特開2019-220801(P2019-220801A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220801(P2019-220801A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】信号処理装置及び光受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2507 20130101AFI20191129BHJP
   H04B 3/06 20060101ALI20191129BHJP
   H04B 10/60 20130101ALI20191129BHJP
【FI】
   H04B10/2507
   H04B3/06
   H04B10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2018-115558(P2018-115558)
(22)【出願日】2018年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯山 法子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正満
(72)【発明者】
【氏名】可児 淳一
【テーマコード(参考)】
5K046
5K102
【Fターム(参考)】
5K046AA08
5K046EF15
5K102AA01
5K102AA65
5K102AH14
5K102AL08
5K102KA01
5K102KA39
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】最適なタップ係数の算出における収束時間を短縮すること。
【解決手段】複数の光送信装置が送信するバースト光信号を受信する光受信装置が備える信号処理装置であって、電気信号に変換された前記バースト光信号をシンボルレートよりも大きいサンプリングレートでオーバーサンプリングすることにより得られるサンプル信号に基づいてシンボルタイミングを検出するシンボルタイミング検出部と、前記サンプル信号の等化処理を行う適応等化フィルタ部と、前記サンプル信号を前記適応等化フィルタ部が取り込む際、前記適応等化フィルタ部が備えるタップの中でタップ係数が最大値である前記タップに、前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号が与えられるようにタイミングを整合するタイミング整合部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光送信装置が送信するバースト光信号を受信する光受信装置が備える信号処理装置であって、
電気信号に変換された前記バースト光信号をシンボルレートよりも大きいサンプリングレートでオーバーサンプリングすることにより得られるサンプル信号に基づいてシンボルタイミングを検出するシンボルタイミング検出部と、
前記サンプル信号の等化処理を行う適応等化フィルタ部と、
前記サンプル信号を前記適応等化フィルタ部が取り込む際、前記適応等化フィルタ部が備えるタップの中でタップ係数が最大値である前記タップに、前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号が与えられるようにタイミングを整合するタイミング整合部と、
を備える信号処理装置。
【請求項2】
前記タイミング整合部は、
前記サンプル信号を取り込み、取り込んだ前記サンプル信号を前記適応等化フィルタ部に出力するタイミングを調整することにより、前記タップ係数が最大値である前記タップに対して前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号を与える入力タイミング調整部
を備える請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記入力タイミング調整部は、
前記シンボルタイミング検出部が検出する前記シンボルタイミングと、前記タップ係数が最大値である前記タップの位置とに基づいて遅延量を算出する遅延量算出部と、
前記サンプル信号を取り込み、前記遅延量算出部が算出する前記遅延量にしたがって、前記サンプル信号を遅延させて前記適応等化フィルタ部に出力する遅延部と、
を備える請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記入力タイミング調整部は、
前記適応等化フィルタ部が、収束した前記タップ係数を得た場合、収束した前記タップ係数の最大値が与えられる前記タップに対して前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号を与えるように、取り込んだ前記サンプル信号を前記適応等化フィルタ部に出力するタイミングを調整する
請求項2または3に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記サンプル信号から前記バースト光信号のフレームに対応する部分をバーストフレーム信号として検出するフレーム検出部と、
前記フレーム検出部が新たな前記バーストフレーム信号を検出した場合、前記適応等化フィルタ部の前記タップの前記タップ係数を予め定められる初期値にするタップ係数初期化部と、
を備える請求項2または3に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記複数の光送信装置の各々が前記バースト光信号を送信するタイミングを示すスケジューリング情報に基づいて、前記光送信装置ごとに予め定められる前記タップ係数の中から次に前記バースト光信号を送信する前記光送信装置に対応する前記タップ係数を選択し、選択した前記タップ係数を前記適応等化フィルタ部の前記タップに与えるタップ係数選択部を備え、
前記入力タイミング調整部は、
前記サンプル信号を取り込み、取り込んだ前記サンプル信号を前記適応等化フィルタ部に出力するタイミングを調整することにより、前記タップ係数選択部が前記タップに与えた前記タップ係数の中で最大値の前記タップ係数の前記タップに対して前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号を出力する
請求項2または3に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記タイミング整合部は、
前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号が与えられる前記タップの前記タップ係数が最大値となるように前記タップ係数を前記タップに対して与えるタップ係数初期値調整部
を備える請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項8】
複数の光送信装置が送信するバースト光信号を受光して電気信号に変換して出力する受光部と、
前記受光部が出力する前記バースト光信号に対応するアナログの前記電気信号を、シンボルレートよりも大きいサンプリングレートでオーバーサンプリングして得られるサンプル信号を含むデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部と、
請求項1から6のいずれか一項に記載の信号処理装置である信号処理部と、
を備える光受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置及び光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光加入者系アクセスネットワークとして、現在、日本において採用されている方式として、PON(Passive Optical Network)方式がある。例えば、図28に示すように、PON方式の通信システム500は、1つの局側通信装置510と、複数の加入者側通信装置550−1〜550−Nと、光カプラ560とを備える。局側通信装置510と光カプラ560は、光ファイバ565により接続されており、複数の加入者側通信装置550−1〜550−Nの各々と、光カプラ560とは、それぞれ光ファイバ566−1〜566−Nにより接続される(ただし、Nは、2以上の整数である)。
【0003】
したがって、PON方式では、局側通信装置510と加入者側通信装置550−1〜550−Nを光ファイバにより1対1で接続する方式よりも、経済的に光ファイバ565,566−1〜566−Nを敷設することができる。
【0004】
PON方式のような1対多通信においては、複数の加入者側通信装置550−1〜550−Nが局側通信装置510に送信する上り信号と、局側通信装置510が複数の加入者側通信装置550−1〜550−Nに送信する下り信号とが存在する。したがって、PON方式では、光ファイバ565の区間において信号を衝突させたり、信号を消失させたりすることなく送受信するための多重技術が必要となる。
【0005】
実用化されている現行のPON方式の通信システムでは、多重技術として、局側通信装置510が加入者側通信装置550−1〜550−Nの各々に対して個別の時間を割り当てて送受信を行うTDM(Time Division Multiplexing:時分割多重)技術が採用されている。上り信号については、更に、局側通信装置510が加入者側通信装置550−1〜550−Nの各々に対して通信時間を割り当てるL2(Layer2)制御の技術として、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation:動的帯域割当)技術が採用されている。
【0006】
図29に示すように、DBAを用いたTDM−PON方式の上り信号の送信は、加入者側通信装置550−1〜550−Nの各々が、信号の送信を許可された通信時間に上り信号をフレーム構成で送信する。この上り信号は、TDM−PON方式における上りバースト信号(以下「バースト光信号」という。)と呼ばれている。バースト光信号の特徴として、以下2点が挙げられる。
【0007】
1点目として、DBAを用いたTDM−PON方式では、加入者側通信装置550−1〜550−Nが割り当てられた通信時間にしたがって信号を送信する。そのため、局側通信装置510が受信する信号は、連続信号ではなく、間欠的な、すなわち信号と信号の間に無信号の時間が存在する信号となる。
【0008】
2点目として、DBAを用いたTDM−PON方式では、加入者側通信装置550−1〜550−Nの各々の周波数特性の個体差や、加入者側通信装置550−1〜550−Nの各々と、局側通信装置510との間の伝送路条件、例えば、距離等が異なる。そのため、局側通信装置510が受信する信号は、送信した加入者側通信装置550−1〜550−Nごとに信号の強度、歪みなどの特性がそれぞれ異なる信号となる。
【0009】
上記のフレーム構成で送信されるバースト光信号は、バーストフレームとも呼ばれている。図30に示すように、一般的に、バーストフレーム600は、プリアンブル601、ペイロード602及びエンドオブバースト603の3個の部分を含んでいる。ペイロード602が、実信号部であり、ペイロード602の前に信号同期や受信信号レベルの等化などを行うプリアンブル601が付加される。ペイロード602の後のエンドオブバースト603は、レーザの立下りなどを含む時間である。
