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特開2019-220280多孔質層および非水電解液二次電池用積層セパレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220280(P2019-220280A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】多孔質層および非水電解液二次電池用積層セパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/16 20060101AFI20191129BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20191129BHJP
【FI】
   H01M2/16 P
   H01M2/16 M
   H01M2/16 L
   H01M4/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-114934(P2018-114934)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127498
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100146329
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】緒方 俊彦
【テーマコード(参考)】
5H021
5H050
【Fターム(参考)】
5H021EE04
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH03
5H050AA15
5H050BA15
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB05
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB12
5H050DA19
5H050EA12
5H050EA23
5H050FA17
5H050FA18
5H050HA00
5H050HA04
5H050HA05
(57)【要約】
【課題】従来よりも薄型でありながら、耐熱性および電池特性が従来の水準またはそれ以上である、多孔質層または非水電解液二次電池用積層セパレータを提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る多孔質層は、耐熱性樹脂と無機材料とを含む多孔質層であって;上記多孔質層に含まれる上記耐熱性樹脂の含有率は、40重量%以上、80重量%以下であり;上記多孔質層の厚みは、0.5μm以上、8.0μm未満であり;上記無機材料の平均粒径は、0.15μm以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性樹脂と無機材料とを含む多孔質層であって、
上記多孔質層に含まれる上記耐熱性樹脂の含有率は、40重量%以上、80重量%以下であり、
上記多孔質層の厚みは、0.5μm以上、8.0μm未満であり、
上記無機材料の平均粒径は、0.15μm以下である、多孔質層。
【請求項2】
ポリオレフィン多孔質フィルムと、請求項1に記載の多孔質層とが積層されている非水電解液二次電池用積層セパレータ。
【請求項3】
ポリオレフィン多孔質フィルムと、耐熱性樹脂および無機材料を含む多孔質層とが積層されている非水電解液二次電池用積層セパレータであって、
上記多孔質層に含まれる上記耐熱性樹脂の含有率は、40重量%以上、80重量%以下であり、
上記多孔質層の厚み(TB)に対する上記ポリオレフィン多孔質フィルムの厚み(TA)の比率(TA/TB)は、3以上、10以下であり、
上記無機材料の平均粒径は、0.15μm以下である、非水電解液二次電池用積層セパレータ。
【請求項4】
上記多孔質層の目付は、0.5g/m以上、2.0g/m以下である、請求項2または3に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
【請求項5】
正極と、請求項1に記載の多孔質層または請求項2〜4のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータと、負極とがこの順で配置されてなる、非水電解液二次電池用部材。
【請求項6】
請求項1に記載の多孔質層、または請求項2〜4のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータを備える、非水電解液二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質層および非水電解液二次電池用積層セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解液二次電池、特にリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いのでパーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などに用いる電池として広く使用され、また最近では車載用の電池として開発が進められている。
【0003】
特許文献1には、耐熱性含窒素芳香族重合体およびセラミック粉末を含むことを特徴とする非水電解質電池セパレータが開示されている。
【0004】
特許文献2には、高温時に実質的に無孔性の層となるシャットダウン特性を有する第1多孔質層(A層)と、アラミド樹脂と無機材料とを含む第2多孔質層(B層)とを積層した非水電解質二次電池用セパレータであって;上記B層の厚み(T)に対する、上記A層の厚み(T)の比率(T/T)が、2.5以上、13以下である、非水電解質二次電池用セパレータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−030686号公報
【特許文献2】特開2007−299612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術には、多孔質層または非水電解液二次電池用積層セパレータをより薄型化するという点において、改良の余地が残されていた。
【0007】
