特開2019-219497(P2019-219497A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2019219497-光ファイバケーブル 図000005
  • 特開2019219497-光ファイバケーブル 図000006
  • 特開2019219497-光ファイバケーブル 図000007
  • 特開2019219497-光ファイバケーブル 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-219497(P2019-219497A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】光ファイバケーブル
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   G02B6/44 366
   G02B6/44 371
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-116319(P2018-116319)
(22)【出願日】2018年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】安冨 徹也
【テーマコード(参考)】
2H001
【Fターム(参考)】
2H001BB09
2H001BB15
2H001BB18
2H001BB23
2H001BB27
2H001DD04
2H001DD11
2H001MM01
2H001PP01
(57)【要約】
【課題】 光ファイバの伝送損失を抑制するとともに占積率の高いスロット型の光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】 間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxとスロット5の溝7の螺旋ピッチyの比が、x/y≦0.88を満たすと、損失増加が抑えられるとともに、高密度実装を達成できる。例えば、光ファイバケーブルの長手方向に垂直な断面において、溝7の断面積に対する、光ファイバユニット9(各光ファイバ素線17)の占める占積率が40%以上を達成することができ、特に、占積率が60%超70%以下を達成することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に複数の溝を有するスロットと、
前記溝に収容され、複数枚の間欠接着型光ファイバテープ心線からなる光ファイバユニットと、
を具備する光ファイバケーブルであって、
前記光ファイバユニット内におけるそれぞれの前記間欠接着型光ファイバテープ心線の撚りピッチをxとし、前記溝の螺旋ピッチをyとしたときに、250mm≦x≦700mm、300mm≦y≦800mmかつ、x/y≦0.88を満たすことを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項2】
光ファイバケーブルの長手方向に垂直な断面において、前記溝の断面積に対する、前記光ファイバユニットの占積率が40%以上70%以下であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロット型の光ファイバケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットが使用された光ファイバケーブルが使用されている。スロットの外周面には、複数の溝が形成され、溝には複数の光ファイバが収容される。
【0003】
スロット外周面の溝は、スロットの長手方向に対して、あるピッチで、一方向(S型)または交互に方向を変えるような(SZ型)螺旋の軌跡を描いている。すなわち、光ファイバケーブルの周方向における光ファイバの位置が、光ファイバケーブルの長手方向に対して変化する。
【0004】
このようなスロットを用いることで、光ファイバケーブルが曲げられた際、光ファイバケーブルの長手方向の各部で、各光ファイバを、ケーブルの曲げ中心に対しての外側と内側の両方に位置させることができる。このため、光ファイバの伝送損失を均一にし、伝送損失増加を抑制することができる。
【0005】
このような、光ファイバケーブルとしては、SZ型のスロットの溝に、撚り返された状態で光ファイバ心線同士が撚られたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018−17774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の光ファイバケーブルは、占積率が60%程度にとどまっており、より高い占積率が望まれている。しかし、単に溝内の光ファイバの本数を増やしたのみでは、伝送損失が高くなるため望ましくない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、光ファイバの伝送損失を抑制するとともに占積率の高いスロット型の光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達するために本発明は、外周に複数の溝を有するスロットと、前記溝に収容され、複数枚の間欠接着型光ファイバテープ心線からなる光ファイバユニットと、を具備する光ファイバケーブルであって、前記光ファイバユニット内におけるそれぞれの前記間欠接着型光ファイバテープ心線の撚りピッチをxとし、前記溝の螺旋ピッチをyとしたときに、250mm≦x≦700mm、300mm≦y≦800mmかつ、x/y≦0.88を満たすことを特徴とする光ファイバケーブルである。
