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特開2019-218461ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218461(P2019-218461A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 14/073 20060101AFI20191129BHJP
   H01M 4/14 20060101ALI20191129BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20191129BHJP
   H01M 4/20 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   C08G14/073
   H01M4/14 Q
   H01M4/62 B
   H01M4/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-116311(P2018-116311)
(22)【出願日】2018年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100160897
【弁理士】
【氏名又は名称】古下 智也
(72)【発明者】
【氏名】山下 剛
(72)【発明者】
【氏名】木暮 耕二
(72)【発明者】
【氏名】原 耕介
【テーマコード(参考)】
4J033
5H050
【Fターム(参考)】
4J033FA01
4J033FA04
4J033FA11
4J033HA02
4J033HB00
4J033HB01
5H050AA02
5H050BA09
5H050CA06
5H050CB15
5H050DA11
5H050EA28
(57)【要約】
【課題】鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性及び放電特性を得ることが可能なビスフェノール系樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】ビスフェノールA成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖に、ビスフェノールA成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位を結合させる工程を備え、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールA成分が同一の化合物である、ビスフェノール系樹脂の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスフェノールA成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖に、ビスフェノールA成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位を結合させる工程を備え、
前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、
前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールA成分が同一の化合物である、ビスフェノール系樹脂の製造方法。
【請求項2】
ビスフェノールS成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖に、ビスフェノールS成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位を結合させる工程を備え、
前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、
前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールS成分が同一の化合物である、ビスフェノール系樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記ビスフェノール系化合物がビスフェノールA成分である、請求項2に記載のビスフェノール系樹脂の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のビスフェノール系樹脂の製造方法により得られたビスフェノール系樹脂を用いて電極を製造する工程を備える、電極の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電極の製造方法により電極を得る工程を備える、鉛蓄電池の製造方法。
【請求項6】
ビスフェノールA成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位と、
ビスフェノールA成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位と、を有し、
前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、
前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールA成分が同一の化合物である、ビスフェノール系樹脂。
【請求項7】
ビスフェノールS成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位と、
ビスフェノールS成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位と、を有し、
前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、
前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールS成分が同一の化合物である、ビスフェノール系樹脂。
【請求項8】
前記ビスフェノール系化合物がビスフェノールA成分である、請求項7に記載のビスフェノール系樹脂。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載のビスフェノール系樹脂を含む、電極。
【請求項10】
請求項9に記載の電極を備える、鉛蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用鉛蓄電池は、エンジン始動用及び電装品の電力供給用として広汎に用いられている。近年、環境保護及び燃費改善の取り組みとして、車両の一時停止時にはエンジンを止め、発進時に再始動するアイドリング・ストップ・システム(以下、「ISS」という)が実施され始めている。ISSにおいて使用される鉛蓄電池では、頻繁にエンジンの始動及び停止が繰り返されることにより、エンジン始動時の大電流放電回数が増え、電装品の使用と重なり放電負荷が多くなる。
【0003】
自動車用鉛蓄電池の充電は、オルタネータによる定電圧充電である。近年、充電中の水分解による電解液の減少を抑制することを目的として、オルタネータ電圧の設定値は低下してきている。また、近年では、このような低い充電電圧を採用することに加えて、発電制御システムと呼ばれる「走行中のオルタネータによる充電を、車両の走行状態及び鉛蓄電池の充電状態に応じて制御することにより、エンジン負荷を低減し、燃費向上及びCO削減を図る」方式も採用されている。このような方式では、鉛蓄電池の充電が行われにくく、満充電状態になりにくい。このような使用条件において鉛蓄電池は、充分に充電されず放電過多で使用されることが多くなる。
【0004】
鉛蓄電池の充電が完全に行われず、充電量の低い状態が継続すると、不活性の放電生成物である硫酸鉛が電極に蓄積する現象(サルフェーション)が起こる場合がある。このような状況では、電極活物質が還元されにくい(充電されにくい)状態であることから、サイクル特性等の電池性能が低下することが知られている。
【0005】
また、完全な充電が行われにくい場合には、鉛蓄電池内における電極の上部と下部の間で、電解液である希硫酸の濃淡差が生じる成層化現象が起こる。この場合、電極下部の希硫酸の濃度が高くなりサルフェーションが発生する。そのため、電極下部の反応性が低下し、電極上部だけが集中的に反応するようになる。その結果、電極活物質間の結びつきが弱くなる等の劣化が進み、電極上部において、電極活物質を支持する集電体(例えば集電体格子)から電極活物質が剥離して、サイクル特性等の電池性能が低下する。
