/g)と、前記酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量M(単位:mg/kg)と、前記酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部とを1時間混合して調製したスラリーの導電率σ(単位:μS/cm)と、が、下記式(1)を満たしているかを判定する第1の工程を含む。
前記第1の工程において、前記酸化亜鉛粒子が下記式(1)を満たしていないことが確認された場合、前記酸化亜鉛粒子が下記式(1)を満たすまで、前記酸化亜鉛粒子を洗浄する第2の工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法。
上記式(1)を満たす前記酸化亜鉛粒子を、アルコキシ基を有するシランカップリング剤で表面処理する第3の工程を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法。
前記シランカップリング剤は、アルキルアルコキシシラン、アリルアルコキシシラン、アルキル基を側鎖に有するポリシロキサンおよびアリル基を側鎖に有するポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4または5に記載の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法。
前記シランカップリング剤は、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシランおよびジメトキシジフェニルシラン−トリエトキシカプリリルシランクロスポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4または5に記載の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0014】
[表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法]
本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法は、酸化亜鉛粒子の比表面積S(単位:m
2/g)と、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量M(単位:mg/kg)と、酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部とを1時間混合して調製したスラリーの導電率σ(単位:μS/cm)と、が、下記式(1)を満たしているかを判定する第1の工程を含む。
S・M/σ
2≧0.05・・・(1)
【0015】
本実施形態における酸化亜鉛粒子の比表面積(単位:m
2/g)とは、BET法で求めたBET比表面積のことである。
【0016】
酸化亜鉛粒子の比表面積を測定する方法としては、例えば、全自動比表面積測定装置(商品名:Macsorb HM Model−1201、マウンテック社製)を用いたBET法が挙げられる。
【0017】
本実施形態における酸化亜鉛粒子の比表面積は、化粧料として使用される場合には、4m
2/g以上かつ35m
2/g以下であることが好ましく、6m
2/g以上かつ33m
2/g以下であることがより好ましく、8m
2/g以上かつ32m
2/g以下であることがさらに好ましく、9m
2/g以上かつ31m
2/g以下であることがさらに好ましく、10m
2/g以上かつ30m
2/g以下であることが特に好ましい。上記比表面積の範囲を有する酸化亜鉛粒子を用いることにより、透明性と紫外線遮蔽性に優れる表面処理酸化亜鉛粒子を製造することができる。
【0018】
なお、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法では、酸化亜鉛粒子の比表面積S、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量Mおよびスラリーの導電率σは、上記の式(1)を満たす範囲内にて如何なる値にもなり得る。
【0019】
酸化亜鉛粒子の比表面積が上記範囲であることにより、化粧料に処方された場合に、より透明性の高い化粧料が得られるため好ましい。
【0020】
本実施形態における酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量(単位:mg/kg)とは、偏光ゼーマン原子吸光光度計で求めた値のことである。
【0021】
酸化亜鉛粒子におけるナトリウム含有量を測定する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。テフロン(登録商標)製のビーカーに酸化亜鉛粒子を入れ、そこに適量の水と硝酸5mLを添加する。次いで、この混合物を加熱することにより、酸化亜鉛粒子を硝酸と水の混合液に溶解して、酸化亜鉛粒子を含む水溶液を調製する。得られた水溶液を用いて、偏光ゼーマン原子吸光光度計(型番:Z−2000、日立ハイテク社製)により、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量を測定する。
【0022】
本実施形態における酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量は、10mg/kg以上であることが好ましく、20mg/kg以上であることがより好ましく、50mg/kg以上であることがさらに好ましい。また、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量は、500mg/kg以下であることが好ましく、200mg/kg以下であることがより好ましく、110mg/kg以下であることがさらに好ましく、100mg/kg以下であることが特に好ましい。酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0023】
酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量が上記範囲であることにより、シランカップリング剤による酸化亜鉛粒子の表面処理反応の均一性・均質性が良好となり、分散性が高く、紫外線遮蔽性能に優れる表面処理酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0024】
本実施形態における酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部とを1時間混合して調製したスラリー(以下、「酸化亜鉛粒子を含むスラリー」という。)の導電率(単位:μS/cm)とは、次の方法により測定された値のことである。
【0025】
酸化亜鉛粒子を含むスラリーの導電率を測定する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。酸化亜鉛粒子10質量部と、純水90質量部とを、攪拌子を用いて、1時間、攪拌、混合し、酸化亜鉛粒子を含むスラリーを調製する。攪拌を続けたまま、スラリーの導電率を、導電率計(商品名:ES−12、堀場製作所社製)を用いて測定する。
【0026】
酸化亜鉛粒子を含むスラリーの導電率は、25μS/cm以上であることが好ましく、30μS/cm以上であることがより好ましく、50μS/cm以上であることがさらに好ましく、60μS/cm以上であることが特に好ましい。また、酸化亜鉛粒子を含むスラリーの導電率は、200μS/cm以下であることが好ましく、190μS/cm以下であることがより好ましく、150μS/cm以下であることがさらに好ましく、100μS/cm以下であることが特に好ましい。酸化亜鉛粒子を含むスラリーの導電率の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0027】
