【解決手段】例示的実施形態に係るプラズマ処理方法では、第1の期間において第1のプラズマ処理が実行され、第1の期間に続く第2の期間において第2のプラズマ処理が実行される。第1の期間及び第2の期間では、バイアス用の第1の高周波電力が、下部電極に連続的に供給される。プラズマ生成用の第2の高周波電力が、第1の期間内の第1の高周波電力の各周期内の第1の部分期間において、パルス状の高周波電力として供給され得る。第2の高周波電力は、第2の期間内の第1の高周波電力の各周期内の第2の部分期間において、パルス状の高周波電力として供給され得る。
前記第2の高周波電力は、前記第1の期間内の前記第1の高周波電力の各周期内で第1の高周波電源部から出力される前記第1の高周波電力が負の電位を有する期間において、パルス状の高周波電力として供給され、
前記第2の高周波電力は、前記第2の期間内の前記第1の高周波電力の各周期内で連続的な高周波電力として供給される、
請求項1に記載のプラズマ処理方法。
前記第2の高周波電力は、前記第1の期間内の前記第1の高周波電力の各周期内で第1の高周波電源部から出力される前記第1の高周波電力が正の電圧を有する期間において、パルス状の高周波電力として供給され、
前記第2の高周波電力は、前記第2の期間内の前記第1の高周波電力の各周期内で連続的な高周波電力として供給される、
請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0011】
一つの例示的実施形態によれば、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、第1の期間においてチャンバ内で第1のプラズマ処理を実行する工程と、第1の期間の後の又は第1の期間に続く第2の期間においてチャンバ内で第2のプラズマ処理を実行する工程と、を含む。第1の高周波電力が、第1のプラズマ処理を実行する工程及び第2のプラズマ処理を実行する工程において、基板支持台の下部電極に連続的に供給される。第1の高周波電力は、第1の周波数を有する。基板支持台は、チャンバ内に設けられている。第2の高周波電力が、第1の期間内の第1の部分期間内及び第2の期間内の第2の部分期間内で、パルス状の高周波電力として供給される。第2の高周波電力は、第1の周波数よりも高い第2の周波数を有するプラズマ生成用の高周波電力である。第1の部分期間は、第1の高周波電力の各周期内の一部の期間である。第2の部分期間は、第1の高周波電力の各周期内の一部の期間であって、第1の部分期間とは異なる期間である。或いは、第2の高周波電力は、第1の期間内の第1の高周波電力の各周期内で、パルス状の高周波電力及び連続的な高周波電力のうち一方の高周波電力として供給され、第2の期間内の第1の高周波電力の各周期内で、他方の高周波電力として供給される。或いは、第2の高周波電力は、第1の期間内の第1の高周波電力の各周期内で、パルス状の高周波電力として供給され、第2の期間内では供給されない。
【0012】
基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第2の高周波電力のモードに応じて異なる。具体的には、基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第2の高周波電力が供給されるか否かによって異なる。基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第2の高周波電力がパルス状の高周波電力として供給されるか連続的な高周波電力として供給されるか否かによって異なる。基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第2の高周波電力が第1の高周波電力の各周期内においてパルス状の高周波電力が供給される期間に応じて変化する。例えば、基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が正の電位を有する期間内で第2の高周波電力がパルス状の高周波電力として供給される場合には、低い。また、基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が負の電位を有する期間内で第2の高周波電力がパルス状の高周波電力として供給される場合には、高い。第1の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法では、上述のモードが維持される最小の時間長が、第1の高周波電力の一周期の時間長に設定され得る。したがって、基板支持台に向かうイオンのエネルギーを高速に変化させることが可能となる。
【0013】
第1の例示的実施形態に基づく第2の例示的実施形態において、第2の高周波電力は、第1の期間内の第1の部分期間内及び第2の期間内の第2の部分期間内でパルス状の高周波電力として供給される。第1の部分期間は、第1の高周波電力の各周期内で第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が負の電位を有する期間内に含まれる。第2の部分期間は、第1の高周波電力の各周期内で第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が正の電圧を有する期間内に含まれる。第2の例示的実施形態では、基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間内では高く、第2の期間内では低くなる。
【0014】
第1の例示的実施形態に基づく第3の例示的実施形態において、第2の高周波電力は、第1の期間内の第1の高周波電力の各周期内で第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が負の電位を有する期間において、パルス状の高周波電力として供給される。第2の高周波電力は、第2の期間内の第1の高周波電力の各周期内で連続的な高周波電力として供給される。第3の例示的実施形態では、基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間内では高く、第2の期間内では低くなる。
【0015】
第1の例示的実施形態に基づく第4の例示的実施形態において、第2の高周波電力は、第1の期間内の第1の高周波電力の各周期内で連続的な高周波電力として供給される。第2の高周波電力は、第2の期間内の第1の高周波電力の各周期内で第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が正の電圧を有する期間において、パルス状の高周波電力として供給される。第4の例示的実施形態では、基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間内では高く、第2の期間内では低くなる。
【0016】
第2〜第4の例示的実施形態の何れかに基づく第5の例示的実施形態において、第1の期間及び第2の期間にわたって、基板がチャンバ内に配置される。基板は、下地領域及び該下地領域上に設けられた膜を有する。第1のプラズマ処理を実行する工程において、下地領域を露出させるよう処理ガスのプラズマを用いて膜がエッチングされる。第2のプラズマ処理を実行する工程において、処理ガスのプラズマを用いて膜が更にエッチングされる。第5の例示的実施形態によれば、膜のオーバーエッチングの際にイオンのエネルギーが低減される。したがって、下地領域の損傷が抑制される。
【0017】
第2〜第4の例示的実施形態の何れかに基づく第6の例示的実施形態において、第1の期間及び第2の期間にわたって、基板がチャンバ内に配置される。基板は、第1の膜及び第2の膜を有する。第1の膜は、第2の膜上に設けられている。第1のプラズマ処理を実行する工程において、処理ガスのプラズマを用いて第1の膜がエッチングされる。第2のプラズマ処理を実行する工程において、処理ガスのプラズマを用いて第2の膜がエッチングされる。第6の例示的実施形態によれば、そのエッチングに比較的高いエネルギーを要する膜を第1の膜として有し、比較的低いエネルギーでエッチングされ得る膜を第2の膜として有する多層膜のエッチングが可能となる。
【0018】
第2〜第4の例示的実施形態に基づく第7の例示的実施形態において、第1の期間において基板がチャンバ内に配置される。第1のプラズマ処理を実行する工程において、処理ガスのプラズマを用いて基板の膜がエッチングされる。第2の期間において基板はチャンバ内に配置されない。チャンバの内壁面に付着した堆積物が、第2のプラズマ処理を実行する工程において処理ガスのプラズマを用いて除去される。第2の期間においては、基板支持台に向かうイオンのエネルギーが低くなり、相対的にチャンバの内壁面に向かうイオンのエネルギーが高くなる。その結果、チャンバの内壁面に付着した堆積物が効率的に除去される。
【0019】
第2の例示的実施形態に基づく第8の例示的実施形態において、第1の期間及び第2の期間にわたって、基板がチャンバ内に配置される。第1のプラズマ処理を実行する工程において、処理ガスのプラズマを用いて基板の膜が側壁面を提供するようにエッチングされる。第2のプラズマ処理を実行する工程において、第1のプラズマ処理を実行する工程でその膜がエッチングされた基板の表面上に、処理ガスのプラズマからの化学種又は別の処理ガスのプラズマからの化学種を含む堆積物が形成される。第1のプラズマ処理を実行する工程と第2のプラズマ処理を実行する工程とは、交互に繰り返される。第8の例示的実施形態では、堆積物の形成と膜のエッチングが交互に行われる。膜のエッチングの実行中には、膜の側壁面が堆積物によって保護される。
【0020】
第2の例示的実施形態に基づく第9の例示的実施形態において、第1の期間及び第2の期間にわたって、基板がチャンバ内に配置される。第1のプラズマ処理を実行する工程において、処理ガスのプラズマを用いて基板の膜が側壁面を提供するようにエッチングされる。第2のプラズマ処理を実行する工程において、第1のプラズマ処理を実行する工程でエッチングされた膜の表面を、処理ガスのプラズマ又は別の処理ガスのプラズマを用いて変質させる。第1のプラズマ処理を実行する工程と第2のプラズマ処理を実行する工程とが交互に繰り返される。第9の例示的実施形態では、膜の変質処理と膜のエッチングが交互に行われる。膜の側壁面が変質しているので、膜のエッチングの実行中に、当該側壁面のエッチングが抑制される。
【0021】
第1の例示的実施形態に基づく第10の例示的実施形態において、第2の高周波電力は、第1の期間内の第1の部分期間内及び第2の期間内の第2の部分期間内でパルス状の高周波電力として供給される。第1の部分期間は、第1の高周波電力の各周期内で第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が正の電圧を有する期間内に含まれる。第2の部分期間は、第1の高周波電力の各周期内で第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が負の電位を有する期間内に含まれる。第10の例示的実施形態では、基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間内では低く、第2の期間内では高くなる。
【0022】
第1の例示的実施形態に基づく第11の例示的実施形態において、第2の高周波電力は、第1の期間内の第1の高周波電力の各周期内で第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が正の電圧を有する期間において、パルス状の高周波電力として供給される。第2の高周波電力は、第2の期間内の第1の高周波電力の各周期内で連続的な高周波電力として供給される。第11の例示的実施形態では、基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間内では低く、第2の期間内では高くなる。
【0023】
第1の例示的実施形態に基づく第12の例示的実施形態において、第2の高周波電力は、第1の期間内の第1の高周波電力の各周期内で連続的な高周波電力として供給される。第2の高周波電力は、第2の期間内の第1の高周波電力の各周期内で第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が負の電位を有する期間において、パルス状の高周波電力として供給される。第12の例示的実施形態では、基板支持台に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間内では低く、第2の期間内では高くなる。