【0006】
これに対し、サイクル特性等を向上させる手段として、下記特許文献1には、負極活物質と、フェノール類、アミノベンゼンスルホン酸及びホルムアルデヒドの縮合物とを用いて得られる鉛蓄電池用負極に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第1997/37393号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、鉛蓄電池の電極を得るための材料に対しては、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性及び放電特性を得ることが求められる。
【0009】
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性及び放電特性を得ることが可能なビスフェノール系樹脂及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記ビスフェノール系樹脂を用いた電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面に係るビスフェノール系樹脂の製造方法の第1実施形態は、ビスフェノールA成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖に、ビスフェノールA成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位を結合させる工程を備え、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールA成分が同一の化合物である。
【0011】
本発明の一側面に係るビスフェノール系樹脂の製造方法の第2実施形態は、ビスフェノールS成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖に、ビスフェノールS成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位を結合させる工程を備え、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールS成分が同一の化合物である。
【0012】
本発明の他の一側面に係るビスフェノール系樹脂の第1実施形態は、ビスフェノールA成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位と、ビスフェノールA成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位と、を有し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールA成分が同一の化合物である。
【0013】
本発明の他の一側面に係るビスフェノール系樹脂の第2実施形態は、ビスフェノールS成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位と、ビスフェノールS成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位と、を有し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールS成分が同一の化合物である。
【0014】
これらのビスフェノール系樹脂及びその製造方法によれば、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性及び放電特性を得ることができる。
【0015】
本発明の他の一側面に係る電極の製造方法は、上述のビスフェノール系樹脂の製造方法により得られたビスフェノール系樹脂を用いて電極を製造する工程を備える。本発明の他の一側面に係る鉛蓄電池の製造方法は、上述の電極の製造方法により電極を得る工程を備える。これらにおいても、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性及び放電特性を得ることができる。
【0016】
本発明の他の一側面に係る電極は、上述のビスフェノール系樹脂を含む。本発明の他の一側面に係る鉛蓄電池は、上述の電極を備える。これらにおいても、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性及び放電特性を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性及び放電特性を得ることができる。
【0018】
本発明によれば、ビスフェノール系樹脂の、鉛蓄電池及びその製造への応用を提供できる。本発明によれば、ビスフェノール系樹脂の、鉛蓄電池の負極及びその製造への応用を提供できる。本発明によれば、ビスフェノール系樹脂の、電動車における鉛蓄電池及びその製造への応用を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、重量平均分子量の測定における検量線を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実験例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0021】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
<ビスフェノール系樹脂及びその製造方法>
第1実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、ビスフェノールA成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位と、ビスフェノールA成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位と、を有し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールA成分が同一の化合物である。第2実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、ビスフェノールS成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位と、ビスフェノールS成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位と、を有し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールS成分が同一の化合物である。
【0023】
本実施形態(第1実施形態及び第2実施形態を含む。以下同様)に係るビスフェノール系樹脂は、(a)ビスフェノール系化合物(以下、場合により「(a)成分」という)と、(b)アミノベンゼンスルホン酸成分(以下、場合により「(b)成分」という)と、(c)ホルムアルデヒド成分(以下、場合により「(c)成分」という)との反応に由来する第1の構造単位、第2の構造単位及び第3の構造単位を有する。本実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、(a1)ビスフェノールA成分又はビスフェノールS成分であるビスフェノール系化合物(以下、場合により「(a1)成分」という)と、(b1)アミノベンゼンスルホン酸成分(以下、場合により「(b1)成分」という)と、(c1)ホルムアルデヒド成分(以下、場合により「(c1)成分」という)との反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位を有する。本実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、(a1)成分と(b1)成分と(c1)成分との反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖を備えていてよい。また、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、(a2)ビスフェノール系化合物(以下、場合により「(a2)成分」という)と、(b2)アミノベンゼンスルホン酸成分(以下、場合により「(b2)成分」という)と、(c2)ホルムアルデヒド成分(以下、場合により「(c2)成分」という)との反応に由来する第3の構造単位を有し、(a1)成分がビスフェノールA成分である場合の(a2)成分は、ビスフェノールA成分とは異なるビスフェノール系化合物であり、(a1)成分がビスフェノールS成分である場合の(a2)成分は、ビスフェノールS成分とは異なるビスフェノール系化合物である。