【0010】
光ファイバケーブルの長手方向に垂直な断面において、前記溝の断面積に対する、前記光ファイバユニットの占積率が40%以上70%以下であることが望ましい。
【0011】
本発明によれば、間欠接着型光ファイバテープ心線の撚りピッチxと溝の螺旋ピッチyとが異なるため、例えば、スロットの溝の位置と、溝内における各光ファイバの位置とが一致せず、光ファイバケーブルの長手方向において、溝位置と溝内の光ファイバの配置とをずらすことができる。このため、伝送損失の増加を抑制することができる。特に、間欠接着型光ファイバテープ心線の撚りピッチxが溝の螺旋ピッチyよりも所定以上小さいため、間欠接着型光ファイバテープ心線の撚り合わせが十分であり、占積率も高めることができる。
【0012】
この光ファイバケーブルによれば、70%まで占積率を高めても、所定以下の伝送損失を確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光ファイバの伝送損失を抑制するとともに占積率の高いスロット型の光ファイバケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】光ファイバケーブル1を示す断面図。
図2】スロット5を示す正面図。
図3】間欠接着型光ファイバテープ心線を示す図。
図4】光ファイバユニット9を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、光ファイバケーブル1を示す断面図である。光ファイバケーブル1は、テンションメンバ3、スロット5、光ファイバユニット9、押さえ巻き11、外被13等から構成される。
【0016】
スロット5の中央には、テンションメンバ3が設けられる。また、溝7内には、複数の光ファイバユニット9が収容される。スロット5の外周部には、複数の溝7が形成される。溝7は、スロット5の長手方向に連続する。なお、溝7の形状、配置数や深さは図示した例には限られない。
【0017】
図2は、スロット5を示す正面図である。スロット5は、可撓性を有する樹脂で構成される。溝7は、スロット5の長手方向に対して一方向に螺旋状に形成される。したがって、スロット5の長手方向に対して、各溝7の周方向位置が変化する。
【0018】
ここで、スロット5の長手方向に対する溝7の螺旋ピッチをyとすると、300mm≦y≦800mmであることが望ましい。螺旋ピッチyが大きすぎると、溝7を螺旋状にする効果が小さくなる。すなわち、光ファイバケーブル1を曲げた際に、所定の光ファイバに大きな伝送損失が生じるおそれがある。一方、螺旋ピッチyが小さすぎると、溝7の長さが長くなり、溝7内の各光ファイバ長が長くなる。
【0019】
それぞれの溝7には光ファイバユニット9が収容される。光ファイバユニット9については詳細を後述する。それぞれの溝7内にそれぞれ複数の光ファイバユニット9が収容された状態で、押さえ巻き11が巻き付けられる。さらに、必要に応じて引き裂き紐が配置されて、外被13で被覆される。
【0020】
次に、光ファイバユニット9について説明する。光ファイバユニット9は、複数の間欠接着型光ファイバテープ心線からなる。図3は、間欠接着型光ファイバテープ心線15を示す概略図である。
【0021】
間欠接着型光ファイバテープ心線15は、複数の光ファイバ素線17が並列に接着されて構成される。なお、図示した例では、4本の光ファイバ素線17により構成される例を示すが、本発明はこれに限られず、複数の光ファイバ素線17からなる間欠接着型光ファイバテープ心線15であれば適用可能である。
【0022】
隣り合う光ファイバ素線17同士は、光ファイバ素線17の長手方向に所定の間隔をあけて間欠接着型的に接着部材19により接着される。接着部材19は、間欠接着型光ファイバテープ心線15の長手方向に対して千鳥状に配置される。すなわち、隣り合う光ファイバ素線17同士の接合部は、間欠接着型光ファイバテープ心線15の長手方向に対して千鳥状に配置される。
【0023】
図4は、光ファイバユニット9を示す概略図である。光ファイバユニット9は、複数枚の間欠接着型光ファイバテープ心線15からなる。光ファイバユニット9は、複数枚の間欠接着型光ファイバテープ心線15が撚り合わせられ、図示を省略したバンドル部材が巻き付けられて構成される。
【0024】
