特開2019-218660(P2019-218660A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218660(P2019-218660A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】変性製布の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 10/00 20060101AFI20191129BHJP
   D04H 1/4291 20120101ALI20191129BHJP
   D04H 1/435 20120101ALI20191129BHJP
   D04H 1/4334 20120101ALI20191129BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   D06M10/00 K
   D04H1/4291
   D04H1/435
   D04H1/4334
   A61F13/15 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-117359(P2018-117359)
(22)【出願日】2018年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】大久保 敬
(72)【発明者】
【氏名】淺原 時泰
(72)【発明者】
【氏名】中谷 賢太
(72)【発明者】
【氏名】伊東 祐一
(72)【発明者】
【氏名】水田 康司
【テーマコード(参考)】
3B200
4L031
4L047
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA08
3B200BA13
3B200BB03
3B200BB04
3B200CA02
3B200CA11
3B200EA27
3B200EA30
4L031AA14
4L031AA18
4L031AA20
4L031AB31
4L031AB34
4L031BA07
4L031DA01
4L047AA14
4L047AA21
4L047AA23
4L047CB01
4L047CB10
4L047CC03
4L047CC04
4L047CC05
4L047DA00
(57)【要約】
【課題】製布を効率よく変性しながらも、風合い(剛軟性)を保持できる変性製布を提供すること。
【解決手段】1分子中に、15族元素および16族元素から選ばれる元素の原子(α)と17族元素の原子(β)とを、原子(α)の数:原子(β)の数=1:1〜4:1の比で含むラジカルの存在下に光照射する工程1を含む、オレフィン系重合体、ポリエステル系重合体およびポリイミド系重合体から選ばれる、融点および/またはガラス転移温度が50℃以上400℃以下である重合体Aを含む製布を変性した変性製布の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に、15族元素および16族元素から選ばれる元素の原子(α)と17族元素の原子(β)とを、原子(α)の数:原子(β)の数=1:1〜4:1の比で含むラジカルの存在下に光照射する工程1を含む、
オレフィン系重合体、ポリエステル系重合体およびポリイミド系重合体から選ばれる、融点および/またはガラス転移温度が50℃以上400℃以下である重合体Aを含む製布を変性した変性製布の製造方法。
【請求項2】
前記工程1が、前記ラジカルおよび前記製布の存在下に、前記ラジカルに光照射する工程である、請求項1に記載の変性製布の製造方法。
【請求項3】
前記工程1が、前記ラジカルおよび前記製布の存在下に、前記ラジカルおよび前記製布に光を照射する工程である、請求項1または2に記載の変性製布の製造方法。
【請求項4】
前記製布が不織布である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の変性製布の製造方法。
【請求項5】
前記ラジカルが二酸化塩素ラジカルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の変性製布の製造方法。
【請求項6】
前記オレフィン系重合体がプロピレン系重合体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の変性製布の製造方法。
【請求項7】
前記製布が衛生材料である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の変性製布の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性製布の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不織布や織布等の製布が様々な分野で用いられている。
該製布としては、化学的安定性等に優れるポリオレフィンなどからなる製布が用いられているが、ポリオレフィン製の製布などは、極性を有する成分との親和性(例:親水性)に乏しいため、種々の親和性処理がなされている。
【0003】
