特開2019-24163(P2019-24163A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-24163(P2019-24163A)
(43)【公開日】2019年2月14日
(54)【発明の名称】周波数変換回路
(51)【国際特許分類】
   H03D 7/00 20060101AFI20190118BHJP
【FI】
   H03D7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-142639(P2017-142639)
(22)【出願日】2017年7月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】三柴 竹太郎
(57)【要約】      (修正有)
【課題】周波数に依存せず広帯域な直交信号を生成でき、且つローカル信号として必要な信号の2倍の周波数の信号を必要とせずに所望の周波数変換を行う。
【解決手段】2N−1(Nは1以上の整数)個の第1乗算器が縦続接続され第1信号を入力して第2信号を生成する乗算器群10と、第3信号を2N分周にするとともに位相が直交する第4信号及び第5信号を生成する分周器4と、第2信号と第4信号を乗算する第2乗算器2と、第2信号と第5信号を乗算する第3乗算器3とを備え、乗算器群は、第1信号に対して第4信号を2N−1乗算して第2信号を生成するようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2N−1(Nは1以上の整数)個の第1乗算器が縦続接続され第1信号を入力して第2信号を生成する乗算器群と、第3信号を2N分周にするとともに位相が直交する第4信号及び第5信号を生成する分周器と、前記第2信号と前記第4信号を乗算する第2乗算器と、前記第2信号と前記第5信号を乗算する第3乗算器とを備え、前記乗算器群は、前記第1信号に対して前記第4信号を2N−1回乗算して前記第2信号を生成することを特徴とする周波数変換回路。
【請求項2】
請求項1に記載の周波数変換回路において、
前記第1信号が高周波信号、前記第3信号がローカル信号であり、前記第1信号と前記第3信号の周波数の差分信号が前記第2乗算器の出力信号と前記第3乗算器の出力信号にそれぞれ含まれることを特徴とする周波数変換回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入力信号の周波数を直交する関係にある2個の周波数に変換して出力する周波数変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムにおいて、直交関係にあるIチャネル信号とQチャネル信号を用いて情報を送受信する場合、その際に使用される機能ブロックにI/Q周波数変換回路がある(例えば、特許文献1)。この周波数変換回路は、一般的に図4に示すように、乗算器2、乗算器3及び90度移相器4Aで構成されている。90度移相器4Aは、ローカル信号SLOを入力して90度位相差を持ったIチャネルのローカル信号SLOIとQチャネルのローカル信号SLOQを生成する。乗算器2は高周波信号SRFとIチャネルのローカル信号SLOIを乗算してIチャネルのIF信号SIFIを生成し、乗算器3は高周波信号SRFとQチャネルのローカル信号SLOQを乗算してQチャネルのIF信号SIFQを生成する。
【0003】
乗算器2としては、例えば、図5に示すようなギルバートセルミキサ回路が使用されている。Q1〜Q6はNPNトランジスタ、CSは電流源である。乗算器3も同様な構成である。また、90度移相器4Aとしては、図6に示すようなポリフェーズフィルタ回路で構成されたものが使用されている。R1、R2は抵抗(R1=R2=R)、C1,C2はキャパシタ(C1=C2=C)であり、R,Cの値を適宜設定することで、周波数に依存せず90度位相の異なる2個の信号を生成することができる。また、90度移相器4Aの別例として、図7に示すような2個のDFF回路FF1,FF2で構成される2分周回路を用いたものも使用されている。INV1はインバータである。図7の90度移相器4Aは比較的高精度な移相器であり、デューティ比が50%の信号が入力されれば、広帯域に一定の振幅と90度の位相差をもつ信号が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−148627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、図6のポリフェーズフィルタ回路を使用した移相器は、振幅が周波数によって変動するため、これが直交信号の精度低下につながる問題がある。また、図7の移相器は、入力信号の周波数が1/2に分周されてしまうため、所望の周波数変換を行うためには、ローカル信号SLOとして本来の2倍の周波数の信号が必要となる問題がある。
【0006】
本発明の目的は、周波数に依存せず広帯域な直交信号を生成でき、且つローカル信号として本来の周波数の信号を使用して所望の周波数変換を行うことができるようにした周波数変換回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、2N−1(Nは1以上の整数)個の第1乗算器が縦続接続され第1信号を入力して第2信号を生成する乗算器群と、第3信号を2N分周にするとともに位相が直交する第4信号及び第5信号を生成する分周器と、前記第2信号と前記第4信号を乗算する第2乗算器と、前記第2信号と前記第5信号を乗算する第3乗算器とを備え、前記乗算器群は、前記第1信号に対して前記第4信号を2N−1回乗算して前記第2信号を生成することを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の周波数変換回路において、前記第1信号が高周波信号、前記第3信号がローカル信号であり、前記第1信号と前記第3信号の周波数の差分信号が前記第2乗算器の出力信号と前記第3乗算器の出力信号にそれぞれ含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ローカル信号として本来の周波数の信号をそのまま使用でき、また、広帯域且つ高精度に直交関係をもつ周波数信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の周波数変換回路の原理を説明する回路図である。