本発明の一態様は、従来よりも薄型でありながら、耐熱性および電池特性が従来の水準またはそれ以上である、多孔質層または非水電解液二次電池用積層セパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を包含している。
<1>耐熱性樹脂と無機材料とを含む多孔質層であって、
上記多孔質層に含まれる上記耐熱性樹脂の含有率は、40重量%以上、80重量%以下であり、
上記多孔質層の厚みは、0.5μm以上、8.0μm未満であり、
上記無機材料の平均粒径は、0.15μm以下である、多孔質層。
<2>ポリオレフィン多孔質フィルムと、<1>に記載の多孔質層とが積層されている非水電解液二次電池用積層セパレータ。
<3>ポリオレフィン多孔質フィルムと、耐熱性樹脂および無機材料を含む多孔質層とが積層されている非水電解液二次電池用積層セパレータであって、
上記多孔質層に含まれる上記耐熱性樹脂の含有率は、40重量%以上、80重量%以下であり、
上記多孔質層の厚み(TB)に対する上記ポリオレフィン多孔質フィルムの厚み(TA)の比率(TA/TB)は、3以上、10以下であり、
上記無機材料の平均粒径は、0.15μm以下である、非水電解液二次電池用積層セパレータ。
<4>上記多孔質層の目付は、0.5g/m以上、2.0g/m以下である、<2>または<3>に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
<5>正極と、<1>に記載の多孔質層または<2>〜<4>のいずれか1つに記載の非水電解液二次電池用積層セパレータと、負極とがこの順で配置されてなる、非水電解液二次電池用部材。
<6><1>に記載の多孔質層、または<2>〜<4>のいずれか1つに記載の非水電解液二次電池用積層セパレータを備える、非水電解液二次電池。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、従来よりも薄型でありながら、耐熱性および電池特性が従来の水準またはそれ以上である、多孔質層または非水電解液二次電池用積層セパレータが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に関して以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0011】
〔1.多孔質層〕
本明細書において、多孔質層とは、内部に多数の細孔を有し、これら細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体または液体が通過可能となった層である。
【0012】
本発明の一態様に係る多孔質層は、耐熱性樹脂と無機材料とを含む多孔質層であって;上記多孔質層に含まれる上記耐熱性樹脂の含有率は、40重量%以上、80重量%以下であり;上記多孔質層の厚みは、0.5μm以上、8.0μm未満であり;上記無機材料の平均粒径は、0.15μm以下である。
【0013】
上記多孔質層は、従来技術よりも耐熱性樹脂含有率を高くし、さらに無機材料の平均粒径を小さくした。このような材料を組み合わせたことにより、膜厚の薄い多孔質層を作製することができる。そして、多孔質層を薄型化したために、充分な電池特性が得られるようになった。
【0014】
本発明の一実施形態に係る多孔質層の膜厚は、0.5μm以上、8.0μm未満であることが好ましく、1.0μm以上、5.0μm未満であることがより好ましく、1.0μm以上、3.0μm未満であることがさらに好ましい。本明細書では、「多孔質層の膜厚」とは、多孔質層1層あたりの平均膜厚を意味する。
【0015】
多孔質層の膜厚が1.0μm以上であれば、電池の内部短絡を十分に防止することができ、また、多孔質層における電解液の保持量を維持できる。一方、多孔質層の膜厚が8.0μm未満であれば、耐熱性および電池特性を従来の水準と同等以上に保ちながら、従来技術よりも薄い多孔質層とすることができる。このため、非水電解液二次電池用積層セパレータ、ひいては非水電解液二次電池の小型化に寄与することができる。
【0016】
本発明の一実施形態に係る多孔質層は、非水電解液二次電池を構成する部材として、ポリオレフィン多孔質フィルムと、正極および負極の少なくともいずれか一方との間に配置されていてもよい。上記多孔質層は、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に形成されていてもよい。あるいは、上記多孔質層は、正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層上に形成されていてもよい。あるいは、上記多孔質層は、ポリオレフィン多孔質フィルムと、正極および負極の少なくともいずれか一方との間に、これらと接するように配置されてもよい。ポリオレフィン多孔質フィルムと正極および負極の少なくともいずれか一方との間に配置される多孔質層は、1層でもよく2層以上であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態係る多孔質層は、ポリオレフィン多孔質フィルムと正極が備える正極活物質層との間に配置されることが好ましい。多孔質層の物性に関する下記説明においては、非水電解液二次電池としたときに、ポリオレフィン多孔質フィルムと正極が備える正極活物質層との間に配置された多孔質層の物性を少なくとも指す。
【0018】
多孔質層の空隙率は、充分なイオン透過性を得ることができるように、20〜90体積%であることが好ましく、30〜80体積%であることがより好ましい。また、多孔質層が有する細孔の孔径は、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。細孔の孔径をこれらのサイズとすることにより、非水電解液二次電池は、充分なイオン透過性を得ることができる。
【0019】
[耐熱性樹脂]
本発明の一実施形態に係る多孔質層における耐熱性樹脂の含有率は、40〜80重量%であり、好ましくは45〜75重量%であり、より好ましくは50〜67重量%である。なお、多孔質層における耐熱性樹脂の含有率は、当該多孔質層の総重量を100重量%として算出する。
【0020】
本発明の一実施形態に係る多孔質層においては、従来技術よりも耐熱性樹脂の含有率を高く設定している。このため、多孔質層の膜厚が薄くなっても、耐熱性樹脂に由来する耐熱効果が充分に得られるようになっている。
【0021】
