【課題】抄紙工程において白水中にアニオントラッシュを多く含む場合でも、濾水量を増加させ、歩留率を向上させ、濁度を低減することができる紙及び紙板の製造方法を提供する。
【解決手段】製紙原料としてカチオン要求量が100μeq/L以上の紙料を用いる抄紙工程を有し、カチオン電荷密度が200〜1000μeq/g、固有粘度ηが2.7〜18.3dL/gのカチオン性ポリアクリルアミドを、全紙料固形分に対して0.005〜0.1質量%の範囲で紙料に添加する、紙及び紙板の製造方法。
製紙原料としてカチオン要求量が100μeq/L以上の紙料を用いる抄紙工程を有し、カチオン電荷密度が200〜1000μeq/g、固有粘度ηが2.7〜18.3dL/gのカチオン性ポリアクリルアミドを、全紙料固形分に対して0.005〜0.1質量%の範囲で紙料に添加する、紙及び紙板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称することがある。)に係る紙及び紙板の製造方法は、製紙原料としてカチオン要求量が100μeq/L以上の紙料を用いる抄紙工程を有し、カチオン電荷密度が200〜1000μeq/g、固有粘度ηが2.7〜18.3dL/gのカチオン性ポリアクリルアミドを、全紙料固形分に対して0.005〜0.1質量%の範囲で紙料に添加することを特徴とする。
製紙原料としてカチオン要求量が100μeq/L以上の紙料を用いた場合、抄紙工程において白水中にアニオントラッシュを多く含むことになる。これに対し、本実施形態では、カチオン電荷密度が200〜1000μeq/g、固有粘度ηが2.7〜18.3dL/gのカチオン性ポリアクリルアミドを、全紙料固形分に対して特定量添加することで、アニオントラッシュの集塊化を抑制することができ、これにより、濾水量が増加し、歩留率が向上し、濁度を低減することができる。
【0012】
本実施形態に係る紙及び紙板の製造方法で用いられるカチオン性ポリアクリルアミドは、カチオン電荷密度が200〜1000μeq/gである。ここで、カチオン電荷密度とは、ポリマーを構成するモノマー単位中のカチオン電荷の当量数(μeq/g)をいう。
カチオン電荷密度が200μeq/g未満であると濾水量が減少するおそれがあり、1000μeq/gを超えると濁度を低減する効果が得られないおそれがある。このような観点から、カチオン電荷密度は、好ましくは200〜700μeq/g、より好ましくは200〜300μeq/gである。
上記カチオン電荷密度は、実施例に記載の方法により求めることができる。
【0013】
前記カチオン性ポリアクリルアミドの固有粘度ηは2.7〜18.3dL/gである。固有粘度ηが2.7dL/g未満ではカチオン性ポリアクリルアミドの分子量が小さ過ぎるため、凝集反応が起こり得る範囲が狭く、十分な歩留まり効果が得られないおそれがある。また、固有粘度ηが18.3dL/gを超えるとカチオン性ポリアクリルアミドの分子量が大き過ぎるため、粘性が高く、濾水量を増加させる効果が十分に発揮できないおそれがある。このような観点から、固有粘度ηは好ましくは9〜18dL/g、より好ましくは13〜18dL/gである。
なお、上記固有粘度ηは、キャノンフェンスケ型粘度計を使用して30℃で流下時間を測定し、その測定値から、Hugginsの式及びMead−Fuossの式を用いて算出される。
【0014】
前記カチオン性ポリアクリルアミドは、カチオン電荷密度及び固有粘度ηがそれぞれ上述の範囲内であれば特に限定されず、例えば、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとを水性重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の重合法により得ることができる。電荷密度は、使用されるモノマーの配合割合により調整され、固有粘度は重合温度、モノマー濃度、開始剤の添加量で調整される。
カチオン性モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級塩及び酸塩;アリルアミン、ジアリルアミン等の3級アミノ系モノマー及び3級アミン系モノマー並びにその4級塩及び酸塩等が挙げられる。中でも、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級塩が好ましく用いられる。
これらのカチオン性モノマーは、1種又は2種以上を用いることができる。
【0015】
カチオン性ポリアクリルアミドの全構造単位の由来となるモノマーの全量に対するカチオン性モノマーの配合割合は、好ましくは0.5〜9.5mol%、より好ましくは1〜8mol%である。カチオン性モノマーの配合割合を上記範囲内とすることで、カチオン性ポリアクリルアミドのカチオン電荷密度を上述の範囲内とすることができる。
また、カチオン性ポリアクリルアミドの全構造単位の由来となるモノマーの全量に対するアクリルアミドモノマーの配合割合は、好ましくは90.5〜99.5mol%、より好ましくは92〜99mol%である。
【0016】