【0024】
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂によれば、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性及び放電特性(特に、低温における放電特性)を得ることができる。このような効果が得られる要因は必ずしも明らかではないが、本発明者は以下のように推測している。但し、要因は下記内容に限定されない。
すなわち、(a1)成分と(b1)成分と(c1)成分との反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位、及び、(a2)成分と(b2)成分と(c2)成分との反応に由来する第3の構造単位を有するビスフェノール系樹脂において、互いに同一の(a1)成分を用いた第1の構造単位及び第2の構造単位の隣接部分は、電極活物質(例えば、鉛粉等の負極活物質)に対して強く相互作用(吸着)することが可能な充分な分子量を有している。そして、当該隣接部分が電極活物質に強く相互作用することにより、電極反応において生成する反応物が粗大化することが抑制されて微細化されやすい。これにより、電極の比表面積(反応面積)が高く保持されやすいことから、優れた放電性能が得られる。また、前記隣接部分は、電極活物質(例えば、鉛粉等の負極活物質)の電子授受反応を阻害することなく電極活物質に強く相互作用することができる。これにより、充電受け入れ性の低下を招くことなく、優れた充電受け入れ性が得られる。
【0025】
第1の構造単位及び第2の構造単位における(b1)成分は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよいが、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、互いに同一であることが好ましい。第1の構造単位及び第2の構造単位における(c1)成分は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよいが、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、互いに同一であることが好ましい。(b1)成分と(b2)成分とは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよいが、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、互いに同一であることが好ましい。(c1)成分と(c2)成分とは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよいが、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、互いに同一であることが好ましい。
【0026】
第1の構造単位及び第2の構造単位が互いに隣接している限り、第3の構造単位の配置位置は任意である。第3の構造単位は、第1の構造単位又は第2の構造単位に隣接していてもよく、隣接していなくてもよい。本実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、第1の構造単位、第2の構造単位及び第3の構造単位以外の構造単位を有していてよい。
【0027】
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、例えば、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂の製造方法により得ることができる。第1実施形態に係るビスフェノール系樹脂の製造方法は、ビスフェノールA成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖に、ビスフェノールA成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位を結合させる樹脂合成工程を備え、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールA成分が同一の化合物である。第2実施形態に係るビスフェノール系樹脂の製造方法は、ビスフェノールS成分、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖に、ビスフェノールS成分とは異なるビスフェノール系化合物、アミノベンゼンスルホン酸成分、及び、ホルムアルデヒド成分の反応に由来する第3の構造単位を結合させる樹脂合成工程を備え、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位が互いに隣接し、前記第1の構造単位及び前記第2の構造単位における前記ビスフェノールS成分が同一の化合物である。本実施形態に係るビスフェノール系樹脂の製造方法によれば、互いに隣接した第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖と、第3の構造単位を有する分子鎖と、を備える重合体(例えばブロック共重合体)を得ることができる。
【0028】
樹脂合成工程では、例えば、(a1)成分、(b1)成分及び(c1)成分の反応物と、(a2)成分、(b2)成分及び(c2)成分の反応物と、を反応させてビスフェノール系樹脂を得る。本実施形態に係るビスフェノール系樹脂の製造方法は、樹脂合成工程の前に、(a1)成分と(b1)成分と(c1)成分とを反応させて反応物を得る第1の反応工程、及び/又は、(a2)成分と(b2)成分と(c2)成分とを反応させて反応物を得る第2の反応工程を備えていてよい。第1の反応工程では、反応物として、(a1)成分、(b1)成分及び(c1)成分の反応に由来する第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖を得ることができる。第2の反応工程では、(a2)成分、(b2)成分及び(c2)成分の反応に由来する第3の構造単位を有する反応物を得ることができる。第1の反応工程では、塩基性化合物の存在下において(a1)成分と(b1)成分と(c1)成分とを反応させることができる。第2の反応工程では、塩基性化合物の存在下において(a2)成分と(b2)成分と(c2)成分とを反応させることができる。
【0029】
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、互いに同一の(a1)成分を用いた第1の構造単位及び第2の構造単位の隣接部分を有する等の上記要件を満たしていればよく、互いに隣接した第1の構造単位及び第2の構造単位を有する分子鎖を予め形成することなく得られてもよい。例えば、第1の構造単位、第2の構造単位及び第3の構造単位の構成材料を同時に混合して第1の構造単位、第2の構造単位及び第3の構造単位を同時に形成し、互いに同一の(a1)成分を用いた第1の構造単位及び第2の構造単位の隣接部分を有する等の上記要件を満たすビスフェノール系樹脂を得てもよい。
【0030】
((a)成分:ビスフェノール系化合物)
(a)成分であるビスフェノール系化合物は、2個のヒドロキシフェニル基を有する化合物である。(a)成分としては、第1の構造単位及び第2の構造単位を与える(a1)成分、第3の構造単位を与える(a2)成分、第1の構造単位、第2の構造単位及び第3の構造単位以外の構造単位を与えるビスフェノール系化合物等を用いることができる。(a)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
(a1)としては、ビスフェノールA成分又はビスフェノールS成分を用いることができる。ビスフェノールA成分としては、ビスフェノールA(別名:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)及びビスフェノールA誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。ビスフェノールS成分としては、ビスフェノールS(別名:ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)及びビスフェノールS誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
