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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-57733(P2019-57733A)
(43)【公開日】2019年4月11日
(54)【発明の名称】半導体装置および制御装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20190315BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20190315BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20190315BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20190315BHJP
【FI】
   H01L27/04 H
   H01L27/06 311C
   H01L27/04 V
   G05F1/56 320C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-243129(P2018-243129)
(22)【出願日】2018年12月26日
(62)【分割の表示】特願2015-124684(P2015-124684)の分割
【原出願日】2015年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】米田 尚弘
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5H430
【Fターム(参考)】
5F038AV02
5F038AV10
5F038BB04
5F038BB05
5F038BB08
5F038BE07
5F038BE09
5F038BH02
5F038BH07
5F038BH13
5F038BH19
5F038CA02
5F038CA10
5F038CD02
5F038DF17
5F038DT12
5F038DT18
5F038EZ20
5F048AA02
5F048AC03
5F048BA01
5F048BE03
5F048BE04
5F048CC01
5F048CC09
5F048CC13
5F048CC15
5F048CC16
5F048CC18
5H430BB01
5H430BB05
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE04
5H430FF02
5H430FF13
5H430GG01
5H430HH03
5H430LA03
5H430LA08
(57)【要約】
【課題】サージ印加に起因する内部回路の誤動作による回路素子の破壊を防止することができる半導体装置および内部回路の制御方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、電極パッドを介して印加されるサージに応じて半導体基板の内部を拡散する電荷を捕集する少なくとも1つの捕集部と、捕集部で捕集された電荷に応じて生ずる電流を検出する検出部と、検出部によって電流が検出された場合に所定の制御が行われる内部回路と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた第1回路と、
前記基板の内部を拡散する電荷を捕集する少なくとも1つの捕集部と、
前記捕集部で捕集された電荷で発生する電流に基づいて、前記第1回路からの出力を切り替える第1スイッチング素子と、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記捕集部は、前記基板が有する導電型とは異なる導電型の半導体領域を含む
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記捕集部に接続され、前記電流が流れる抵抗素子をさらに備え、
前記第1スイッチング素子は、前記抵抗素子で発生する電圧降下に基づいてオンオフする
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1回路は、スイッチング素子を介して電圧を出力する電圧レギュレータであり、
前記第1スイッチング素子は、前記第1回路のスイッチング素子に接続されており、
前記第1スイッチング素子のオンオフによって、前記第1回路の出力電圧が切り替わる
請求項1から3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記捕集部及び前記第1スイッチング素子は、電源電圧を供給する第1端子に接続されている
請求項1から4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記捕集部は、前記第1端子と前記第1回路の間に位置する