酸化亜鉛粒子を含むスラリーの導電率が上記範囲であることにより、シランカップリング剤による酸化亜鉛粒子の表面処理反応の均一性・均質性が良好となり、分散性が高く、紫外線遮蔽性能に優れる表面処理酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0028】
また、酸化亜鉛粒子を含むスラリーのpHは、7.1以上かつ9.0以下であることが好ましく、7.5以上9.0以下であることがより好ましく、7.5以上8.5以下であることがさらに好ましい。
酸化亜鉛粒子を含むスラリーのpHが上記範囲であることにより、シランカップリング剤による酸化亜鉛粒子の表面処理反応の均一性・均質性が良好となり、分散性が高く、紫外線遮蔽性能に優れる表面処理酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0029】
本実施形態において、酸化亜鉛粒子を含むスラリーのpHとは、次の方法により測定された値を意味する。
上述のように、酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部とを1時間混合し、酸化亜鉛粒子を含むスラリーを調製する。pH計(商品名:D−51、株式会社堀場製作所製)を用いて、得られたスラリーのpHを測定する。
【0030】
シランカップリング剤の表面処理反応は、加水分解・縮重合反応であり、表面被覆の反応効率上、加水分解したシランカップリング剤が速やかに酸化亜鉛粒子と反応することが好ましい。酸化亜鉛粒子のpHが上記範囲であれば、酸化亜鉛粒子をシランカップリング剤で表面処理する場合、加水分解反応と縮重合反応の速度のバランスがよく、シランカップリング剤が酸化亜鉛粒子の表面に一様に化学的に結合しやすくなるため好ましい。また、表面処理中に酸化亜鉛粒子が溶解することを抑制することができる点でも好ましい。
【0031】
酸化亜鉛粒子の比表面積S(単位:m
2/g)、ナトリウム含有量M(単位:mg/kg)、および、スラリーの導電率σ(単位:μS/cm)が不明な場合には、第1の工程の前に、上記の方法によりこれらの値を測定すればよい。
なお、第1の工程の前に、比表面積S(単位:m
2/g)、ナトリウム含有量M(単位:mg/kg)、および、スラリーの導電率σ(単位:μS/cm)を測定する場合には、これらの測定を行う順番は、特に限定されない。
【0032】
第1の工程では、酸化亜鉛粒子が上記式(1)を満たしているかを判定する。具体的には、比表面積S(単位:m
2/g)、ナトリウム含有量M(単位:mg/kg)、および、スラリーの導電率σを、上記式(1)に代入し、酸化亜鉛粒子が上記式(1)を満たしているかを判定する。これにより、後述する第3の工程にて、シランカップリング剤による表面処理に最適な酸化亜鉛粒子を選別することができる。
表面処理前の酸化亜鉛粒子が、上記式(1)を満たしている場合、後述する第3の工程にて、その酸化亜鉛粒子を表面処理することにより、性質が一様な表面処理酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0033】
上記式(1)の左辺(S・M/σ
2)は、紫外線遮蔽性を示すSPF(Sun Protection Factor)値をより向上させる観点においては、0.10以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.30以上であることがさらに好ましい。
【0034】
S・M/σ
2の上限値は特に限定されない。例えば、1.0以下であってもよく、0.80以下であってもよく、0.60以下であってもよく、0.50以下であってもよい。
【0035】
なお、S・M/σ
2の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0036】
本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法は、第1の工程において、酸化亜鉛粒子が上記式(1)を満たしていないことが確認された場合、酸化亜鉛粒子が上記式(1)を満たすまで、酸化亜鉛粒子を洗浄する第2の工程を含んでいてもよい。
【0037】
第2の工程において、酸化亜鉛粒子を洗浄する方法は、特に限定されない。酸化亜鉛粒子を洗浄する方法としては、例えば、酸化亜鉛粒子30質量部と、純水70質量部とを、ドラム缶型攪拌機等の攪拌機を用いて、攪拌、混合する方法が挙げられる。酸化亜鉛粒子を洗浄する時間や洗浄回数は、特に限定されず、第4の工程における判定結果に基づいて適宜調整される。
【0038】
酸化亜鉛粒子を洗浄(水洗)することにより、酸化亜鉛粒子の水可溶物と、酸化亜鉛粒子の表面近傍に存在するNaイオンも除去されることととなり、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量が所定の範囲内となるとともに、そのような酸化亜鉛粒子を含むスラリーの導電率も所定の範囲内となる。
【0039】
洗浄後の酸化亜鉛粒子の一部を取り出して試料とし、その試料について、上述の方法にて、酸化亜鉛粒子の比表面積、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量および酸化亜鉛粒子を含むスラリーの導電率を測定する。さらに、第1の工程にて、上述の方法で得られた測定結果に基づいて、酸化亜鉛粒子が上記式(1)を満たしているかを判定する。その結果、酸化亜鉛粒子が上記式(1)を満たしていれば、第2の工程を終了する。一方、酸化亜鉛粒子が上記式(1)を満たしていなければ、酸化亜鉛粒子が上記式(1)を満たすまで、第2の工程を継続する。
【0040】
本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法は、上記式(1)を満たす酸化亜鉛粒子を、アルコキシ基を有するシランカップリング剤(以下、「シランカップリング剤」と略すこともある。)で表面処理する第3の工程を含んでいてもよい。すなわち、第3の工程では、例えば、上記の酸化亜鉛粒子とシランカップリング剤を混合することにより、酸化亜鉛粒子を、シランカップリング剤で表面処理する。
なお、第2の工程を経た酸化亜鉛粒子は、洗浄に用いた純水を除去して、第3の工程に供される。洗浄に用いた純水を除去した後に、乾燥してから、第3の工程に供されてもよい。
【0041】
アルコキシ基を有するシランカップリング剤は、化粧料に使用可能なシランカップリング剤であれば特に限定されない。
アルコキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、下記一般式(2)で表されるシランカップリング剤のうち、化粧料に使用可能なものが挙げられる。
R
1Si(OR
2)
3・・・(2)
(R
1は、炭素原子数1〜18のアルキル基、フルオロアルキル基またはフェニル基、R
2は、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
【0042】
このようなシランカップリング剤としては、アルキルアルコキシシラン、アリルアルコキシシラン、アルキル基を側鎖に有するポリシロキサンおよびアリル基を側鎖に有するポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0043】
アルキルアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリブトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン(トリエトキシカプリリルシラン)、n−オクタデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0044】