【0032】
ビスフェノールA誘導体としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−5−ビフェニルイル)プロパン等が挙げられる。ビスフェノールS誘導体としては、2,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルホン、4−イソプロピルオキシフェニル−4’−ヒドロキシスルホン、4−ベンジルオキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルスルホン、4−メトキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルスルホン、4−n−ヘキシルオキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルスルホン、4−n−オクチルオキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’,5,5’−テトラメチル−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、4,4’−スルホニルビス(6−(tert−ブチル)−m−クレゾール)等が挙げられる。
【0033】
(a2)成分は、(a1)成分がビスフェノールA成分である場合には、ビスフェノールA成分とは異なるビスフェノール系化合物であり、(a1)成分がビスフェノールS成分である場合には、ビスフェノールS成分とは異なるビスフェノール系化合物である。ビスフェノールA成分及びビスフェノールS成分としては、(a1)成分として上述した化合物等が挙げられる。ビスフェノールA成分及びビスフェノールS成分以外の(a2)成分としては、ビスフェノールF(別名:ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、これらの誘導体等が挙げられる。
【0034】
(a)成分としては、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、ビスフェノールA成分及びビスフェノールS成分を併用することが好ましい。例えば、(a1)成分がビスフェノールA成分である場合の(a2)成分は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、ビスフェノールS成分であることが好ましい。(a1)成分がビスフェノールS成分である場合の(a2)成分は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、ビスフェノールA成分であることが好ましい。ビスフェノールA成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、ビスフェノールS成分よりも多いことが好ましい。
【0035】
一般的に、ビスフェノールA成分に対するビスフェノールS成分の相対量を増やすと、充電受け入れ性が低下する傾向がある。しかしながら、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂では、ビスフェノールA成分及びビスフェノールS成分を併用する場合であっても、ビスフェノール系化合物としてビスフェノールS成分を用いることなくビスフェノールA成分のみを用いて得られたビスフェノール系樹脂と同等の充電受け入れ性を得ることができる。
【0036】
ビスフェノールA成分の量は、(a)成分((a1)成分、(a2)成分等の、ビスフェノール系樹脂を与える全てのビスフェノール系化合物。以下同様)の全量を基準として下記の範囲が好ましい。ビスフェノールA成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上が更に好ましく、60モル%以上が特に好ましく、70モル%以上が極めて好ましい。ビスフェノールA成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、99モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下が更に好ましく、85モル%以下が特に好ましく、80モル%以下が極めて好ましい。
【0037】
ビスフェノールS成分の量は、(a)成分の全量を基準として下記の範囲が好ましい。ビスフェノールS成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましく、15モル%以上が特に好ましく、20モル%以上が極めて好ましい。ビスフェノールS成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましく、40モル%以下が特に好ましく、30モル%以下が極めて好ましい。
【0038】
ビスフェノールA成分の量は、ビスフェノールA成分及びビスフェノールS成分の合計量を基準として下記の範囲が好ましい。ビスフェノールA成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上が更に好ましく、60モル%以上が特に好ましく、70モル%以上が極めて好ましい。ビスフェノールA成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、99モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下が更に好ましく、85モル%以下が特に好ましく、80モル%以下が極めて好ましい。
【0039】
ビスフェノールS成分の量は、ビスフェノールA成分及びビスフェノールS成分の合計量を基準として下記の範囲が好ましい。ビスフェノールS成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましく、15モル%以上が特に好ましく、20モル%以上が極めて好ましい。ビスフェノールS成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましく、40モル%以下が特に好ましく、30モル%以下が極めて好ましい。
【0040】
(a1)成分の量は、(a)成分の全量を基準として下記の範囲が好ましい。(a1)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上が更に好ましく、60モル%以上が特に好ましく、70モル%以上が極めて好ましい。(a1)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、99モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下が更に好ましく、85モル%以下が特に好ましく、80モル%以下が極めて好ましい。
【0041】
(a2)成分の量は、(a)成分の全量を基準として下記の範囲が好ましい。(a2)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましく、15モル%以上が特に好ましく、20モル%以上が極めて好ましい。(a2)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましく、40モル%以下が特に好ましく、30モル%以下が極めて好ましい。
【0042】
(a2)成分の量に対する(a1)成分の量の割合((a1)成分の量/(a2)成分の量)は、モル比で下記の範囲が好ましい。(a2)成分の量に対する(a1)成分の量の割合は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1以上が好ましく、1を超えることがより好ましく、2以上が更に好ましく、3以上が特に好ましく、4以上が極めて好ましい。(a2)成分の量に対する(a1)成分の量の割合は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、9以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下が更に好ましく、6以下が特に好ましく、5以下が極めて好ましい。
【0043】
((b)成分:アミノベンゼンスルホン酸成分)
(b)成分としては、アミノベンゼンスルホン酸及びアミノベンゼンスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
【0044】