該親和性処理としては、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸またはその酸無水物による樹脂の変性(例:特許文献1)、コロナ放電処理、プラズマ処理などの表面処理等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−247157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記製布、特に衛生材料に用いられる製布には、風合い、具体的には、剛軟性が求められることがある。
前記無水マレイン酸などにより変性した樹脂を用いた製布は、親水性化することはできるが、該製布は、変性部分のインターラクションにより硬くなるためと思われる剛軟性低下が起こることがわかった。つまり、樹脂を無水マレイン酸などで変性する場合、剛軟性と親水性とは、トレードオフの関係にあることが分かった。
【0006】
また、前記樹脂の変性や表面処理を行った場合、製布を構成する重合体の分子量の低下や、架橋反応が起こったり、重合体の劣化や黄変などが起こりやすい傾向にあり、また、これらにより導入される官能基の導入量にも限界があることが分かった。
【0007】
本発明は前記課題に鑑みてなされた発明であり、製布を効率よく変性しながらも、風合い(剛軟性)を保持できる変性製布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが研究を進めた結果、下記構成例によれば、前記課題を解決できることを見出した。本発明の構成例は、以下の通りである。
【0009】
[1] 1分子中に、15族元素および16族元素から選ばれる元素の原子(α)と17族元素の原子(β)とを、原子(α)の数:原子(β)の数=1:1〜4:1の比で含むラジカルの存在下に光照射する工程1を含む、
オレフィン系重合体、ポリエステル系重合体およびポリイミド系重合体から選ばれる、融点および/またはガラス転移温度が50℃以上400℃以下である重合体Aを含む製布を変性した変性製布の製造方法。
【0010】
[2] 前記工程1が、前記ラジカルおよび前記製布の存在下に、前記ラジカルに光照射する工程である、[1]に記載の変性製布の製造方法。
[3] 前記工程1が、前記ラジカルおよび前記製布の存在下に、前記ラジカルおよび前記製布に光を照射する工程である、[1]または[2]に記載の変性製布の製造方法。
【0011】
[4] 前記製布が不織布である、[1]〜[3]のいずれかに記載の変性製布の製造方法。
【0012】
[5] 前記ラジカルが二酸化塩素ラジカルである、[1]〜[4]のいずれかに記載の変性製布の製造方法。
【0013】
[6] 前記オレフィン系重合体がプロピレン系重合体である、[1]〜[5]のいずれかに記載の変性製布の製造方法。
【0014】
[7] 前記製布が衛生材料である、[1]〜[6]のいずれかに記載の変性製布の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法によれば、製布を効率よく、具体的には、主として表面を変性しながらも、風合い(剛軟性)を保持できる変性製布を提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、重合体の分子量の低下、架橋反応、劣化、黄変、製布の強度の低下などを抑制することができ、変性前の製布が有していた特徴を生かしながらも、変性による効果を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施例で行った、不織布を変性する際の状態を示す概略模式図である。
図2図2は、実施例における不織布の親水性評価の方法を示す概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0018】
≪変性製布の製造方法≫
本発明に係る変性製布の製造方法(以下「本方法」ともいう。)は、オレフィン系重合体、ポリエステル系重合体およびポリイミド系重合体から選ばれる、融点および/またはガラス転移温度が50℃以上400℃以下である重合体Aを含む製布を変性した変性製布の製造方法であり、
1分子中に、15族元素および16族元素から選ばれる元素の原子(α)と17族元素の原子(β)とを、原子(α)の数:原子(β)の数=1:1〜4:1の比で含むラジカルの存在下に光照射する工程1を含む。
【0019】
このような本方法によれば、製布を効率よく、具体的には、主として表面を変性しながらも、風合い(剛軟性)を保持できる変性製布を容易に得ることができる。例えば、紙おむつなどの衛生材料は、皮膚等と接触する部分のみに濡れ性等が必要である場合がある。本方法によれば、主に重合体A(製布)の表面付近だけまたは特定の場所だけ変性(改質)できるため、変性が必要な箇所を効率よく変性できるといえるし、このように変性することで、変性前の製布が有していた強度の低下を抑制しつつ、変性効果を高めることができる。
なお、前記剛軟性とは、所定長さの製布の一方の端を持ち上げた時に、該製布が垂れるか垂れないかで判断できる、硬さの尺度である。
【0020】
