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特開2019-218520光硬化性樹脂組成物及び樹脂成型体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218520(P2019-218520A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】光硬化性樹脂組成物及び樹脂成型体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   C08F290/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-119002(P2018-119002)
(22)【出願日】2018年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】高木 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】宮本 祐樹
【テーマコード(参考)】
4J127
【Fターム(参考)】
4J127AA03
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC151
4J127BD481
4J127BG181
4J127BG18Y
4J127BG271
4J127BG27Y
4J127CA02
4J127CB151
4J127CB371
4J127CC021
4J127CC112
4J127CC172
4J127FA01
4J127FA37
4J127FA41
(57)【要約】
【課題】 硬化収縮が小さく、且つ、充分な耐移行性を有する樹脂成型体を形成できる光硬化性樹脂組成物及びそれを用いる樹脂成型体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 光重合性樹脂組成物は、(A)光重合性化合物と、(B)光重合開始剤とを含有し、(A)成分が、(1)単官能の重合性化合物、(2)重量平均分子量が500〜100000の2官能のポリエステル系ウレタンアクリレート、及び(3)エステル結合を含んでいてもよい炭素数の合計が6〜14の直鎖状アルキレン基を含有する、3〜9官能の重合性化合物を含み、(2)成分と(3)成分との質量比(2)成分/(3)成分が、1/4〜3/2である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)光重合性化合物と、(B)光重合開始剤と、を含有し、
前記(A)成分が、(1)単官能の重合性化合物、(2)重量平均分子量が500〜100000の2官能のポリエステル系ウレタンアクリレート、及び(3)エステル結合を含んでいてもよい炭素数の合計が6〜14の直鎖状アルキレン基を含有する、3〜9官能の重合性化合物を含み、前記(2)成分と前記(3)成分との質量比(2)成分/(3)成分が、1/4〜3/2である、光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(3)成分が、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含む、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(1)成分が、イソボルニルアクリレートを含む、請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(1)成分と、前記(2)成分及び前記(3)成分との質量比(1)成分/[(2)成分+(3)成分]が、1/3〜1/1である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
25℃における粘度が0.1〜10Pa・sである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
無溶剤型である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
光透過部を有する成型用の型内で請求項1〜6のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を光照射により硬化する光照射工程を備える、樹脂成型体の製造方法。
【請求項8】
前記光照射工程において、前記成型用の型内で電子部品を共存させて前記光硬化性樹脂組成物から前記電子部品の外枠を形成する、請求項7に記載の樹脂成型体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物及び樹脂成型体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビやスマートフォン等の筐体には熱硬化性樹脂を射出成形した樹脂成型体が多く利用されている。熱硬化性樹脂は耐熱性、機械的強度及び寸法安定性等の点で優れているが、その成型プロセスにおいては材料、温度、圧力等の条件によって金型が摩耗しやすく、摺動部の摩耗も起こりやすい。
【0003】
熱硬化性樹脂以外の硬化性材料としては、紫外線硬化性樹脂が知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。このような材料は、低温硬化が可能であり、硬化速度が速く、材料の保存安定性に優れることから、作業時間の短縮化、プロセスの簡略化を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−193596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、紫外線硬化性樹脂として一般的なアクリレートのラジカル重合による硬化機構は、硬化収縮が大きいため、体積の大きな筐体に適用するのが難しい。
