【解決手段】干渉法距離測定装置は、少なくとも3つの異なる波長を有する光線束を提供し、かつその格子定数が、発生された波長に同調された少なくとも3つの異なるブラッグ格子を含有するファイバレーザとして形成された多波長光源を有する。さらに、光線束を測定光線束および基準光線束に分割する干渉計ユニットを有する。測定光線束は測定アーム内で測定反射器の方向に伝搬しかつそこで逆反射を受け、基準光線束は基準アーム内で定置基準反射器の方向に伝搬しかつそこで逆反射を受ける。測定および基準反射器から逆反射された測定および基準光線束は干渉して干渉光線束内において重なる。波長ごとにそれぞれ位相がずれた複数の部分干渉信号を発生するように、検出ユニットを介して干渉光線束の分割が行われる。信号処理ユニットにより、異なる波長の部分干渉信号から測定反射器に関する絶対位置情報が決定される。
少なくとも1つのレーザ作動ファイバ(13;113;213;313)は、所定の偏光方向を有するレーザ光線を放射する、エルビウムがドーピングされた単一モードガラス繊維として形成されている請求項2に記載の装置。
少なくとも1つのレーザ作動ファイバ(13;113;213;313)は、ファイバホルダ(14)内で2つの固定点(17,18)間に張力が与えられて配置され、かつ少なくとも3つのブラッグ格子(113.1_λ1,113.1_λ2,113.1_λ3;213.1_λ1,213.1_λ2,213.1_λ3;313.1_λ1,313.1_λ2,313.1_λ3)は、ファイバホルダ(14)内で両方の固定点(17,18)間の領域内に配置されている請求項2に記載の装置。
干渉計ユニット(30)は、光線分割ユニット(31)、少なくとも1つの測定方向(x)に沿って可動な測定反射器(33)、定置基準反射器(34)並びに光線結合ユニット(31)を含み、光線分割ユニット(31)を介して、光線束(S)の、測定および基準光線束(M,R)への分割が行われ、光線結合ユニット(31)を介して、測定および基準反射器(33,34)から逆反射された測定および基準光線束(M,R)の干渉光線束(IF)への重ね合わせが行われる請求項1ないし10のいずれかに記載の装置。
検出ユニット(40)は、少なくとも1つの分割素子(41,42)、少なくとも1つの偏光素子(43)並びに少なくとも9つの光学電子検出器素子(46.1,...46.9)からなる後置検出器配列(46)を含み、この場合、少なくとも1つの分割素子(41,42)および少なくとも1つの偏光素子(43)を介して、干渉光線束(IF)の、少なくとも3つのグループの干渉光線束(IF90,IF210,IF330)への波長に依存した分割が行われ、少なくとも3つのグループの干渉光線束(IF90,IF210,IF330)の各々は、それぞれ位相がずれた少なくとも3つの部分干渉光線束を含む請求項1ないし12のいずれかに記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、絶対干渉法距離測定装置を提供することを課題の基礎とする。この場合、特に、使用される光源の側でできるだけ少ない費用が発生すべきものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。
本発明による装置の有利な実施形態は、従属請求項に記載された手段から得られる。
本発明による干渉法距離測定装置は、少なくとも3つの異なる波長を有する光線束を提供し、かつその格子定数が、発生された波長に同調された少なくとも3つの異なるブラッグ格子を含有するファイバレーザとして形成された多波長光源を含む。さらに、光線束を測定光線束および基準光線束に分割する干渉計ユニットが設けられ、この場合、測定光線束は測定アーム内で測定反射器の方向に伝搬しかつそこで逆反射を受け、基準光線束は基準アーム内で定置基準反射器の方向に伝搬しかつそこで逆反射を受ける。測定および基準反射器から逆反射された測定および基準光線束は干渉して干渉光線束内において重なる。波長ごとにそれぞれ位相がずれた複数の部分干渉信号を発生するように、検出ユニットを介して干渉光線束の分割が行われる。さらに、異なる波長の部分干渉信号から測定反射器に関する絶対位置情報を決定するように適合された信号処理ユニットが設けられている。
【0007】
多波長光源は、少なくとも、次の部品を含み、すなわち、
ポンプ光源を含み、
1つ以上のレーザ作動ファイバ内に組み込まれた少なくとも3つのブラッグ格子を含み、この場合、ブラッグ格子の各々は大きさπの位相ジャンプを有し、
ポンプ光源から放射されたポンプ光線が、それを介して少なくとも1つのレーザ作動ファイバ内に連結可能な連結光学装置を含むことが可能である。
【0008】
この場合、少なくとも3つのブラッグ格子は、ファイバ伸長方向に沿って、少なくとも1つのレーザ作動ファイバ内に完全に重なって配置され、これにより、全てのブラッグ格子の位相ジャンプは同じ位置に位置してもよい。
【0009】
さらに、少なくとも3つのブラッグ格子は、ファイバ伸長方向に沿って、所定のオフセット距離だけ相互にずれて配置され、これにより、全てのブラッグ格子の位相ジャンプはファイバ伸長方向に沿って同様にオフセット距離だけ相互にずれていることが可能である。
【0010】
この場合、3つのブラッグ格子の場合でかつ
a)ブラッグ格子の有効格子長さの0%と50%の間のオフセット距離においては、レーザ作動ファイバは、1つの格子定数を有するブラッグ格子を備えた第1格子部分、異なる格子定数を有する2つの重なりブラッグ格子を備えた第2格子部分並びに異なる格子定数を有する3つの重なりブラッグ格子を備えた第3格子部分を有し、または
b)ブラッグ格子の有効格子長さの50%と100%の間のオフセット距離においては、レーザ作動ファイバは、1つの格子定数のブラッグ格子を備えた第1格子部分および異なる格子定数を有する2つの重なりブラッグ格子を備えた第2格子部分を有し、または
c)ブラッグ格子の有効格子長さの100%のオフセット距離においては、レーザ作動ファイバは、1つの格子定数のブラッグ格子を備えた格子部分のみを有してもよい。
【0011】
少なくとも1つのレーザ作動ファイバは、所定の偏光方向を有するレーザ光線を放射する、エルビウムがドーピングされた単一モードガラス繊維として形成されていることが好ましい。
【0012】
少なくとも1つのレーザ作動ファイバは、ファイバホルダ内で2つの固定点間に張力が与えられて配置され、かつ少なくとも3つのブラッグ格子は、ファイバホルダ内で両方の固定点間の領域内に配置されていることが有利である。
【0013】