アミノベンゼンスルホン酸としては、例えば、2−アミノベンゼンスルホン酸(別名オルタニル酸)、3−アミノベンゼンスルホン酸(別名メタニル酸)、及び、4−アミノベンゼンスルホン酸(別名スルファニル酸)が挙げられる。
【0045】
アミノベンゼンスルホン酸誘導体としては、例えば、アミノベンゼンスルホン酸の一部の水素原子がアルキル基(例えば、炭素数1〜5のアルキル基)等で置換された化合物、及び、アミノベンゼンスルホン酸のスルホ基(−SOH)の水素原子がアルカリ金属(例えば、ナトリウム又はカリウム)で置換されたアルカリ金属塩が挙げられる。アミノベンゼンスルホン酸の一部の水素原子がアルキル基で置換された化合物としては、例えば、4−(メチルアミノ)ベンゼンスルホン酸、3−メチル−4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4−メチルベンゼンスルホン酸、4−(エチルアミノ)ベンゼンスルホン酸、及び、3−(エチルアミノ)−4−メチルベンゼンスルホン酸が挙げられる。アミノベンゼンスルホン酸のスルホ基の水素原子がアルカリ金属で置換されたアルカリ金属塩としては、例えば、2−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム、2−アミノベンゼンスルホン酸カリウム、3−アミノベンゼンスルホン酸カリウム、及び、4−アミノベンゼンスルホン酸カリウムが挙げられる。
【0046】
(b)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
(b1)成分の量は、(b)成分((b1)成分、(b2)成分等の、ビスフェノール系樹脂を与える全てのアミノベンゼンスルホン酸成分。以下同様)の全量を基準として下記の範囲が好ましい。(b1)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上が更に好ましく、60モル%以上が特に好ましく、70モル%以上が極めて好ましい。(b1)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、99モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下が更に好ましく、85モル%以下が特に好ましく、80モル%以下が極めて好ましい。
【0048】
(b2)成分の量は、(b)成分の全量を基準として下記の範囲が好ましい。(b2)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましく、15モル%以上が特に好ましく、20モル%以上が極めて好ましい。(b2)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましく、40モル%以下が特に好ましく、30モル%以下が極めて好ましい。
【0049】
(b)成分の量は、(a)成分1.00モルに対して下記の範囲が好ましい。(b)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、0.40モル以上が好ましく、0.45モル以上がより好ましく、0.50モル以上が更に好ましく、0.60モル以上が特に好ましく、0.70モル以上が極めて好ましく、0.80モル以上が非常に好ましい。(b)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1.50モル以下が好ましく、1.20モル以下がより好ましく、1.10モル以下が更に好ましく、1.00モル以下が特に好ましく、0.90モル以下が極めて好ましい。
【0050】
(b)成分の量は、(a1)成分及び(a2)成分の合計1.00モルに対して下記の範囲が好ましい。(b)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、0.40モル以上が好ましく、0.45モル以上がより好ましく、0.50モル以上が更に好ましく、0.60モル以上が特に好ましく、0.70モル以上が極めて好ましく、0.80モル以上が非常に好ましい。(b)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1.50モル以下が好ましく、1.20モル以下がより好ましく、1.10モル以下が更に好ましく、1.00モル以下が特に好ましく、0.90モル以下が極めて好ましい。
【0051】
(b1)成分の量は、(a1)成分1.00モルに対して下記の範囲が好ましい。(b1)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、0.40モル以上が好ましく、0.45モル以上がより好ましく、0.50モル以上が更に好ましく、0.60モル以上が特に好ましく、0.70モル以上が極めて好ましく、0.80モル以上が非常に好ましい。(b1)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1.50モル以下が好ましく、1.20モル以下がより好ましく、1.10モル以下が更に好ましく、1.00モル以下が特に好ましく、0.90モル以下が極めて好ましい。
【0052】
(b2)成分の量は、(a2)成分1.00モルに対して下記の範囲が好ましい。(b2)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、0.40モル以上が好ましく、0.45モル以上がより好ましく、0.50モル以上が更に好ましく、0.60モル以上が特に好ましく、0.70モル以上が極めて好ましく、0.80モル以上が非常に好ましい。(b2)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1.50モル以下が好ましく、1.20モル以下がより好ましく、1.10モル以下が更に好ましく、1.00モル以下が特に好ましく、0.90モル以下が極めて好ましい。
【0053】
(b2)成分の量に対する(b1)成分の量の割合((b1)成分の量/(b2)成分の量)は、モル比で下記の範囲が好ましい。(b2)成分の量に対する(b1)成分の量の割合は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1以上が好ましく、1を超えることがより好ましく、2以上が更に好ましく、3以上が特に好ましく、4以上が極めて好ましい。(b2)成分の量に対する(b1)成分の量の割合は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、9以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下が更に好ましく、6以下が特に好ましく、5以下が極めて好ましい。
【0054】
((c)成分:ホルムアルデヒド成分)
(c)成分としては、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。ホルムアルデヒドとしては、ホルマリン(例えばホルムアルデヒド37質量%の水溶液)中のホルムアルデヒドを用いてもよい。ホルムアルデヒド誘導体としては、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン等が挙げられる。(c)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ホルムアルデヒドとホルムアルデヒド誘導体とを併用してもよい。
【0055】
(c)成分としては、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、パラホルムアルデヒドがより好ましい。パラホルムアルデヒドは、例えば下記のような構造を有する。
HO(CHO)
[式中、nは2〜100の整数を示す。]
【0056】
(c1)成分のホルムアルデヒド換算の量は、(c)成分((c1)成分、(c2)成分等の、ビスフェノール系樹脂を与える全てのホルムアルデヒド成分。以下同様)の全量を基準として下記の範囲が好ましい。(c1)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上が更に好ましく、60モル%以上が特に好ましく、70モル%以上が極めて好ましい。(c1)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、99モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下が更に好ましく、85モル%以下が特に好ましく、80モル%以下が極めて好ましい。
【0057】
