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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220909(P2019-220909A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】高周波線路接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/08 20060101AFI20191129BHJP
   H01P 3/00 20060101ALI20191129BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H01P5/08 B
   H01P3/00 101
   H05K1/02 J
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-118624(P2018-118624)
(22)【出願日】2018年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】田野辺 博正
(72)【発明者】
【氏名】綱島 聡
【テーマコード(参考)】
5E338
5J014
【Fターム(参考)】
5E338BB75
5E338CC02
5E338CC06
5E338CD32
5E338EE11
5J014CA10
5J014CA42
5J014CA53
(57)【要約】
【課題】低通過損失特性を備え、かつ、低反射損失である高周波線路接続構造を提供することを目的とする。
【解決手段】
高周波線路接続構造1は、同軸線路10と平面形線路20とを接続する。高周波線路接続構造1は、平面形線路20の基板21の長手方向の長さと一致する長さの平板状に形成されて平面形線路20が表面に配設されている導電性ベース50と、導電性ベース50の表面の同軸線路10に隣接する領域に設けられ、導電性ベース50の表面から突出した突起構造40とを備え、突起構造40は、平面形線路20の一対のグランド導体膜23a、23bのうち、幅がより狭いグランド導体膜23bが形成されている領域における基板21の長手方向に沿った側面に当接され、幅がより狭いグランド導体膜23bと突起構造40との基板21の短手方向に沿った幅の合計が、他方のグランド導体膜23aの幅と一致する。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸線路と平面形線路とを接続する高周波線路接続構造であって、
前記同軸線路は、
軸方向に延伸し、その軸方向に垂直な断面が軸を中心とした円形に形成された中心導体と、
前記中心導体を収容する円柱状の貫通孔を有する外部導体と、
前記中心導体と前記外部導体との間の前記貫通孔内に設けられ、前記中心導体と前記外部導体とを絶縁する絶縁層と、
を有し、
前記中心導体は、前記外部導体の端面から前記軸方向に延出した先端部を有し、
前記平面形線路は、
誘電体からなる基板と、
線路端が前記基板の長手方向の中心線から所定の距離だけ離れた位置の前記基板の表面に形成されたストリップ状の信号線路と、
前記基板の表面の前記同軸線路に隣接する領域に、前記信号線路の両側に所定の距離を隔てて形成され、前記基板の短手方向に沿った幅が互いに異なる一対の第1導体薄膜と、
前記基板の裏面を覆い、前記一対の第1導体薄膜と電気的に接続される第2導体薄膜と、
を有し、
前記高周波線路接続構造は、
前記平面形線路の前記基板の長手方向の長さと一致する長さの平板状に形成され、前記平面形線路が表面に配設されている導電性ベースと、
前記導電性ベースの表面の前記同軸線路に隣接する領域に設けられ、前記導電性ベースの表面から突出した突起構造と、
前記中心導体の前記先端部と、前記平面形線路に含まれる前記信号線路の前記線路端とを覆うように形成された導電性を有する接着層と、
を備え、
前記突起構造は、前記一対の第1導体薄膜のうち、前記基板の短手方向に沿った幅がより狭い第1導体薄膜が形成されている領域における前記基板の長手方向に沿った側面に当接され、前記幅がより狭い第1導体薄膜と前記突起構造との前記基板の短手方向に沿った幅の合計が、他方の第1導体薄膜の幅と一致する
ことを特徴とする高周波線路接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の高周波線路接続構造において、
前記一対の第1導体薄膜は平面視でそれぞれ長方形に形成され、
平面視において、前記他方の第1導体薄膜の面積と、前記幅がより狭い第1導体薄膜および前記突起構造の合計の面積とが一致する
ことを特徴とする高周波線路接続構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の高周波線路接続構造において、
