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特開2019-220289有機ELパネル、および有機ELパネルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220289(P2019-220289A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】有機ELパネル、および有機ELパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/26 20060101AFI20191129BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20191129BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20191129BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H05B33/26 Z
   H05B33/10
   H05B33/14 A
   H05B33/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-115240(P2018-115240)
(22)【出願日】2018年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】天田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】今田 雄
(72)【発明者】
【氏名】林 輝幸
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC03
3K107DD37
3K107DD39
3K107DD44Z
3K107DD46X
3K107FF13
3K107FF15
3K107FF19
3K107HH05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電子輸送層および電子注入層を介して補助電極から陰極に電子を効率良く供給する技術を提供する。
【解決手段】陽極21と発光層26と電子輸送層27と電子注入層28と陰極22とをこの順で有する有機EL素子13をマトリックス状に複数有し、電子輸送層27と電子注入層28と陰極22とが複数の有機EL素子13に亘って連続的に形成される、有機ELパネル2であって、複数の有機EL素子13の間において、電子輸送層27および電子注入層28を介して陰極22に電子を供給する補助電極30と、発光層26が内部に形成される第1開口部41と、補助電極30から陰極22への電子の供給路が形成される第2開口部42とが形成される絶縁層40とを有し、補助電極30の電子輸送層27に対向する表面の仕事関数が、陽極21の発光層26に対向する表面の仕事関数よりも小さい、有機ELパネル2。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と発光層と電子輸送層と電子注入層と陰極とをこの順で有する有機EL素子をマトリックス状に複数有し、前記電子輸送層と前記電子注入層と前記陰極とが複数の前記有機EL素子に亘って連続的に形成される、有機ELパネルであって、
複数の前記有機EL素子の間において、前記電子輸送層および前記電子注入層を介して前記陰極に電子を供給する補助電極と、
前記発光層が内部に形成される第1開口部と、前記補助電極から前記陰極への電子の供給路が形成される第2開口部とが形成される絶縁層とを有し、
前記補助電極の前記電子輸送層に対向する表面の仕事関数が、前記陽極の前記発光層に対向する表面の仕事関数よりも小さい、有機ELパネル。
【請求項2】
前記陽極の前記発光層に対向する表面は、酸化インジウムを含む透明導電材料で形成される、請求項1に記載の有機ELパネル。
【請求項3】
前記補助電極の前記電子輸送層に対向する表面は、モリブデンで形成される、請求項1または2に記載の有機ELパネル。
【請求項4】
陽極と発光層と電子輸送層と電子注入層と陰極とをこの順で有する有機EL素子をマトリックス状に複数有し、前記電子輸送層と前記電子注入層と前記陰極とが複数の前記有機EL素子に亘って連続的に形成される、有機ELパネルの製造方法であって、
複数の前記有機EL素子の間において、前記電子輸送層および前記電子注入層を介して前記陰極に電子を供給する補助電極を形成する工程と、
前記発光層が内部に形成される第1開口部と、前記補助電極から前記陰極への電子の供給路が形成される第2開口部とが形成される絶縁層を形成する工程とを有し、
前記補助電極を形成する工程は、前記補助電極の前記電子輸送層に対向する表面を、前記陽極の前記発光層に対向する表面に比べて、仕事関数の小さい材料で形成する工程を有する、有機ELパネルの製造方法。
【請求項5】
前記陽極を形成する工程を有し、