【0010】
ところで、近年、移動体通信網においては、急増するモバイルトラフィックに対応するためのスモールセル化が進むことが見込まれ、そのスモールセルの経済的な収容手段としてPON技術の活用が検討されている。
【0011】
移動体通信網における収容手段は、光加入者系よりも伝送距離や伝送速度などの条件が厳しいことが知られている。そのため、現行のPON方式における検波技術として採用されているアナログ部品のみで構成されたDD(Direct Detection:直接検波)方式(以下「アナログDD方式」という。)では限界があると考えられる。
【0012】
そこで、アナログDD方式に替えてデジタル信号処理を用いた検波方式をPON方式の通信システムに対して適用することに関する技術が検討されている。デジタル信号処理を用いることにより、アナログDD方式では実現困難な様々な変調方式への対応が可能となり、また、伝送による信号の歪み補償も可能となる。
【0013】
デジタル信号処理を用いた検波方式として最も一般的な方式は、コヒーレント検波方式と組み合わせたデジタルコヒーレント検波方式である。デジタルコヒーレント検波方式を用いた光受信装置は、既にコア/メトロネットワーク向けに商用化されており、要素技術は確立されている。
【0014】
デジタルコヒーレント検波方式を含めデジタル信号処理を用いた検波方式や受信方式において、デジタル信号処理によってどのような処理を行うかは、対象となるシステムや、何を補償するかにより異なり、一般的には複数の処理が組み合わされる。
【0015】
例えば、高次変調方式を採用する場合、デジタル信号処理によって、高次変調の復調処理を行う。また、高次変調方式と、コヒーレント検波方式、特にイントラダイン検波方式とを組み合わせる場合、信号光とローカル光の周波数差による信号の歪み、すなわちIQ平面上での信号点の回転という形で現れる歪みをデジタル信号処理によって補償する処理を行う。
【0016】
最小受光感度を改善するための波形歪みの等化処理も、デジタル信号処理を行う信号処理部を備える光受信装置において、一般的に施される処理の1つであり、時間領域と周波数領域のどちらでも等化処理が可能である。図31は、デジタル信号処理を行う信号処理部に構成される時間領域の適応等化フィルタ700の一般例を示すブロック図である。適応等化フィルタ700におけるフィルタ入力信号は、例えば、図32(b)に示すようなデジタル信号である。
【0017】
図32(b)に示すデジタル信号は、図32(a)に示すアナログ信号をシンボルレートのm倍(ただし、mは、2以上の整数)のサンプリングレートでADC(Analog/Digital Converter)を用いてオーバーサンプリングすることにより得られる信号である。なお、オーバーサンプリングは、ADCに内挿処理を組み合わせて行うようにしてもよい。図32(a)に示すアナログ信号において、1シンボル間隔の時間Tは、T=1/シンボルレートであり、図32(b)に示すデジタル信号において、m=3である。
【0018】
図31に示す適応等化フィルタ700において、「k」は、タップ数を示す値であり、「k」は、2以上の整数である。デジタル信号の隣接するk個のサンプル信号がフィルタ入力信号となり、k個のサンプル信号の各々は、乗算器720−1〜720−kによって、タップ係数W〜Wの各々と乗算される。乗算により得られた複数の乗算値は、加算器750によって合計されてフィルタ出力値となり、フィルタ出力値を時系列に並べることによりフィルタ出力信号が得られる。
【0019】
図31に示すタップ係数算出部770が、フィルタ出力値、フィルタ出力値の目標値などの参照値に基づいて、タップ係数W〜Wの更新値を算出する。タップ係数W〜Wには、最初に任意に定められる初期値が与えられるため、適応等化フィルタ700がタップ係数W〜Wの算出を開始する際、フィルタ出力値は所望の値とは異なる値となる。タップ係数算出部770によるフィードバック計算の繰り返しによりフィルタ出力値を所望の値に近づけていく。
【0020】
所望の値に近づくのに要する計算時間は、タップ係数W〜Wの算出に用いるアルゴリズムやパラメータに依存しており、何度もフィードバック計算が必要になることもある。フィルタ出力値が所望の値にある一定の基準で達することをタップ係数の収束といい、収束までにかかる時間を収束時間という。
【0021】
適応等化フィルタ700を備える光受信装置が所望の受光感度を満たしているか否かは、基本的には、タップ係数W〜Wが収束した後のBER(Bit Error Rate:信号誤り率)に基づいて評価される。タップ係数W〜Wが収束する前のフィルタ出力信号は、所望の信号品質を満たしていない信号や、信号を復元できない状態になっている場合もある。そのため、適応等化フィルタ700により信号の補償を行う光受信装置では、通常、実信号を処理する前にプリアンブル601などの実信号ではない信号を用いてタップ係数W〜Wを収束させておく。ペイロード602に含まれる実信号部の信号については、収束したタップ係数W〜Wを用いて適応等化フィルタ700が補償を行う。
【0022】
また、タップ係数W〜Wは、補償対象となる信号の歪みに固有のものであり、タップ係数W〜Wが収束した後でも、フィルタ入力信号の送信元の周波数特性や伝送路状態が変化すれば、フィルタ出力値は所望の値から外れることになる。その場合、再びフィードバック計算の繰り返しにより収束させる必要があり、この収束のために更に時間を要することになる。
【0023】
適応等化フィルタ700により信号の補償を行う際、コア/メトロ系ネットワークのような1対1通信における連続信号に対しては、実信号の前にタップ係数W〜Wの収束のための信号を送信し、タップ係数W〜Wを収束させておく手段がある。それにより、その後、実信号を処理することで、収束したタップ係数W〜Wを用いて実信号の補償を行うことができる。
【0024】
これに対して、光アクセスネットワークのTDM−PON方式におけるバースト光信号を局側通信装置510で受信する場合、バーストフレーム600ごとに、バーストフレーム600の送信元である加入者側通信装置550−1〜550−Nが異なる。加入者側通信装置550−1〜550−Nが異なると、加入者側通信装置550−1〜550−Nの各々が備える光送信装置の周波数特性や信号が通ってきた伝送路も異なる。そのため、バーストフレーム600ごとに、信号の歪みが異なり、最適なタップ係数も異なる値となる。
【0025】
新たなバーストフレーム600が局側通信装置510に到達した際、適応等化フィルタ700のタップ係数W〜Wは、初期値であるか、または、1つ前のバーストフレーム600に最適な値であり、到達したバーストフレーム600に最適な値にはなっていない。そのため、新たなバーストフレーム600が到達するごとにタップ係数W〜Wを収束させるための収束時間が必要になる。
【0026】
また、バーストフレーム600のペイロード602は収束したタップ係数W〜Wで適応等化フィルタリングを行う必要があるため、プリアンブル601は、予想する収束時間よりも長く設定する必要がある。収束時間が長くなるとプリアンブル601の長さが長くなるため、ペイロード602に割り当てる時間が短くなり、伝送効率が低下することになる。そのため、伝送効率の観点からも収束時間を短縮することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2017−152773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
上述したTDM−PON方式において、バーストフレーム600ごとに、最適なタップ係数が異なる問題を解決するため、例えば、特許文献1では以下のような技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、バーストフレーム600ごとに最適なタップ係数を算出して送信元である加入者側通信装置550−1〜550−Nに予め関連付けて置く。DBAの処理が行われ、DBAのスケジューリング情報が得られると、当該スケジューリング情報から次に到達するバーストフレーム600の送信元を特定する。そして、特定した送信元に対応する最適なタップ係数を検出し、バーストフレーム600ごとに、検出したタップ係数に置き換えることにより、タップ係数の収束時間の短縮を図っている。
【0029】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、送信元ごとに予め最適なタップ係数を算出し、算出した最適なタップ係数をスケジューリング情報に基づいて選択して適用する構成となっており、タップ係数の算出に必要な演算時間を短縮しているわけではない。そのため、伝送路の特性が変動した場合や、送信元である加入者側通信装置が新たに追加されるような場合には、送信元が送信するバースト光信号に基づいて、従前と同様に、フィードバック計算の繰り返しにより最適なタップ係数の算出を行わなければならないという問題がある。
【0030】
上記事情に鑑み、本発明は、最適なタップ係数の算出における収束時間を短縮することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の一態様は、複数の光送信装置が送信するバースト光信号を受信する光受信装置が備える信号処理装置であって、電気信号に変換された前記バースト光信号をシンボルレートよりも大きいサンプリングレートでオーバーサンプリングすることにより得られるサンプル信号に基づいてシンボルタイミングを検出するシンボルタイミング検出部と、前記サンプル信号の等化処理を行う適応等化フィルタ部と、前記サンプル信号を前記適応等化フィルタ部が取り込む際、前記適応等化フィルタ部が備えるタップの中でタップ係数が最大値である前記タップに、前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号が与えられるようにタイミングを整合するタイミング整合部と、を備える信号処理装置である。
【0032】
本発明の一態様は、上記の信号処理装置であって、前記タイミング整合部は、前記サンプル信号を取り込み、取り込んだ前記サンプル信号を前記適応等化フィルタ部に出力するタイミングを調整することにより、前記タップ係数が最大値である前記タップに対して前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号を与える入力タイミング調整部を備える。
【0033】
本発明の一態様は、上記の信号処理装置であって、前記入力タイミング調整部は、前記シンボルタイミング検出部が検出する前記シンボルタイミングと、前記タップ係数が最大値である前記タップの位置とに基づいて遅延量を算出する遅延量算出部と、前記サンプル信号を取り込み、前記遅延量算出部が算出する前記遅延量にしたがって、前記サンプル信号を遅延させて前記適応等化フィルタ部に出力する遅延部と、を備える。
【0034】