(c2)成分のホルムアルデヒド換算の量は、(c)成分の全量を基準として下記の範囲が好ましい。(c2)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましく、15モル%以上が特に好ましく、20モル%以上が極めて好ましい。(c2)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましく、40モル%以下が特に好ましく、30モル%以下が極めて好ましい。
【0058】
(c)成分のホルムアルデヒド換算の量は、(a)成分1.00モルに対して下記の範囲が好ましい。(c)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1.70モル以上が好ましく、1.80モル以上がより好ましく、1.90モル以上が更に好ましく、2.00モル以上が特に好ましく、2.10モル以上が極めて好ましく、2.20モル以上が非常に好ましい。(c)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、3.00モル以下が好ましく、2.75モル以下がより好ましく、2.50モル以下が更に好ましく、2.40モル以下が特に好ましく、2.30モル以下が極めて好ましい。
【0059】
(c)成分のホルムアルデヒド換算の量は、(a1)成分及び(a2)成分の合計1.00モルに対して下記の範囲が好ましい。(c)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1.70モル以上が好ましく、1.80モル以上がより好ましく、1.90モル以上が更に好ましく、2.00モル以上が特に好ましく、2.10モル以上が極めて好ましく、2.20モル以上が非常に好ましい。(c)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、3.00モル以下が好ましく、2.75モル以下がより好ましく、2.50モル以下が更に好ましく、2.40モル以下が特に好ましく、2.30モル以下が極めて好ましい。
【0060】
(c1)成分のホルムアルデヒド換算の量は、(a1)成分1.00モルに対して下記の範囲が好ましい。(c1)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1.70モル以上が好ましく、1.80モル以上がより好ましく、1.90モル以上が更に好ましく、2.00モル以上が特に好ましく、2.10モル以上が極めて好ましく、2.20モル以上が非常に好ましい。(c1)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、3.00モル以下が好ましく、2.75モル以下がより好ましく、2.50モル以下が更に好ましく、2.40モル以下が特に好ましく、2.30モル以下が極めて好ましい。
【0061】
(c2)成分のホルムアルデヒド換算の量は、(a2)成分1.00モルに対して下記の範囲が好ましい。(c2)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1.70モル以上が好ましく、1.80モル以上がより好ましく、1.90モル以上が更に好ましく、2.00モル以上が特に好ましく、2.10モル以上が極めて好ましく、2.20モル以上が非常に好ましい。(c2)成分の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、3.00モル以下が好ましく、2.75モル以下がより好ましく、2.50モル以下が更に好ましく、2.40モル以下が特に好ましく、2.30モル以下が極めて好ましい。
【0062】
(c2)成分の量に対する(c1)成分の量の割合((c1)成分の量/(c2)成分の量)は、ホルムアルデヒド換算のモル比で下記の範囲が好ましい。(c2)成分の量に対する(c1)成分の量の割合は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1以上が好ましく、1を超えることがより好ましく、2以上が更に好ましく、3以上が特に好ましく、4以上が極めて好ましい。(c2)成分の量に対する(c1)成分の量の割合は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、9以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下が更に好ましく、6以下が特に好ましく、5以下が極めて好ましい。
【0063】
(塩基性化合物)
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強塩基性化合物を用いてもよい。塩基性化合物の中でも、反応性に優れる観点から、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0064】
(b)成分1.00モルに対する塩基性化合物の量(ビスフェノール系樹脂を得るための塩基性化合物の総量)、第1の反応工程における(b1)成分1.00モルに対する塩基性化合物の量、又は、第2の反応工程における(b2)成分1.00モルに対する塩基性化合物の量は、下記の範囲が好ましい。塩基性化合物の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1.00モル以上が好ましく、1.02モル以上がより好ましく、1.04モル以上が更に好ましい。塩基性化合物の量は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、1.50モル以下が好ましく、1.45モル以下がより好ましく、1.40モル以下が更に好ましく、1.30モル以下が特に好ましく、1.20モル以下が極めて好ましく、1.10モル以下が非常に好ましい。塩基性化合物の量は、ビスフェノール系樹脂のICP−OES分析等から定量可能であり、例えば、塩基性化合物として水酸化ナトリウムを使用した場合には、ナトリウムイオンを定量することにより塩基性化合物の量を特定できる。ナトリウムイオンは、例えば、下記の方法で定量することができる。
[ナトリウムイオンの定量]
まず、減圧下で溶媒等を留去(例えば、40℃に設定した恒温槽で12時間)してビスフェノール系樹脂を単離する。そして、単離したビスフェノール系樹脂に酸を加えた後、マイクロウェーブ分解装置(例えば、マイルストーンゼネラル製、ETHOS PRO)で加熱して酸分解させる。酸分解溶液を超純水で希釈した後、ICP−OES分析装置(例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス製、SPS5100)で定量する。
【0065】
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、鉛蓄電池において電極からビスフェノール系樹脂が電解液に溶出することを抑制することにより優れた充電受け入れ性及び放電特性を得やすい観点から、20000以上が好ましく、25000以上がより好ましく、30000以上が更に好ましく、40000以上が特に好ましく、50000以上が極めて好ましく、55000以上が非常に好ましい。ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、電極活物質に対するビスフェノール系樹脂の吸着性を充分に確保しやすい観点から、150000以下が好ましく、130000以下がより好ましく、110000以下が更に好ましく、100000以下が特に好ましく、80000以下が極めて好ましく、75000以下が非常に好ましい。
【0066】
ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、例えば、下記条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定することができる。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:GF−1G7B+GF−7MHQ×2(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(20mM)及びトリエチルアミン(400mM)を含有するメタノールの含有量が40体積%になるように前記メタノールと純水とを混合して得られた溶液 流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレンオキシド(分子量:5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ポリエチレングリコール(分子量:6.00×10、4.00×10、1.00×10;和光純薬工業株式会社製)
