【課題】優れた小胞体ストレス抑制作用を有し、かつ低毒性であり、小胞体ストレスに起因する疾患の予防または治療剤、特に、特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF))、ウォルフラム症候群(Wolfram Syndrome)、ぶどう膜炎および網膜色素変性症などの予防または治療剤として有用な小胞体ストレス抑制剤を提供する。
小胞体ストレスに起因する疾患が、特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis)、ウォルフラム症候群(Wolfram Syndrome)、ぶどう膜炎および網膜色素変性症からなる群より選択される1種以上の疾患である、請求項2記載の剤。
[4−({(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]プロパ−2−エノイル}アミノ)ベンジル]ホスホン酸ジエチルまたはその塩を含有してなる、小胞体ストレス抑制剤。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、試験例1において、ツニカマイシン(Tunicamycin)により誘導されるBipおよびCHOP遺伝子の発現に対する化合物Aの抑制作用を示す図である。
【
図2】
図2は、試験例2において、ツニカマイシン(Tunicamycin)により誘導される細胞死に対する化合物Aの抑制作用を示す図である。
【
図3】
図3は、試験例3において、Zucker Diabetic Fatty (ZDF) ラットにおける化合物Aの膵β細胞保護作用を示す図である。図中Aは血漿中のグルコース濃度の定量結果を、図中Bは血漿中のインスリン値の定量結果を、図中Cは血漿中のグリコヘモグロビン(GHb)濃度の定量結果を示す図である。図中、「¶」、「§」、「#」、ならびに「*」および「**」は、それぞれZDFラットのcontrol群との間に、スチューデントのt検定(Student's t-test)でP<0.05、シャーリー=ウイリアムズの片側検定(one-tailed Shirley-Williams test)でP<0.025、ウイリアムズの片側検定(one-tailed Williams' test)でP<0.025、アスピン=ウェルチ検定(Aspin-Welch test)でP<0.05およびP<0.01にて有意差があることを示す。
【
図4】
図4は、試験例3において、膵β細胞の抗インスリン抗体染色の結果を示す図である。図中AはZucker lean(ZL)ラット、図中BはZDFラット対照(control)群、図中CはZDFラットに化合物Aを0.003重量%投与した群、図中DはZDFラットに化合物Aを0.01重量%投与した群、図中EはZDFラットに化合物Aを0.03重量%投与した群のそれぞれの膵β細胞の染色像を示す。図中Fは前記各群において、β細胞の占める割合を示す図である。図中Fにおける「§」は、ZDFラットのcontrol群との間にP<0.025にて有意差があることを示す。
【
図5】
図5は、試験例4において、Akitaマウスのグリコヘモグロビン量および膵インスリン含量に対する化合物Aの作用を示す図である。図中、「**」は、control群との間にP<0.01にて有意差があることを示す。
【
図6】
図6は、試験例5において、Blue light誘導網膜変性モデルにおける視細胞に対する化合物Aの作用を示す図である。
【
図7】
図7は、試験例6において、C57BL/6J Jclマウスにて、リポ多糖により誘導される後眼部におけるMCP-1産生に対する化合物Aの作用を示す図である。図中、「###」は、LPS非処理群と対照群との間にP<0.001にて有意差があることを示し、「***」は、対照群と化合物A投与群との間にP<0.0005にて有意差があることを示す。
【0030】
(発明の詳細な説明)
本発明の小胞ストレス抑制剤は、化合物(I)、すなわち、式:
【0031】
【化7】
【0032】
[式中、環Aはさらに置換基を有していてもよい、2個以上の窒素原子を含む5員芳香族複素環;
Bは置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基;
Xは2価の非環状炭化水素基;
Zは-O-、-S-、-NR
2-、-CONR
2-または-NR
2CO-(R
2は水素原子または置換されていてもよいアルキル基を示す);
YおよびY
1は同一または異なって結合手または2価の非環状炭化水素基;
Dはさらに置換基を有していてもよい環;
R
3は置換されていてもよいアシル基または置換されていてもよい複素環基を示す。]で表される化合物、またはその塩を有効成分として含有する。
【0033】
以下に、本発明で有効成分として使用する化合物(I)またはその塩について詳述する。
【0034】
環Aで示される「さらに置換基を有していてもよい、2個以上の窒素原子を含む5員芳香族複素環」において、「2個以上の窒素原子を含む5員芳香族複素環」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に2個以上の窒素原子を含み、さらに酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし2個含有していてもよい5員の芳香族複素環が挙げられる。
「2個以上の窒素原子を含む5員芳香族複素環」の具体例としては、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール環などが挙げられる。なかでも、ピラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾールおよびテトラゾール環が好ましく、特にピラゾール環が好ましい。
該「2個以上の窒素原子を含む5員芳香族複素環」は、置換可能な位置に1ないし2個の置換基をさらに有していてもよい。このような置換基としては、例えばハロゲン原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基または置換されていてもよいアミノ基などが挙げられる。
【0035】
上記「2個以上の窒素原子を含む5員芳香族複素環」が有していてもよい置換基として例示される「ハロゲン原子」としては、例えばフッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子が挙げられる。なかでもフッ素および塩素原子が好ましい。
【0036】
上記「2個以上の窒素原子を含む5員芳香族複素環」が有していてもよい置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、例えば脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基、脂環式脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
【0037】
脂肪族炭化水素基としては、例えば直鎖状または分枝状のC
1−15脂肪族炭化水素基、具体的にはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
アルキル基の好適な例としては、C
1−10アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられる。
アルケニル基の好適な例としては、C
2−10アルケニル基、例えばエテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニルなどが挙げられる。
アルキニル基の好適な例としては、C
2−10アルキニル基、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、1−オクチニルなどが挙げられる。
【0038】
脂環式炭化水素基としては、例えば飽和または不飽和のC
3−12脂環式炭化水素基、具体的にはシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基などが挙げられる。
