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特開2019-218616制御装置、成膜装置、制御方法、成膜方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218616(P2019-218616A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】制御装置、成膜装置、制御方法、成膜方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/54 20060101AFI20191129BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20191129BHJP
   H01L 21/312 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   C23C14/54 D
   C23C14/12
   H01L21/312 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-117920(P2018-117920)
(22)【出願日】2018年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(72)【発明者】
【氏名】野沢 秀二
(72)【発明者】
【氏名】藤川 誠
【テーマコード(参考)】
4K029
5F058
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029BA62
4K029BD01
4K029CA11
4K029DA03
4K029DA09
4K029EA03
4K029EA08
5F058AC10
5F058AF01
5F058AF10
(57)【要約】
【課題】複数種類の原料からの膜の生成を容易に制御する。
【解決手段】制御装置は、取得部と、選択部と、算出部と、制御部とを備える。取得部は、被処理体に膜を生成するために用いられる複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータおよび被処理体について設定された所定の飽和蒸気圧の値を取得する。選択部は、飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて複数種類の原料のうち、ある温度において最も低い飽和蒸気圧を有する原料を選択する。算出部は、選択された原料についての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて選択された原料についての所定の飽和蒸気圧の値に対応する温度を算出する。制御部は、被処理体の温度を算出された温度に制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体に膜を生成するために用いられる複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータおよび前記被処理体について設定された所定の飽和蒸気圧の値を取得する取得部と、
前記飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて前記複数種類の原料のうち、ある温度において最も低い飽和蒸気圧を有する原料を選択する選択部と、
前記選択された原料についての前記飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて前記選択された原料についての前記所定の飽和蒸気圧の値に対応する温度を算出する算出部と、
前記被処理体の温度を前記算出された温度に制御する制御部と
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記被処理体について設定された第1の飽和蒸気圧の値と前記被処理体が搬入されるチャンバーおよび前記チャンバーに接続される排気管の少なくとも一方について設定された、前記第1の飽和蒸気圧の値よりも高い第2の飽和蒸気圧の値とを取得し、
前記算出部は、前記選択された原料についての前記第1の飽和蒸気圧の値に対応する第1の温度および前記第2の飽和蒸気圧の値に対応する第2の温度を算出し、
前記制御部は、前記被処理体の温度を前記第1の温度に制御し、前記チャンバーおよび前記排気管の少なくとも一方の温度を前記第2の温度に制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記被処理体について設定された第1の飽和蒸気圧の値と前記被処理体が搬入されるチャンバー内で発生したパーティクルを捕獲する捕獲装置について設定された、前記第1の飽和蒸気圧の値よりも低い第3の飽和蒸気圧の値とを取得し、
前記算出部は、前記選択された原料についての前記第1の飽和蒸気圧の値に対応する第1の温度および前記第3の飽和蒸気圧の値に対応する第3の温度を算出し、
前記制御部は、前記被処理体の温度を前記第1の温度に制御し、前記捕獲装置の温度を前記第3の温度に制御する、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記複数種類の原料は、前記ある温度において最も低い飽和蒸気圧を有する原料および前記ある温度において前記最も低い飽和蒸気圧よりも少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する少なくとも一つの原料を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
被処理体が搬入されるチャンバーと、
前記被処理体に膜を生成するために用いられる複数種類の原料をそれぞれ収容する複数の原料供給源と、
前記チャンバーへ前記複数種類の原料をそれぞれ供給する複数の供給管と、
前記チャンバーに接続される排気管と、
請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置と
を備える、成膜装置。
【請求項6】
被処理体に膜を生成するために用いられる複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータおよび前記被処理体について設定された所定の飽和蒸気圧の値を取得することと、
前記飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて前記複数種類の原料のうち、ある温度において最も低い飽和蒸気圧を有する原料を選択することと、
前記選択された原料についての前記飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて前記選択された原料についての前記所定の飽和蒸気圧の値に対応する温度を算出することと、
前記被処理体の温度を前記算出された温度に制御することと
を含む、制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の制御方法と、
前記複数種類の原料を用いて前記被処理体に前記膜を生成することと
を含む、成膜方法。
【請求項8】
被処理体に膜を生成するために用いられる複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータおよび前記被処理体について設定された所定の飽和蒸気圧の値を取得することと、
前記飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて前記複数種類の原料のうち、ある温度において最も低い飽和蒸気圧を有する原料を選択することと、
前記選択された原料についての前記飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて前記選択された原料についての前記所定の飽和蒸気圧の値に対応する温度を算出することと、
前記被処理体の温度を前記算出された温度に制御することと
を含む処理をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、成膜装置、制御方法、成膜方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、芳香族アルキル、脂環状又は脂肪族のジイソシアネートモノマーと、芳香族アルキル、脂環状又は脂肪族のジアミンモノマーの真空蒸着重合によるポリユリア膜の製造方法を開示する。特許文献1では、ジイソシアネートモノマーおよびジアミンモノマーとして、基材からの脱離に必要な活性化エネルギーの差が10kJ以下の関係にあるものが用いられている。特許文献1に開示された技術によれば、透明性、耐光性及び量産性に優れたポリユリア膜の成膜方法が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/129925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数種類の原料からの膜の生成を容易に制御することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による制御装置は、被処理体に膜を生成するために用いられる複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータおよび被処理体について設定された所定の飽和蒸気圧の値を取得する取得部と、飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて複数種類の原料のうち、ある温度において最も低い飽和蒸気圧を有する原料を選択する選択部と、選択された原料についての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて選択された原料についての所定の飽和蒸気圧の値に対応する温度を算出する算出部と、被処理体の温度を算出された温度に制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、複数種類の原料からの膜の生成を容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態による成膜装置の構成の一例を示す断面図である。