このようにして得られた光ファイバユニット9が、さらに複数本束ねられて、それぞれの溝7に収容される。すなわち、スロット5の各溝7内には、複数枚の間欠接着型光ファイバテープ心線15が撚り合わせられて構成された光ファイバユニット9が、それぞれ複数収容される。なお、光ファイバユニット9同士は、さらに撚り合わせられてもよく、撚り合わせられなくてもよい。
【0025】
ここで、光ファイバユニット9内におけるそれぞれの間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチをxとすると、250mm≦x≦700mmであることが望ましい。撚りピッチxが大きすぎると、間欠接着型光ファイバテープ心線15同士を撚り合わせる効果が小さくなり、また、撚りが弱いため、光ファイバユニット9自体の巻き締まりが弱く、外径が大きくなり、溝7への高密度実装が難しくなる。一方、撚りピッチxが小さすぎると、各光ファイバ長が長くなる。
【0026】
次に、光ファイバケーブル1の製造方法について説明する。まず、間欠接着型光ファイバテープ心線15を複数枚撚り合わせ、識別用に1本以上のバンドル部材をその上に巻付けて光ファイバユニット9を製造する。この工程では、それぞれの間欠接着型光ファイバテープ心線15のサプライ時の張力をコントロールすること等によって、各間欠接着型光ファイバテープ心線15の長さはほぼ均一になるように調整される。
【0027】
その後に、スロット5のそれぞれの溝7に対して複数本の光ファイバユニット9を収納する。さらに、スロット5の外周に押さえ巻き11を巻き付けて、外被13を押出被覆することで、光ファイバケーブル1が製造される。
【0028】
ここで、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxと溝7の螺旋ピッチyの比は、x/y≦0.88を満たすことが望ましい。この理由は以下の通りである。間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxと溝7の螺旋ピッチyが等しい場合、光ファイバユニット9を溝7へ収納した際に、ある位置において、溝7の外側に位置した間欠接着型光ファイバテープ心線15は常に溝7の外側に位置し、溝7の内側に位置した間欠接着型光ファイバテープ心線15は常に溝7の内側に位置することになる。
【0029】
また、前述したように、光ファイバユニット9の製造工程において、間欠接着型光ファイバテープ心線15の長さは揃えられていることから、外側の間欠接着型光ファイバテープ心線15は張り気味となる一方で、内側の間欠接着型光ファイバテープ心線15は余り気味となる。このため、内側の間欠接着型光ファイバテープ心線15には弛みが生じて、間欠接着型光ファイバテープ心線15が曲げられ、損失増加を起こす場合がある。このため、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxと溝7の螺旋ピッチyは等しくない方が望ましい。
【0030】
一方、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxが溝7の螺旋ピッチyよりも大きい場合(x>yの場合)には、前述したように、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxが大きい為、光ファイバユニット9自体の巻き締まりが弱く、外径が大きくなってしまうため、溝7への高密度実装が難しくなる。このため、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxは、溝7の螺旋ピッチyよりも小さい(x<y)ことが望ましい。
【0031】
ここで、発明者は、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxと溝7の螺旋ピッチyの比が、x/y≦0.88を満たすと、損失増加が抑えられるとともに、高密度実装を達成できることを見出した。例えば、上記の関係を満たすことで、光ファイバケーブルの長手方向に垂直な断面において、溝7の断面積に対する、光ファイバユニット9(各光ファイバ素線17)の占める占積率が40%以上を達成することができ、さらに、占積率が60%超70%以下を達成することもできる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態によれば、スロット5の長手方向に対する溝7の螺旋ピッチyよりも、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxを所定以上小さくすることで、溝7の螺旋ピッチの1周期内において、間欠接着型光ファイバテープ心線15の溝内位置を1周期以上の周期で変化させることができる。このため、光ファイバケーブル1における各間欠接着型光ファイバテープ心線15(光ファイバ素線17)の位置変化の効果を確実に高めることができる。このため、特定の光ファイバ素線17に生じる伝送損失が増大することを抑制することができる。
【0033】