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記捕集部は複数設けられ、
複数の前記捕集部は、前記第1端子と前記第1回路の間であって、前記基板に平行な方向における前記第1端子からの距離が相互に異なるように位置する
請求項5または6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記捕集部は複数設けられ、
複数の前記捕集部が選択的に接続される可変抵抗素子をさらに備えた
請求項1から7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
第1端子を介して印加される第1電流に応じて基板の内部を拡散する電荷を捕集する少なくとも1つの捕集部と、
前記捕集部で捕集された電荷で発生する電流に基づいて、前記基板に位置する第1回路からの出力を切り替える第1スイッチング素子と、
を含む制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の電極パッドを介して外部から印加されるサージから半導体装置の内部回路を保護するための技術として、以下の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、内部回路と保護回路と間のサージ電流のパス上に絶縁体層を形成することにより、サージ電流の内部回路への流入を防止する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−924858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置の電極パッドを介して外部からサージが印加されると、半導体基板に電荷が注入される。注入された電荷は、半導体基板の内部を拡散する。半導体基板の内部を拡散する電荷が内部回路に到達すると内部回路に流れる電流が変動し、内部回路が誤動作を起こすおそれがある。内部回路が、例えば電圧レギュレータを含む場合、電流の変動に伴って電圧レギュレータの出力電圧が上昇する場合がある。電圧レギュレータから出力電圧の供給を受けて動作するロジック回路は、通常、ゲート酸化膜の膜厚が比較的薄い低耐圧プロセスで形成されたトランジスタを含む。このため、電圧レギュレータの出力電圧がサージ印加に伴って上昇した場合に、ロジック回路を構成するトランジスタ等の回路素子に供給される電圧が耐圧を超えてしまい、ロジック回路の回路素子が破壊されるおそれがある。
【0006】
従来、サージに起因する内部回路の誤動作を防ぐための対策として、サージが印加される電極パッドと内部回路との間の距離を大きくすることで、半導体基板を拡散する電荷が内部回路に到達しないようにするといったレイアウト対策が行われてきた。しかし、近年、半導体装置の低消費電力化のため、内部回路に流す電流が低減され、サージの影響を受けやすくなってきている。また、半導体チップのサイズが縮小化され、サージが印加される電極パッドと内部回路との間の距離を大きくすることが困難となってきており、従来のレイアウト対策を行うことが困難となりつつある。
【0007】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、サージ印加に起因する内部回路の誤動作による回路素子の破壊を防止することができる半導体装置および制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体装置は、基板に設けられた第1回路と、前記基板の内部を拡散する電荷を捕集する少なくとも1つの捕集部と、前記捕集部で捕集された電荷で発生する電流に基づいて、前記第1回路からの出力を切り替える第1スイッチング素子と、を含む。
【0009】
本発明に係る制御装置は、第1端子を介して印加される第1電流に応じて基板の内部を拡散する電荷を捕集する少なくとも1つの捕集部と、前記捕集部で捕集された電荷で発生する電流に基づいて、前記基板に位置する第1回路からの出力を切り替える第1スイッチング素子と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る半導体装置および制御装置によれば、サージ印加に起因する内部回路の誤動作による回路素子の破壊を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置を構成するサージ保護素子を示す回路図である。
図2】本発明の実施形態に係る半導体装置の部分的な構成を示す断面図
図3】本発明の実施形態に係る電圧レギュレータの構成を示す回路図である。