制御ユニットは、所定の波長を有するレーザ光線を発生させるために、1つ以上の調節要素を介して多波長光源に作用し、この場合、制御ユニットの入力信号として、異なる波長の1つのみの光信号から導かれた電気信号が機能することが可能である。
【0014】
調節要素は、次の手段、すなわち、
a)少なくとも1つのレーザ作動ファイバに所定の機械的張力を付勢する圧電アクチュエータユニット、
b)少なくとも1つのレーザ作動ファイバを所定温度に調節する温度調節ユニット、
c)少なくとも1つのレーザ作動ファイバ用ポンプ光源の所定ポンプ電流を調節する電源の少なくとも1つを含んでもよい。
【0015】
多波長光源は、第1波長(λ
1)および2つの他の波長(λ
2、λ
3)を有するこれらの光線を放射するように適合されたとき、有利であることがわかり、この場合、両方の他の波長(λ
2、λ
3)に対して、
【0016】
【数1】
【0017】
および
【0018】
【数2】
【0019】
が適用され、ここで、
【0020】
【数3】
【0021】
および
【0022】
【数4】
【0023】
であり、ここで
λ
1、λ
2、λ
3=多波長光源の放射波長
【0024】
【数5】
【0025】
である。
干渉計ユニットは、光線分割ユニット、少なくとも1つの測定方向に沿って可動な測定反射器、定置基準反射器並びに光線結合ユニットを含むことが有利であり、この場合、光線分割ユニットを介して、光線束の、測定および基準光線束への分割が行われ、光線結合ユニットを介して、測定および基準反射器から逆反射された測定および基準光線束の干渉光線束への重ね合わせが行われる。
【0026】
この場合、光線分割ユニットおよび光線結合ユニットは共通して光線分割器立方体に形成されていることが可能である。
さらに、検出ユニットは、少なくとも1つの分割素子、少なくとも1つの偏光素子並びに少なくとも9つの光学電子検出器素子からなる後置検出器配列を含むように設計されていてもよい。少なくとも1つの分割素子および少なくとも1つの偏光素子を介して、干渉光線束の、少なくとも3つのグループの干渉光線束への波長に依存した分割が行われ、この場合、少なくとも3つの干渉光線束の各々は、それぞれ位相がずれた少なくとも3つの部分干渉光線束を含む。
【0027】
検出ユニットは2つの分割素子を含むことが好ましく、この場合、分割素子を介して、位相がずれた複数の干渉光線束への分割が行われ、他の分割素子を介して、複数の部分干渉光線束への波長に依存した分割が行われる。
【0028】
信号処理ユニットは、
波長ごとに異なる波長の位相がずれた電気部分干渉信号から位相値を決定するように、
位相値から、それぞれ異なる合成波長に付属された複数の差位相を形成するように、
追加の粗位置測定を介して得られた粗位置信号並びに差位相を介して測定反射器に関する高精度絶対位置情報を決定するように適合されていることが有利である。
【0029】
本発明による装置において、複数の波長を発生するための光源側の費用が著しく低減可能であることが特に有利であることがわかる。複数の個別光源の代わりに、絶対干渉法位置測定のために必要な全ての波長を提供するただ1つの光源のみが設けられている。
【0030】
さらに、ただ1つの波長の安定化のみが必要であり、このことは、光源に対して必要な制御費用を著しく低減させる。
さらに、複数の個別光源を有する場合に対して、異なる波長の複数の光線束をただ1つの共線的光線束にする費用のかかる調節が不必要となる。
【0031】
特に、設けられた多波長光源は、きわめて小さい線幅、したがって、大きなコヒーレンス長さを保証する。位置測定に対して、これは、発生された位置測定値の小さいノイズ、したがって、向上された測定精度を結果として得る。
【0032】
本発明のその他の詳細および利点は、図面と組み合わされた、本発明による装置の実施例の以下の記載により説明される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明による干渉法距離測定装置の一実施例が
図1に概略図で示される。装置は、多波長光源10、干渉計ユニット30、検出ユニット40並びに信号処理ユニット50を含む。この実施例において、本発明による装置を用いて、図に示されていない相対的に相互に可動な2つの物体間の絶対距離Lの高精度測定が可能である。この例において、両方の物体の一方は、干渉計ユニット30に付属された、測定方向xに沿って可動な測定反射器33と結合され、両方の物体の他方は、これに対して、干渉計ユニット30の定位置に配置された他の部品と結合される。
【0035】
両方の物体は、例えば、相互に可動な機械部品であってもよく、それらの絶対距離Lは、本発明による装置によって決定可能である。本発明による装置によって発生された絶対距離Lに関する情報は、上位の機械制御装置によって後続処理可能である。
【0036】
さらに、本発明による装置は、レーザトラッカまたはレーザトレーサにおいて使用することもまた可能である。この場合、干渉計ユニット30の定置部品と空間内で可動な測定反射器33の間の絶対距離が決定される。このようなシステムは、種々の測定および/または校正課題と関連して使用されてもよい。さらに、本発明による装置に対してさらに他の使用可能性が存在することは当然である。
【0037】
以下に種々の図により本発明による装置の個々の部品並びにそれらの適切な操作方法を詳細に説明する前に、はじめに、対応装置の概略構造ないしは基本的な機能原理を説明する。
【0038】
本発明による装置内に設けられた多波長光源10は、それぞれ狭いスペクトル線幅を有する少なくとも3つの異なる波長λ
1、λ
2、λ
3を有する光線束Sを放射する。この場合、多波長光源10はファイバレーザとして形成され、ファイバレーザは少なくとも3つの異なるブラッグ格子を含み、それらの格子定数は、発生された波長λ
1、λ
2、λ
3に同調されている。多波長光源10のさらなる詳細に関しては
図2、3、4a−4dおよび6を、適切な波長λ
1、λ
2、λ
3の選択に関しては
図8の説明を参照されたい。
【0039】
多波長光源10から供給された光線束Sが、干渉計ユニット30内に到達し、ここで、光線束Sは偏光光線分割器として形成された光線分割ユニット31により、測定光線束Mおよび基準光線束Rに分割される。測定光線束Mは、分割後、測定アーム内において、少なくとも測定方向xに沿って可動測定反射器33の方向に伝搬し、そこで入射方向に逆に逆反射を受ける。基準光線束Rは、分割後、基準アーム内において、定置基準反射器34の方向に伝搬し、そこで同様に入射方向に逆に逆反射を受ける。図示の例においては、測定反射器33並びに基準反射器34は再帰反射トリプルミラーとして形成されている。測定および基準反射器33、34から逆反射された測定および基準光線束M、Rは、次に、偏光光線分割器として構成された光線結合ユニット31に到達し、そこで干渉して干渉光線束IFに重ね合わされる。
