特開2019-218428(P2019-218428A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-218428ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及びこれに用いる粘着フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218428(P2019-218428A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及びこれに用いる粘着フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20191129BHJP
   C09J 201/06 20060101ALI20191129BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J201/06
   H01L21/78 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-114667(P2018-114667)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】木村 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】大久保 恵介
(72)【発明者】
【氏名】山中 大輔
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F063
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004AB07
4J004CA04
4J004CB03
4J004CC02
4J004CE01
4J004FA05
4J040DF021
4J040FA082
4J040JB07
4J040JB09
4J040KA16
4J040NA20
5F063AA18
5F063AA33
5F063EE04
5F063EE07
5F063EE13
5F063EE14
5F063EE16
5F063EE43
5F063EE44
(57)【要約】
【課題】帯電防止性、及び、ダイシング工程におけるウエハに対する粘着性に優れるとともに、ピックアップ工程において接着剤層に対する剥離性に優れる粘着剤層を備えたダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを提供する。
【解決手段】本発明に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムは、少なくとも基材層、粘着剤層及び接着剤層が順次積層された構成を有し、粘着剤層が四級アンモニウム塩を含む基とヒドロキシル基とを有するポリマー(A)と、ヒドロキシル基を有するエネルギー硬化性粘着成分(B)と、熱架橋剤(C)とを含む光重合成分と、光重合開始剤(D)とを含有し、光重合成分は、ポリマー(A)と粘着成分(B)とが熱架橋剤(C)を介して連結している構造単位、及び、粘着成分(B)同士が熱架橋剤(C)を介して連結している構造単位の少なくとも一方を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム用粘着フィルムであって、
基材層と、
前記基材層上に設けられた粘着剤層と、
を少なくとも備え、
前記粘着剤層は、
四級アンモニウム塩を含む基とヒドロキシル基とを有するポリマー(A)、ヒドロキシル基を有するエネルギー硬化性粘着成分(B)、及び、熱架橋剤(C)に由来する構造単位を含む光重合成分と、
光重合開始剤(D)と、
を含有し、
前記構造単位が、ポリマー(A)と粘着成分(B)とが熱架橋剤(C)を介して連結している構造単位、及び、粘着成分(B)同士が熱架橋剤(C)を介して連結している構造単位の少なくとも一方である、粘着フィルム。
【請求項2】
前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が10MPa〜60MPaである、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項3】
前記ポリマー(A)の重量平均分子量が1万〜20万である、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
【請求項4】
前記粘着成分(B)が連鎖重合可能な官能基を有する樹脂を含み、
前記官能基がアクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
【請求項5】
前記熱架橋剤(C)が、一分子中に二つ以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、一分子中に三つ以上のOH基を有する多価アルコールの反応物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
【請求項6】
前記光重合開始剤(D)が光ラジカル重合開始剤である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着フィルムと、
前記粘着フィルムの前記粘着剤層上に設けられた接着剤層と、
を備える、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及びこれに用いる粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は以下の工程を経て製造される。まず、ウェハにダイシング用粘着フィルムを貼り付けた状態でダイシング工程を実施する。その後、エキスパンド工程、ピックアップ工程、マウンティング工程及びダイボンディング工程等が実施される。
【0003】
半導体装置の製造プロセスにおいて、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムと称されるフィルムが使用されている。このフィルムは、基材層と粘着剤層と接着剤層がこの順序で積層された構造を有し、例えば、次のように使用される。まず、ウェハに対して接着剤層側の面を貼り付けるとともにダイシングリングでウェハを固定した状態でウェハをダイシングする。これにより、ウェハが多数のチップに個片化される。続いて、粘着剤層に対して紫外線を照射することによって接着剤層に対する粘着剤層の粘着力を弱めた後、接着剤層が個片化されてなる接着剤片とともにチップを粘着剤層からピックアップする。その後、接着剤片を介してチップを基板等にマウントする工程を経て半導体装置が製造される。なお、ダイシング工程を経て得られるチップと、これに付着した接着剤片とからなる積層体はDAF(Die Attach Film)と称される。
【0004】
上述のように、紫外線の照射によって粘着力が弱まる粘着剤層(ダイシングフィルム)はUV硬化型と称される。これに対し、半導体装置の製造プロセスにおいて紫外線が照射されることなく、粘着力が一定のままの粘着剤層は感圧型と称される。
【0005】