シクロアルキル基の好適な例としては、C
3−10シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.2.2]ノニル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.1]デシルなどが挙げられる。
シクロアルケニル基の好適な例としては、C
3−10シクロアルケニル基、例えば2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられる。
シクロアルカジエニル基の好適な例としては、C
4−10シクロアルカジエニル基、例えば2,4−シクロペンタジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イルなどが挙げられる。
【0039】
芳香族炭化水素基としては、例えばC
6−14アリール基などが挙げられる。該アリール基の好適な例としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル、ビフェニリル、インデニルなどが挙げられる。なかでもフェニル、ナフチルなどが好ましい。該アリール基は、部分的に飽和されていてもよく、部分的に飽和されたアリール基としては、例えばジヒドロインデニルなどが挙げられる。
【0040】
芳香脂肪族炭化水素基としては、例えばC
7−13芳香脂肪族炭化水素基、具体的にはアラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。
アラルキル基の好適な例としては、C
7−13アラルキル基、例えばベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル、ベンズヒドリルなどが挙げられる。
アリールアルケニル基の好適な例としては、C
8−13アリールアルケニル基、例えばスチリルなどが挙げられる。
【0041】
脂環式脂肪族炭化水素基としては、例えばC
4−13脂環式脂肪族炭化水素基、具体的にはシクロアルキルアルキル基、シクロアルキルアルケニル基などが挙げられる。
シクロアルキルアルキル基の好適な例としては、C
4−13シクロアルキルアルキル基、例えばシクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチルなどが挙げられる。
シクロアルキルアルケニル基の好適な例としては、C
5−13シクロアルキルアルケニル基、例えばシクロプロピルエテニル、シクロペンチルエテニル、シクロヘキシルエテニルなどが挙げられる。
【0042】
上記「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基は、上記「炭化水素基」の置換可能な位置に、1ないし3個存在していてもよい。このような置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ、オキソ、C
1−3アルキレンジオキシ、置換されていてもよい芳香族複素環基、置換されていてもよい非芳香族複素環基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換されていてもよいアシル基などが挙げられる。
【0043】
ここで、上記「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示されるハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子が挙げられる。なかでもフッ素および塩素原子が好ましい。
上記「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示されるC
1−3アルキレンジオキシとしては、例えばメチレンジオキシ、エチレンジオキシなどが挙げられる。
【0044】
上記「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示される「置換されていてもよい芳香族複素環基」における「芳香族複素環基」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する5ないし7員の単環式芳香族複素環基または縮合芳香族複素環基が挙げられる。該縮合芳香族複素環基としては、例えばこれら5ないし7員の単環式芳香族複素環基と、1ないし2個の窒素原子を含む6員環、ベンゼン環、または1個の硫黄原子を含む5員環とが縮合した基等が挙げられる。
【0045】
上記「芳香族複素環基」の好適な例としては、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピラジニル(例、2−ピラジニル)、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソオキサゾリル、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、イソチアゾリル、オキサジアゾリル(例、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)、チアジアゾリル(例、1,3,4−チアジアゾール−2−イル)、トリアゾリル(例、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル)、テトラゾリル(例、テトラゾール−1−イル、テトラゾール−5−イル)、キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル)、キナゾリル(例、2−キナゾリル、4−キナゾリル)、キノキサリル(例、2−キノキサリル)、ベンゾフリル(例、2−ベンゾフリル、3−ベンゾフリル)、ベンゾチエニル(例、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル)、ベンゾオキサゾリル(例、2−ベンゾオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(例、2−ベンゾチアゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例、ベンゾイミダゾール−1−イル、ベンゾイミダゾール−2−イル)、インドリル(例、インドール−1−イル、インドール−3−イル)、1H−インダゾリル(例、1H−インダゾール−3−イル)、1H−ピロロ[2,3-b]ピラジニル(例、1H−ピロロ[2,3-b]ピラジン−2−イル)、1H−ピロロピリジニル(例、1H−ピロロ[2,3-b]ピリジン−6−イル)、1H−イミダゾピリジニル(例、1H−イミダゾ[4,5-b]ピリジン−2−イル、1H−イミダゾ[4,5-c]ピリジン−2−イル)、1H−イミダゾピラジニル(例、1H−イミダゾ[4,5-b]ピラジン−2−イル)、トリアジニル、イソキノリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリルなどが挙げられる。
【0046】
上記「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示される「置換されていてもよい非芳香族複素環基」における「非芳香族複素環基」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する5ないし7員の単環式非芳香族複素環基または縮合非芳香族複素環基が挙げられる。該縮合非芳香族複素環基としては、例えばこれら5ないし7員の単環式非芳香族複素環基と、1ないし2個の窒素原子を含む6員環、ベンゼン環、または1個の硫黄原子を含む5員環とが縮合した基等が挙げられる。
【0047】