図2図2は、本開示の一実施形態による制御方法の一例を説明する図である。
図3図3は、本開示の一実施形態による制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、本開示の一実施形態による制御装置に含まれる飽和蒸気圧曲線データの一例を示す図である。
図5図5は、本開示の一実施形態による制御装置に含まれる飽和蒸気圧設定値の一例を示す図である。
図6図6は、本開示の一実施形態による制御装置に含まれる選択部の動作の一例を説明する図である。
図7図7は、本開示の一実施形態による制御装置に含まれる算出部の動作の一例を説明する図である。
図8図8は、本開示の一実施形態によるに係る制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、本開示の一実施形態によるに係る成膜方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、本開示の一実施形態の変形例による制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図11図11は、本開示の一実施形態の変形例による制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、本開示の一実施形態による制御方法の第1の実施例を説明する図である。
図13図13は、本開示の一実施形態による制御方法の第2の実施例を説明する図である。
図14図14は、本開示の一実施形態による制御方法の第3の実施例を説明する図である。
図15図15は、制御装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する制御装置、成膜装置、制御方法、成膜方法、および制御プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
<成膜装置>
まず、図1を参照して本開示の一実施形態による成膜装置1の構成の一例を説明する。図1は、本開示の一実施形態による成膜装置1の構成の一例を示す断面図である。成膜装置1は、被処理体Wに膜を生成する装置である。成膜装置1は、例えば、化学真空蒸着(CVD)装置である。被処理体Wは、例えば、半導体装置の基板であるウェハである。
【0010】
以下の説明においては、被処理体Wに膜を生成するために用いられる複数種類の原料が、二種類の原料、例えば、第1の原料としての原料Aおよび第2の原料としての原料B、である場合を説明する。例えば、被処理体Wにポリ尿素の膜を生成する場合には、原料Aおよび原料Bは、例えば、ジイソシアナートおよびジアミンである。成膜装置1において、被処理体Wの表面においてジイソシアナートおよびジアミンを蒸着重合させることによって、被処理体Wの表面にポリ尿素の膜を生成する。
【0011】
成膜装置1は、チャンバー10と、第1の原料供給源11aと、第2の原料供給源11bと、第1の気化器12aと、第2の気化器12bと、第1の供給管13aと、第2の供給管13bと、排気装置14と、排気管15と、捕獲装置16とを備える。
【0012】
チャンバー10は、真空雰囲気を区画する内壁を有する真空容器である。ここで、真空雰囲気は、例えば、中真空(100〜0.1Pa)である。チャンバー10には、被処理体Wが搬入される。チャンバー10は、チャンバー10の内部における真空雰囲気の温度を調節する機構を有する。例えば、チャンバー10は、チャンバー10の内壁を加熱するヒーターを有する。
【0013】
第1の原料供給源11aは、第1の原料としての原料Aの液体を収容する。第1の原料供給源11aは、液体の状態における原料Aを第1の気化器12aに供給する。
【0014】
第2の原料供給源11bは、第2の原料としての原料Bの液体を収容する。第2の原料供給源11bは、液体の状態における原料Bを第2の気化器12bに供給する。
【0015】
第1の気化器12aは、第1の原料供給源11aから供給される原料Aの液体を気化する。第1の気化器12aは、例えば、第1の原料供給源11aから供給される原料Aの液体を加熱するヒーターを有する。
【0016】
第2の気化器12bは、第2の原料供給源11bから供給される原料Bの液体を気化する。第2の気化器12bは、例えば、第2の原料供給源11bから供給される原料Bの液体を加熱するヒーターを有する。
【0017】
第1の供給管13aは、第1の原料供給源11aおよび第1の気化器12aをチャンバー10に接続する。第1の供給管13aは、第1の気化器12aによって生成された原料Aの気体をチャンバー10へ供給する。第1の供給管13aは、第1の供給管13a内を流動する原料Aの気体の温度を調節する機構、例えば、第1の供給管13aを加熱するヒーターを有する。
【0018】
第2の供給管13bは、第2の原料供給源11bおよび第2の気化器12bをチャンバー10に接続する。第2の供給管13bは、第2の気化器12bによって生成された原料Bの気体をチャンバー10へ供給する。第2の供給管13bは、第2の供給管13b内を流動する原料Bの気体の温度を調節する機構、例えば、第2の供給管13bを加熱するヒーターを有する。
【0019】
排気装置14は、チャンバー10の内部に真空雰囲気を形成するためにチャンバー10内を排気する。排気装置14は、チャンバー10内を排気する真空ポンプおよびチャンバー10の内圧を計測する真空計を含む。
【0020】
排気管15は、排気装置14をチャンバー10に接続する。排気管15は、例えば、チャンバー10内に供給されたが被処理体Wに膜を生成するために利用されなかった原料Aの未反応の気体および原料Bの未反応の気体を排気する。また、排気管15は、例えば、チャンバー10内で発生したパーティクルを排気する。チャンバー10内で発生したパーティクルは、例えば、チャンバー10内に供給されたが被処理体Wに膜を生成するために利用されなかった原料Aおよび原料Bの反応生成物を含む。
【0021】
捕獲装置16は、チャンバー10内で発生したパーティクルを捕獲する。捕獲装置16は、チャンバー10内で発生したパーティクルを捕獲する機能を有する材料で形成された部材(以下、「パーティクル捕獲機能部材」と称する)を含む。例えば、捕獲装置16は、金属製のメッシュ等を含む網目状の部材を含む。捕獲装置16は、パーティクル捕獲機能部材の温度を調節する機構、例えば、水冷等によりパーティクル捕獲機能部材を冷却する機構を有する。捕獲装置16は、チャンバー10と排気装置14との間における排気管15に設けられる。
【0022】
チャンバー10は、載置台17とシャワーヘッド18とを備える。
【0023】
載置台17は、チャンバー10の内部に搬入された被処理体Wを上面に載置する。載置台17は、例えば、チャンバー10の下部に設けられる。載置台17は、上面に載置された被処理体Wの温度を調節する機構、例えば、上面に載置された被処理体Wを加熱するヒーターを有する。
【0024】
シャワーヘッド18は、第1の供給管13aを通じて供給される原料Aの気体および第2の供給管13bを通じて供給される原料Bの気体をチャンバー10の内部に吐出する。シャワーヘッド18は、例えば、チャンバー10の上部に設けられる。シャワーヘッド18は、第1の供給管13aを通じて供給される原料Aの気体をチャンバー10の内部に吐出する第1の吐出孔および第2の供給管13bを通じて供給される原料Bの気体をチャンバー10の内部に吐出する第2の吐出孔を下面に有する。
【0025】
成膜装置1は、チャンバー10の内部が真空雰囲気である状態において、載置台17の上面に載置された被処理体Wに対して原料Aの気体および原料Bの気体を供給することによって、被処理体Wの表面において原料Aおよび原料Bを反応させる。その結果、成膜装置1は、被処理体Wの表面に膜を生成する。
【0026】
成膜装置1は、制御装置100をさらに備える。制御装置100は、被処理体Wの温度を制御する。制御装置100は、チャンバー10の温度、排気管15の温度、および捕獲装置16の温度の少なくとも一つをさらに制御してもよい。制御装置100は、成膜装置1における制御装置100以外の部分と有線または無線により接続される。制御装置100の構成の一例については後述する。
【0027】
<制御方法>
従来は、被処理体Wに膜を生成する際に、チャンバー10内における原料Aの蒸気圧(分圧)および原料Bの蒸気圧(分圧)の差が低減されるように、チャンバー10に供給される原料Aおよび原料Bの各々の流量を精度よく制御する。しかしながら、原料Aおよび原料Bの各々の流量を精度よく制御するため、原料Aおよび原料Bからの膜の生成を容易に制御することができなかった。本実施形態においては、原料Aおよび原料Bからの膜の生成を容易に制御することができる技術を提供する。
【0028】
成膜装置1において、原料Aおよび原料Bを用いることによって被処理体Wに膜を生成する速度(以下「成膜速度」と称する)は、膜を生成するために用いられる原料Aおよび原料Bの種類および被処理体Wの温度等に依存する。本実施形態においては、原料Aおよび原料Bのうち、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料Aの飽和蒸気圧曲線に基づいて、被処理体Wの温度を制御する。具体的には、原料Aの飽和蒸気圧曲線についての所定の飽和蒸気圧の値に対応する温度に被処理体Wの温度を制御する。
【0029】