本発明の一態様は、上記の信号処理装置であって、前記入力タイミング調整部は、前記適応等化フィルタ部が、収束した前記タップ係数を得た場合、収束した前記タップ係数の最大値が与えられる前記タップに対して前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号を与えるように、取り込んだ前記サンプル信号を前記適応等化フィルタ部に出力するタイミングを調整する。
【0035】
本発明の一態様は、上記の信号処理装置であって、前記サンプル信号から前記バースト光信号のフレームに対応する部分をバーストフレーム信号として検出するフレーム検出部と、前記フレーム検出部が新たな前記バーストフレーム信号を検出した場合、前記適応等化フィルタ部の前記タップの前記タップ係数を予め定められる初期値にするタップ係数初期化部と、を備える。
【0036】
本発明の一態様は、上記の信号処理装置であって、前記複数の光送信装置の各々が前記バースト光信号を送信するタイミングを示すスケジューリング情報に基づいて、前記光送信装置ごとに予め定められる前記タップ係数の中から次に前記バースト光信号を送信する前記光送信装置に対応する前記タップ係数を選択し、選択した前記タップ係数を前記適応等化フィルタ部の前記タップに与えるタップ係数選択部を備え、前記入力タイミング調整部は、前記サンプル信号を取り込み、取り込んだ前記サンプル信号を前記適応等化フィルタ部に出力するタイミングを調整することにより、前記タップ係数選択部が前記タップに与えた前記タップ係数の中で最大値の前記タップ係数の前記タップに対して前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号を出力する。
【0037】
本発明の一態様は、上記の信号処理装置であって、前記タイミング整合部は、前記シンボルタイミングに対応する前記サンプル信号が与えられる前記タップの前記タップ係数が最大値となるように前記タップ係数を前記タップに対して与えるタップ係数初期値調整部を備える。
【0038】
本発明の一態様は、複数の光送信装置が送信するバースト光信号を受光して電気信号に変換して出力する受光部と、前記受光部が出力する前記バースト光信号に対応するアナログの前記電気信号を、シンボルレートよりも大きいサンプリングレートでオーバーサンプリングして得られるサンプル信号を含むデジタル信号に変換するアナログデジタル変換部と、上記に記載の信号処理装置である信号処理部と、を備える光受信装置である。
【発明の効果】
【0039】
本発明により、最適なタップ係数の算出における収束時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第1の実施形態の通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】同実施形態の局側通信装置の光受信装置の構成を示すブロック図である。
図3】同実施形態のタイミング整合部の内部構成及び他の機能部との接続関係を示す図である。
図4】同実施形態の適応等化フィルタ部の内部構成を示す図である。
図5】同実施形態における初期値のタップ係数の構成を示す図である。
図6】同実施形態における収束したタップ係数の構成を示す図である。
図7】同実施形態におけるADC部が出力するデジタル信号の一例を示す図である。
図8】適応等化フィルタ部にデジタル信号を与える例(その1)を示す図である。
図9】適応等化フィルタ部にデジタル信号を与える例(その2)を示す図である。
図10】同実施形態におけるタイミング整合部によるタイミング整合の一例を示す図である。
図11】同実施形態の信号処理部による処理の流れを示すフローチャートである。
図12】同実施形態のシンボルタイミング検出部による処理の一例を示す図である。
図13】同実施形態の光受信装置の他の構成例を示すブロック図である。
図14】第2の実施形態の局側通信装置の光受信装置の構成を示すブロック図である。
図15】同実施形態の適応等化フィルタ部の内部構成を示す図である。
図16】同実施形態の光受信装置の記憶部が記憶するデータ構成を示す図である。
図17】同実施形態の信号処理部による処理の流れを示すフローチャートである。
図18】特許文献1に開示されるOLTの内部構成を示すブロック図である。
図19】第3の実施形態の局側通信装置の光受信装置の構成を示すブロック図である。
図20】同実施形態の光受信装置の記憶部が記憶するタップ係数テーブルのデータ構成を示す図である。
図21】同実施形態の適応等化フィルタ部の内部構成を示す図である。
図22】同実施形態の信号処理部による処理の流れを示すフローチャートである。
図23】同実施形態の光受信装置の他の構成例を示すブロック図である。
図24】第4の実施形態の局側通信装置の光受信装置の構成を示すブロック図である。
図25】同実施形態の信号処理部による処理の流れを示すフローチャートである。
図26】シンボルタイミング検出部による処理の他の例を示す図である。
図27】第1の実施形態の光受信装置の他の構成例を示すブロック図である。
図28】PON方式の通信システムの構成を示すブロック図である。
図29】PON方式の通信システムにおけるDBAを説明する図である。
図30】バースト信号のフレーム構成を示す図である。
図31】一般的な適応等化フィルタの構成を示すブロック図である。
図32】バースト光信号から得られる電気のアナログ信号とデジタル信号の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態による通信システム1の構成を示すブロック図である。通信システム1は、例えば、TDM−PON方式の通信システムであり、局側通信装置5、加入者側通信装置50−1〜50−N(Nは、2以上の整数である)及び光カプラ60を備える。
【0042】
局側通信装置5と光カプラ60は、光ファイバ65により接続されており、複数の加入者側通信装置50−1〜50−Nの各々と、光カプラ60とは、それぞれ光ファイバ66−1〜66−Nにより接続される。
【0043】
局側通信装置5及び加入者側通信装置50−1〜50−Nの各々は、光信号を送信する光送信装置と、光信号を受信する光受信装置とを備える。図1においては、以下の第1の実施形態において構成を説明する局側通信装置5の光受信装置10と、光受信装置10に対して光信号を送信する加入者側通信装置50−1〜50−Nの光送信装置51−1〜51−Nを示す。
【0044】
通信システム1には、局側通信装置5が、加入者側通信装置50−1〜50−Nの各々に対して個別の時間を割り当てて送受信を行うTDM技術が適用される。上り信号については、更に、局側通信装置5の光受信装置10が、加入者側通信装置50−1〜50−Nの光送信装置51−1〜51−Nの各々に対して動的に通信時間を割り当てるDBA技術が適用される。
【0045】
図2は、局側通信装置5の光受信装置10の内部構成を示すブロック図である。光受信装置10は、受光部11、ADC部12及び信号処理部13を備える。受光部11は、加入者側通信装置50−1〜50−Nの光送信装置51−1〜51−Nが送信するバースト光信号を受光し、受光したバースト光信号を電気信号に変換して出力する。なお、受光部11として、DD検波器を適用してもよいし、コヒーレント検波器を適用してもよい。
【0046】
ADC部12は、少なくとも1つのADC12−1を備える。受光部11にコヒーレント検波器が適用されたり、偏波ダイバーシティや偏波多重等の方式が適用されたりする場合、受光部11の出力数が増加するため、ADC部12は、図2に示すように、受光部11の出力数に応じた数の複数のADC12−1〜12−Lを備える(複数備える場合、Lは、2以上の整数となる)。
【0047】
ADC12−1〜12−Lの各々は、受光部11が出力するアナログの電気信号を取り込み、バースト光信号のシンボルレートのm倍のサンプリングレートでオーバーサンプリングしてデジタルの電気信号(以下「デジタル信号」という。)に変換して出力する(ただし、mは、2以上の整数)。なお、受光部11が出力するアナログの電気信号は、例えば、図32(a)に示した波形の信号であり、ADC部12が出力するデジタル信号は、例えば、m=3の場合、図32(b)に示したオーバーサンプリングによって得られたサンプル信号を複数含む信号となる。また、Tは、上述の通り、1シンボル間隔の時間であり、T=1/シンボルレートである。
【0048】
信号処理部13は、デジタル信号処理を行う機能部であり、フレーム検出部131、シンボルタイミング検出部132、タイミング整合部133、適応等化フィルタ部134及び記憶部135を備える。
【0049】
フレーム検出部131は、ADC部12が出力するデジタル信号を取り込み、バーストフレームを検出する。フレーム検出部131が、バーストフレームを検出することにより、無信号状態から新たなバーストフレームが光送信装置51−1〜51−Nから到達したことを検出する。フレーム検出部131が検出するバーストフレームは、例えば、上述した図30に示したバーストフレーム600が、電気信号のデジタル信号に変換されたバーストフレームである。以下、電気信号のデジタル信号に変換されたバーストフレームをバーストフレーム信号という。
【0050】
また、フレーム検出部131は、検出したバーストフレーム信号をシンボルタイミング検出部132に出力する。なお、フレーム検出部131の入力数は、ADC12−1〜12−Lの数に応じて増加する。
【0051】
シンボルタイミング検出部132は、フレーム検出部131が出力するバーストフレーム信号を取り込み、オーバーサンプリングされているバーストフレーム信号のシンボルタイミングを検出する。また、シンボルタイミング検出部132は、検出したシンボルタイミングを示す情報を含むシンボルタイミング通知信号を生成して出力する。ここで、シンボルタイミング検出部132が検出するシンボルタイミングとは、本来のシンボルタイミングに最も近いサンプル信号の位置であり、以下、シンボルタイミングに対応するサンプル信号という。また、シンボルタイミングを示す情報とは、シンボルタイミングに対応するサンプル信号の位置を示す情報である。また、シンボルタイミング検出部132は、取り込んだバーストフレーム信号を主信号として出力する。
【0052】
記憶部135は、タップ係数W〜Wの系列の中の最大値の位置、すなわち、適応等化フィルタ部134のタップ40−1〜40−kの中で最大値となるタップ係数W〜Wが与えられるタップの位置を示す情報(以下「ピークのタップ係数の位置情報」という。)を予め記憶する。
【0053】
タイミング整合部133は、図3に示す入力タイミング調整部30を備える。入力タイミング調整部30は、遅延部31及び遅延量算出部32を備える。遅延量算出部32は、シンボルタイミング検出部132が出力するシンボルタイミング通知信号を取り込む。また、遅延量算出部32は、取り込んだシンボルタイミング通知信号に含まれるシンボルタイミングを示す情報と、記憶部135が記憶するピークのタップ係数の位置情報とに基づいて遅延量を算出する。
【0054】
遅延部31は、シンボルタイミング検出部132が出力する主信号を取り込み、主信号ごとに遅延量算出部32が算出する遅延量にしたがった時間、取り込んだ主信号を遅延させてから主信号を適応等化フィルタ部134に出力する。
【0055】