本方法によれば、前記ラジカルに光照射するのみの極めて簡便な方法で、また、例えば、常温および常圧等のきわめて温和な条件下でも、重合体Aを効率よく変性(例:酸化処理)することができる。さらに、本方法によれば、例えば、取扱い温度において不安定な場合がある過酸化物やアゾ化合物などのラジカル発生剤を用いずに、重合体Aを効率よく変性(酸化反応)することができる。
【0021】
<工程1>
前記工程1は、1分子中に、15族元素および16族元素から選ばれる元素の原子(α)と17族元素の原子(β)とを、原子(α)の数:原子(β)の数=1:1〜4:1の比で含むラジカルの存在下に光照射する工程である。
該工程1は、前記ラジカルの存在下で行えばよいが、好ましくは前記ラジカルの存在下に該ラジカルに光照射する工程であり、より好ましくは前記ラジカルおよび前記重合体Aの存在下に該ラジカルに光照射する工程である。この際に用いる重合体Aは、重合体Aを含む製布であってもよく、製布の原料となる糸状体の重合体等であってもよいが、重合体Aを含む製布であることが好ましい。
【0022】
前記ラジカルは、15族元素および16族元素から選ばれる元素の原子(α)と17族元素の原子(β)とを含む。
前記ラジカルは、15族元素の原子を2種以上含んでいてもよく、16族元素の原子を2種以上含んでいてもよく、15族元素および16族元素の原子をそれぞれ1種以上含んでいてもよく、17族元素の原子を2種以上含んでいてもよい。ただし、これらの場合、前記原子の数の比は、15族元素および16族元素の原子の合計の数と17族元素の原子の合計の数との比である。
【0023】
原子(α)としては、好ましくは、窒素、酸素、硫黄が挙げられ、特に好ましくは酸素である。
原子(β)としては、好ましくは、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、塩素、臭素が好ましい。これらの中でも、塩素を含むラジカルが、入手が容易であるため、塩素がより好ましい。塩素を含むラジカルを用いる場合、照射する光としては、紫外線を含む光が好ましく、臭素やヨウ素を含むラジカルを用いる場合、紫外線より長波長の光も用いることができると考えられる。従って、光の選択自由度を考慮する場合や、重合体Aに光劣化が生じる可能性がある場合など、状況によっては、臭素、ヨウ素が好ましい。
【0024】
前記ラジカルは、該ラジカル1分子中の原子(β)1個に対する原子(α)の数の割合が、1〜4個であり、好ましくは1または2個であり、より好ましくは2個である。
【0025】
前記ラジカルとしては、二酸化塩素ラジカルが好ましい。
二酸化塩素ラジカル(ClO2・)の存在下に光照射した場合、例えば、二酸化塩素ラジカルに光が照射されることで、塩素ラジカル(Cl・)および酸素分子(O2)が発生すると考えられる。
【0026】
前記光照射に使用する光(の波長)は、用いるラジカルによって適宜選択すればよい。具体的には、赤外線領域から紫外線領域まで幅広い領域を選択可能であるが、例えば200nm以上であり、例えば800nm以下である。
光照射時間は特に限定されないが、例えば1分以上であり、例えば1000時間以下である。
【0027】
前記光照射における光源は特に限定されないが、簡便さの点から、例えば、太陽光等の自然光が挙げられる。また、例えば、前記自然光に代えて、またはこれに加え、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、水銀ランプ等の光源を適宜用いてもよい。さらに、必要により、必要波長以外の波長をカットするフィルターを適宜用いてもよい。
【0028】
前記工程1を行う際の温度、圧力、雰囲気も特に制限されないが、反応温度は、例えば0℃以上であり、例えば100℃以下であり、圧力は、例えば0.1MPa以上であり、100MPa以下であり、雰囲気は、例えば、空気雰囲気、不活性ガス雰囲気が挙げられる。
本方法は、例えば、後述の実施例に示すように、加熱、加圧、減圧等を一切行わずに、大気中、常温(例:5〜35℃)および常圧(大気圧)下で行なうことも可能である。
【0029】
前記光照射は、水相、有機相および/または気相中に存在するラジカルに対して行われる。環境への負荷や人体への影響を低減させる等の点を重視する場合は、水相や気相に存在するラジカルに対して行うことが好ましい。
【0030】
前記水相としては水を含めば特に制限されない。
【0031】
前記有機相は、有機溶媒を含めば特に制限されない。
前記有機溶媒は特に制限されないが、例えば、炭化水素溶媒、ハロゲン化溶媒が挙げられる。
前記有機溶媒は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
【0032】
前記炭化水素溶媒としては特に限定されないが、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンが挙げられる。
【0033】
前記ハロゲン化溶媒としては特に限定されないが、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、フルオラス溶媒が挙げられる。
【0034】