図4】本発明の実施形態に係る制御回路の構成を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る半導体チップ内における、各構成要素のレイアウトの一例を示す図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る制御回路の構成を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る半導体チップ内における各構成要素のレイアウトの一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る半導体チップ内における各構成要素のレイアウトの一例を示す図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る電圧レギュレータの構成を示す回路図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る制御回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は適宜省略する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置を構成するサージ保護素子20および21を示す回路図である。
【0014】
本発明の実施形態に係る半導体装置は、高電位側の電源端子10、入出力端子(I/O端子)11および低電位側の電源端子(グランド端子)12を有する。電源端子10、入出力端子11および電源端子12は、半導体チップの表面に設けられた電極パッドとして構成されている。
【0015】
高電位側の電源端子10には外部から電源電圧vddが供給され、低電位側の電源端子12には外部から電源電圧(グランド電圧)vssが供給される。入出力端子11には、外部からの入力信号が入力され、また、半導体装置の内部に設けられた内部回路からの出力信号が出力される。
【0016】
高電位側の電源端子10には高電位側の電源ライン10aが接続され、低電位側の電源端子12には、低電位側の電源ライン(グランドライン)12aが接続されている。入出力端子11には、信号ライン11aが接続されている。
【0017】
サージ保護素子20は、高電位側の電源ライン10aにソース、ゲートおよびnウェルが接続され、信号ライン11aにドレインが接続されたpチャネル型のトランジスタによって構成されている。一方、サージ保護素子21は、低電位側の電源ライン(グランドライン)12aにソース、ゲートおよびpウェルが接続され、信号ライン11aにドレインが接続されたnチャネル型のトランジスタによって構成されている。サージ保護素子20および21は、入出力端子11に印加されるサージから内部回路を保護する機能を有する。
【0018】
図2は、サージ保護素子20および21を含む、本発明の実施形態に係る半導体装置の部分的な構成を示す断面図である。
【0019】
サージ保護素子20は、p型の導電型を有するシリコン基板30の表層部に形成されたn型の導電型を有するnウェル領域20wと、nウェル領域20wの表層部に形成されたp型の導電型を有するドレイン領域20dおよびソース領域20sと、nウェル領域20wの表層部に形成されたn型の導電型を有するウェルコンタクト領域20cと、ドレイン領域20dとソース領域20sとの間に設けられたゲート20gと、を含む。
【0020】
サージ保護素子21は、シリコン基板30の表層部に形成されたp型の導電型を有するpウェル領域21wと、pウェル領域21wの表層部に形成されたn型の導電型を有するドレイン領域21dおよびソース領域21sと、pウェル領域21wの表層部に形成されたp型の導電型を有するウェルコンタクト領域21cと、ドレイン領域21dとソース領域21sとの間に設けられたゲート21gと、を含む。
【0021】
入出力端子11に負の電圧を有するサージが印加されると、n型半導体で構成されるサージ保護素子21のドレイン領域21dからシリコン基板30内に電子が注入される。シリコン基板30に注入された電子は、シリコン基板30内を拡散する。シリコン基板30内を拡散する電子が、半導体装置の内部に形成された内部回路を構成するトランジスタ22に到達すると、トランジスタ22に流れる電流が変動する場合がある。
【0022】
図3は、本発明の実施形態に係る半導体装置を構成する内部回路の一例である電圧レギュレータ40の構成を示す回路図である。電圧レギュレータ40は、基準電圧生成回路41、アンプ回路42、出力回路43および抵抗分圧回路44を含んで構成されている。
【0023】
基準電圧生成回路41は、pチャネル型のトランジスタQ1、Q2、Q4〜Q7、Q12〜Q14、nチャネル型のトランジスタQ3、Q8〜Q11、キャパシタC1、C2、ダイオードD1、D2、抵抗素子R1〜R3を含んで構成されている。トランジスタQ8およびQ9のゲートには、第1のバイアス電圧を印加するためのバイアス電圧入力端子14が接続され、トランジスタQ10およびQ11のゲートには、第2のバイアス電圧を印加するためのバイアス電圧入力端子15が接続されている。基準電圧生成回路41は、トランジスタQ14と抵抗素子R3との接続点において基準電圧vrefを出力する。