図1に示した実施例において、光線分割ユニット31ないしは光線結合ユニット31として、光線分割器立方体の単一の構造が設けられ、この中に両方のユニットが共通に形成されている。光線分割器立方体の光線分割面ないしは光線結合面32において、光線束Sの、測定および共通光線束M、Rへの分割ないしは測定および共通光線束M、Rの、干渉光線束IFへの再結合が行われる。干渉光線束IFは、干渉計ユニット30の出口において、さらにλ/4板35を通過し、λ/4板は干渉光線束IFのsおよびp偏光部分を1つの回転Eフィールドベクトルに重ね合わせ、その偏光角が解析のために使用される。したがって、この実施例において、干渉計ユニット30は偏光コーディングされた干渉計として形成されている。
【0040】
干渉計30に関して、
図1に示したマイケルソン干渉計の形の構成は発明に対して全く重要ではないので、本発明による装置の干渉計ユニット30において、代替干渉計変更態様および/または構成部品もまた使用可能であることを指摘しておく。したがって、それらの間で絶対距離が測定される反射器として、屈折率n=2を有する球もまた使用可能である。さらに、例えば平面鏡等の他の方法で形成された測定および基準反射器が使用可能であることもまた当然である。同様に、測定および基準光線束の分割および結合のために分離された光線分割および光線結合ユニットを有するマッハツェーンダ干渉計等が使用されてもよい。
【0041】
干渉計ユニット30により発生された干渉光線束IFは、次に、検出ユニット40の方向に伝搬する。検出ユニット40により、干渉光線束IFの分割ないしは後続処理は、出口側で、放射された波長λ
1、λ
2、λ
3ごとにそれぞれ、位相がずれた複数の電気部分干渉信号S
λ1_90、S
λ1_210、S
λ1_330、S
λ2_90、S
λ2_210、S
λ2_330、S
λ3_90、S
λ3_210、S
λ3_330、すなわち波長ごとにそれぞれ120°位相がずれた3つの部分干渉信号S
λ1_90、S
λ1_210、S
λ1_330、S
λ2_90、S
λ2_210、S
λ2_330、S
λ3_90、S
λ3_210、S
λ3_330が発生するように行われる。3つの波長λ
1、λ
2、λ
3を有するこの例において、検出ユニット40の出口に、このとき全体として9つの部分干渉信号S
λ1_90、S
λ1_210、S
λ1_330、S
λ2_90、S
λ2_210、S
λ2_330、S
λ3_90、S
λ3_210、S
λ3_330が存在し、これらはそれに続いて位置測定のために後続処理される。検出ユニット40の可能な構造に関して、
図7の以下の説明が参照される。
【0042】
それに続いて、部分干渉信号S
λ1_90、S
λ1_210、S
λ1_330、S
λ2_90、S
λ2_210、S
λ2_330、S
λ3_90、S
λ3_210、S
λ3_330の後続処理は、同様に
図1に略図でのみ示した信号処理ユニット50内で行われる。これは、異なる波長λ
1、λ
2、λ
3の部分干渉信号S
λ1_90、S
λ1_210、S
λ1_330、S
λ2_90、S
λ2_210、S
λ2_330、S
λ3_90、S
λ3_210、S
λ3_330から、測定反射器33と光線分割ユニット31の間の距離Lの形の絶対位置情報を決定するように適合される。これは、多波長うなり法により行われ、この場合、解析方法および信号処理ユニット50の具体的な構成に関しては、
図8の他の説明が参照される。
【0043】
ここで、
図2、3、4a−4d、5および6により、本発明による装置内で使用される多波長光源10が説明される。
上記のように、多波長光源10は、ファイバレーザとして、しかもいわゆるDFBファイバレーザ(DFB、分布フィードバック)の形で形成されている。
図2に示すように、ファイバレーザは、中心部品として、適切にドーピングされたファイバコアを有するレーザ作動ファイバ13を含む。ファイバ13内に、連結光学装置12を介して、ファイバの正面側に、ポンプ光源11から放射された、レーザ放射を励起するための光ポンプ光源が連結される。ポンプ光源11として、この場合、976nmの波長を有するポンプ光線を放射するGaAlAsダイオードレーザの形のいわゆる半導体レーザが使用されてもよい。
【0044】
この例においては、レーザ作動ファイバ13は、エルビウムがドーピングされた信号モードガラス繊維として形成され、それは、適切な励起により、所定の偏光方向を有するレーザ光線を放射する。したがって、エルビウムは、多波長光源10のこの実施例においてレーザ作動媒体として働く。このレーザ媒体は、3つの波長λ
1、λ
2、λ
3においてきわめて狭い帯域のレーザ光線の発生を可能にし、これにより、数kmの範囲内の大きなコヒーレンス長さが保証可能である。大きなコヒーレンス長さは、それに関して得られた位置測定値のノイズを最小にすることが可能であるので、特に干渉法距離測定に利用するためにきわめて有利であることがわかる。ファイバレーザとして形成された多波長光源10の他の利点は、その簡単な製造および健全性である。
【0045】
レーザ作動ファイバ13内にないしはエルビウムがドーピングされたファイバコア内に、少なくとも3つのブラッグ格子が組み込まれ、ないしは記入され、ブラッグ格子は、それぞれの波長に対して、それぞれレーザ作動のために必要なレーザ共鳴器を形成するように使用される。
図3の図において、符号13.1により、個々のブラッグ格子の重ね合わせ配置から得られた格子が示されている。
図2および3には詳細に示されていないファイバ13ないしはファイバコア内のブラッグ格子は、それぞれ、二元屈折率格子として形成されている。これは、各ブラッグ格子が、ファイバ伸長方向に沿って、異なる屈折率を有する格子範囲の周期的並列配置から構成されていることを意味する。ファイバ13内の少なくとも3つのブラッグ格子の相対配置に関して、以下に
図4a−4dによりさらに説明されるように、基本的に種々の可能性が存在する。
図3の例において、同じ格子長さを有する、設けられた3つのブラッグ格子は、ファイバ13の伸長方向に沿って完全に重ね合わされて配置されている。
【0046】
3つのブラッグ格子の格子定数d
1、d
2、d
3は、光線束S内において発生される3つの波長λ
1、λ
2、λ
3に同調され、すなわち、3つのブラッグ格子は、異なる格子定数d
1、d
2、d
3を有する。適切に相互に同調された適切な波長λ
1、λ
2、λ
3を選択するために、次の実施形態に補足して、
図8の説明もまた参照される。3つの波長λ