シランカップリング剤としては、例えば、ジメトキシジフェニルシラン−トリエトキシカプリリルシランクロスポリマー、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン等の、シロキサン骨格を主鎖とし、分子構造内にアルコキシ基とアクリル基とを有するポリマー型シランカップリング剤等を用いることもできる。
【0045】
シランカップリング剤としては、例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルアルコキシシラン等を用いることもできる。
【0046】
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0047】
上記のシランカップリング剤の中でも、分子内にオクチル基を有するシランカップリング剤がより好ましい。具体的には、官能基の極性が中程度でありナチュラルオイルやエステル油からシリコーンオイルまでの幅広い極性の油相に対応可能なシランカップリング剤がより好ましい。このようなシランカップリング剤としては、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシランおよびジメトキシジフェニルシラン−トリエトキシカプリリルシランクロスポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0048】
酸化亜鉛粒子に対するシランカップリング剤の表面処理量は、表面処理酸化亜鉛粒子に求められる特性に応じて適宜調整すればよい。
シランカップリング剤の混合量は、酸化亜鉛粒子に対して2質量%以上かつ10質量%以下であることが好ましい。シランカップリング剤の混合量が上記範囲であることにより、シランカップリング剤による酸化亜鉛粒子の表面処理反応の均一性・均質性が良好となり、分散性が高く、紫外線遮蔽性能に優れる表面処理酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0049】
なお、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法では、表面処理酸化亜鉛粒子の特性を阻害しない範囲であれば、シランカップリング剤に加えて、化粧料に用いられる表面処理剤であって、シランカップリング剤以外のものを用いて、酸化亜鉛粒子を表面処理してもよい。
【0050】
シランカップリング剤以外の表面処理剤としては、例えば、シリカ、アルミナ等の無機材料や、シリコーン化合物、脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル、有機チタネート化合物等の有機材料が挙げられる。
【0051】
第3の工程において、酸化亜鉛粒子を、シランカップリング剤で表面処理する方法は、特に限定されない。酸化亜鉛粒子を、シランカップリング剤で表面処理する方法は、表面処理に用いる、シランカップリング剤等の成分に応じて、乾式処理や湿式処理等公知の方法が適宜選択される。
【0052】
例えば、乾式処理の場合、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等のミキサー中で、酸化亜鉛粒子を撹拌しながら、ミキサー中の酸化亜鉛粒子に、シランカップリング剤を液滴下あるいはスプレー噴霧にて添加した後、一定時間、高速強撹拌する。その後、撹拌を続けながら、70℃から200℃に加熱処理する。これにより、酸化亜鉛粒子の表面にシランカップリング剤が化学的に結合する。
【0053】
シランカップリング剤の加水分解用の水分は、酸化亜鉛粒子の付着水を用いてもよく、必要に応じてシランカップリング剤と共にまたは別々に添加してもよい。
【0054】
シランカップリング剤は、シランカップリング剤と混合可能な溶媒で希釈して用いてもよい。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや、n−ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素が挙げられる。水分を添加して表面処理する場合には、これらの溶媒の中でも、水との相溶性が高いアルコール等の極性溶媒が好適に用いられる。
【0055】
湿式処理の場合は、例えば、酸化亜鉛粒子、シランカップリング剤および溶媒の混合物を撹拌しながら、25℃から100℃で数時間、混合する。その後、固液分離して回収した固形分を洗浄し、この洗浄物を70℃から200℃で加熱処理する。これにより、酸化亜鉛粒子が、シランカップリング剤で表面処理される。
【0056】
本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法によれば、第1の工程にて、酸化亜鉛粒子が上記式(1)を満たしているかを判定するため、シランカップリング剤による表面処理に最適な酸化亜鉛粒子を選別することができる。したがって、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法によれば、性質が一様な表面処理酸化亜鉛粒子を得ることができる。すなわち、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法によれば、シランカップリング剤による酸化亜鉛粒子の表面処理反応の均一性・均質性が良好となり、分散性が高く、紫外線遮蔽性能に優れる表面処理酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0057】
[表面処理酸化亜鉛粒子]
本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子は、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法によって得られた表面処理酸化亜鉛粒子である。すなわち、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子の表面が、アルコキシ基を有するシランカップリング剤で表面処理された表面処理酸化亜鉛粒子であって、酸化亜鉛粒子が、下記式(1)を満たす。
S・M/σ
2≧0.05・・・(1)
(Sは酸化亜鉛粒子の比表面積(単位:m
2/g)、Mは酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量(単位:mg/kg)、σは酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部とを1時間混合して調製したスラリーの導電率(単位:μS/cm)である。)
【0058】
すなわち、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子は、本実施形態における酸化亜鉛粒子が、シランカップリング剤で表面処理されたものである。
【0059】
本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子において、酸化亜鉛粒子の比表面積、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量、および酸化亜鉛粒子を含むスラリーの導電率の好適な範囲は、本実施形態における酸化亜鉛粒子と同様の数値範囲を採用することができる。
【0060】
酸化亜鉛粒子の表面をシランカップリング剤で表面処理した表面処理酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子とシランカップリング剤が化学的に結合しているため、非常に安定性が高い。また、目的に応じた置換基を有するシランカップリング剤を選択することにより、酸化亜鉛粒子の表面の性質を容易に変更することができる。すなわち、目的に応じて、シランカップリング剤の種類を変更することにより、例えば、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子を配合した化粧料について、肌に塗ったときの伸びや肌触り等の感触を変えることができる。