本実施形態においては、原料Aおよび原料Bのうち、原料Aの飽和蒸気圧曲線に基づいて被処理体Wの温度を制御する場合であっても、ある一定の範囲の成膜速度で被処理体Wに膜を生成することができることを見出した。ここで、ある一定の範囲の成膜速度は、例えば、1nm/分〜1000nm/分である。本実施形態においては、原料Aの蒸気圧(分圧)が所定の飽和蒸気圧であるように、原料Aの流量を制御する。一方、本実施形態においては、ある温度においてより高い飽和蒸気圧を有する原料Bの流量の公差を増加させることができる。よって、本実施形態においては、原料Aおよび原料Bからの膜の生成を容易に制御することができる。
【0030】
次に、図2を参照して、本開示の一実施形態による制御方法の一例を説明する。図2は、本開示の一実施形態による制御方法の一例を説明する図である。本開示の一実施形態による制御方法は、成膜装置1に含まれる制御装置100によって実行される。
【0031】
図2は、原料Aの飽和蒸気圧曲線および原料Bの飽和蒸気圧曲線を示す。図2において、横軸および縦軸は、それぞれ、被処理体Wの絶対温度Tの逆数および原料Aまたは原料Bの飽和蒸気圧Pの対数を表す。図2においては、原料Aまたは原料Bの飽和蒸気圧曲線は、原料Aまたは原料Bの飽和蒸気圧Pの対数logPおよび被処理体Wの絶対温度Tの逆数(1/T)によって表される。原料Aまたは原料Bの飽和蒸気圧Pの対数logPおよび被処理体Wの絶対温度Tの逆数(1/T)は、概ね線形の関係を有する。
【0032】
図2において、原料Aの飽和蒸気圧曲線は、logP=S(A)×(1/T)+I(A)で表される直線Aによって近似される。S(A)およびI(A)は、それぞれ、直線Aの傾きおよび切片である。原料Bの飽和蒸気圧曲線は、logP=S(B)×(1/T)+I(B)で表される直線Bによって近似される。S(B)およびI(B)は、それぞれ、直線Bの傾きおよび切片である。図2に示すように、原料Aは、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料である。原料Bは、ある温度においてより高い飽和蒸気圧を有する原料である。
【0033】
図2に示す所定の飽和蒸気圧の値Pは、被処理体Wに膜を生成するために被処理体Wについて設定された所定の飽和蒸気圧の値である。図2に示す温度Tは、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料である原料Aについての所定の飽和蒸気圧の値Pに対応する被処理体Wの絶対温度である。
【0034】
制御装置100は、原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータとしてのS(A)およびI(A)、原料Bについての飽和蒸気圧曲線のデータとしてのS(B)およびI(B)、および、被処理体Wについて設定された所定の飽和蒸気圧の値Pを取得する。
【0035】
制御装置100は、S(A)、I(A)、S(B)、およびI(B)に基づいて、原料Aおよび原料Bのうち、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料である原料Aを選択する。
【0036】
制御装置100は、選択された原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータS(A)およびI(A)に基づいて、選択された原料Aについての所定の飽和蒸気圧の値Pに対応する温度Tを算出する。
【0037】
制御装置100は、被処理体Wの温度が、算出された温度Tとなるように載置台17内のヒーター等を制御する。このように、制御装置100は、原料Aおよび原料Bのうち、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料である原料Aの飽和蒸気圧曲線に基づいて、被処理体Wの温度を、原料Aについての所定の飽和蒸気圧の値Pに対応する温度Tとなるように制御する。
【0038】
<制御装置>
次に、図3を参照して、本開示の一実施形態による制御装置100の構成の一例を説明する。図3は、本開示の一実施形態による制御装置100の構成の一例を示すブロック図である。制御装置100は、例えば、コンピュータである。制御装置100は、記憶部110と、制御部120とを備える。
【0039】
記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)またはフラッシュメモリのような半導体メモリ素子、あるいは、ハードディスクまたは光ディスクのような記憶装置によって実現される。記憶部110には、飽和蒸気圧曲線データ111および飽和蒸気圧設定値112等のデータが格納される。
【0040】
飽和蒸気圧曲線データ111は、被処理体Wに膜を生成するために用いられる複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータである。ここで、図4を参照して、本開示の一実施形態による制御装置100に含まれる飽和蒸気圧曲線データ111の一例を説明する。図4は、本開示の一実施形態による制御装置100に含まれる飽和蒸気圧曲線データ111の一例を示す図である。
【0041】
図4に示す例においては、飽和蒸気圧曲線データ111は、「膜識別情報」、「原料識別情報」、「蒸気圧曲線データ1」、および「蒸気圧曲線データ2」のような項目を含む。飽和蒸気圧曲線データ111において、「膜識別情報」、「原料識別情報」、「蒸気圧曲線データ1」、および「蒸気圧曲線データ2」の項目に記憶される情報は、互いに関連付けられている。
【0042】
「膜識別情報」は、被処理体Wに生成される膜を識別するための識別情報である。図4に示す例において、「膜識別情報」の項目には、例えば、「膜F」のような情報が記憶される。「膜F」のような情報は、被処理体Wに生成される膜を識別することができる限り特に限定されないが、例えば、ポリ尿素またはポリイミドのような膜の種類の情報である。「膜F」のような情報は、例えば、ユーザによって決定された膜を示す記号または番号であってもよい。
【0043】
「原料識別情報」は、被処理体Wに生成される膜を生成するために用いられる原料を識別するための識別情報である。図4に示す例において、「原料識別情報」の項目には、例えば、「原料A」または「原料B」のような情報が記憶される。「原料A」または「原料B」のような情報は、被処理体Wに生成される膜を生成するために用いられる原料を識別することができる限り特に限定されないが、例えば、膜を生成するために用いられる原料の化合物名である。例えば、「膜F」がポリ尿素である場合には、「原料A」および「原料B」は、例えば、それぞれ、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである。「原料A」または「原料B」のような情報は、例えば、ユーザによって決定された原料を示す記号または番号であってもよい。
【0044】
「蒸気圧曲線データ1」および「蒸気圧曲線データ2」は、被処理体Wに生成される膜を生成するために用いられる原料についての飽和蒸気圧曲線を特定するためのデータである。例えば、飽和蒸気圧曲線が、原料の飽和蒸気圧の対数および被処理体Wの絶対温度の逆数によって表される直線によって近似される場合には、「蒸気圧曲線データ1」および「蒸気圧曲線データ2」の項目には、それぞれ、直線の傾きおよび直線の切片が記憶される。
【0045】
図4に示す例において、例えば、「原料識別情報」が「原料A」である場合には、「蒸気圧曲線データ1」および「蒸気圧曲線データ2」の項目には、それぞれ、「S(A)」および「I(A)」である。例えば、「原料識別情報」が「原料B」である場合には、「蒸気圧曲線データ1」および「蒸気圧曲線データ2」の項目には、それぞれ、「S(B)」および「I(B)」である。「S(A)」、「I(A)」、「S(B)」、および「I(B)」の各々は、数値である。「S(A)」、「I(A)」、「S(B)」、および「I(B)」の各々は、予め実験によって決定されたものであってもよい。
【0046】
図4に示す例においては、飽和蒸気圧曲線データ111は、「膜F」を生成するために用いられる「原料A」および「原料B」についての飽和蒸気圧曲線のデータ「S(A)」、「I(A)」、「S(B)」、および「I(B)」を記憶する。飽和蒸気圧曲線データ111は、例えば、「膜F」を生成するために用いられる「原料A」および「原料B」と異なる二種類の原料(「原料C」および「原料D」)についての飽和蒸気圧曲線のデータを記憶する。飽和蒸気圧曲線データ111は、例えば、「膜F」を生成するために用いられる三種類以上の原料(「原料X」、「原料Y」、および「原料Z」)についての飽和蒸気圧曲線のデータを記憶する。
【0047】
飽和蒸気圧設定値112は、少なくとも被処理体Wについて設定された所定の飽和蒸気圧の値を含む。飽和蒸気圧設定値112は、チャンバー10および排気管15の少なくとも一方について設定された飽和蒸気圧の値を含むものであってもよい。飽和蒸気圧設定値112は、捕獲装置16について設定された飽和蒸気圧の値を含むものであってもよい。
【0048】
ここで、図5を参照して、本開示の一実施形態による制御装置100に含まれる飽和蒸気圧設定値112の一例を説明する。図5は、本開示の一実施形態による制御装置100に含まれる飽和蒸気圧設定値112の一例を示す図である。図5に示す例において、飽和蒸気圧設定値112は、「温度制御対象」および「飽和蒸気圧設定値」のような項目を含む。飽和蒸気圧設定値112において、「温度制御対象」および「飽和蒸気圧設定値」の項目に記憶される情報は、互いに関連付けられている。
【0049】