【0024】
第10〜第12の例示的実施形態の何れかに基づく第13の例示的実施形態において、第1の期間及び第2の期間にわたって、基板がチャンバ内に配置される。基板は、第1の膜及び第2の膜を有し、第1の膜は第2の膜上に設けられている。第1のプラズマ処理を実行する工程において、処理ガスのプラズマを用いて第1の膜がエッチングされる。第2のプラズマ処理を実行する工程において、処理ガスのプラズマを用いて第2の膜がエッチングされる。第13の例示的実施形態によれば、比較的低いエネルギーでエッチングされ得る膜を第1の膜として有し、そのエッチングに比較的高いエネルギーを要する膜を第2の膜として有する多層膜のエッチングが可能となる。
【0025】
第1の例示的実施形態に基づく第14の例示的実施形態においては、第1の期間及び第2の期間の各々は、第1の高周波電力の一周期の時間長と同じ時間長を有する。第2の高周波電力は、第1の期間内で第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が負の電位を有する期間において、パルス状の高周波電力として供給される。第2の高周波電力は、第2の期間内では供給されない。チャンバ内に配置された基板の膜をエッチングするよう、第1のプラズマ処理を実行する工程及び第2のプラズマ処理を実行する工程が交互に繰り返される。第14の例示的実施形態によれば、第1の期間において生成されたイオンが第2の期間において高いエネルギーで基板に衝突する。
【0026】
第1の例示的実施形態に基づく第15の例示的実施形態においては、第1の期間及び第2の期間の各々は、第1の高周波電力の一周期の時間長と同じ時間長を有する。第2の高周波電力は、第1の期間内で第1の高周波電源部から出力される第1の高周波電力が正の電圧を有する期間において、パルス状の高周波電力として供給される。第2の高周波電力は、第2の期間内では供給されない。チャンバ内に配置された基板の膜をエッチングするよう、第1のプラズマ処理を実行する工程及び第2のプラズマ処理を実行する工程が交互に繰り返される。第15の例示的実施形態によれば、第1の期間において生成されたイオンが第2の期間において高いエネルギーで基板に衝突する。
【0027】
別の例示的実施形態においては、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持台、第1の高周波電源部、第2の高周波電源部、及び制御部を備える。基板支持台は、下部電極を含み、チャンバ内に設けられている。第1の高周波電源部は、第1の周波数を有する第1の高周波電力を下部電極に供給するように構成されている。第2の高周波電源部は、プラズマを生成するために第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する第2の高周波電力を供給するように構成されている。制御部は、第1の高周波電源部及び第2の高周波電源部を制御するように構成されている。制御部は、第1の期間及び第1の期間の後の又は第1の期間に続く第2の期間において、第1の高周波電力を連続的に下部電極に供給するよう第1の高周波電源部を制御する。制御部は、第1の期間内の第1の部分期間内で、第2の高周波電力をパルス状の高周波電力として供給し、第2の期間内の第2の部分期間内で、第2の高周波電力をパルス状の高周波電力として供給するように、第2の高周波電源部を制御する。第1の部分期間は、第1の高周波電力の各周期内の一部の期間である。第2の部分期間は、第1の高周波電力の各周期内の一部の期間であり、第1の部分期間とは異なる期間である。或いは、制御部は、第1の期間内の第1の高周波電力の各周期内で、第2の高周波電力をパルス状の高周波電力及び連続的な高周波電力のうち一方の高周波電力として供給するように、第2の高周波電源部を制御する。また、制御部は、第2の期間内の第1の高周波電力の各周期内で、第2の高周波電力を他方の高周波電力として供給するように、第2の高周波電源部を制御する。或いは、制御部は、第1の期間内の第1の高周波電力の各周期内で、第2の高周波電力をパルス状の高周波電力として供給し、第2の期間内では第2の高周波電力を供給しないように、第2の高周波電源部を制御する。
【0028】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0029】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図1に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT1」という)は、プラズマ処理装置を用いて実行される。
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。本開示における種々の実施形態に係るプラズマ処理方法の実行には、
図2に示すプラズマ処理装置が用いられ得る。
【0030】
図2に示すプラズマ処理装置1Aは、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1Aは、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。
【0031】
チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の内側に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから形成されている。チャンバ本体12の内壁面上には、耐腐食性を有する膜が設けられている。耐腐食性を有する膜は、酸化アルミニウム、酸化イットリウムといったセラミックから形成された膜であり得る。
【0032】
チャンバ本体12の側壁には、通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。通路12pは、ゲートバルブ12gにより開閉可能となっている。ゲートバルブ12gは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0033】
チャンバ本体12の底部上には、支持部13が設けられている。支持部13は、絶縁材料から形成されている。支持部13は、略円筒形状を有している。支持部13は、内部空間10sの中で、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部13は、基板支持台、即ち支持台14を支持している。支持台14は、内部空間10sの中に設けられている。支持台14は、チャンバ10内、即ち内部空間10sの中で、基板Wを支持するように構成されている。
【0034】
支持台14は、下部電極18及び静電チャック20を有している。支持台14は、電極プレート16を更に有し得る。電極プレート16は、例えばアルミニウムといった導体から形成されており、略円盤形状を有している。下部電極18は、電極プレート16上に設けられている。下部電極18は、例えばアルミニウムといった導体から形成されており、略円盤形状を有している。下部電極18は、電極プレート16に電気的に接続されている。
【0035】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。静電チャック20の上面の上には、基板Wが載置される。静電チャック20は、本体及び電極を有する。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有し、誘電体から形成されている。静電チャック20の電極は、膜状の電極であり、静電チャック20の本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、スイッチ20sを介して直流電源20pに接続されている。静電チャック20の電極に直流電源20pからの電圧が印加されると、静電チャック20と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは、静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。
【0036】
下部電極18の周縁部上には、基板Wのエッジを囲むように、フォーカスリングFRが配置される。フォーカスリングFRは、基板Wに対するプラズマ処理の面内均一性を向上させるために設けられている。フォーカスリングFRは、限定されるものではないが、シリコン、炭化シリコン、又は石英から形成され得る。
【0037】
下部電極18の内部には、流路18fが設けられている。流路18fには、チャンバ10の外部に設けられているチラーユニット22から配管22aを介して熱交換媒体(例えば冷媒)が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管22bを介してチラーユニット22に戻される。プラズマ処理装置1Aでは、静電チャック20上に載置された基板Wの温度が、熱交換媒体と下部電極18との熱交換により、調整される。
【0038】
プラズマ処理装置1Aには、ガス供給ライン24が設けられている。ガス供給ライン24は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を、静電チャック20の上面と基板Wの裏面との間に供給する。
【0039】
プラズマ処理装置1Aは、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、支持台14の上方に設けられている。上部電極30は、部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。部材32は、絶縁性を有する材料から形成されている。上部電極30と部材32は、チャンバ本体12の上部開口を閉じている。
【0040】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34の下面は、内部空間10sの側の下面であり、内部空間10sを画成している。天板34は、ジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から形成され得る。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aは、天板34をその板厚方向に貫通している。
【0041】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する。支持体36は、アルミニウムといった導電性材料から形成される。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。支持体36には、複数のガス孔36bが形成されている。複数のガス孔36bは、ガス拡散室36aから下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入口36cが形成されている。ガス導入口36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0042】
プラズマ処理装置1Aは、ガス供給部GSを更に備えている。ガス供給部GSは、ガスソース群40、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を含む。ガスソース群40は、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して、ガス供給管38に接続されている。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。複数のガスソースは、種々の実施形態の各々で利用される複数のガスのソースを含む。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数の開閉バルブを含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応の開閉バルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応の開閉バルブを介して、ガス供給管38に接続されている。
【0043】