本発明の一実施形態における耐熱性樹脂としては、全芳香族ポリアミドおよび半芳香族ポリアミドなどの芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリウレタン、並びにメラミン樹脂などが挙げられる。
【0022】
中でも、上記耐熱性樹脂は、全芳香族ポリアミドであることが好ましい。なお、本明細書では、全芳香族ポリアミドをアラミド樹脂とも称する。全芳香族ポリアミドとしては、例えば、パラアラミドおよびメタアラミドが挙げられ、パラアラミドがより好ましい。
【0023】
上記パラアラミドの調製方法としては、特に限定されないが、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドとの縮合重合法が挙げられる。その場合、得られるパラアラミドは、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレンなどのような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものである。当該パラアラミドとしては、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体などのパラ配向型またはパラ配向型に準じた構造を有するパラアラミドが例示される。
【0024】
また、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)(PPTA)の溶液を調製する具体的な方法として、例えば、以下の(1)〜(4)に示す方法が挙げられる。
(1)乾燥したフラスコにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を仕込み、続いて塩化カルシウム(200℃で2時間乾燥させたもの)を添加した後、100℃に昇温することによって塩化カルシウムを完全に溶解させる。
(2)(1)にて得られた溶液の温度を室温に戻し、続いてパラフェニレンジアミン(PPD)を添加し、完全に溶解させる。
(3)(2)にて得られた溶液の温度を20±2℃に保ったまま、テレフタル酸ジクロライド(TPC)を4分割して約10分間おきに添加する。
(4)(3)にて得られた溶液の温度を20±2℃に保ったまま1時間熟成して、PPTAの溶液を得る。
【0025】
メタアラミドの調製方法は、特に限定されない。一例として、(1)メタ配向芳香族ジアミンと、メタ配向芳香族ジカルボン酸ハライドまたはパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドとの縮合重合法、および、(2)メタ配向芳香族ジアミンまたはパラ配向芳香族ジアミンと、メタ配向芳香族ジカルボン酸ハライドとの縮合重合法、が挙げられる。その場合、得られるメタラアラミドは、アミド結合が、芳香族環のメタ位またはそれに準じた配向位で結合される繰り返し単位を含んでいる。
【0026】
[無機材料]
本発明の一実施形態に係る多孔質層は無機材料を含んでいる。上記無機材料の平均粒径は0.15μm以下であり、0.10μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。なお、本明細書においては、「無機材料の平均粒径」とは無機材料の体積基準の平均粒径(D50)を意味する。D50とは、体積基準による積算分布が50%になる値の粒子径のことを意味する。D50は、例えば、レーザー回折式粒度分布計(島津製作所製、商品名:SALD2200など)を利用して測定することができる。
【0027】
本発明の一実施形態に係る多孔質層は、平均粒径の小さい無機材料を使用している。従来技術では、充分な耐熱性を確保するために、多孔質層はある程度の膜厚を必要としていた。そのため、平均粒径の大きい無機材料を多孔質層に含ませて、膜厚を厚くする構造材とすることが一般的であった。しかし本発明の一実施形態に係る多孔質層は、耐熱性樹脂の含有率を上げることによって充分な耐熱性を得ているため、平均粒径の大きい無機材料は不要となる。そしてその結果、多孔質層の膜厚を薄くすることにも成功している。
【0028】
無機材料の形状については、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状などが挙げられ、何れの粒子も用いることができる。均一な孔を形成しやすいことから、略球状粒子であることが好ましい。
【0029】
無機材料としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩などの無機物からなる材料が挙げられる。具体的に例示すると、アルミナ、ベーマイト、シリカ、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、または炭酸カルシウムなどの粉末が挙げられる。無機材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの無機材料の中でも、化学的安定性の点で、アルミナ粉末が好ましい。
【0030】
本発明の一実施形態に係る多孔質層における無機材料含有率は、1〜60重量%が好ましく、より好ましくは10〜50重量%であり、さらに好ましくは20〜50重量%である。なお、多孔質層における無機材料の含有率は、当該多孔質層の総重量を100重量%として算出する。
【0031】
無機材料の含有率を上述の範囲にすることで、多孔質層の重量の増加が抑制でき、かつイオン透過性が良好なセパレータを得ることができる。
【0032】
[その他の成分]
本発明の一実施形態に係る多孔質層は、本発明の効果を奏する限り、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。
【0033】
例えば、本発明の一実施形態に係る多孔質層は、有機材料を含んでいてもよい。有機材料の例としては、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチルなどの単独あるいは2種類以上の共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素系樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリオレフィン;ポリメタクリレートなどが挙げられる。有機材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの有機材料の中でも、化学的安定性の点で、ポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