【0006】
また、筐体などに用いられる樹脂成型体は、製品を梱包するための梱包シートに触れる可能性がある。この場合、樹脂成型体の耐移行性が不充分であると、樹脂成型体の表面に梱包シートの跡が付く恐れがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、硬化収縮が小さく、且つ、充分な耐移行性を有する樹脂成型体を形成できる光硬化性樹脂組成物及びそれを用いる樹脂成型体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、光重合性化合物及び光重合開始剤を含む光硬化性樹脂組成物において、光重合性化合物として単官能の重合性化合物と、特定の分子量を有する2官能のポリエステル系ウレタンアクリレートと、特定の構造を有する3〜9官能の重合性化合物を組み合わせて配合し、2官能の重合性化合物と3〜9官能の重合性化合物との割合を特定の範囲とすることにより、硬化収縮を抑制しつつ充分な耐移行性を有する樹脂成型体を光照射により形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)光重合性化合物と、(B)光重合開始剤とを含有し、(A)成分が、(1)単官能の重合性化合物、(2)重量平均分子量が500〜100000の2官能のポリエステル系ウレタンアクリレート、及び(3)エステル結合を含んでいてもよい炭素数の合計が6〜14の直鎖状アルキレン基を含有する、3〜9官能の重合性化合物を含み、(2)成分と(3)成分との質量比(2)成分/(3)成分が、1/4〜3/2である光硬化性樹脂組成物を提供する。
【0010】
本発明の光硬化性樹脂組成物によれば、上記構成を有することにより、硬化収縮を抑制しつつ充分な耐移行性を有する樹脂成型体を光照射により形成することができる。
【0011】
上記の効果が得られる理由としては、光硬化性樹脂組成物に(1)成分とともに上記特定の割合で(2)成分及び(3)成分が配合されることによって、組成物を成型用の型内に充填可能なものとしながら、光硬化後には硬化物中に(2)成分に由来するソフトセグメントと(3)成分に由来するハードセグメント及びソフトセグメントをバランスよく組み込むことができたためと本発明者らは推察する。
【0012】
ハードセグメントを形成して硬化物の硬度を担保しつつ、硬化物の収縮応力を低く抑える観点から、上記(3)成分が、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含むことが好ましい。
【0013】
上記の(2)成分との相溶性が高く、単体の粘度が低いことで、光硬化性樹脂組成物の粘度を低く抑えることができる観点から、上記(1)成分が、イソボルニルアクリレートを含むことが好ましい。
【0014】
光硬化性樹脂組成物の充填性と、硬化物の収縮応力の抑制とを両立する観点から、上記(1)成分と、上記(2)成分及び上記(3)成分との質量比(1)成分/[(2)成分+(3)成分]が、1/3〜1/1であることが好ましい。
【0015】
また、光硬化性樹脂組成物の鋳型への流し込みやすさ(流動性)及びハンドリング性の観点から、光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が0.1〜10Pa・sであることが好ましい。
【0016】
本発明の光硬化性樹脂組成物は無溶剤型であってもよい。ここで無溶剤型とは、光硬化性樹脂組成物の硬化物に組み込まれない溶剤成分が実質的に含まれないことを意味する。かかる溶剤成分の含有量は、組成物全量基準で50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
【0017】
本発明はまた、光透過部を有する成型用の型内で上記本発明に係る光硬化性樹脂組成物を光照射により硬化する光照射工程を備える樹脂成型体の製造方法を提供する。
【0018】
本発明の樹脂成型体の製造方法によれば、本発明に係る光硬化性樹脂組成物を用いることにより、硬化収縮を抑制しつつ充分な耐移行性を有する樹脂成型体を光照射により形成できる。本発明の樹脂成型体の製造方法は、低温硬化及び速硬化が可能になることから、作業時間の短縮化、プロセスの簡略化を図ることができる。
【0019】
上記光照射工程において、成型用の型内で電子部品を共存させて光硬化性樹脂組成物から電子部品の外枠を形成することができる。この場合、外枠付電子部品を得ることができ、特に電子部品が液晶モジュールなどの画像表示部材であると、外枠付きの液晶表示パネルを簡便に製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、硬化収縮が小さく、且つ、充分な耐移行性を有する樹脂成型体を形成できる光硬化性樹脂組成物及びそれを用いる樹脂成型体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】樹脂成型体の製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。
図2】樹脂成型体の製造方法の他の実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することがある。上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0023】
本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0024】
また、本明細書において「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
【0025】