前記陽極を形成する工程は、前記陽極の前記発光層に対向する表面を、酸化インジウムを含む透明導電材料で形成する工程を有する、請求項4に記載の有機ELパネルの製造方法。
【請求項6】
前記補助電極を形成する工程は、前記補助電極の前記電子輸送層に対向する表面を、モリブデンで形成する工程を有する、請求項4または5に記載の有機ELパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機ELパネル、および有機ELパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の有機EL表示パネルは、TFT(Thin Film Transistor)基板と、陽極と、透明導電膜(電極被覆層)と、ホール注入層と、ホール輸送層と、有機発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、陰極と、封止層とを有する。陽極、透明導電膜、ホール注入層、ホール輸送層、および有機発光層は、有機EL素子毎に個別に形成される。電子輸送層、電子注入層、陰極、および封止層はTFT基板の平面全体にわたり一様に形成される。また、バスバー領域には補助電極および透明導電膜(電極被覆層)がこの順で形成される。陽極と補助電極とは同じ材料(例えば銀)で同時に形成され、陽極上の透明導電膜と補助電極上の透明導電膜とは同じ材料(例えばITO(Indium Tin Oxide))で同時に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−172060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、電子輸送層および電子注入層を介して補助電極から陰極に電子を効率良く供給できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る有機ELパネルは、
陽極と発光層と電子輸送層と電子注入層と陰極とをこの順で有する有機EL素子をマトリックス状に複数有し、前記電子輸送層と前記電子注入層と前記陰極とが複数の前記有機EL素子に亘って連続的に形成される、有機ELパネルであって、
複数の前記有機EL素子の間において、前記電子輸送層および前記電子注入層を介して前記陰極に電子を供給する補助電極と、
前記発光層が内部に形成される第1開口部と、前記補助電極から前記陰極への電子の供給路が形成される第2開口部とが形成される絶縁層とを有し、
前記補助電極の前記電子輸送層に対向する表面の仕事関数が、前記陽極の前記発光層に対向する表面の仕事関数よりも小さい。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、電子輸送層および電子注入層を介して補助電極から陰極に電子を効率良く供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る有機ELパネルを示す平面図である。
図2図2は、一実施形態に係る有機ELパネルの部分断面図である。
図3図3は、一実施形態に係る陽極の透明電極と、補助電極と、電子輸送層と、電子注入層と、陰極とのエネルギー準位を示す図である。
図4図4は、一実施形態に係る有機ELパネルの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。尚、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0009】
図1は、一実施形態に係る有機ELパネルを示す平面図である。図1において、一の単位回路11の回路を拡大して示す。
【0010】
有機ELパネル2は、基板10と、基板10上に配列される複数の単位回路11と、基板10上に設けられる走査線駆動回路14と、基板10上に設けられるデータ線駆動回路15とを有する。走査線駆動回路14に接続される複数の走査線16と、データ線駆動回路15に接続される複数のデータ線17とで囲まれる領域に、単位回路11が設けられる。単位回路11は、マトリックス状に複数配置され、それぞれ、TFT層12と、有機EL素子13とを含む。
【0011】
TFT層12は、複数のTFT(Thin Film Transistor)を有する。一のTFTはスイッチング素子としての機能を有し、他の一のTFTは有機EL素子13に流す電流量を制御する電流制御用素子としての機能を有する。TFT層12は、走査線駆動回路14およびデータ線駆動回路15によって作動され、有機EL素子13に電流を供給する。TFT層12は単位回路11毎に設けられており、複数の単位回路11は独立に制御される。尚、TFT層12は、一般的な構成であればよく、図1に示す構成には限定されない。
【0012】
尚、有機ELパネルの駆動方式は、本実施形態ではアクティブマトリックス方式であるが、パッシブマトリックス方式であってもよい。
【0013】