「温度制御対象」は、制御装置100によって温度が制御される対象を識別するための識別情報である。制御装置100によって温度が制御される対象は、例えば、成膜装置1において用いられる対象または成膜装置1を構成する部材である。図5に示す例において、「温度制御対象」の項目には、例えば、「被処理体」、「チャンバー」、「排気管」、または「捕獲装置」のような情報が記憶される。
【0050】
「飽和蒸気圧設定値」は、制御装置100によって温度が制御される対象付近の真空雰囲気の予め設定された目標の飽和蒸気圧の値である。図5に示す例において、「飽和蒸気圧設定値」の項目に、例えば、「P」、「P」、または「P」のような情報が記憶される。「P」、「P」、または「P」の各々は、数値である。
【0051】
図5に示す例においては、飽和蒸気圧設定値112は、「被処理体」について設定された第1の飽和蒸気圧の値「P」を記憶する。また、飽和蒸気圧設定値112は、「チャンバー」および「排気管」の両方について設定された第2の飽和蒸気圧の値「P」、および「捕獲装置」について設定された第3の飽和蒸気圧の値「P」を記憶する。なお、第2の飽和蒸気圧の値「P」は、「チャンバー」および「排気管」の一方について設定されたものであってもよい。
【0052】
第2の飽和蒸気圧の値「P」は、第1の飽和蒸気圧の値「P」よりも高い。第3の飽和蒸気圧の値「P」は、第1の飽和蒸気圧の値「P」よりも低い。第1の飽和蒸気圧の値「P」は、例えば、10mTorr(1.3332Pa)より高くかつ1Torr(133.32Pa)未満である。第1の飽和蒸気圧の値「P」は、例えば、0.1Torr(13.332Pa)である。第2の飽和蒸気圧の値「P」は、例えば、1Torr(133.32Pa)以上である。第2の飽和蒸気圧の値「P」は、例えば、1Torr(133.32Pa)である。第3の飽和蒸気圧の値「P」は、例えば、10mTorr(1.3332Pa)以下である。第3の飽和蒸気圧の値「P」は、例えば、10mTorr(1.3332Pa)である。
【0053】
図3に示すように、制御部120は、受付部121と、取得部122と、選択部123と、算出部124と、制御部125とを備える。制御部120の内部構成は、図3に示す構成に限定されず、後述する処理を行う構成である限り他の構成であってもよい。制御部120に含まれる複数の処理部の間の接続関係は、図3に示す接続関係に限定されず、他の接続関係であってもよい。
【0054】
受付部121は、被処理体Wに膜を生成するために用いられる原料Aおよび原料Bを識別するための識別情報をユーザから受け付ける。受付部121は、ユーザから受け付けた識別情報を取得部122へ出力する。
【0055】
取得部122は、飽和蒸気圧曲線データ111に記憶された情報の中から、原料Aおよび原料Bについての飽和蒸気圧曲線のデータを取得する。具体的には、取得部122は、「原料識別情報」の項目に記憶される「原料A」の情報についての「蒸気圧曲線データ1」および「蒸気圧曲線データ2」の項目に記憶される「S(A)」および「I(A)」の情報を取得する。取得部122は、「原料識別情報」の項目に記憶される「原料B」の情報についての「蒸気圧曲線データ1」および「蒸気圧曲線データ2」の項目に記憶される「S(B)」および「I(B)」の情報を取得する。
【0056】
取得部122は、原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータ「S(A)」および「I(A)」の情報、および、原料Bについての飽和蒸気圧曲線のデータ「S(B)」および「I(B)」の情報を選択部123および算出部124へ出力する。
【0057】
取得部122は、飽和蒸気圧設定値112に記憶された情報の中から、被処理体Wについて設定された第1の飽和蒸気圧の値Pを取得する。具体的には、取得部122は、「温度制御対象」の項目に記憶される「被処理体」の情報についての「飽和蒸気圧設定値」の項目に記憶される「P」の情報を取得する。
【0058】
また、取得部122は、チャンバー10および排気管15の両方について設定された第2の飽和蒸気圧の値Pを取得する。具体的には、取得部122は、「温度制御対象」の項目に記憶される「チャンバー」および「排気管」の情報についての「飽和蒸気圧設定値」の項目に記憶される「P」の情報を取得する。
【0059】
また、取得部122は、捕獲装置16について設定された第3の飽和蒸気圧の値Pを取得する。具体的には、取得部122は、「温度制御対象」の項目に記憶される「捕獲装置」の情報についての「飽和蒸気圧設定値」の項目に記憶される「P」の情報を取得する。
【0060】
取得部122は、第1の飽和蒸気圧の値P、第2の飽和蒸気圧の値P、および第3の飽和蒸気圧の値Pの情報を算出部124へ出力する。
【0061】
選択部123は、原料Aおよび原料Bの飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、原料Aおよび原料Bのうち、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料である原料Aを選択する。
【0062】
ここで、図6を参照して、本開示の一実施形態による制御装置100に含まれる選択部123の動作の一例を説明する。図6は、本開示の一実施形態による制御装置100に含まれる選択部123の動作の一例を説明する図である。
【0063】
選択部123は、原料Aの飽和蒸気圧曲線のデータS(A),I(A)およびlogP=S(A)×(1/T)+I(A)で表される直線Aの式に基づいて、ある温度Tにおける原料Aの飽和蒸気圧Pの対数logPを算出する。すなわち、選択部123は、S(A),I(A)およびlogP=S(A)×(1/T)+I(A)の式に基づいて、logP=S(A)×(1/T)+I(A)を算出する。選択部123は、ある温度Tにおける原料Aの飽和蒸気圧Pを算出する。
【0064】
選択部123は、原料Bの飽和蒸気圧曲線のデータS(B),I(B)およびlogP=S(B)×(1/T)+I(B)で表される直線Bの式に基づいて、ある温度Tにおける原料Bの飽和蒸気圧の対数logPを算出する。すなわち、選択部123は、S(B),I(B)およびlogP=S(B)×(1/T)+I(B)の式に基づいて、logP=S(B)×(1/T)+I(B)を算出する。選択部123は、ある温度Tにおける原料Bの飽和蒸気圧Pを算出する。
【0065】
ここで、温度Tは、特に限定されるものではないが、例えば、50℃(323K)から150℃(432K)までの範囲における温度である。選択部123は、ある温度Tにおける原料Aの飽和蒸気圧Pおよびある温度Tにおける原料Bの飽和蒸気圧Pを比較する。図6に示すように、選択部123は、ある温度Tにおける原料Aの飽和蒸気圧Pがある温度Tにおける原料Bの飽和蒸気圧Pよりも低いことを判定する。その結果、選択部123は、原料Aおよび原料Bのうち、ある温度Tにおいてより低い飽和蒸気圧Pを有する原料である原料Aを選択する。
【0066】
選択部123は、ある温度Tにおいてより低い飽和蒸気圧Pを有する原料である原料Aの選択の結果を算出部124へ出力する。
【0067】
算出部124は、選択された原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、選択された原料Aについての第1の飽和蒸気圧の値Pに対応する第1の温度Tを算出する。
【0068】
また、算出部124は、選択された原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、選択された原料Aについての第2の飽和蒸気圧の値Pに対応する第2の温度Tを算出する。
【0069】
また、算出部124は、選択された原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、選択された原料Aについての第3の飽和蒸気圧の値Pに対応する第3の温度Tを算出する。
【0070】
ここで、図7を参照して、本開示の一実施形態による制御装置100に含まれる算出部124の動作の一例を説明する。図7は、本開示の一実施形態による制御装置100に含まれる算出部124の動作の一例を説明する図である。
【0071】
算出部124は、選択された原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータS(A)およびI(A)、第1の飽和蒸気圧の値P、および直線Aの式に基づいて、選択された原料Aについての第1の飽和蒸気圧の値Pに対応する第1の温度Tを算出する。すなわち、算出部124は、S(A)およびI(A)、P、およびlogP=S(A)×(1/T)+I(A)の式に基づいて、T=S(A)/(logP−I(A))を算出する。
【0072】
また、算出部124は、選択された原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータS(A)およびI(A)、第2の飽和蒸気圧の値P、および直線Aの式に基づいて、選択された原料Aについての第2の飽和蒸気圧の値Pに対応する第2の温度Tを算出する。すなわち、算出部124は、S(A)およびI(A)、P、およびlogP=S(A)×(1/T)+I(A)の式に基づいて、T=S(A)/(logP−I(A))を算出する。
【0073】
また、算出部124は、選択された原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータS(A)およびI(A)、第3の飽和蒸気圧の値P、および直線Aの式に基づいて、選択された原料Aについての第3の飽和蒸気圧の値Pに対応する第3の温度Tを算出する。すなわち、算出部124は、S(A)およびI(A)、P、およびlogP=S(A)×(1/T)+I(A)の式に基づいて、T=S(A)/(logP−I(A))を算出する。
【0074】
図7に示すように、第2の飽和蒸気圧の値Pが第1の飽和蒸気圧の値Pよりも高いため、第2の温度Tは、第1の温度Tよりも高い。第3の飽和蒸気圧の値Pが第1の飽和蒸気圧の値Pよりも低いため、第3の温度Tは、第1の温度Tよりも低い。