【0024】
アンプ回路42は、演算増幅回路(オペレーショナルアンプ)42aを含んで構成されている。演算増幅回路42aは、非反転入力端子が基準電圧生成回路41を構成するトランジスタQ14と抵抗素子R3との接続点に接続され、反転入力端子が抵抗分圧回路44を構成する抵抗素子R4とR5との接続点に接続され、出力端子が出力回路43を構成するトランジスタQ15のゲートに接続されている。
【0025】
出力回路43は、ソースが高電位側の電源ライン10aに接続され、ドレインが電圧レギュレータ40の出力端子43aに接続され、ゲートが演算増幅回路42aの出力端子に接続されたpチャネル型のトランジスタQ15を含んで構成されている。
【0026】
抵抗分圧回路44は、電圧レギュレータ40の出力端子43aと低電位側の電源ライン(グランドライン)12aとの間に設けられた、直列された抵抗素子R4およびR5を含んで構成されている。抵抗分圧回路44は、電圧レギュレータ40の出力端子43aから出力される出力電圧vddlを、抵抗素子R4とR5の抵抗比に応じた比率で分圧し、分圧した電圧vsを抵抗素子R4とR5との接続点において出力する。
【0027】
以下に、電圧レギュレータ40の動作について説明する。基準電圧生成回路41は、高電位側の電源端子10と低電位側の電源端子(グランド端子)12との間に供給される電源電圧のレベルにかかわらず、一定の基準電圧vrefを出力する。演算増幅回路42aは、抵抗分圧回路44によって生成される電圧vsが、基準電圧生成回路41によって生成された基準電圧vrefと一致するように演算増幅回路42aの出力電圧を制御する。出力回路43を構成するトランジスタQ15が、演算増幅回路42aの出力電圧によって駆動制御されることで、出力端子43aから出力される出力電圧vddlは一定レベルに維持される。出力電圧vddlは、高電位側の電源端子10と低電位側の電源端子(グランド端子)12との間に供給される電源電圧レベル(例えば5V)よりも低い一定の電圧レベル(例えば1.5V)に維持される。なお、出力端子43aには、電圧レギュレータ40の出力電圧vddlの供給を受けるロジック回路(図示せず)が接続されている。このロジック回路は、電圧レギュレータ40の出力電圧vddlが一定に保たれることで、安定した動作を行うことが可能となる。
【0028】
ここで、入出力端子11に印加されるサージによってシリコン基板30内に注入され、シリコン基板30内を拡散する電子が基準電圧生成回路41に到達した場合について考える。シリコン基板30内を拡散する電子が基準電圧生成回路41に到達すると、基準電圧生成回路41を構成するnチャネル型のトランジスタQ9のドレインからシリコン基板30に向けて流れる電流が増加する。これにより、トランジスタQ9のドレインに接続されたノードn1の電位が低下する。ノードn1の電位が低下すると、トランジスタQ14に流れる電流が増加して、基準電圧vrefのレベルが上昇する。基準電圧vrefのレベルが上昇すると、電圧レギュレータ40の出力電圧vddlが上昇する。このように、入出力端子11にサージが印加された場合には、電圧レギュレータ40の出力電圧vddlが、設計値(例えば、1.5V)よりも高いレベルに変動するおそれがある。入出力端子11に印加されるサージの電圧レベルが大きくなり、シリコン基板30に注入される電子の量が多くなる程、出力電圧vddlの上昇幅は大きくなり、最大で、電源電圧レベル(例えば5V)まで上昇することが想定される。このように、電圧レギュレータ40の出力電圧vddlのレベルが、設計値を大きく超えて上昇すると、出力電圧vddlの供給を受けて動作するロジック回路(図示せず)を構成する回路素子の耐圧を超えてしまい、ロジック回路の回路素子が破壊されるおそれがある。
【0029】
そこで、本発明の実施形態に係る半導体装置は、サージ印加に起因してシリコン基板30内を拡散する電荷に応じた電流を検出した場合に、電圧レギュレータ40の出力回路43を構成するトランジスタQ15をオフ状態に制御することによって出力電圧vddlの上昇を抑制する制御回路100を備える。
【0030】
図4は、本発明の実施形態に係る半導体装置を構成する制御回路100の構成を示す図である。制御回路100は、捕集部110および検出部120を含んで構成されている。
【0031】
捕集部110は、入出力端子11を構成する電極パッドを介して印加されるサージに起因してシリコン基板30の内部を拡散する電荷を捕集する。捕集部110は、シリコン基板30の表層部に形成されたn型半導体からなるn型領域を含んで構成されている。n型領域は、例えば、n型の導電型を有するnウェルやnアクティブの形態を有するものであってもよい。捕集部110をn型半導体で構成することにより、シリコン基板30内を拡散する電子は、捕集部110に引き寄せられて捕集される。
【0032】