前記カチオン性ポリアクリルアミドを製造する際に使用される重合開始剤は、特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、及びtert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。重合開始剤は1種又は2種以上を用いることができる。
【0017】
また、合成するカチオン性ポリアクリルアミドの粘度を調整するために、連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤は特に限定されず、例えば、四塩化塩素、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。連鎖移動剤は1種又は2種以上を用いることができる。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る紙及び紙板の製造方法を示すブロック図である。
製紙系10は、原料系20、調成、抄紙系30及び回収系40を備える。
原料系20は、紙原料からパルプを製造する。本実施形態における原料系20は、原料タンク(1)21及び原料タンク(2)22を有する。原料タンク(1)21には、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)及び針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の化学パルプ;グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)及びリファイナーメカニカルパルプ(RMP)等のメカニカルパルプが収容されており、原料タンク(2)22には、段ボール古紙パルプ、ライナー古紙パルプ、雑誌古紙パルプ、新聞古紙パルプ、地券古紙パルプ、上白古紙パルプ及び脱墨古紙パルプ等の古紙パルプが収容されている。
【0019】
原料タンク(1)21及び原料タンク(2)22に収容されたパルプは適切な比率でミキシングチェスト23へと供給され、このミキシングチェスト23で混合される。混合されたパルプはマシンチェスト24で粘剤等の抄紙薬品が添加された後、種箱25へと移送される。
なお、原料タンク(1)21、原料タンク(2)22、ミキシングチェスト23、マシンチェスト24及び種箱25は、本実施形態の原料系20を構成する。
【0020】
調成、抄紙系30はパルプを調成し抄紙する。種箱25に収容されたパルプは、白水サイロ31に供給され、次いで、ポンプ32によってクリーナー33へと順次供給される。さらに、ポンプ35によってスクリーン36へと供給され、ここで異物を除去された後、インレット37へと供給される。インレット37は、ワイヤーパート38のワイヤに、パルプを適正な濃度、速度、角度で供給することで、フロック及び流れ縞を抑制する。供給されたパルプは、ワイヤーパート38、図示しないプレスパートで水を脱水され、その後、図示しないドライヤーパートで乾燥された後、適宜の処理をされて紙へと製造される。
【0021】
ここで、ワイヤーパート38で分離された液体が白水39である。なお、白水39は、通常抄紙時に使用する原料パルプに由来する微細繊維や、その他の製紙用薬剤等を含んでいる。
ワイヤーパート38で分離された白水39は、白水サイロ31に貯留される。白水サイロ31に貯留された白水は、その一部がポンプ32へと供給され、残りが白水回収装置41へと供給される。
なお、白水サイロ31からワイヤーパート38までが本実施形態の調成、抄紙系30を構成する。
【0022】
回収系40は調成、抄紙系30から白水を回収する。供給された白水は、白水回収装置41へと移送され、白水回収装置41でろ過されて固液分離される。固形分はマシンチェスト24に移送され、ろ液は、回収水タンク42へと回収され、貯留される。ろ液の一部はさらにろ過され、外部へと排出、または、循環する白水の濃度を調整するための調整水として用いられる。
なお、白水回収装置41及び回収水タンク42は、本実施形態の回収系40を構成する。
【0023】
白水及び調整水は、本発明の効果を損なわない範囲で少量の製紙用薬剤を含んでいてもよい。
製紙用薬剤としては、特に限定されず、例えば、界面活性剤、ワックス、サイズ剤、填料、防錆剤、導電剤、消泡剤、スライムコントロール剤、分散剤、粘性調整剤、凝集剤、凝結剤、紙力増強剤、歩留向上剤、紙粉脱落防止剤及び嵩高剤等が挙げられる。
【0024】
上述のカチオン性ポリアクリルアミドの紙料(パルプ)への添加は、パルプの、ミキシングチェスト23からマシンチェスト24への供給ライン又はマシンチェスト24(I)、マシンチェスト24から種箱25への移送ライン又は種箱25(II)、種箱25から白水サイロ31への供給ライン又は白水サイロ31(III)、白水サイロ31からポンプ32への供給ライン又はポンプ32(IV)、ポンプ32からクリーナー33への供給ライン又はクリーナー33(V)、クリーナー33からポンプ35への供給ライン又はポンプ35(VI)、ポンプ35からスクリーン36への供給ライン又はスクリーン36(VII)、スクリーン36からインレット37への供給ライン又はインレット37(VIII)、ワイヤーパート38で分離された白水の白水サイロ31への移送ライン(IX)、白水の白水サイロ31から白水回収装置41への移送ライン又は白水回収装置41(X)に行うことができる。中でも、アニオントラッシュの集塊化を抑制する観点から、カチオン性ポリアクリルアミドの添加は、上記(IV)、(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)のいずれかが好ましく、上記(VI)、(VII)、及び(VIII)のいずれかがより好ましい。