ところで、半導体装置の製造プロセスで使用されるフィルムは帯電防止性が求められる。特許文献1は、四級アンモニウム塩(帯電防止剤)及びエネルギー線硬化性基を有するポリマーと、エネルギー線硬化性粘着成分(前記ポリマーを除く)とを含有する粘着剤組成物を、エネルギー線照射によって硬化させた粘着剤層を備えた半導体加工用シートを開示する。この半導体加工用シートによれば、優れた帯電防止性を発揮し且つ剥離時における被着体(ウェハ又はチップ)の汚染を抑制することができるとされている(特許文献1段落[0020]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−115385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の半導体加工用シートは、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムへの適用を想定したものではない。すなわち、この半導体加工用シートは、バックグラインドシート(半導体ウェハ表面保護シート)、ダイシングシート又はピックアップ後のチップを移し替えるためのシートとして用いられるものである(特許文献1段落[0101]参照)。つまり、この半導体加工用シートの粘着剤層は半導体ウェハ又は半導体チップを被着体とするものである。これに対し、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムにおける粘着剤層は接着剤層を被着体とするものである。互いに接するように配置される粘着剤層及び接着剤層はいずれも樹脂成分を含んでいることから、これらの層の界面において低分子量成分のブリードアウト量が多くなる傾向にある。これにより、接着剤層と粘着剤層の間の剥離強度が経時的に上昇し、その結果、ピックアップエラーが生じやすい。ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムにおける粘着剤層はこれに含まれる成分のブリードアウトに起因する剥離性の低下を抑制する特性が求められる。
【0008】
また、ダイシング・ダイボンド一体型フィルムの粘着剤層は、ダイシング工程において接着剤層及びダイシングリングに対する高い粘着力が求められる。粘着剤層の粘着力が不十分であると、ダイシングブレードの高速回転に伴って接着剤層と粘着剤層の間で剥離が生じてチップが接着剤片とともに飛ぶ現象(以下、これを「DAF飛び」という。)、あるいは、切削水の水流によってダイシングリングが粘着剤層から剥離する現象(以下、この現象を「リング剥がれ」という。)が生じる。特許文献1に記載の半導体加工用シートの粘着剤層は、エネルギー線の照射によって事前に硬化されたものであることから、これをダイシング・ダイボンド一体型フィルムの粘着剤層として使用すると、粘着力不足により、ダイシング時においてDAF飛び及びリング剥がれが生じると推察される。
【0009】
本発明は、帯電防止性、及び、ダイシング工程におけるウェハに対する粘着性に優れるとともに、ピックアップ工程において接着剤層に対する剥離性に優れるダイシング・ダイボンディング一体型フィルム用粘着フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、上記粘着フィルムを含むダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はダイシング・ダイボンディング一体型フィルム用の粘着フィルムを提供する。この粘着フィルムは、基材層と、基材層上に設けられた粘着剤層とを少なくとも備え、粘着剤層が以下の光重合成分と、光重合開始剤(D)とを含有する。すなわち、光重合成分は、四級アンモニウム塩を含む基とヒドロキシル基とを有するポリマー(A)、ヒドロキシル基を有するエネルギー硬化性粘着成分(B)、及び、熱架橋剤(C)に由来する構造単位を含み、当該構造単位がポリマー(A)と粘着成分(B)とが熱架橋剤(C)を介して連結している構造単位、及び、粘着成分(B)同士が熱架橋剤(C)を介して連結している構造単位の少なくとも一方である。
【0011】
粘着成分(B)が熱架橋剤(C)を介してポリマー(A)と架橋されている、あるいは、粘着成分(B)同士が熱架橋剤(C)を介して架橋されていることで、粘着成分(B)として低分子量のものを使用しても、そのブリードアウトを十分に抑制できる。また、光重合成分が四級アンモニウム塩を含む基を有するポリマー(A)に由来する構造単位を含んでいることで、帯電防止性が発揮される。
【0012】
上記粘着剤層は、活性エネルギー線(例えば、紫外線)が照射されることで、上記光重合成分と光重合開始剤(D)が反応し、粘着性が低下する。半導体装置の製造プロセスにおいて、ダイシング工程後、粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射することで、粘着剤層に対するDAFの剥離性が向上し、その後のピックアップ工程におけるピックアップエラーを十分に低減できる。上記粘着剤層は、粘着性の観点から、23℃における貯蔵弾性率が十分に小さいことが好ましく、その値は、例えば、10MPa〜60MPaである。
【0013】
本発明による上記効果をより一層安定的に得る観点から、粘着性組成物(B)が連鎖重合可能な官能基を有する樹脂を含み、当該官能基がアクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。同様の観点から、上記熱架橋剤(C)として、一分子中に二つ以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、一分子中に三つ以上のOH基を有する多価アルコールの反応物を使用することが好ましい。光重合開始剤(D)の一例として、光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0014】
本発明は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを提供する。この一体型フィルムは、上記粘着フィルムと、上記粘着フィルムが備える粘着剤層上に設けられた接着剤層とを備える。この一体型フィルムによれば、ダイシング工程において粘着剤層がウェハに対する優れた粘着性を有し且つ活性エネルギー線照射後のピックアップ工程において粘着剤層が接着剤層に対する優れた剥離性を有する。接着剤層から粘着剤層を剥離する際に、粘着剤層の成分によって接着剤層が汚染されるのを抑制できるため、優れた信頼性のダイボンディング(優れたダイボンディング性)を実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、帯電防止性、及び、ダイシング工程におけるウェハに対する粘着性に優れるとともに、ピックアップ工程において接着剤層に対する剥離性に優れるダイシング・ダイボンディング一体型フィルム用粘着フィルムが提供される。また、本発明によれば、上記粘着フィルムを含むダイシング・ダイボンディング一体型フィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2図2は本発明に係る粘着フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを模式的に示す断面図である。同図に示すダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10(以下、単に「フィルム10」ということがある。)は、基材層1と、基材層1上に設けられた粘着剤層3と、粘着剤層3上に設けられた接着剤層5とを備える。粘着剤層3は、半導体ウェハを個片化するダイシング工程及びピックアップ工程で効果を発揮するものである。接着剤層5は、ピックアップ工程を経て得られた半導体チップを基板等に接着する工程で効果を発揮するものである。図1に示すように、粘着剤層3は接着剤層5よりも直径が大きい。接着剤層5で覆われていない粘着剤層3の周縁部はダイシング時においてウェハを固定するためのダイシングリングが貼り付けられる。