上記「非芳香族複素環基」の好適な例としては、ピロリジニル(例、1−ピロリジニル)、ピペリジニル(例、1−ピペリジニル)、モルホリニル(例、4−モルホリニル)、チオモルホリニル(例、4−チオモルホリニル)、ピペラジニル(例、1−ピペラジニル)、ヘキサメチレンイミニル(例、ヘキサメチレンイミン−1−イル)、オキサゾリジニル(例、オキサゾリジン−3−イル)、チアゾリジニル(例、チアゾリジン−3−イル)、イミダゾリジニル(例、イミダゾリジン−3−イル)、イミダゾリニル(例、イミダゾリン−1−イル、イミダゾリン−2−イル)、オキサゾリニル(例、オキサゾリン−2−イル)、チアゾリニル(例、チアゾリン−2−イル)、オキサジニル(例、オキサジン−2−イル)、テトラヒドロフラニル、アゼパニル、テトラヒドロピリジニル(例、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)、ジヒドロベンゾフラニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、ジオキソチアゾリジニル、ジオキソオキサゾリジニルなどが挙げられる。
【0048】
上記「置換されていてもよい芳香族複素環基」および「置換されていてもよい非芳香族複素環基」における「置換基」は、それぞれ「芳香族複素環基」および「非芳香族複素環基」の置換可能な位置に1ないし3個存在していてもよい。
このような置換基としては、例えばニトロ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルキル(例、メチル、エチル)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、C
6-14アリール(例、フェニル)等が挙げられる。
【0049】
上記「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示される「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えばそれぞれ置換基を有していてもよいC
1−10アルキル基、C
2−10アルケニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10シクロアルケニル基、C
6−14アリール基、C
7−13アラルキル基、C
1−13アシル基またはヘテロアリール基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基が挙げられる。
【0050】
ここで、C
1−10アルキル基、C
2−10アルケニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10シクロアルケニル基、C
6−14アリール基およびC
7−13アラルキル基としては、環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示されるものが挙げられる。
【0051】
前記C
1−13アシル基としては、後述の「置換されていてもよいアシル基」におけるアシル基として例示するものが挙げられる。該アシル基は、好ましくはホルミル、C
1−10アルキル−カルボニル、C
1-6アルコキシ−カルボニル、C
6−14アリール−カルボニル、C
7−13アラルキル−カルボニル、5ないし6員芳香族複素環−カルボニル、5ないし6員非芳香族複素環−カルボニル等である。
【0052】
ここで、C
1−10アルキル−カルボニルの好適な例としては、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイルなどが挙げられる。
C
1-6アルコキシ−カルボニルの好適な例としては、例えば、tert−ブトキシカルボニルなどが挙げられる。
C
6−14アリール−カルボニルの好適な例としては、ベンゾイルなどが挙げられる。
C
7−13アラルキル−カルボニルの好適な例としては、ベンジルカルボニル、フェネチルカルボニルなどが挙げられる。
5ないし6員芳香族複素環−カルボニルの好適な例としては、フリルカルボニル、ピロリルカルボニル、チエニルカルボニル、ピリジルカルボニルなどが挙げられる。
5ないし6員非芳香族複素環−カルボニルの好適な例としては、テトラヒドロフリルカルボニルなどが挙げられる。
【0053】
前記ヘテロアリール基としては、例えば環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示される芳香族複素環基が挙げられる。なかでも、ピリジル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリミジニルなどが好ましい。
【0054】
これらC
1−10アルキル基、C
2−10アルケニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10シクロアルケニル基、C
6−14アリール基、C
7−13アラルキル基、C
1−13アシル基およびヘテロアリール基は、それぞれ置換可能な位置に1〜6個、好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、トリフルオロメチル)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、C
1-6アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル)等が挙げられる。
【0055】
なお、置換されたアミノ基としては、例えばモノ−またはジ−C
1-10アルキルアミノ(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ、プロピルアミノ、ジブチルアミノ)、モノ−またはジ−C
2-10アルケニルアミノ(例、ジアリルアミノ)、モノ−またはジ−C
3-10シクロアルキルアミノ(例、シクロヘキシルアミノ)、モノ−またはジ−(C
1−10アルキル−カルボニル)アミノ(例、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ)、モノ−またはジ−C
6-14アリールアミノ(例、フェニルアミノ)、N−C
1-10アルキル−N−C
6-14アリールアミノ(例、N−メチル−N−フェニルアミノ)、N−C
1-10アルキル−N−C
7-13アラルキルアミノ(例、N−メチル−N−ベンジルアミノ)、モノ−またはジ−C
1-6アルコキシ−カルボキサミド(例、tert−ブトキシカルボキサミド)、モノ−またはジ−C
6-14アリール−カルボキサミド(例、フェニルカルボキサミド)、モノ−またはジ−C
7−13アラルキル−カルボキサミド(例、ベンジルカルボキサミド、フェネチルカルボキサミド)、モノ−またはジ−5ないし6員芳香族複素環−カルボキサミド(例、フリルカルボキサミド、ピロリルカルボキサミド、チエニルカルボキサミド、ピリジルカルボキサミド)、モノ−またはジ−5ないし6員非芳香族複素環−カルボキサミド(例、テトラヒドロフリルカルボキサミド)などが挙げられる。
【0056】
上記「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示される「置換されていてもよいヒドロキシ基」としては、例えばそれぞれ置換されていてもよいC
1−10アルキル基、C
2−10アルケニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10シクロアルケニル基、C
6−14アリール基、C
7−13アラルキル基、C
1−13アシル基またはヘテロアリール基などで置換されていてもよいヒドロキシ基が挙げられる。
ここで、C
1−10アルキル基、C
2−10アルケニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10シクロアルケニル基、C
6−14アリール基およびC
7−13アラルキル基としては、環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示されるものが挙げられる。
C
1−13アシル基としては、前記「置換されていてもよいアミノ基」における置換基として例示されるものが挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えば環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示される「芳香族複素環基」が挙げられる。なかでも、ピリジル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリミジニルなどが好ましい。