1、λ
2、λ
3において希望されるできるだけ狭い帯域の単一モードのレーザ作動を保証するために、3つのブラッグ格子の各々は、さらに、好ましくはブラッグ格子内の中心ないしは中央に設けられた、大きさπの位相ジャンプ13.2を有する。大きさπの位相ジャンプ13.2は、両方のブラッグ部分格子が位相ジャンプ13.2の両側に相互に半分の格子周期だけずれていることを意味する。
図3の例においてファイバ伸長方向に沿って設けられた、3つのブラッグ格子の完全に重ね合わされた配置に基づいて、全ての格子の位相ジャンプは、レーザ作動ファイバ13の同じ位置に位置しかつ図において符号13.2で示される。
【0047】
可能な実施例において、3つの波長λ
1、λ
2、λ
3は具体的に次のように選択される。
λ
1=1560nm、λ
2=1547,11nm、λ
3=1534,32nm
3つのブラッグ格子の格子定数d
i(i=1...3)とそれぞれに付属の波長λ
i(i=1...3)の間の関係は、この場合、次式により得られる。
【0049】
ここで、
λ
i=放射波長
n
i=波長λ
iにおけるレーザ作動ファイバの屈折率
d
i=ブラッグ格子の格子定数
i=1、2、3
したがって、エルビウムがドーピングされたレーザ作動ファイバ13の屈折率n
1=n
2=n
3=1,45を用いて、上に例として与えられた波長λ
1=1560nm、λ
2=1547,11nm、λ
3=1534,32nmに対して、付属のブラッグ格子の次の格子定数が得られる。
d
1=537,93nm、d
2=533,49nm、d
3=529,07nm
図2、3並びに6からわかるように、レーザ作動ファイバ13は、この二分割のファイバホルダ14内に機械的に保持される。
図6の断面図に示すように、ファイバホルダ14の下部部分は溝形状ないしはV形状の凹部14.1を有し、凹部内にファイバ13が支持される。ファイバホルダ14の上部部分は板状に形成されかつ凹部14.1を被覆する。
【0050】
図2および3において、符号17、18によりそれぞれ固定点が示され、これらの間に、レーザ作動ファイバ13は、ファイバホルダ14内において張力が与えられて配置されている。その中に3つのブラッグ格子が配置され、ないしは記入されたファイバ13のこの領域、すなわち、ファイバ13のレーザ作動領域は、この場合、固定点17、18の間に設けられている。固定点17、18の間の範囲内において、ファイバ13がファイバホルダ14内にできるだけ制振されて配置されているとき、さらに有利であることがわかる。これは、図示の実施例において、ファイバホルダ14の凹部14.1内に、追加して、例えば粘性オイル、シリコーンまたは接着剤のような、図に示されていない制振手段が配置されることにより行われる。固定点17、18は、ファイバホルダ14内のファイバ13の適切な機械的締結の形で形成されていてもよいが、代替態様として、ファイバ13の固定は、固定点17、18におけるファイバ13の接着を介して行われてもよい。
さらに、
図2および3に、それぞれ概略図で示された圧電アクチュエータユニット15並びに温度調節ユニット16が、ファイバ13のレーザ作動領域に隣接して示されている。これらの部品は、以下に詳細に説明されるように、調節要素として働き、それに、制御ユニット24が、特に所定の波長λ
1、λ
2、λ
3を有するレーザ光線を発生させるように作用する。このために、レーザ作動ファイバ13から放射された、ポンプ波長のフィルタリングのために予めポンプ光フィルタ19を通過した光線束Sの一部が、分離素子20により、フィルタ22および吸収セル21を介して光検出器23に供給され、その出力信号が制御ユニット24に供給される。例えばWDMカップラとして形成されたポンプ光フィルタ19を介して、場合によりまだ光線束S内に含まれているポンプ光部分がフィルタリングされ、これにより、これがそれに続く信号経路内に到達して、そこで例えば光学部品を損傷させることはない。レーザ作動ファイバ13に作用させるために、制御ユニット24を介して、次に、圧電アクチュエータユニット15により、ファイバホルダ14内に挟み付けられたファイバ13のレーザ作動領域にかかる機械的張力が所定のように変化されてもよい。さらに、温度調節ユニット16を介して、ファイバ13のレーザ作動領域の温度を所定のように変化させることが可能である。さらに、希望の波長λ
1、λ
2、λ
3の正確な周波数を保証するために、制御ユニット24を介して、ポンプ光源11のポンプ電流に所定の方法で作用する可能性もまた存在する。制御ユニット24の作動方法のより詳細な説明に関しては、
図5の以下の説明が参照される。
【0051】
上記のように、この例においては、レーザ作動ファイバ13内ないしはそのファイバコア内に、3つのブラッグ格子が組み込まれ、ないしは記入され、そのそれぞれの構成は、発生される3つの波長λ
1、λ
2、λ
3に同調され、この場合、3つのブラッグ格子の格子定数d
1、d
2、d
3が適切に選択される。設けられたブラッグ格子ごとに、さらに、同様に上記のように、好ましくはブラッグ格子の中心ないしは中央に配置された、値πの位相ジャンプが設けられている。
【0052】
この実施例において設けられた3つのブラッグ格子のレーザ作動ファイバ内における配置に関して、基本的に複数の可能性が存在する。対応変更態様は、以下に
図4a−4dの概略図により説明される。個々の図の上部部分にそれぞれ、略図で、個々のブラッグ格子の重ね合わせから得られた格子を有するファイバが示され、格子は、重ね合わせ変更態様に応じてそれぞれ、異なる格子部分を有する。図の下部部分にそれぞれ、略図の形で、得られた格子内の種々の格子部分が、ファイバ内において、複数の個々のブラッグ格子のそれぞれの相対位置ないしは重ね合わせからどのように得られたかが示されている。
【0053】
レーザ作動ファイバ内の3つのブラッグ格子の可能な配置に対する第1変更態様が
図4aに示され、この配置変更態様は、
図3の実施例からのそれに対応する。
図4aの上部部分内に、3つの個々のブラッグ格子の完全に重ね合わされた配置から得られた格子が符号13.1で示され、これはここでは大きさπのただ1つの中心位相ジャンプ13.2を有する。
図4aの下部部分に、個々の3つのブラッグ格子13.1_λ
1、13.1_λ
2、13.1_λ
3が、それらがこの変更態様において相互に相対的にどのようにファイバ13内に配置されているかに関して、きわめて概略的に示されている。3つのブラッグ格子13.1_λ
1、13.1_λ
2、13.1_λ
3の格子定数d
1、d
2、d
3のみならず、重ね合わせから得られたファイバ13内の格子13.1もまた、縮尺は正確ではないが、示されていることがわかる。これは、3つのブラッグ格子13.1_λ