前記フルオラス溶媒は、炭化水素の水素原子の全てまたは大部分がフッ素原子に置換された溶媒をいう。前記フルオラス溶媒は、例えば、炭化水素の水素原子数の50%以上、60%以上、70%以上、80%以上または90%以上がフッ素原子に置換された溶媒であってもよい。
【0035】
前記フルオラス溶媒としては、例えば、CF3−(CF2n−CF3(nは4〜7)、N−((CF2nCF33(nは1または4)、ヘキサフルオロベンゼン、1−(トリフルオロメチル)ウンデカフルオロシクロヘキサン、1−(トリフルオロメチル)ペンタフルオロベンゼン、オクタデカフルオロデカヒドロナフタレンが挙げられ、その中でも、例えば、CF3(CF24CF3が好ましい。
【0036】
フルオラス溶媒は、例えば、溶媒自体の反応性が低いために、副反応を抑制または防止できるという利点がある。該副反応としては、例えば、溶媒の酸化反応、ラジカルによる溶媒の水素引き抜き反応や塩素化反応が挙げられる。
【0037】
前記水相は、前記ラジカルおよび水以外の他の成分を含んでいてもよく、前記有機相は、前記ラジカルおよび有機溶媒以外の他の成分を含んでいてもよい。
該他の成分としては、特に限定されないが、例えば、前記ラジカルの発生源、ブレンステッド酸、ルイス酸、酸素(O2)が挙げられる。
これらはそれぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記他の成分は、水相および/または有機相に溶解してもよいが、溶解していなくてもよい。
なお、1つの物質がルイス酸およびブレンステッド酸を兼ねていてもよい。「ルイス酸」は、前記ラジカルの発生源に対してルイス酸として働く物質をいう。
【0038】
前記ラジカルの発生源は特に限定されないが、前記ラジカルが二酸化塩素ラジカルである場合、例えば、亜塩素酸(HClO2)またはその塩が挙げられる。亜塩素酸の塩としては特に限定されないが、例えば、金属塩が挙げられる。該金属塩は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、希土類塩が挙げられる。
前記二酸化塩素ラジカルの発生源は、より具体的には、例えば、亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)、亜塩素酸リチウム(LiClO2)、亜塩素酸カリウム(KClO2)、亜塩素酸マグネシウム(Mg(ClO22)、亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO22)が挙げられる。これらの中でも、コスト、取扱い易さ等の点から、亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
【0039】
前記水相および/または有機相中における、前記ラジカルの発生源の濃度は特に限定されないが、例えば0.0001mol/L以上であり、例えば1mol/L以下である。
【0040】
前記ルイス酸は特に制限されず、例えば、有機物質でも、無機物質でもよい。
前記有機物質としては、例えば、アンモニウムイオン、有機酸(例:カルボン酸)が挙げられる。
前記無機物質は、金属イオンおよび非金属イオンの一方または両方を含んでいてもよい。前記金属イオンは、典型金属イオンおよび遷移金属イオンの一方または両方を含んでいてもよい。
前記無機物質は、例えば、アルカリ土類金属イオン(例えばCa2+等)、希土類イオン、Mg2+、Sc3+、Li+、Fe2+、Fe3+、Al3+、ケイ酸イオンおよびホウ酸イオンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
前記アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウムのイオンが挙げられ、より具体的には、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびRa2+が挙げられる。
前記「希土類」は、スカンジウム、イットリウムの2元素と、ランタンからルテチウムまでの15元素(ランタノイド)の計17元素の総称である。希土類イオンとしては、例えば、3価の陽イオンが挙げられる。
【0041】
また、前記ルイス酸がイオンである場合、前記ルイス酸は、該イオンのカウンターイオンを有する物質であってもよく、該カウンターイオンとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3-)、トリフルオロ酢酸イオン(CF3COO-)、酢酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオンが挙げられる。
【0042】
また、前記ルイス酸は、AlCl3、AlMeCl2、AlMe2Cl、BF3、BPh3、BMe3、TiCl4、SiF4およびSiCl4からなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。なお、これらのうち、「Ph」はフェニル基を表し、「Me」はメチル基を表す。
【0043】