【0057】
これらC
1−10アルキル基、C
2−10アルケニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10シクロアルケニル基、C
6−14アリール基、C
7−13アラルキル基、C
1−13アシル基およびヘテロアリール基は、それぞれ置換可能な位置に1〜2個の置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、トリフルオロメチル)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、C
1-6アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル)等が挙げられる。
【0058】
なお、置換されたヒドロキシ基としては、例えばそれぞれ置換されていてもよいアルコキシ基、アルケニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基等が挙げられる。
【0059】
アルコキシ基の好適な例としては、C
1−10アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、ノニルオキシなどが挙げられる。
アルケニルオキシ基の好適な例としては、C
2−10アルケニルオキシ基、例えばアリル(allyl)オキシ、クロチルオキシ、2−ペンテニルオキシ、3−ヘキセニルオキシなどが挙げられる。
シクロアルキルオキシ基の好適な例としては、C
3−10シクロアルキルオキシ基、例えばシクロブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。
シクロアルケニルオキシ基の好適な例としては、C
3−10シクロアルケニルオキシ基、例えば2−シクロペンテニルオキシ、2−シクロヘキセニルオキシなどが挙げられる。
アリールオキシ基の好適な例としては、C
6−14アリールオキシ基、例えばフェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
アラルキルオキシ基の好適な例としては、C
7−13アラルキルオキシ基、例えばベンジルオキシ、フェネチルオキシ、ナフチルメチルオキシ等が挙げられる。
アシルオキシ基の好適な例としては、C
2−13アシルオキシ基、例えばC
1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ)等が挙げられる。
ヘテロアリールオキシ基の好適な例としては、5ないし7員の単環式ヘテロアリールオキシ基、例えば2−ピリジルオキシ、3−ピリジルオキシ、2−イミダゾリルオキシ、2−ピリミジニルオキシ、1,2,4−トリアゾール−5−イルオキシ等が挙げられる。
【0060】
上記したアルコキシ基、アルケニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基およびヘテロアリールオキシ基は、それぞれ置換可能な位置に1〜3個、好ましくは1ないし2個の置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、トリフルオロメチル)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、C
1-6アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル)等が挙げられる。
【0061】
上記「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示される「置換されていてもよいチオール基」としては、例えばそれぞれ置換されていてもよいC
1−10アルキル基、C
2−10アルケニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10シクロアルケニル基、C
6−14アリール基、C
7−13アラルキル基、C
1−13アシル基またはヘテロアリール基などで置換されていてもよいチオール基が挙げられる。
【0062】
ここで、C
1−10アルキル基、C
2−10アルケニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10シクロアルケニル基、C
6−14アリール基、C
7−13アラルキル基、C
1−13アシル基およびヘテロアリール基としては、前記「置換されていてもよいヒドロキシ基」において例示されるものがそれぞれ挙げられる。これらは、それぞれ置換可能な位置に1〜2個の置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、トリフルオロメチル)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、C
1-6アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル)、オキソ等が挙げられる。
【0063】
なお、置換されたチオール基としては、例えばそれぞれ置換されていてもよいアルキルチオ基、アルケニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシルチオ基、ヘテロアリールチオ基などが挙げられる。
アルキルチオ基の好適な例としては、C
1−10アルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、ノニルチオ等が挙げられる。
アルケニルチオ基の好適な例としては、C
2−10アルケニルチオ基、例えばアリル(allyl)チオ、クロチルチオ、2−ペンテニルチオ、3−ヘキセニルチオなどが挙げられる。
シクロアルキルチオ基の好適な例としては、C
3−10シクロアルキルチオ基、例えばシクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ等が挙げられる。
シクロアルケニルチオ基の好適な例としては、C
3−10シクロアルケニルチオ基、例えば2−シクロペンテニルチオ、2−シクロヘキセニルチオなどが挙げられる。
アリールチオ基の好適な例としては、C
6−14アリールチオ基、例えばフェニルチオ、ナフチルチオ等が挙げられる。
アラルキルチオ基の好適な例としては、C
7−13アラルキルチオ基、例えばベンジルチオ、フェネチルチオ、ナフチルメチルチオ等が挙げられる。
アシルチオ基の好適な例としては、C
2−13アシルチオ基、例えばC
1−6アルキル−カルボニルチオ基(例、アセチルチオ、プロピオニルチオ、ブチリルチオ、イソブチリルチオ)等が挙げられる。
ヘテロアリールチオ基の好適な例としては、5ないし7員の単環式ヘテロアリールチオ基、例えば2−ピリジルチオ、3−ピリジルチオ、2−イミダゾリルチオ、2−ピリミジニルチオ、1,2,4−トリアゾール−5−イルチオ等が挙げられる。
【0064】
上記したアルキルチオ基、アルケニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシルチオ基およびヘテロアリールチオ基は、置換可能な位置に1ないし2個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、トリフルオロメチル)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、C
1-6アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル)、オキソ等が挙げられる。
【0065】
上記「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示される「置換されていてもよいアシル基」におけるアシル基としては、例えば式:−COR
4,−CO−OR
4,−SO
2R
4,−SOR
4,−PO
3R
4R
5[即ち、-P(=O)(OR
4)(OR
5)],−CO−NR
4aR
5a,−CS−NR
4aR
5a, -SO
2-NR
4aR