適応等化フィルタ部134は、図4に示す内部構成を有しており、複数のタップ40−1〜40−k、加算器41、記憶部42、タップ係数算出部43、タップ係数設定部44及びフィルタ入力信号抽出部49を備える(ただし、kは、2以上の整数である)。
【0056】
フィルタ入力信号抽出部49は、遅延部31が出力する主信号を取り込み、取り込んだ主信号を、mサンプル、すなわち1シンボルずつ遅らせたk個のサンプル信号をフィルタ入力信号として順次出力する。
【0057】
例えば、フィルタ入力信号抽出部49が、1周期目に、主信号から抽出したX〜X1+kのk個のサンプル信号をフィルタ入力信号として出力した場合、2周期目は、主信号から抽出したX1+m〜X1+m+kのk個のサンプル信号をフィルタ入力信号として出力し、3周期目は、主信号から抽出したX1+2m〜X1+2m+kのk個のサンプル信号をフィルタ入力信号として出力する。これにより、ダウンサンプリングして、適応等化フィルタ部134が出力するフィルタ出力信号をシンボルレートに合わせることができる。
【0058】
複数のタップ40−1〜40−kの各々は、乗算器140−1〜140−kを備える。また、複数のタップ40−1〜40−kのうち、2段目以降のタップ40−2〜40−kは、遅延器141−2〜141−kを備える。遅延器141−2〜141−kは、サンプル信号の1単位時間である「T/m」の時間前のサンプル信号を出力する。例えば、フィルタ入力信号が、早い時刻の信号から順に、X,X,…,X1+kの順で並んでいる場合、乗算器140−1,140−2,…,140−kの順に、X1+k,X,…,Xが与えられる。
【0059】
乗算器140−1〜140−kは、タップ係数設定部44からそれぞれに与えられるタップ係数W〜Wの各々と、フィルタ入力信号のサンプル信号の各々とを乗算し、乗算値を加算器41に出力する。加算器41は、乗算器140−1〜140−kが出力する乗算値を合計し、合計した値をフィルタ出力値として出力する。フィルタ出力値を時系列に並べることによりフィルタ出力信号が得られる。記憶部42は、予め定められるタップ係数W〜Wの初期値と、予め定められるフィルタ出力値の目標値などの参照値とを予め記憶する。
【0060】
タップ係数算出部43は、加算器41が出力するフィルタ出力値と、記憶部42が記憶する参照値とに基づいて、タップ係数W〜Wの更新値を算出する。以下、説明の便宜のため、タップ係数算出部43が算出するタップ係数W〜Wの更新値を、添え字に「M」を付加して、タップ係数WM1〜WMkとして示す。
【0061】
タップ係数算出部43が更新値のタップ係数WM1〜WMkを算出する際のアルゴリズムとして、例えば、最小二乗法に基づく手法や、再帰最小二乗法に基づく手法などが適用される。なお、アルゴリズムは、種々存在するため、対象となるシステムに対して最適な手法を適用するようにしてもよい。
【0062】
タップ係数設定部44は、光受信装置10が起動した際、記憶部42が記憶する初期値のタップ係数W〜Wを読み出し、読み出した初期値のタップ係数W〜Wの各々を乗算器140−1〜140−kに出力する。また、タップ係数設定部44は、タップ係数算出部43が算出した更新値のタップ係数WM1〜WMkを取り込み、更新値のタップ係数WM1〜WMkの各々を乗算器140−1〜140−kに出力する。
【0063】
(タイミング整合部による整合の目的)
以下、タイミング整合部133が、シンボルタイミングと、ピークのタップ係数W〜Wとを整合する目的について説明する。
【0064】
図5に示すように、k個のタップ係数W〜Wの初期値をタップ係数WD1〜WDkとして表すとすると、一般的には、1つのタップ係数Wの初期値のWDiのみが、他のタップ係数の初期値よりも大きな値になるように予め定められる。この関係を式で示すと、WDi>WD1…WDi−1,WDi+1…WDkとなる。例えば、中央のタップ係数、すなわち、i=(k+1)/2番目のWDiのみを「1」として、他は「0」とするような初期値の設定が行われる。以下、WDiを初期値のタップ係数のピークという。
【0065】
また、図6に示すように、ある1つのバーストフレーム信号に対して、タップ係数設定部44が、繰り返し更新値のタップ係数WM1〜WMkを算出することにより得られる収束したタップ係数W〜Wをタップ係数WC1〜WCkとして表す。ここで、収束したタップ係数W〜W、すなわちタップ係数WC1〜WCkは、所望の値に予め定められる一定の基準で達した更新値のタップ係数WM1〜WMkのことである。
【0066】
このとき、タップ係数WC1〜WCkも、1つのタップ係数WCjが、他のタップ係数よりも大きい値になっていることが多い。なお、タップ係数WCjの位置である「j」番目は、必ずしも中央の位置ではない。この関係を式で示すと、WCj>WC1…WCj−1,WCj+1…WCkとなる。以下、WCjを収束したタップ係数のピークという。
【0067】
タップ係数W〜Wの収束時間は、バーストフレーム信号が与えられる際のタップ係数W〜Wと、当該バーストフレーム信号を用いて収束させた後のタップ係数W〜Wとが、近い値であるほど短くなり、かい離しているほど長くなることが知られている。なお、バーストフレーム信号が与えられる際のタップ係数W〜Wは、最初にバーストフレーム信号が与えられた場合には、予め定められる初期値のタップ係数WD1〜WDkとなる。2回目以降にバーストフレーム信号が与えられる際のタップ係数W〜Wは、1つ前のバーストフレーム信号により収束した後のタップ係数WC1〜WCkとなる。
【0068】
また、適応等化フィルタ部134におけるタップ40−1〜40−kの中で信号のシンボルタイミングに対応するサンプル信号が与えられるタップをタップ40−tとした場合、通常、タップ40−tに与えられるタップ係数Wが、収束後に最大値になることが知られている。
【0069】
これらのことから、「i」番目のタップ40−iにピークのタップ係数Wが与えられる場合、タップ40−iと、シンボルタイミングに対応するサンプル信号が与えられるタップ40−tとを一致させることにより、短い収束時間でタップ係数W〜Wを収束させることができる。
【0070】
ADC部12がシンボルレートのm倍でオーバーサンプリングすることにより得られるデジタル信号に含まれるバーストフレーム信号は、ほとんどの場合、各シンボル内でシンボルタイミングに対応するサンプル信号がmサンプルごとに現れる。例えば、m=3の場合、図7に示すように、符号301,302,303,304で示す位置にシンボルタイミングに対応するサンプル信号が現れる。
【0071】
シンボルタイミング検出部132が出力する主信号、すなわちバーストフレーム信号を、そのまま適応等化フィルタ部134のフィルタ入力信号にしたとする。この場合、1/mの確率で、図8に示すように、ピークのタップ係数Wが与えられる乗算器140−iにシンボルタイミングに対応するサンプル信号303が与えられることになる。一方、(m−1)/mの確率で、図9に示すように、ピークのタップ係数Wが与えられる乗算器140−iにシンボルタイミングに対応するサンプル信号301,302,303,304のいずれもが与えられないことになる。
【0072】
ピークのタップ係数Wが与えられる乗算器140−iにシンボルタイミングに対応するサンプル信号301,302,303,304のいずれかが与えられるか否かは、信号処理部13が、デジタル信号を取り込むタイミングによりランダムに異なる。そのため、シンボルタイミング検出部132の主信号をそのまま適応等化フィルタ部134のフィルタ入力信号とする場合、全体の1/mのバーストフレーム信号については、収束時間を短くすることができる。これに対して、全体の(m−1)/mのバーストフレーム信号については、収束時間が長くなる。
【0073】
そこで、図10に示すようにタイミング整合部133が、ピークのタップ係数Wが与えられる乗算器140−iに、シンボルタイミング検出部132が出力する主信号のシンボルタイミングに対応するサンプル信号が与えられるようにタイミングを整合する。適応等化フィルタ部134のフィルタ入力信号抽出部49は、主信号をmサンプルずつ遅らせてフィルタ入力信号を出力する。そのため、バーストフレーム信号から得られる最初のフィルタ入力信号のタイミングが整合されていれば、その後のフィルタ入力信号のタイミングも整合されることになる。これにより、適応等化フィルタ部134は、常に、短い時間でタップ係数W〜Wを収束させることができる。第1の実施形態のタイミング整合部133では、入力タイミング調整部30が、主信号を出力するタイミングを調整することによりタイミングを整合するようにしている。
【0074】
(第1の実施形態の信号処理部による処理)
次に、図11及び図12を参照しつつ、第1の実施形態の信号処理部13の処理について説明する。図11は、第1の実施形態の信号処理部13の処理の流れを示すフローチャートである。光送信装置51−1〜51−Nのいずれかがバースト光信号を送信すると、光受信装置10の受光部11が、当該バースト光信号を受光して電気信号に変換して出力する。
【0075】
ADC部12は、受光部11が出力するアナログの電気信号をバースト光信号のシンボルレートのm倍のサンプリングレートでオーバーサンプリングしてデジタル信号に変換して出力する。信号処理部13のフレーム検出部131は、ADC部12が出力するデジタル信号からバーストフレーム信号を検出し、検出したバーストフレーム信号をシンボルタイミング検出部132に出力する(ステップS1)。
【0076】
シンボルタイミング検出部132は、フレーム検出部131が出力するバーストフレーム信号を取り込み、取り込んだバーストフレーム信号に含まれるシンボルタイミングを検出する。シンボルタイミング検出部132がシンボルタイミングを検出する手法として、例えば、下記の参考文献に示されるMAM(Maximum Amplitude Method)法が適用される。
【0077】
「参考文献:三瓶 政一、Kamilo Feher、神尾 享秀、「16QAM/TDMAのためのシンボルタイミング再生方法」、通信総合研究所季報、1995年6月、Vol. 41、No. 2、pp. 189-196」
【0078】
MAM法は、シンボルタイミングに対応するサンプル信号の振幅Aが、他のサンプル信号の振幅Aよりも大きくなる変調方式、例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)などが適用されている場合に利用可能な手法である。ここでは、送信側の光送信装置51−1〜51−Nにおいて、BPSKやQPSK等のシンボルタイミングに対応するサンプル信号の振幅Aが、他のサンプル信号の振幅Aよりも大きくなる変調方式が適用されているとする。
【0079】
MAM法は、図12に示すように、mサンプル信号ごとに振幅Aの平均値を算出し、算出したm個の振幅値の平均の中で最大の平均値となるサンプル信号をシンボルタイミングに対応するサンプル信号として検出する手法である。なお、振幅Aの平均値以外に、平均値と同じ傾向を示す値、例えば、振幅Aの合計値を算出するようにしてもよい。
【0080】
シンボルタイミング検出部132は、シンボルタイミングを検出すると、検出したシンボルタイミングを示す情報を含むシンボルタイミング通知信号を生成する。シンボルタイミング検出部132は、取り込んだバーストフレーム信号を主信号とし、主信号と、生成したシンボルタイミング通知信号とをタイミング整合部133に出力する(ステップS2)。