【0067】
<樹脂組成物>
本実施形態に係る樹脂組成物は、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂を含有している。本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、ビスフェノール系樹脂と溶媒(水等)とを含有する組成物であり、例えば、25℃において液状の樹脂溶液である。溶媒としては、水(例えばイオン交換水)、有機溶媒等が挙げられる。樹脂組成物に含まれる溶媒は、ビスフェノール系樹脂を得るために用いた反応溶媒であってもよい。
【0068】
<電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法>
本実施形態に係る電極は、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂を含む。本実施形態に係る電極は、例えば、電極活物質の原料と、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂、又は、当該ビスフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物と、を用いて製造されたものである。本実施形態に係る電極の製造方法は、例えば、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂の製造方法により得られたビスフェノール系樹脂を用いて電極を製造する工程を備える。本実施形態では、ビスフェノール系樹脂の製造方法により得られる反応物(反応溶液)をそのまま電極の製造に用いてもよく、反応物を乾燥して得られるビスフェノール系樹脂を溶媒(水等)に溶解させてから電極の製造に用いてもよい。未化成の電極は、例えば、電極活物質の原料等を含む電極層と、当該電極層を支持する集電体とを有している。化成後の電極は、例えば、電極活物質等を含む電極層と、当該電極層を支持する集電体とを有している。電極は、例えば、鉛蓄電池用の負極(負極板等)である。
【0069】
本実施形態に係る鉛蓄電池は、本実施形態に係る電極を備えている。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池、密閉式鉛蓄電池等が挙げられる。本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、本実施形態に係る電極の製造方法により電極を得る電極製造工程と、電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えている。
【0070】
電極製造工程では、例えば、電極材ペーストを集電体(例えば集電体格子)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極を得る。電極材ペーストは、例えば、電極活物質の原料及びビスフェノール系樹脂を含有しており、その他の所定の添加剤等を更に含有していてもよい。電極が負極である場合、負極活物質の原料は、鉛粉(例えばPbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)であることが好ましい。添加剤としては、硫酸バリウム、炭素材料(炭素繊維を除く)、補強用短繊維(アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等)などが挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック(登録商標)等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどが挙げられる。
【0071】
本実施形態に係る電極が負極である場合、負極材ペーストは、例えば、以下の方法により得ることができる。まず、鉛粉に、ビスフェノール系樹脂、又は、当該ビスフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物と、必要に応じて添加される添加剤とを混合することにより混合物を得る。次に、この混合物に、硫酸(希硫酸等)及び溶媒(水等)を加えて混練することにより負極材ペーストが得られる。この負極材ペーストを集電体(集電体格子等)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の負極が得られる。
【0072】
負極材ペーストにおいて、硫酸バリウムを用いる場合、硫酸バリウムの量は、負極活物質の原料の全質量を基準として0.01〜1質量%が好ましい。炭素材料を用いる場合、炭素材料の量は、負極活物質の原料の全質量を基準として0.2〜1.4質量%が好ましい。本実施形態に係るビスフェノール系樹脂又は当該ビスフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物の量は、負極活物質の原料の全質量を基準として、樹脂固形分換算で0.01〜2質量%が好ましい。
【0073】
集電体の組成としては、例えば、鉛−カルシウム−錫系合金、鉛−アンチモン−ヒ素系合金等の鉛合金が挙げられる。用途に応じて、適宜、セレン、銀、ビスマス等を集電体に添加してもよい。これらの鉛合金を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより集電体を得ることができる。
【0074】
熟成条件としては、温度35〜85℃、湿度50〜98RH%の雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
【0075】
鉛蓄電池用の正極(正極板等)は、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、正極活物質の原料である鉛粉に対して、補強用短繊維を加えた後、水及び希硫酸を加えて混合物を得る。そして、この混合物を混練して正極材ペーストを作製する。正極材ペーストを作製するに際しては、化成時間を短縮できる観点から、鉛丹(Pb)を加えてもよい。この正極材ペーストを集電体(集電体格子等)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の正極が得られる。正極材ペーストにおいて、補強用短繊維の量は、鉛粉の全質量を基準として0.005〜0.3質量%が好ましい。集電体の種類、熟成条件及び乾燥条件は、負極の場合とほぼ同様である。
【0076】
組み立て工程では、例えば、前記のように作製した未化成の負極及び正極を、セパレータを介して交互に積層し、同極性の電極(電極板等)同士をストラップで連結(溶接等)させて電極群(極板群等)を得る。この電極群を電槽内に配置して未化成電池を作製する。次に、未化成電池に希硫酸を注液した後、直流電流を通電し化成を行うことにより鉛蓄電池が得られる。また、希硫酸を一度抜いた後、電解液を注液してもよい。硫酸の比重(20℃換算。化成前)は1.25〜1.35が好ましい。
【0077】
負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の負極活物質は、多孔質の海綿状鉛(Spongy Lead)を含むことが好ましい。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、例えば二酸化鉛を含む。
【0078】
セパレータの材質としては、ポリエチレン、ガラス繊維等が挙げられる。なお、化成条件、及び、硫酸の比重は、電極活物質の性状に応じて調整することができる。また、化成処理は、組み立て工程において実施されることに限られず、電極製造工程において実施されてもよい。
<電動車及びその製造方法>
本実施形態に係る電動車は、本実施形態に係る鉛蓄電池を備える。本実施形態に係る電動車の製造方法は、例えば、本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法により鉛蓄電池を得る工程を備える。本実施形態に係る電動車の製造方法は、例えば、本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法により鉛蓄電池を得る工程と、前記鉛蓄電池を含む構成部材を組み立てて電動車を得る工程とを備えている。電動車としては、自動車(例えばISS車)、フォークリフト、ゴルフカート等が挙げられる。本実施形態によれば、電動車用の鉛蓄電池が提供され、例えば、フォークリフト用の鉛蓄電池が提供される。