5a[式中、R
4およびR
5は、同一または異なって、水素原子、炭化水素基または複素環基を示す。また、R
4およびR
5は、隣接するオキソ置換リン原子および2個の酸素原子とともに複素環を形成していてもよい。R
4aおよびR
5aは、同一または異なって、水素原子、炭化水素基または複素環基を示すか、R
4aおよびR
5aは、隣接する窒素原子とともに含窒素複素環を形成していてもよい]で表される基などが挙げられる。
ここで、R
4、R
5、R
4aまたはR
5aで示される「炭化水素基」としては、環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示されるものが挙げられる。
該炭化水素基は、好ましくは、C
1−10アルキル基(好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−エチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル);C
2−10アルキニル基(好ましくは2−プロピニル);ベンゼン環と縮合していてもよいC
3−10シクロアルキル基(好ましくはシクロプロピル、シクロヘキシル);C
3−10シクロアルカン(好ましくはシクロペンタン)と縮合していてもよいC
6−14アリール基(好ましくはフェニル、ジヒドロインデニル、ビフェニリル);C
7−13アラルキル基(好ましくはベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル、ベンズヒドリル)などである。
【0066】
また、R
4、R
5、R
4aまたはR
5aで示される「複素環基」としては、環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示される芳香族複素環基および非芳香族複素環基が挙げられる。
該複素環基は、好ましくは、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルなどである。
【0067】
さらに、R
4およびR
5が隣接するオキソ置換リン原子および2個の酸素原子とともに形成する複素環としては、例えば環構成原子として炭素原子以外にオキソ置換リン原子および2個の酸素原子を含み、さらに酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし2個含有していてもよい4ないし7員の複素環などが挙げられる。このような複素環の具体例としては、2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスフィナン;2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスフォラン、2−オキシド−4,7−ジヒドロ−1,3,2−ジオキサホスフェピンなどが挙げられる。
R
4aおよびR
5aが隣接する窒素原子とともに形成する「含窒素複素環」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に少なくとも1個の窒素原子を含み、さらに酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし2個含有していてもよい5ないし7員の含窒素複素環が挙げられる。該含窒素複素環の好適な例としては、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリンなどが挙げられる。
【0068】
上記「置換されていてもよいアシル基」における「置換基」は、上記アシル基の置換可能な位置に1〜3個存在していてもよい。かかる置換基としては、例えば1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルキル(例、メチル、エチル)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、ニトロ、ヒドロキシ、C
1-6アルキル(例、メチル、エチル)でモノ−またはジ−置換されていてもよいアミノ等が挙げられる。
【0069】
「置換されていてもよいアシル基」の好適な例としては、ホルミル、カルボキシル、カルバモイル、チオカルバモイル、C
1−10アルキル−カルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル)、C
2−10アルケニル−カルボニル(例、クロトノイル)、C
3−10シクロアルキル−カルボニル(例、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル)、C
3−10シクロアルケニル−カルボニル(例、2−シクロヘキセンカルボニル)、C
6−14アリール−カルボニル(例、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル)、C
7−13アラルキル−カルボニル(例、ベンジルカルボニル、フェネチルカルボニル)、芳香族複素環カルボニル(例、ニコチノイル、イソニコチノイル)、非芳香族複素環カルボニル(例、ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル)、C
1−6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル)、C
6−14アリールオキシ−カルボニル(例、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、C
7−13アラルキルオキシ−カルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、モノ−またはジ−(ハロゲン原子およびC
1−6アルコキシ−カルボニルから選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいC
1−6アルキル)−カルバモイル(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、トリフルオロエチルカルバモイル)、モノ−またはジ−(1ないし3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1−6アルキル)−チオカルバモイル(例、メチルチオカルバモイル、エチルチオカルバモイル)、C
6−14アリール−カルバモイル(例、フェニルカルバモイル)、C
3−10シクロアルキル−カルバモイル(例、シクロプロピルカルバモイル)、C
7−13アラルキル−カルバモイル(例、ベンジルカルバモイル)、C
1−6アルコキシ−カルバモイル(例、メトキシカルバモイル)、C
1−10アルキルスルフィニル(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル)、C
1−10アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル)、C
6−14アリールスルホニル(例、フェニルスルホニル)、環を形成していてもよい(モノ−もしくはジ−C
1−10アルキル)ホスホノ(例、ジメチルホスホノ;ジエチルホスホノ;ジイソプロピルホスホノ;ジブチルホスホノ;2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスフィナニル)、モノ−またはジ−(1ないし3個のハロゲンで置換されていてもよいC
1−6アルキル)−スルファモイル(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル)などが挙げられる。
【0070】
環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」は、好ましくはC
1−10アルキル基、C
6−14アリール基、C
3−10シクロアルキル基、C
7−13アラルキル基、C
8−13アリールアルケニル基、C
4−13シクロアルキルアルキル基などである。該炭化水素基は、さらに好ましくはC
1−10アルキル基、C
6−14アリール基などである。