前記突起構造は、直方体形状を有することを特徴とする高周波線路接続構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の高周波線路接続構造において、
前記突起構造は、正面視において前記幅がより狭い第1導体薄膜の端部と前記導電性ベースとを結ぶ斜辺を有することを特徴とする高周波線路接続構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の高周波線路接続構造において、
前記同軸線路は前記平面形線路の両端に接続され、
前記信号線路は、平面視においてS字形状に屈曲し、一方の線路端と他方の線路端とはそれぞれ前記基板の長手方向の中心線に対して互いに離れる位置に設けられ、
前記一対の第1導体薄膜は、前記一方の線路端および前記他方の線路端各々の両側に前記所定の距離を隔てて形成され、
前記突起構造は、前記導電性ベースの前記表面の前記同軸線路に隣接する各領域に設けられている
ことを特徴とする高周波線路接続構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の高周波線路接続構造において、
前記突起構造は、導電性を有する材料で形成されていることを特徴とする高周波線路接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波線路接続構造に関し、特に同軸線路と平面形線路とを接続する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の光エレクトロニクス分野において、光電子部品を構成する高周波インタフェースは、広い周波数範囲での低通過損失、および低反射特性を備えることが必須となっている。このような高周波インタフェースの構造は、リードピンやフレキシブル基板を用いた形態だけでなく、同軸インタフェースも使用されるケースが見られている。
【0003】
特に、100GHz以上の帯域特性を備えた1mmインタフェースを持つ電子部品や光モジュール部品は、次世代1Tbps超の光通信用の基幹部品として期待され、国内外で開発が進められている。
【0004】
上記のような電子部品や光モジュール部品の内部では、平面上に各種部品が搭載されるが、それらの各種部品を電気的に接続する高周波線路は絶縁性を備えた誘電体基板上に作製されることが一般となっている。さらに、そのような高周波線路の形状は、異なる位置に実装された部品間を接続するために、屈曲線路の形状を有することが比較的多い。
【0005】
一方、1mmインタフェースは中心導体と円筒グランドからなる同軸線路構造を備えており、上記の誘電体基板上に作製された高周波線路の構造とは明らかに異なる。
このような構造の違いによって、誘電体基板上に作製された高周波線路と同軸線路とを機械的に、かつ電気的に接続した場合、高周波線路を形成している誘電体基板のサイズをより小さくしつつ、かつ、その接続部分での高周波特性として低通過損失、および低反射損失特性を備えた新たな高周波線路の接続機構の実現が望まれていた。
【0006】
例えば、特許文献1は、同軸線路と平面形線路としてコプレーナ線路とを接続する高周波線路接続構造を開示している。特許文献1に記載されている高周波線路接続構造において、コプレーナ線路の基板上に形成されたストリップ状の信号線路の両側に、互いに幅が等しい一対のグランド導体膜が形成されている。
【0007】
図5Aから図5Cは、別の従来の高周波線路接続構造500を示している。高周波線路接続構造500は、同軸線路510と平面形線路520とを接続する。平面形線路520は、導電性ベース550の表面に載置され、同軸線路510と共に金属ベース560の表面に一体的に配設される。
【0008】
図5Aから図5Cに示す従来の高周波線路接続構造500では、平面形線路520の信号線路525の線路端が基板521の長手方向の中心線からずれた位置に設けられ、信号線路525の両側に形成されているグランド導体膜523a、523bの幅が互いに異なる。
【0009】
同軸線路510は、外部導体511、円筒グランド512、および中心導体513を備える。同軸線路510の平面形線路520側の端部において、中心導体513の先端部513aは軸方向に突出して形成されている。この中心導体513の先端部513aは、ハンダや導電性接着剤などにより接続先の平面形線路520の信号線路525と電気的に接続される。
【0010】
同軸線路510と接続される平面形線路520は、その接続部分においてグランデッドコプレーナ線路の構造を有する。平面形線路520は、誘電体で構成される基板521、および基板521の表面に形成された信号線路525を備える。また、基板521の裏面には、裏面グランド導体膜522が一面を覆って形成されている。
【0011】
平面形線路520の接続部分となる端部には、信号線路525から所定の距離を離間して2つのグランド導体膜523a、523bが形成されている。また、基板521を貫通するグランドビア524が、これら2つのグランド導体膜523a、523bと裏面グランド導体膜522とを電気的に接続するように形成されている。