プラズマ処理装置1Aでは、チャンバ本体12の内壁面に沿って、シールド46が着脱自在に設けられている。シールド46は、支持部13の外周にも設けられている。シールド46は、チャンバ本体12にエッチング副生物が付着することを防止する。シールド46は、例えば、アルミニウムから形成された部材の表面に耐腐食性を有する膜を形成することにより構成される。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウムといったセラミックから形成された膜であり得る。
【0044】
支持部13とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウムから形成された部材の表面に耐腐食性を有する膜を形成することにより構成される。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウムといったセラミックから形成された膜であり得る。バッフルプレート48には、複数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方、且つ、チャンバ本体12の底部には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプといった真空ポンプを有している。
【0045】
プラズマ処理装置1Aは、発光分析器54を更に備え得る。発光分析器54は、チャンバ10の外側に設けられている。発光分析器54は、チャンバ10に形成された光学的に透明な窓部材を介して、プラズマからの光を受ける。発光分析器54は、プラズマの一以上の波長の発光強度を取得する。後述する制御部80は、発光分析器54によって取得された発光強度に基づいて工程を終了させることができる。
【0046】
プラズマ処理装置1Aは、第1の高周波電源部61を更に備えている。第1の高周波電源部61は、第1の高周波電力LFを出力するように構成されている。第1の高周波電力LFは、主としてイオンを基板Wに引き込むことに適した周波数を有する。第1の高周波電力LFの基本周波数である第1の周波数は、例えば50kHz〜13.56MHzの範囲内の周波数である。
【0047】
第1の高周波電源部61は、整合器63を介して下部電極18に電気的に接続されている。整合器63は、整合回路を有している。整合器63の整合回路は、第1の高周波電源部61の負荷側(下部電極側)のインピーダンスを、第1の高周波電源部61の出力インピーダンスに整合させるよう構成されている。
【0048】
一実施形態において、プラズマ処理装置1Aは、方向性結合器65を更に備え得る。方向性結合器65は、第1の高周波電源部61と整合器63との間に設けられている。プラズマ処理装置1Aでは、方向性結合器65は、第1の高周波電源部61と同期信号発生器70との間に設けられている。方向性結合器65は、第1の高周波電力LFを分岐させて同期信号発生器70に供給する。方向性結合器65に供給された第1の高周波電力LFの大部分は整合器63に供給される。例えば、方向性結合器65の結合度は、60dBである。
【0049】
同期信号発生器70は、第1の高周波電力LFから同期信号SSを発生するように構成されている。具体的に、同期信号発生器70は、方向性結合器65から第1の高周波電力LFの分岐電力を受ける。同期信号発生器70は、第1の高周波電力LFの分岐電力の電圧から同期信号SSを生成する。同期信号SSは、第1の高周波電力の各周期の開始時点を規定する同期パルスを含む。一実施形態において、同期信号発生器70は、第1の高周波電力LFの分岐電力の電圧を増幅器によって増幅して、増幅信号を出力する。増幅器から出力された増幅信号はコンパレータに入力される。同期信号発生器70のコンパレータは、増幅信号から同期クロック信号を生成する。同期信号発生器70は、同期クロック信号の立ち上がりにおいて同期パルスを含む同期信号を生成する。
【0050】
プラズマ処理装置1Aは、第2の高周波電源部62を更に備えている。第2の高周波電源部62は、チャンバ10内でガスからプラズマを生成するために、第2の高周波電力HFを出力するように構成されている。第2の高周波電力HFの基本周波数である第2の周波数は、第1の周波数よりも高い。第2の周波数は、例えば27MHz〜300MHzの範囲内の周波数である。
【0051】
第2の高周波電源部62は、整合器64を介して下部電極18に電気的に接続されている。整合器64は、整合回路を有している。整合器64の整合回路は、第2の高周波電源部62の負荷側(下部電極側)のインピーダンスを、第2の高周波電源部62の出力インピーダンスに整合させるよう構成されている。プラズマ処理装置1Aは、方向性結合器66を更に備えていてもよい。方向性結合器66は、第2の高周波電源部62と整合器64との間に設けられている。別の実施形態では、第2の高周波電源部62は、整合器64を介して上部電極30に電気的に接続されていてもよい。
【0052】
プラズマ処理装置1Aは、制御部80を更に備え得る。制御部80は、プロセッサ、メモリといった記憶部、入力装置、表示装置、信号の入出力インターフェイス等を備えるコンピュータであり得る。制御部80は、プラズマ処理装置1Aの各部を制御する。制御部80では、入力装置を用いて、オペレータがプラズマ処理装置1Aを管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御部80では、表示装置により、プラズマ処理装置1Aの稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、制御部80の記憶部には、制御プログラム及びレシピデータが格納されている。制御プログラムは、プラズマ処理装置1Aで各種処理を実行するために、制御部80のプロセッサによって実行される。制御部80のプロセッサが、制御プログラムを実行し、レシピデータに従ってプラズマ処理装置1Aの各部を制御することにより、種々の実施形態の各々のプラズマ処理方法が、プラズマ処理装置1Aで実行される。
【0053】
第2の高周波電源部62は、制御部80からの制御信号及び同期信号発生器70からの同期信号SSに応じて、第1の高周波電力LFの各周期内で第2の高周波電力HFを生成するか、第2の高周波電力HFの出力を停止する。第1の高周波電力LFの各周期は、同期信号SSから特定される。第2の高周波電源部62は、第2の高周波電力HFをパルス状の高周波電力又は連続的な高周波電力として生成するように構成されている。パルス状の高周波電力は、ある期間内の特定の期間内でその電力レベルが増加された高周波電力である。例えば、パルス状の高周波電力の電力レベルは、ある期間内の特定の期間においてゼロよりも大きく、当該特定の期間の前後の期間ではゼロである。第1の高周波電力LFの各周期内で第2の高周波電力HFがパルス状の高周波電力として出力される期間は、制御部80からの制御信号によって指定される。
【0054】
プラズマ処理装置1Aの第2の高周波電源部62は、高周波信号発生器62f及び増幅器62aを有する。高周波信号発生器62fは、制御部80からの制御信号及び同期信号発生器70からの同期信号SSに応じて、第1の高周波電力LFの各周期内で高周波信号を生成するか、高周波信号の出力を停止する。第1の高周波電力LFの各周期は、同期信号SSから特定される。高周波信号発生器62fによって生成される高周波信号は、第2の周波数を有する。高周波信号発生器62fは、高周波信号を、パルス状の高周波信号又は連続的な高周波信号として生成する。第1の高周波電力LFの各周期内で高周波信号がパルス状の高周波信号として出力される期間は、制御部80からの制御信号によって指定される。高周波信号発生器62fは、例えばファンクションジェネレータである。高周波信号発生器62fによって生成された高周波信号は、増幅器62aに入力される。プラズマ処理装置1Aの第2の高周波電源部62では、第2の高周波電力HFは、増幅器62aによって高周波信号が増幅されることにより生成される。
【0055】
種々の実施形態の各々のプラズマ処理方法は、
図3に示すプラズマ処理装置を用いて実行されてもよい。
図3は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、プラズマ処理装置1Aと
図3に示すプラズマ処理装置1Bとの相違点に関して、プラズマ処理装置1Bの説明を行う。プラズマ処理装置1Bでは、第1の高周波電源部61は、高周波信号発生器60f及び増幅器61aを有する。高周波信号発生器60fは、連続的な高周波信号として第1の高周波信号を生成する。第1の高周波信号は、第1の周波数を有する。高周波信号発生器60fは、例えばファンクションジェネレータである。第1の高周波信号は、増幅器61aに入力される。プラズマ処理装置1Bでは、第1の高周波電力LFは、増幅器61aによって第1の高周波信号が増幅されることにより生成される。
【0056】
プラズマ処理装置1Bでは、第2の高周波電源部62は、高周波信号発生器60f及び増幅器62aを有する。即ち、第2の高周波電源部62は、高周波信号発生器60fを第1の高周波電源部61と共有している。したがって、第1の高周波電源部61と第2の高周波電源部62の間では同期がとれている。高周波信号発生器60fは、第1の高周波信号に加えて第2の高周波信号を発生する。高周波信号発生器60fによって生成される第2の高周波信号は、第2の周波数を有する。
【0057】
高周波信号発生器60fは、制御部80からの制御信号に応じて、第1の高周波電力LFの各周期内で第2の高周波信号を生成するか、第2の高周波信号の出力を停止する。高周波信号発生器60fは、第1の高周波信号の各周期に対して第2の高周波信号の出力のタイミング制御を行うことができる。高周波信号発生器60f自体が第1の高周波信号を生成しているので、第1の高周波電力LFの各周期の特定のために、別途の同期信号発生器は不要である。
【0058】
高周波信号発生器60fは、第2の高周波信号を、パルス状の高周波信号又は連続的な高周波信号として生成する。第1の高周波電力LFの各周期内で第2の高周波信号がパルス状の高周波信号として出力される期間は、制御部80からの制御信号によって指定される。高周波信号発生器60fによって生成された第2の高周波信号は、増幅器62aに入力される。プラズマ処理装置1Bの第2の高周波電源部62では、第2の高周波電力HFは、増幅器62aによって第2の高周波信号が増幅されることにより生成される。
【0059】
以下、プラズマ処理装置1A及びプラズマ処理装置1Bのうち何れかが用いられる場合を例として、種々の実施形態に係るプラズマ処理方法について詳細に説明する。以下の説明では、
図1と共に、
図4の(a)、
図4の(b)、
図4の(c)、及び
図5を参照する。
図4の(a)は一例の基板の一部拡大断面図であり、
図4の(b)及び
図4の(c)は方法MT1の複数の工程それぞれの実行後の状態における一例の基板の一部拡大断面図である。
図5は、方法MT1に関連する一例のタイミングチャートである。
図5において縦軸は、第1の高周波電力LF、同期信号SS、及び第2の高周波電力HFを示している。
【0060】
方法MT1は、工程ST11及び工程ST12を含む。工程ST11は、第1の期間P
1において実行される。第1の期間P
1の時間長は、第1の高周波電力LFの一周期の時間長のm倍であり得る。mは自然数である。工程ST11では、第1のプラズマ処理が実行される。工程ST12は、第2の期間P
2において実行される。第2の期間P
2は、第1の期間P
1に続く期間である。工程ST12では、第2のプラズマ処理が実行される。第2の期間P
2の時間長は、第1の高周波電力LFの一周期の時間長のn倍であり得る。nは自然数である。
【0061】
工程ST11及び工程ST12では、チャンバ10内に処理ガスが供給される。工程ST11及び工程ST12では、ガス供給部GSが、処理ガスを供給するために、制御部80によって制御される。工程ST11及び工程ST12では、排気装置50が、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、制御部80によって制御される。チャンバ10内の圧力は、例えば数mTorr〜1000mTorrの範囲内の圧力に設定される。
【0062】
工程ST11及び工程ST12において、第1の高周波電力LFは、下部電極18に連続的に供給される。即ち、方法MT1では、第1の高周波電力LFは、第1の期間P
1及び第2の期間P
2にわたって下部電極18に連続的に供給される。工程ST11及び工程ST12において、第1の高周波電源部61は、第1の高周波電力LFを下部電極18に供給するために、制御部80によって制御される。