【0061】
本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子によれば、安定的に高い紫外線遮蔽性を示すことができる。
【0062】
[分散液]
本実施形態の分散液は、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子と、分散媒と、を含有する。
なお、本実施形態の分散液は、粘度が高いペースト状の分散体も含む。
【0063】
分散媒は、化粧料に処方することが可能で、表面処理酸化亜鉛粒子を分散できるものであれば、特に限定されない。
分散媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、オクタノール、グリセリン等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;ナチュラルオイル、エステル油、シリコーンオイル等が挙げられる。
これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0064】
また、他の分散媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の環状炭化水素;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン類等が挙げられる。
これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0065】
また、他の分散媒としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン類;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン類等が挙げられる。
これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0066】
また、他の分散媒としては、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、分岐鎖状軽パラフィン、ワセリン、セレシン等の炭化水素油;イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリオクタノエート等のエステル油;デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール等の疎水性の分散媒が挙げられる。
【0067】
本実施形態の分散液は、その特性を損なわない範囲において、一般的に用いられる添加剤を含んでいてもよい。
【0068】
添加剤としては、例えば、防腐剤、分散剤、分散助剤、安定剤、水溶性バインダー、増粘剤、油溶性薬剤、油溶性色素類、油溶性蛋白質類、UV吸収剤等が挙げられる。
【0069】
本実施形態の分散液における粒度分布の累積体積百分率が50%のときの粒径(d50)は、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。
【0070】
d50の下限値は、特に限定されず、例えば、50nm以上であってもよく、100nm以上であってもよく、150nm以上であってもよい。
d50の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0071】
また、本実施形態の分散液における粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒径(d90)は、400nm以下であることが好ましく、350nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。
【0072】
d90の下限値は、特に限定されず、例えば、100nm以上であってもよく、150nm以上であってもよく、200nm以上であってもよい。
d90の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0073】
分散液のd50が300nm以下の場合には、この分散液を用いて作製した化粧料を皮膚に塗布した場合に、表面処理酸化亜鉛粒子が均一に分布しやすく、紫外線遮蔽効果が向上するため好ましい。また、分散液のd90が400nm以下の場合には、分散液の透明性が高く、この分散液を用いて作製された化粧料の透明性も高くなるため好ましい。
【0074】
すなわち、本実施形態の分散液におけるd50とd90が上記範囲であることにより、透明性に優れ、紫外線遮蔽性に優れる分散液を得ることができる。また、この分散液を用いて作製した化粧料も、透明性と紫外線遮蔽性に優れる。
【0075】
本実施形態の分散液における粒度分布の累積体積百分率の測定方法としては、動的光散乱式粒径分布測定装置(型番:LB−550、堀場製作所製)を用いた方法が挙げられる。
【0076】
本実施形態の分散液における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量は、目的とする分散液の特性に応じて適宜調整される。
【0077】
本実施形態の分散液を化粧料に用いる場合、分散液における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、分散液における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましい。
分散液における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0078】
分散液における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量が上記範囲であることにより、分散液において、表面処理酸化亜鉛粒子が高濃度に含有される。そのため、分散液を用いて作製する化粧料の処方の自由度を向上することができるとともに、分散液の粘度を取り扱いが容易な範囲に調整することができる。
【0079】
本実施形態の分散液の粘度は、5Pa・s以上であることが好ましく、8Pa・s以上であることがより好ましく、10Pa・s以上であることがさらに好ましく、15Pa・s以上であることが最も好ましい。また、分散液の粘度は、300Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましく、80Pa・s以下であることがさらに好ましく、60Pa・s以下であることが最も好ましい。
分散液の粘度の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0080】
分散液の粘度が上記範囲であることにより、酸化亜鉛粒子を高濃度に含んでいても、取り扱いが容易な分散液を得ることができる。
【0081】
本実施形態の分散液の粘度の測定方法としては、例えば、デジタル粘度計(商品名:DV−I+Viscometer、Brookfield社製)を用いて、25℃、20rpmの条件で測定する方法が挙げられる。
【0082】
本実施形態の分散液は、表面処理酸化亜鉛粒子を10質量%含有する分散液を、石英ガラス板上に厚さが12μmとなるように塗布して15分間自然乾燥させて塗膜を形成した場合、その塗膜について測定される物性値が、次の範囲であることが好ましい。