該「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基は、好ましくは1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、C
1−3アルキレンジオキシ(例、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ)等である。置換基の数は、例えば1ないし3個である。
【0071】
また、環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としては、上記「置換されていてもよいアシル基」におけるアシル基について、R
4で示される「複素環基」として例示されるものが挙げられる。
該複素環基は、好ましくはベンゼン環と縮合していてもよいアゾリル基(例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル)などである。
【0072】
上記「置換されていてもよい複素環基」における「置換基」は、上記複素環基の置換可能な位置に1ないし3個存在していてもよい。かかる置換基としては、例えば置換されていてもよい脂肪族炭化水素基、置換されていてもよい脂環式炭化水素基、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、置換されていてもよい非芳香族複素環基、ハロゲン原子、ニトロ、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換されていてもよいアシル基、C
1−3アルキレンジオキシ、オキソなどが挙げられる。
【0073】
ここで、「置換されていてもよい脂肪族炭化水素基」、「置換されていてもよい脂環式炭化水素基」および「置換されていてもよい芳香族炭化水素基」における「脂肪族炭化水素基」、「脂環式炭化水素基」および「芳香族炭化水素基」としては、それぞれ環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示されるものが挙げられる。
上記「置換されていてもよい脂肪族炭化水素基」、「置換されていてもよい脂環式炭化水素基」および「置換されていてもよい芳香族炭化水素基」の「置換基」としては、それぞれ環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「置換基」として例示されるものが挙げられる。置換基の置換位置および置換数は特に限定されない。なお、置換数は好ましくは1〜3である。
また、「置換されていてもよい芳香族複素環基」および「置換されていてもよい非芳香族複素環基」としては、それぞれ環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示されるものが挙げられる。
さらに、「ハロゲン原子」、「置換されていてもよいアミノ基」、「置換されていてもよいヒドロキシ基」、「置換されていてもよいチオール基」、「置換されていてもよいアシル基」および「C
1−3アルキレンジオキシ」としては、それぞれ環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示されるものが挙げられる。
【0074】
環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよいヒドロキシ基」、「置換されていてもよいチオール基」および「置換されていてもよいアミノ基」としては、それぞれ環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示されるものが挙げられる。
【0075】
環Aにおける置換基は、好ましくは置換されていてもよい炭化水素基であり、さらに好ましくはC
1−10アルキル基、C
6−14アリール基、C
7−13アラルキル基などである。環Aにおける置換基は、特に好ましくはC
1−6アルキル基(好ましくはメチルなど)である。
環Aは、好ましくはC
1−10アルキル基、C
6−14アリール基およびC
7−13アラルキル基から選ばれる1ないし2個の置換基(好ましくはメチルなどのC
1−6アルキル基)をそれぞれ有していてもよいイミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾールまたはテトラゾール環(好ましくはピラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾールおよびテトラゾール環、より好ましくはピラゾール環)である。
【0076】
Bで示される「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」としては、それぞれ環Aにおける置換基として例示されるものが用いられる。
ここで、「置換されていてもよい炭化水素基」における炭化水素基は、好ましくは脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基である。また、「置換されていてもよい複素環基」における複素環基は、好ましくは芳香族複素環基である。
Bは、好ましくは、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基である。
Bは、さらに好ましくは、置換されていてもよいC
6−14アリール基、置換されていてもよい5ないし7員の単環式芳香族複素環基などである。
【0077】
Bの好適な具体例としては、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルキル(例、メチル、エチル)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、ニトロ、ホルミルおよびC
1-3アルキレンジオキシ(例、メチレンジオキシ)から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよいC
6−14アリール基(好ましくはフェニル、ナフチル)または5ないし7員の単環式芳香族複素環基(好ましくはフリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル)が挙げられる。
なかでも、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルキル、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ、ハロゲン原子(好ましくはフッ素、塩素、臭素原子)から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよいC
6−14アリール基(好ましくはフェニル)、および5ないし7員の単環式芳香族複素環基(好ましくはフリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル)が好ましい。
Bは、特に好ましくはハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を有していてもよいC
6−14アリール基(好ましくはフェニル)である。
【0078】
Xで示される「2価の非環状炭化水素基」は、非環状の2価の炭化水素基であれば、直鎖状または分枝状のいずれでもよく、また飽和または不飽和のいずれであってもよい。
「2価の非環状炭化水素基」としては、例えば「2価の脂肪族炭化水素基」が挙げられ、なかでも以下に例示される2価のC
1−8脂肪族炭化水素基が好ましい。
(1)C
1-8アルキレン(例、−CH
2−、−(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
5−、−(CH
2)
6−、−(CH
2)
7−、−(CH
2)
8−、−CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−(CH(CH
3))
2−、−(CH
2)
2C(CH
3)
2−、−(CH
2)
3C(CH
3)
2−など);
(2)C
2-8アルケニレン(例、−CH=CH−、−CH
2−CH=CH−、−C(CH
3)