【0019】
<粘着剤層>
粘着剤層3は、以下の光重合成分と、光重合開始剤(D)とを含有する。すなわち、光重合成分は、四級アンモニウム塩を含む基とヒドロキシル基(水酸基)とを有するポリマー(A)、ヒドロキシル基を有するエネルギー硬化性粘着成分(B)、及び、熱架橋剤(C)に由来する構造単位を含み、当該構造単位がポリマー(A)と粘着成分(B)とが熱架橋剤(C)を介して連結している構造単位、及び、粘着成分(B)同士が熱架橋剤(C)を介して連結している構造単位の少なくとも一方である。
【0020】
(光重合成分)
上記光重合成分は、例えば、ポリマー(A)と粘着成分(B)と熱架橋剤(C)とを含む組成物又はこれをフィルム状に成形したものを所定の期間(例えば3〜4日)にわたって40℃程度の環境下に置く工程(熟成工程)を経ることで、ポリマー(A)のヒドロキシル基及び粘着成分(B)のヒドロキシル基を架橋点として熱架橋剤(C)とこれらの成分が架橋することによって得ることができる。粘着成分(B)が熱架橋剤(C)を介してポリマー(A)と架橋されている、あるいは、粘着成分(B)同士が熱架橋剤(C)を介して架橋されていることで、粘着成分(B)として低分子量のもの(例えば、分子量200〜10000程度)を使用しても、そのブリードアウトを十分に抑制できる。また、光重合成分が四級アンモニウム塩を含む基を有するポリマー(A)に由来する構造単位を含んでいることで、帯電防止性が発揮される。
【0021】
粘着剤層3の23℃における貯蔵弾性率は、粘着性の観点、より具体的にはDAF飛び及びリング剥がれの抑制の観点から、十分に小さいことが好ましく、例えば、10MPa〜60MPaの範囲であり、15MPa〜50MPa又は20MPa〜40MPaであってもよい。この貯蔵弾性率は、光重合成分を調製する際に、例えば、ポリマー(A)の種類の選択、又は熱架橋剤(C)の量の調整によって適宜設定することができる。以下、粘着剤層3の調製に使用する各成分について詳細に説明する。
【0022】
[ポリマー(A)]
ポリマー(A)は、四級アンモニウム塩を含む基とヒドロキシル基とを含有するポリマーであり、四級アンモニウム塩を含む基を含有していることで帯電防止性が発揮される。ポリマー(A)は、四級アンモニウム塩を主鎖又は側鎖に有していればよく、重合性等の観点から側鎖に有していることが好ましい。四級アンモニウム塩は、四級アンモニウムカチオンと、これに対するアニオンとから構成されるものであり、具体的には、ポリマー(A)に共有結合した四級アンモニウムカチオンとこれに対するアニオンとから構成されるものでもよく、ポリマー(A)に共有結合したアニオンとこれに対する四級アンモニウムカチオンとから構成されるものでもよい。
【0023】
ポリマー(A)が架橋点としてのヒドロキシル基を有することにより、熱架橋剤(C)を介して、粘着成分(B)と、あるいはポリマー(A)同士が連結することができる。
【0024】
ポリマー(A)の重量平均分子量は、例えば、1万〜20万であり、1万〜10万又は1万〜5万であってもよい。この分子量が1万未満であると接着層へのポリマー(A)成分の転写が起こりやすく、他方、20万を超えると粘着層のタックがなくなり密着力不足からのDAF飛び又はリング剥がれなどの不具合の原因となりやすい。
【0025】
ポリマー(A)は、既知の方法で合成することで得ることができる。合成方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法、析出重合法、気相重合法、プラズマ重合法、超臨界重合法が挙げられる。また、重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、配位重合、イモーダル重合等の他、ATRP(原子移動ラジカル重合)及びRAFT(可逆的付加開裂連鎖移動重合)といった手法も挙げられる。この中でも、溶液重合法を用いてラジカル重合により合成することは、経済性の良さ、反応率の高さ、重合制御の容易さなどの他、重合で得られた樹脂溶液をそのまま用いて配合できる等の利点を有する。
【0026】
ポリマー(A)の合成において使用される、ヒドロキシ基を有するアクリル系モノマー(ヒドロキシ基含有モノマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられる。これらの中でも、粘着成分(B)との反応性の点から、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
[粘着成分(B)]
粘着成分(B)は、活性エネルギー線の照射によって光重合開始剤(D)と反応する性質(エネルギー硬化性)を有するとともに、架橋点としてのヒドロキシル基を有する。粘着成分(B)が架橋点としてのヒドロキシル基を有することにより、熱架橋剤(C)を介して、ポリマー(A)と、あるいは粘着成分(B)同士が連結することができる。上述のとおり、粘着成分(B)が熱架橋剤(C)を介して架橋されていることで、粘着成分(B)として低分子量のものを使用しても、そのブリードアウトを十分に抑制できる。粘着成分(B)の重量平均分子量は、例えば、1万〜200万であり、10万〜150万又は20万〜100万であってもよい。この分子量が1万未満であるとフィルム形状の維持が困難となったり、DAFとの密着力が過度に強くなる傾向にある。他方、この分子量が200万を超えると粘着力不足となりやすい。以下、溶液重合法を用いてラジカル重合によって、(メタ)アクリル系樹脂を得る方法を例に、粘着成分(B)の合成法について詳細に説明する。
【0028】
(メタ)アクリル系樹脂を合成する際に用いられるモノマーとしては、一分子中に一個のアクリロイル基及びメタクリロイル基を有するものであれば特に制限はない。その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレート等の脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−カルバゾール等の複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物;(2−エチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−メチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−エチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(2−メチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とオキセタニル基を有する化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のエチレン性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とヒドロキシル基を有する化合物が挙げられ、これらを適宜組み合わせて目的とする(メタ)アクリル系樹脂を得ることができる。
【0029】