検出部120は、捕集部110で捕集された電荷に応じて生ずる電流を検出する。検出部120は、一端が捕集部110に接続され、他端が高電位側の電源ライン10aに接続された抵抗素子121を含んで構成されている。また、検出部120は、直列接続されたインバータ122、123およびpチャネル型のトランジスタ124を含んで構成されている。インバータ122の入力端は、抵抗素子121と捕集部110との接続ラインに接続され、出力端がインバータ123の入力端に接続されている。インバータ123の出力端は、トランジスタ124のゲートに接続されている。トランジスタ124は、ソースが電源ライン10aに接続され、ドレインが制御回路100の出力端125となっている。制御回路100の出力端125は、電圧レギュレータ40の出力回路43を構成するトランジスタQ15のゲートに接続されている。
【0033】
以下において、制御回路100の動作について説明する。シリコン基板30内において、サージ印加に伴う電子の拡散が生じていない平常時においては、検出部120を構成するインバータ122の入力電圧はハイレベル(vddレベル)であり、トランジスタ124のゲートにはハイレベル(vddレベル)の電圧が供給される。これにより、トランジスタ124はオフ状態を維持し、電圧レギュレータ40の出力電圧vddlは、平常時における電圧レベル(例えば1.5V)を維持する。
【0034】
入出力端子11を構成する電極パッドにサージが印加された場合には、シリコン基板30に電子が注入され、注入された電子は、シリコン基板30内を拡散する。シリコン基板30内を拡散する電子の少なくとも一部は、捕集部110に捕集される。
【0035】
捕集部110によって捕集された電子は、検出部120を構成する抵抗素子121を経由して電源ライン10aに向けて流れる。これに伴って、電源ライン10aから抵抗素子121を経由して捕集部110に向けて電流Isが流れる。抵抗素子121の両端には、電流Isの大きさに応じた電圧降下が生じる。電流Isの大きさは、捕集部110で捕集された電子の量に比例する。
【0036】
電流Isが抵抗素子121を流れることによって生ずる電圧降下によって、インバータ122の入力電圧が反転レベルにまで降下すると、トランジスタ124のゲートがローレベルとなり、トランジスタ124がオン状態となる。これにより、制御回路100の出力端125にハイレベル(vddレベル)の電圧が出力される。
【0037】
以上のように、制御回路100は、電極パッドに印加されたサージに起因してシリコン基板30内を拡散する電荷を捕集部110で捕集し、捕集部110で捕集された電荷に応じて生ずる電流Isを検出部120で検出する。なお、電流Isが抵抗素子121を流れることによって生ずる電圧降下によってインバータ122の入力電圧が反転レベルにまで降下し、制御回路100の出力端125にハイレベル(vddレベル)の電圧が出力されたことをもって、検出部120において電流Isが検出されたものとする。
【0038】
制御回路100の出力端125は、電圧レギュレータ40の出力回路43を構成するトランジスタQ15のゲートに接続されている。トランジスタQ15は、制御回路100の出力端125からハイレベル(vddレベル)の電圧が供給されるとオフ状態となり、これによって電圧レギュレータ40の出力電圧vddlはローレベル(vssレベル)となる。
【0039】
このように、電圧レギュレータ40および制御回路100を含む本発明の実施形態に係る半導体装置によれば、電極パッドに一定の規模のサージが印加された場合には、電圧レギュレータ40は、出力電圧vddlがローレベル(vss)に制御される。従って、サージ印加に伴って基準電圧生成回路41によって生成される基準電圧vrefのレベルが上昇しても、これに伴って電圧レギュレータ40の出力電圧vddlが設計値よりも高いレベルに上昇することを防止することができる。このように、制御回路100が出力電圧vddlの上昇を抑制するように電圧レギュレータ40を制御することで、電圧レギュレータ40の出力電圧vddlの供給を受けて動作するロジック回路の回路素子の破壊を防止することができる。
【0040】
図5は、本実施形態に係る半導体装置を構成する半導体チップ200内における、各構成要素のレイアウトの一例を示す図である。半導体チップ200は、正方形または長方形の形状を有し、入出力端子11等を構成する電極パッド201は、半導体チップ200の外縁に沿って配置される。電圧レギュレータ40を構成する基準電圧生成回路41は、電極パッド201よりも半導体チップ200の内側に配置されている。制御回路100の捕集部110は、電極パッド201と基準電圧生成回路41との間に配置されることが好ましい。図5に示すように、電極パッド201が半導体チップ200の各辺に沿って配置されている場合には、捕集部110は、基準電圧生成回路41の外周を囲むように配置されることが好ましい。このように、捕集部110を電極パッド201と基準電圧生成回路41との間に配置することにより、電極パッド201へのサージ印加に伴ってシリコン基板30内を拡散する電子は、基準電圧生成回路41に到達する前に捕集部110で捕集される。これにより、電極パッド201へのサージ印加に伴って電圧レギュレータ40の出力電圧vddlが上昇する前に、出力電圧vddlをローレベル(vssレベル)に制御することが可能となり、ロジック回路の破壊を防止する効果を高めることができる。