【0075】
制御部125は、被処理体Wの温度を第1の温度Tに制御する。制御部125は、チャンバー10および排気管15の両方の温度を第2の温度Tに制御する。制御部125は、捕獲装置16の温度を第3の温度Tに制御する。なお、制御部125は、チャンバー10および排気管15の一方の温度を第2の温度Tに制御してもよい。
【0076】
このように、本開示の一実施形態による制御装置100は、取得部122と、選択部123と、算出部124と、制御部125とを備える。取得部122は、被処理体Wに膜を生成するために用いられる原料Aおよび原料Bについての飽和蒸気圧曲線のデータおよび被処理体Wについて設定された所定の飽和蒸気圧の値Pを取得する。選択部123は、飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて原料Aおよび原料Bのうち、ある温度Tにおいてより低い飽和蒸気圧を有する原料Aを選択する。算出部124は、選択された原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて選択された原料Aについての所定の飽和蒸気圧の値Pに対応する温度Tを算出する。制御部125は、被処理体Wの温度を算出された温度Tに制御する。
【0077】
制御装置100においては、被処理体Wの温度を選択された原料Aについての所定の飽和蒸気圧の値Pに対応する温度Tに制御することによって、ある一定の範囲の成膜速度で被処理体Wに膜を生成することができる。これにより、制御装置100においては、原料Aの蒸気圧(分圧)が所定の飽和蒸気圧Pであるように原料Aの流量を制御するが、ある温度Tにおいてより高い飽和蒸気圧を有する原料Bの流量の公差を増加させることができる。よって、原料Aおよび原料Bからの膜の生成を容易に制御することができる制御装置100を提供することができる。
【0078】
本開示の一実施形態による成膜装置1は、チャンバー10と、第1の原料供給源11aおよび第2の原料供給源11bと、第1の供給管13aおよび第2の供給管13bと、排気管15と、制御装置100とを備える。チャンバー10には、被処理体Wが搬入される。第1の原料供給源11aおよび第2の原料供給源11bは、被処理体Wに膜を生成するために用いられる原料Aおよび原料Bをそれぞれ収容する。第1の供給管13aおよび第2の供給管13bは、チャンバー10へ原料Aおよび原料Bをそれぞれ供給する。排気管15は、チャンバー10に接続される。これにより、原料Aおよび原料Bからの膜の生成を容易に制御することができる成膜装置1を提供することができる。
【0079】
本開示の一実施形態による制御装置100において、取得部122は、第1の飽和蒸気圧の値Pと第1の飽和蒸気圧の値Pよりも高い第2の飽和蒸気圧の値Pとを取得する。第1の飽和蒸気圧の値Pは、被処理体Wについて設定されたものである。第2の飽和蒸気圧の値Pは、被処理体Wが搬入されるチャンバー10およびチャンバー10に接続される排気管15の少なくとも一方について設定されたものである。算出部124は、選択された原料Aについての第1の飽和蒸気圧の値Pに対応する第1の温度Tおよび第2の飽和蒸気圧の値Pに対応する第2の温度Tを算出する。制御部125は、被処理体Wの温度を第1の温度Tに制御し、チャンバー10および排気管15の少なくとも一方の温度を第2の温度Tに制御する。
【0080】
これにより、被処理体Wにおける膜の成膜速度をある一定の範囲において得ると共にチャンバー10および排気管15の少なくとも一方における膜の成膜速度を低減することができる。よって、ある一定の範囲の成膜速度で被処理体Wに膜を生成すると共にチャンバー10および排気管15の少なくとも一方における膜の生成を抑制することができる。
【0081】
本開示の一実施形態による制御装置100において、取得部122は、第1の飽和蒸気圧の値Pと第1の飽和蒸気圧の値Pよりも低い第3の飽和蒸気圧の値Pとを取得する。第1の飽和蒸気圧の値Pは、被処理体Wについて設定されたものである。第3の飽和蒸気圧の値Pは、被処理体Wが搬入されるチャンバー10内で発生したパーティクルを捕獲する捕獲装置16について設定されたものである。算出部124は、選択された原料Aについての第1の飽和蒸気圧の値Pに対応する第1の温度Tおよび第3の飽和蒸気圧の値Pに対応する第3の温度Tを算出する。制御部125は、被処理体Wの温度を第1の温度Tに制御し、捕獲装置16の温度を第3の温度Tに制御する。
【0082】
これにより、被処理体Wにおける膜の成膜速度をある一定の範囲において得ると共に捕獲装置16における膜の成膜速度を増加させることができる。よって、ある一定の範囲の成膜速度で被処理体Wに膜を生成すると共に捕獲装置16における膜を生成する原料Aおよび原料Bからの生成物の生成(未反応の原料Aおよび原料Bの捕獲)を促進させることができる。
【0083】
本開示の一実施形態による制御装置100において、原料Aおよび原料Bは、ある温度Tにおいてより低い飽和蒸気圧を有する原料Aおよびある温度Tにおいてより低い飽和蒸気圧よりも少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する原料Bを含む。
【0084】
これにより、原料Aの蒸気圧(分圧)が所定の飽和蒸気圧であるように原料Aの流量を制御するが、ある温度Tにおいてより高い飽和蒸気圧を有する原料Bの流量の公差をより確実に増加させることができる。よって、原料Aおよび原料Bからの膜の生成をより容易に制御することができる。
【0085】
<制御方法の処理手順>
次に、図8を参照して、本開示の一実施形態による制御方法の処理手順の一例を説明する。図8は、本開示の一実施形態による制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0086】
ステップS101において、制御装置100は、被処理体Wに膜を生成するために用いられる原料としての原料Aおよび原料Bを識別する情報をユーザから受け付ける。
【0087】
ステップS102において、制御装置100は、原料Aおよび原料Bを識別する情報に基づいて、飽和蒸気圧曲線データ111から原料Aおよび原料Bについての飽和蒸気圧曲線のデータを取得する。また、ステップS102において、制御装置100は、飽和蒸気圧設定値112から第1の飽和蒸気圧の値P、第2の飽和蒸気圧の値P、および第3の飽和蒸気圧の値Pを取得する。第1の飽和蒸気圧の値P、第2の飽和蒸気圧の値P、および第3の飽和蒸気圧の値Pは、それぞれ、被処理体W、チャンバー10および排気管15、および捕獲装置16について設定されたものである。第1の飽和蒸気圧の値P、第2の飽和蒸気圧の値P、および第3の飽和蒸気圧の値Pは、P>P>Pの関係を満たす。
【0088】
ステップS103において、制御装置100は、原料Aおよび原料Bの飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、原料Aおよび原料Bのうち、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料である原料Aを選択する。
【0089】
ステップS104において、制御装置100は、選択された原料Aについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、第1の温度T、第2の温度T、および第3の温度Tを算出する。第1の温度Tは、選択された原料Aについての第1の飽和蒸気圧の値Pに対応する温度である。第2の温度Tは、選択された原料Aについての第2の飽和蒸気圧の値Pに対応する温度である。第3の温度Tは、選択された原料Aについての第3の飽和蒸気圧の値Pに対応する温度である。第1の温度T、第2の温度T、および第3の温度Tは、T>T>Tの関係を満たす。
【0090】
ステップS105において、制御装置100は、被処理体Wの温度、チャンバー10および排気管15の温度、および捕獲装置16の温度を、それぞれ、第1の温度T、第2の温度T、および第3の温度Tに制御する。
【0091】
<成膜方法の処理手順>
次に、図9を参照して、本開示の一実施形態による成膜方法の処理手順の一例を説明する。図9は、本開示の一実施形態による成膜方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0092】
ステップS201において、成膜装置1は、チャンバー10に被処理体Wを搬入する。
【0093】
ステップS202において、成膜装置1は、制御装置100を用いることによって、被処理体Wの温度、チャンバー10および排気管15の温度、および捕獲装置16の温度を制御する。ステップS202における処理は、図8に示すステップS101〜105における処理と同一である。
【0094】
ステップS203において、成膜装置1は、原料の気体Aおよび原料の気体Bをチャンバー10に供給することで原料Aおよび原料Bから被処理体Wに膜を生成する。
【0095】
<原料Aおよび原料B>
原料Aおよび原料Bは、被処理体Wに生成される膜に依存して選択される。原料Aおよび原料Bは、例えば、それぞれ独立に、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族アルキル化合物、または芳香族化合物である。
【0096】
被処理体に生成される膜は、原料Aおよび原料Bから生成されたポリマーまたは非ポリマーである。ポリマーは、原料Aおよび原料Bが重合することによって得られる10,000以上の分子量を有する化合物である。非ポリマーは、ポリマー以外の原料Aおよび原料Bから生成された化合物である。例えば、原料Aおよび原料Bが、それぞれ、二官能性化合物である場合には、被処理体Wに生成される膜は、共重合反応によって生成されるポリマーである。例えば、原料Aおよび原料Bが、それぞれ、一官能性化合物である場合には、被処理体Wに生成される膜は、二分子反応によって生成される非ポリマー(ダイマー)である。例えば、原料Aおよび原料Bの一方が二官能性化合物であると共に他方が一官能性化合物である場合には、被処理体Wに生成される膜は、三分子反応によって生成される非ポリマー(トリマー)である。