【実施例】
【0079】
以下、実験例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実験例のみに限定されるものではない。
【0080】
<ビスフェノール系樹脂の作製>
(実験例1)
攪拌装置、還流装置及び温度調節装置を備えた反応容器において下記の成分を95℃で2時間反応させてビスフェノール系樹脂(重量平均分子量:68000)を得た。
ビスフェノールA:1.00モル(228.25質量部)
4−アミノベンゼンスルホン酸:0.80モル(138.6質量部)
パラホルムアルデヒド(三井化学株式会社製):2.25モル(67.6質量部)[ホルムアルデヒド換算]
水酸化ナトリウム:1.04モル(41.6質量部)
イオン交換水:44.48モル(800.7質量部)
【0081】
(実験例2)
攪拌装置、還流装置及び温度調節装置を備えた反応容器において下記の成分を95℃で1時間反応させて樹脂溶液Aを得た。
ビスフェノールA:0.80モル(182.6質量部)
4−アミノベンゼンスルホン酸:0.64モル(110.88質量部)
パラホルムアルデヒド(三井化学株式会社製)1.8モル(54.08質量部)[ホルムアルデヒド換算]
水酸化ナトリウム:0.832モル(33.28質量部)
イオン交換水:35.584モル(640.56質量部)
【0082】
攪拌装置、還流装置及び温度調節装置を備えた反応容器において下記の成分を95℃で3時間反応させて樹脂溶液Sを得た。
ビスフェノールS:0.20モル(50.1質量部)
4−アミノベンゼンスルホン酸:0.16モル(27.72質量部)
パラホルムアルデヒド(三井化学株式会社製)0.45モル(13.52質量部)[ホルムアルデヒド換算]
水酸化ナトリウム:0.208モル(8.32質量部)
イオン交換水:8.896モル(160.14質量部)
【0083】
攪拌装置、還流装置及び温度調節装置を備えた反応容器において、樹脂溶液A及び樹脂溶液Sを混合した後に95℃で3時間反応させてビスフェノール系樹脂(重量平均分子量:65000)を得た。
【0084】
(実験例3)
攪拌装置、還流装置及び温度調節装置を備えた反応容器において下記の成分を95℃で9時間反応させてビスフェノール系樹脂(重量平均分子量:62000)を得た。
ビスフェノールA:0.80モル(182.6質量部)
ビスフェノールS:0.20モル(50.1質量部)
4−アミノベンゼンスルホン酸:0.80モル(138.6質量部)
パラホルムアルデヒド(三井化学株式会社製):2.25モル(67.6質量部)[ホルムアルデヒド換算]
水酸化ナトリウム:1.04モル(41.6質量部)
イオン交換水:44.48モル(800.7質量部)
【0085】
(実験例4)
攪拌装置、還流装置及び温度調節装置を備えた反応容器において下記の成分を95℃で9時間反応させてビスフェノール系樹脂(重量平均分子量:58000)を得た。
ビスフェノールA:0.20モル(45.65質量部)
ビスフェノールS:0.80モル(200.4質量部)
4−アミノベンゼンスルホン酸:0.80モル(138.6質量部)
パラホルムアルデヒド(三井化学株式会社製):2.25モル(67.6質量部)[ホルムアルデヒド換算]
水酸化ナトリウム:1.04モル(41.6質量部)
イオン交換水:44.48モル(800.7質量部)
【0086】
<重量平均分子量の測定>
ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は下記条件のGPCにより測定した。下記標準試料より算出した検量線を図1に示す。横軸は保持時間であり、縦軸は分子量の対数である。
[GPC条件]
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:GF−1G7B+GF−7MHQ×2(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(20mM)及びトリエチルアミン(400mM)を含有するメタノールの含有量が40体積%になるように前記メタノールと純水とを混合して得られた溶液 流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレンオキシド(分子量:5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ポリエチレングリコール(分子量:6.00×10、4.00×10、1.00×10;和光純薬工業株式会社製)
【0087】
<負極板の作製>
鉛粉の全質量を基準として、樹脂溶液を固形分換算で0.2質量%と、ファーネスブラック0.2質量%と、硫酸バリウム1.0質量%とを鉛粉に対して添加した後に乾式混合した。次に、希硫酸(比重1.26(20℃換算))及び水を加えながら混練して負極材ペーストを作製した。負極材ペーストを厚さ0.6mmのエキスパンド集電体(鉛−カルシウム−錫系合金)に充填して負極板を作製した。負極板を通常の方法に従い、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に18時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成の負極板を得た。
【0088】
<正極板の作製>
鉛粉の全質量を基準として0.01質量%の補強用短繊維(ポリエチレン繊維)を鉛粉に対して添加した後に乾式混合した。次に、希硫酸(比重1.26(20℃換算))及び水を加えて混練して正極材ペーストを作製した。正極集電体(鋳造格子体、鉛−カルシウム−錫合金)に正極材ペーストを充填して、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に18時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成の正極板を得た。
【0089】
<電池の組み立て>
袋状に加工したポリエチレン製のセパレータに未化成の負極板を挿入した。次に、未化成の正極板と、前記袋状セパレータに挿入された未化成の負極板とが交互に積層されるように、6枚の未化成の負極板及び5枚の未化成の正極板を積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。前記極板群を電槽に挿入して2V単セル電池(JIS D 5301規定のB19サイズの単セルに相当)を組み立てた。この電池に希硫酸(化成前の比重:1.28(20℃換算))を注液した後に、50℃の水槽中、通電電流10Aで16時間の条件で化成して鉛蓄電池を得た。
【0090】
<電池特性の評価>
前記2V単セル電池を用いて、充電受け入れ性及び放電特性を下記のとおり測定した。実験例1の充電受け入れ性及び放電特性の測定結果をそれぞれ100とし、下記基準に基づき相対評価した。結果を表1に示す。
S:実験例1の測定結果100に対して105以上である。
A:実験例1の測定結果100に対して100以上105未満である。
B:実験例1の測定結果100に対して95以上100未満である。
C:実験例1の測定結果100に対して80以上95未満である。
D:実験例1の測定結果100に対して80未満である。
【0091】
(充電受け入れ性)
充電受け入れ性として、電池の充電状態(State of charge)が90%になった状態(つまり、満充電状態から電池容量の10%を放電した状態)において、25℃、2.33Vで定電圧充電し、充電開始から5秒後の電流値を測定した。5秒後の電流値が大きいほど初期の充電受け入れ性が良い電池であると評価される。
【0092】
(放電特性)
放電特性として、−15℃において5Cで定電流放電し、電池電圧が1.0Vに達するまでの放電持続時間を測定した。放電持続時間が長いほど放電特性に優れる電池であると評価される。なお、前記Cは、満充電状態から定格容量を定電流放電するときの電流の大きさを相対的に表したものであり、“放電電流値(A)/電池容量(Ah)”を意味する。
【0093】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性及び放電特性を得ることが可能なビスフェノール系樹脂及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、前記ビスフェノール系樹脂を用いた電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法を提供することができる。
図1