前記ルイス酸のルイス酸性度は、例えば、0.4eV以上であるが、これには限定されない。前記ルイス酸性度の上限値は特に限定されないが、例えば、20eV以下である。なお、前記ルイス酸性度は、例えば、Ohkubo, K.; Fukuzumi, S. Chem. Eur. J., 2000, 6, 4532、J. AM. CHEM. SOC. 2002, 124, 10270-10271、またはJ. Org. Chem. 2003, 68, 4720-4726に記載の方法により測定することができる。
【0044】
前記ブレンステッド酸としては特に限定されないが、例えば、無機酸、有機酸が挙げられ、具体的には、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、フッ化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸が挙げられる。
前記ブレンステッド酸の酸解離定数pKaは、例えば10以下である。前記pKaの下限値は、特に限定されないが、例えば、−10以上である。
【0045】
前記水相および/または有機相中における、前記ルイス酸およびブレンステッド酸の少なくとも一方の濃度は特に限定されず、適宜設定することができるが、例えば1mg/L以上であり、例えば1g/L以下である。
【0046】
例えば、水相および/または有機相に、空気または酸素ガスを吹き込むことにより、水相および/または有機相中に酸素(O2)を溶解させることができる。このとき、例えば、水相および/または有機相を、酸素(O2)で飽和させてもよい。
水相および/または有機相が前記酸素(O2)を含むことで、例えば、製布の変性(酸化反応)を促進させることができる。
【0047】
<ラジカル生成工程>
本方法は、前記ラジカルを生成するラジカル生成工程を含んでいてもよく、具体的には、前記ラジカル発生源から前記ラジカルを生成する工程が挙げられる。
【0048】
前記ラジカル生成工程は特に限定されないが、例えば、前記ラジカル発生源(例:亜塩素酸またはその塩)を水に溶解させて静置し、ラジカル発生源から前記ラジカルを自然発生させることで行なうことができる。このとき、例えば、前記水中に前記ルイス酸およびブレンステッド酸の少なくとも一方が存在することで、前記ラジカルの生成を促進することができる。また、例えば、前記ラジカル発生源を水に溶解させた水相に光照射することで前記ラジカルを生成させることもできる。この光照射は、前記工程1における光照射であってもよく、つまり、ラジカルを生成させながら、そのラジカルに光照射してもよい。
【0049】
例えば、亜塩素酸イオンから二酸化塩素ラジカルが発生するメカニズム(機構)は、例えば、下記スキーム1のように推測される。ただし、下記スキーム1は、推測されるメカニズムの一例であり、本発明をなんら限定しない。
下記スキーム1の第1の(上段の)反応式は、亜塩素酸イオン(ClO2-)の不均化反応を示し、この反応系中にルイス酸およびブレンステッド酸の少なくとも一方が存在することで、平衡が右側に移動しやすくなると考えられる。
下記スキーム1中の第2の(中段の)反応式は、二量化反応を示し、不均化反応で生成した次亜塩素酸イオン(ClO-)と亜塩素酸イオンとが反応して二酸化二塩素(Cl22)が生成する。この反応は、水中にプロトンH+が多いほど、すなわち酸性であるほど進行しやすいと考えられる。
下記スキーム1中の第3の(下段の)反応式は、ラジカル生成を表す。この反応では、二量化反応で生成した二酸化二塩素が、亜塩素酸イオンと反応して二酸化塩素ラジカルを生成する。
【0050】
【化1】
【0051】
また、重合体Aが炭素−水素単結合を有する場合には、炭素−水素単結合部分で反応が進行する、例えば、特開2017−155017号公報に記載されているエタンの酸化反応のメカニズム(機構)と同様のメカニズムで反応が進行するものと推測できる。
【0052】
<製布の変性>
本方法では、前記重合体Aを含む製布を変性する。なお、本発明において、「重合体Aを含む製布を変性した」とは、前記工程1を行う前の重合体A(以下「未変性重合体」ともいう。この未変性重合体を含む製布を「未変性製布」ともいう。)と、本方法で得られる変性製布に含まれる重合体とを比較した場合、未変性重合体に対し、変性製布に含まれる重合体が変性されていることを意味し、必ずしも、未変性製布自体を変性することを意味するわけではなく、例えば、未変性製布の原料となる重合体Aの糸状体を変性することも含む。
【0053】
前記変性の方法としては特に制限されない。前記変性の方法としては、具体的には、前記ラジカルおよび前記重合体Aの存在下に光照射する方法(I)[前記工程1が、前記ラジカルおよび前記製布の存在下に、前記ラジカルに光照射する工程である場合]が好ましい方法であるが、前記工程1を行った系と前記重合体Aとを接触させる方法(II)を行ってもよい。
ここで用いられる重合体Aは、重合体Aを含む製布であってもよく、製布の原料となる糸状体等の重合体であってもよいが、重合体Aを含む製布であることが好ましい。
【0054】
前記方法(I)は、重合体Aに光照射する方法[前記工程1が、前記ラジカルおよび前記製布の存在下に、前記ラジカルおよび前記重合体A、特に、前記製布に光照射する工程である場合]であることも好ましい。
