特開2019-218736(P2019-218736A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019218736-防臭ワン 図000003
  • 特開2019218736-防臭ワン 図000004
  • 特開2019218736-防臭ワン 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218736(P2019-218736A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】防臭ワン
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/29 20060101AFI20191129BHJP
   E03C 1/28 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   E03C1/29
   E03C1/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2018-115978(P2018-115978)
(22)【出願日】2018年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幹
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 優
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA03
2D061DA05
2D061DD05
(57)【要約】
【課題】水封防臭式ワントラップ型の排水機構において、排水管の内側壁面にゴミを付着させないようにする。
【解決手段】水封防臭式ワントラップ1において、立設する排水管20の周りに円環状に水を溜めるトラップ2と共に用いられ、排水管20の上端の排水口200を覆い、下端をトラップ2に溜まった水に水没させて、排水管20の上端側を水封させる防臭ワン3であって、内壁面32aに螺旋状凹みで形成される螺旋水路33を備え、トラップ2に水を流し入れたとき、螺旋水路33により排水管20の外壁面201と防臭ワン3の内壁面32aとの間の水を排水管20の周りで周回させて排水口200から排水管20内に流入させ、さらに、排水管20に流入した水を排水管20の内側壁面202を周回させながら流下させる、防臭ワン3である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水封防臭式ワントラップにおいて、立設する排水管の周りに円環状に水を溜めるトラップと共に用いられ、該排水管の上端の排水口を覆い、下端を該トラップに溜まった水に水没させて、該排水管の上端側を水封させる防臭ワンであって、
内壁面に螺旋状凹みで形成される螺旋水路を備え、
該トラップに水を流し入れたとき、該螺旋水路により該排水管の外壁面と該防臭ワンの内壁面との間の水を該排水管の周りで周回させて該排水口から該排水管内に流入させ、さらに、該排水管に流入した水を該排水管の内側壁面を周回させながら流下させる、防臭ワン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水封防臭式ワントラップに用いる防臭ワンに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレや洗面所などの床に設置される水封防臭式ワントラップ型の排水機構(例えば、特許文献1参照)は、円環状に水を溜めるトラップと、トラップの中心に立設される排水管と、該排水管の排水口を覆いトラップに溜まった水に下端側を水没させる有天壁筒状の防臭ワンとで構成されており、トラップと防臭ワンとによって排水管からの室内への臭気の流入を止めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−118329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
床面等から水封防臭式ワントラップに水を排水すると、トラップに溜まった水は排水管の外壁面と防臭ワンの内壁面との間を上昇して、排水口から溢れて排水管内に進入して排水される。このように、水封防臭式ワントラップは水が上昇して排水口から溢れて排水がなされることから、排水効率が悪く、また、排水管の側壁にゴミが付着しやすく、付着したゴミによりさらに排水効率が低下するという問題がある。
【0005】
よって、水封防臭式ワントラップ型の排水機構においては、排水管の少なくとも内壁面にゴミを付着させないようにするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、水封防臭式ワントラップにおいて、立設する排水管の周りに円環状に水を溜めるトラップと共に用いられ、該排水管の上端の排水口を覆い、下端を該トラップに溜まった水に水没させて、該排水管の上端側を水封させる防臭ワンであって、内壁面に螺旋状凹みで形成される螺旋水路を備え、該トラップに水を流し入れたとき、該螺旋水路により該排水管の外壁面と該防臭ワンの内壁面との間の水を該排水管の周りで周回させて該排水口から該排水管内に流入させ、さらに、該排水管に流入した水を該排水管の内側壁面を周回させながら流下させる、防臭ワンである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る防臭ワンは、内壁面に螺旋状凹みで形成される螺旋水路を備えていることから、トラップに水を流し入れたとき、螺旋水路により排水管の外壁面と防臭ワンの内壁面との間の水を排水管の周りで周回させて排水口から排水管内に流入させ、さらに、排水管に流入した水を排水管の内側壁面を周回させながら流下させることができるため、従来の防臭ワンに比べて排水時における排水管の内側壁面に対するゴミの付着を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】防臭ワン、トラップ、及び目皿を備える水封防臭式ワントラップの一例を示す分解斜視図である。