【0081】
タイミング整合部133が備える入力タイミング調整部30の遅延部31は、シンボルタイミング検出部132が出力する主信号を取り込み、取り込んだ主信号を内部のバッファ等の記憶領域に書き込んで記憶させておく(ステップS3−1)。
【0082】
タイミング整合部133が備える入力タイミング調整部30の遅延量算出部32は、シンボルタイミング検出部132が出力するシンボルタイミング通知信号を取り込む。遅延量算出部32は、取り込んだシンボルタイミング通知信号に含まれるシンボルタイミングを示す情報と、記憶部135が記憶するピークのタップ係数の位置情報とに基づいて遅延量を算出する。算出した遅延量が、シンボルタイミングを示す情報、すなわちシンボルタイミングに対応するサンプル信号の位置と、ピークのタップ係数の位置との時間軸上における差となる。遅延量の時間分、主信号の出力を遅らせることで、シンボルタイミングに対応するサンプル信号の位置と、ピークのタップ係数の位置とを整合することができる。
【0083】
遅延量算出部32は、算出した遅延量を遅延部31に出力する(ステップS3−2)。
ここで、遅延量算出部32が算出する遅延量は、例えば、0から(m−1)T/mまで、T/m刻みで離散的に変化する量であり、1つの主信号、すなわち1つのバーストフレーム信号ごと1つの遅延量を算出する。遅延部31は、遅延量算出部32から受けた遅延量にしたがった時間、待機した後、内部の記憶領域から主信号を読み出し、読み出した主信号を適応等化フィルタ部134に出力する(ステップS4)。
【0084】
適応等化フィルタ部134は、遅延部31が出力する主信号を取り込み、1つの主信号、すなわち、1つのバーストフレーム信号について、以下のステップS5及びステップS6の処理を繰り返し行う(ループL1s〜L1e)。
【0085】
フィルタ入力信号抽出部49は、主信号を取り込み、ループ処理の1周期目において、主信号からk個のサンプル信号をフィルタ入力信号として抽出し、2周期目以降について、mサンプルずつ遅らせたk個のサンプル信号を主信号から抽出してフィルタ入力信号として出力する(ステップS5)。
【0086】
適応等化フィルタ部134のタップ40−1〜40−kの各々は、フィルタ入力信号抽出部49が出力するフィルタ入力信号として取り込む。タップ40−1〜40−kの各々が、最初のフィルタ入力信号を取り込んだ際、タップ40−1〜40−kの乗算器140−1〜140−kの各々には、タップ係数設定部44により記憶部42が記憶する初期値のタップ係数WD1〜WDkが与えられている。
【0087】
乗算器140−1〜140−kは、フィルタ入力信号に含まれるk個のサンプル信号の各々と、初期値のタップ係数WD1〜WDkの各々とを乗算し、乗算により得られた乗算値を加算器41に出力する。加算器41は、乗算値を合計してフィルタ出力値を算出して出力する(ステップS6)。
【0088】
タップ係数算出部43は、加算器41が出力するフィルタ出力値を取り込み、記憶部42が記憶する参照値を読み出し、フィルタ出力値及び参照値に基づいて、例えば、上述した最小二乗法などのアルゴリズムにより、更新値のタップ係数WM1〜WMkを算出する(ステップS7)。
【0089】
タップ係数設定部44は、タップ係数算出部43が算出した更新値のタップ係数WM1〜WMkの各々を、乗算器140−1〜140−kの各々に対して出力し、次のループ処理が行われる。
【0090】
1つのバーストフレーム信号に含まれるプリアンブル601に相当する部分から得られるフレーム入力信号の間に、タップ係数算出部43が算出する更新値のタップ係数WM1〜WMkが収束して、ほぼ固定値となり、この固定値が、当該バーストフレーム信号に対して最適な収束したタップ係数WC1〜WCkとなる。
【0091】
他の光送信装置51−1〜51−Nがバースト光信号を送信して、光受信装置10の受光部11が当該バースト光信号を受光して、ADC部12がデジタル信号を出力すると、再び、信号処理部13が、図11のフローチャートの処理を行う。
【0092】
上記の第1の実施形態の構成により、複数の光送信装置51−1〜51−Nが送信するバースト光信号を受信する光受信装置10に備えられる信号処理部13において、シンボルタイミング検出部132は、電気信号に変換されたバースト光信号をシンボルレートよりも大きいサンプリングレートでオーバーサンプリングすることにより得られるサンプル信号に含まれるシンボルタイミングを検出する。適応等化フィルタ部134は、サンプル信号の等化処理を行う。タイミング整合部133は、サンプル信号を適応等化フィルタ部134が取り込む際、適応等化フィルタ部134が備えるタップ40−1〜40−kの中でタップ係数が最大値であるタップ40−1〜40−kに、シンボルタイミングに対応するサンプル信号が与えられるようにタイミングを整合する。これにより、シンボルタイミングに対応するサンプル信号と、ピークのタップ係数とを同じタップ40−1〜40−kに与えることができる。そのため、バースト光信号を受信するごとに行う最適なタップ係数の算出において、フィードバック計算の繰り返し回数を削減することができ、収束時間の短縮が可能となる。
【0093】
更に、第1の実施形態のタイミング整合部133は、入力タイミング調整部30を備えており、入力タイミング調整部30は、サンプル信号を取り込み、取り込んだサンプル信号を適応等化フィルタ部134に出力するタイミングを調整することにより、タップ係数が最大値であるタップ40−1〜40−kに対してシンボルタイミングに対応するサンプル信号を与える。
【0094】
入力タイミング調整部30によるタイミングの調整は、入力タイミング調整部30が備える遅延部31と遅延量算出部32によって行われる。遅延量算出部32は、シンボルタイミング検出部132が検出するシンボルタイミングと、タップ係数が最大値であるタップの位置とに基づいて遅延量を算出する。遅延部31は、サンプル信号を取り込み、遅延量算出部32が算出する遅延量にしたがって、サンプル信号を遅延させて適応等化フィルタ部134に出力する。遅延部31がサンプル信号を遅延させて出力することにより、主信号に含まれるシンボルタイミングに対応するサンプル信号が、タップ係数が最大値であるタップ40−1〜40−kに与えられることになる。
【0095】
入力タイミング調整部30の遅延部31が、最初のバーストフレーム信号に対応する主信号を、適応等化フィルタ部134に出力する際、タップ係数W〜Wは、初期値のタップ係数WD1〜WDkである。その後、タップ係数算出部43が更新値のタップ係数WM1〜WMkを繰り返し算出していく過程で、更新値のタップ係数WM1〜WMkは、当該バーストフレーム信号に対して適応等化フィルタリング処理を行うのに最適なタップ係数WC1〜WCkに収束していくことになる。
【0096】
入力タイミング調整部30の遅延部31は、遅延量算出部32が算出する遅延量に基づいて、初期値のタップ係数WD1〜WDkの最大値が与えられる「i」番目のタップ40−iに対してバーストフレーム信号のシンボルタイミングに対応するサンプル信号を与えるように調整している。また、適応等化フィルタ部134のフィルタ入力信号抽出部49は、主信号をmサンプルずつ遅らせてフィルタ入力信号を出力する。そのため、収束後のタップ係数WC1〜WCkの値が変化しても、ピークの位置は、ほとんどの場合、タップ40−iのままであると考えられる。
【0097】
その後、入力タイミング調整部30の遅延部31が、次のバーストフレーム信号に対応する主信号を適応等化フィルタ部134に出力する際、適応等化フィルタ部134のタップ係数W〜Wは、1つ前のバーストフレーム信号に最適なタップ係数WC1〜WCkになっている。上述したように、当該タップ係数WC1〜WCkのピークの位置は、初期値のタップ係数WD1〜WDkのピークの位置である「i」番目に一致していることが多い。そのため、次のバーストフレーム信号についても、入力タイミング調整部30によるタイミングの整合によって、シンボルタイミングに対応するサンプル信号が、タップ40−iに与えられることになる。
【0098】
その結果、その後の全てのバーストフレーム信号についても、シンボルタイミングに対応するサンプル信号が、タップ40−iに与えられることになり、入力タイミング調整部30によるタイミングの調整なしに、バーストフレーム信号を適応等化フィルタ部134に与える場合に比べて、タップ係数W〜Wを収束させる時間を短縮することが可能となる。
【0099】
(第1の実施形態の他の構成例)
図13は、第1の実施形態の光受信装置10の他の構成例である光受信装置10−1の構成を示すブロック図である。光受信装置10−1は、光受信装置10が備える適応等化フィルタ部134に替えて、適応等化フィルタ部134−1を備える。適応等化フィルタ部134−1は、タップ係数設定部44に替えて、タップ係数設定部44−1を備える。タップ係数設定部44−1は、記憶部135に接続されており、記憶部135が記憶するピークのタップ係数の位置情報を書き換える。
【0100】
すなわち、タップ係数設定部44−1は、記憶部42から初期値のタップ係数WD1〜WDkを読み出した際、初期値の中の最大値を出力するタップ40−iの位置を示す情報を記憶部135に書き込んで記憶させる。
【0101】
また、1つのバーストフレーム信号から得られる全てのフレーム入力信号についての処理が終了した際、すなわち、図11に示す処理が終了した場合、タップ係数設定部44−1は、タップ係数算出部43から最後に受けたタップ係数WM1〜WMkの中の最大値の位置を検出する。換言すると、タップ係数算出部43から最後に受けたタップ係数WM1〜WMkは、収束したタップ係数WC1〜WCkであるため、タップ係数設定部44−1は、収束したタップ係数WC1〜WCkの中の最大値の位置を検出する。
【0102】
タップ係数設定部44−1は、検出したタップ係数WC1〜WCkの最大値の位置を示す情報をピークのタップ係数の位置情報として記憶部135に書き込んで記憶させる。なお、図11に示す処理の終了のタイミングは、例えば、タップ係数設定部44−1が、予め定められる一定時間、例えば、タップ係数算出部43の1回の演算時間よりも長い時間、タップ係数算出部43が新たな更新値のタップ係数WM1〜WMkを出力しないことにより検出する。
【0103】
光受信装置10−1の構成により、あるバーストフレーム信号に基づいて、例えば、収束したタップ係数WC1〜WCkのピークが、初期値のピークの位置である「i」番目の位置から「j」番目にずれた場合であっても、記憶部135が記憶するピークのタップ係数の位置を変更することができる。そのため、入力タイミング調整部30は、新たなバーストフレーム信号に対応する主信号を出力する際、常に、シンボルタイミングに対応するサンプル信号を、ピークのタップ係数の位置情報に対応するタップ40−1〜40−kに与えることが可能となる。そのため、フィードバック計算の繰り返し回数を削減することができ、収束時間の短縮が可能となる。
【0104】
(第2の実施形態)