この場合、前記ラジカルおよび前記重合体Aのそれぞれに、別途光を照射してもよいが、例えば、1つの光源からの光によって前記ラジカルおよび前記重合体Aに同時に光照射することが好ましい。
【0055】
前記方法(I)および(II)は、例えば、前記ラジカルを含む水相および/または有機相に重合体Aを接触(浸漬)させて行う、液相方法でもよく、前記ラジカルを含む水相および/または有機相と、重合体Aとを接触させずに行う、気相方法でもよく、記ラジカルおよび重合体Aを含む気相で行う、気相方法でもよいが、該重合体Aとして、例えば、吸湿性等のある糸状体や製布を用いる場合や、残存溶媒等が問題になる場合には、状況によっては気相方法が好ましい。
【0056】
前記変性の対象となる製布または糸状体が水相または有機相に存在している場合の該水相または有機相中における、前記変性の対象となる製布または糸状体の使用量は、特に限定されないが、例えば1g/L以上であり、例えば10g/L以下である。
【0057】
前記変性により、前記ラジカルに含まれる原子(α)を含む官能基が重合体Aに導入される場合もあるが、空気中の酸素由来などの15族、16族原子を含む官能基が導入される場合もある。この際に、前記ラジカルに含まれる原子(β)も重合体Aに導入される可能性がある。
本方法によれば、このように原子(β)も重合体Aに導入されると考えられるため、変性製布には、原子(β)の有する効果も期待できる場合がある。
【0058】
前記ラジカルを用いて、アルカンなどの低分子炭化水素化合物を変性する場合、17族原子の導入が抑制されることが報告されているが、本方法によれば、17族原子も15、16族原子と併せて、重合体Aに導入できる場合がある。これは、メタンやエタンなどの低分子を変性する場合に比して、重合体Aの炭素−水素結合の存在密度が高くなる傾向にあると考えられることや、重合体Aとラジカルとが相互作用することでラジカルが安定化する場合があることがその一因ではないかと本発明者らは考えている。ただ、この推測によって、本発明は制限されない。
【0059】
前記原子(α)を含む官能基としては、前記ラジカルが、酸素を含む場合、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、−C(=O)OOH、−O−O−が挙げられる。
重合体Aに原子(β)が導入される場合、重合体Aに導入される、原子(α)の合計量[Cα]と、原子(β)の合計量[Cβ]との比率[Cα]/[Cβ]の下限は、好ましくは、ゼロを超え、より好ましくは0.01、さらに好ましくは0.1、特に好ましくは0.5であり、上限値は、好ましくは5000、より好ましくは100、さらに好ましくは20である。
前記の[Cα]、[Cβ]値は、XPS法によって特定される値である。測定は、製品名AXIS−Nova(KRATOS社製)を用い常法で実施される。
【0060】
本方法によれば、変性する対象となる重合体Aの表面を主として変性することができると期待される。従って、変性する対象となる重合体Aとして、前記重合体Aを含む製布や製布の原料となる糸状体を用いる場合、製布を構成する糸状体または変性する対象となる糸状体の表面を主に変性できると考えられる。
これによれば、仮に変性の際に、重合体A分子の切断や架橋が起こったとしても重合体Aの表面付近にとどまり、重合体Aの強度等の性能に関する糸状体の内部の性能への影響は最小限にできると考えられるので、製布や糸状体の強度などを保持するうえで有利である。
前記表面とは、前記重合体Aを含む製布や製布の原料となる糸状体の表面からの深さが、その形状の厚み(糸状体の場合、半径)の1/10以下、より好ましくは1/20以下の領域をいう。この変性される部分の深さは、例えば、XPS法で確認することができる。
【0061】
本方法によれば、変性する対象となる重合体Aとして、前記重合体Aを含む製布や製布の原料となる糸状体を用いる場合、これら重合体Aの表面全体を変性することもできるし、重合体Aの表面の一部を変性することもできる。また、変性する対象となる重合体Aとして、前記重合体Aを含む製布を用いる場合、該製布の全表面を変性することもできるし、一部の面のみを変性することもできる。
本方法によれば、光を介して変性が進行するので、光の当たった場所、すなわち重合体A表面を主として変性できることが期待される。
また、光を製布の一面だけに照射すれば、該一面だけ変性した変性製布や、フォトマスク等により、光の当たる部分を制御すれば、特定の箇所だけ変性することも可能となり、変性部分と未変性部分の比率を自由に制御することもできると期待される。
【0062】
例えば、変性される部分の面積は、本発明の製布を射出成形体等に貼り合わせるなどの形態で用いる場合など、変性製布の所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、その表面全体を100%として、好ましい下限値は、1%、5%、10%、20%、30%、50%の順に好ましく、好ましい上限値は100%であり、より好ましくは90%である。変性された領域は、XPS法などの公知の方法で特定することができる。