図2】トラップに水を流し入れたときに、螺旋水路により排水管の外壁面と防臭ワンの内壁面との間の水が排水管の周りで周回しながら上昇していく状態を説明する断面図である。
図3】排水管に流入した水が排水管の内側壁面を周回しながら流下していく状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示す水封防臭式ワントラップ1は、例えば、トイレや洗面所などの床、又は台所の流し台等に配設される排水機構であり、立設する排水管20の周りに円環状に水を溜めるトラップ2と、排水管20の上端の排水口200を覆い、下端をトラップ2に溜まった水に水没させて、排水管20の上端側を水封させる防臭ワン3と、トラップ2の上端側の開口2aに嵌め込み蓋となる目皿4とを備えている。
【0010】
トラップ2は、例えば、有底円筒状の外形を備えており、その底部2bには排水管20が貫通して直立している。排水管20は、円筒状の外形を備えており、その下端側は、トラップ2外の図示しない排水路に連通している。排水管20の上端の排水口200の高さ位置は、トラップ2の上端側の開口2aの高さ位置よりも下方に設定されている。
トラップ2の側壁2cの内周面における開口2a近傍には、開口2aに嵌め込まれた目皿4を支持する円環状の支持部25が形成されている。
【0011】
防臭ワン3は、例えば、有天壁筒状の外形を備えており、その天壁30には目皿4のネジ孔41に螺合する固定ネジ31が形成されている。防臭ワン3の側壁32の内壁面32aには、螺旋状凹みで上方に延びる螺旋水路33が図示の例においては1本形成されている。なお、内壁面32aを螺旋溝状に切り欠いてなる該螺旋水路33は、内壁面32aに複数本形成されていてもよい。
【0012】
目皿4は、例えば、円形板状の外形を備えており、複数の排水孔40が貫通形成されている。目皿4の中心には、ネジ孔41が形成されており、該ネジ孔41に防臭ワン3の固定ネジ31を螺合させることで、目皿4と防臭ワン3とは一体となる。そして、防臭ワン3と一体となった目皿4は、トラップ2の開口2aに嵌め込まれて、トラップ2の支持部25によって支持された状態になる。
【0013】
次に、図2に示すように、例えばトイレや洗面所などの床に設置された状態の水封防臭式ワントラップ1から水を排水した場合の、水封防臭式ワントラップ1内における水の流れについて説明する。
図2において、トラップ2には水(封水)が一定量溜められており、目皿4と一体となっている防臭ワン3は、排水管20の上端の排水口200を覆い、下端がトラップ2に溜まった水に水没している。防臭ワン3とトラップ2の底部2bとの間には所定の隙間が形成されている。そして、排水管20内の臭気は、封水によって防臭ワン3内で止められており、水封防臭式ワントラップ1外に漏れ出さない。
【0014】
図2に示すように、床上からの排水が目皿4の排水孔40からトラップ2内に流下していくことで、排水管20の外壁面201と防臭ワン3の内壁面32aとの間の水の水位が上昇していく。ここで、防臭ワン3の内壁面32aには螺旋水路33が形成されているため、排水管20の外壁面201と防臭ワン3の内壁面32aとの間の水は、螺旋水路33によって排水管20の外壁面201を周回する水流となって上昇していく。
【0015】
そして、図3に示すように、排水管20の外壁面201と防臭ワン3の内壁面32aとの間の水の水位が排水口200の高さ位置を超えると、排水口200から排水管20内に水が流入する。この際、水は排水管20の外壁面201を周回する流れのまま排水管20内に流入していくため、排水管20に流入した後も排水管20の内側壁面202を周回しながら流下していく。
【0016】
従来の水封防臭式ワントラップにおいては、トラップ内の水位が排水口の高さ位置を超えると、排水口の一部分から排水管内に流入していくため、排水管内に流入する水は、排水管の内側壁面中の一部の領域のみを流れる。そのため、水が流れない排水管の内側壁面中の残りの領域にゴミが付着する。さらに、排水管の内側壁面に付着したゴミ等によって、排水管の内側壁面中の一部の領域のみを流れることがより多くなり、それによって、水が流れない排水管の内側壁面中の残りの領域にさらにゴミが付着するという悪循環が生じる場合があった。その結果、付着したゴミにより排水管の排水効率が低下したり、排水管内の掃除を頻繁に行わなければならなかったりした。
【0017】
一方、本発明に係る防臭ワン3は、上記に説明したように、水が排水管20に流入した後も排水管20の内側壁面202を周回しながら流下していくため、例え排水管20内にゴミが付着していたとしても、内側壁面202のほとんどの領域を周回しつつ流下する水によって、ゴミが落とされる。そのため、ゴミが排水管20の内側壁面202に付着しにくく、排水管20の排水効率が低下することもなく、排水管20内の掃除を頻繁に行わなくても済むようになる。
【0018】
なお、本発明に係る防臭ワンは上記の例に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されている防臭ワン3の構成要素についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0019】
1:水封防臭式ワントラップ
2:トラップ 2a:開口 2b:底部 2c:側壁 20:排水管 200:排水口
201:外壁面 202:内側壁面
25:支持部
3:防臭ワン 30:天壁 31:固定ネジ 32:側壁 32a:内壁面 33:螺旋流路
4:目皿 30:排水孔 41:ネジ孔
図1
図2
図3