【0063】
第2の高周波電力HFは、パルス状の高周波電力として、第1の期間P
1内の第1の部分期間SP
1内及び第2の期間P
2内の第2の部分期間SP
2内で下部電極18(又は上部電極30)に供給される。即ち、第2の高周波電力HFは、工程ST11では第1の部分期間SP
1内でパルス状の高周波電力として供給される。また、第2の高周波電力HFは、工程ST12では第2の部分期間SP
2内でパルス状の高周波電力として供給される。工程ST11及び工程ST12において、第2の高周波電源部62は、第2の高周波電力HFを供給するために、制御部80によって制御される。
【0064】
第1の部分期間SP
1は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の一部の期間である。第2の部分期間SP
2は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の一部の期間であり、第1の部分期間とは異なる期間である。方法MT1では、第1の部分期間SP
1は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内で、第1の高周波電源部61から出力される第1の高周波電力LFが負の電位を有する期間(以下、「負電圧出力期間」という)内に含まれる。方法MT1では、第2の部分期間SP
2は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内で第1の高周波電源部61から出力される第1の高周波電力LFが正の電圧を有する期間(以下、「正電圧出力期間」という)内に含まれる。
【0065】
なお、第2の高周波電源部62は、同期信号SSから特定される各周期P
LFにおいて、制御部80からの指令により、パルス状の高周波電力を適切なタイミングで供給することができる。したがって、複数の第1の部分期間SP
1のそれぞれでは、パルス状の高周波電力が、第1の高周波電力LFの周期に対して相対的に同じ位相で供給され得る。また、複数の第2の部分期間SP
2のそれぞれでは、パルス状の高周波電力が、第1の高周波電力LFの周期に対して相対的に同じ位相で供給され得る。
【0066】
種々の実施形態において、負電圧出力期間内に設定される部分期間(第1の部分期間SP
1又は第2の部分期間SP
2)は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内で第1の高周波電力LFが最小の電位を有する時点を含み得る。正電圧出力期間内に設定される部分期間(第1の部分期間SP
1又は第2の部分期間SP
2)は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内で第1の高周波電力LFが最大の電位を有する時点を含み得る。
【0067】
工程ST11及び工程ST12では、チャンバ10内で処理ガスからプラズマが形成される。工程ST11では、第2の高周波電力HFは、負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST11では、支持台14上の基板のVpp(電圧の波高値)が高くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的高くなる。
【0068】
一方、工程ST12では、第2の高周波電力HFは、正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST12では、支持台14上の基板のVppが低くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的低くなる。
【0069】
図4の(a)に示すように、方法MT1が適用され得る基板WAは、下地領域URA及び膜FAを有する。膜FAは、下地領域URA上に設けられている。基板WAは、マスクMKAを更に有し得る。マスクMKAは、膜FA上に設けられている。マスクMKAは、膜FAを部分的に露出させるようにパターニングされている。一例において、下地領域URAはシリコンから形成されており、膜FAは酸化シリコンから形成されており、マスクMKAは、フォトレジスト膜及び反射防止膜を含む多層構造を有する。マスクMKAの反射防止膜は、膜FA上に設けられている。マスクMKAの反射防止膜は、シリコンを含有する。マスクMKAのフォトレジスト膜は、マスクMKAの反射防止膜上に設けられている。
【0070】
方法MT1では、基板WAは、第1の期間P
1及び第2の期間P
2にわたって、チャンバ10内に配置される。基板WAは、チャンバ10内では、支持台14上に載置される。工程ST11及び工程ST12で用いられる処理ガスは、C
4F
8ガスといったフルオロカーボンガスを含み得る。工程ST11及び工程ST12で用いられる処理ガスは、O
2ガスといった酸素含有ガス及び/又はアルゴンガスといった希ガスを更に含んでいてもよい。
【0071】
図4の(b)に示すように、工程ST11では、下地領域URAを露出させるように、プラズマからのイオンによって膜FAがエッチングされる。工程ST11は、発光分析器54によって取得される発光強度から膜FAのエッチング量が減少していると判断される場合に、終了される。例えば、発光分析器54によって取得されるCOの発光強度が所定値以下であると判定される場合に、工程ST11が終了される。或いは、工程ST11は、所定時間の経過後に終了される。工程ST11では、基板WAに対して高いエネルギーのイオンが供給されるので、膜FAは高速にエッチングされる。
【0072】
続く工程ST12では、
図4の(c)に示すように、膜FAのオーバーエッチングが行われる。工程ST12では、基板WAに対して低いエネルギーのイオンが供給されるので、下地領域URAの損傷を抑制しつつ、膜FAのオーバーエッチングを行うことができる。
【0073】
図6を参照する。
図6は、連続的な高周波電力としての第2の高周波電力の一例を示すタイミングチャートである。方法MT1において、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内の各周期P
LFではパルス状の高周波電力及び連続的な高周波電力のうち一方の高周波電力として供給され、第2の期間P
2内の各周期P
LFでは他方の高周波電力として供給されてもよい。具体的に、方法MT1において、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内では負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給され、第2の期間P
2内では連続的な高周波電力として供給されてもよい。この場合にも、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間P
1内では比較的高く、第2の期間P
2内では比較的低くなる。
【0074】
或いは、方法MT1において、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内では連続的な高周波電力として供給され、第2の期間P
2内では正電圧出力期間にパルス状の高周波電力として供給されてもよい。この場合にも、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間P
1内では比較的高く、第2の期間P
2内では比較的低くなる。
【0075】
次に、
図7、
図8の(a)、
図8の(b)、
図8の(c)、
図8の(d)、及び
図8の(e)を参照する。
図7は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図8の(a)は、一例の基板の一部拡大断面図である。
図8の(a)〜
図8の(e)は、
図7に示す方法MT2の複数の工程それぞれの実行後の状態における一例の基板の一部拡大断面図である。
【0076】
図7に示す方法MT2は、工程ST21及び工程ST22を含む。工程ST21は、方法MT1の工程ST11と同じく、第1の期間P
1において実行される。工程ST21では、第1のプラズマ処理が実行される。工程ST22は、方法MT1の工程ST12と同じく、第2の期間P
2において実行される。第2の期間P
2は、第1の期間P
1に続く期間である。工程ST22では、第2のプラズマ処理が実行される。
【0077】
方法MT2は、工程ST23及び工程ST24を更に含み得る。工程ST23は、第3の期間において実行される。第3の期間は第2の期間P
2に続く期間である。第3の期間の時間長は、第1の高周波電力LFの一周期の時間長のp倍であり得る。pは自然数である。工程ST23では、第3のプラズマ処理が実行される。工程ST24は、第4の期間において実行される。第4の期間は第3の期間に続く期間である。第4の期間の時間長は、第1の高周波電力LFの一周期の時間長のq倍であり得る。qは自然数である。工程ST24では、第4のプラズマ処理が実行される。
【0078】
工程ST21、工程ST22、工程ST23、及び工程ST24では、チャンバ10内に処理ガスが供給される。工程ST21、工程ST22、工程ST23、及び工程ST24では、ガス供給部GSが、処理ガスを供給するために、制御部80によって制御される。工程ST21、工程ST22、工程ST23、及び工程ST24では、排気装置50が、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、制御部80によって制御される。チャンバ10内の圧力は、例えば数mTorr〜1000mTorrの範囲内の圧力に設定される。
【0079】
工程ST21、工程ST22、工程ST23、及び工程ST24において、第1の高周波電力LFは、下部電極18に連続的に供給される。即ち、方法MT2では、第1の高周波電力LFは、第1の期間〜第4の期間にわたって下部電極18に連続的に供給される。工程ST21、工程ST22、工程ST23、及び工程ST24において、第1の高周波電源部61は、第1の高周波電力LFを下部電極18に供給するために、制御部80によって制御される。
【0080】
方法MT2では、第2の高周波電力HFは、パルス状の高周波電力として、第1の期間P
1及び第3の期間の各々における第1の部分期間SP
1内で供給される。また、方法MT2では、第2の高周波電力HFは、第2の期間P
2及び第4の期間の各々における第2の部分期間SP
2内で、下部電極18(又は上部電極30)に供給される。即ち、第2の高周波電力HFは、工程ST21及び工程ST23の各々では、第1の部分期間SP
1内でパルス状の高周波電力として供給される。また、第2の高周波電力HFは、工程ST22及び工程ST24の各々では、第2の部分期間SP
2内でパルス状の高周波電力として供給される。工程ST21、工程ST22、工程ST23、及び工程ST24において、第2の高周波電源部62は、第2の高周波電力HFを供給するために、制御部80によって制御される。
【0081】
方法MT2では、第1の部分期間SP
1は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の負電圧出力期間内に含まれる。方法MT2では、第2の部分期間SP
2は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の正電圧出力期間内に含まれる。
【0082】
工程ST21、工程ST22、工程ST23、及び工程ST24では、チャンバ10内で処理ガスからプラズマが形成される。工程ST21及び工程ST23では、第2の高周波電力HFは、負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST21及び工程ST23では、支持台14上の基板のVppが高くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的高くなる。
【0083】
一方、工程ST22及び工程ST24では、第2の高周波電力HFは、正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST22及び工程ST24では、支持台14上の基板のVppが低くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的低くなる。
【0084】