【0041】
なお、シリコン基板30内を拡散する電子の密度は、サージが印加される電極パッド201からの距離が大きくなる程低下する。従って、捕集部110を電極パッド201寄りに配置することにより、捕集部110における電子の捕集量をより多くすることができる。すなわち、捕集部110を電極パッド201寄りに配置することにより、検出部120における電流検出感度が高まり、低レベルのサージが印加された場合でも制御回路100を作動させることができる。一方、捕集部110を基準電圧生成回路41寄りに配置することにより、検出部120における電流検出感度を抑えることができ、高レベルのサージが印加された場合にのみ制御回路100を作動させることができる。
【0042】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係る制御回路100Aの構成を示す図である。制御回路100Aは、第1の実施形態に係る制御回路100に代えて用いられる。制御回路100Aは、複数の捕集部110a、110b、110cおよび110dを有する。捕集部110a〜110dは、それぞれ、n型半導体からなるn型領域を含んで構成されている。また、制御回路100Aは、複数の捕集部110a〜110dを選択的に抵抗素子121に接続する選択部140を有する。選択部140は、例えば、複数の捕集部110a〜110dの各々に接続されたトランジスタ等のスイッチング素子で構成されていてもよい。また、選択部140は、複数の捕集部110a〜110dの各々と抵抗素子121とを接続する配線を、事後的に形成または切断する公知のトリミング技術を用いて構成されるものであってもよい。また、制御回路100Aにおいて、検出部120を構成する抵抗素子121は、可変抵抗とされている。
【0043】
図7は、複数の捕集部110a〜110dの配置の一例を示す図である。図7に示すように、複数の捕集部110a〜110dは、電極パッド201と基準電圧生成回路41との間であり且つ電極パッド201からの距離が互いに略同じとなる位置に設けられていてもよい。
【0044】
第2の実施形態に係る制御回路100Aによれば、選択部140による捕集部110a〜110dの選択によって抵抗素子121に接続する捕集部の数を増減させることにより、抵抗素子121に流れる電流Isの大きさを調整することが可能である。すなわち、電流Isは、選択された捕集部の各々によって捕集された電荷の合算量に比例した大きさとなる。電流Isを調整可能とすることにより、インバータ122の入力電圧を調整することが可能となる。また、抵抗素子121の抵抗値によってもインバータ122の入力電圧を調整することが可能である。すなわち、制御回路100Aによれば、制御回路100Aが作動するサージレベルを調整することが可能ある。具体的には、抵抗素子121に接続される捕集部の数を増加させるか抵抗素子121の抵抗値を大きくすることで、検出部120における電流検出感度を高めることができ、低レベルのサージが印加された場合でも制御回路100Aを作動させることができる。制御回路100Aが過剰に作動する場合には、抵抗素子121に接続する捕集部の数を減少させるか、抵抗素子121の抵抗値を小さくすることで、検出部120における電流検出感度を低下させればよい。
【0045】
図8は、捕集部110a〜110dの他の配置例を示す図である。捕集部110a〜110dは、電極パッド201と基準電圧生成回路41との間であり且つ電極パッド201からの距離が互いに異なる位置に設けられていてもよい。図8に示す例では、捕集部110aが電極パッド201から最も遠い位置に配置され、捕集部110dが電極パッド201から最も近い位置に配置されている。シリコン基板30内を拡散する電子の密度は、サージが印加される電極パッド201からの距離が大きくなる程低下する。従って、電極パッド201からの距離が最も小さい捕集部110dに捕集される電子の量は最も多くなり、電極パッド201からの距離が最も大きい捕集部110aにおいて捕集される電子の量は最も少なくなる。
【0046】
複数の捕集部110a〜110dをこのように配置することにより、複数の捕集部110a〜110dのうちのどれを抵抗素子121に接続するかによって、制御回路100Aによる制御動作が作動するサージレベルの調整を行うことが可能である。具体的には、電子の捕集量が最も多い捕集部110dを抵抗素子121に接続することで、検出部120における電流検出感度を高めることができ、低レベルのサージが印加された場合でも制御回路100Aを作動させることができる。一方、電子の捕集量が最も少ない捕集部110aを抵抗素子121に接続することで、検出部120における電流検出感度を抑えることができ、高レベルのサージが印加された場合にのみ制御回路100Aを作動させることができる。