2−CH=CH−、−CH
2−CH=CH−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH
2−CH
2−CH
2−など)など。
C
2-8アルケニレンにはそのE体およびZ体のいずれもが包含される。
「2価の非環状炭化水素基」は、好ましくはC
1-4アルキレン、C
2-4アルケニレン、さらに好ましくは−CH
2−、−(CH
2)
2−、−CH=CH−などである。Xは、特に好ましくは−CH=CH−などである。
【0079】
Zは-O-、-S-、-NR
2-、-CONR
2-または-NR
2CO- (R
2は水素原子または置換されていてもよいアルキル基を示す。)を示す。
R
2で示される置換されていてもよいアルキル基において、アルキル基としては、例えばC
1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)が挙げられる。該アルキル基は、1ないし3個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ)、ヒドロキシ、ニトロ、アミノなどが挙げられる。
R
2は好ましくは水素原子またはC
1-6アルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
Zは好ましくは-CONR
2- (R
2は前記と同意義)であり、さらに好ましくは-CONH-である(ただし、本発明において、-CONR
2-の炭素原子(C)がXと結合し、窒素原子(N)がYと結合する。)。
【0080】
YおよびY
1は、同一または異なって、結合手または2価の非環状炭化水素基を示す。
YおよびY
1で示される2価の非環状炭化水素基としては、前記Xとして例示したものが挙げられる。
Yは、好ましくは結合手またはC
1-4アルキレン、さらに好ましくは結合手、−CH
2−、−(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−などである。Yは、特に好ましくは結合手である。
Y
1は好ましくは、結合手またはC
1-4アルキレン、さらに好ましくは結合手、−CH
2−、−(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−などである。
【0081】
Dで示される「さらに置換基を有していてもよい環」における環としては、例えば、芳香族炭化水素環、非芳香族炭化水素環、芳香族複素環、非芳香族複素環などが挙げられる。
【0082】
ここで、「芳香族炭化水素環」としては、例えばC
6−14アリール環などが挙げられる。該C
6−14アリール環の好適な例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、アセナフチレン、インデンなどが挙げられる。なかでもベンゼン、ナフタレンなどが好ましい。該C
6−14アリール環は、部分的に飽和されていてもよく、部分的に飽和されたC
6−14アリール環としては、例えばジヒドロインデンなどが挙げられる。
【0083】
ここで、「非芳香族炭化水素環」としては、例えば飽和または不飽和のC
3−12脂環式炭化水素、具体的にはシクロアルカン、シクロアルケンなどが挙げられる。
シクロアルカンの好適な例としては、C
3−10シクロアルカン、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[4.2.1]ノナン、ビシクロ[4.3.1]デカンなどが挙げられる。
シクロアルケンの好適な例としては、C
3−10シクロアルケン、例えばシクロペンテン、シクロヘキセンなどが挙げられる。
【0084】
ここで、「芳香族複素環」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する5ないし7員の単環式芳香族複素環または縮合芳香族複素環が挙げられる。該縮合芳香族複素環としては、例えばこれら5ないし7員の単環式芳香族複素環と、1ないし2個の窒素原子を含む6員環、ベンゼン環、または1個の硫黄原子を含む5員環とが縮合した環等が挙げられる。
「芳香族複素環」の好適な例としては、フラン、チオフェン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピロリン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、キノリン、キナゾリン、キノキサリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、インドール、1H−インダゾール、1H−ピロロ[2,3-b]ピラジン、1H−ピロロピリジン、1H−イミダゾピリジン、1H−イミダゾピラジン、トリアジン、イソキノリン、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0085】
ここで、「非芳香族複素環」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する5ないし7員の単環式非芳香族複素環または縮合非芳香族複素環が挙げられる。該縮合非芳香族複素環としては、例えばこれら5ないし7員の単環式非芳香族複素環と、1ないし2個の窒素原子を含む6員環、ベンゼン環、または1個の硫黄原子を含む5員環とが縮合した環等が挙げられる。
「非芳香族複素環」の好適な例としては、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン、オキサゾリジン、チアゾリジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、オキサゾリン、チアゾリン、オキサジン、テトラヒドロフラン、アゼパン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロベンゾフラン、ジオキソラン、ジチオラン、ジオキソチアゾリジン、ジオキソオキサゾリジンなどが挙げられる。
【0086】
Dで示される環は、好ましくは、部分的に飽和されていてもよいC
6−14芳香族炭化水素環(好ましくはベンゼン、ジヒドロインデン)、C
3−10シクロアルカン(好ましくはシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン)、C
3−10シクロアルケン(好ましくはシクロヘキセン)、ベンゼン環と縮合していてもよい5ないし6員芳香族複素環(好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチアジアゾール)、ベンゼン環と縮合していてもよい5ないし6員非芳香族複素環(好ましくはピロリジン、テトラヒドロフラン、チアゾリン、オキサゾリン、チアゾリジン、オキサゾリジン、ジオキソラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ジヒドロベンゾフラン、オキソジヒドロベンゾオキサゾール)などである。上記した環は、さらに好ましくはC
6−14芳香族炭化水素環であり、なかでもベンゼンが好ましい。
【0087】
Dで示される環は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、トリフルオロメチル)、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)などが挙げられる。
【0088】
R
3で示される「置換されていてもよいアシル基」としては、例えば環Aにおける置換基として例示される「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示されるものが挙げられ、R
3で示される「置換されていてもよい複素環基」としては、例えば環Aにおける置換基として例示されるものが挙げられる。
【0089】
R
3で示される「置換されていてもよいアシル基」の好適な例としては、カルボキシル基;C
1−6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル);環を形成していてもよい(モノ−もしくはジ−C