【0025】
本実施形態の紙及び紙板の製造方法では、カチオン性ポリアクリルアミドを添加することにより、アニオントラッシュの集塊化を抑制することができるため、紙料として、メカニカルパルプを含む製紙原料、脱墨パルプを30質量%以上含む製紙原料、及び古紙パルプを30質量%以上含む製紙原料を用いることができる。
【0026】
前記カチオン性ポリアクリルアミドの添加量は、全紙料固形分に対して0.005〜0.1質量%である。0.005質量%未満では凝集効果が低く、歩留・濾水効果を十分に発揮できない。また、0.1質量%を超えると凝集効果が強すぎるため、製品の品質に影響を与える可能性がある。このような観点から、カチオン性ポリアクリルアミドの添加量は、全紙料固形分に対して好ましくは0.01〜0.08質量%、より好ましくは0.02〜0.06質量%である。
【実施例】
【0027】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0028】
〔カチオン電荷密度〕
試料濃度が0.005%(w/v)になるように、メスシリンダーを用いて脱イオン水を加えて溶解させた。塩酸(HCl)または水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を用いて、pHが4になるように調整して、トルイジリンブルー指示薬の色が変化するまでポリビニル硫酸カリウム溶液を滴下し、滴定量からカチオン電荷密度を求めた。
【0029】
〔固有粘度η〕
キャノンフェンスケ型粘度計((株)草野科学器械製作所製 No.75)を使用して30℃で流下時間を測定し、その測定値から、Hugginsの式及びMead−Fuossの式を用いて算出した。
【0030】
前記カチオン性アクリルアミドは、公知の重合法によって合成可能で、例えば、水性重合法や乳化重合法、懸濁重合法によって合成される。以下に示す重合例はその一例でしかなく、製造方法を限定するものではない。
(合成例1:カチオン性ポリアクリルアミドAの合成)
1Lのセパレータ式冷却ジャケット付きフラスコに、水720g、アクリルアミド(AAm)(富士フィルム和光純薬(株)製)71.5g、ジメチルアミノエチルアクリレート(DAA)の4級塩(富士フィルム和光純薬(株)製)8.5g、及び連鎖移動剤として四塩化炭素(富士フィルム和光純薬(株)製)0.008gを入れ、温度が50℃になったところで開始剤(富士フィルム和光純薬(株)製)0.005gを加えて撹拌した。次いで、温度が60℃になったところで撹拌を停止し、4時間保温した。その後、冷却し カチオン性ポリアクリルアミドAを得た。
得られたカチオン性ポリアクリルアミドAのカチオン電荷密度及び固有粘度ηを上述の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0031】
(合成例2〜8:カチオン性ポリアクリルアミドB〜Hの製造)
表1に記載のモノマー比に変更したこと以外は合成例1と同様にして合成例2〜8のカチオン性ポリアクリルアミドB〜Hを合成した。得られたカチオン性ポリアクリルアミドB〜Hのカチオン電荷密度及び固有粘度ηを上述の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例及び比較例で得られた試料液について、下記の測定を行った。結果を表2−1、表2−2及び表3に示す。
【0034】
〔カチオン要求量〕
パルプスラリーを150μmパスのろ布でろ過し、ろ液を採取した。ろ液を流動電位計(PCD(Particle Change Detector)−03型、ミューテック社製)に投入して、滴定液(Poly-DADMAC、キシダ化学(株)製)の量からカチオン要求量を測定した。
【0035】
〔濾水量〕
筒状の試験機で底に80メッシュワイヤーと水が抜ける管が付随した濾水テスターを用い、バルブの開閉で筒に溜まっていたパルプ試料中の水が上記メッシュワイヤーを通して下に落ちる。この時の10秒間の濾水量をメスシリンダーで測定した。
なお、カチオン性ポリアクリルアミドを添加していないブランクと比べ、濾水量が多いほど、生産性が向上する。
【0036】
〔歩留率〕
濾水歩留試験機(DFS−03、ミューテック社製)を使用してろ液を採取し、懸濁固形分濃度(SS濃度)を測定し、下記式により歩留率を算出した。
なお、カチオン性ポリアクリルアミドを添加していないブランクと比べ、歩留率が高いほど、白水濃度を低減させることができ、排水処理の負荷を低減できる。また、原料の節約によるコストの削減を図ることができる。