【0012】
平面形線路520の同軸線路510が接続される位置は、基板521の長手方向の中心軸からずれている。これは、同軸線路510の平面形線路520側とは反対方向の先に接続される部品の搭載位置が予め決定されているためである。図5Aから図5Cに示す従来例では、平面形線路520の信号線路525の形状はいわゆるSベンド形状仕上げとなる。
【0013】
これにより、平面形線路520に形成された2つのグランド導体膜523a、523bのサイズは互いに異なっている。2つのグランド導体膜523a、523bの基板521の短手方向に沿った幅a’、b’は互いに異なり、グランド導体膜523bの幅b’はグランド導体膜523aの幅a’よりも狭くなっている。
【0014】
基板521のサイズをコンパクトにすることで、より多くの平面形線路520を製造可能としている。そのため、上記のような信号線路525に対して非対称な互いに異なる幅を有するグランド導体膜523a、523bを設けることはSベンド形状仕上げの高周波線路では一般的とされている。
【0015】
しかしながら、このような信号線路525に対して非対称な幅を有するグランド導体膜523a、523bの形状では、従来の高周波線路接続構造500において良好な高周波特性を得ることは比較的困難である。
図5Cは同軸線路510の軸方向に垂直な方向から見た高周波線路接続構造500の模式図である。図5Cでは、15GHzにおける電気力線ELの様子を模式的に示している。
【0016】
図5Cに示すように、同軸線路510が有する中心導体513の先端部513aから延びる電気力線ELが中心導体513を中心として左右で非対称構造になることがわかる。これは、互いに異なる幅a’、b’を有するグランド導体膜523a、523bによるものである。一方、同軸線路510の内部の中心導体513から延びる電気力線の形状は、中心導体513の表面から円筒グランド512表面へと延びる軸対称の構造を有する。これは周波数に依らず、常に軸対称となる。
【0017】
このように、同軸線路510と平面形線路520との接続部分における電気力線の対称性の乱れから、従来の高周波線路接続構造500では、接続部分において良好な高周波特性が得られず、その結果として反射損失が増大することが、これまでの課題とされてきた。
【0018】
図6は、従来の高周波線路接続構造500の通過損失および反射損失を説明する図である。前述したように、従来の高周波線路接続構造500では、同軸線路510と平面形線路520との接続部分において良好な接続特性を得ることができないため、平面形線路520の長手方向の両端で反射、および共振が発生している。そのため、図6に示すように、周波数15GHzにおいて特性が劣化していることがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特許第5235612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、低通過損失特性を備え、かつ、低反射損失である高周波線路接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決するために、本発明に係る高周波線路接続構造は、同軸線路と平面形線路とを接続する高周波線路接続構造であって、前記同軸線路は、軸方向に延伸し、その軸方向に垂直な断面が軸を中心とした円形に形成された中心導体と、前記中心導体を収容する円柱状の貫通孔を有する外部導体と、前記中心導体と前記外部導体との間の前記貫通孔内に設けられ、前記中心導体と前記外部導体とを絶縁する絶縁層と、を有し、前記中心導体は、前記外部導体の端面から前記軸方向に延出した先端部を有し、前記平面形線路は、誘電体からなる基板と、線路端が前記基板の長手方向の中心線から所定の距離だけ離れた位置の前記基板の表面に形成されたストリップ状の信号線路と、前記基板の表面の前記同軸線路に隣接する領域に、前記信号線路の両側に所定の距離を隔てて形成され、前記基板の短手方向に沿った幅が互いに異なる一対の第1導体薄膜と、前記基板の裏面を覆い、前記一対の第1導体薄膜と電気的に接続される第2導体薄膜と、を有し、前記高周波線路接続構造は、前記平面形線路の前記基板の長手方向の長さと一致する長さの平板状に形成され、前記平面形線路が表面に配設されている導電性ベースと、前記導電性ベースの表面の前記同軸線路に隣接する領域に設けられ、前記導電性ベースの表面から突出した突起構造と、前記中心導体の前記先端部と、前記平面形線路に含まれる前記信号線路の前記線路端とを覆うように形成された導電性を有する接着層と、を備え、前記突起構造は、前記一対の第1導体薄膜のうち、前記基板の短手方向に沿った幅がより狭い第1導体薄膜が形成されている領域における前記基板の長手方向に沿った側面に当接され、前記幅がより狭い第1導体薄膜と前記突起構造との前記基板の短手方向に沿った幅の合計が、他方の第1導体薄膜の幅と一致することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る高周波線路接続構造において、前記一対の第1導体薄膜は平面視でそれぞれ長方形に形成され、平面視において、前記他方の第1導体薄膜の面積と、前記幅がより狭い第1導体薄膜および前記突起構造の合計の面積とが一致してもよい。