すなわち、上記塗膜の450nmにおける透過率は、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。塗膜の450nmにおける透過率の上限値は特に限定されず、100%以下であってもよく、90%以下であってもよく、80%以下であってもよい。
塗膜の450nmにおける透過率の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0083】
塗膜は450nmにおける透過率が高いほど透明性に優れるため、塗膜の450nmにおける透過率が高いことが好ましい。
【0084】
本実施形態の分散液によって形成された塗膜の450nmにおける透過率の測定方法としては、次のような方法が挙げられる。表面処理酸化亜鉛粒子を10質量%含有する分散液を、石英ガラス板上に厚さが12μmとなるように塗布し、15分間自然乾燥させて塗膜を形成する。次いで、得られた塗膜について、SPFアナライザーUV−1000S(Labsphere社製)を用いて、450nmにおける透過率を測定する。
【0085】
上記塗膜の290nm〜320nmにおける平均透過率は、10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。塗膜の290nm〜320nmにおける平均透過率の下限値は特に限定されず、0%であってもよく、0.5%であってもよく、1%であってもよい。
塗膜の290nm〜320nmにおける平均透過率の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0086】
塗膜は290nm〜320nmにおける平均透過率が低いほど紫外線遮蔽性に優れるため、塗膜の290nm〜320nmにおける平均透過率は低いことが好ましい。
【0087】
本実施形態の分散液によって形成された塗膜の290nm〜320nmにおける平均透過率の測定方法としては、次のような方法が挙げられる。表面処理酸化亜鉛粒子を10質量%含有する分散液を、石英ガラス板上に厚さが12μmとなるように塗布し、15分間自然乾燥させて塗膜を形成する。次いで、得られた塗膜について、SPFアナライザーUV−1000S(Labsphere社製)を用いて、290nm〜320nmにおける平均透過率を測定する。
【0088】
上記塗膜のSPF値は、30以上であることが好ましく、35以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましい。塗膜のSPF値の上限値は特に限定されず、150であってもよく、100であってもよく、80であってもよい。
塗膜のSPF値の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0089】
塗膜のSPF値が大きいほど、紫外線B波を防ぐ効果が大きいため、SPF値は大きいことが好ましい。
【0090】
本実施形態の分散液によって形成された塗膜のSPF値の測定方法としては、次のような方法が挙げられる。表面処理酸化亜鉛粒子を10質量%含有する分散液を、石英ガラス板上に厚さが12μmとなるように塗布し、15分間自然乾燥させて塗膜を形成する。次いで、得られた塗膜について、SPFアナライザーUV−1000S(Labsphere社製)を用いて、SPF値を測定する。
【0091】
上記塗膜の臨界波長(Critical Wavelength)は、370nm以上であることが好ましい。塗膜の臨界波長が370nm以上であることにより、この塗膜を形成する分散液を含有する化粧料は、臨界波長が370nm以上となり、長波長紫外線(UVA)および短波長紫外線(UVB)の広範囲の紫外線を遮蔽することができる。
【0092】
なお、本明細書において「臨界波長」とは、石英ガラス板上に分散液を塗布して形成した塗膜を分析することによって求められる値である。具体的には、上記厚さが12μmの塗膜について、290nm以上かつ400nm以下の紫外線領域の吸収スペクトルを測定し、得られた吸収スペクトルにおいて290nmから長波長側に積分したとき、積分面積が290nm以上かつ400nm以下の全領域での積分面積の90%となる波長を「臨界波長」とする。290nm以上かつ400nm以下の紫外線領域の吸収スペクトルの測定には、例えば、SPFアナライザーUV−1000S(Labsphere社製)が用いられる。
【0093】
本実施形態の分散液の製造方法は、特に限定されない。例えば、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子と、分散媒とを、公知の分散装置で、機械的に分散する方法が挙げられる。
【0094】
分散装置は、必要に応じて選択できる。分散装置としては、例えば、撹拌機、自公転式ミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、サンドミル、ボールミル、ロールミル等が挙げられる。
【0095】
本実施形態の分散液は、化粧料の他、紫外線遮蔽機能やガス透過抑制機能等を有する塗料等に用いることができる。
【0096】
本実施形態の分散液によれば、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子を含むため、安定的に高い紫外線遮蔽性を示す。
【0097】
[組成物]
本実施形態の組成物は、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子と、樹脂と、分散媒と、を含有してなる。
【0098】
本実施形態の組成物における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量は、目的とする組成物の特性に応じて適宜調整される。本実施形態の組成物における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量は、例えば、10質量%以上かつ40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上かつ30質量%以下であることがより好ましい。
【0099】
組成物における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量が上記範囲であることにより、組成物において、表面処理酸化亜鉛粒子が高濃度に含有される。そのため、表面処理酸化亜鉛粒子の特性が充分に得られ、かつ、表面処理酸化亜鉛粒子を均一に分散した組成物が得られる。
【0100】
分散媒は、工業用途で一般的に用いられるものであれば特に限定されない。分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
【0101】
本実施形態の組成物における分散媒の含有量は、特に限定されず、目的とする組成物の特性に応じて適宜調整される。
【0102】
樹脂は、工業用途で一般的に用いられるものであれば特に限定されない。樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0103】
本実施形態の組成物における樹脂の含有量は、特に限定されず、目的とする組成物の特性に応じて適宜調整される。
【0104】
本実施形態の組成物は、その特性を損なわない範囲において、一般的に用いられる添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、重合開始剤、分散剤、防腐剤等が挙げられる。
【0105】
本実施形態の組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子と、樹脂と、分散媒とを、公知の混合装置で、機械的に混合する方法が挙げられる。
【0106】
また、上述の分散液と、樹脂とを、公知の混合装置で、機械的に混合する方法が挙げられる。
【0107】
混合装置としては、例えば、撹拌機、自公転式ミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー等が挙げられる。