【0034】
他の例として、本発明の一実施形態に係る多孔質層は、バインダー樹脂を含んでいてもよい。バインダー樹脂は、耐熱性樹脂、無機材料、電極板およびポリエチレン多孔質フィルムなどの要素を互いに接着するものである。
【0035】
バインダー樹脂は、非水電解液二次電池用の電解液に不溶であり、当該非水電解液二次電池の使用条件において電気化学的に安定であることが好ましい。このようなバインダー樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、及びエチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリクロロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フッ化ビニル共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、及びエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などの含フッ素樹脂;上記含フッ素樹脂の中でも、ガラス転移温度が23℃以下である含フッ素ゴム;芳香族ポリアミド;スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリ酢酸ビニルなどのゴム類;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルなどの、融点またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸などの水溶性ポリマー、全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)などが挙げられる。
【0036】
[多孔質層の製造方法]
耐熱性樹脂および無機材料を、媒質に溶解または分散させた塗工液を用いて、多孔質層を形成することができる。塗工液の形成方法としては、例えば、機械攪拌法、超音波分散法、高圧分散法、メディア分散法などが挙げられる。媒質としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN,N−ジメチルホルムアミドなどを使用することができる。
【0037】
多孔質層の製造方法としては、例えば、上述の塗料を調製し、当該塗料を基材に塗布し、乾燥させることにより、多孔質層を析出させる方法が挙げられる。基材としては、多孔質基材(例えば、後述するポリオレフィン多孔質フィルム)または電極板などを使用することができる。
【0038】
塗料を基材に塗工する方法としては、ナイフ、ブレード、バー、グラビア、またはダイなどの公知の塗工方法を用いることができる。
【0039】
溶媒(分散媒)の除去方法は、乾燥による方法が一般的である。乾燥方法としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥および減圧乾燥などが挙げられるが、溶媒(分散媒)を充分に除去することができるのであれば如何なる方法でもよい。また、塗料に含まれる溶媒(分散媒)を他の溶媒に置換してから乾燥を行ってもよい。溶媒(分散媒)を他の溶媒に置換してから除去する方法としては、具体的には水、アルコール、またはアセトンなどの低沸点の貧溶媒で置換、析出させ、乾燥を行う方法がある。
【0040】
〔2.非水電解液二次電池用積層セパレータ〕
本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、ポリオレフィン多孔質フィルムと、〔1〕で説明した多孔質層とが積層されている非水電解液二次電池用積層セパレータである。
【0041】
本発明の他の態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、ポリオレフィン多孔質フィルムと、耐熱性樹脂および無機材料を含む多孔質層とが積層されている非水電解液二次電池用積層セパレータであって;上記多孔質層に含まれる上記耐熱性樹脂の含有率は、40重量%以上、80重量%以下であり;上記多孔質層の厚み(TB)に対する上記ポリオレフィン多孔質フィルムの厚み(TA)の比率(TA/TB)は、3以上、10以下であり;上記無機材料の平均粒径は、0.15μm以下である。
【0042】
多孔質層の厚み(TB)に対するポリオレフィン多孔質フィルムの厚み(TA)の比率(TA/TB)は3〜10であり、好ましくは3〜8であり、より好ましくは3〜7である。
【0043】
TA/TBの値が上述の範囲にあるならば、耐熱性および電池特性を従来の水準と同等以上に保ちながら、多孔質層の膜厚を充分に薄くすることが可能となる。それゆえ、非水電解液二次電池用積層セパレータ全体の膜厚も薄くなり、ひいては非水電解液二次電池の小型化に寄与することができる。
【0044】
耐熱性樹脂の含有率および無機材料の平均粒径については、〔1〕に説明した通りであるため、再度の説明は省略する。
【0045】
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、ポリオレフィン多孔質フィルムの上に多孔質層が積層されている、積層セパレータである。このとき、多孔質層が積層されているのは、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面であってもよいし、両面であってもよい。
【0046】
なお、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、ポリオレフィン多孔質フィルムおよび多孔質層の他に、必要に応じて、接着層または保護層などの公知の多孔膜を、本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよい。
【0047】
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータにおいて、多孔質層の目付は、固形分で0.5〜2.0g/mであることが好ましく、1.0〜2.0g/mであることがより好ましく、1.0〜1.8g/mであることがさらに好ましい。上述した好適なTA/TBの範囲、または〔1〕で説明した好適な多孔質層の膜厚を達成するためには、目付をこの範囲とすることが好ましい。