【0023】
また、本発明に係る高周波線路接続構造において、前記突起構造は、直方体形状を有していてもよい。
【0024】
また、本発明に係る高周波線路接続構造において、前記突起構造は、正面視において前記幅がより狭い第1導体薄膜の端部と前記導電性ベースとを結ぶ斜辺を有していてもよい。
【0025】
また、本発明に係る高周波線路接続構造において、前記同軸線路は前記平面形線路の両端に接続され、前記信号線路は、平面視においてS字形状に屈曲し、一方の線路端と他方の線路端とはそれぞれ前記基板の長手方向の中心線に対して互いに離れる位置に設けられ、前記一対の第1導体薄膜は、前記一方の線路端および前記他方の線路端各々の両側に前記所定の距離を隔てて形成され、前記突起構造は、前記導電性ベースの前記表面の前記同軸線路に隣接する各領域に設けられていてもよい。
【0026】
また、本発明に係る高周波線路接続構造において、前記突起構造は、導電性を有する材料で形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、表面から突出した突起構造が配設された導電性ベースの表面に平面形線路が載置されて、同軸線路の線路端と平面形線路の線路端とが機械的かつ電気的に接続されるので、低通過損失特性を備え、かつ、低反射損失である高周波線路接続構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A図1Aは、本発明の第1の実施の形態係る高周波線路接続構造の斜視図である。
図1B図1Bは、第1の実施の形態に係る高周波線路接続構造の分解図である。
図1C図1Cは、第1の実施の形態に係る高周波線路接続構造の正面図である。
図2図2は、第1の実施の形態の効果を説明する図である。
図3A図3Aは、本発明の第2の実施の形態に係る高周波線路接続構造の斜視図である。
図3B図3Bは、本発明の第2の実施の形態に係る高周波線路接続構造の正面図である。
図4A図4Aは、第2の実施の形態に係る平面形線路の平面図である。
図4B図4Bは、図4Aに示す平面形線路を説明するための図である。
図4C図4Cは、第2の実施の形態に係る平面形線路の平面図である。
図5A図5Aは、従来の高周波線路接続構造の斜視図である。
図5B図5Bは、従来の高周波線路接続構造の分解図である。
図5C図5Cは、従来の高周波線路接続構造の正面図である。
図6図6は、従来の高周波線路接続構造における反射損失および通過損失を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1Aから図4Cを参照して詳細に説明する。各図について共通する構成要素には、同一の符号が付されている。
【0030】
[第1の実施の形態]
図1Aは、第1の実施の形態に係る高周波線路接続構造1の斜視図である。図1Bは、高周波線路接続構造1の分解図である。また、図1Cは、高周波線路接続構造1の正面図である。
図1Aから図1Cに示すように、同軸線路10と平面形線路20とは、直方体形状の金属ベース60上に配置され互いに接続されている。また、同軸線路10の外部導体11は、金属ベース60の一の面上に載置され、平面形線路20は、金属ベース60の同じ面上に突起構造40を備えた導電性ベース50を介して載置されている。
【0031】
また、本実施の形態では、2つの同軸線路10が平面形線路20の両方の線路端に接続されている。
【0032】
本実施の形態に係る高周波線路接続構造1は、同軸線路10、平面形線路20、接着層30、突起構造40、導電性ベース50、および金属ベース60を備える。
【0033】
同軸線路10は、外部導体11、外部導体11の内壁12、中心導体13、および絶縁層14を備える。外部導体11と、外部導体11の内壁12と、中心導体13とは同軸構造に形成されている。
【0034】
外部導体11は、ブロック状に形成され、内部に軸方向に延伸した円柱状の貫通孔を有する。外部導体11は円柱状の貫通孔に中心導体13を収容する。外部導体11は、金属材料により形成される。図1Aおよび図1Bに示すように、外部導体11に形成された円柱状の貫通孔は、中心導体13と同軸上に形成されている。
【0035】
内壁12は、外部導体11に形成された円柱状の貫通孔における内周面であり、円筒状に形成されている。
【0036】