図8の(a)に示すように、方法MT2が適用され得る基板WBは、第1の膜FB1、及び第2の膜FB2を有する。第1の膜FB1は、第2の膜FB2上に設けられている。基板WBは、下地領域URB、第3の膜FB3、及びマスクMKBを更に有し得る。第3の膜FB3は、下地領域URB上に設けられている。第2の膜FB2は、第3の膜FB3上に設けられている。マスクMKBは、第1の膜FB1上に設けられている。マスクMKBは、第1の膜FB1を部分的に露出させるようにパターニングされている。一例において、下地領域URBはシリコンから形成されている。第1の膜FB1及び第3の膜FB3は、酸化シリコンから形成されている。第2の膜FB2は、窒化シリコンから形成されている。マスクMKBは、フォトレジスト膜から形成されている。
【0085】
方法MT2では、基板WBは、第1の期間〜第4の期間にわたって、チャンバ10内に配置される。基板WBは、チャンバ10内では、支持台14上に載置される。工程ST21、工程ST22、工程ST23、及び工程ST24で用いられる処理ガスは、C
4F
8ガスといったフルオロカーボンガスを含み得る。工程ST21、工程ST22、工程ST23、及び工程ST24で用いられる処理ガスは、O
2ガスといった酸素含有ガス及び/又はアルゴンガスといった希ガスを更に含んでいてもよい。
【0086】
図8の(b)に示すように、工程ST21では、プラズマからのイオンが第1の膜FB1に照射され、ケミカルイオンエッチングによって第2の膜FB2を露出させるように第1の膜FB1がエッチングされる。工程ST21は、発光分析器54によって取得される発光強度から第1の膜FB1のエッチング量が減少していると判断される場合に、終了される。例えば、工程ST21は、発光分析器54によって取得されるCOの発光強度が所定値以下であると判定される場合に、或いは、発光分析器54によって取得されるCNの発光強度が別の所定値以上であると判定される場合に、終了される。或いは、工程ST21は、所定時間の経過後に終了される。
【0087】
図8の(c)に示すように、工程ST22では、プラズマからのイオンが第2の膜FB2に照射され、ケミカルイオンエッチングによって第3の膜FB3を露出させるように第2の膜FB2がエッチングされる。工程ST22は、発光分析器54によって取得される発光強度から第2の膜FB2のエッチング量が減少していると判断される場合に、終了される。例えば、工程ST22は、発光分析器54によって取得されるCNの発光強度が所定値以下であると判定される場合に、或いは、発光分析器54によって取得されるCOの発光強度が別の所定値以上であると判定される場合に、終了される。或いは、工程ST22は、所定時間の経過後に終了される。
【0088】
図8の(d)に示すように、工程ST23では、プラズマからのイオンが第3の膜FB3に照射され、ケミカルイオンエッチングによって下地領域URBを露出させるように第3の膜FB3がエッチングされる。工程ST23は、発光分析器54によって取得される発光強度から第3の膜FB3のエッチング量が減少していると判断される場合に、終了される。例えば、工程ST23は、発光分析器54によって取得されるCOの発光強度が所定値以下であると判定される場合に、終了される。或いは、工程ST23は、所定時間の経過後に終了される。
【0089】
続く工程ST24では、
図8の(e)に示すように、第3の膜FB3のオーバーエッチングが行われる。工程ST24では、基板WBに対して低いエネルギーのイオンが供給されるので、下地領域URBの損傷を抑制しつつ、第3の膜FB3のオーバーエッチングを行うことができる。
【0090】
この方法MT2によれば、そのエッチングに比較的高いエネルギーを要する膜を第1の膜FB1として有し、比較的低いエネルギーでエッチングされ得る膜を第2の膜FB2として有する多層膜のエッチングが可能となる。また、第2の膜FB2と下地領域URBとの間に、そのエッチングに比較的高いエネルギーを要する膜を第3の膜FB3として更に有する多層膜のエッチングが可能となる。
【0091】
なお、方法MT2において、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内の各周期P
LFではパルス状の高周波電力及び連続的な高周波電力のうち一方の高周波電力として供給され、第2の期間P
2内の各周期P
LFでは他方の高周波電力として供給されてもよい。また、方法MT2において、第2の高周波電力HFは、第3の期間内の各周期P
LFではパルス状の高周波電力及び連続的な高周波電力のうち一方の高周波電力として供給され、第4の期間内の各周期P
LFでは他方の高周波電力として供給されてもよい。
【0092】
具体的に、方法MT2において、第2の高周波電力HFは、第1の期間及び第3の期間内では負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給され、第2の期間及び第4の期間内では連続的な高周波電力として供給されてもよい。この場合にも、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間及び第3の期間内では比較的高く、第2の期間及び第4の期間内では比較的低くなる。
【0093】
或いは、方法MT2において、第2の高周波電力HFは、第1の期間及び第3の期間内では連続的な高周波電力として供給され、第2の期間及び第4の期間内では、正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給されてもよい。この場合にも、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間及び第3の期間内では比較的高く、第2の期間及び第4の期間内では比較的低くなる。
【0094】
次に、
図9、
図10の(a)、及び
図10の(b)を参照する。
図9は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図10の(a)は、一例の基板の一部拡大断面図である。
図10の(b)は、
図9に示す方法MT3の工程ST31の実行後の状態における一例の基板の一部拡大断面図である。
【0095】
図9に示す方法MT3は、工程ST31及び工程ST32を含む。工程ST31は、方法MT1の工程ST11と同じく、第1の期間P
1において実行される。工程ST31では、第1のプラズマ処理が実行される。工程ST32は、方法MT1の工程ST12と同じく、第2の期間P
2において実行される。第2の期間P
2は、第1の期間P
1の後の又は第1の期間P
1に続く期間である。工程ST32では、第2のプラズマ処理が実行される。
【0096】
工程ST31及び工程ST32では、チャンバ10内に処理ガスが供給される。工程ST31及び工程ST32では、ガス供給部GSが、処理ガスを供給するために、制御部80によって制御される。工程ST31及び工程ST32では、排気装置50が、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、制御部80によって制御される。
【0097】
工程ST31及び工程ST32において、第1の高周波電力LFは、下部電極18に連続的に供給される。即ち、方法MT3では、第1の高周波電力LFは、第1の期間P
1及び第2の期間P
2にわたって下部電極18に連続的に供給される。工程ST31及び工程ST32において、第1の高周波電源部61は、第1の高周波電力LFを下部電極18に供給するために、制御部80によって制御される。
【0098】
第2の高周波電力HFは、パルス状の高周波電力として、第1の期間P
1内の第1の部分期間SP
1内及び第2の期間P
2内の第2の部分期間SP
2内で下部電極18(又は上部電極30)に供給される。即ち、第2の高周波電力HFは、工程ST31では第1の部分期間SP
1内でパルス状の高周波電力として供給される。また、第2の高周波電力HFは、工程ST32では第2の部分期間SP
2内でパルス状の高周波電力として供給される。工程ST31及び工程ST32において、第2の高周波電源部62は、第2の高周波電力HFを供給するために、制御部80によって制御される。
【0099】
方法MT3では、第1の部分期間SP
1は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の負電圧出力期間内に含まれる。方法MT3では、第2の部分期間SP
2は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の正電圧出力期間内に含まれる。
【0100】
工程ST31及び工程ST32では、チャンバ10内で処理ガスからプラズマが形成される。工程ST31では、第2の高周波電力HFは、負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST31では、支持台14上の基板のVppが高くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的高くなる。
【0101】
一方、工程ST32では、第2の高周波電力HFは、正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST32では、支持台14上の基板のVppが低くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的低くなる。なお、工程ST32では、ラジカルを主体とするエッチングが行われる。また、工程ST32では、チャンバ10の内壁面、即ち、内部空間10sを画成する内壁面に向かうイオンのエネルギーが相対的に高くなる。
【0102】
図10の(a)に示すように、方法MT3が適用され得る基板WCは、下地領域URC及び膜FCを有する。膜FCは、下地領域URC上に設けられている。基板WCは、マスクMKCを更に有し得る。マスクMKCは、膜FC上に設けられている。マスクMKCは、膜FCの表面を部分的に露出させるように、パターニングされている。一例において、下地領域URCはTaNから形成されており、膜FCは幾つかの磁性層を含む多層膜であり、マスクMKCは、酸化シリコンから形成されている。膜FCの多層膜は、例えばMRAM素子部を構成する多層膜であり、MTJ(Magnetic Tunnel Junction)構造を含む。
【0103】
方法MT1では、基板WCは、第1の期間P
1において、チャンバ10内に配置される。基板WCは、チャンバ10内では、支持台14上に載置される。工程ST31及び工程ST32で用いられる処理ガスは、Cl
2ガスとアルゴンガスといった希ガスを含む混合ガス、又は、COガスとNH
3ガスを含む混合ガスであり得る。
【0104】
図10の(b)に示すように、工程ST31では、プラズマからのイオンが膜FCに照射され、ケミカルイオンエッチング及び/又はスパッタリングによって下地領域URCを露出させるように膜FCがエッチングされる。工程ST31は、発光分析器54によって取得される発光強度から膜FCのエッチング量が減少していると判断される場合に、終了される。或いは、工程ST31は、所定時間の経過後に終了される。工程ST31では、基板WCに対して高いエネルギーのイオンが供給されるので、難エッチング材料から形成された膜FCのエッチングが可能となる。
【0105】
方法MT3は、工程ST3aを更に含んでいてもよい。工程ST3aは、工程ST31と工程ST32との間で実行される。工程ST3aでは、基板WCがチャンバ10の内部空間10sから搬出される。したがって、工程ST32は、基板WCがチャンバ10内に配置されていない状態で実施され得る。方法MT3は、工程ST3bを更に含んでいてもよい。工程ST3bは、工程ST3aと工程ST32との間で実行される。工程ST3bでは、ダミー基板がチャンバ10内に搬入される。ダミー基板は、支持台14上に載置される。したがって、工程ST32は、ダミー基板が支持台14上に載置されている状態で実行されてもよい。
【0106】
工程ST31では、チャンバ10の内壁面に堆積物が付着する。堆積物はエッチング副生成物であり得る。工程ST32では、チャンバ10の内壁面に付着した堆積物が、プラズマからのイオン及び/又はラジカルといった化学種によって除去される。工程ST32が実行される第2の期間P
2においては、支持台14に向かうイオンのエネルギーが低くなり、相対的にチャンバ10の内壁面に向かうイオンのエネルギーが高くなる。その結果、チャンバ10の内壁面に付着した堆積物が効率的に除去される。