1、13.1_λ
2、13.1_λ
3が、上記のように、発生される波長λ
1、λ
2、λ
3に依存して異なる格子定数d
1、d
2、d
3を有することを単に原理的に表わしたにすぎない。
【0054】
図4aに示した変更態様において、この場合、3つのブラッグ格子13.1_λ
1、13.1_λ
2、13.1_λ
3はファイバ伸長方向に沿ってレーザ作動ファイバ13内に完全に重ね合わされて配置されているように設計されている。したがって、個々のブラッグ格子13.1_λ
1、13.1_λ
2、13.1_λ
3の位相ジャンプは重なりかつ重ね合わせから得られたファイバ13内の格子は中心位相ジャンプ13.2を有する。ここでさらに、3つのブラッグ格子13.1_λ
1、13.1_λ
2、13.1_λ
3の重ね合わせから得られた格子13.1内に、全長にわたり、個々のブラッグ格子13.1_λ
1、13.1_λ
2、13.1_λ
3の格子定数ないしは格子周波数が存在する。このように重ね合わされたブラッグ格子配置は、例えば、個々のブラッグ格子13.1_λ
1、13.1_λ
2、13.1_λ
3の屈折率変調の加算的重ね合わせにより発生可能である。
【0055】
それに続いて
図4b−4dにより説明されるレーザ作動ファイバ内の3つのブラッグ格子の配置に関する変更態様においては、
図4aからの変更態様とは異なり、それぞれ、3つのブラッグ格子がファイバ伸長方向に沿って所定のオフセット距離Vだけ相互にずれて配置されているように設計されている。種々の変更態様において、オフセット距離Vはそれぞれ異なっている。これらの変更態様において、このとき、個々のブラッグ格子の位相ジャンプは、
図4aとは異なり、ファイバ伸長方向に沿って同様に対応オフセット距離Vだけ相互にずれている。
【0056】
レーザ作動ファイバ113内の3つのブラッグ格子113.1_λ
1、113.1_λ
2、113.1_λ
3の可能な配置に対する
図4bに示した第2変更態様においては、具体的に、隣接ブラッグ格子113.1_λ
1、113.1_λ
2、113.1_λ
3の間にブラッグ格子113.1_λ
iの格子長さの0%と50%の間のオフセット距離Vを設定するように設計されている。この場合、3つの異なるブラッグ格子113.1_λ
1、113.1_λ
2、113.1_λ
3はそれぞれ、ファイバ伸長方向に沿って同じ有効格子長さを有する。有効格子長さとは、この場合、それぞれの波長に対して作用する、格子の縦方向に沿ったブラッグ格子113.1_λ
iの長さと理解される。有効格子長さは、この場合、ブラッグ格子113.1_λ
iの機械的長さに対応せず、機械的長さと格子の尺度係数および屈折率行程との積から得られる。
【0057】
図4bの例において、ブラッグ格子113.1_λ
2はブラッグ格子113.1_λ
3に対してブラッグ格子113.1_λ
iの有効格子長さの約25%のオフセット距離Vだけファイバ113内において右にずれて配置され、ブラッグ格子113.1_λ
1は、ブラッグ格子113.1_λ
2に対してブラッグ格子113.1_λ
iの有効格子長さの約25%だけファイバ113内において右にずれて配置されている。
【0058】
したがって、ファイバ113内の重ね合わせから得られた格子内に、これが
図4bの上部部分に示されているように、異なる第1、第2および第3格子部分113.1a、113.1b、113.1cが得られる。この場合、個々のブラッグ格子113.1_λ
1、113.1_λ
2、113.1_λ
3の設けられた相対配置に基づいて、第1格子部分113.1aは、1つの格子定数のみを備えたブラッグ格子113.1_λ
1、113.1_λ
2、113.1_λ
3を有する。第2格子部分113.1bは、それぞれ2つの異なる格子定数を有する2つのブラッグ格子113.1_λ
1、113.1_λ
2、113.1_λ
3の重ね合わせ配置から得られる。最後に、第3格子部分113.1cは、それぞれ3つの異なる格子定数を有する3つのブラッグ格子113.1_λ
1、113.1_λ
2、113.1_λ
3の重ね合わせ配置から得られる。
【0059】
レーザ作動ファイバ213内の3つのブラッグ格子213.1_λ
1、213.1_λ
2、213.1_λ
3の可能な配置の他の変更態様が、
図4cに、前の変更態様と同様に示されている。具体的に、ここでは、隣接ブラッグ格子213.1_λ
1、213.1_λ
2、213.1_λ
3の間にブラッグ格子213.1_λ
iの有効格子長さの50%と100%の間のオフセット距離Vが設けられている。すなわち、例えばブラッグ格子213.1_λ
2は、ブラッグ格子113.1_λ
3に対してブラッグ格子213.1_λ
iの有効格子長さの50%だけファイバ213内において右にずれて配置され、ブラッグ格子213.1_λ
1は、ブラッグ格子213.1_λ
2に対して同様にブラッグ格子213.1_λ
iの有効格子長さの約50%のオフセット距離Vだけファイバ213内において右にずれて配置されている。したがって、ファイバ213内の重ね合わせから得られた格子内に、これが
図4bの上部部分内に示されているように、異なる第1および第2格子部分213.1a、213.1bが得られる。この場合、個々のブラッグ格子213.1_λ
1、213.1_λ
2、213.1_λ
3の設けられた相対配置に基づいて、それぞれ1つの格子定数のみを有するブラッグ格子213.1_λ
1、213.1_λ
2、213.1_λ
3の第1格子部分213.1aを有する。第2格子部分213.1bは、それぞれ2つの異なる格子定数を有する2つのブラッグ格子213.1_λ
1、213.1_λ
2、213.1_λ
3の重ね合わせ配置から得られる。
【0060】
レーザ作動ファイバ313内の3つのブラッグ格子313.1_λ
1、313.1_λ
2、313.1_λ
3の可能な配置に対する第4実施形態が、一方で、前記の変更態様に類似して
図4dに示されている。ここで、この場合、隣接ブラッグ格子313.1_λ
1、313.1_λ
2、313.1_λ
3の間にブラッグ格子213.1_λ
iの有効格子長さの100%のオフセット距離Vが設定される。すなわち、例えばブラッグ格子313.1_λ
2は、ブラッグ格子313.1_λ
3に対してブラッグ格子313.1_λ
iの有効格子長さの100%のオフセット距離Vだけファイバ313内において右にずれて配置され、ブラッグ格子313.1_λ
1は、同様に、ブラッグ格子313.1_λ
2に対してブラッグ格子313.1_λ
iの有効格子長さの100%だけファイバ313内において右にずれて配置されている。したがって、重ね合わせから得られたファイバ313内の格子内に、