また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0026】
さらに、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
また、本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0028】
<光硬化性樹脂組成物>
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、(A)光重合性化合物(以下、(A)成分という場合もある)と、(B)光重合開始剤(以下、(B)成分という場合もある)とを含有する。
【0029】
本実施形態において(A)成分は、(1)単官能の重合性化合物(以下、(1)成分という場合もある)、(2)重量平均分子量が500〜100000の2官能のポリエステル系ウレタンアクリレート(以下、(2)成分という場合もある)、及び(3)エステル結合を含んでいてもよい炭素数の合計が6〜14の直鎖状アルキレン基を含有する、3〜9官能の重合性化合物(以下、(3)成分という場合もある)を含むことができる。本実施形態の光硬化性樹脂組成物によれば、これらの3種類の重合性化合物を含むことにより、硬化収縮を抑制しつつ充分な耐移行性を有する樹脂成型体を光照射により形成することができる。
【0030】
上記の単官能、2官能、3〜9官能とは、重合性化合物が有する重合性の官能基の数を意味する。例えば、ラジカル重合性化合物の場合、重合性の官能基としてエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
【0031】
本明細書において重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレン換算した値を意味する。
【0032】
[(A)成分]
(1)単官能の重合性化合物
(1)成分としては、単官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。単官能(メタ)アクリレート化合物としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート;ジメチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン等のモルホリン基含有(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0033】
オリゴマー成分(例えば、(2)成分)との相溶性が高く、単体の粘度が低いことで、最終配合樹脂の粘度を低く抑えることができる観点から、上記(1)成分が、イソボルニルアクリレートを含むことが好ましい。
【0034】
(2)重量平均分子量が500〜100000の2官能のポリエステル系ウレタンアクリレート
(2)成分としては、例えば、KAYARAD UX−4101、KAYARAD UX−3204(日本化薬株式会社製、製品名)などの市販品を用いることができる。
【0035】
(2)成分の重量平均分子量は、架橋点間の分子量を適度な範囲とする観点から、1000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、3000〜20000が更に好ましい。
【0036】
(3)エステル結合を含んでいてもよい炭素数の合計が6〜14の直鎖状アルキレン基を含有する、3〜9官能の重合性化合物
(3)成分は、下記一般式(A)で表される重合性化合物を用いることができる。
[X](−L−Y(−Y …(A)
[式(A)中、Xは、(n+m)価の有機基を示し、Y及びYは重合性の官能基を示し、Lは、エステル結合を含んでいてもよい炭素数の合計が6〜14の直鎖状アルキレン基を示し、nは1〜9の整数を示し、mは0〜8の整数を示し、n+mは3〜9である。]
【0037】
及びYとしては、エチレン性不飽和基が挙げられる。
【0038】
Lとしては、例えば、−C(O)O−(C10)−C(O)O−(C10)−C(O)O−、−C(O)O−(C10)−C(O)O−(C)−などが挙げられる。
【0039】
n+mは、3〜6が好ましく、3又は6がより好ましい。
【0040】
(3)成分としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のアルキル変性物並びにカプロラクトン変性物が挙げられる。
【0041】
(3)成分は、ハードセグメントを形成して硬化物の硬度を担保しつつ、硬化物の収縮応力を低く抑える観点から、カプロラクトン変性物であることが好ましい。このような化合物としては、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン構造含有多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0042】
カプロラクトン変性物は、例えば、KAYARAD DPCA−120(日本化薬株式会社製、製品名)、A−9300−1CL(新中村化学工業株式会社製)などの市販品を用いることができる。
【0043】
ハードセグメントを形成して硬化物の硬度を担保しつつ、硬化物の収縮応力を低く抑える観点から、(3)成分が、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含むことが好ましい。
【0044】
本実施形態の光硬化性樹脂組成物においては、硬化収縮の抑制と、樹脂成型体の耐移行性とを両立させる観点から、(2)成分と(3)成分との質量比(2)成分/(3)成分が、1/4〜3/2であることが好ましい。
【0045】
また、本実施形態の光硬化性樹脂組成物においては、光硬化性樹脂組成物の充填性と、収縮応力の抑制とを両立する観点から、(1)成分と、(2)成分及び上記(3)成分との質量比(1)成分/[(2)成分+(3)成分]が、1/3〜1/1であることが好ましい。