(メタ)アクリル系樹脂は、一つ又は複数の芳香環を有することが好ましい。この場合、(メタ)アクリル系樹脂を合成するためのモノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−ブチルスチレン、α−イソブチルスチレン、α−tert−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、2−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、2−イソブチルスチレン、4−イソブチルスチレン、2−tert−ブチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートから選ばれる一種を単独で、あるいは、二種以上を併用することが好ましい。
【0030】
(メタ)アクリル系樹脂は、後述する官能基導入化合物又は架橋剤との反応点(架橋点)として、ヒドロキシル基、グリシジル基及びアミノ基等から選ばれる少なくとも一種の官能基を有することが好ましい。ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系樹脂を合成するためのモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とヒドロキシル基を有する化合物が挙げられ、これらは一種を単独で、あるいは、二種以上を併用することができる。
【0031】
グリシジル基を有する(メタ)アクリル系樹脂を合成するためのモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物が挙げられ、これらは一種を単独で、あるいは、二種以上を併用することができる。
【0032】
これらのモノマーから合成される(メタ)アクリル系樹脂は、連鎖重合可能な官能基を含むことが好ましい。連鎖重合可能な官能基は、例えば、アクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれる少なくとも一種である。連鎖重合可能な官能基は、例えば、上述のように合成された(メタ)アクリル系樹脂に以下の化合物(官能基導入化合物)を反応させることにより、当該(メタ)アクリル系樹脂中に導入することができる。官能基導入化合物の具体例として、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートもしくは4−ヒドロキシブチルエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物などが挙げられる。これらの中でも、特に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。これらの化合物は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0033】
[熱架橋剤(C)]
熱架橋剤(C)は、例えば、粘着剤層3の弾性率及び/又は粘着性の制御を目的に用いられる。熱架橋剤(C)は、ポリマー(A)又は粘着成分(B)が有するヒドロキシル基、グリシジル基及びアミノ基等から選ばれる少なくとも一種の官能基と反応し得る官能基を一分子中に二つ以上有する化合物であればよい。熱架橋剤(C)とポリマー(A)又は粘着成分(B)との反応によって形成される結合としては、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合等が挙げられる。
【0034】
本実施形態においては、熱架橋剤(C)として、一分子中に二つ以上のイソシアネート基を有する化合物を採用することが好ましい。このような化合物を用いると、ポリマー(A)又は粘着成分(B)が有するヒドロキシル基、グリシジル基及びアミノ基等と容易に反応し、強固な架橋構造を形成することができる。
【0035】
一分子中に二つ以上のイソシアネート基を有する化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4´−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等のイソシアネート化合物が挙げられる。
【0036】
熱架橋剤(C)として、上述のイソシアネート化合物と、一分子中に二つ以上のOH基を有する多価アルコールの反応物(イソシアナート基含有オリゴマー)を採用してもよい。一分子中に二つ以上のOH基を有する多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールが挙げられる。
【0037】
これらの中でも、熱架橋剤(C)として、一分子中に二つ以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、一分子中に三つ以上のOH基を有する多価アルコールの反応物(イソシアナート基含有オリゴマー)であることが更に望ましい。このようなイソシアネート基含有オリゴマーを熱架橋剤(C)として用いることで、粘着剤層3が緻密な架橋構造を形成し、これにより、ピックアップ工程において接着剤層5に粘着剤が付着することを十分に抑制できる。
【0038】
(光重合成分の合成)
光重合成分は、上述のとおり、ポリマー(A)と、粘着成分(B)と、熱架橋剤(C)とを含む粘着剤組成物又はこれをフィルム状に成形したものを所定の期間(例えば3〜4日)にわたって40℃程度の環境下に置く工程(熟成工程)を経て合成される。粘着剤組成物の全質量を基準として、粘着剤組成物におけるポリマー(A)の含有量は、例えば、1〜50質量%であり、5〜40質量%又は10〜30質量%であってもよい。粘着剤組成物の全質量を基準として、粘着剤組成物における粘着成分(B)の含有量は、例えば、30〜98質量%であり、50〜90質量%又は60〜85質量%であってもよい。
【0039】
粘着剤組成物における熱架橋剤(C)の含有量は、粘着剤層3に対して求められる凝集力及び破断伸び率、並びに、接着剤層5との密着性等に応じて適宜設定すればよい。具体的には、熱架橋剤(C)の含有量は、ポリマー(A)及び粘着成分(B)の合計量100質量部に対し、例えば、3〜30質量部であり、5〜15質量部であることが好ましく、7〜10質量部であることがより好ましい。熱架橋剤の含有量を上記範囲とすることで、ダイシング工程において粘着剤層3に求められる特性と、ダイボンディング工程において粘着剤層3に求められる特性とをバランスよく両立することが可能であるとともに、優れたピックアップ性も達成し得る。
【0040】
熱架橋剤(C)の含有量がポリマー(A)及び粘着成分(B)の合計量の含有量100質量部に対して3質量部未満であると、架橋構造の形成が不十分となりやすく、これに起因して、ピックアップ工程において、接着剤層5との界面密着力が十分に低下せずにピックアップ時に不良が発生しやすい。他方、熱架橋剤(C)の含有量がポリマー(A)及び粘着成分(B)の合計量100質量部に対して30質量部を超えると、粘着剤層3が過度に硬くなりやすく、これに起因して、エキスパンド工程において半導体チップが剥離しやすい。
【0041】
上記粘着剤組成物が上記熟成工程を経ることで、架橋反応が進行して光重合成分が合成される。ポリマーである光重合成分の構造を特定することは困難であるものの、熟成工程後の粘着剤組成物に単独で残存するポリマー(A)及び粘着成分(B)の量を測定することで、光重合成分が合成されたことを把握することができる。熟成工程後の粘着剤組成物(粘着剤層3)に単独で存在する粘着成分(B)の量は、その仕込み量(熟成工程前の量)よりも低減していればよい。熟成工程後の粘着剤組成物(粘着剤層3)に単独で存在するポリマー(A)の量は、その仕込み量(熟成工程前の量)よりも低減していればよい。