中心導体13は、軸方向に垂直な断面が、軸を中心とした円形に形成されている。中心導体13は、外部導体11の内壁12および絶縁層14を含んで構成される同軸線路10の信号芯線である。
【0037】
中心導体13は、図1Aおよび図1Bに示すように、ブロック状の外部導体11の端面から軸方向に延出した先端部13aを有する。中心導体13の先端部13aは、接着層30によって平面形線路20の表面に設けられた信号線路25に電気的に接続している。中心導体13は金属材料により形成される。
【0038】
絶縁層14は、中心導体13と外部導体11との間の貫通孔内に設けられ、中心導体13と外部導体11とを絶縁する。
【0039】
次に、同軸線路10が接続される平面形線路20について説明する。
平面形線路20は、外部導体11と、内壁12と、中心導体13と、絶縁層14とで形成される同軸線路10の延長線上にある。
【0040】
平面形線路20は、基板21と、裏面グランド導体膜(第2導体薄膜)22と、一対のグランド導体膜(第1導体薄膜)23a、23bと、ビア24と、信号線路25とを備える。
平面形線路20は、導電性ベース50の表面に設けられている。平面形線路20は、同軸線路10が有する中心導体13の先端部13aと接続される接続部分において、よく知られたグランデッドコプレーナ線路を形成する。
【0041】
基板21は、誘電体からなる平板状の基板である。基板21は、例えば、アルミナ等の低損失セラミックスなどを用いて形成してもよい。基板21の表面には、信号線路25と、信号線路25の両側に所定の距離を隔てて一対のグランド導体膜23a、23bが形成されている。また、基板21の裏面には裏面グランド導体膜22が配設されている。
【0042】
裏面グランド導体膜22は、基板21の裏面全体を覆って形成されている。裏面グランド導体膜22は、導電性ベース50の表面に接して配設される。裏面グランド導体膜22は、グランデッドコプレーナ線路型の平面形線路20におけるグランドとして作用する。
【0043】
グランド導体膜23a、23bは、基板21の表面の同軸線路10に隣接する領域に、信号線路25の両側に所定の距離を隔てて形成されている。グランド導体膜23a、23bは、基板21の短手方向に沿った幅が互いに異なる。より詳細には、グランド導体膜23bの基板21の短手方向に沿った幅bは、グランド導体膜23aの幅aよりも狭くなっている。
【0044】
この一対のグランド導体膜23a、23bにおける信号線路25からの所定の距離は、平面形線路20の特性インピーダンスが所望の値になるように設計すればよい。
【0045】
本実施の形態では、グランド導体膜23a、23bは、図1Aおよび図1Bに示すように、基板21の長手方向の両端に形成されている。したがって、高周波線路接続構造1の2つの接続部分においてそれぞれグランデッドコプレーナ線路が形成される。
【0046】
ビア24は、基板21の表面と裏面とを貫通するように複数形成される。より詳細には、ビア24は、その内壁面に導電性材料が蒸着または充填などされ、基板21の表面に形成された一対のグランド導体膜23a、23bと、裏面グランド導体膜22とを電気的に接続し導通する。複数のビア24が形成されることで、グランド導体膜23a、23bがより安定した同電位面となる。
【0047】
ビア24は、基板21の短手方向に沿って、グランド導体膜23a、23bが形成されている領域に所定の間隔で複数設けられている。複数のビア24が形成される間隔は、高周波線路接続構造1における伝送線路の特性に応じて適切な間隔を選定すればよい。
【0048】
信号線路25は、線路端が基板21の長手方向の中心線から所定の距離だけ離れた位置の基板21の表面にストリップ状に形成され、高周波信号を伝搬する。信号線路25は、金属材料により形成される。信号線路25の同軸線路10に隣接する端部は、同軸線路10が有する中心導体13の先端部13aと電気的に接続する。
【0049】
信号線路25は、平面視においてS字形状に屈曲している。また、信号線路25の線路端の一方と他方とがそれぞれ基板21の長手方向の中心線に対して互いに離れる位置に設けられる。
【0050】
接着層30は、図1Aに示すように、同軸線路10の中心導体13の先端部13aと平面形線路20における信号線路25の表面の一部とを覆うように形成される。接着層30は導電性を有し、同軸線路10と平面形線路20とを機械的、かつ電気的に接続する。接着層30として、ハンダや導電性接着剤などを用いることができる。
【0051】
突起構造40は、後述する導電性ベース50の表面の同軸線路10に隣接する領域に設けられ、導電性ベース50の表面から突出する。突起構造40は、直方体形状に形成される。突起構造40は、一対のグランド導体膜23a、23bのうち、幅の狭い方のグランド導体膜23bが形成されている方の基板21の長手方向に沿った側面に当接され、このとき、グランド導体膜23bの幅bと突起構造40の幅cとを合わせた幅が、他方のグランド導体膜23aの幅aと同等(一致する)となる。