【0048】
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの膜厚は、4〜20μmであることが好ましく、6〜16μmであることがより好ましい。この範囲の膜厚であれば、非水電解液二次電池用積層セパレータを薄型化するという本発明の目的の一つを充分に達成することができる。
【0049】
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの透気度は、ガーレ値で30〜1000sec/100mLであることが好ましく、50〜800sec/100mLであることがより好ましい。非水電解液二次電池用積層セパレータが、上記の透気度を有するならば、非水電解液二次電池において、充分なイオン透過性を得ることができる。
【0050】
[ポリオレフィン多孔質フィルム]
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、ポリオレフィン多孔質フィルムを備えている。ポリオレフィン多孔質フィルムは、その内部に連結した細孔を多数有しており、一方の面から他方の面に気体および液体を通過させることが可能となっている。ポリオレフィン多孔質フィルムは、非水電解液二次電池用積層セパレータの基材となりうる。ポリオレフィン多孔質フィルムは、電池が発熱したときに溶融して非水電解液二次電池用積層セパレータを無孔化することにより、当該非水電解液二次電池用積層セパレータにシャットダウン機能を付与するものであり得る。
【0051】
ここで、「ポリオレフィン多孔質フィルム」とは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムである。また、「ポリオレフィン系樹脂を主成分とする」とは、多孔質フィルムに占めるポリオレフィン系樹脂の割合が、当該多孔質フィルムを構成する材料全体の50体積%以上、好ましくは90体積%以上であり、より好ましくは95体積%以上であることを意味する。
【0052】
ポリオレフィン多孔質フィルムの主成分であるポリオレフィン系樹脂は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂である、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンおよび/または1−ヘキセンなどの単量体が重合されてなる単独重合体および共重合体が挙げられる。すなわち、単独重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブテンなどが、共重合体としてはエチレン−プロピレン共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン多孔質フィルムは、これらのポリオレフィン系樹脂を単独にて含む層、または、これらのポリオレフィン系樹脂の2種以上を含む層でありうる。このうち、過大電流が流れることをより低温で阻止(シャットダウン)することができるため、ポリエチレンがより好ましく、特に、エチレンを主体とする高分子量のポリエチレンが好ましい。なお、ポリオレフィン多孔質フィルムは、その機能を損なわない範囲で、ポリオレフィン以外の成分を含むことを妨げない。
【0053】
ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)および超高分子量ポリエチレンなどが挙げられる。このうち、超高分子量ポリエチレンがさらに好ましく、重量平均分子量が5×10〜15×10の高分子量成分が含まれていることがさらに好ましい。特に、ポリオレフィン系樹脂に重量平均分子量が100万以上の高分子量成分が含まれていると、ポリオレフィン多孔質フィルムおよび非水電解液二次電池用積層セパレータの強度が向上するのでより好ましい。
【0054】
ポリオレフィン多孔質フィルムが有する細孔の孔径は、0.1μm以下であることが好ましく、0.06μm以下であることがより好ましい。これにより、十分なイオン透過性を得ることができ、かつ、電極を構成する粒子の入り込みを、より防止することができる。
【0055】
ポリオレフィン多孔質フィルムの単位面積当たりの重量目付は、電池の重量エネルギー密度および体積エネルギー密度を高くすることができるように、通常、4〜20g/mであることが好ましく、5〜12g/mであることがより好ましい。
【0056】
ポリオレフィン多孔質フィルムの透気度は、ガーレ値で30〜500sec/100mLであることが好ましく、50〜300sec/100mLであることがより好ましい。これにより、非水電解液二次電池用積層セパレータが十分なイオン透過性を得ることができる。
【0057】
ポリオレフィン多孔質フィルムの空隙率は、20〜80体積%であることが好ましく、30〜75体積%であることがより好ましい。これにより、電解液の保持量を高めると共に、過大電流が流れることをより低温で確実に阻止(シャットダウン)することができる。
【0058】
ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法は、公知の手法を用いることができ、特に限定されない。例えば、特許第5476844号公報に記載されたように、熱可塑性樹脂にフィラーを加えてフィルム成形した後、当該フィラーを除去する方法が挙げられる。
【0059】
具体的には、例えば、ポリオレフィン多孔質フィルムが、超高分子量ポリエチレンおよび重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂から形成されてなる場合には、製造コストの観点から、以下に示す工程(1)〜(4)を含む方法により製造することが好ましい。
(1)超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5重量部〜200重量部と、炭酸カルシウムなどの無機充填剤100重量部〜400重量部とを混練してポリオレフィン樹脂組成物を得る工程、
(2)ポリオレフィン樹脂組成物を用いてシートを成形する工程、
(3)工程(2)で得られたシート中から無機充填剤を除去する工程、
(4)工程(3)で得られたシートを延伸する工程。
その他、上述した各特許文献に記載の方法を利用してもよい。
【0060】
また、ポリオレフィン多孔質フィルムとして、上述の特徴を有する市販品を使用してもよい。