図2】本発明の第1実施例の周波数変換回路の回路図である。
図3】本発明の第2実施例の周波数変換回路の回路図である。
図4】従来の周波数変換回路の回路図である。
図5図4の周波数変換回路の乗算器2の具体的回路図である。
図6図4の周波数変換回路の移相器4Aの具体的回路図である。
図7図4の周波数変換回路の移相器4Aの別の具体的回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<原理説明>
図1に本発明の周波数変換回路の原理構成を示す。10は2N−1個(Nは1以上の整数)の乗算器1を縦続接続した乗算器群であり、高周波信号SRFが入力する。2はIチャネルのIF信号IIFIを生成する乗算器、3はQチャネルのIF信号SIFQを生成する乗算器である。4は分周比が2Nの分周器である。
【0011】
分周器4は、入力するローカル信号SLOの周波数を2Nだけ分周したIチャネルのローカル信号SLOIと、そのIチャネルのローカル信号SLOIと90度の位相差をもつQチャネルのローカル信号SLOQを生成する。乗算器群10では、入力する高周波信号SRFに対して、分周器4から出力するIチャネルのローカル信号SLOIを2N−1回だけ乗算することで、高周波信号SRFOを出力する。乗算器2は高周波信号SRFOとIチャネルのローカル信号SLOIを乗算してIチャネルのIF信号SIFIを生成し、乗算器3は高周波信号SRFOとQチャネルのローカル信号SLOQを乗算してQチャネルのIF信号SIFQを生成する。
【0012】
IチャネルのIF信号SIFI、QチャネルのIF信号SIFQの位相精度は、回路を構成する素子(寄生素子を含む)の相対的な遅延時間の差などの影響を受けるが、その位相精度は分周されたIチャネルのローカル信号SLOI、Qチャネルのローカル信号SLOQの位相精度で決まる。これらのIチャネルのローカル信号SLOI、Qチャネルのローカル信号SLOQは分周されることでより低周波となるので、位相精度を高くすることでき、高精度なIチャネルのIF信号SIFI、QチャネルのIF信号SIFQを得ることができる。
【0013】
また、ローカル信号SLOの周波数は、目標とするIF信号SIFI、SIFQの周波数と入力信号SRFの周波数との差分の周波数に設定することができ、従来のような本来の周波数の2倍の周波数のローカル信号を使用する必要はない。
【0014】
<第1実施例>
図2に本発明の第1実施例の周波数変換回路を示す。本実施例は図1の周波数変換回路においてN=1とした場合の回路である。乗算器1、2、3としては、図5で説明したギルバートセルミキサ回路を使用することができる。また、分周器4としては、図7で説明したDFF回路を用いた2分周回路を使用することができる。
【0015】
本実施例では、乗算器群10は1個の乗算器1で構成される。また、分周器4の分周比は2となるので、入力する高周波信号SRF=sin(ωRFt)、Iチャネルのローカル信号SLOI=sin(ωLOt/2)とすると、乗算器1から出力する高周波信号SRFOは、
となる。
【0016】
また、IチャネルのIF信号SIFIは、
となる。そして、図示しない後段のIチャネルの中間周波数フィルタ回路によって、この式(2)中からsin(ωRFt−ωLOt)の信号成分が取り出される。
【0017】
さらに、QチャネルのIF信号SIFQは、SLOQ=cos(ωLOt/2)とすると、
となる。そして、図示しない後段のQチャネルの中間周波数フィルタ回路によって、この式(3)中からcos(ωRFt−ωLOt)の信号成分が取り出される。
【0018】
このように、Iチャネルの中間周波数、Qチャネルの中間周波数は、いずれも高周波信号SRFの周波数ωRFとローカル信号SLOの周波数ωLOの差分の周波数(ωRF−ωLO)となり、ローカル信号に本来の周波数の2倍の周波数の信号を使用する必要はない。
【0019】
<第2実施例>
図3に本発明の第2実施例の周波数変換回路を示す。本実施例は図1の周波数変換回路においてN=3とした場合の回路である。この場合は、乗算器群10は乗算器1を5個縦続接続して構成される。また、分周器4の分周比は6となるので、Iチャネルのローカル信号SLOI=sin(ωLOt/6)となる。乗算器1から出力する高周波信号SRFOは、
となる。
【0020】
また、IチャネルのIF信号SIFIは、
となる。そして、図示しない後段のIチャネルの中間周波数フィルタ回路によって、この式(5)中からsin(ωRFt−ωLOt)の信号成分が取り出される。
【0021】
さらに、QチャネルのIF信号SIFQは、SLOQ=cos(ωLOt/6)となるので、
となる。そして、図示しない後段のQチャネルの中間周波数フィルタ回路によって、この式(6)中からcos(ωRFt−ωLOt)の信号成分が取り出される。
【0022】
このように、Iチャネルの中間周波数、Qチャネルの中間周波数は、いずれも高周波信号SRFの周波数ωRFとローカル信号SLOの周波数ωLOの差分の周波数(ωRF−ωLO)となり、ローカル信号に本来の周波数の2倍の周波数の信号を使用する必要はない。
【符号の説明】
【0023】
1,2,3:乗算器、4:分周器、4A:90度移相器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7