図14は、第2の実施形態の光受信装置10aの内部構成を示すブロック図である。なお、図示していないが、説明の便宜上、第2の実施形態による通信システム1aは、第2の実施形態の光受信装置10aを備える局側通信装置5aと、第1の実施形態と同一構成の加入者側通信装置50−1〜50−N及び光カプラ60とを備える。第2の実施形態の光受信装置10aにおいて、第1の実施形態の光受信装置10と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
【0105】
光受信装置10aは、受光部11、ADC部12及び信号処理部13aを備える。信号処理部13aは、フレーム検出部131a、シンボルタイミング検出部132、タイミング整合部133、適応等化フィルタ部134a、記憶部135a及びタップ係数初期化部136を備える。
【0106】
信号処理部13aにおいて、フレーム検出部131aは、デジタル信号からバーストフレーム信号を検出した際、バーストフレーム信号を検出したことを示すフレーム検出通知信号をタップ係数初期化部136に出力する。また、フレーム検出部131aは、検出したバーストフレーム信号をシンボルタイミング検出部132に出力する。
【0107】
適応等化フィルタ部134aは、図15に示す内部構成を有しており、複数のタップ40−1〜40−k、加算器41、記憶部42a、タップ係数算出部43、タップ係数設定部44a及びフィルタ入力信号抽出部49を備える。記憶部42aは、第1の実施形態の記憶部42が記憶する初期値のタップ係数WD1〜WDkを記憶せず、フィルタ出力値の目標値などの参照値のみを記憶する。
【0108】
タップ係数設定部44aは、タップ係数算出部43が更新値のタップ係数WM1〜WMkを出力する場合、更新値のタップ係数WM1〜WMkをタップ40−1〜40−kの各々に出力する。また、タップ係数設定部44aは、外部からタップ係数W〜Wを受けた場合、タップ係数算出部43から更新値のタップ係数WM1〜WMkを受けていたとしても、外部から受けたタップ係数W〜Wの各々を優先してタップ40−1〜40−kに出力する。
【0109】
記憶部135aは、図16に示すように、ピークのタップ係数の位置情報と、タップ係数W〜Wの初期値、すなわちタップ係数WD1〜WDkを予め記憶する。タップ係数初期化部136は、フレーム検出部131aからフレーム検出通知信号を受けた場合、記憶部135aから初期値のタップ係数WD1〜WDkを読み出し、読み出した初期値であるタップ係数WD1〜WDkを適応等化フィルタ部134aのタップ係数設定部44aに出力する。
【0110】
(第2の実施形態の信号処理部による処理)
次に、図17に示すフローチャートを参照しつつ、第2の実施形態の信号処理部13aの処理について説明する。信号処理部13aのフレーム検出部131aは、ADC部12が出力するデジタル信号からバーストフレーム信号を検出し、検出したバーストフレーム信号をシンボルタイミング検出部132に出力する。また、フレーム検出部131aは、バーストフレーム信号を検出した際、フレーム検出通知信号をタップ係数初期化部136に出力する(ステップSa1)。
【0111】
シンボルタイミング検出部132は、第1の実施形態のステップS2と同一の処理を行い、取り込んだバーストフレーム信号を主信号とし、主信号と、生成したシンボルタイミング通知信号とをタイミング整合部133に出力する(ステップSa2−1)。
【0112】
タップ係数初期化部136は、フレーム検出部131aからフレーム検出通知信号を受けると、記憶部135aから初期値のタップ係数WD1〜WDkを読み出す。タップ係数初期化部136は、読み出した初期値であるタップ係数WD1〜WDkを適応等化フィルタ部134aのタップ係数設定部44aに出力する(ステップSa2−2)。
【0113】
ステップSa3−1、ステップSa3−2、ステップSa4については、第1の実施形態のステップS3−1、ステップS3−2、ステップS4と同一の処理が、タイミング整合部133の入力タイミング調整部30によって行われる。
【0114】
また、繰り返し処理であるループLa1s〜La1e及びループ内のステップSa5,Sa6,Sa7については、第1の実施形態のループL1s〜L1e及びループ内のステップS5,S6,S7と同一の処理が、適応等化フィルタ部134aによって行われる。なお、最初のフレーム入力信号におけるステップSa6の処理の際、タップ係数設定部44aは、タップ係数初期化部136から受けた初期値であるタップ係数WD1〜WDkを乗算器140−1〜140−kに出力する。
【0115】
他の光送信装置51−1〜51−Nがバースト光信号を送信して、光受信装置10aの受光部11が当該バースト光信号を受光して、ADC部12がデジタル信号を出力すると、再び、信号処理部13aが、図17のフローチャートの処理を行う。
【0116】
上記のステップSa2−2の処理により、フレーム検出部131aが新たなバーストフレーム信号を検出するごとに、タップ係数初期化部136は、初期値のタップ係数WD1〜WDkを適応等化フィルタ部134aのタップ係数設定部44aに出力する。そのため、バーストフレーム信号ごとに、タップ係数W〜Wが、初期化されることになる。
【0117】
上記の第2の実施形態の構成により、フレーム検出部131aは、バースト光信号に対応するデジタル信号から当該バースト光信号のフレームに対応する部分をバーストフレーム信号として検出する。タップ係数初期化部136は、フレーム検出部131aが新たなバーストフレーム信号を検出した場合、適応等化フィルタ部134のタップ40−1〜40−kのタップ係数W〜Wを予め定められる初期値にする。
【0118】
第1の実施形態の光受信装置10では、時系列で2番目以降のバーストフレーム信号に対して適応等化フィルタ部134が処理を行う際、タップ係数W〜Wは、1つ前のバーストフレーム信号の送信元の光送信装置51−1〜51−Nに最適な値に収束している。この場合においても、タップ係数W〜Wがピークとなっているタップ40−1〜40−iの位置が変わらないか、または、光受信装置10−1のようにピークのタップ40−1〜40−iの位置を更新するようになっていれば、収束時間を短縮することができる。
【0119】
これに対して、例えば、送信元の光送信装置51−1〜51−Nごとに、特性や、光受信装置10aまでの伝送距離が大きく異なっている場合がある。このような場合、1つ前のバーストフレーム信号によって収束したタップ係数WC1〜WCkよりも、初期値のタップ係数WD1〜WDkの方が、タップ係数W〜Wの収束時間が短くなる場合がある。
【0120】
そのような場合、第2の実施形態の光受信装置10aを適用することにより、新たなバーストフレーム信号を検出するごとに、適応等化フィルタ部134aのタップ係数W〜Wを初期値のタップ係数WD1〜WDkに戻すことができる。それにより、送信元の光送信装置51−1〜51−Nごとに、特性や、光受信装置10aまでの伝送距離が大きく異なっている場合であってもフィードバック計算の繰り返し回数を削減して、タップ係数W〜Wの収束時間を短くすることが可能となる。
【0121】
なお、上記の第2の実施形態の構成において、タップ係数初期化部136は、適応等化フィルタ部134aの内部に備えられる構成であってもよい。
【0122】
(第3の実施形態)
上述した、特許文献1に記載のタップ係数の収束時間を短縮させる手法について、図面を参照して説明する。図18は、特許文献1の図3の図面の符号を置き換えて転記した図面である。図18は、PON方式における局側通信装置であるOLT(Optical Line Terminal)291の光受信装置の構成を示すブロック図である。なお、特許文献1では、適応等化フィルタリングに用いるタップ係数を波形等化係数CFとして記載しているが、説明の便宜上、波形等化係数CFをタップ係数として説明する。OLT291の情報保持部242は、バーストフレーム信号の送信元ごとの最適なタップ係数を、送信元に関連付けて予め内部の記憶領域に書き込んで記憶させている。
【0123】
通信スケジューラ部241は、DBAを行い、DBAにより得られるDBAのスケジューリング情報を出力する。情報保持部242は、通信スケジューラ部241が出力するスケジューリング情報と、フレーム検出部232が出力するフレーム検出通知信号とに基づいて、どの送信元からのバーストフレーム信号を、どのタイミングで波形等化部231が取り込むかを検出する。
【0124】
情報保持部242は、次に波形等化部231が取り込むバーストフレーム信号の送信元に対応するタップ係数を内部の記憶領域から読み出し、波形等化部231のタップ係数を読み出したタップ係数で初期化する。1つのバーストフレーム信号について、波形等化部231が適応等化フィルタリングの処理を終了すると、波形等化部231は、送信元に関連付けて収束したタップ係数を情報保持部242に出力する。情報保持部242は、波形等化部231から送信元に関連付けられたタップ係数を受けると、内部の記憶領域から当該送信元のタップ係数を記憶している領域を検出し、検出した領域に波形等化部231から受けたタップ係数を書き込んで当該送信元のタップ係数の更新を行う。
【0125】
上記の処理を行うことにより、波形等化部231が新たなバーストフレーム信号を取り込む際、波形等化部231は、当該バーストフレーム信号の送信元に最適である予め算出したタップ係数を用いて適応等化フィルタリング処理を行うことが可能となる。そのため、特許文献1に記載の技術では、既に算出したタップ係数を用いるため、1つ前のバーストフレーム信号の送信元に最適なタップ係数や、任意の初期値のタップ係数を用いる場合に比べて、収束時間を短縮することを可能としている。特許文献1に記載の手法に対して、更に、バーストフレーム信号のシンボルタイミングと、ピークのタップ係数の位置とのタイミングを合わせる手法を組み合わせた構成が、以下に説明する第3の実施形態である。
【0126】
(第3の実施形態の構成)
図19は、第3の実施形態の光受信装置10bの内部構成を示すブロック図である。なお、図示していないが、説明の便宜上、第3の実施形態による通信システム1bは、第3の実施形態の光受信装置10bを備える局側通信装置5bと、第1の実施形態と同一構成の加入者側通信装置50−1〜50−N及び光カプラ60とを備える。第3の実施形態の光受信装置10bにおいて、第1及び第2の実施形態の光受信装置10,10aと同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
【0127】
光受信装置10bは、受光部11、ADC部12、信号処理部13b及び通信スケジューラ部14を備える。信号処理部13bは、フレーム検出部131a、シンボルタイミング検出部132、タイミング整合部133、適応等化フィルタ部134b、記憶部135b及びタップ係数選択部137を備える。
【0128】
通信スケジューラ部14は、DBAを行い、DBAにより得られるDBAのスケジューリング情報を出力する。ここで、DBAのスケジューリング情報とは、加入者側通信装置50−1〜50−Nの光送信装置51−1〜51−Nごとに通信スケジューラ部14が割り当てる上り信号の送信を許可する通信時間を示す情報であり、光送信装置51−1〜51−Nごとの識別情報と、許可された通信時間を示す情報とが含まれている。ここで、光送信装置51−1〜51−Nごとの識別情報とは、例えば、PON方式におけるONU(Optical Network Unit)の各々に割り当てられるLLID(Logical Link ID)などの情報である。