図4bの上部部分に示されているように、格子部分313.1aのみが得られる。この場合、個々のブラッグ格子313.1_λ
1、313.1_λ
2、313.1_λ
3の設けられた相対配置に基づいて、全ての格子部分313.1aは、それぞれ1つの格子定数のみを備えたブラッグ格子を有する。
【0061】
ファイバホルダ14内のレーザ作動ファイバ13の配置に関して、上記の変更態様の各々において、全てのブラッグ格子がその中に存在するファイバ13の領域は、固定点17、18の間に配置されることが保証されている。
【0062】
図5の概略図により、以下に、本発明による装置の多波長光源10に対する適切な制御が説明され、これにより、出力側に希望の3つの波長λ
1、λ
2、λ
3が提供可能である。
【0063】
この場合、既に
図2に示された多波長光源10の一部、すなわち、分離素子20とポンプ光源の電源11.1、圧電アクチュエータユニット15および温度調節ユニット16の形の種々の調節要素の間の信号処理が拡大された形で示されている。
【0064】
上記のように、例えば99:1または90:10の分離比を有するファイバスプリッタとして形成された分離素子20を介して、レーザ作動ファイバから放射された光線束の一部が分離される。分離後、
図5に示すように、光線領域A内に、はじめに、発生された3つの実際波長λ
1、λ
2、λ
3が存在する。分離された光線部分は、次に、フィルタ22に供給され、フィルタは例えば干渉フィルタとして形成されかつ目標波長λ
2のみを透過させる。したがって、フィルタ22を通過した後、光線領域B内に、放射された光線束Sからの実際波長λ
2のみが存在し、実際波長はそれに続いて吸収セル21に供給される。吸収セル21はアセチレンセルまたはHCNセルとして形成されかつ
図5の詳細C内に示された吸収線ALを有する。
【0065】
波長λ
2の変動の場合、吸収線ALの形はいわゆる狭いレーザニードルLNにより出発される。後置光検出器23において得られた信号を波長に対して図に目盛ったとき、吸収線の形を測定する。ここで、吸収線の傾斜の中央に着目したとき、波長変化は、後置光検出器23において、吸収セル21の出力信号の上昇ないしは低下を導く。
【0066】
したがって、吸収セル21を通過した光線は、実際波長λ
2と必要な目標波長λ
2の間の差に対する尺度を示す。対応する光制御信号はそれに続いて光検出器23に供給され、光検出器は光制御信号を電流信号の形の電気制御信号に変換し、電気制御信号はそれに続いて制御ユニット24に供給される。さらに、制御ユニット24に基準信号が供給され、基準信号は、分離素子25により光線領域Bから分離された光線がそれに到達した光素子26を介して発生される。このように、光強度の変動は制御ユニット24内において補正可能である。
【0067】
制御ユニット24は例えばPIDコントローラを含み、かつ設けられた1つ以上の調節要素に所定のように作用し、かつこのようにして目標波長λ
1、λ
2、λ
3を設定するために、出力側に必要な操作量を発生する。制御ユニット24がそれに作用する調節要素として、上記のように、ポンプ光源に対する電源11.1、圧電アクチュエータユニット15並びに温度調節ユニット16が多波長光源内に設けられている。これらの各調節要素への所定の作用を介して、ファイバレーザから放射されたレーザ光線の全ての波長λ
1、λ
2、λ
3が同時に目的どおりに変化可能である。例えば、圧電アクチュエータユニット15によるファイバの1%の伸びは、全ての3つの波長λ
1、λ
2、λ
3のそれぞれ1%等の変化を与える。
【0068】
この場合、種々の時定数を調節するために、種々の調節要素が利用される。すなわち、例えば10kHzより大きい範囲のきわめて急速な波長変動は、ポンプ光源に対する電源11.1により調節される。1Hzと10kHzの間の範囲内の波長変動を調節するためには、圧電アクチュエータユニット15が使用され、きわめて緩慢な波長変動を調節するためには温度調節ユニット16が使用される。
【0069】
したがって、希望の目標波長λ
2への多波長光源の制御は、上記の概略図で示したように実行可能である。この場合、上で説明したレーザ作動ファイバの構成および全てのブラッグ格子への調節要素の同時作用に基づいて、他の必要な波長λ
1、λ
3に対しても制御可能であることが同時に保証されている。したがって、3つの全ての波長λ
1、λ
2、λ
3の所定の制御が可能であり、この場合、制御ユニット24の入力信号として、3つの波長λ
1、λ
2、λ
3の1つのみの光信号から導かれた電気信号が機能する。これにより、3つの個々のレーザおよびここで必要な3つの制御ユニットを有する1つの光源に対して、本発明による装置においては、多波長光源の著しく単純化された制御が得られる。
【0070】
本発明による装置の多波長光源の説明に関して、それに続いて、二分割ファイバホルダ14内のレーザ作動ファイバ13の断面図を示した
図6が参照される。この図において、レーザ作動ファイバのファイバカバー3.3およびファイバコア13.4並びにストレス要素13.5が確認可能である。製造工程においてファイバ13内にシールされたストレス要素13.5を介して、ファイバ13が伝送された光に対して偏光を保持するように作用することが保証されている。
【0071】
図6に、さらに、ファイバ13から放射されたレーザ光線の偏光軸が符号Eで示され、上記のように、多波長光源10は、所定の偏光を有するレーザ光線を放射する。この例において、いわゆる緩慢な偏光軸Eが使用される。
【0072】
次に、ここで、本発明による装置において使用可能な検出ユニット40の構造が
図7により説明される。
図示のように、λ/4板35を通過した後に、回転、線形偏光されたEフィールドから構成された、干渉計ユニットを介して発生された干渉光線束IFが、検出ユニット40に到達する。ここで、第1分割素子41および後置された偏光素子43を介して、干渉光線束IFの、相互に位相がずれた干渉光線束IF
90、IF
210、IF
330への分割が行われる。この場合、第1分割素子41は、それに入射した干渉光線束IFをはじめに空間的に分離された3つの干渉光線束に分割する反射位相格子として形成されている。偏光素子43は、相互にそれぞれ60°だけ回転された偏光方向を有する3つの線形偏光フィルタを含みかつ分割素子41から分離された3つの干渉光線束はそれぞれ120°だけ位相がずれた干渉光線束IF
90、IF
210、IF
330に変換されるように作用する。第1分割素子41および偏光素子42を介しての位相がずれた3つの干渉光線束IF
90、IF