【0042】
(光重合開始剤(D))
次に、上記光重合成分とともに粘着剤層3に含まれる光重合開始剤(D)について説明する。光重合開始剤(D)としては、活性エネルギー線(紫外線、電子線及び可視光線から選ばれる少なくとも一種)を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生するものであれば、特に制限はなく、例えば、光ラジカル重合開始剤が挙げられる。ここで連鎖重合可能な活性種とは、連鎖重合可能な官能基と反応することで重合反応が開始されるものを意味する。
【0043】
光ラジカル重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のα−アミノケトン;1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタジオン−2−(ベンゾイル)オキシム等のオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N´−テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、N,N´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9´−アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリンが挙げられる。
【0044】
粘着剤層3における光重合開始剤(D)の含有量は、光重合成分の含有量100質量部に対し、例えば、0.1〜30質量部であり、0.3〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。光重合開始剤(D)の含有量が0.1質量部未満であると粘着剤層3が活性エネルギー線照射後に硬化不足となり、ピックアップ不良が起こりやすい。光重合開始剤(D)の含有量が30質量部を超えると接着剤層の汚染(光重合開始剤の接着剤層への転写)が生じやすい。
【0045】
粘着剤層3の厚さは、エキスパンド工程の条件(温度及び張力等)に応じて適宜設定すればよく、例えば、1〜200μmであり、5〜50μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。粘着剤層3の厚さが1μm未満であると粘着性が不十分となりやすく、200μmを超えると、クールエキスパンド時に分断性が不十分になりやすい。
【0046】
粘着剤層3は基材層1上に形成されている。粘着剤層3の形成方法としては、既知の手法を採用できる。例えば、基材層1と粘着剤層3との積層体を二層押し出し法で形成してもよいし、粘着剤層3の形成用ワニスを調製し、これを基材層1の表面に塗工する、あるいは、離型処理されたフィルム上に粘着剤層3を形成し、これを基材層1に転写してもよい。
【0047】
粘着剤層3の形成用ワニスは、光重合成分及び光重合開始剤(D)を溶解し得る有機溶剤であって加熱により揮発するものを使用して調製することが好ましい。有機溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドが挙げられる。
【0048】
これらの中で、溶解性及び沸点の観点から、例えば、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミドであることが好ましい。これらの有機溶剤は、一種を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。ワニスの固形分濃度は、通常10〜60質量%であることが好ましい。
【0049】
<基材層>
基材層1としては、既知のポリマーを用いることができる。具体的には、基材層1として、結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低密度直鎖ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、又は、これらに可塑剤を混合した混合物、あるいは、電子線照射により架橋を施した硬化物が挙げられる。
【0050】
基材層1は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレンランダム共重合体、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂を主成分とする表面を有し、この表面と粘着剤層3が接していることが好ましい。これらの樹脂は、ヤング率、応力緩和性及び融点等の特性、並びに、価格面、使用後の廃材リサイクル等の観点からも良好な基材である。基材層1は、単層でも構わないが、必要に応じて異なる材質からなる層が積層された多層構造を有していてもよい。粘着剤層3との密着性を制御するため、基材層1の表面に対して、マット処理、コロナ処理等の表面粗化処理を施してもよい。
【0051】
<接着剤層>
接着剤層5には、既知のダイボンディングフィルムを構成する接着剤組成物を適用できる。具体的には、接着剤層5を構成する接着剤組成物は、エポキシ基含有アクリル共重合体、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含有することが好ましい。これらの成分を含む接着剤層5によれば、チップ/基板間、チップ/チップ間の接着性に優れ、また電極埋め込み性及びワイヤー埋め込み性等も付与可能で、且つダイボンディング工程では低温で接着でき、短時間で優れた硬化が得られる、封止剤でモールド後は優れた信頼性を有する等の特徴があり好ましい。
【0052】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジリエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジリエーテル化物、フェノール類のジグリシジリエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物等の二官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、多官能エポキシ樹脂及び複素環含有エポキシ樹脂等、一般に知られているその他のエポキシ樹脂を適用してもよい。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。
【0053】
エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、フェノール化合物と二価の連結基であるキシリレン化合物を、無触媒又は酸触媒の存在下に反応させて得ることができるフェノール樹脂のようなものが挙げられる。フェノール樹脂の製造に用いられるフェノール化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−n−プロピルフェノール、m−n−プロピルフェノール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−キシレノール、2,4,6−トリメチルフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−アリルフェノール、p−アリルフェノール、o−ベンジルフェノール、p−ベンジルフェノール、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール等が例示される。これらのフェノール化合物は、単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。フェノール樹脂の製造に用いられる二価の連結基であるキシリレン化合物としては、次に示すキシリレンジハライド、キシリレンジグリコール及びその誘導体が用いることができる。すなわち、α,α´−ジクロロ−p−キシレン、α,α´−ジクロロ−m−キシレン、α,α´−ジクロロ−o−キシレン、α,α´−ジブロモ−p−キシレン、α,α´−ジブロモ−m−キシレン、α,α´−ジブロモ−o−キシレン、α,α´−ジヨード−p−キシレン、α,α´−ジヨード−m−キシレン、α,α´−ジヨード−o−キシレン、α,α´−ジヒドロキシ−p−キシレン、α,α´−ジヒドロキシ−m−キシレン、α,α´−ジヒドロキシ−o−キシレン、α,α´−ジメトキシ−p−キシレン、α,α´−ジメトキシ−m−キシレン、α,α´−ジメトキシ−o−キシレン、α,α´−ジエトキシ−p−キシレン、α,α´−ジエトキシ−m−キシレン、α,α´−ジエトキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−n−プロポキシ−p−キシレン、α,α´−ジ−n−プロポキシ−m−キシレン、α,α´−ジ−n−プロポキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−イソプロポキシ−p−キシレン、α,α´−ジイソプロポキシ−m−キシレン、α,α´−ジイソプロポキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−n−ブトキシ−p−キシレン、α,α´−ジ−n−ブトキシ−m−キシレン、α,α´−ジ−n−ブトキシ−o−キシレン、α,α´−ジイソブトキシ−p−キシレン、α,α´−ジイソブトキシ−m−キシレン、α,α´−ジイソブトキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−tert−ブトキシ−p−キシレン、α,α´−ジ−tert−ブトキシ−m−キシレン、α,α´−ジ−tert−ブトキシ−o−キシレンを挙げることができる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
上記したフェノール化合物とキシリレン化合物を反応させる際には、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸類;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機カルボン酸類;トリフロロメタンスルホン酸等の超強酸類;アルカンスルホン酸型イオン交換樹脂のような、強酸性イオン交換樹脂類;パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂の様な、超強酸性イオン交換樹脂類(商品名:ナフィオン、Nafion、Du Pont社製、「ナフィオン」は登録商標);天然及び合成ゼオライト類;活性白土(酸性白土)類等の酸性触媒を用い、50〜250℃において実質的に原料であるキシリレン化合物が消失し、且つ反応組成が一定になるまで反応させて得られる。反応時間は原料及び反応温度にもよるが、おおむね1時間〜15時間程度であり、実際には、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)等により反応組成を追跡しながら決定すればよい。
【0055】
エポキシ基含有アクリル共重合体は、原料としてグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを、得られる共重合体に対し0.5〜6質量%となる量用いて得られた共重合体であることが好ましい。この量が0.5質量%以上であることで高い接着力を得やすく、他方、6質量%以下であることでゲル化を抑制できる。その残部はメチルアクリレート、メチルメタクリレート等の炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、及びスチレン、アクリロニトリル等の混合物を用いることができる。これらの中でもエチル(メタ)アクリレート及び/又はブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。混合比率は、共重合体のTgを考慮して調整することが好ましい。Tgが−10℃未満であるとBステージ状態での接着剤層5のタック性が大きくなる傾向があり、取り扱い性が悪化する傾向にある。なお、エポキシ基含有アクリル共重合体のガラス転移点(Tg)の上限値は、例えば、30℃である。重合方法は特に制限がなく、例えば、パール重合、溶液重合が挙げられる。市販のエポキシ基含有アクリル共重合体としては、例えば、HTR−860P−3(商品名、ナガセケムテックス株式会社製)が挙げられる。
【0056】
エポキシ基含有アクリル共重合体の重量平均分子量は10万以上であり、この範囲であると接着性及び耐熱性が高く、30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量が300万以下であると、半導体チップと、これを支持する基板との間の充填性が低下することを抑制できる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
【0057】
接着剤層5は、必要に応じて、第三級アミン、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩類等の硬化促進剤を更に含有してもよい。硬化促進剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテートが挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0058】
接着剤層5は、必要に応じて、無機フィラーを更に含有してもよい。無機フィラーの具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカが挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0059】
接着剤層5の厚さは、例えば、1〜300μmであり、5〜150μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。接着剤層5の厚さが1μm未満であると接着性が不十分となりやすく、他方、300μmを超えるとエキスパンド時の分断性及びピックアップ性が不十分となりやすい。
【0060】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、基材層1と、粘着剤層3と、接着剤層5とをこの順序で備えるダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10を例示したが、接着剤層5を備えない態様であってもよい。図2は、本発明に係るダイシング用粘着フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。同図に示すダイシング用粘着フィルム20は、基材層1と、基材層1上に設けられた粘着剤層3とを備える。また、フィルム10,20は、基材層1と反対側の最外層を保護するカバーフィルム(不図示)を更に備えてもよい。すなわち、フィルム10は、接着剤層5を覆うカバーフィルムを更に備えてもよく、フィルム20は、粘着剤層3を覆うカバーフィルムを更に備えてもよい。