【0107】
なお、方法MT3において、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内の各周期P
LFではパルス状の高周波電力及び連続的な高周波電力のうち一方の高周波電力として供給され、第2の期間P
2内の各周期P
LFでは他方の高周波電力として供給されてもよい。具体的に、方法MT3において、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内では負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給され、第2の期間P
2内では連続的な高周波電力として供給されてもよい。この場合にも、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間内では比較的高く、第2の期間内では比較的低くなる。
【0108】
或いは、方法MT3において、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内では連続的な高周波電力として供給され、第2の期間P
2内では正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給されてもよい。この場合にも、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間内では比較的高く、第2の期間内では比較的低くなる。
【0109】
次に、
図11、
図12の(a)、
図12の(b)、
図12の(c)、及び
図12の(d)を参照する。
図11は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図12の(a)は、一例の基板の一部拡大断面図である。
図12の(b)〜
図12の(d)は、
図11に示す方法MT4の複数の工程それぞれの実行後の状態における一例の基板の一部拡大断面図である。
【0110】
図11に示す方法MT4は、工程ST41及び工程ST42を含む。工程ST41は、方法MT1の工程ST11と同じく、第1の期間P
1において実行される。第1の期間P
1は単一の周期P
LFの時間長と同一の時間長を有する期間であってもよい。工程ST41では、第1のプラズマ処理が実行される。工程ST42は、方法MT1の工程ST12と同じく、第2の期間P
2において実行される。第2の期間P
2は、第1の期間P
1に続く期間である。第2の期間P
2は単一の周期P
LFの時間長と同一の時間長を有する期間であってもよい。工程ST42では、第2のプラズマ処理が実行される。
【0111】
工程ST41では、チャンバ10内に処理ガスが供給される。工程ST42では、工程ST41で用いられる処理ガスと同じ処理ガス又は別の処理ガスが、チャンバ10内に、供給される。工程ST41及び工程ST42では、ガス供給部GSが制御部80によって制御される。工程ST41及び工程ST42では、排気装置50が、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、制御部80によって制御される。チャンバ10内の圧力は、例えば数mmTorr〜1000mTorrの範囲内の圧力に設定される。
【0112】
工程ST41及び工程ST42において、第1の高周波電力LFは、下部電極18に連続的に供給される。即ち、方法MT4では、第1の高周波電力LFは、第1の期間P
1及び第2の期間P
2にわたって下部電極18に連続的に供給される。工程ST41及び工程ST42において、第1の高周波電源部61は、第1の高周波電力LFを下部電極18に供給するために、制御部80によって制御される。
【0113】
第2の高周波電力HFは、パルス状の高周波電力として、第1の期間P
1内の第1の部分期間SP
1内及び第2の期間P
2内の第2の部分期間SP
2内で下部電極18(又は上部電極30)に供給される。即ち、第2の高周波電力HFは、工程ST41では第1の部分期間SP
1内でパルス状の高周波電力として供給される。また、第2の高周波電力HFは、工程ST42では第2の部分期間SP
2内でパルス状の高周波電力として供給される。工程ST41及び工程ST42において、第2の高周波電源部62は、第2の高周波電力HFを供給するために、制御部80によって制御される。
【0114】
方法MT4では、第1の部分期間SP
1は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の負電圧出力期間内に含まれる。方法MT4では、第2の部分期間SP
2は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の正電圧出力期間内に含まれる。
【0115】
工程ST41及び工程ST42では、チャンバ10内でプラズマが形成される。工程ST41では、第2の高周波電力HFは、負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST41では、支持台14上の基板のVppが高くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的高くなる。
【0116】
一方、工程ST42では、第2の高周波電力HFは、正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST42では、支持台14上の基板のVppが低くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的低くなる。
【0117】
方法MT4では、基板は、第1の期間P
1及び第2の期間P
2にわたって、チャンバ10内に配置される。基板は、チャンバ10内では、支持台14上に載置される。方法MT4が適用され得る基板WDは、
図12の(a)に示すように、下地領域URD及び膜FDを有する。膜FDは、下地領域URD上に設けられている。基板WDは、マスクMKDを更に有し得る。マスクMKDは、膜FD上に設けられている。マスクMKDは、膜FDの表面を部分的に露出させるように、パターニングされている。一例において、下地領域URDは酸化シリコンから形成されており、膜FDは有機膜又はシリコン酸化膜であり、マスクMKDはフォトレジスト膜及び反射防止膜を含む多層構造を有する。マスクMKDの反射防止膜は、膜FD上に設けられている。マスクMKDの反射防止膜は、シリコンを含有する。マスクMKDのフォトレジスト膜は、マスクMKDの反射防止膜上に設けられている。
【0118】
工程ST41で用いられる処理ガスは、膜FDが有機膜である場合には、O
2ガスといった酸素含有ガスを含み得る。工程ST41で用いられる処理ガスは、膜FDが有機膜である場合には、アルゴンガスといった希ガスを更に含んでいてもよい。工程ST41で用いられる処理ガスは、膜FDがシリコン酸化膜である場合には、C
4F
8ガスといったフルオロカーボンガスを含み得る。工程ST41で用いられる処理ガスは、膜FDが有機膜又はシリコン酸化膜の何れであっても、C
4F
8ガスといったフルオロカーボンガス、O
2ガスといった酸素含有ガス、及びアルゴンガスといった希ガスを含む混合ガスであってもよい。
【0119】
工程ST42で用いられる処理ガスは、膜FDが有機膜又はシリコン酸化膜の何れであっても、C
4F
8ガスといったフルオロカーボンガスを含み得る。工程ST42で用いられる処理ガスは、O
2ガスといった酸素含有ガス、及びアルゴンガスといった希ガスを更に含んでいてもよい。
【0120】
工程ST41では、支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的高い。したがって、工程ST41では、プラズマからのイオンが膜FDに照射され、ケミカルイオンエッチングによって膜FDがエッチングされる。
図12の(b)に示すように、工程ST41において、膜FDは、側壁面を提供するように、エッチングされる。工程ST42では、支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的低い。工程ST42では、
図12の(c)に示すように、プラズマからの化学種が基板WDの表面上に堆積物DPの膜を形成する。堆積物DPの膜は、炭素及び/又はフルオロカーボンの化学種から形成される。
【0121】
続く工程ST43では、停止条件が満たされるか否かが判定される。工程ST43において、停止条件は、工程ST41と工程ST42を含むシーケンスの実行回数が所定回数に達している場合に満たされていると判定される。或いは、工程ST43において、停止条件は、発光分析器54によって取得される所定波長の発光強度に基づいて判定されてもよく、工程ST41及び工程ST42を含むシーケンス又は当該シーケンスの繰り返しの実行時間長に基づいて判定されてもよい。工程ST43において停止条件が満たされていないと判定される場合には、工程ST41と工程ST42を含むシーケンスが再び実行される。工程ST41のエッチングは異方性を有する。したがって、工程ST41では、
図12の(d)に示すように、基板WDの側壁面上で延在している堆積物DPは残される。一方、工程ST41では、基板Wの他の表面(水平面)上で延在している堆積物DPが除去されて、膜FDが更にエッチングされる。工程ST43において停止条件が満たされていると判定されると、方法MT4は終了する。
【0122】
方法MT4では、工程ST41と工程ST42が交互に繰り返される。即ち、方法MT4では、堆積物DPの形成(工程ST42)と膜FDのエッチング(工程ST41)が交互に行われる。方法MT4によれば、膜FDのエッチングの実行中には、膜FDの側壁面が堆積物DPによって保護される。
【0123】
次に、
図13、
図14の(a)、
図14の(b)、
図14の(c)、及び
図14の(d)を参照する。
図13は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図14の(a)は、一例の基板の一部拡大断面図である。
図14の(b)〜
図14の(d)は、
図13に示す方法MT5の複数の工程それぞれの実行後の状態における一例の基板の一部拡大断面図である。
【0124】
図13に示す方法MT5は、工程ST51及び工程ST52を含む。工程ST51は、方法MT1の工程ST51と同じく、第1の期間P
1において実行される。第1の期間P
1は単一の周期P
LFの時間長と同一の時間長を有する期間であってもよい。工程ST51では、第1のプラズマ処理が実行される。工程ST52は、方法MT1の工程ST12と同じく、第2の期間P
2において実行される。第2の期間P
2は、第1の期間P
1に続く期間である。第2の期間P
2は単一の周期P
LFの時間長と同一の時間長を有する期間であってもよい。工程ST52では、第2のプラズマ処理が実行される。
【0125】
工程ST51では、チャンバ10内に処理ガスが供給される。工程ST52では、工程ST41で用いられる処理ガスと同じ処理ガス又は別の処理ガスが、チャンバ10内に、供給される。工程ST51及び工程ST52では、ガス供給部GSが制御部80によって制御される。工程ST51及び工程ST52では、排気装置50が、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、制御部80によって制御される。チャンバ10内の圧力は、例えば数mTorr〜1000mTorrの範囲内の圧力に設定される。
【0126】
工程ST51及び工程ST52において、第1の高周波電力LFは、下部電極18に連続的に供給される。即ち、方法MT5では、第1の高周波電力LFは、第1の期間P
1及び第2の期間P
2にわたって下部電極18に連続的に供給される。工程ST51及び工程ST52において、第1の高周波電源部61は、第1の高周波電力LFを下部電極18に供給するために、制御部80によって制御される。
【0127】
第2の高周波電力HFは、パルス状の高周波電力として、第1の期間P
1内の第1の部分期間SP
1内及び第2の期間P
2内の第2の部分期間SP
2内で下部電極18(又は上部電極30)に供給される。即ち、第2の高周波電力HFは、工程ST51では第1の部分期間SP
1内でパルス状の高周波電力として供給される。また、第2の高周波電力HFは、工程ST52では第2の部分期間SP