前記変性は、前記ラジカルに光が当たって発生する17族元素のラジカルを起点に反応が進行すると考えられる。従って、当該ラジカルが変性対象である重合体Aと接触した部分で変性が起こると考えられる。例えば、前記方法(I)において、前記ラジカルおよび前記重合体(A)に光照射する場合、変性対象である重合体Aに光照射された面積と変性された面積とは、ほぼ等価と考えることができる場合がある。
光を照射した周辺部や、光が届かない細孔の深層部が変性される場合もあるが、その割合は小さい。
【0063】
[重合体A]
前記重合体Aは、オレフィン系重合体、ポリエステル系重合体およびポリイミド系重合体から選ばれる重合体であって、かつ、融点および/またはガラス転移温度が50℃以上400℃以下の重合体である。
【0064】
前記オレフィン系重合体としては特に制限されないが、例えば、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体、4−メチル−1−ペンテン系重合体、環状オレフィン系重合体や、エチレン、プロピレン、ブテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、オクテンなどの複数のオレフィンを用いて得られる共重合体が挙げられる。また、例えば、前記共重合体の原料として、オレフィン以外の化合物、例えば、スチレンなどの芳香族ビニル化合物や(メタ)アクリル酸(エステル)類を用いてもよい。
これらの中でも、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体、4−メチル−1−ペンテン系重合体が好ましく、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、4−メチル−1−ペンテン系重合体がより好ましく、プロピレン重合体が特に好ましい。
【0065】
前記ポリエステル系重合体特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、これらの共重合体が挙げられる。
【0066】
前記ポリイミド系重合体特に制限されないが、例えば、特開2013−256732号公報、特開2011−132611号公報、特開2009−228190号公報に記載の重合体が挙げられる。
【0067】
前記重合体Aは、本発明の目的を損なわない範囲で、他の重合体、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤などの各種安定剤、帯電防止剤、親水剤、撥水剤、核剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、抗菌剤、難燃剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0068】
前記重合体Aとしては、融点および/またはガラス転移温度が50〜400℃の重合体であればよい。前記の融点やガラス転移温度は、下記示差走査熱量測定装置(DSC装置)を使用して以下の方法またはこれと同等の方法で測定した場合のものである。なお、下記装置と同等の結果を与えることが確認されていれば、他の示差走査熱量計を用いてもよい。
【0069】
パーキンエルマー社製のDiamond DSC(3)型の示差走査熱量計を用いて、約5.0mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度10℃/分で所定の温度(オレフィン系重合体の場合:320℃、ポリエステル系重合体の場合:350℃、ポリイミド系重合体の場合:420℃)まで昇温し、その温度で10分間保持する。(ただし、前記所定の温度まで昇温すると分解する重合体を用いる場合は、常法の通り、適宜保持する温度を低く調整してもよい。)さらに降温速度10℃/分で30℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で前記所定の温度と同じ温度まで昇温する。この2度目の昇温の際に観測される吸熱ピークを融解ピークとし、融解ピークが現れる温度を融点(Tm)として求める。融解ピークが多峰性の場合は、最も高温側の融解ピークが現れる温度を融点とする。
また、ガラス転移温度(Tg)は、2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。この屈曲より低温のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
【0070】
前記重合体Aの135℃、デカリン中の極限粘度[η]は、好ましくは0.5〜20dl/g、より好ましくは0.8〜18dl/g、特に好ましくは1〜15dl/gである。
【0071】
前記重合体がオレフィン系重合体の場合、ASTM1238規格に準じて測定されるメルトフローレートは、用いる樹脂の融点によって、測定条件が後述するように異なるが、そのメルトフローレートの好ましい範囲は、0.1〜600g/10分である。好ましい下限値は、1g/10分、より好ましくは3g/10分、さらに好ましくは5g/10分である。一方、好ましい上限値は500g/10分、より好ましくは400g/10分である。