また、光ファイバユニット9は、間欠接着型光ファイバテープ心線15が撚り合わせられて形成されるため、間欠接着型光ファイバテープ心線15の位置変更のみではなく、間欠接着型光ファイバテープ心線15における各光ファイバ素線17の位置変更が容易であり、伝送損失が増大することを抑制することができる。
【0034】
特に、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxと溝7の螺旋ピッチyの比が、x/y≦0.88を満たす場合には、光ファイバケーブルの長手方向に垂直な断面において、溝7の断面積に対する、光ファイバユニット9(各光ファイバ素線17)の占める占積率が60%超70%以下を達成することができる。
【実施例】
【0035】
間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxとスロット5の溝7の螺旋ピッチyとを変えて、光ファイバケーブルを製造し、それぞれの光ファイバケーブルの損失増加を測定して評価した。製造した光ファイバケーブルは、図1に示す形態であり、スロット5の外径を25mmとし、外被13の外径を29mmとした。
【0036】
8心の間欠接着型光ファイバテープ心線15を5枚撚り合わせて光ファイバユニット9とし、それぞれの溝7には、6本の光ファイバユニット9を収容した。すなわち、各溝7には、240心の光ファイバ素線17が収容される。また、スロット5には、8つの溝7が形成される。このため、各光ファイバケーブルには、1920心の光ファイバ素線17が収容される。
【0037】
表1には、占積率が50%となるように調整した光ファイバケーブルの評価結果を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表中の「損失増加0.1dB/km以上の発生数」は、前述した1920心のそれぞれについて、1km長での伝送損失を測定し、これがスロットに収納する前と比較して0.1dB増加した本数を計数した。
【0040】
表より、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxとスロット5の溝7の螺旋ピッチyの比x/yが0.88以下である実施例1〜4は、損失増加が0.1dB/kmを超えるものがなかった。
【0041】
これに対し、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxとスロット5の長手方向に対する溝7の螺旋ピッチyの比x/yが0.88を超える比較例1〜4は、損失増加が0.1dB/kmを超えるものが見られた。また、このx/yが大きくなるほど、この本数が増加した。
【0042】
これは、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxが相対的に大きくなり、長手方向に対する溝7の螺旋ピッチyに近づくにつれて、前述したように、溝7内における光ファイバ素線17の位置変化が小さくなり、特定の光ファイバ素線17の損失増加が大きくなったためと考えられる。
【0043】
同様に、表2には、前述した実施例等に対して、占積率が70%となるように溝7のサイズを調整した光ファイバケーブルの評価結果を示す。
【0044】
【表2】
【0045】
表より、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxとスロット5の溝7の螺旋ピッチyの比x/yが0.88以下の実施例5〜8は、損失増加が0.1dB/kmを超えるものがなかった。
【0046】
これに対し、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxとスロット5の溝7の螺旋ピッチyの比x/yが0.88を超える比較例5〜8は、損失増加が0.1dB/kmを超えるものが見られ、x/yが大きくなるほど、この本数が増加した。特に、占積率が50%の場合と比較して、占積率が70%の場合には、損失増加が0.1dB/kmを超えるものが多く見られた。
【0047】
これは、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxを小さくすることで、間欠接着型光ファイバテープ心線15の位置変化が大きくなり、溝7内での光ファイバ素線17のわずかな移動で歪みが緩和され、損失増加が抑制されるが、間欠接着型光ファイバテープ心線15の撚りピッチxが大きい場合は、間欠接着型光ファイバテープ心線15の位置変化が小さいため、溝7内での光ファイバ素線17の大きく移動しないと歪みが緩和されないのに対し、占積率が大きくなるほど光ファイバ素線17の移動が阻害されることで、損失増加の発生が増大することによるものである。
【0048】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0049】
1………光ファイバケーブル
3………テンションメンバ
5………スロット
7………溝
9………光ファイバユニット
11………押さえ巻き
13………外被
15………間欠接着型光ファイバテープ心線
17………光ファイバ素線
19………接着部材
図1
図2
図3
図4