2内でパルス状の高周波電力として供給される。工程ST51及び工程ST52において、第2の高周波電源部62は、第2の高周波電力HFを供給するために、制御部80によって制御される。
【0128】
方法MT5では、第1の部分期間SP
1は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の負電圧出力期間内に含まれる。方法MT5では、第2の部分期間SP
2は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の正電圧出力期間内に含まれる。
【0129】
工程ST51及び工程ST52では、チャンバ10内でプラズマが形成される。工程ST51では、第2の高周波電力HFは、負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST51では、支持台14上の基板のVppが高くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的高くなる。
【0130】
一方、工程ST52では、第2の高周波電力HFは、正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST52では、支持台14上の基板のVpp(電圧の波高値)が低くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的低くなる。
【0131】
方法MT5では、基板は、第1の期間P
1及び第2の期間P
2にわたって、チャンバ10内に配置される。基板は、チャンバ10内では、支持台14上に載置される。方法MT5が適用され得る基板WEは、
図14の(a)に示すように、下地領域URE及び膜FEを有する。膜FEは、下地領域URE上に設けられている。基板WEは、マスクMKEを更に有し得る。マスクMKEは、膜FE上に設けられている。マスクMKEは、膜FEの表面を部分的に露出させるように、パターニングされている。一例において、下地領域UREは酸化シリコンから形成されており、膜FEは多結晶シリコンから形成されており、マスクMKEは酸化シリコンから形成されている。
【0132】
工程ST51で用いられる処理ガスは、Cl
2ガス、HBrガス、SF
6ガスといったハロゲン含有ガスを含み得る。工程ST51で用いられる処理ガスは、O
2ガスといった酸素含有ガスを更に含んでいてもよい。工程ST52で用いられる処理ガスは、工程ST51で用いられる処理ガスと異なる場合には、O
2ガスといった酸素含有ガスを含み得る。工程ST52で用いられる処理ガスは、アルゴンガスといった希ガスを更に含んでいてもよい。
【0133】
工程ST51では、支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的高い。したがって、工程ST51では、プラズマからのイオンが膜FEに照射され、ケミカルイオンエッチングによって膜FEがエッチングされる。
図14の(b)に示すように、工程ST51において、膜FEは、側壁面を提供するように、エッチングされる。工程ST52では、支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的低い。工程ST52では、
図14の(c)に示すように、膜FEのエッチングが抑制され、膜FEの表面を含む領域が変質して、変質領域MRを形成する。例えば、変質領域MRは、膜FEの表面を含む領域におけるシリコンの酸化によって形成される。
【0134】
続く工程ST53では、停止条件が満たされるか否かが判定される。工程ST53において、停止条件は、工程ST51と工程ST52を含むシーケンスの実行回数が所定回数に達している場合に満たされていると判定される。或いは、工程ST53において、停止条件は、発光分析器54によって取得される所定波長の発光強度に基づいて判定されてもよく、工程ST51及び工程ST52を含むシーケンス又は当該シーケンスの繰り返しの実行時間長に基づいて判定されてもよい。工程ST53において停止条件が満たされていないと判定される場合には、工程ST51と工程ST52を含むシーケンスが再び実行される。工程ST53において停止条件が満たされていると判定されると、方法MT5は終了する。
【0135】
方法MT5では、工程ST51と工程ST52が交互に繰り返される。即ち、方法MT5によれば、膜FEの変質処理(工程ST52)と膜FEのエッチング(工程ST51)が交互に行われる。方法MT5では、膜FEの側壁面が変質しているので、
図14の(d)に示すように、工程ST51における側壁面のエッチングが抑制される。
【0136】
次に、
図15、
図16の(a)、
図16の(b)、
図16の(c)、及び
図17を参照する。
図15は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図16の(a)は、一例の基板の一部拡大断面図である。
図16の(b)及び
図16の(c)は、
図15に示す方法MT6の複数の工程それぞれの実行後の状態における一例の基板の一部拡大断面図である。
図17は、方法MT6に関連する一例のタイミングチャートである。
図17において縦軸は、第1の高周波電力LF、同期信号SS、及び第2の高周波電力HFを示している。
【0137】
図15に示す方法MT6は、工程ST61及び工程ST62を含む。工程ST61は、方法MT1の工程ST11と同じく、第1の期間P
1において実行される。工程ST61では、第1のプラズマ処理が実行される。工程ST62は、方法MT1の工程ST12と同じく、第2の期間P
2において実行される。第2の期間P
2は、第1の期間P
1に続く期間である。工程ST62では、第2のプラズマ処理が実行される。
【0138】
工程ST61及び工程ST62では、チャンバ10内に処理ガスが供給される。工程ST61及び工程ST62では、ガス供給部GSが、処理ガスを供給するために、制御部80によって制御される。工程ST61及び工程ST62では、排気装置50が、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、制御部80によって制御される。チャンバ10内の圧力は、例えば数mTorr〜1000mTorrの範囲内の圧力に設定される。
【0139】
工程ST61及び工程ST62において、第1の高周波電力LFは、下部電極18に連続的に供給される。即ち、方法MT2では、第1の高周波電力LFは、第1の期間P
1と第2の期間P
2にわたって下部電極18に連続的に供給される。工程ST61及び工程ST62において、第1の高周波電源部61は、第1の高周波電力LFを下部電極18に供給するために、制御部80によって制御される。
【0140】
方法MT6では、第2の高周波電力HFは、パルス状の高周波電力として、第1の期間P
1における第1の部分期間SP
1内、並びに、第2の期間P
2における第2の部分期間SP
2内で、下部電極18(又は上部電極30)に供給される。即ち、第2の高周波電力HFは、工程ST61では、第1の部分期間SP
1内でパルス状の高周波電力として供給される。また、第2の高周波電力HFは、工程ST62では、第2の部分期間SP
2内でパルス状の高周波電力として供給される。工程ST61及び工程ST62において、第2の高周波電源部62は、第2の高周波電力HFを供給するために、制御部80によって制御される。
【0141】
方法MT6では、第1の部分期間SP
1は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の正電圧出力期間内に含まれる。方法MT6では、第2の部分期間SP
2は、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内の負電圧出力期間内に含まれる。
【0142】
工程ST61及び工程ST62では、チャンバ10内で処理ガスからプラズマが形成される。工程ST61では、
図17に示すように、第2の高周波電力HFは、正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST61では、支持台14上の基板のVppが低くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的低くなる。
【0143】
一方、工程ST62では、第2の高周波電力HFは、負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST62では、支持台14上の基板のVppが高くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的高くなる。
【0144】
図16の(a)に示すように、方法MT6が適用され得る基板WFは、第1の膜FF1、及び第2の膜FF2を有する。第1の膜FF1は、第2の膜FF2上に設けられている。基板WFは、下地領域URF及びマスクMKFを更に有し得る。第2の膜FF2は、下地領域URF上に設けられている。マスクMKFは、第1の膜FF1上に設けられている。マスクMKFは、第1の膜FF1を部分的に露出させるように、パターニングされている。一例において、下地領域URFはシリコンから形成されている。第1の膜FF1は、シリコンを含有する反射防止膜である。第2の膜FF2は、酸化シリコンから形成されている。マスクMKFは、フォトレジスト膜から形成されている。
【0145】
方法MT6では、基板WFは、第1の期間P
1と第2の期間P
2にわたって、チャンバ10内に配置される。基板WFは、チャンバ10内では、支持台14上に載置される。工程ST61及び工程ST62で用いられる処理ガスは、CF
4ガスといったフルオロカーボンガスを含む。工程ST61及び工程ST62で用いられる処理ガスは、アルゴンガスといった希ガスを更に含んでいてもよい。
【0146】
図16の(b)に示すように、工程ST61では、第2の膜FF2を露出させるように、プラズマからのイオンが第1の膜FF1に照射され、ケミカルイオンエッチングによって第1の膜FF1がエッチングされる。工程ST61は、発光分析器54によって取得される発光強度から第1の膜FF1のエッチング量が減少していると判断される場合に、終了される。或いは、工程ST61は、所定時間の経過後に終了される。
【0147】
図16の(c)に示すように、工程ST62では、下地領域URFを露出させるように、プラズマからのイオンが第2の膜FF2に照射され、ケミカルイオンエッチングによって第2の膜FF2がエッチングされる。工程ST62は、発光分析器54によって取得される発光強度から第2の膜FB2のエッチング量が減少していると判断される場合に、終了される。例えば、発光分析器54によって取得されるCOの発光強度が所定値以下であると判定される場合に、工程ST62が終了される。或いは、工程ST62は、所定時間の経過後に終了される。
【0148】
この方法MT6によれば、比較的低いエネルギーでエッチングされ得る膜を第1の膜FF1として有し、そのエッチングに比較的高いエネルギーを要する膜を第2の膜FB2として有する多層膜のエッチングが可能となる。
【0149】
なお、方法MT6において、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内の各周期P
LFではパルス状の高周波電力及び連続的な高周波電力のうち一方の高周波電力として供給され、第2の期間P
2内の各周期P
LFでは他方の高周波電力として供給されてもよい。具体的に、方法MT6において、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内では正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給され、第2の期間P
2内では連続的な高周波電力として供給されてもよい。この場合にも、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間P
1では比較的低く、第2の期間P
2では比較的高くなる。
【0150】
或いは、方法MT6において、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内では連続的な高周波電力として供給され、第2の期間P
2内では負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給されてもよい。この場合にも、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第1の期間P