【0046】
本実施形態において、(A)光重合性化合物は、上記(1)〜(3)成分以外の重合性化合物を含んでいてもよい。
【0047】
樹脂組成物の安定性の観点から、上記(1)〜(3)成分の合計が、(A)成分全量基準で80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
【0048】
[(B)成分]
光重合開始剤としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤等のラジカル系光重合開始剤が挙げられる。
【0049】
光重合開始剤の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜2.0質量部がより好ましい。
【0050】
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、熱硬化性樹脂、硬化剤及び硬化促進剤等の熱硬化性成分を含むことができる。
【0051】
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を更に含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、顔料等の着色剤、充填剤、熱重合開始剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、安定剤、光増感剤、紫外線吸収剤が挙げられる。
【0052】
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は液状であることが好ましい。なお、本明細書において液状とは、常温常圧(1atm、25℃)において流動性を有することをいう。
【0053】
本実施形態においては、充填性の観点から、光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が、0.1Pa・s〜10Pa・Sであることが好ましく、0.2Pa・s〜5.0Pa・Sであることがより好ましく、0.2Pa・s〜3.0Pa・Sであることが更に好ましく、0.2Pa・s〜1.0Pa・Sであることが更により好ましい。ここでいう粘度は、JIS Z 8803に基づいて測定した値であり、具体的には、B型粘度計(東機産業(株)製、BL2)により測定する。なお、粘度計の校正は、JIS Z 8809−JS14000に基づいて行うことができる。
【0054】
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、例えば、ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン及びN−メチル−ピロリジノン、水などの溶剤を含むことができる。
【0055】
本発明の光硬化性樹脂組成物は無溶剤型であってもよい。ここで無溶剤型とは、光硬化性樹脂組成物の硬化物に組み込まれない溶剤成分(例えば上記の溶剤)が実質的に含まれないことを意味する。かかる溶剤成分の含有量は、組成物全量基準で50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
【0056】
<樹脂成型体の製造方法>
本実施形態の樹脂成型体の製造方法は、光透過部を有する成型用の型内に、上述した本実施形態の光硬化性樹脂組成物を充填する充填工程(I)と、充填された光硬化性樹脂組成物を光照射により硬化する光照射工程(II)とを備える。
【0057】
図1は、樹脂成型体を製造する方法の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示される方法では、充填工程(I)において、成型用の型として、光硬化性樹脂組成物を充填するための第1の型10と、該第1の型に充填された光硬化性樹脂組成物を密閉するための第2の型20とを使用している。すなわち、第1の型10内に、充填口50から光硬化性樹脂組成物1を充填し(図1の(a))、その後、第2の型20によって充填された光硬化性樹脂組成物1を密閉する(図1の(b))。
【0058】
第1の型の形状としては、充填された光硬化性樹脂組成物を保持できるものであれば特に限定されず、例えば、底面と底面の外周部から起立する内側面とを有する凹状部が設けられた型が挙げられる。第2の型の形状としては、第1の型に充填された光硬化性樹脂組成物が漏れ出さないように第1の型の蓋として機能できるものであればよく、例えば、板状の型が挙げられる。
【0059】
成型用の型の材質としては、光透過性及び硬化物との離型性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン、離形処理されたガラス、離形処理されたポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。離形処理としては、テフロン(登録商標)コーティング、エンポス加工、油等のグリス成分、及び各種離形剤などを利用することができる。
【0060】
本実施形態においては、第1の型10が光透過性を有する材質から構成されているが、第2の型が光透過性を有する材質から構成されていてもよい。
【0061】
また、光透過部を有する成型用の型は、内部の光硬化性樹脂組成物が充分に光硬化するのであれば、光透過部が一部に設けられていてもよい。
【0062】
充填方法としては、公知の充填手段を適宜用いることができ、本実施形態においては、気泡が含有しないような方法が好ましい。
【0063】
光照射工程(II)では、光硬化性樹脂組成物1に光Lを照射する(図1の(c)を参照)。光としては、紫外線(UV)(光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、LEDランプなど)が挙げられる。露光は、真空下、窒素下、空気下などの雰囲気下で行なうことができる。