【0047】
[第3の実施形態]
図9は、本発明の第3の実施形態に係る電圧レギュレータ40Aの構成を示す回路図である。電圧レギュレータ40Aは、第1の実施形態に係る電圧レギュレータ40に代えて用いられる。電圧レギュレータ40Aは、pチャネル型のトランジスタQ16およびQ17を含んで構成されるクランプ回路45を更に含む点において、第1の実施形態に係る電圧レギュレータ40と異なる。トランジスタQ16は、ソースが電源ライン10aに接続され、ソースおよびゲートがトランジスタQ17のソースに接続されている。トランジスタQ17は、ドレインが出力回路43を構成するトランジスタQ15のゲートに接続され、ゲートが制御回路100Bの出力端に接続されている。
【0048】
図10は、電圧レギュレータ40Aと共に用いられる本発明の第3の実施形態に係る制御回路100Bの構成を示す図である。制御回路100Bにおいて、検出部120は、抵抗素子121、インバータ122および123を含んで構成されている。制御回路100Bは、電流Isが抵抗素子121を流れることによって生ずる電圧降下によって、インバータ122の入力電圧が反転レベルにまで降下した場合に、出力端125からローベル(vssレベル)の電圧が出力される。すなわち、制御回路100Bは、電極パッドに一定規模のサージが印加された場合に出力端125から出力される電圧の極性が、第1の実施形態に係る制御回路100とは逆である。なお、制御回路100Bは、第2の実施形態に係る制御部100Aのように、複数の捕集部を含んで構成されていてもよい。
【0049】
電圧レギュレータ40Aおよび制御回路100Bを含む本発明の第3の実施形態に係る半導体装置によれば、電極パッドに一定の規模のサージが印加された場合には、制御回路100Bは、ローレベル(vssレベル)の電圧を出力する。これにより、電圧レギュレータ40Aのクランプ回路45を構成するトランジスタQ17はオン状態となる。クランプ回路45は、トランジスタQ17がオン状態となることにより、トランジスタQ15のゲート電圧を、電源ライン10aの電圧レベル(vdd)よりもトランジスタQ16の閾値電圧分だけ低いレベルにクランプする。従って、サージ印加に伴って基準電圧生成回路41によって生成される基準電圧vrefのレベルが上昇しても、これに伴って電圧レギュレータ40Aの出力電圧vddlが設計値よりも高いレベルに上昇することを防止することができる。このように、制御回路100Bが出力電圧vddlの上昇を抑制するように電圧レギュレータ40Aを制御することで、電圧レギュレータ40Aの出力電圧vddlの供給を受けて動作するロジック回路の回路素子の破壊を防止することができる。
【0050】
また、第3の実施形態に係る半導体装置によれば、クランプ回路45によってゲート電圧がクランプされたトランジスタQ15は、完全にオフ状態とはならない。すなわち、サージ印加時には、電圧レギュレータ40Aの出力電圧vddlの上昇が抑制されるものの、出力電圧vddのレベルは、電源ライン(グランドライン)12aの電圧レベル(vss)よりも高いレベルに維持される。これにより、サージ印加時においても、ロジック回路への電源供給が完全に遮断されることはなく、一定レベルの電圧をロジック回路に供給することが可能となる。
【0051】
なお、上記の各実施形態においては、制御回路100、100Aおよび100Bによって制御される内部回路として電圧レギュレータを例示したが、これに限定されるものではない。内部回路は、サージ印加に起因する誤動作によって回路素子を破壊してしまうおそれのあるいずれの回路であってもよい。
【0052】
電極パッド201は、本発明における電極パッドの一例である。捕集部110、110a〜110dは、本発明における捕集部の一例である。検出部120は、本発明の検出部の一例である。電圧レギュレータ40および40Aは、本発明における内部回路の一例である。抵抗素子121は、本発明における抵抗素子の一例である。
【符号の説明】
【0053】
10 電源端子
11 入出力端子
20、21 サージ保護素子
30 シリコン基板
40、40A 電圧レギュレータ
41 基準電圧生成回路
42 アンプ回路
42a 演算増幅回路
43 出力回路
43a 出力端子
44 抵抗分圧回路
100、100A、100B 制御回路
110 捕集部
120 検出部
121 抵抗素子
124 トランジスタ
140 選択部
200 半導体チップ
201 電極パッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10