【0129】
信号処理部13bにおいて、記憶部135bは、図20に示すタップ係数テーブル1351を記憶する。タップ係数テーブル1351は、「送信元」、「ピークのタップ係数の位置」、「タップ係数1」、「タップ係数2」、…、「タップ係数k」の項目を有する。「送信元」の項目には、光送信装置51−1〜51−Nの各々に予め割り当てられる識別情報が書き込まれる。
【0130】
「ピークのタップ係数の位置」の項目には、対応する「タップ係数1」、「タップ係数2」、…、「タップ係数k」の項目に書き込まれるタップ係数W〜Wの中の最大値の位置を示すピークのタップ係数の位置情報が書き込まれる。「タップ係数1」、「タップ係数2」、…、「タップ係数k」の項目には「送信元」の項目に書き込まれる光送信装置51−1〜51−Nが送信する光信号から得られるバーストフレーム信号に対して、予め算出されている最適なタップ係数W〜Wの各々が書き込まれる。
【0131】
タップ係数選択部137は、通信スケジューラ部14が出力するスケジューリング情報を取り込む。また、タップ係数選択部137は、内部に時計等の計時手段を備えており、フレーム検出部131aが出力するフレーム検出通知信号を受けると、フレーム検出通知信号を受けた時刻情報を計時手段から取得する。また、タップ係数選択部137は、取得した時刻情報と、スケジューリング情報とに基づいて、フレーム検出通知信号に対応するバーストフレーム信号の送信元の光送信装置51−1〜51−Nを特定する識別情報をスケジューリング情報から特定する。
【0132】
また、タップ係数選択部137は、光送信装置51−1〜51−Nを示す識別情報を特定すると、記憶部135bのタップ係数テーブル1351を参照し、識別情報に対応するピークのタップ係数の位置情報と、タップ係数W〜Wとを読み出す。また、タップ係数選択部137は、読み出した識別情報に対応するピークのタップ係数の位置情報をタイミング整合部133の入力タイミング調整部30の遅延量算出部32に出力する。また、タップ係数選択部137は、読み出した識別情報に対応するタップ係数W〜Wを、識別情報と共に適応等化フィルタ部134bに出力する。
【0133】
適応等化フィルタ部134bは、図21に示す内部構成を有しており、複数のタップ40−1〜40−k、加算器41、記憶部42a、タップ係数算出部43、タップ係数設定部44b及びフィルタ入力信号抽出部49を備える。
【0134】
タップ係数設定部44bは、タップ係数算出部43が更新値のタップ係数WM1〜WMkを出力する場合、更新値のタップ係数WM1〜WMkをタップ40−1〜40−kの各々に出力する。また、タップ係数設定部44bは、外部から識別情報に関連付けられたタップ係数W〜Wを受けた場合、タップ係数算出部43から更新値のタップ係数WM1〜WMkを受けていたとしても、外部から受けたタップ係数W〜Wの各々を優先してタップ40−1〜40−kに出力する。また、タップ係数設定部44bは、外部から与えられた識別情報を内部の記憶領域に書き込んで記憶させる。
【0135】
また、1つの主信号からフィルタ入力信号抽出部49が抽出するフレーム入力信号についての処理が終了した際、タップ係数設定部44bは、タップ係数算出部43から受けたタップ係数WM1〜WMk、すなわち収束したタップ係数WC1〜WCkの中の最大値の位置を検出する。また、タップ係数設定部44bは、内部の記憶領域が記憶する識別情報に対応する記憶部135bのタップ係数テーブル1351のレコードの「ピークタップ係数の位置」の項目に検出したタップ係数WC1〜WCkの最大値の位置を示す情報を書き込み、「タップ係数1」、「タップ係数2」、…、「タップ係数k」の項目の各々に、タップ係数WC1〜WCkを書き込んで更新する。
【0136】
(第3の実施形態の信号処理部による処理)
次に、図22に示すフローチャートを参照しつつ、第3の実施形態の信号処理部13bの処理について説明する。通信スケジューラ部14は、DBAを行うごとにスケジューリング情報を出力しており、タップ係数選択部137は、通信スケジューラ部14がスケジューリング情報を出力するごとに、スケジューリング情報を順次取り込む。
【0137】
信号処理部13bのフレーム検出部131aは、ADC部12が出力するデジタル信号からバーストフレーム信号を検出し、検出したバーストフレーム信号をシンボルタイミング検出部132に出力する。また、フレーム検出部131aは、バーストフレーム信号を検出した際、フレーム検出通知信号をタップ係数選択部137に出力する(ステップSb1)。
【0138】
シンボルタイミング検出部132は、第1の実施形態のステップS2と同一の処理を行い、取り込んだバーストフレーム信号を主信号とし、主信号と、生成したシンボルタイミング通知信号とをタイミング整合部133に出力する(ステップSb2−1)。
【0139】
タップ係数選択部137は、フレーム検出部131aからフレーム検出通知信号を受けると、フレーム検出通知信号を受けた時刻情報を内部の計時手段から取得する。タップ係数選択部137は、取得した時刻情報と、既に取り込み済みのスケジューリング情報とに基づいて、フレーム検出通知信号に対応するバーストフレーム信号の送信元の光送信装置51−1〜51−Nの識別情報をスケジューリング情報から特定する。
【0140】
タップ係数選択部137は、識別情報を特定すると、記憶部135bのタップ係数テーブル1351を参照し、識別情報に対応するレコードから、ピークのタップ係数の位置情報と、タップ係数W〜Wとを読み出す。タップ係数選択部137は、読み出した識別情報に対応するピークのタップ係数の位置情報をタイミング整合部133の入力タイミング調整部30の遅延量算出部32に出力する。タップ係数選択部137は、読み出した識別情報に対応するタップ係数W〜Wを、識別情報に関連付けて適応等化フィルタ部134bに出力する(ステップSb2−2)。
【0141】
ステップSb3−1、ステップSb3−2及びステップSb4については、第1の実施形態のステップS3−1、ステップS3−2及びステップS4と同一の処理が、タイミング整合部133の入力タイミング調整部30によって行われる。なお、ステップSb3−2の処理において、タイミング整合部133が備える入力タイミング調整部30の遅延量算出部32は、第1の実施形態では、記憶部135からピークのタップ係数の位置情報を読み出していたが、第3の実施形態では、タップ係数選択部137が出力するピークのタップ係数の位置情報を取り込んで、遅延量の算出を行う。
【0142】
また、繰り返し処理であるループLb1s〜Lb1e及びループ内のステップSb5,Sb6,Sb7については、第1の実施形態のループL1s〜L1e及びループ内のステップS5,S6,S7と同一の処理が、適応等化フィルタ部134bによって行われる。なお、最初のフレーム入力信号におけるステップSb6の処理の際、タップ係数設定部44bは、タップ係数選択部137から受けたタップ係数W〜Wを乗算器140−1〜140−kに出力し、タップ係数選択部137から受けた識別情報を、内部の記憶領域に書き込んで記憶させる。
【0143】
また、繰り返し処理であるループLb1s〜Lb1eが終了した際、タップ係数設定部44bは、タップ係数算出部43から受けたタップ係数WM1〜WMk、すなわち収束したタップ係数WC1〜WCkの中の最大値の位置を検出する。なお、図22に示すループLb1s〜Lb1eの終了のタイミングは、例えば、タップ係数設定部44bが、予め定められる一定時間、例えば、タップ係数算出部43の1回の演算時間よりも長い時間、タップ係数算出部43が新たな更新値のタップ係数WM1〜WMkを出力しないことにより検出する。
【0144】
タップ係数設定部44bは、内部の記憶領域が記憶する識別情報に対応する記憶部135bのタップ係数テーブル1351のレコードの「ピークタップ係数の位置」の項目に検出したタップ係数WC1〜WCkの最大値の位置を示す情報を書き込み、「タップ係数1」、「タップ係数2」、…、「タップ係数k」の項目の各々に、タップ係数WC1〜WCkを書き込んで更新する(ステップSb8)。
【0145】
他の光送信装置51−1〜51−Nがバースト光信号を送信して、光受信装置10bの受光部11が当該バースト光信号を受光して、ADC部12がデジタル信号を出力すると、再び、信号処理部13bが、図22のフローチャートの処理を行う。
【0146】
上記の第3の実施形態の構成により、タップ係数選択部137は、複数の光送信装置51−1〜51−Nの各々がバースト光信号を送信するタイミングを示すスケジューリング情報に基づいて、光送信装置51−1〜51−Nごとに予め定められるタップ係数W〜Wの中から次にバースト光信号を送信する光送信装置51−1〜51−Nに対応するタップ係数W〜Wを選択し、選択したタップ係数を適応等化フィルタ部134bのタップ40−1〜40−kに与える。入力タイミング調整部30は、バーストフレーム信号のサンプル信号を取り込み、取り込んだサンプル信号を適応等化フィルタ部134bに出力するタイミングを調整することにより、タップ係数選択部137がタップ40−1〜40−kに与えたタップ係数W〜Wの中で最大値のタップ係数W〜Wが与えられているタップ40−1〜40−kに対してシンボルタイミングに対応するサンプル信号を出力する。
【0147】
換言すると、第3の実施形態の光受信装置10bは、バーストフレーム信号の送信元の光送信装置51−1〜51−Nの特性に応じて予め算出した最適なタップ係数W〜Wを予め記憶部135bのタップ係数テーブル1351に記憶させておく。タップ係数選択部137は、フレーム検出通知信号と、スケジューリング情報とに基づいて、次の適応等化フィルタリング処理の処理対象のバーストフレーム信号の送信元を特定し、特定した送信元に対応するタップ係数W〜Wをタップ係数テーブル1351から選択する。適応等化フィルタ部134bは、タップ係数選択部137が選択したタップ係数W〜Wを用いて適応等化フィルタリング処理を行う。
【0148】
上述したように、タップ係数W〜Wの収束時間は、バーストフレーム信号が与えられた際のタップ係数W〜Wと、当該バーストフレーム信号を用いて収束させた後のタップ係数W〜Wとが、近い値であるほど短くなり、かい離しているほど長くなることが知られている。第3の実施形態の光受信装置10bでは、初期値であるタップ係数W〜Wが既に、バーストフレーム信号に対して最適なタップ係数W〜Wになっているため、収束後のタップ係数W〜Wとの間でかい離が小さく、収束時間も短時間になる。
【0149】
更に、第3の実施形態の光受信装置10bは、第1の実施形態の光受信装置10と同様に、タイミング整合部133の入力タイミング調整部30が、シンボルタイミングに対応するサンプル信号と、ピークのタップ係数W〜Wとが与えられるタップ40−1〜40−iを一致させることにより、フィードバック計算の繰り返し回数を削減して、タップ係数W〜Wの収束時間の短縮化を行っている。そのため、第3の実施形態の光受信装置10bは、2つの収束時間の短縮化の手法を組み合わせているため、タップ係数W〜Wの収束時間の大幅な短縮を行うことが可能となる。