【0064】
本実施形態においては、光硬化性樹脂組成物に光を照射することにより、光硬化性樹脂組成物を硬化して樹脂成型体とすることができる。露光量は、タクトタイム短縮、発熱の抑制の観点から、5〜10000mJ/cmが好ましい。必要に応じて、光照射に加えて、加熱を行ってもよい。
【0065】
上記の各工程を経て、光硬化性樹脂組成物の硬化物2からなる樹脂成型体100を得ることができる(図2の(d)を参照)。
【0066】
本実施形態に係る樹脂成型体は、従来の射出成型によって作製されている射出成型品の代替とすることができ、例えば、電子機器・電化製品の筐体、外装材として好適である。
【0067】
図2は、樹脂成型体を製造する方法の他の実施形態を示す模式断面図である。図2に示される方法では、上記の充填工程(I)において、成型用の型内に電子部品5が配されているところに光硬化性樹脂組成物を充填し、上記の光照射工程(II)において、電子部品5を共存させた状態で光硬化性樹脂組成物を光照射により硬化し、樹脂成型体3を形成している。これにより、樹脂成型体付電子部品101を製造することができる。なお、成型用の型、光硬化性樹脂組成物及びその充填、光照射等の条件については上記と同様にすることができる。
【0068】
電子部品5としては、液晶モジュール、有機ELディスプレイ等の画像表示部材が挙げられる。
【0069】
樹脂成型品3としては、外枠、筐体等の外装材が挙げられる。電子部品5が液晶モジュールである場合、外枠付きの液晶表示パネルを製造することができる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0071】
[光硬化性樹脂組成物の調製]
(実施例1)
光重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、製品名「IRGACURE184」)0.5質量部、単官能アクリレートとしてイソボルニルアクリレート40質量部、2官能のウレタンアクリレートであるUX−4101(日本化薬株式会社製、製品名、平均分子量(Mw)6500)30質量部、及び、6官能のε−カプロラクトン構造含有(メタ)アクリレートであるKAYARAD DPCA−120(日本化薬株式会社製、製品名)30質量部を、60℃で1時間加熱攪拌した。こうして、光硬化性樹脂組成物を得た。25℃の粘度は、1.3Pa・sであった。
【0072】
粘度は、JIS Z 8803に基づいて測定した値であり、具体的には、B型粘度計(東機産業(株)製、BL2)により測定した。なお、粘度計の校正は、JIS Z 8809−JS14000に基づいて行った。
【0073】
(実施例2、比較例1〜5)
表1に示す成分を、同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、60℃で1時間加熱攪拌し、光硬化性樹脂組成物を調製した。上記と同様にして測定した25℃の粘度を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
表1中の成分の記号は以下の意味を示す。
[(A)光重合性化合物]
(1)成分
IBOA:イソボルニルアクリレート
(2)成分
UX−4101:ポリエステル系ウレタンアクリレート(日本化薬株式会社製、製品名「UX−4101」、平均分子量(Mw)6500、2官能)
(3)成分
DPCA−120:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、製品名「KAYARAD DPCA−120」、6官能)
(その他)成分
UN−6060S:ポリエーテル系ウレタンアクリレート(根上工業株式会社製、製品名「UN−6060S」、平均分子量(Mw)6000、2官能)
TEAI−1000:ポリブタジエン系ウレタンアクリレート(日本曹達株式会社製、製品名「TEAI−1000」、平均分子量(Mw)1000、2官能)
UN−904:ウレタンアクリレート(根上工業株式会社製、製品名「UN−904」、平均分子量(Mw)4900、10官能)
【0076】
[(B)光重合開始剤]
IRGACURE184:BASF社製、製品名
【0077】
[硬化収縮の評価]
ガラス板上に3mm×200mm×厚み3mmの成型体を形成するための鋳型を設け、この鋳型内に光硬化性樹脂組成物を流し込んだ。鋳型に充填された光硬化性樹脂組成物に、UV−LEDを用いて365nmの光を3000mJ/cmの露光量で照射した。
【0078】
光硬化性樹脂組成物の硬化物とガラス板との界面を目視により観察し、下記の判定基準で硬化収縮を評価した。
A:硬化物とガラス板との界面に剥離が見られない。(硬化収縮が小さい)
C:硬化物とガラス板との界面に剥離が発生。(硬化収縮が大きい)
【0079】
[耐移行性の評価]
フィルム状に形成した光硬化性樹脂組成物に、UV−LEDを用いて365nmの光を3000mJ/cmの露光量で照射し、樹脂フィルムを作製した。
【0080】
樹脂フィルム上に、25mm×25mmの梱包シートを載せ、この梱包シート上に100gの荷重が掛かるように重りを更に載せた。これを、温度85℃、湿度90%の環境下で24時間保管した。保管後の樹脂フィルムの表面を目視により観察し、下記の判定基準で耐移行性を評価した。
A:樹脂フィルムの表面に梱包シートの跡が見られない。
C:樹脂フィルムの表面に梱包シートの跡がついている。
【符号の説明】
【0081】
1…光硬化性樹脂組成物、2…樹脂成型体(光硬化性樹脂組成物の硬化物)、3…樹脂成型体(光硬化性樹脂組成物の硬化物)、5…電子部品、10…第1の型、20…第2の型、50…充填口、100…樹脂成型体、101…樹脂成型体付電子部品。
図1
図2