【0061】
[非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法]
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法としては、例えば、上述の「多孔質層の製造方法」において、上記塗工液を塗布する基材として、上述のポリオレフィン多孔質フィルムを使用する方法が挙げられる。
【0062】
〔3.非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池〕
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用部材は、正極と、上述の多孔質層または非水電解液二次電池用積層セパレータと、負極とがこの順で配置されてなる。また、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、上述の多孔質層または積層セパレータを備える。上記非水電解液二次電池は、通常、負極と正極とが、上述の多孔質層または非水電解液二次電池用積層セパレータを介して対向した構造体を有する。上記非水電解液二次電池では、当該構造体に電解液が含浸された電池要素が、外装材内に封入されている。例えば、上記非水電解液二次電池は、リチウムイオンのドープ・脱ドープにより起電力を得るリチウムイオン二次電池である。
【0063】
[正極]
正極としては、例えば、正極活物質およびバインダー樹脂を含む活物質層が集電体上に成形された構造を備える正極シートを使用することができる。なお、上記活物質層は、さらに導電剤を含んでもよい。
【0064】
上記正極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、例えば、V、Mn、Fe、Co、Niなどの遷移金属を少なくとも1種類含んでいるリチウム複合酸化物が挙げられる。
【0065】
上記導電剤としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などの炭素質材料などが挙げられる。
【0066】
上記結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデン−トリクロロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデン−フッ化ビニルの共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレン、およびポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、ならびに、スチレンブタジエンゴムが挙げられる。なお、結着剤は、増粘剤としての機能も有している。
【0067】
正極集電体としては、例えば、Al、Ni、ステンレスなどの導電体が挙げられる。中でも、薄膜に加工し易く、安価であることから、Alがより好ましい。
【0068】
シート状の正極の製造方法としては、例えば、正極合剤となる正極活物質、導電剤および結着剤を正極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて正極活物質、導電剤および結着剤をペースト状にして正極合剤を得た後、当該正極合剤を正極集電体に塗工し、これを乾燥して得られたシート状の正極合剤を加圧することにより、正極集電体に固着する方法などが挙げられる。
【0069】
[負極]
負極としては、例えば、負極活物質およびバインダー樹脂を含む活物質層が集電体上に成形された構造を備える負極シートを使用することができる。なお、上記活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。
【0070】
上記負極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料、リチウム金属またはリチウム合金などが挙げられる。当該材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維および有機高分子化合物焼成体などの炭素質材料;正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープを行う酸化物および硫化物などのカルコゲン化合物;アルカリ金属と合金化するアルミニウム(Al)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)およびシリコン(Si)などの金属、アルカリ金属を格子間に挿入可能な立方晶系の金属間化合物(AlSb、MgSi、NiSi)、リチウム窒素化合物(Li-xMN(M:遷移金属))などが挙げられる。
【0071】
負極集電体としては、例えば、Cu、Ni、ステンレスなどが挙げられる。中でも、特にリチウムイオン二次電池においてはリチウムと合金を作り難く、かつ薄膜に加工し易いことから、Cuがより好ましい。
【0072】
シート状の負極の製造方法としては、例えば、負極合剤となる負極活物質を負極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて負極活物質をペースト状にして負極合剤を得た後、当該負極合剤を負極集電体に塗工し、これを乾燥して得られたシート状の負極合剤を加圧することにより、負極集電体に固着する方法などが挙げられる。上記ペーストには、好ましくは上記導電助剤および上記結着剤が含まれる。
【0073】
[非水電解液]
非水電解液としては、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解してなる非水電解液を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、Li10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlClなどが挙げられる。上記リチウム塩のうち、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSOおよびLiC(CFSOからなる群から選択される少なくとも1種のフッ素含有リチウム塩がより好ましい。
【0074】