【0150】
(第3の実施形態の他の構成例)
図23は、第3の実施形態の光受信装置10bの他の構成例である光受信装置10b−1の構成を示すブロック図である。第3の実施形態の光受信装置10bでは、信号処理部13bが、タップ係数選択部137と記憶部135bを備えていたのに対して、光受信装置10b−1では、信号処理部13b−1が、タップ係数選択部137及び記憶部135bを備えない構成になっている。例えば、通信スケジューラ部14が、光受信装置10b−1のL2処理部に備えられているような場合、当該L2処理部が、タップ係数選択部137及び記憶部135bを備えるようにしてもよい。また、記憶部135bは、信号処理部13bの内部に備えて、タップ係数選択部137のみを、信号処理部13bの外部に備えるようにしてもよい。
【0151】
また、第2の実施形態の光受信装置10aにおいても、同様に、記憶部135a及びタップ係数初期化部136を信号処理部13aの外部に備えるようにしてもよいし、タップ係数初期化部136のみを信号処理部13aの外部に備えるようにしてもよい。
【0152】
(第4の実施形態)
図24は、第4の実施形態の光受信装置10cの内部構成を示すブロック図である。なお、図示していないが、説明の便宜上、第4の実施形態による通信システム1cは、第4の実施形態の光受信装置10cを備える局側通信装置5cと、第1の実施形態と同一構成の加入者側通信装置50−1〜50−N及び光カプラ60とを備える。第4の実施形態の光受信装置10cにおいて、第1、第2及び第3の実施形態の光受信装置10,10a,10bと同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
【0153】
光受信装置10cは、受光部11、ADC部12及び信号処理部13cを備える。信号処理部13cは、フレーム検出部131、シンボルタイミング検出部132、タイミング整合部133c、適応等化フィルタ部134a、記憶部135c及び遅延部138を備える。
【0154】
記憶部135cは、初期値のタップ係数WD1〜WDkの最大値であるタップ係数を予め記憶する。以下、初期値のタップ係数WD1〜WDkの最大値をタップ係数WDMAXとして示す。
【0155】
タイミング整合部133cは、タップ係数初期値調整部35を備える。第4の実施形態のタイミング整合部133cは、第1の実施形態のタイミング整合部133と同様に、ピークのタップ係数WDMAXが与えられる乗算器140−1〜140−kに、シンボルタイミング検出部132が出力する主信号のシンボルタイミングに対応するサンプル信号が与えられるようにタイミングを整合する。
【0156】
第1の実施形態のタイミング整合部133が、主信号を出力するタイミングを調整してタイミングを合わせていたのに対して、第4の実施形態のタイミング整合部133cは、初期値の最大値のタップ係数WDMAXの出力先を調整することによりタイミングを合わせる。
【0157】
タップ係数初期値調整部35は、シンボルタイミング検出部132からシンボルタイミング通知信号を受けると、記憶部135cから初期値のピークのタップ係数WDMAXを読み出す。また、タップ係数初期値調整部35は、シンボルタイミング通知信号に含まれるシンボルタイミングに対応するサンプル信号が与えられるタップ40−tに対して、読み出した初期値のピークのタップ係数WDMAXを与えるように初期値のタップ係数WD1〜WDkの系列を生成する。
【0158】
例えば、記憶部135cが記憶するピークのタップ係数WDMAXが「1」である場合、タップ係数初期値調整部35は、ピークのタップ係数WDMAXの位置を定め、残りの位置の初期値を「0」として、初期値のタップ係数WD1〜WDkの系列を生成する。また、タップ係数初期値調整部35は、生成した初期値のタップ係数WD1〜WDkを適応等化フィルタ部134aに出力し、遅延部138に対して出力指示信号を出力する。
【0159】
遅延部138は、シンボルタイミング検出部132が出力するバーストフレーム信号に対応する主信号を取り込んで待機し、タップ係数初期値調整部35から出力指示信号を受けると、取り込んだ主信号を適応等化フィルタ部134aに出力する。
【0160】
(第4の実施形態の信号処理部による処理)
次に、図25に示すフローチャートを参照しつつ、第4の実施形態の信号処理部13cの処理について説明する。信号処理部13cのフレーム検出部131は、ADC部12が出力するデジタル信号からバーストフレーム信号を検出し、検出したバーストフレーム信号をシンボルタイミング検出部132に出力する(ステップSc1)。
【0161】
シンボルタイミング検出部132は、シンボルタイミングを検出すると、検出したシンボルタイミングを示す情報を含むシンボルタイミング通知信号を生成する。シンボルタイミング検出部132は、生成したシンボルタイミング通知信号をタップ係数初期値調整部35に出力する。シンボルタイミング検出部132は、取り込んだバーストフレーム信号を主信号とし、主信号を遅延部138に出力する(ステップSc2)。
【0162】
遅延部138は、主信号を取り込んで、タップ係数初期値調整部35から出力指示信号を受けるのを待機する(ステップSc3−1)。タップ係数初期値調整部35は、シンボルタイミング検出部132からシンボルタイミング通知信号を受けると、記憶部135cから初期値のピークのタップ係数WDMAXを読み出す。タップ係数初期値調整部35は、シンボルタイミング通知信号に含まれるシンボルタイミングに対応するサンプル信号が与えられるタップ40−tに対して、読み出した初期値のピークのタップ係数WDMAXを与えるように初期値のタップ係数WD1〜WDkの系列を生成する(ステップSc3−2)。
【0163】
タップ係数初期値調整部35は、生成した初期値のタップ係数WD1〜WDkを適応等化フィルタ部134aに出力し、遅延部138に対して出力指示信号を出力する(ステップSc4)。遅延部138は、タップ係数初期値調整部35から出力指示信号を受けると、取り込んだ主信号を適応等化フィルタ部134aに出力する(ステップSc5)。
【0164】
繰り返し処理であるループLc1s〜Lc1e及びループ内のステップSc6,Sc7,Sc8については、第1の実施形態のループL1s〜L1e及びループ内のステップS5,S6,S7と同一の処理が、適応等化フィルタ部134aによって行われる。なお、最初のフレーム入力信号におけるステップSc7の処理の際、タップ係数設定部44aは、タップ係数初期値調整部35から受けた初期値であるタップ係数WD1〜WDkを乗算器140−1〜140−kに出力する。
【0165】
他の光送信装置51−1〜51−Nがバースト光信号を送信して、光受信装置10cの受光部11が当該バースト光信号を受光して、ADC部12がデジタル信号を出力すると、再び、信号処理部13cが、図25のフローチャートの処理を行う。
【0166】
上記の第4の実施形態の構成では、タイミング整合部133cが備えるタップ係数初期値調整部35が、シンボルタイミングに対応するサンプル信号が与えられるタップ40−1〜40−kのタップ係数W〜Wが最大値となるようにタップ係数W〜Wをタップ40−1〜40−kに対して与える。これにより、シンボルタイミングに対応するサンプル信号と、ピークのタップ係数とを同じタップ40−1〜40−kに与えることができる。そのため、光受信装置10cは、バースト光信号を受信するごとに行う最適なタップ係数の算出において、フィードバック計算の繰り返し回数を削減することができ、収束時間の短縮が可能となる。
【0167】
なお、上記の第4の実施形態では、記憶部135cが、初期値の最大値であるタップ係数WDMAXを予め記憶し、タップ係数初期値調整部35が、記憶部135cからタップ係数WDMAXを読み出し、タップ係数WDMAXの位置を定めて初期値のタップ係数WD1〜WDkの系列を生成するようにしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。例えば、記憶部135cを備えず、タップ係数初期値調整部35が、シンボルタイミング通知信号に含まれるシンボルタイミングに対応するサンプル信号が与えられるタップ40−tの位置が最大値になるような乱数を生成し、生成した乱数を初期値のタップ係数WD1〜WDkの系列としてもよい。
【0168】
また、上記の第1から第4の実施形態において、シンボルタイミング検出部132は、シンボルタイミングに対応するサンプル信号の振幅Aが、他のサンプル信号の振幅Aよりも大きくなる変調方式、例えば、BPSKやQPSKなどが適用されている場合に適用できるMAM法を用いているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。例えば、シンボルタイミングに対応するサンプル信号が、他のサンプル信号よりも振幅Aの分散や標準偏差が大きくなるような変調方式、例えば、OOK(On-Off-Keying)などが、光送信装置51−1〜51−Nに適用されている場合、図26に示すシンボルタイミング検出部132dを適用するようにしてもよい。
【0169】
図26に示すシンボルタイミング検出部132dは、mサンプルごとに振幅Aの分散、もしくは標準偏差、または、分散や標準偏差と同様の傾向を示す値を算出し、算出したm個の値の中で最大値となるサンプル信号をシンボルタイミングに対応するサンプル信号として検出する。
【0170】
また、上記の第1の実施形態の光受信装置10,10−1では、ADC部12が、オーバーサンプリングを行っているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。ADC部12が、オーバーサンプリングを行わず、例えば、図27に示す光受信装置10eのように、フレーム検出部131と、シンボルタイミング検出部132の間に、内挿処理を行う内挿部139を備えるようにして、ADC部12のサンプリングレートよりも、多くのサンプル点を生成するようにしてもよい。第2から第4の実施形態の光受信装置10a,10b,10b−1,10cについても同様に、フレーム検出部131a,131と、シンボルタイミング検出部132との間に内挿部139を備えるようにしてもよい。
【0171】
また、上記の第1から第4の実施形態において、信号処理部13,13−1,13a,13b,13b−1,13cを、機能部として備えるのではなく、単独の信号処理装置として構成し、ADC部12に接続して用いるようにしてもよい。
【0172】
上述した実施形態における信号処理部13,13−1,13a,13b,13b−1,13cをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0173】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0174】
1…通信システム,5…局側通信装置,10…光受信装置,11…受光部,12…ADC部,13…信号処理部,131…フレーム検出部,132…シンボルタイミング検出部,133…タイミング整合部,134…適応等化フィルタ部,135…記憶部
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