【0052】
突起構造40は、導電性ベース50の表面を加工して作成し、導電性ベース50と同じ導電性材料で形成してもよい。
【0053】
突起構造40の直方体形状の寸法の例として、幅c、高さが基板21の高さと同等であり、グランド導体膜23aの短手方向の長さと同等の奥行を有していてもよい。このような形状の突起構造40が導電性ベース50の表面に配設されることで、導電性ベース50の表面に平面形線路20を搭載する際に、精度よく位置合わせを行うことができる。
【0054】
導電性ベース50は、基板21の長手方向の長さと一致する長さを有する平板状に形成され、表面に突起構造40が配設されている。導電性ベース50の表面には、平面形線路20が搭載される。
導電性ベース50の同軸線路10側の端面に沿った幅は、平面形線路20の基板21の短手方向の幅よりも広くなるように形成されていてもよい。
【0055】
導電性ベース50の表面の一部の領域に、基板21の裏面に形成された裏面グランド導体膜22が接するように配設される。このときに、基板21の表面に形成されているグランド導体膜23b側の基板21の角部の側面が突起構造40の側面に当接するように平面形線路20が導電性ベース50の表面に載置される。これにより、平面形線路20と、突起構造40と、導電性ベース50とを含む同軸線路10側の端面は1つの平面を形成し、同軸線路10の外部導体11の端面と一致することができる。
【0056】
金属ベース60は、導電性ベース50の裏面に設けられ、同軸線路10および平面形線路20全体を支持している。金属ベース60によって、高周波線路接続構造1が一体的に構成される。金属ベース60の表面と、金属ベース60および同軸線路10の外部導体11とは、はんだや導電性接着剤など(図示しない)によって電気的に接続されている。
これにより、同軸線路10の外部導体11と、平面形線路20の裏面グランド導体膜22を完全な同一電位、すなわちグランド電位としている。
【0057】
図1Cは、高周波線路接続構造1を正面から見た場合の、周波数が15GHzにおける電気力線ELの様子を模式的に示している。図1Cに示すように、上述した突起構造40を備えることにより、同軸線路10の中心導体13の先端部13aから延びる電気力線ELは、中心導体13を通り信号線路25に垂直な直線に対して対称な構造となることがわかる。
【0058】
なお、同軸線路10内部の電気力線の形状は、中心導体13の表面から内壁12の内周面へ延びる中心導体13に対して軸対称な構造を有する。同軸線路10の内部における電気力線の対称構造は、伝搬する電磁波の周波数に依らず、常にこのような対称な構造となる。
【0059】
図2に、本実施の形態における高周波線路接続構造1の通過損失と反射損失とを示す。図2の破線は従来例の高周波線路接続構造500の通過損失および反射損失を示している(図6)。また、実線は、本実施の形態に係る高周波線路接続構造1の特性を示している。図2からわかるように、高周波線路接続構造1は、突起構造40を有することで接続部分における電気力線の対称性が得られるため、良好な高周波特性が得られ、その結果として低反射損失の高周波線路接続構造1が実現されている。
【0060】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、導電性ベース50の表面に設けられた突起構造40により、同軸線路10の中心導体13の先端部13aと平面形線路20の信号線路25の端部とがより正確に位置決めされて機械的および電気的に接続される。そのため、平面形線路20におけるグランデッドコプレーナ線路を形成する基板21上のグランド導体膜23aの幅aと、グランド導体膜23bの幅bおよび突起構造40の幅cを合わせた幅とを同等にすることができる。したがって、低通過損失特性を備え、かつ低反射損失である高周波線路接続構造1が実現される。
【0061】
また、十分な高周波特性を備えた高周波線路接続構造1の実現により、次世代1Tbps超用の広帯域特性を備えた電子部品や光モジュール部品が提供可能となる。
【0062】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した第1の実施の形態と同じ構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
第1の実施の形態では、導電性ベース50の表面に直方体形状の突起構造40が設けられている場合について説明した。これに対し、第2の実施の形態に係る高周波線路接続構造1Aが備える突起構造40Aはフィレット構造を有する。突起構造40A以外の構成については、高周波線路接続構造1Aは、第1の実施の形態と同様である。以下、第1の実施の形態と異なる構成を中心に説明する。
【0064】
図3Aは、第2の実施の形態に係る高周波線路接続構造1Aの斜視図である。図3Bは、高周波線路接続構造1Aの正面図である。