前記メルトフローレート(ASTM1238規格)の好ましい測定条件は、以下の通りである。
エチレン系重合体の場合は、190℃、2.16kg荷重、プロピレン系重合体の場合は230℃、2.16kg荷重、4−メチル−1−ペンテン系重合体の場合は、260℃、5kg荷重、環状オレフィン系重合体の場合は、260℃、2.16kg荷重である。
【0072】
[糸状態の重合体A]
前記糸状態の重合体Aとしては、例えば、繊維状の重合体Aが挙げられる。このような繊維状の重合体Aは、従来公知の方法で製造することができ、具体的には、ペレット状の重合体Aから紡糸すること等で得られる。この紡糸の際に、前記重合体と前記添加剤とを用いて、前記添加剤を含む繊維を製造してもよい。
【0073】
[重合体Aを含む製布]
前記重合体Aを含む製布としては、前記糸状態の重合体Aを製織すること、堆積させること、編むこと等で得られる製布が挙げられる。なお、本発明における製布としては、織物(織布)、不織布、編物が挙げられ、また、紙おむつや生理用品などの衛生材料等の製品も含む。これらの中でも、本発明の効果がより発揮される等の点から、不織布が好ましい。
【0074】
前記不織布としては、従来公知の不織布を特に制限なく用いることができる。不織布の構成や製法については、例えば、国際公開第2004/065680号、特開2002−302862号公報に記載の構成や製法等が挙げられる。
【0075】
[変性製布]
本方法で得られた変性製布は、変性前の重合体A、特に製布や繊維の性質を維持できる傾向にある。例えば、不織布を用いる場合、求められる柔らかい触感を維持しつつ、親水性などの機能を付与することができる。
一方、従来の無水マレイン酸等の変性技術を用いた変性不織布は、硬くて柔軟性に乏しい傾向にある。これは、変性部分のインターラクションによると推測できる。
【0076】
本方法で得られた変性製布は、そのまま用いてもよいし、前記のように導入された官能基を、さらに他の成分と反応させることで、機能を強化したり、性質を変化させてもよい。例えば、前記の官能基を足場として、より高い親水性の基や親水材と結合させることが挙げられる。
【0077】
前記変性製布は、各種の用途に好ましく適用でき、特に衛生材料に好適に使用される。例えば、紙おむつ(例:幼児用、シルバー世代用)の他、生理用品、傷治療用の薬剤シートや薬剤テープ(例:バンドエイド[登録商標])などの製品が挙げられる。これらの製品は、直接皮膚や傷に触れるため、衛生性はもちろんではあるが、通常、風合い(剛軟性)、剥離性などが要求される。
前記変性製布は、前記衛生材料のほかにも、従来の織布、不織布、編物が用いられてきた用途、例えば、フィルター、セパレータ、包装材料、衣服、防音材、増粘剤、各種膜の支持体など多くの用途にも使用することができる。
【実施例】
【0078】
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例には限定されない。
【0079】
[実施例1]
ポリ容器に亜塩素酸ナトリウム(Sigma−Aldrich社製)10gおよび超純水100mLを入れ、亜塩素酸ナトリウムを超純水に溶解させた後、35〜37%塩酸水溶液(富士フイルム和光純薬(株)製)1mLを加えることで、混合液を作成した。この条件で混合液中に二酸化塩素ラジカルが存在していることは別途、ESR法で確認した。この混合液を約22cm×16cm×高さ1.5cmの浅型バットに入れて網棚に置いた。次いで、約32cm×21cmのポリプロピレン不織布(シンテックス PK−108、三井化学(株)製、融点:約160℃)を混合液に触れないようにバットの上に載せた。さらに、約33cm×24cm×高さ3cmのガラス製バットを、ポリプロピレン不織布の上から図1のようにして被せた。このガラス製バット上部からパイフォトニクス(株)製のホロライト・カク DC12Vで波長365nmの光を30分間、50〜70mW/cm2で照射した。その後、前記混合液を再度作成し、光照射後の浅型バット内部の混合液と入れ替えた。さらに、前記不織布のバット上に置く面を逆にした以外は前記と同様にして、光を照射した。その後、不織布を減圧乾燥し、変性不織布を得た。
得られた変性不織布は、未処理不織布(シンテックス PK−108)と同程度の剛軟性を有していた。
【0080】
<不織布の親水性評価>
未処理不織布(シンテックス PK−108)および前記変性不織布それぞれを、傾斜45°の板の上に固定した。次いで、各不織布面より約50mmの上からピペットにて水道水を約1mL落下させ、各不織布が水を吸収するか否かを確認した。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
前記のように、本方法で得られた変性不織布は、親水性と、風合いの代替指標と考えることのできる剛軟性とのバランスが良い結果であった。該変性不織布は、おむつ、生理用品、切傷の保護製品などの衛生材料の他、フィルター、衣服、包装材料、膜の支持体などに好適であると考えられる。特に衛生材料に好適な可能性が高い。
図1
図2