶剤耐性が発現せず、十分な溶剤耐性を発現させるためには架橋剤および熱酸発生剤の添加が必要となった。この結果より、上記一般式(1−1)中における(A−炭素炭素三重結合−Y)で表される部分構造が大気中でも熱硬化反応を起こし、溶剤耐性が発現していることがわかる。
【0174】
実施例3 埋め込み特性評価(実施例3−1〜3−5、比較例3−1〜3−4)
図3のように密集ホールパターン(ホール直径0.16μm、ホール深さ0.50μm、隣り合う二つのホールの中心間の距離0.32μm)を有するSiOウエハー基板上に上記の有機膜形成用組成物(UDL−1〜5、比較UDL−1〜4)をそれぞれ塗布し、ホットプレートを用いて酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下400℃で60秒間焼成し、有機膜8を形成した。使用した基板は図3(G)(俯瞰図)及び(H)(断面図)に示すような密集ホールパターンを有する下地基板7(SiOウエハー基板)である。得られた各ウエハー基板の断面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、ホール内部にボイド(空隙)なく、有機膜で充填されているかどうかを確認した。結果を表4に示す。埋め込み特性に劣る有機膜形成用組成物を用いた場合は、本評価において、ホール内部にボイドが発生する。埋め込み特性が良好な有機膜形成用組成物を用いた場合は、本評価において、図3(I)に示されるようにホール内部にボイドなく有機膜が充填される。
【0175】
【表4】
【0176】
表4に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例3−1〜3−5)は、ボイドを発生すること無くホールパターンを充填することが可能であり、良好な埋め込み特性を有することが確認出来た。一方、比較例3−2〜3−4では、ボイドが発生し埋め込み特性が不良であることが確認された。この結果から、本発明の有機膜形成用組成物は上記一般式(1−1)中における(A−炭素炭素三重結合−Y)で表される構造により流動性が付与され、埋め込み特性が改善されていることがわかる。
【0177】
実施例4 平坦化特性評価(実施例4−1〜4−5、比較例4−1〜4−4)
図4に示される巨大孤立トレンチパターン(図4(J)、トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有する下地基板9(SiOウエハー基板)上に有機膜形成用組成物(UDL−1〜5、比較UDL−1〜4)をそれぞれ塗布し、酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下、400℃で60秒間焼成した。トレンチ部分と非トレンチ部分の有機膜10の段差(図4(K)中のdelta10)を、パークシステムズ社製NX10原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した。結果を表5に示す。本評価において、段差が小さいほど、平坦化特性が良好であるといえる。なお、本評価では、深さ0.10μmのトレンチパターンを通常膜厚約0.2μmの有機膜形成用組成物を用いて平坦化している。平坦化特性の優劣を評価するために厳しい条件を採用している。
【0178】
【表5】
【0179】
表5に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例4−1〜4−5)は、比較例4−1〜4−4に比べて、トレンチ部分と非トレンチ部分の有機膜の段差が小さく、平坦化特性に優れることが確認された。比較例の有機膜形成用組成物のうち、架橋剤を添加したものは、特に平坦性が悪い結果となっている。平坦化特性においても、上記一般式(1−1)中にて(A−炭素炭素三重結合−Y)で表される部分構造の優位性が示された。また、高沸点溶剤を添加した実施例4−4〜4−5と添加していない実施例4−1と比較すると高沸点溶剤の添加により平坦性がより改善していることがわかる。
【0180】
実施例5 耐熱特性評価(実施例5−1〜5−5、比較例5−1〜5−4)
上記の有機膜形成用組成物(UDL−1〜5、比較UDL−1〜4)をそれぞれシリコン基板上に塗布し、大気中、180℃で焼成して115nmの塗布膜を形成し、膜厚を測定した。更に、この基板を酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下にて400℃で焼成し、膜厚を測定した(実施例5−1〜5−5、比較例5−1〜5−4)。これらの結果を表6に示す。
【0181】
【表6】
【0182】
表6に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例5−1〜5−5)は、400℃での焼成後も膜厚減少が1%未満であり、本発明の有機膜形成用組成物から形成される有機膜は高い耐熱性を有していることがわかる。それに対して、比較例5−2〜5−4では本発明の有機膜形成用組成物に比べて大きな膜厚減少が起きている。架橋剤を添加し硬化させた比較例5−4においても、10%以上の膜厚減少が起きている。
【0183】
実施例6 パターン形成試験(実施例6−1〜6−5、比較例6−1〜6−4)
上記の有機膜形成用組成物(UDL−1〜5、比較UDL−1〜4)を、それぞれ300nmのSiO膜が形成されているシリコンウエハー基板上に塗布し、酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下にて400℃で60秒焼成し、有機膜(レジスト下層膜)を形成した。その上にCVD−SiONハードマスクを形成し、更に、有機反射防止膜材料(ARC−29A:日産化学社製)を塗布して210℃で60秒間ベークして膜厚80nmの有機反射防止膜を形成し、その上にレジスト上層膜材料のArF用単層レジストを塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。フォトレジスト膜上に液浸保護膜材料(TC−1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。
【0184】
レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)としては、ポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、塩基性化合物(Amine1)を、FC−4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表7の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0185】
【表7】
【0186】
用いたポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、及び塩基性化合物(Amine1)を以下に示す。
【化50】
【0187】
液浸保護膜材料(TC−1)としては、保護膜ポリマー(PP1)を有機溶剤中に表8の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0188】
【表8】
【0189】
用いたポリマー(PP1)を以下に示す。
【化51】
【0190】
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、55nm 1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを得た。
【0191】
次いで、東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いてドライエッチングによりレジストパターンをマスクにして有機反射防止膜とCVD−SiONハードマスクをエッチング加工してハードマスクパターンを形成し、得られたハードマスクパターンをマスクにして有機膜をエッチングして有機膜パターンを形成し、得られた有機膜パターンをマスクにしてSiO膜のエッチング加工を行った。エッチング条件は下記に示すとおりである。
【0192】
レジストパターンのSiONハードマスクへの転写条件。
チャンバー圧力10.0Pa
RFパワー1,500W
CFガス流量75sccm
ガス流量15sccm
時間15sec
【0193】
ハードマスクパターンの有機膜への転写条件。
チャンバー圧力2.0Pa
RFパワー500W
Arガス流量75sccm
ガス流量45sccm
時間120sec
【0194】
有機膜パターンのSiO膜への転写条件。
チャンバー圧力2.0Pa
RFパワー2,200W
12ガス流量20sccm
ガス流量10sccm
Arガス流量300sccm
60sccm
時間90sec
【0195】
パターン断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−4700)にて観察した結果を表9に示す。
【0196】
【表9】
【0197】
表9に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例6−1〜6−5)の結果より、いずれの場合もレジスト上層膜パターンが最終的に基板まで良好に転写されており、本発明の有機膜形成用組成物は多層レジスト法による微細加工に好適に用いられることが確認された。一方、比較例6−2〜6−3は、窒素雰囲気下では耐熱性が不足するとともに、比較例1−2〜1−3で示した通り十分に硬化されていないことから、パターン加工時にパターン倒れが発生し良好なパターンを得ることが出来なかった。比較例6−4においては、耐熱性が不足するもののパターンを形成することはできた。
【0198】
実施例7 パターン形成試験(実施例7−1〜7−5、比較例7−1〜7−4)
トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiOウエハー基板上に、上記の有機膜形成用組成物(UDL−1〜5、比較UDL−1〜4)をそれぞれ塗布し、酸素濃度が0.2%以下に管理された窒素気流下にて400℃で60秒焼成した以外は、実施例6と同じ方法で積層膜を形成し、パターニング、ドライエッチングを行ない、出来上がったパターンの形状を観察した。
【表10】
【0199】
表10に示されるように、本発明の有機膜形成用組成物(実施例7−1〜7−5)の結果、いずれの場合もレジスト上層膜パターンが最終的に基板まで良好に転写されており、本発明の有機膜形成用組成物は多層レジスト法による微細加工に好適に用いられることが確認された。一方、比較例7−2〜7−3では、窒素雰囲気下では耐熱性が不足するとともに、比較例1−2〜1−3で示した通り十分に硬化されておらず、また、パターンの埋め込みが不良であるために、パターン加工時にパターン倒れが発生し良好なパターンを得ることが出来なかった。比較例7−4では溶剤耐性が得られており硬化膜となっているものであるが、パターンの埋め込みが不良であるためにパターン加工時にパターン倒れが発生し、最終的に良好なパターンを得ることが出来なかった。
【0200】
以上のことから、本発明の一般式(1−1)で示される化合物を含有する本発明の有機膜形成用組成物であれば、良好なドライエッチング耐性を有するとともに、酸素を含まない不活性ガス下においても400℃以上の耐熱性及び高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つため、多層レジスト法に用いる有機膜形成用組成物として極めて有用であり、また、これを用いたパターン形成方法であれば、被加工基板がパターンを有する基板であっても微細なパターンを高精度で形成できることが明らかとなった。
【0201】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。
【符号の説明】
【0202】
1…基板、 2…被加工層、 2a…被加工層に形成されるパターン、
3…有機膜、 3’…有機膜形成用組成物、 3a…有機膜パターン、
4…ケイ素含有レジスト中間膜、 4a…ケイ素含有レジスト中間膜パターン、
5…レジスト上層膜、 5a…レジスト上層膜パターン、 6…露光部分、
7…密集ホールパターンを有する下地基板、 8…有機膜、
9…巨大孤立トレンチパターンを有する下地基板、 10…有機膜、
delta10…トレンチ部分と非トレンチ部分の有機膜の膜厚の差。
図1
図2
図3
図4