有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物;並びに、上記有機溶媒にフッ素基が導入されてなる含フッ素有機溶媒などが挙げられる。上記有機溶媒のうち、カーボネート類がより好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒、または、環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒がさらに好ましい。当該混合溶媒は、作動温度範囲が広く、かつ、負極活物質として天然黒鉛または人造黒鉛などの黒鉛材料を用いた場合においても難分解性を示す。
【0075】
[非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池の製造方法]
非水電解液二次電池用部材の製造方法としては、例えば、正極と、上述の多孔質層または非水電解液二次電池用積層セパレータと、負極とをこの順で配置する方法が挙げられる。
【0076】
また、非水電解液二次電池の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、非水電解液二次電池の筐体となる容器に当該非水電解液二次電池用部材を入れる。次いで、当該容器内を非水電解液で満たした後、減圧しつつ容器を密閉する。これにより、非水電解液二次電池を製造することができる。
【0077】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0079】
〔各種物性の測定方法〕
後述の実施例および比較例において、非水電解液二次電池用積層セパレータの各物性を、それぞれ以下の方法で測定した。
【0080】
(1)寸法保持率
実施例または比較例で作製した非水電解液二次電池用積層セパレータを、5cm×5cm角の正方形に切り出し、その中央に4cm角で正方形の罫書き線を描いた。次に、切り出した非水電解液二次電池用積層セパレータを2枚の紙の間に挟み、150℃のオーブンで1時間加熱した。加熱後の非水電解液二次電池用積層セパレータ取り出して、正方形の寸法を測定し、寸法保持率を計算した。寸法保持率の計算方法は次の通りである。
機械方向(MD)の寸法保持率(%)=W2/W1×100
W1:加熱前における機械方向(MD)の罫書き線の長さ
W2:加熱後における機械方向(MD)の罫書き線の長さ。
【0081】
(2)初期電池特性維持率
以下に説明するように、実施例または比較例で作製した非水電解液二次電池用積層セパレータを用いて非水電解液二次電池を組み立て、初期電池特性維持率を測定した。
【0082】
(正極)
LiNi0.5Mn0.3Co0.2/導電材/PVDF(重量比:92/5/3)がアルミニウム箔上に塗布されている、市販の正極を用意した。上記正極を、正極活物質層が形成された部分の大きさが40mm×35mmであり、かつその外周に幅13mmで正極活物質層が形成されていない部分が残るように、アルミニウム箔を切り取ったものを使用した。正極活物質層の厚さは58μm、密度は2.50g/cmであった。
【0083】
(負極)
黒鉛/スチレン−1,3−ブタジエン共重合体/カルボキシメチルセルロースナトリウム(重量比:98/1/1)が銅箔上に塗布されている、市販の負極を用意した。上記負極を、負極活物質層が形成された部分の大きさが50mm×40mmであり、かつその外周に幅13mmで負極活物質層が形成されていない部分が残るように、銅箔を切り取ったものを使用した。負極活物質層の厚さは49μm、密度は1.40g/cmであった。
【0084】
(非水電解液二次電池の組み立て)
ラミネートパウチ内に、正極、非水電解液二次電池用積層セパレータおよび負極を、この順で積層することにより、非水電解液二次電池用部材を得た。このとき、正極の正極活物質層における主面の全部が、負極の負極活物質層における主面の範囲に含まれるように(主面に重なるように)、正極および負極を配置した。
【0085】
続いて、上記非水電解液二次電池用部材を、アルミニウム層とヒートシール層とが積層されてなる袋に入れ、さらにこの袋に、非水電解液を0.25mL注入した。上記非水電解液は、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびエチレンカーボネートの体積比が50:20:30である混合溶媒に、濃度1.0mol/LのLiPFを溶解させて調製した。また、上記非水電解液の温度は25℃とした。そして、袋内を減圧しつつ、当該袋をヒートシールすることにより、非水電解液二次電池を作製した。
【0086】
(初期電池特性維持率の測定)
充放電サイクルを経ていない新たな非水電解液二次電池に対して、(i)電圧範囲:2.7〜4.1V、充電電流値:0.2CでCC−CV充電を行い(終止電流条件:0.02C)、次いで(ii)放電電流値:0.2CでCC放電を行った。このサイクルを1サイクルとして、合計4サイクルの初期充放電を行った。この充放電サイクルは、25℃にて実施した。
【0087】
なお、上記の説明において、「1C」とは、1時間率の放電容量による定格容量を、1時間で放電する電流値を意味する。「CC−CV充電」とは、所定の電圧に到達するまで一定の電流で充電し、その後、上記所定の電圧が維持されるように電流を低下させながら充電する充電方法を意味する。「CC放電」とは、一定の電流を維持しながら、所定の電圧に達するまで放電する放電方法を意味する。
【0088】
続いて、下記式に従って、初期電池特性維持率を算出した。測定温度は55℃とした。
初期電池特性維持率(%)=(20C放電容量/0.2C放電容量)×100。
【0089】
〔アラミド重合液の製造例〕
実施例および比較例で使用するアラミド微粒子は、以下のように調製した。
【0090】
アラミドとして、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)を調製した。調製用の容器として、攪拌翼、温度計、窒素流入管および粉体添加口を有する、容量500mLのセパラブルフラスコを使用した。充分に乾燥させたフラスコに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)440gを仕込み、塩化カルシウム粉末30.2g(200℃で2時間真空乾燥させたもの)を添加し、100℃に昇温して完全に溶解させた。液温を室温に戻して、パラフェニレンジアミン13.2gを添加し、完全に溶解させた。この溶液を20℃±2℃に保ったまま、テレフタル酸ジクロライド24.2gを、4分割して約10分おきに添加した。その後も150rpmで攪拌を続けながら、溶液を20℃±2℃に保ったまま1時間熟成し、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)を6%含むアラミド重合液を得た。
