(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-36822(P2019-36822A)
(43)【公開日】2019年3月7日
(54)【発明の名称】位相差給電アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/30 20060101AFI20190208BHJP
H01Q 5/378 20150101ALI20190208BHJP
H01Q 19/24 20060101ALI20190208BHJP
【FI】
H01Q3/30
H01Q5/378
H01Q19/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-156532(P2017-156532)
(22)【出願日】2017年8月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【弁理士】
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】福園 隼人
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正文
(72)【発明者】
【氏名】品川 晃祥
(72)【発明者】
【氏名】中村 宏之
(72)【発明者】
【氏名】関 智弘
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
【Fターム(参考)】
5J020AA01
5J020BC09
5J021AA02
5J021AA07
5J021AA11
5J021AB03
5J021CA01
5J021DB03
5J021GA02
5J021JA02
(57)【要約】
【課題】小型かつ広帯域で高利得の位相差給電アンテナ装置を実現する。
【解決手段】第1給電素子、第2給電素子、無給電素子の順に配置された位相差給電アンテナ装置において、送受信する電磁波の自由空間波長をλとしたときに、第1給電素子と第2給電素子との間隔をλ/8とし、第2給電素子と無給電素子との間隔を 3λ/40とし、第1給電素子に対する第2給電素子の給電位相差を40度以上 140度以下に設定する構成である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1給電素子、第2給電素子、無給電素子の順に配置された位相差給電アンテナ装置において、
送受信する電磁波の自由空間波長をλとしたときに、前記第1給電素子と前記第2給電素子との間隔をλ/8とし、前記第2給電素子と前記無給電素子との間隔を 3λ/40とし、前記第1給電素子に対する前記第2給電素子の給電位相差を40度以上 140度以下に設定する構成である
ことを特徴とする位相差給電アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位相差給電アンテナ装置において、
比誘電率2〜3の誘電体基板上に配置した線路により、前記40度以上 140度以下の給電位相差をつけて前記第1給電素子と前記第2給電素子に給電する構成である
ことを特徴とする位相差給電アンテナ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の位相差給電アンテナ装置において、
前記第1給電素子と前記第2給電素子との間隔を利用し、前記第1給電素子と前記第2給電素子に対して直角かつ直線状に配置した給電線により給電位相差45度を設定する構成である
ことを特徴とする位相差給電アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3素子で高利得の位相差給電アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の位相差給電アンテナ装置の構成例を示す(非特許文献1)。
図6において、位相差給電アンテナ装置は、第1給電素子11−1、第2給電素子11−2、無給電素子12により構成される。2本の給電素子の間隔はλ/8(λ:自由空間波長)であり、位相差 180度で給電する構成である。給電位相差 180度を実現するには、2対の平行フィーダ13−1,13−2を給電素子に接続する際に線路を交差させることで位相を反転させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】電子情報通信学会編、「アンテナ工学ハンドブック(第2版)」、10.14.6 位相差給電アンテナ、p.681 (平成20年7月25日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
位相差給電アンテナ装置の給電部は、2対の平行フィーダを用いることにより簡易に実現可能であるが、平行フィーダを用いて線路を交差させる構成は接続部を不安定にさせ、経年劣化に対する耐性が弱い課題がある。また、2本の給電素子の間隔は固定(λ/8)であり、2本の給電素子への給電も一体で行うことから狭帯域特性(比帯域3%以下)になる課題がある。
【0005】
本発明は、小型かつ広帯域で高利得の位相差給電アンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1給電素子、第2給電素子、無給電素子の順に配置された位相差給電アンテナ装置において、送受信する電磁波の自由空間波長をλとしたときに、第1給電素子と第2給電素子との間隔をλ/8とし、第2給電素子と無給電素子との間隔を 3λ/40とし、第1給電素子に対する第2給電素子の給電位相差を40度以上 140度以下に設定する構成である。
【0007】
本発明の位相差給電アンテナ装置において、比誘電率2〜3の誘電体基板上に配置した線路により、40度以上 140度以下の給電位相差をつけて第1給電素子と第2給電素子に給電する構成である。
【0008】
本発明の位相差給電アンテナ装置において、第1給電素子と第2給電素子との間隔を利用し、第1給電素子と第2給電素子に対して直角かつ直線状に配置した給電線により給電位相差45度を設定する構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、第1給電素子、第2給電素子、無給電素子の各間隔および給電位相差を限定することにより、小型かつ広帯域で高利得の位相差給電アンテナ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の位相差給電アンテナ装置の実施例構成を示す図である。
【
図2】実施例構成における給電位相差と利得特性の関係を示す図である。
【
図3】実施例構成における給電位相差とバックローブレベル特性の関係を示す図である。
【
図4】実施例構成における給電位相差と第1給電素子の入力反射特性の関係を示す図である。
【
図5】実施例構成における給電線の構成例を示す図である。
【
図6】従来の位相差給電アンテナ装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の位相差給電アンテナ装置の実施例構成を示す。
図1において、本実施例の位相差給電アンテナ装置は、第1給電素子11−1、第2給電素子11−2、無給電素子12により構成される。第1給電素子11−1と第2給電素子11−2の間隔はλ/8(λ:自由空間波長)であり、第2給電素子11−2と無給電素子12との間隔は 3λ/40である。このとき、第1給電素子11−1から無給電素子12までのアンテナ長がλ/5となる。例えば60MHz帯(波長5m)の電磁波を送受信する場合はアンテナ長が1mとなる。
【0012】
このように無給電素子12を給電素子に近接して配置し、給電素子の整合をとることにより、3素子の位相差給電のデメリットである狭帯域特性を改善し、通常の分配回路を用いて広帯域特性(比帯域7%程度)を確保することができる。
【0013】
さらに、第1給電素子11−1に対する第2給電素子11−2の給電位相差(位相遅れ)を40度以上 140度以下に設定する。以下、その理由を示す。
【0014】
図2は、実施例構成における給電位相差と利得特性の関係を示す。
図2において、3素子の八木・宇田型アンテナ相当の利得として6dBi 以上が妥当とすると、給電位相差は30度以上となり、 200度でも6dBi 以上確保できることがわかる。
【0015】
図3は、実施例構成における給電位相差とバックローブレベル特性の関係を示す。
図3において、バックローブレベル特性としてメインローブから5dB以上の差が妥当とすると、給電位相差は20度以上 140度以下となる。
【0016】
図4は、実施例構成における給電位相差と第1給電素子の入力反射特性の関係を示す。
図4において、第1給電素子の入力反射特性として−6dB以下(電力の3/4は供給)とすると、給電位相差は40度以上 160度以下となる。
【0017】
この3つの特性のAND条件から、本実施例の位相差給電アンテナ装置における給電位相差は、40度以上 140度以下が適当である。
【0018】
ここで、給電位相差を45度にする場合は、
図5に示すように、λ/8間隔に配置される第1給電素子11−1と第2給電素子11−2に対して、直角かつ直線状に配置される給電線として、例えば金属パイプ等を用いて平行フィーダ13−1,13−2を構成する。これにより、λ/8=45度の給電位相差を簡単かつ堅固な構成により実現可能となり、経年劣化に耐えうる構成とすることができる。
【0019】
また、給電部として、比誘電率2〜3の誘電体基板上に配置した線路により、40度以上 140度以下の給電位相差をつけて第1給電素子11−1と第2給電素子11−2に給電する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0020】
11 給電素子
12 無給電素子
13 平行フィーダ