【0108】
本実施形態の組成物を、ロールコート法、フローコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、はけ塗り法、浸漬法等の通常の塗布方法により、ポリエステルフィルム等のプラスチック基材に塗布することにより、塗膜を形成することができる。これらの塗膜は、紫外線遮蔽膜やガスバリア膜として活用することができる。
【0109】
本実施形態の組成物によれば、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子を含むため、安定的に高い紫外線遮蔽性を示す。
【0110】
[化粧料]
本実施形態の化粧料は、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子および本実施形態の分散液の少なくとも一方を含有してなる。
【0111】
また、本実施形態の化粧料は、化粧品基剤原料を含有していてもよい。
【0112】
化粧品基剤原料とは、化粧品の本体を形成する諸原料を意味し、油性原料、水性原料、界面活性剤、粉体原料等が挙げられる。
油性原料としては、例えば、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油類等が挙げられる。
【0113】
水性原料としては、精製水、アルコール、増粘剤等が挙げられる。
【0114】
粉末原料としては、有色顔料、白色顔料、パール剤、体質顔料等が挙げられる。
【0115】
本実施形態の化粧料は、例えば、本実施形態の分散液を、乳液、クリーム、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドー等の化粧品基剤原料に、従来通りに配合することにより得られる。
【0116】
また、本実施形態の化粧料は、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子を油相または水相に配合して、O/W型またはW/O型のエマルションとし、そのエマルションと化粧品基剤原料とを配合することにより得られる。
【0117】
本実施形態の化粧料における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量は、目的とする化粧料の特性に応じて適宜調整される。例えば、表面処理酸化亜鉛粒子の含有量の下限は、0.01質量%以上であってもよく、0.1質量%以上であってもよく、1質量%以上であってもよい。また、表面処理酸化亜鉛粒子の含有量の上限は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。
化粧料における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0118】
以下、日焼け止め化粧料について具体的に説明する。
紫外線、特に長波長紫外線(UVA)を効果的に遮蔽し、粉っぽさやきしみの少ない良好な使用感を得るためには、日焼け止め化粧料における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量の下限は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。また、日焼け止め化粧料における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量の上限は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。日焼け止め化粧料における表面処理酸化亜鉛粒子の含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0119】
日焼け止め化粧料は、必要に応じて、疎水性分散媒、表面処理酸化亜鉛粒子以外の無機微粒子や無機顔料、親水性分散媒、油脂、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、pH調整剤、栄養剤、酸化防止剤、香料等を含んでいてもよい。
【0120】
疎水性分散媒としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、分岐鎖状軽パラフィン、ワセリン、セレシン等の炭化水素油、イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリオクタノエート等のエステル油、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0121】
化粧料に含まれる表面処理粒子以外の無機微粒子や無機顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(アパタイト)、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、酸化チタン、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、γ−酸化鉄、チタン酸コバルト、コバルトバイオレット、酸化ケイ素等が挙げられる。
【0122】
日焼け止め化粧料は、さらに有機系紫外線吸収剤を少なくとも1種含有していてもよい。
【0123】
有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、シリコーン系ケイ皮酸紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0124】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0125】
ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤としては、例えば、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、1−(4’−イソプロピルフェニル)−3−フェニルプロパン−1,3−ジオン、5−(3,3’−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
【0126】
安息香酸系紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAメチルエステル等が挙げられる。
【0127】
アントラニル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等が挙げられる。
【0128】
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−2−プロパノールフェニルサリシレート等が挙げられる。
【0129】
ケイ皮酸系紫外線吸収剤としては、例えば、オクチルメトキシシンナメート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、ジ−パラメトキシケイ皮酸−モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等が挙げられる。
【0130】