210、IF
330への分割は、図面平面に対して垂直に行われ、すなわち、
図7の図においては、偏光素子43の後方に存在する分割された3つの干渉光線束IF
90、IF
210、IF
330は個々に確認可能ではない。3つの干渉光線束IF
90、IF
210、IF
330は、次に、同様に反射位相格子の形に形成されている第2分割素子42に到達する。第2分割素子42を介して、位相がずれた3つの干渉光線束IF
90、IF
210、IF
330の波長に依存した分割が行われ、これにより、それに続いて波長λ
1、λ
2、λ
3ごとにそれぞれ、位相がずれた3つの部分干渉光線束、すなわち、
図7には詳細に示されていない全部で9つの部分干渉光線束が存在する。部分干渉光線束は、転向素子44および画像化光学装置45を介して、次に検出器配列46に到達し、検出器配列は、ここでは9つの電気光学検出器素子46.1−46.3を含み、この場合、
図7の図においては、それらのうちの一部分のみが確認可能である。画像化光学装置45は、この場合、個々のレンズとしてまたはレンズ配列として形成され、代替態様として、転向素子44と組み合わされてただ1つの構成部品に形成されていてもよい。検出器配列46ないしはその検出器素子46.1−46.9により、9つの部分干渉光線束が検出されかつ9つの電気部分干渉信号S
λ1_90、S
λ1_210、S
λ1_330、S
λ2_90、S
λ2_210、S
λ2_330、S
λ3_90、S
λ3_210、S
λ3_330に変換され、これらは、次に、信号処理ユニットにおいて後続処理される。
図7においては、この場合、発生された全体で9つの部分干渉信号S
λ1_90、S
λ1_210、S
λ1_330、S
λ2_90、S
λ2_210、S
λ2_330、S
λ3_90、S
λ3_210、S
λ3_330のうちの3つの部分干渉信号S
λ1_90、S
λ2_90、S
λ3_90のみが示されている。
【0073】
検出ユニット40は、
図7に示した変更態様の代わりに、ただ1つのモノリシック構成部品の形に特にコンパクトにガラスから形成されてもよい。この構成部品において、特に両方の分割素子、偏光素子、画像化光学装置並びに場合により必要な転向素子のような光学的に関連する種々の構成部品が統合されていてもよい。
【0074】
さらに、検出ユニット40は、この場合、このとき二次元格子として交差格子の形に形成されたただ1つの分割素子のみを含むこともまた可能であろう。さらに、第1分割方向に、例えば2μmより小さい格子周期を有するきわめて細かい格子を介して、少なくとも3つの波長が分離される。第2分割方向に、このとき、例えば10μmより大きい格子周期を有する粗い格子により、少なくとも3つの部分干渉光線束が分割され、その後に、これらは、次に、このように9つの部分干渉信号S
λ1_90、S
λ1_210、S
λ1_330、S
λ2_90、S
λ2_210、S
λ2_330、S
λ3_90、S
λ3_210、S
λ3_330を発生するために偏光素子を通過する。
【0075】
さらに、検出ユニットの図示の変更態様の代わりに、統合されたファイバ光学的波長分割が、いわゆるWDMデマルチプレクサにより行われてもよい。この場合、干渉光線束IFは、はじめに、適切な分割装置を介して空間的に分離された3つの干渉光線束に分割される。それに続いて、干渉光線束は、それぞれ相互に60°だけ回転された偏光方向を有する3つの線形偏光フィルタを含む偏光素子を通過する。これは、分割素子により分離された干渉光線束がそれぞれ120°だけ位相がずれた3つの干渉光線束に変換されるように作用する。これは、次に、それに続いて、レンズを介して、例えばそれぞれ1つの光ファイバに連結された2つのオフセットレンズおよび標準回折レンズを有する回折レンズ配列として実行される。すなわち、3つの干渉光線束は、3つの波長への分割を行ういわゆる波長分割マルチプレクサとそれぞれ接続された3つの別々の光ファイバに供給される。これにより、各波長分割マルチプレクサから、検出器配列の9つの検出器素子に光を導く3つの光ガイドファイバが出ている。
【0076】
したがって、基本的に、検出ユニット40内において、少なくとも1つの分割素子および少なくとも1つの偏光素子を介して、干渉光線束IFの、少なくとも3つのグループの干渉光線束IF
90、IF
210、IF
330への波長に依存した分割が行われ、この場合、干渉光線束IF
90、IF
210、IF
330の少なくとも3つのグループの各々はそれぞれ、位相がずれた少なくとも3つの部分干渉光線束を含む。
【0077】
次に、部分干渉信号S
λ1_90、S
λ1_210、S
λ1_330、S
λ2_90、S
λ2_210、S
λ2_330、S
λ3_90、S
λ3_210、S
λ3_330の後続処理および測定反射器に関する絶対位置情報の決定が、
図8に略図で示した信号処理ユニット50により行われ、その原理的構成並びに解析のために使用される方法が続いて説明される。
【0078】
解析方法を説明するために、さらに、この例において、特に、本発明による装置の多波長光源から放射された異なる波長λ
1、λ
2、λ
3がどのように選択されるかを説明する。
【0079】
すなわち、はじめに、位置測定の最高増分分解能に対応する第1波長λ
1が決定される。次に、2つの他の波長λ
2、λ
3は、次の2つの式2a、2bに従って選択される。
【0082】
2つの式2a、2bからの値CAF
1およびCAF
2は、この場合、次式により決定される。
【0085】
ここで、
λ
1、λ
2、λ
3=多波長光源の放射波長
値CAF
1およびCAF
2は、10と200の間で選択されることが好ましい。
【0086】
式3a、3bからの値Λ
1、Λ
2、Λ
3は、次のように、第1合成波長Λ
1、第2合成波長Λ
2および第3合成波長Λ
3としてもまた示され、この場合、これらの値は次式により得られる。
【0088】
したがって、第3合成波長Λ
3は、第1および第2合成波長Λ
1、Λ
2からのうなりとして発生する。可能な実施例において、信号周期SP
Λ1=0,78μmを用いて第1波長λ
1=1,560μmが選択される。値CAF
1=CAF
2=120を用いて、これから、第1および第3合成波長Λ
1、Λ
3に対して、信号周期SP
Λ1≒93,6μmおよびSP
Λ3≒11,232mmが決定され、この場合、再帰反射器を有するマイケルソン干渉計のこの例においては、基本的に2・SP
Λi=Λ
iおよび2・SP
λ1=λ
1が成立し、ここでi=1..3である。
【0089】
信号処理ユニット50内の解析方法において、可動測定反射器の粗位置測定後に、第1波長λ