【0097】
例えば、ある温度Tにおいてより低い飽和蒸気圧を有する原料Aおよびある温度Tにおいてより高い飽和蒸気圧を有する原料Bは、それぞれ、二官能性化合物および一官能性化合物である。この場合には、チャンバー10への原料Aの流量に対して十分な流量で原料Bをチャンバー10に供給する。この場合には、二官能性化合物の末端の無い非ポリマー(トリマー)を得ることができる。よって、均一な膜特性を有する非ポリマー(トリマー)の膜を得ることができる。
【0098】
被処理体Wに生成される膜が2−アミノエタノール結合(−NH−CH−CH(OH)−)を有するポリマーまたは非ポリマーである場合には、原料Aおよび原料Bは、例えば、エポキシドおよびアミンである。被処理体Wに生成される膜がウレタン結合(−NH−CO−O−)を有するポリマー(ポリウレタン)または非ポリマーである場合には、原料Aおよび原料Bは、例えば、イソシアナートおよびアルコールである。被処理体Wに生成される膜が尿素結合(−NH−CO−NH−)を有するポリマー(ポリ尿素)または非ポリマーである場合には、原料Aおよび原料Bは、例えば、イソシアナートおよびアミンである。被処理体Wに生成される膜がアミド結合(−NH−CO−)を有するポリマー(ポリアミド)または非ポリマーである場合には、原料Aおよび原料Bは、例えば、ハロゲン化アシルおよびアミンである。被処理体Wに生成される膜がイミド結合(−CO−N(−)−CO−)を有するポリマー(ポリイミド)または非ポリマーである場合には、原料Aおよび原料Bは、例えば、カルボン酸無水物およびアミンである。
【0099】
被処理体Wに生成される膜がポリウレタンである場合には、ポリウレタンを所定の温度以上に加熱することによってイソシアナートおよびアルコールに解重合させることができる。被処理体Wに生成される膜がポリ尿素である場合には、ポリ尿素を所定の温度以上に加熱することによってイソシアナートおよびアミンに解重合させることができる。
【0100】
被処理体Wに生成される膜が尿素結合を有するポリマー(ポリ尿素)または非ポリマーの例を説明する。原料Aとしてのイソシアナートおよび原料Bとしてのジアミンを選択することによって、尿素結合を有するポリマー(ポリ尿素)または非ポリマーである様々な膜を生成させることができる。
【0101】
例えば、原料Aとしてのジイソシアナートおよび原料Bとしてのジアミン(例えば、第1級アミン)を用いることで、直鎖のポリ尿素を生成させることができる。ジイソシアナートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)および1,12−ジアミノドデカン(DAD)の組み合わせである。ジイソシアナートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)および1,12−ジアミノドデカン(DAD)の組み合わせである。ジイソシアナートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)および1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(H6XDA)の組み合わせである。ジイソシアナートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)およびヘキサメチレンジアミン(HMDA)の組み合わせである。ジイソシアナートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、m−キシリレンジイソシアナート(XDI)およびm−キシリレンジアミン(XDA)の組み合わせである。ジイソシアナートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、m−キシリレンジイソシアナート(XDI)およびベンジルアミン(BA)の組み合わせである。
【0102】
例えば、原料Aとしてのジイソシアナートおよび原料Bとしてのトリアミン(例えば、第1級アミン)またはテトラアミン(例えば、第2級アミン)を用いることで、架橋性ポリ尿素を生成させることができる。原料Aとしてのモノイソシアナートおよび原料Bとしてのジアミン(例えば、第1級アミン)を用いることで、尿素結合を有するトリマーを生成させることができる。原料Aとしてのモノイソシアナートおよび原料Bとしてのモノアミン(例えば、第1級アミン)を用いることで、尿素結合を有するダイマーを生成させることができる。
【0103】
被処理体Wに生成される膜がイミド結合を有するポリマー(ポリイミド)の例を説明する。例えば、ポリイミドを生成させる原料Aおよび原料Bの組み合わせは、例えば、ピロメリト酸二無水物(PMDA)および4,4’−オキシジアニリン(44ODA)の組み合わせである。ポリイミドを生成させる原料Aおよび原料Bの組み合わせは、例えば、ピロメリト酸二無水物(PMDA)およびヘキサメチレンジアミン(HMDA)の組み合わせである。
【0104】
原料Aおよび原料Bは、好ましくは、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料である原料A、および、ある温度において原料Aの飽和蒸気圧よりもある温度において少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する原料である原料Bである。例えば、原料Aおよび原料Bは、それぞれ、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)および1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(H6XDA)である。例えば、原料Aおよび原料Bは、それぞれ、m−キシリレンジイソシアナート(XDI)およびベンジルアミン(BA)である。
【0105】
上記の実施形態においては被処理体Wに膜を生成するために用いられる複数種類の原料が、二種類の原料(原料Aおよび原料B)である場合を説明したが、複数種類の原料は、三種類以上の原料であってもよい。例えば、複数種類の原料が、二種類の二官能性化合物および一種類の一官能性化合物からなる三種類の原料である場合には、被処理体Wに生成される膜は、共重合反応によって生成されるポリマーである。
【0106】
複数種類の原料が三種類以上の原料である場合には、成膜装置1は、原料の種類の数に従って複数の原料供給源、複数の気化器、および、複数の供給管を備える。受付部121は、被処理体Wに膜を生成するために用いられる複数種類の原料を識別するための識別情報をユーザから受け付ける。取得部122は、被処理体Wに膜を生成するために用いられる複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータを取得する。選択部123は、飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて複数種類の原料のうち、ある温度において最も低い飽和蒸気圧を有する原料を選択する。複数種類の原料は、好ましくは、ある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧を有する原料およびある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧よりも少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する少なくとも一つの原料を含む。
【0107】
<変形例>
次に、図10を参照して、本開示の一実施形態の変形例による制御装置101の構成の一例を説明する。図10は、本開示の一実施形態の変形例による制御装置101の構成の一例を示すブロック図である。図10に示す制御装置101は、図3に示す制御装置100に含まれる記憶部110および制御部120に加えて通知部130をさらに備える。なお、図10に示す制御装置101に含まれる処理部の機能のうち、図3に示す制御装置100に含まれる処理部の機能と同様の機能の説明を省略することにする。
【0108】
制御装置100の受付部121は、上述したように、被処理体Wに膜を生成するために用いられる原料Aおよび原料Bを識別するための識別情報をユーザから受け付ける。一方、制御装置101の受付部121は、被処理体Wに生成される膜を識別するための識別情報をユーザから受け付ける。例えば、受付部121は、「膜F」を識別するための識別情報を受け付ける。
【0109】
制御装置100の取得部122は、上述したように、原料Aおよび原料Bについての飽和蒸気圧曲線のデータを取得する。一方、制御装置101の取得部122は、飽和蒸気圧曲線データ111に記憶された情報の中から、被処理体Wに膜を生成するために用いられる複数種類の原料を識別するための識別情報および複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータを取得する。例えば、取得部122は、「膜識別情報」の項目に記憶される「膜F」の情報についての「原料識別情報」、「蒸気圧曲線データ1」、および「蒸気圧曲線データ2」の項目に記憶される情報の全てを取得する。図4に示す例においては、取得部122は、「原料A」についての「S(A)」および「I(A)」、・・・「原料Z」についての「S(Z)」および「I(Z)」を取得する。制御装置101の取得部122は、被処理体Wに膜を生成するために用いられる複数種類の原料を識別するための識別情報および複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータを選択部123および算出部124へ出力する。