図2は、一実施形態に係る有機ELパネルの部分断面図である。基板10としては、例えばガラス基板または樹脂基板が用いられる。基板10上には、TFT層12が形成される。TFT層12上には、TFT層12によって形成される段差を平坦化する平坦化層18が形成される。
【0014】
平坦化層18は、絶縁性を有する。平坦化層18を貫通するコンタクトホールには、コンタクトプラグ19が形成される。コンタクトプラグ19は、平坦化層18の平坦面に形成される陽極21とTFT層12とを電気的に接続する。コンタクトプラグ19は、陽極21と同じ材料で、陽極21と同時に形成されてよい。
【0015】
有機EL素子13は、平坦化層18の平坦面上にマトリックス状に複数形成される。複数の有機EL素子13のそれぞれは、陽極21と、陰極22と、陽極21と陰極22との間に形成される有機層23とを有する。TFT層12を作動させ、陽極21と陰極22との間に電圧を印加すると、有機層23において光が発生する。
【0016】
有機層23において発生した光は、陰極22を通過し、基板10とは反対側に取り出される。つまり、本実施形態の有機ELパネル2は、トップエミッション型である。そのため、基板10は不透明基板であってもよい。
【0017】
陽極21は、単層構造でもよいが、本実施形態では複数層構造であって、有機層23からの光を有機層23に向けて反射する反射電極211と、反射電極211と有機層23との間に形成される透明電極212とを有する。有機層23において発生した光は、透明電極212を通り、反射電極211で反射され、再び透明電極212を通過する。陽極21は、有機EL素子13毎に個別に形成される。
【0018】
反射電極211は、金属膜であって、例えば銀(Ag)またはアルミニウム(Al)で形成される。一方、透明電極212は、酸化物膜であって、例えば酸化インジウムを含む透明導電材料で形成される。透明導電材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)、およびIZO(Indium Zinc Oxide)が挙げられる。
【0019】
透明電極212は、陽極21から、有機層23の正孔注入層24への正孔の注入を促進するために設けられる。正孔は、透明電極212から正孔注入層24のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)に注入される。
【0020】
透明電極212の仕事関数は、反射電極211の仕事関数に比べて大きい。そのため、反射電極211のフェルミ準位と正孔注入層24のHOMO準位とのエネルギー差に比べて、透明電極212のフェルミ準位と正孔注入層24のHOMO準位とのエネルギー差が小さい。従って、陽極21から、有機層23の正孔注入層24への正孔の注入を促進することができる。
【0021】
一般的に、仕事関数は、真空準位とフェルミ準位とのエネルギー差であり、正の値である。本明細書において、仕事関数は、例えばUPS(Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)法により測定する。
【0022】
尚、陽極21を構成する層の数は、1つ又は2つには限定されず、3つ以上でもよい。例えば、陽極21は、反射電極211と平坦化層18との間に透明電極をさらに有してもよく、透明電極と反射電極211と透明電極212との3層構造であってもよい。
【0023】
陰極22は、例えばマグネシウムと銀との混合材(Mg/Al)で形成され、有機層23において発生した光を基板10とは反対側に透過させる。陰極22は、複数の有機EL素子13に亘って連続的に形成され、有機ELパネル2の表示領域の全体に亘って連続的に形成される。
【0024】
有機層23は、例えば、陽極21側から陰極22側に向けて、正孔注入層24と、正孔輸送層25と、発光層26と、電子輸送層27と、電子注入層28とをこの順で有する。陽極21と陰極22との間に電圧がかかると、陽極21から正孔注入層24に正孔が注入されると共に、陰極22から電子注入層28に電子が注入される。正孔注入層24に注入された正孔は、正孔輸送層25によって発光層26へ輸送される。また、電子注入層28に注入された電子は、電子輸送層27によって発光層26へ輸送される。そうして、発光層26内で正孔と電子が再結合して、発光層26の発光材料が励起され、発光層26が発光する。
【0025】
正孔注入層24、正孔輸送層25、および発光層26は、陽極21と同様に、有機EL素子13毎に個別に形成される。尚、陽極21から発光層26に正孔を供給できればよく、正孔注入層24は無くてもよい。
【0026】
発光層26として、例えば、赤色に発光する赤色発光層26Rと、緑色に発光する緑色発光層26Gと、青色に発光する青色発光層26Bとが形成される。1つの赤色発光層26Rと、1つの緑色発光層26Gと、1つの青色発光層26Bとで、1つの画素が構成される。
【0027】
1つの画素を構成する赤色発光層26Rと緑色発光層26Gと青色発光層26Bとの配置は、図2に示す配置には限定されない。また、1つの画素は、赤色、緑色および青色以外の色(例えば黄色)に発光する発光層をさらに有してもよい。