1内では比較的低く、第2の期間P
2内では比較的高くなる。
【0151】
次に、
図18、
図19、
図20の(a)、
図20の(b)、
図20の(c)、
図20の(d)を参照する。
図18は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図19は、
図18に示す方法MT7に関連する一例のタイミングチャートである。
図20の(a)は、一例の基板の一部拡大断面図である。
図20の(b)〜
図20の(e)は、方法MT7の複数の工程それぞれの実行後における一例の基板の一部拡大断面図である。
【0152】
図18に示す方法MT7は、工程ST71及び工程ST72を含む。工程ST71は、方法MT1の工程ST71と同じく、第1の期間P
1において実行される。第1の期間P
1は単一の周期P
LFの時間長と同一の時間長を有する期間である。第1の期間P
1の開始時点は、対応の周期P
LFの開始時点に一致している。工程ST71では、第1のプラズマ処理が実行される。工程ST72は、方法MT1の工程ST12と同じく、第2の期間P
2において実行される。第2の期間P
2は、第1の期間P
1に続く期間である。第2の期間P
2は単一の周期P
LFの時間長と同一の時間長を有する期間である。第2の期間P
2の開始時点は、対応の周期P
LFの開始時点に一致している。工程ST72では、第2のプラズマ処理が実行される。方法MT7では、工程ST71と工程ST72が交互に繰り返される。
【0153】
方法MT7は、工程ST73を更に含み得る。工程ST73では、第3のプラズマ処理が実行される。工程ST73は、第3の期間P
3において実行される。第3の期間P
3は、工程ST71と工程ST72の交互の繰り返しが行われる期間に続く期間である。
【0154】
工程ST71、工程ST72、及び工程ST73では、チャンバ10内に処理ガスが供給される。工程ST71、工程ST72、及び工程ST73では、ガス供給部GSが、チャンバ10内に処理ガスを供給するために、制御部80によって制御される。工程ST71、工程ST72、及び工程ST73では、排気装置50が、チャンバ10内の圧力を指定された圧力に設定するよう、制御部80によって制御される。チャンバ10内の圧力は、例えば数mTorr〜1000mTorrの範囲内の圧力に設定される。
【0155】
工程ST71、工程ST72、及び工程ST73において、第1の高周波電力LFは、下部電極18に連続的に供給される。即ち、方法MT7では、第1の高周波電力LFは、第1の期間P
1及び第2の期間P
2にわたって下部電極18に連続的に供給される。また、方法MT7では、第1の高周波電力LFは、第3の期間P
3においても、連続的に供給される。工程ST71、工程ST72、及び工程ST73において、第1の高周波電源部61は、第1の高周波電力LFを下部電極18に供給するために、制御部80によって制御される。
【0156】
工程ST71では、第2の高周波電力HFは、パルス状の高周波電力として下部電極18(又は上部電極30)に供給される。即ち、方法MT7では、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内でパルス状の高周波電力として下部電極18(又は上部電極30)に供給される。具体的に、方法MT7では、
図19に示すように、第2の高周波電力HFは、第1の期間P
1内の正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として下部電極18(又は上部電極30)に供給される。工程ST72では、第2の高周波電力HFは供給されない。即ち、第2の高周波電力HFは、第2の期間P
2内では供給されない。工程ST73では、第2の高周波電力HFは、各周期P
LF内の正電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として下部電極18(又は上部電極30)に供給される。工程ST71、工程ST72、及び工程ST73において、第2の高周波電源部62は、第2の高周波電力HFの供給及び供給停止のために、制御部80によって制御される。
【0157】
工程ST71では、チャンバ10内で処理ガスからプラズマが生成される。工程ST72における支持台14上の基板のVppは、工程ST71における支持台14上の基板のVppよりも高くなる。したがって、第1の期間P
1において生成されたプラズマからのイオンは、第2の期間P
2において支持台14上の基板に高いエネルギーで衝突する。
【0158】
工程ST73では、第2の高周波電力HFが正負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として供給される。したがって、工程ST73では、支持台14上の基板のVppが高くなり、プラズマから支持台14に向かうイオンのエネルギーが比較的低くなる。
【0159】
方法MT7において、基板は、第1の期間P
1及び第2の期間P
2の繰り返しからなる期間と第3の期間P
3にわたって、チャンバ10内に配置される。基板は、チャンバ10内では、支持台14上に載置される。方法MT7が適用され得る基板WGは、
図20の(a)に示すように、下地領域URG及び膜FGを有する。膜FGは、下地領域URG上に設けられている。基板WGは、マスクMKGを更に有し得る。マスクMKGは、膜FG上に設けられている。マスクMKGは、膜FGの表面を部分的に露出させるように、パターニングされている。一例において、下地領域URGはシリコンから形成されており、膜FGは酸化シリコンから形成されており、マスクMKGはフォトレジスト膜及び反射防止膜を含む多層構造を有する。マスクMKGの反射防止膜は、膜FG上に設けられている。マスクMKGの反射防止膜は、シリコンを含有する。マスクMKGのフォトレジスト膜は、マスクMKGの反射防止膜上に設けられている。
【0160】
方法MT7で用いられる処理ガスは、C
4F
8ガスといったフルオロカーボンガスを含み得る。方法MT7で用いられる処理ガスは、O
2ガスといった酸素含有ガス及びアルゴンガスといった希ガスを更に含んでいてもよい。
【0161】
工程ST71における基板WDのVppは、工程ST72における基板WDのVppよりも低い。工程ST71では、膜FGは比較的低いエッチングレートでエッチングされるので、
図20の(b)に示すように膜FGのエッチング量は少ない。工程ST72では、膜FGが高いエッチングレートでエッチングされるので、
図20の(c)に示すように膜FGのエッチング量は多い。
【0162】
工程ST72に続く工程ST7aでは、停止条件が満たされるか否かが判定される。工程ST7aにおいて、停止条件は、工程ST71と工程ST72を含むシーケンスの実行回数が所定回数に達している場合に満たされていると判定される。工程ST7aにおいて停止条件が満たされていないと判定される場合には、工程ST71と工程ST72を含むシーケンスが再び実行される。工程ST7aにおいて停止条件が満たされていると判定されると、工程ST71と工程ST72の交互の繰り返しが終了する。或いは、工程ST7aにおいて、停止条件は、発光分析器54によって取得される所定波長の発光強度に基づいて判定されてもよく、工程ST71及び工程ST72を含むシーケンスの繰り返しの実行時間長に基づいて判定されてもよい。工程ST71と工程ST72の交互の繰り返しにより膜FGがエッチングされると、
図20の(d)に示すように、下地領域URGが露出される。
【0163】
次いで実行される工程ST73では、
図20の(e)に示すように、膜FGのオーバーエッチングが行われる。工程ST73では、基板WGに対して低いエネルギーのイオンが供給されるので、下地領域URGの損傷を抑制しつつ、膜FGのオーバーエッチングを行うことができる。
【0164】
次に、
図21及び
図22を参照する。
図21は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図22は、
図21に示す方法MT8に関連する一例のタイミングチャートである。
【0165】
図21に示す方法MT8は、工程ST81及び工程ST82を含む。工程ST81と工程ST82は、交互に繰り返される。工程ST82は、工程ST72と同じ工程である。方法MT8は、工程ST8a及び工程ST83を更に含み得る。工程ST8aは、工程ST7aと同様の工程である。工程ST8aでは、停止条件が満たされるか否かが判定される。工程ST8aにおいて、停止条件は、工程ST81と工程82を含むシーケンスの実行回数が所定回数に達している場合に満たされていると判定される。或いは、工程ST8aにおいて、停止条件は、発光分析器54によって取得される所定波長の発光強度に基づいて判定されてもよく、工程ST81及び工程ST82を含むシーケンスの繰り返しの実行時間長に基づいて判定されてもよい。工程ST8aにおいて停止条件が満たされていないと判定される場合には、工程ST81及び工程ST82を含むシーケンスが再び実行される。一方、工程ST8aにおいて停止条件が満たされていると判定される場合には、工程ST83が実行される。工程ST83は工程ST73と同じ工程である。
【0166】
以下、工程ST81と工程ST71との相違点について説明する。工程ST81では、第2の高周波電力HFは、
図22に示すよう、第1の期間P
1内の負電圧出力期間内でパルス状の高周波電力として下部電極18(又は上部電極30)に供給される。工程ST81の処理は、その他の点では工程ST71の処理と同じである。
【0167】
工程ST81において基板に衝突するイオンのエネルギーは、工程ST71において支持台14上の基板に衝突するイオンのエネルギーに比べて、高くなる。したがって、方法MT8の工程ST81における膜のエッチングレートは、工程ST71における同じ膜のエッチングレートよりも高くなる。また、工程ST82における支持台14上の基板のVppは、工程ST81における支持台14上の基板のVppよりも高くなる。したがって、方法MT8では、第1の期間P
1において生成されたプラズマからのイオンが、第2の期間P
2において支持台14上の基板に高いエネルギーで衝突する。この方法MT8は、基板WGの膜FGのエッチング及びオーバーエッチングを行うために、方法MT7で用いられる処理ガスと同じ処理ガスを用いて、実行され得る。
【0168】
以上説明した種々の実施形態に係るプラズマ処理方法では、支持台14に向かうイオンのエネルギーが、第2の高周波電力HFのモードに応じて調整される。具体的に、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第2の高周波電力HFが供給されるか否かによって異なる。支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第2の高周波電力HFがパルス状の高周波電力として供給されるか連続的な高周波電力として供給されるか否かによって異なる。支持台14に向かうイオンのエネルギーは、第2の高周波電力HFが、第1の高周波電力LFの各周期P
LF内においてパルス状の高周波電力が供給される期間に応じて変化する。例えば、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、正電圧出力期間内で第2の高周波電力HFがパルス状の高周波電力として供給される場合には、低い。また、支持台14に向かうイオンのエネルギーは、負電圧出力期間内で第2の高周波電力HFがパルス状の高周波電力として供給される場合には、高い。種々の実施形態に係るプラズマ処理方法では、上述のモードが維持される最小の時間長が、第1の高周波電力LFの一周期の時間長に設定され得る。したがって、支持台14に向かうイオンのエネルギーを高速に変化させることが可能となる。
【0169】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0170】
例えば、種々の実施形態に係るプラズマ処理方法は、誘導結合型のプラズマ処理装置を用いて実行されてもよい。誘導結合型のプラズマ処理装置では、第2の高周波電力は、チャンバ10の中に誘導磁場を形成するために、アンテナに供給される。
【0171】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。