【0110】
制御装置100の選択部123は、上述したように、原料Aおよび原料Bの飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、原料Aおよび原料Bのうち、ある温度Tにおいてより低い飽和蒸気圧を有する原料である原料Aを選択する。一方、制御装置101の選択部123は、複数種類の原料の飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、複数種類の原料のうち、ある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧を有する原料を選択する。図4に示す例においては、例えば、制御装置101の選択部123は、「膜F」を生成するための複数種類の原料である「原料A」・・・「原料Z」のうち、ある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧を有する原料である「原料A」を選択する。以下、ある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧を有する原料を「最低飽和蒸気圧原料」と称する。
【0111】
また、制御装置101の選択部123は、複数種類の原料の飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、複数種類の原料のうち、ある温度Tにおいて最低飽和蒸気圧原料の飽和蒸気圧よりも少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する原料を選択する。以下、ある温度Tにおいて最低飽和蒸気圧原料の飽和蒸気圧よりも少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する原料を「高飽和蒸気圧原料」と称することがある。このような高飽和蒸気圧原料は、最低飽和蒸気圧原料と反応するものである。図4に示す例においては、例えば、「膜F」を生成するための複数種類の原料「原料A」・・・「原料Z」のうち、「原料A」と反応すると共にある温度Tにおいて「原料A」の飽和蒸気圧よりも少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する「原料B」が選択される。
【0112】
制御装置101の選択部123は、最低飽和蒸気圧原料を識別するための識別情報および高飽和蒸気圧原料を識別するための識別情報を通知部130へ出力する。
【0113】
制御装置101の算出部124は、制御装置100の算出部124と同様の機能を有する。制御装置101の制御部125は、制御装置100の制御部125と同様の機能を有する。
【0114】
制御装置101に含まれる通知部130は、制御装置101の選択部123から識別情報が出力されると、膜を生成するための複数種類の原料として最低飽和蒸気圧原料および高飽和蒸気圧原料をユーザに通知する。通知部130は、例えば、最低飽和蒸気圧原料および高飽和蒸気圧原料を表示する表示装置、例えば液晶ディスプレイ、によって実現される。図4に示す例においては、例えば、通知部130は、「膜F」を生成するための複数種類の原料として最低飽和蒸気圧原料としての「原料A」および高飽和蒸気圧原料としての「原料B」をユーザに通知する。
【0115】
このように、本開示の一実施形態の変形例による制御装置101において、取得部122は、被処理体Wに膜を生成するために用いられる複数種類の原料を識別するための識別情報および複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータを取得する。選択部123は、飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて複数種類の膜の原料のうち、ある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧を有する原料およびその原料と反応すると共にある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧よりも少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する少なくとも一つの原料を選択する。通知部130は、温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧を有する原料およびその原料と反応すると共にある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧よりも少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する少なくとも一つの原料をユーザに通知する。
【0116】
これにより、温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧を有する原料の流量を制御するが、ある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧よりも少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する少なくとも一つの原料の流量の公差をより確実に増加させることができる。よって、膜の生成をより容易に制御することができる複数種類の原料をユーザに通知することができる。
【0117】
次に、図11を参照して、本開示の一実施形態の変形例による制御方法の処理手順の一例を説明する。図11は、本開示の一実施形態の変形例による制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0118】
ステップS301において、制御装置101は、被処理体Wに生成する膜を識別する情報をユーザから受け付ける。
【0119】
ステップS302において、制御装置101は、膜を識別する情報に基づいて、飽和蒸気圧曲線データ111から膜を生成するための複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータを取得する。また、ステップS302において、制御装置101は、飽和蒸気圧設定値112から第1の飽和蒸気圧の値P、第2の飽和蒸気圧の値P、および第3の飽和蒸気圧の値Pを取得する。
【0120】
ステップS303において、制御装置101は、膜を生成するための複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、膜を生成するための複数種類の原料のうち、ある温度において最も低い飽和蒸気圧を有する原料を選択する。
【0121】
ステップS304において、制御装置101は、膜を生成するための複数種類の原料についての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、膜を生成するため複数種類の原料を決定すると共に膜を生成するため複数種類の原料をユーザに通知する。制御装置101は、ある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧を有する原料およびある温度Tにおいて最も低い飽和蒸気圧を有する原料の飽和蒸気圧よりも少なくとも10倍高い飽和蒸気圧を有する原料を選択すると共にユーザに通知する。
【0122】
ステップS305において、制御装置101は、選択された原料についての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、第1の温度T、第2の温度T、および第3の温度Tを算出する。第1の温度Tは、選択された原料についての第1の飽和蒸気圧の値Pに対応する温度である。第2の温度Tは、選択された原料についての第2の飽和蒸気圧の値Pに対応する温度である。第3の温度Tは、選択された原料についての第3の飽和蒸気圧の値Pに対応する温度である。第1の温度T、第2の温度T、および第3の温度Tは、T>T>Tの関係を満たす。
【0123】
ステップS306において、制御装置101は、被処理体Wの温度、チャンバー10および排気管15の温度、および捕獲装置16の温度を、それぞれ、第1の温度T、第2の温度T、および第3の温度Tに制御する。
【0124】
<実施例1>
次に、図12を参照して、本開示の一実施形態による制御方法の第1の実施例を説明する。図12は、本開示の一実施形態による制御方法の第1の実施例を説明する図である。
【0125】
第1の実施例においては、図1に示すような成膜装置1を用いて被処理体Wとしてのウェハにポリ尿素の膜を生成した。図12に示すように、ポリ尿素を生成するための原料として1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)および1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(H6XDA)を用いた。
【0126】
制御装置100は、原料H6XDIについての飽和蒸気圧曲線のデータとしてlog10(飽和蒸気圧[Torr])=−3459.7×(1/(絶対温度[K]))+8.888の直線の傾き−3459.7および切片8.888を取得した。同様に、制御装置100は、原料H6XDAについての飽和蒸気圧曲線のデータとしてlog10(飽和蒸気圧[Torr])=−3534.2×(1/(絶対温度[K]))+10.171の直線の傾き−3534.2および切片10.171を取得した。また、制御装置100は、ウェハについて設定された所定の飽和蒸気圧の値0.1Torrを取得した。