【0091】
〔実施例1〕
製造例で得られたアラミド重合液100gをフラスコに秤取し、アルミナC(日本アエロジル社製、平均粒径0.013μm)を6g混合し、さらに、固形分が4重量%となるようにNMPを添加して、240分間攪拌した。なお、ここで言う「固形分」とは、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)とアルミナCとの総重量のことである。その後、炭酸カルシウム2.36gを添加し、240分間攪拌して溶液を中和させた。溶液を減圧下で脱泡して、スラリー状の塗工液(1)を調製した。
【0092】
塗工液(1)を、ポリエチレンからなる多孔質フィルム(厚さ10μm、空隙率42%)上に、ドクターブレード法により塗布した。得られた塗布物(1)を、50℃、相対湿度70%の空気中に1分間静置して、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の粒子を含む層を析出させた。次に、塗布物(1)をイオン交換水に浸漬させ、塩化カルシウムおよび溶媒を除去した。その後、塗布物(1)を70℃のオーブンで乾燥させて、非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)の各物性を表1に示す。
【0093】
〔実施例2〕
アルミナC(日本アエロジル社製)の混合量を3gとし、固形分が3%となるようにNMPを添加して、塗工液(2)を調製した。塗工液(2)を用いて、実施例1と同様の手順により非水電解液二次電池用積層セパレータ(2)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(2)の各物性を表1に示す。
【0094】
〔実施例3〕
アルミナC(日本アエロジル社製)の混合量を2gとし、固形分が2.67%となるようにNMPを添加して、塗工液(3)を調製した。塗工液(3)を用いて、実施例1と同様の手順により非水電解液二次電池用積層セパレータ(3)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(3)の各物性を表1に示す。
【0095】
〔比較例1〕
製造例で得られたアラミド重合液100gをフラスコに秤取し、アルミナC(日本アエロジル社製、平均粒径0.013μm)を6g、AKP−3000(住友化学社製、平均粒径0.7μm)を6g混合し、さらに、固形分が6重量%となるようにNMPを添加して、240分間攪拌した。なお、ここで言う「固形分」とは、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、アルミナCおよびAKP−3000の総重量のことである。また、本比較例で使用した無機材料(アルミナCおよびAKP−3000)全体の平均粒径は、0.35μmであった。その後、実施例1と同様の手順により比較塗工液(1)を調製し、比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)を得た。比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)の各物性を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
〔実施例4〕
実施例2で得られた塗工液(2)と、ポリエチレンからなる多孔質フィルム(厚さ12μm、空隙率41%)とを用いて、実施例1と同様の手順で、非水電解液二次電池用積層セパレータ(4)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(4)の各物性を表2に示す。
【0098】
〔比較例2〕
比較例1で得られた比較塗工液(1)と、ポリエチレンからなる多孔質フィルム(厚さ12μm、空隙率41%)とを用いて、実施例1と同様の手順で、比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(2)を得た。比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(2)の各物性を表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】
(結果)
上述の実施例と比較例とでは、多孔質層の組成が異なる。具体的には、実施例1〜4で作製した多孔質層は、(i)耐熱性樹脂の含有率が40重量%以上、80重量%以下の範囲内であり、(ii)平均粒径が0.15μm以下の無機材料を含む一方、比較例1および2で作製した多孔質層は、(i)耐熱性樹脂の含有率が40重量%未満であり、(ii)平均粒径が0.15μmを超える無機材料を含む。
【0101】
その結果、非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)〜(3)は、多孔質層の膜厚(TB)が薄く、多孔質層の目付が少ないにもかかわらず、比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)と同等かそれ以上の寸法保持率を示した(表1)。非水電解液二次電池用積層セパレータ(4)と比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(2)についても、同様の関係が成立した(表2)。
【0102】
また、非水電解液二次電池用積層セパレータ(4)と比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(2)とを比較すると、前者の方が初期電池特性維持率に優れていた(表2)。
【0103】
以上によって、本発明の構成によれば、積層する多孔質層が薄くとも、従来技術と同等かそれ以上の耐熱性および電池特性を有する非水電解液二次電池用積層セパレータが得られることが示唆された。つまり、本発明は、多孔質層の薄型化に寄与しうるし、非水電解液二次電池用積層セパレータの薄型化にも寄与しうる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、例えば非水電解液二次電池に利用することができる。