【実施例】
【0061】
以下、本発明について、実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限するものではない。なお、特に記述がない限り、薬品は全て試薬を使用した。
【0062】
<ポリマー(A)の製造>
(製造例A1)
以下の複数のモノマーを共重合することによって製造例1に係るポリマー(A)を得た(表1の製造例1参照)。
・四級アンモニウム塩モノマー:[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド 50質量部
・重合性モノマー:アクリル酸2−エチルヘキシル 40質量部
・アクリル酸2−ヒドロキシエチル 10質量部
【0063】
この樹脂の酸価及び水酸基価を、JIS K0070に従って測定したところ、酸価は0.0mgKOH/gであり、水酸基価は48.4mgKOH/gであった。
【0064】
得られたポリマー(A)を60℃で一晩真空乾燥し、得られた固形分をエレメンタール社製全自動元素分析装置varioELにて元素分析し、窒素含有量から、導入された2−メタクリロキシエチルイソシアネートの含有量(連鎖重合可能な官能基量)を算出した。
【0065】
東ソー株式会社製SD−8022/DP−8020/RI−8020を使用し、カラムには日立化成株式会社製Gelpack GL−A150−S/GL−A160−Sを用い、溶離液にテトラヒドロフランを用いてGPC測定をした結果、ポリスチレン換算重量平均分子量は2万であった。表1に結果を示す。
【0066】
(製造例A2,A3)
表1の製造例A2,A3に記載のモノマーを使用したことの他は、製造例A1と同様にして製造例A2,A3に係るポリマー(A)を得るとともに、重量平均分子量等について測定した。表1に結果を示す。
【0067】
【表1】
【0068】
<粘着成分(B)の合成>
(製造例B1)
以下の成分を共重合することによって重合体を得た。
・アクリル酸2−ヒドロキシエチル(ヒドロキシル基を有する共重合成分) 20質量部
・アクリル酸2−エチルヘキシル 79質量部
・メタクリル酸 1質量部を共重合した。
得られた重合体に、重合禁止剤としてメトキノンを、ウレタン化触媒として、ジオクチルスズジラウレートを添加した後、2−メタクリロキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製カレンズMOI)を16.2質量部加え、連鎖重合可能な官能基を有するアクリル樹脂溶液(粘着成分(B)を含む溶液)を得た。
【0069】
酸価及び水酸基価を測定したところ、酸価は6.5mgKOH/gであり、水酸基価は32.8mgKOH/gであった。また得られたアクリル樹脂を60℃で一晩真空乾燥し、得られた固形分をエレメンタール社製全自動元素分析装置varioELにて元素分析し、窒素含有量から、導入された2−メタクリロキシエチルイソシアネートの含有量(連鎖重合可能な官能基量)を算出したところ、0.9mmol/gであった。
【0070】
東ソー株式会社製SD−8022/DP−8020/RI−8020を使用し、カラムには日立化成株式会社製Gelpack GL−A150−S/GL−A160−Sを用い、溶離液にテトラヒドロフランを用いてGPC測定をした結果、ポリスチレン換算重量平均分子量は30万であった。表2に結果を示す。
【0071】
(製造例B2)
表2の製造例B2に記載のモノマーを使用したことの他は、製造例B1と同様にして製造例B2に係るアクリル樹脂溶液(粘着成分(B)を含む溶液)を得るとともに、重量平均分子量等について測定した。表2に結果を示す。
【0072】
【表2】
【0073】
<ダイシングフィルムの作製>
(実施例1)
以下の成分(A)〜(D)と、これらの成分の総固形分含有量が25質量%となるように酢酸エチルとの混合物を10分間撹拌してダイシングフィルム用の粘着剤層用ワニスを得た。
(A)製造例A1に係るポリマー 10g(固形分)
(B)製造例B1に係るアクリル樹脂 100g(固形分)
(C)熱架橋剤:多官能イソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートL、固形分75%) 8.0g(固形分)
(D)光重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製、イルガキュア184、「イルガキュア」は登録商標) 1.0g
【0074】
片面が離型処理された幅450mm、長さ500mm、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、粘着剤用ワニスを、アプリケータを用いて厚さが10μmとなるよう、ギャップを調整しながら塗工した後、80℃で5分間乾燥した。別途、片面がコロナ処理された幅450mm、長さ500mm、厚さ100μmのポリオレフィンフィルムを用い、ポリオレフィンフィルムのコロナ処理面と、上述粘着剤層付きポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着剤層面を室温にて貼り合わせ、ゴムロールで粘着させることで粘着剤層をポリオレフィンフィルムに転写した。その後、室温で3日間放置する工程(熟成工程)を経てカバーフィルム付きのダイシングフィルムを得た。
【0075】
<粘着単層フィルムの作製>
上述記載と同様にダイシングフィルム用の粘着剤層用ワニスを作製し、片面が離型処理された幅450mm、長さ500mm、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、粘着剤用ワニスを、アプリケータを用いて粘着剤層の厚さが10μmとなるよう、ギャップを調整しながら塗工した後、80℃で5分間乾燥した。別途、片面が離型処理された幅450mm、長さ500mm、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面と、上述粘着剤層付きポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着剤層面を室温にて貼り合わせ、粘着剤層単層フィルムを作製した。
【0076】
<ダイボンディングフィルムの作製>
以下の成分を含む組成物に、シクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、更にビーズミルを用いて90分混練した。
・エポキシ樹脂:YDCN−703(東都化成株式会社製商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210、分子量1200、軟化点80℃)55質量部
・フェノール樹脂:ミレックスXLC−LL(三井化学株式会社製商品名、フェノール樹脂、水酸基当量175、吸水率1.8%、350℃における加熱重量減少率4%)45質量部
・シランカップリング剤:NUC A−189(株式会社NUC製商品名、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)1.7質量部、及び、NUC A−1160(株式会社NUC製商品名、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン)3.2質量部
・フィラー:アエロジルR972(シリカ表面にジメチルジクロロシランを被覆し、400℃の反応器中で加水分解させた、メチル基などの有機基を表面に有するフィラー、日本アエロジル株式会社製商品名、シリカ、平均粒径0.016μm)32質量部