【0127】
次に、制御装置100は、原料H6XDIおよび原料H6XDAについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、原料H6XDIおよび原料H6XDAのうち、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料である原料H6XDIを選択した。なお、原料H6XDAは、ある温度において原料H6XDIの飽和蒸気圧の約10倍程度の飽和蒸気圧を有する。
【0128】
次に、制御装置100は、選択された原料H6XDIについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて選択された原料H6XDIについての所定の飽和蒸気圧の値0.1Torrに対応する温度350K(77℃)を算出した。次に、制御装置100は、ウェハの温度を算出された温度77℃に制御した。ウェハにポリ尿素を生成する成膜速度は、ウェハの温度77℃において173nm/分であった。
【0129】
<実施例2>
次に、図13を参照して、本開示の一実施形態による制御方法の第2の実施例を説明する。図13は、本開示の一実施形態による制御方法の第2の実施例を説明する図である。
【0130】
第2の実施例においては、図1に示すような成膜装置1を用いて被処理体Wとしてのウェハにポリ尿素の膜を生成した。図13に示すように、ポリ尿素を生成するための原料としてm−キシリレンジイソシアナート(XDI)およびm−キシリレンジアミン(XDA)を用いた。
【0131】
制御装置100は、原料XDIについての飽和蒸気圧曲線のデータとしてlog10(飽和蒸気圧[Torr])=−3882×(1/(絶対温度[K]))+9.9947の直線の傾き−3882および切片9.9947を取得した。同様に、制御装置100は、原料XDAについての飽和蒸気圧曲線のデータとしてlog10(飽和蒸気圧[Torr])=−3376×(1/(絶対温度[K]))+9.17の直線の傾き−3376および切片9.17を取得した。また、制御装置100は、ウェハについて設定された所定の飽和蒸気圧の値0.1Torrを取得した。
【0132】
次に、制御装置100は、原料XDIおよび原料XDAについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、原料XDIおよび原料XDAのうち、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料である原料XDIを選択した。なお、原料XDAは、ある温度において原料XDIの飽和蒸気圧の数倍程度の飽和蒸気圧を有する。
【0133】
次に、制御装置100は、選択された原料XDIについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて選択された原料XDIについての所定の飽和蒸気圧の値0.1Torrに対応する温度353K(80℃)を算出した。次に、制御装置100は、ウェハの温度を算出された温度80℃に制御した。ウェハにポリ尿素を生成する成膜速度は、ウェハの温度80℃において690nm/分であった。
【0134】
<実施例3>
次に、図14を参照して、本開示の一実施形態による制御方法の第3の実施例を説明する。図14は、本開示の一実施形態による制御方法の第3の実施例を説明する図である。
【0135】
第3の実施例においては、図1に示すような成膜装置1を用いて被処理体Wとしてのウェハにポリ尿素の膜を生成した。図14に示すように、ポリ尿素を生成するための原料としてm−キシリレンジイソシアナート(XDI)およびベンジルアミン(BA)を用いた。
【0136】
制御装置100は、原料XDIについての飽和蒸気圧曲線のデータとしてlog10(飽和蒸気圧[Torr])=−3856.8×(1/(絶対温度[K]))+9.9288の直線の傾き−3856.8および切片9.9288を取得した。同様に、制御装置100は、原料BAについての飽和蒸気圧曲線のデータとしてlog10(飽和蒸気圧[Torr])=−2325.9×(1/(絶対温度[K]))+7.6346の直線の傾き−2325.9および切片7.6346を取得した。また、制御装置100は、ウェハについて設定された所定の飽和蒸気圧の値0.1Torrを取得した。
【0137】
次に、制御装置100は、原料XDIおよび原料BAについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて、原料XDIおよび原料BAのうち、ある温度においてより低い飽和蒸気圧を有する原料である原料XDIを選択した。なお、原料BAは、ある温度において原料XDIの飽和蒸気圧の約100倍程度の飽和蒸気圧を有する。
【0138】
次に、制御装置100は、選択された原料XDIについての飽和蒸気圧曲線のデータに基づいて選択された原料XDIについての所定の飽和蒸気圧の値0.1Torrに対応する温度353K(80℃)を算出した。次に、制御装置100は、ウェハの温度を算出された温度80℃に制御した。ウェハにポリ尿素を生成する成膜速度は、ウェハの温度80℃において32nm/分であった。
【0139】
<ハードウェア構成>
上述してきた制御装置100,101は、例えば、図15に示すような構成を備えたコンピュータ1000によって実現される。図15は、制御装置100,101の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1100、RAM1200、ROM(Read Only Memory)1300、およびHDD(Hard Disk Drive)1400を含む。また、コンピュータ1000は、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、およびメディアインターフェイス(I/F)1700を含む。
【0140】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作することで各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラム、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラムなどを格納する。
【0141】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、そのようなプログラムによって使用されるデータなどを格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信すると共にCPU1100へ送信し、ネットワークNを介してCPU1100によって生成されたデータを他の機器へ送信する。
【0142】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイまたはプリンタのような出力装置、および、キーボードまたはマウスのような入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0143】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、そのようなプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)またはPD(Phase change rewritable Disk)のような光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)のような光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリなどである。
【0144】
例えば、コンピュータ1000が制御装置100,101として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御装置100,101の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、そのようなプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してそのようなプログラムを取得してもよい。
【0145】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0146】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0147】
また、上述してきた各実施形態に記載された各処理は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0148】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」または「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段または取得回路に読み替えることができる。
【0149】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1 成膜装置
10 チャンバー
11a 第1の原料供給源
11b 第2の原料供給源
12a 第1の気化器
12b 第2の気化器
13a 第1の供給管
13b 第2の供給管
14 排気装置
15 排気管
16 捕獲装置
17 載置台
18 シャワーヘッド
100,101 制御装置
110 記憶部
111 飽和蒸気圧曲線データ
112 飽和蒸気圧設定値
120 制御部
121 受付部
122 取得部
123 選択部
124 算出部
125 制御部
130 通知部
W 被処理体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15