シリコーン系ケイ皮酸紫外線吸収剤としては、例えば、[3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル−1−メチルプロピル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート、[3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル−3−メチルプロピル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート、[3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルプロピル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート、[3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルブチル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート、[3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルブチル]−3,4,5−トリメトキシシンナメート、[3−トリス(トリメチルシロキシ)シリル−1−メチルプロピル]−3,4−ジメトキシシンナメート等が挙げられる。
【0131】
上記以外の有機系紫外線吸収剤としては、例えば、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、5−(3,3’−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、シリコーン変性紫外線吸収剤、フッ素変性紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0132】
本実施形態の化粧料の臨界波長は、370nm以上であることが好ましい。化粧料の臨界波長が370nm以上であることにより、長波長紫外線(UVA)および短波長紫外線(UVB)の広範囲の紫外線を遮蔽することができる。
【0133】
本実施形態の化粧料によれば、本実施形態の表面処理酸化亜鉛粒子を含むため、安定的に高い紫外線遮蔽性を示す。
【実施例】
【0134】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0135】
[実施例1]
「酸化亜鉛粒子の選定」
酸化亜鉛粒子として、平均粒子径:35nmの市販品Zを用いた。
全自動比表面積測定装置(商品名:Macsorb HM Model−1201、マウンテック社製)を用いたBET法により、酸化亜鉛粒子の比表面積Sを測定した。
次の方法により、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量Mを測定した。トールビーカーに酸化亜鉛粒子を0.5g、純水80g、濃硝酸10mlを添加して、撹拌子を用いて撹拌し、酸化亜鉛粒子を溶解させた。この溶解液をメスフラスコに移し、純水で200mLに定容した。得られた水溶液を用いて、偏光ゼーマン原子吸光光度計(型番:Z−2000、日立ハイテク社製)により、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量Mを測定した。
次の方法により、酸化亜鉛粒子10質量部と純水90質量部とを1時間混合して調製したスラリーの導電率σを測定した。酸化亜鉛粒子10質量部と、純水90質量部とを、攪拌子を用いて、1時間、攪拌、混合し、酸化亜鉛粒子を含むスラリーを調製した。攪拌を続けたまま、得られたスラリーの導電率σを、導電率計(商品名:ES−12、堀場製作所社製)を用いて測定した。
以上の測定の結果、酸化亜鉛粒子の比表面積S=30m
2/g、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量M=1400mg/kg、スラリーの導電率σ=1034μS/cm、S・M/σ
2=0.04であった。この酸化亜鉛粒子は、S・M/σ
2≧0.05を満たしていなかった。
そこで、純水による酸化亜鉛粒子の洗浄を繰り返して、比表面積S=30m
2/g、ナトリウム含有量M=56mg/kg、スラリーの導電率σ=85.6μS/cm、S・M/σ
2=0.23である酸化亜鉛粒子A1を得た。酸化亜鉛粒子A1の比表面積S、ナトリウム含有量M、スラリーの導電率およびS・M/σ
2を表1に示す。
なお、洗浄は、酸化亜鉛粒子が30質量%となるように純水を添加し、ドラム缶型攪拌機で1時間攪拌する操作を3回行った。
【0136】
「表面処理酸化亜鉛粒子の作製」
純水による洗浄を経て得られた酸化亜鉛粒子A1を乾燥した。
酸化亜鉛粒子A1の100質量部をヘンシェルミキサーに投入した。酸化亜鉛粒子A1をヘンシェルミキサーで撹拌しながら、酸化亜鉛粒子A1に、オクチルトリエトキシシラン(商品名:KBE−3083、信越化学社製)5質量部、純水0.375質量部、およびイソプロピルアルコール7.125質量部の混合液を添加した。これらの混合物をヘンシェルミキサー内で混合し、1時間撹拌した。
次いで、得られた混合物をジェットミルで粉砕し、この粉砕粉を100℃で乾燥することにより、実施例1の表面処理酸化亜鉛粒子B1を得た。
【0137】
「分散液の作製」
表面処理酸化亜鉛粒子B1を10質量部と、分散剤(商品名:KF−6028、信越化学社製)を2質量部と、デカメチルシクロペンタシロキサン88質量部とを、攪拌機により4000rpmで撹拌し、実施例1の分散液C1を得た。
【0138】
[実施例2]
実施例1において、洗浄回数を2回に減らした以外は実施例1と同様にして、酸化亜鉛粒子を含むスラリーを調製した。
その結果、比表面積S=30m
2/g、ナトリウム含有量M=70mg/kg、スラリー導電率σ=186.7μS/cm、S・M/σ
2=0.06の酸化亜鉛粒子A2を得た。酸化亜鉛粒子A2の比表面積S、ナトリウム含有量M、スラリーの導電率およびS・M/σ
2を表1に示す。
酸化亜鉛粒子A1を用いる替りに、酸化亜鉛粒子A2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の表面処理酸化亜鉛粒子B2と、実施例2の分散液C2とを得た。
【0139】
[実施例3]
酸化亜鉛粒子として、平均粒子径:44nmの市販品Yを用いた。
実施例1と同様にして、酸化亜鉛粒子の比表面積S、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量Mおよびスラリーの導電率σを測定した。
以上の測定の結果、酸化亜鉛粒子の比表面積S=24m
2/g、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量M=2400mg/kg、スラリーの導電率σ=1370μS/cm、S・M/σ
2=0.03であった。この酸化亜鉛粒子は、S・M/σ
2≧0.05を満たしていなかった。
そこで、純水による酸化亜鉛粒子の洗浄を繰り返して、比表面積S=24m
2/g、ナトリウム含有量M=81mg/kg、スラリー導電率σ=67.1μS/cm、S・M/σ
2=0.43の酸化亜鉛粒子A3を得た。酸化亜鉛粒子A3の比表面積S、ナトリウム含有量M、スラリーの導電率およびS・M/σ
2を表1に示す。
なお、洗浄は、酸化亜鉛粒子が30質量%となるように純水を添加し、ドラム缶攪拌機で1時間攪拌する洗浄を3回行った。
酸化亜鉛粒子A1を用いる替りに、酸化亜鉛粒子A3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の表面処理酸化亜鉛粒子B3と、実施例3の分散液C3とを得た。
【0140】
[実施例4]
実施例3において、洗浄回数を2回に減らした以外は実施例3と同様にして、酸化亜鉛粒子を含むスラリーを調製した。
その結果、比表面積S=24m
2/g、ナトリウム含有量M=97mg/kg、スラリー導電率σ=75.7μS/cm、S・M/σ
2=0.41の酸化亜鉛粒子A4を得た。酸化亜鉛粒子A4の比表面積S、ナトリウム含有量M、スラリーの導電率およびS・M/σ
2を表1に示す。
酸化亜鉛粒子A1を用いる替りに、酸化亜鉛粒子A4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の表面処理酸化亜鉛粒子B4と、実施例4の分散液C4とを得た。