【0077】
上記のようにして得た混合物にグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート3質量%を含むアクリルゴムHTR−860P−3(ナガセケムテックス株式会社製商品名、重量平均分子量80万)を280質量部、及び硬化促進剤としてキュアゾール2PZ−CN(四国化成工業株式会社製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、「キュアゾール」は登録商標)0.5質量部加え、攪拌混合し、真空脱気し、ワニスを得た。
【0078】
ワニスを厚さ35μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後、140℃で5分間加熱乾燥して、膜厚が10μmのBステージ状態の塗膜を形成し、キャリアフィルムを備えたダイボンディングフィルムを作製した。
【0079】
<ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの作製>
上述のダイボンディングフィルムを、キャリアフィルムごと直径318mmの円形にカットした。これにカバーフィルムを剥離したダイシングフィルムを室温で貼り付け後、室温で1日放置した。その後、直径370mmの円形にダイシングフィルムをカットし、実施例1に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを得た。なお、以下の評価のために複数のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを作製した。
【0080】
(粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率の測定)
株式会社ユービーエム製動的粘弾性測定装置オートグラフ(登録商標)を用いて粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率を測定した。上述の粘着単層フィルムを測定試料として用いた。幅50mm、長さ30mmに切り出した粘着剤層の両ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、粘着剤単層を寄り合わせた。チャック間距離20mm、周波数1Hzにて23℃における粘着剤層(UV未照射)の弾性率を測定した。
【0081】
(粘着剤層の表面抵抗率の測定)
実施例1に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを150mm×150mmに裁断し、これを測定試料とした。23±2℃、50±2%RHの環境下、測定試料から剥離シートを剥離し、高抵抗率計(三菱化学社製,HIRESTA−UP MCP−HT450)を用いて、JIS K6911に準拠して粘着剤層の露出面の表面抵抗率を測定した。測定開始から30秒後の値を読み取り、それを粘着剤層(UV照射前)の表面抵抗率(Ω/□)とした。実施例1に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムに対して70mW及び200mJ/cmの条件で紫外線を照射した後に上記と同様にして表面抵抗率(Ω/□)を測定した。これを粘着剤層(UV照射後)の表面抵抗率(Ω/□)とした。
【0082】
(UV硬化後30°ピール)
実施例1に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムに対して70mW及び200mJ/cmの条件で紫外線を照射した。紫外線照射後の当該フィルムを幅25mmに裁断した。これを測定試料とした。これを40℃のホットプレート上に載置されたシリコンミラーウェハに貼り付けた。約30分間放置して、引張試験機を用い引き剥がし粘着力を測定した。測定条件は、剥離角度:30°、引張速度:60mm/minとした。なお、測定試料の保存及び引き剥がし粘着力の測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
【0083】
(ピックアップ性)
実施例1に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを80℃で10秒の時間をかけて、8インチのウェハ(厚さ50μm)に貼った後、10mm×10mmにダイシングした。上記工程で得られた半導体チップのピックアップ性について、ルネサス東日本セミコンダクタ社製フレキシブルダイボンダー「DB−730」を使用して評価した。ピックアップ用コレットには、マイクロメカニクス社製「RUBBER TIP13−087E−33(サイズ:10×10mm)」を用いた。突上げピンには、マイクロメカニクス社製の「EJECTOR NEEDLE SEN2−83−05(直径:0.7mm、先端形状:直径350μmの半円)」を用いた。突上げピンは、ピン中心間隔4.2mmで9本配置した。ピックアップ時のピンの突上げ速度:10mm/s、突上げ高さ:200μmの条件でピックアップ性を評価した。連続100チップをピックアップし、チップ割れ又はピックアップミス等のエラーが発生しなかった場合を「A」、1チップでもエラーが発生した場合を「B」、2〜5チップにエラーが発生したものを「C」、これよりも高い割合でエラーが発生したものを「D」と判定した。
【0084】
(ダイシェア強度)
リードフレームに圧着したチップをステージ上に設置し、万能ボンドテスタ シリーズ4000(Dage社製)によりチップを引っ掛けながら引くことで、チップとリードフレームとの界面接着力(UV照射前)を測定した。測定条件はステージ温度室温で行った。
【0085】
(実施例2〜7及び比較例1,2)
表3及び表4に示す組成としたことの他は、実施例1と同様にして調製した粘着剤組成物を使用してダイシング・ダイボンディング一体型フィルム等を作製するとともに、上記の評価を行った。
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
表3に示すとおり、実施例1〜7に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムは、表面抵抗率が低いことから、優れた帯電防止性を有し、且つダイボンディング工程においては、突き出しハイト量が低くてもピックアップ可能であり、接着剤層も優れたダイボンディング特性を有する。
【0089】
一方、表4に示す比較例1では表面抵抗率が高い。比較例2では表面抵抗率が下がったものの、接着剤層と粘着剤層の剥離強度が上昇してしまい、ピックアップ性が低下し、まだダイシェア強度が下がっていることから帯電防止剤による汚染が確認される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムは、優れた帯電防止性を有し、且つ剥離時に接着剤層への汚染及び剥離強度の増加を抑制し、優れたピックアップ特性及びダイボンド特性を発現できるため、半導体製造プロセスにおいて利用することで、優れた生産性を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0091】
1…基材層、3…粘着剤層、5…接着剤層、10…ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、20…ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム用粘着フィルム
図1
図2