【0028】
電子輸送層27および電子注入層28は、陰極22と同様に、マトリックス状に配置される複数の有機EL素子13に亘って連続的に形成され、有機ELパネル2の表示領域の全体に亘って連続的に供給される。
【0029】
ところで、陰極22は、発光層26において発生した光を透過させるため、薄く形成される。そのため、有機ELパネル2の表示領域の外周部と、有機ELパネル2の表示領域の中央部との間での、陰極22の電気抵抗が大きい。この傾向は、有機ELパネル2の表示領域が大きいほど、顕著である。
【0030】
そこで、有機ELパネル2は、複数の有機EL素子13の間において、電子輸送層27および電子注入層28を介して陰極22に電子を供給する補助電極30を有する。補助電極30と陽極21とは、同じ面(例えば平坦化層18の平坦面)に、離間して形成される。
【0031】
補助電極30は、有機ELパネル2の表示領域の全体に亘って形成され、陰極22を全体的に等電位に維持する。陰極22の電圧降下を抑制でき、有機ELパネル2の表示領域の中央部における発光量の低下を抑制できる。
【0032】
補助電極30は、例えば隣り合う複数の画素の境界に配置され、格子状または縞状に形成される。尚、補助電極30は、隣り合う複数の副画素の境界に配置され、格子状または縞状に形成されてもよい。1つの副画素は、1つの赤色発光層26R、1つの緑色発光層26G、または1つの青色発光層26Bを含む。
【0033】
補助電極30は、複数層構造でもよいが、本実施形態では単層構造である。補助電極30と電子輸送層27との間に別の機能層が形成されてもよいが、本実施形態では補助電極30の表面に接するように電子輸送層27が形成される。
【0034】
補助電極30は、補助電極30から電子輸送層27への電子の注入を促進するため、従来とは異なり、陽極21の透明電極212とは異なる材料で形成される。電子は、補助電極30から電子輸送層27のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)に注入され、電子注入層28のLUMOに移動し、陰極22に至る。
【0035】
図3は、一実施形態に係る陽極の透明電極と、補助電極と、電子輸送層と、電子注入層と、陰極とのエネルギー準位を示す図である。図3において、E0は陽極21の透明電極212のフェルミ準位であり、E1は補助電極30のフェルミ準位である。E0の絶対値(|E0|)は陽極21の透明電極212の仕事関数であり、E1の絶対値(|E1|)は補助電極30の仕事関数である。また、図3において、E2は電子輸送層27のLUMO準位であり、E3は電子注入層28のLUMO準位であり、E4は陰極22のフェルミ準位である。
【0036】
図3に示すように、補助電極30の仕事関数|E1|は、陽極21の透明電極212の仕事関数|E0|に比べて小さい。そのため、陽極21の透明電極212のフェルミ準位E0と電子輸送層27のLOUMO準位E2とのエネルギー差に比べて、補助電極30のフェルミ準位E1と電子輸送層27のLUMO準位E2とのエネルギー差が小さい。従って、補助電極30から電子輸送層27への電子の注入を促進することができ、補助電極30から陰極22に電子を効率良く供給できる。
【0037】
補助電極30は、本実施形態では単層構造であるが、複数層構造でもよい。また、陽極21は、本実施形態では複数層構造であるが、単層構造でもよい。いずれにしろ、補助電極30の電子輸送層27に対向する表面31の仕事関数|E1|が、陽極21の発光層26に対向する表面213の仕事関数|E0|よりも小さければよい。陽極21の発光層26に対向する表面213のフェルミ準位E0と電子輸送層27のLOUMO準位E2とのエネルギー差に比べて、補助電極30の電子輸送層27に対向する表面31のフェルミ準位E1と電子輸送層27のLUMO準位E2とのエネルギー差が小さければよい。補助電極30の電子輸送層27に対向する表面31から、電子輸送層27のLUMOに、電子が注入されるためである。
【0038】
有機ELパネル2は、図2に示すように、発光層26が内部に形成される第1開口部41と、補助電極30から陰極22への電子の供給路45が形成される第2開口部42とが形成される絶縁層40を有する。絶縁層40と、陽極21および補助電極30とは、同じ表面(例えば平坦化層18の平坦面)に形成される。
【0039】
第1開口部41は、例えばマトリックス状に複数配置される。複数の第1開口部41のそれぞれに、発光層26が形成される。赤色発光層26Rが内部に形成される第1開口部41Rと、緑色発光層26Gが内部に形成される第1開口部41Gと、青色発光層26Bが内部に形成される第1開口部41Bとは、同じ大きさでもよいし、異なる大きさでもよい。
【0040】