【0141】
[実施例5]
酸化亜鉛粒子として、平均粒子径:53nmの市販品Xを用いた。
実施例1と同様にして、酸化亜鉛粒子の比表面積S、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量Mおよびスラリーの導電率σを測定した。
以上の測定の結果、酸化亜鉛粒子の比表面積S=20m
2/g、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量M=101mg/kg、スラリーの導電率σ=81.2μS/cm、S・M/σ
2=0.31であった。この酸化亜鉛粒子は、S・M/σ
2≧0.05を満たしていた。
そこで、純水による酸化亜鉛粒子の洗浄を行わず、市販品Xを酸化亜鉛粒子A5とした。酸化亜鉛粒子A5の比表面積S、ナトリウム含有量M、スラリーの導電率およびS・M/σ
2を表1に示す。
酸化亜鉛粒子A1を用いる替りに、酸化亜鉛粒子A5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の表面処理酸化亜鉛粒子B5と、実施例5の分散液C5とを得た。
【0142】
[実施例6]
酸化亜鉛粒子として、平均粒子径:106nmの市販品Wを用いた。
実施例1と同様にして、酸化亜鉛粒子の比表面積S、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量Mおよびスラリーの導電率σを測定した。
以上の測定の結果、酸化亜鉛粒子の比表面積S=10m
2/g、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量M=31mg/kg、スラリーの導電率σ=82μS/cm、S・M/σ
2=0.05であった。この酸化亜鉛粒子は、S・M/σ
2≧0.05を満たしていた。
そこで、純水による酸化亜鉛粒子の洗浄を行わず、市販品Wを酸化亜鉛粒子A6とした。酸化亜鉛粒子A6の比表面積S、ナトリウム含有量M、スラリーの導電率およびS・M/σ
2を表1に示す。
酸化亜鉛粒子A1を用いる替りに、酸化亜鉛粒子A6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の表面処理酸化亜鉛粒子B6と、実施例6の分散液C6とを得た。
【0143】
[実施例7]
酸化亜鉛粒子として、平均粒子径:71nmの市販品Vを用いた。
実施例1と同様にして、酸化亜鉛粒子の比表面積S、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量Mおよびスラリーの導電率σを測定した。
以上の測定の結果、酸化亜鉛粒子の比表面積S=15m
2/g、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量M=48mg/kg、スラリーの導電率σ=65μS/cm、S・M/σ
2=0.17であった。この酸化亜鉛粒子は、S・M/σ
2≧0.05を満たしていた。
そこで、純水による酸化亜鉛粒子の洗浄を行わず、市販品Vを酸化亜鉛粒子A7とした。酸化亜鉛粒子A7の比表面積S、ナトリウム含有量M、スラリーの導電率およびS・M/σ
2を表1に示す。
酸化亜鉛粒子A1を用いる替りに、酸化亜鉛粒子A7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の表面処理酸化亜鉛粒子B7と、実施例7の分散液C7とを得た。
【0144】
[比較例1]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替りに、実施例1の洗浄前の酸化亜鉛粒子Zを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の表面処理酸化亜鉛粒子B8と、比較例1の分散液C8とを得た。
【0145】
[比較例2]
酸化亜鉛粒子A1を用いる替りに、実施例3の洗浄前酸化亜鉛粒子Yを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の表面処理酸化亜鉛粒子B9と、比較例2の分散液C9とを得た。
【0146】
[比較例3]
酸化亜鉛粒子として、平均粒子径:132nmの市販品Uを用いた。
実施例1と同様にして、この酸化亜鉛粒子の比表面積S、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量Mおよびスラリーの導電率σを測定した。
以上の測定の結果、酸化亜鉛粒子の比表面積S=8m
2/g、酸化亜鉛粒子のナトリウム含有量M=18mg/kg、スラリーの導電率σ=76.2μS/cm、S・M/σ
2=0.02であった。この酸化亜鉛粒子を、比較例3の酸化亜鉛粒子A10とした。酸化亜鉛粒子A10の比表面積S、ナトリウム含有量M、スラリーの導電率およびS・M/σ
2を表1に示す。
酸化亜鉛粒子A1を用いる替りに、酸化亜鉛粒子A10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の表面処理酸化亜鉛粒子B10と、比較例3の分散液C10とを得た。
【0147】
[評価]
「粒度分布の測定」
実施例1〜実施例7および比較例1〜実施例3で得られた分散液について、粒度分布の累積体積百分率が50%のときの粒径(d50)と、粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒径(d90)とを測定した。分散液における粒度分布の累積体積百分率の測定には、動的光散乱式粒径分布測定装置(型番:LB−550、堀場製作所製)を用いた。結果を表2に示す。
【0148】
「SPF値、臨界波長、透過率の測定」
実施例1〜実施例7および比較例1〜実施例3で得られた分散液を、それぞれ石英ガラス板上に厚さが12μmとなるように塗布し、15分間自然乾燥させて塗膜を形成した。
得られた塗膜について、SPFアナライザーUV−1000S(Labsphere社製)を用いて、450nmにおける透過率、290nm〜320nmにおける平均透過率およびSPF値を測定した。
また、得られた塗膜について、SPFアナライザーUV−1000S(Labsphere社製)を用いて、290nm〜400nmの紫外線領域の吸収スペクトルを測定し、得られた吸収スペクトルにおいて290nmから長波長側に積分したとき、積分面積が290nm〜400nmの全領域での積分面積の90%となる波長を臨界波長とした。
以上の結果を表2に示す。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】
表1および表2の結果から、実施例1〜実施例7の分散液からなる塗膜は、450nmにおける透過率が46%以上かつ77%以下であるにも拘わらず、290nm〜320nmにおける平均透過率が3%以下、SPF値が33以上、臨界波長が370nm以上であった。したがって、実施例1〜実施例7の分散液からなる塗膜は、紫外線遮蔽性が高く、かつ、長波長紫外線(UVA)および短波長紫外線(UVB)の広範囲の紫外線を遮蔽することができることが分かった。これは、実施例1〜実施例7の分散液に含まれる表面処理酸化亜鉛粒子は、紫外線遮蔽性が一様であることを示している。
一方、表1および表2の結果から、比較例1〜比較例3の分散液からなる塗膜は、450nmにおける透過率が48%以上かつ72%以下であるが、290nm〜320nmにおける平均透過率が4%以上、SPF値が21以下、臨界波長が370nm以上であった。したがって、比較例1〜比較例3の分散液からなる塗膜は、長波長紫外線(UVA)および短波長紫外線(UVB)の広範囲の紫外線を遮蔽することができるものの、紫外線遮蔽性が低いことが分かった。これは、比較例1〜比較例3の分散液に含まれる表面処理酸化亜鉛粒子は、紫外線遮蔽性が一様でないことを示している。