また、突起構造40Aは、平面視において長方形に形成され、長辺の長さcとグランド導体膜23bの幅bとの合計がグランド導体膜23aの幅aと同等となるように形成されている。
【0065】
突起構造40Aは、導電性接着剤やハンダなどにより形成される。突起構造40Aは、図3Bに示すように、正面視において幅がより狭いグランド導体膜23bの端部と導電性ベース50とを結ぶ斜辺を有する。
【0066】
より詳細には、突起構造40Aは、図3Bに示すように、正面から見たときに、互いに隣接する基板21の側面と導電性ベース50の表面とに接する凹型のなだらかな曲線を有するフィレット形状に形成される。突起構造40Aは、導電性ベース50の表面に基板21を搭載した後に形成すればよい。このような突起構造40Aが形成されることで、基板21が導電性ベース50に固定される。
【0067】
図3Bは、高周波線路接続構造1Aを正面から見たときの周波数が15GHzにおける電気力線ELの様子を模式的に示している。高周波線路接続構造1Aは、フィレット形状を有する突起構造40Aを備えることで、同軸線路10の中心導体13の先端部13aから延びる電気力線ELは、中心導体13を通り信号線路25に垂直な直線に対して対称な構造を有する。
【0068】
なお、同軸線路10内部においては、第1の実施の形態と同様に、電気力線は、伝搬する高周波信号の周波数に依らず、同軸線路10の中心導線13に対して軸対称な構造となる。
【0069】
図4Aは、高周波線路接続構造1Aの平面形線路20と突起構造40Aとを選択的に表示した平面図である。図4Aに示すように、平面形線路20に設けられたグランド導体膜23aの基板21の短手方向に沿った幅aと、他方のグランド導体膜23bの幅bおよびグランド導体膜23bから信号線路25から遠ざかる方向に延在する突起構造40Aの幅cとを合わせた幅が同等となるように形成されている。
【0070】
また、図4Aに示すように、平面視において長方形状を有するグランド導体膜23aの面積と、グランド導体膜23bおよび突起構造40Aを合わせた面積とは同等となっている。
【0071】
ここで、図4Bに示すように、本実施の形態の高周波線路接続構造1Aと同等の高周波特性を平面形線路20’の構成のみで実現するためには、いわゆる非対称な形状を有する一対のグランド導体膜23a、23bではなく、対称性を備えた幅が同じ一対のグランド導体膜23’が必要となる。そのため、図4Bに示す平面形線路20’の基板21’のサイズを大きくしなければならない。
【0072】
図4Cは、本実施の形態に係る高周波線路接続構造1Aにおいて突起構造40Aを除いた平面形線路20を示す図である。図4Bに示す比較例の基板21’の幅W2は、図4Cに示す本実施の形態に係る基板21の幅W1よりも大きいことが明瞭にわかる。このように、本実施の形態に係る高周波線路接続構造1Aは、基板21のサイズをより小さくしつつ、高周波特性を向上させることができる。
【0073】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る高周波線路接続構造1Aによれば、突起構造40Aを導電性ベース50の表面に精度良く作製する必要がない。高周波線路接続構造1Aでは、導電性ベース50の表面に平面形線路20を搭載して、グランド導体膜23b側の基板21の側面およびその側面に隣接する基板21の表面とにハンダなどによってフィレット構造を有する突起構造40Aを形成すればよい。そのため、より簡易に作成された突起構造40Aを用いて、高周波線路接続構造1Aにおける低反射損失、および低通過損失特性を広帯域で実現することができる。
【0074】
以上、本発明の高周波線路接続構造における実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
【0075】
なお、説明した実施の形態では、グランデッドコプレーナ線路(平面形線路20)を構成する基板21をアルミナ等の低損失セラミックスとしているが、基板21は、液晶ポリマ、ポリミィド、あるいは石英ガラス等でも代替可能である。
【0076】
また、上述した実施の形態で、同軸線路10とグランデッドコプレーナ線路(平面形線路20)をハンダなどの接着層30で電気的に接続する際、ハンダの濡れ性向上を目的とした金めっきをそれぞれの線路の互いの接続部分に施すのが一般である。しかし、金めっきについては本発明の本質ではないため、その説明を省略している。
【符号の説明】
【0077】
1、1A…高周波線路接続構造、10…同軸線路、11…外部導体、12…内壁、13…中心導体、13a…先端部、14…絶縁層、20…平面形線路、21…基板、22…裏面グランド導体膜、23a、23b…グランド導体膜、24…ビア、25…信号線路、30…接着層、40…突起構造、50…導電性ベース、60…金属ベース。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6