第2開口部42は、補助電極30と同様に、例えば隣り合う複数の画素の境界に配置され、格子状または縞状に形成される。尚、第2開口部42は、隣り合う複数の副画素の境界に配置され、格子状または縞状に形成されてもよい。第2開口部42には、発光層26は形成されず、電子輸送層27、電子注入層28および陰極22が形成される。
【0041】
ところで、第1開口部41と、第2開口部42とでは、電子の流れる方向が逆向きである。第1開口部41では、電子は、陰極22から発光層26に向けて、電子注入層28および電子輸送層27をこの順で通過する。一方、第2開口部42では、電子は、補助電極30から陰極22に向けて、電子輸送層27および電子注入層28をこの順で通過する。
【0042】
そこで、補助電極30の電子輸送層27に対向する表面31は、従来とは異なり、陽極21の発光層26に対向する表面213とは異なる材料で形成される。補助電極30の電子輸送層27に対向する表面31の仕事関数|E1|は、陽極21の発光層26に対向する表面213の仕事関数|E2|よりも小さい。そのため、補助電極30から電子輸送層27のLUMOに電子を効率良く注入でき、補助電極30から陰極22に電子を効率良く供給できる。
【0043】
第2開口部42は、補助電極30に向うほど先細り状に形成される。第2開口部42の側壁面43に電子輸送層27、電子注入層28および陰極22を安定して形成するため、第2開口部42の側壁面43のテーパ角度θは、85°以下とされる。
【0044】
<有機ELパネルの製造方法>
図4は、一実施形態による有機ELパネルの製造方法を示すフローチャートである。尚、各工程の順序は特に限定されない。例えば、陽極21を形成する工程S101と、補助電極30を形成する工程S102とは、順序が逆でもよい。これらの工程S101、S102は、絶縁層40を形成する工程S103の前に行われればよく、同時に行われてもよい。また、一部の工程は無くてもよく、例えば正孔注入層24を形成する工程S104、正孔輸送層25を形成する工程S105は無くてもよい。
【0045】
有機ELパネル2の製造方法は、陽極21を形成する工程S101を有する。陽極21は、例えばスパッタリング法または真空蒸着法で成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチング法で予め定められたパターンに形成される。陽極21は、平坦化層18の平坦面に、有機EL素子13毎に個別に形成される。陽極21と同時にコンタクトプラグ19が形成されてよい。
【0046】
陽極21は、単層構造でもよいが、本実施形態では複数層構造であって、有機層23からの光を有機層23に向けて反射する反射電極211と、反射電極211と有機層23との間に形成される透明電極212とを有する。発光層26において発生した光は、透明電極212を通り、反射電極211で反射され、再び透明電極212を通過する。
【0047】
反射電極211は、金属膜であって、例えば銀(Ag)またはアルミニウム(Al)で形成される。一方、透明電極212は、酸化物膜であって、例えば酸化インジウムを含む透明導電材料で形成される。透明導電材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)、およびIZO(Indium Zinc Oxide)が挙げられる。ITOの仕事関数は例えば4.5eVであり、IZOの仕事関数は例えば4.4eVである。
【0048】
透明電極212は、陽極21から、有機層23の正孔注入層24への正孔の注入を促進するために設けられる。正孔は、透明電極212から正孔注入層24のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)に注入される。
【0049】
有機ELパネル2の製造方法は、補助電極30を形成する工程S102を有する。補助電極は、例えば真空蒸着法によって成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチング法によって予め定められたパターンに形成される。補助電極30は、平坦化層18の平坦面に、例えば格子状または縞状に形成される。
【0050】
補助電極30は、単層構造である場合、陽極21の透明電極212よりも仕事関数の小さい材料で形成される。透明電極212の材料としては、上述の如く、ITOおよびIZOが挙げられる。ITOの仕事関数は例えば4.5eVであり、IZOの仕事関数は例えば4.4eVである。
【0051】
補助電極30の材料は、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)及びモリブデン(Mo)から選ばれる少なくとも1種を含む金属であり、好ましくはAg、Al及びMoから選ばれる1種のみからなる金属である。Agの仕事関数は例えば4.3eVであり、Alの仕事関数は例えば4.1eVであり、Moの仕事関数は例えば4.2eVである。これらの中でも、Ag、Alは酸化されやすい為、安定性の観点から、Moが特に好ましい。
【0052】