1並びに第1および第3合成波長Λ
1およびΛ
3により可動測定反射器と定置干渉計部品の間の絶対距離Lのカスケード式ないしは段階的決定が行われる。対応方法が以下に例で説明される。
【0090】
検出ユニットから発生された部分干渉信号S
λ1_90、S
λ1_210、S
λ1_330、S
λ2_90、S
λ2_210、S
λ2_330、S
λ3_90、S
λ3_210、S
λ3_330は、信号処理ユニット50内において、はじめに増幅器51.1、51.2、51.3を介して増幅され、かつAD変換器52.1、52.2、52.3によりディジタル化される。各波長λ
1、λ
2、λ
3に対して、次に、位相計算ユニット53.1−53.3を介して位相値Φ
λ1、Φ
λ2、Φ
λ3の計算が行われる。位相値Φ
λ1、Φ
λ2、Φ
λ3から、その後に、差位相計算ユニット54.1、54.2、54.3により、異なる合成波長Φ
λ1、Φ
λ2、Φ
λ3に付属された差位相ΔΦ
12、ΔΦ
23およびΔΦが、以下に実行されるように得られる。
【0091】
すなわち、第1合成波長Λ
1に対して、付属の差位相ΔΦ
12が差位相計算ユニット54.1を介して次式のように決定される。
ΔΦ
12=Φ
λ1−Φ
λ2 (式5a)
第2合成波長Λ
2に対して、差位相ΔΦ
23の決定が、差位相計算ユニット54.2によって次式により行われる。
ΔΦ
23=Φ
λ2−Φ
λ3 (式5b)
このように決定された両方の差位相ΔΦ
12、ΔΦ
23から、次に、差位相計算ユニット54.3により第3合成波長Λ
3の差位相ΔΦが次式により決定される。
ΔΦ=ΔΦ
12−ΔΦ
23 (式5c)
上記のように決定された第1および第3合成波長Λ
1、Λ
3の両方の差位相ΔΦ
12並びにΔΦは、その後に、波長λ
1の位相値Φ
λ1と同様に位置決定ユニット55に供給される。
【0092】
上記のように、絶対位置決定のために、はじめに、測定反射体の粗絶対位置決定が行われる。これは、例えば、干渉計ユニットの測定反射器と定置部品の間の走行時間測定を介して実行可能である。このような走行時間測定に対して、可動測定反射器に光パルスが放射されかつそれから反射された光子S
TOFは光子素子56を介して電流パルスに変換される。光子素子56に後置された時間ディジタル変換器ユニット57は、電流パルスの時点したがって走行時間の正確な決定を可能にする。粗位置決定に関して、この場合、数mmの範囲内の精度は十分であり、このことは、走行時間測定を介して基本的に可能である。このようにして得られた粗位置信号TOFは、次に、同様に位置決定ユニット55に供給される。
【0093】
位置決定ユニット55内において、供給された信号TOF、ΔΦ
23、ΔΦおよびΦ
λ1に基づいて、次に、以下に説明するように、カスケードされた形で絶対距離Lの決定が行われる。
【0094】
この場合、第1ステップにおいて、行われた粗位置測定およびこのとき発生された粗位置信号TOFを介して、測定反射器の絶対位置ないしは絶対距離L
TOFが、第3合成波長Λ
3の信号周期SP
Λ3の半分より小さい精度で、すなわち、この例においては5mmより小さい精度で決定される。
【0095】
次のステップにおいて、このとき、第3合成波長Λ
3の差位相ΔΦを使用して、測定反射器の絶対距離L
Λ3の決定が行われる。これは、次に小さい第1合成波長Λ
1の信号周期SP
Λ1の、信号周期SP
Λ2の半分より小さい精度で、すなわち、この例においては45μmより小さい精度で行われる。この場合、絶対距離L
Λ3は次式により決定される。
【0097】
この場合、値Nは、前のステップにおいて決定されたL
TOFに対する値を使用して、次式により決定される。
【0099】
式6b内の丸め関数Roundを介して完全数に丸められる。
次に、それに続くステップにおいて、第1合成波長Λ
1の差位相ΔΦ
12により、測定反射器の絶対距離L
Λ1が決定される。ここで、これは、第1波長λ
1の信号周期SP
Λ1より小さい、すなわち、この例においては390nmより小さい精度で行われる。絶対距離L
Λ1は、この場合、次式により決定される。
【0101】
値Mは、この場合、前のステップにおいて式により決定されたL
Λ3に対する値を使用して、次式により得られる。
【0103】
最後のステップにおいて、次に、位相値Φ
λ1を使用して、絶対距離Lが、利用可能な最高精度で、すなわち、第1波長λ
1の分解能で決定される。絶対距離Lは、この場合、次式により得られる。
【0105】
値Mは、この場合、前のステップにおいて式6aにより決定されたL
Λ1に対する値を使用して、次式により得られる。
【0107】
このように位置決定ユニット55内において得られた絶対距離Lは、次に、信号処理ユニット50から、後続処理のための図に示されていない後続電子装置に供給可能である。
具体的に説明された実施例のほかに、本発明の範囲内において、さらに他の形態可能性が存在することは当然である。
【0108】
すなわち、例えば、位置決定のための適切な絶対干渉法においてこれを使用するために、多波長光源により、3つより多い異なる波長を発生することが可能である。
多波長光源内において、ただ1つのレーザ作動ファイバ内にブラッグ格子を組み込む代わりに、ファイバホルダ内に相互に平行に複数のファイバを配置しかつ各ファイバ内に1つのブラッグ格子のみを組み込むように設計されていてもよい。
【0109】
粗絶対位置測定のための上記の走行時間測定の代わりに、他の測定方法が使用されてもよく、例えば工作機械内に本発明による装置を使用する場合、粗位置測定のために、そこに存在する位置測定装置が使用されてもよい。
【0110】
さらに、レーザ作動ファイバは、エルビウムによる代わりに、例えばイッテルビウム、ツリウムまたはエルビウムおよびイッテルビウムと組み合わせるような、他のドーピング材料でドーピングされていてもよい。レーザ作動ファイバは、さらに、偏光を保持しないファイバとして並びに1つの偏光のみを導く偏光ファイバとして形成されていてもよい。
【0111】
同様に、それぞれ120°だけ位相がずれた部分干渉信号の代わりに、それぞれ90°だけ位相がずれた4つの部分干渉信号を発生することが可能であることは当然である。
本発明による干渉法距離測定装置は、測定および/または校正の課題における上記の使用のほかに、表面の撮像測定に使用されてもよい。それぞれの表面は、この場合、測定反射器として使用されかつ分散して形成されていてもよく、このような使用の場合、そのために、測定反射器は可動に配置されていない。表面ないしは測定反射器の点状走査および表面の各点までの絶対距離の決定により、このようにして、それぞれの表面地形が検出可能である。