歩留率(%)=(1−ろ液のSS濃度/紙料のSS濃度)×100
【0037】
〔灰分歩留率〕
濾水歩留試験機で採取したろ液の懸濁物質を、電気炉において600℃で6時間焼き、残った灰分を測定して、下記式より灰分歩留率を算出した。
なお、カチオン性ポリアクリルアミドを添加していないブランクと比べ、灰分歩留率が高いほど、炭酸カルシウムなどの填料の歩留効果が見込まれるため、填料の節約によるコスト削減を図ることができる。
灰分歩留率(%)=(1−ろ液の灰分濃度/紙料の灰分濃度)×100
【0038】
〔濁度〕
ポータブル濁度計(2100Q、東亜ディーケーケー(株)製)を用いて測定した。
なお、カチオン性ポリアクリルアミドを添加していないブランクと比べ、濁度が低いほど、系内の汚れが低減され、欠点や紙切れのリスクを減らすことができる。
【0039】
[試験1]実験室レベルでの確認試験
(実施例1)
紙料は中芯原紙の製造工場より採取したものを実験に用いた(カチオン要求量(CD)が395μeq/L)。紙料を容器に180mL取り、これに合成例2で得られたカチオン性ポリアクリルアミドBを0.1質量%に溶解した溶液を0.005質量%添加し、800rpmで20秒撹拌し試料液を調製した。
【0040】
(実施例2〜15、比較例1〜16)
カチオン性ポリアクリルアミドBを表2−1に記載のカチオン性ポリアクリルアミドに変更し、表2−1に記載の配合量で添加したこと以外は実施例1と同様にして試料液を調製した。
【0041】
(実施例16〜27、比較例17〜25)
カチオン性ポリアクリルアミドBを表2−2に記載のカチオン性ポリアクリルアミドに変更し、表2−2に記載の配合量で添加し、さらに、硫酸バンド、有機凝結剤としてゼータエースS701(栗田工業(株)製)及びPAC(ポリ塩化アルミニウム)を表2−2に記載の配合量で添加したこと以外は実施例1と同様にして試料液を調製した。
【0042】
(実施例28)
コート損紙を25質量%配合したLBKP(CD=230μeq/L)に、填料として炭酸カルシウム(白石工業(株)製)15質量%となるように添加し紙料を調整した。紙料を容器に180mL取り、これに合成例5で得られたカチオン性ポリアクリルアミドEを0.01質量%添加し、800rpmで20秒撹拌し試料液を調製した。
【0043】
(実施例29、比較例26〜28)
カチオン性ポリアクリルアミドEを表2−2に記載のカチオン性ポリアクリルアミドに変更し、表2−2に記載の配合量で添加したこと以外は実施例28と同様にして試料液を調製した。
【0044】
【表2-1】
【0045】
【表2-2】
【0046】
カチオン要求量が高い(100μeq/L以上)紙料に対し、カチオン電荷密度が200〜1000μeq/g、固有粘度ηが2.7〜18.3dL/gのカチオン性ポリアクリルアミドを特定量添加した実施例1〜29は、いずれもカチオン性ポリアクリルアミドを添加していないブランクと比べ、濾水量が多く、濁度が低く、歩留率が向上していることがわかる。また、実施例1〜29は、いずれもカチオン電荷密度が200μeq/g未満のカチオン性ポリアクリルアミドを添加した比較例に比べ、濾水量が多くなっており、カチオン電荷密度が1000μeq/gを超えるカチオン性ポリアクリルアミドを添加した比較例に比べ、濁度が低く、歩留率が向上していることがわかる。
【0047】
[試験2]実機レベルでの試験
(実施例30)
図1に示す紙及び紙板の製造工程において、ポンプ35からスクリーン36へ供給される前(VII)の紙料(CD=400μeq/L)を容器に180mL採取した。これに合成例5で得られたカチオン性ポリアクリルアミドEを0.01質量%添加し、800rpmで20秒撹拌し試料液を調製した。
【0048】
(実施例31、比較例29〜31)
カチオン性ポリアクリルアミドEを表3に記載のカチオン性ポリアクリルアミドに変更し、表3に記載の配合量で添加したこと以外は実施例30と同様にして試料液を調製した。
【0049】
【表3】
【0050】
カチオン要求量が高い(100μeq/L以上)水質に対しても、カチオン電荷密度が200〜1000μeq/g、固有粘度ηが2.7〜18.3dL/gのカチオン性ポリアクリルアミドを特定量添加した実施例30及び31は、いずれもカチオン電荷密度が1000μeq/gを超えるカチオン性ポリアクリルアミドを添加した比較例30及び31に比べ、濾水量が多く、濁度が低く、歩留率が向上していることがわかる。また、灰分歩留率も向上しており、填料の使用量削減が期待できる。
カチオン性ポリアクリルアミドBを表2−1に記載のカチオン性ポリアクリルアミドに変更し、表2−1に記載の配合量で添加したこと以外は実施例1と同様にして試料液を調製した。
カチオン性ポリアクリルアミドBを表2−2に記載のカチオン性ポリアクリルアミドに変更し、表2−2に記載の配合量で添加し、さらに、硫酸バンド、有機凝結剤としてゼータエースS701(栗田工業(株)製)及びPAC(ポリ塩化アルミニウム)を表2−2に記載の配合量で添加したこと以外は実施例1と同様にして試料液を調製した。