補助電極30は、本実施形態では単層構造であるが、複数層構造でもよい。また、陽極21は、本実施形態では複数層構造であるが、単層構造でもよい。いずれにしろ、補助電極30の電子輸送層27に対向する表面31の仕事関数|E1|が、陽極21の発光層26に対向する表面213の仕事関数|E0|よりも小さければよい。補助電極30の電子輸送層27に対向する表面31から、電子輸送層27のLUMOに、電子が注入されるためである。
【0053】
有機ELパネル2の製造方法は、絶縁層40を形成する工程S103を有する。絶縁層40は、例えば感光性樹脂を用いて形成され、フォトリソグラフィ法によって予め定められたパターンに形成される。絶縁層40の第1開口部41において陽極21が露出し、絶縁層40の第2開口部42において補助電極30が露出する。
【0054】
有機ELパネル2の製造方法は、正孔注入層24を形成する工程S104を有する。正孔注入層24は、例えばインクジェット法によって正孔注入層24の材料を含む液滴を第1開口部41に滴下して液膜を形成し、その液膜を乾燥、焼成することで形成される。正孔注入層24は、陽極21の表面に接するように形成される。正孔注入層24の材料は、特に限定されないが、例えばPEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)である。
【0055】
有機ELパネル2の製造方法は、正孔輸送層25を形成する工程S105を有する。正孔輸送層25は、正孔注入層24と同様に、例えばインクジェット法によって正孔輸送層25の材料を含む液滴を第1開口部41に滴下して液膜を形成し、その液膜を乾燥、焼成することで形成される。正孔輸送層25は、正孔注入層24に接するように形成される。正孔輸送層25の材料は、一般的なものであってよい。
【0056】
有機ELパネル2の製造方法は、発光層26を形成する工程S106を有する。発光層26は、正孔注入層24および正孔輸送層25と同様に、例えばインクジェット法によって発光層26の材料を含む液滴を第1開口部41に滴下して液膜を形成し、その液膜を乾燥、焼成することで形成される。
【0057】
発光層26の材料としては、例えば、特開平5−163488号公報に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質を挙げることができる。
【0058】
発光層26として、例えば赤色発光層26R、緑色発光層26G、および青色発光層26Bが形成される。絶縁層40は、赤色発光層26Rの材料と、緑色発光層26Gの材料と、青色発光層26Bの材料とを隔てることで、これらの材料の混合を防止する。
【0059】
有機ELパネル2の製造方法は、電子輸送層27を形成する工程S107を有する。電子輸送層27は、例えば真空蒸着法によって形成され、有機ELパネル2の表示領域の全体に形成される。電子輸送層27は、発光層26の表面のみならず、補助電極30の表面および絶縁層40の表面に接するように形成される。電子輸送層27の材料としては、例えば、バリウム、フタロシアニン、フッ化リチウム、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
有機ELパネル2の製造方法は、電子注入層28を形成する工程S108を有する。電子注入層28は、電子輸送層27と同様に、例えば真空蒸着法によって形成され、有機ELパネル2の表示領域の全体に形成される。電子注入層28は、電子輸送層27の表面に接するように形成される。電子注入層28の材料としては、例えば、フッ化リチウムが挙げられる。
【0061】
有機ELパネル2の製造方法は、陰極22を形成する工程S109を有する。陰極22は、電子輸送層27および電子注入層28と同様に、例えば真空蒸着法によって形成され、有機ELパネル2の表示領域の全体に形成される。陰極22は、例えばアルミニウムと銀の混合膜(Al/Mg膜)である。陰極22は、電子注入層28の表面に接するように形成される。
【0062】
有機ELパネル2の製造方法は、封止層50を形成する工程S110を有する。封止層50は、有機層23が水分や空気に曝されるのを抑制し、有機層23の劣化を抑制する。封止層50は、発光層26において発生した光を透過させる。封止層50は、例えばCVD法によって形成され、有機ELパネル2の表示領域の全体に形成される。封止層50の材料としては、窒化シリコン(SiN)、および酸窒化シリコン(SiON)が挙げられる。このようにして、有機ELパネル2が製造される。
【0063】
以上、本開示に係る有機ELパネルおよび有機ELパネルの製造方法の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0064】
10 基板
13 有機EL素子
21 陽極
211 反射電極
212 透明電極
213 表面
22 陰極
23 有機層
26 発光層
27 電子輸送層
28 電子注入層
30 補助電極
31 表面
40 絶縁層
41 第1開口部
42 第2開口部
図1
図2
図3
図4