1−10アルキル)ホスホノ基(例、ジメチルホスホノ;ジエチルホスホノ;ジイソプロピルホスホノ;ジブチルホスホノ;2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスフィナニル);アミノで置換されていてもよいカルバモイル;ハロゲン原子、ヒドロキシおよびC
1−6アルコキシ−カルボニルから選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいモノ−またはジ−C
1−6アルキル−カルバモイル(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、トリフルオロエチルカルバモイル、メトキシカルボニルエチルカルバモイル、2−ヒドロキシ−1−メトキシカルボニル−エチルカルバモイル、2−ヒドロキシ−1−メトキシカルボニル−プロピルカルバモイル);ハロゲン化されていてもよいC
1−6アルキルおよびC
1−6アルコキシから選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいモノ−またはジ−C
6−14アリール−カルバモイル(例、フェニルカルバモイル、メトキシフェニルカルバモイル、トリフルオロメチルフェニルカルバモイル);C
1−6アルキルでモノ−またはジ−置換されていてもよいアミノ、ハロゲン化されていてもよいC
1−6アルキル、ヒドロキシおよびC
1−6アルコキシ−カルボニルから選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいモノ−またはジ−C
7−13アラルキル−カルバモイル(例、ベンジルカルバモイル、フェネチルカルバモイル、ジメチルアミノベンジルカルバモイル、メトキシカルボニルフェネチルカルバモイル、トリフルオロメチルベンジルカルバモイル);スルファモイル;ハロゲン化されていてもよいモノ−またはジ−C
1−6アルキルスルファモイル(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル);C
1−6アルキルスルフィニル(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、tert−ブチルスルフィニル);C
1−6アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル);C
1−6アルキル−カルボニル(例、アセチル);C
1−6アルキルで置換されていてもよい5ないし6員芳香族複素環スルフィニル(例、トリアゾリルスルフィニル、テトラゾリルスルフィニル);C
6−14アリールスルホニル(例、フェニルスルホニル);C
1−6アルキルで置換されていてもよい5ないし6員芳香族複素環スルホニル(例、トリアゾリルスルホニル、テトラゾリルスルホニル);などが挙げられる。
【0090】
R
3で示される「置換されていてもよいアシル基」としては、上記「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基として例示される「置換されていてもよいアシル基」にとして例示される式:-SO
2R
4、−SOR
4または-PO
3R
4R
5で表される基がより好ましい。
R
3で示される「置換されていてもよいアシル基」は、特に好ましくはC
1−6アルキルスルホニル;および環を形成していてもよい(モノ−もしくはジ−C
1−10アルキル)ホスホノ基(例、ジメチルホスホノ;ジエチルホスホノ;ジイソプロピルホスホノ;ジブチルホスホノ;2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスフィナニル)である。
【0091】
R
3で示される「置換されていてもよい複素環基」の好適な例としては、C
1−6アルキル、ヒドロキシ−C
1−6アルキル、カルボキシル、カルバモイルおよびC
1−6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル)から選ばれる1ないし3個の置換基でそれぞれ置換されていてもよい、5ないし6員芳香族複素環基(例、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル);芳香族縮合複素環基(例、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリル、インダゾリル);5ないし6員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフリル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ジオキソチアゾリジニル、ジオキソオキサゾリジニル、オキソジヒドロオキサジアゾリル、ジオキソイミダゾリジニル、ジオキソピペラジニル、ジオキシドチオモルホリニル);非芳香族縮合複素環基(例、オキソジヒドロベンゾオキサゾリル、テトラヒドロベンゾチアゾリル)が挙げられる。
これらのなかでも、C
1−6アルキルでそれぞれ置換されていてもよい5ないし6員芳香族複素環基(例、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル)、芳香族縮合複素環基(例、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリル、インダゾリル)、および5ないし6員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ジオキソチアゾリジニル、ジオキソオキサゾリジニル、オキソジヒドロオキサジアゾリル、ジオキソイミダゾリジニル、ジオキソピペラジニル、ジオキシドチオモルホリニル)が好ましい。
【0092】
化合物(I)としては、例えば、
[4−({(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]プロパ−2−エノイル}アミノ)ベンジル]ホスホン酸ジエチル(以下、化合物Aと表記することがある)、
(2E)−N−[4−(ジエチルホスホノメチル)フェニル]−3−[5−(2−フリル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)エチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−3−{1−メチル−5−[4−(メチルチオ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}−N−{4−[(メチルチオ)メチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−N−[4−(ジメチルホスホノメチル)フェニル]−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−N−[4−(ジエチルホスホノメチル)フェニル]−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
N−[4−(ジエチルホスホノメチル)フェニル]−3−[1−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]プロピオンアミド、
(2E)−N−[4−(ジエチルホスホノメチル)フェニル]−3−[1−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]アクリルアミド、
(2E)−N−[4−(ジメチルホスホノメチル)フェニル]−3−[1−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−(4−{[(4−プロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]チオ}フェニル)アクリルアミド、
(2E)−N−{4−[(2,6−ジオキソ−1−ピペリジニル)メチル]フェニル}−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−[4−(1H−イミダゾール−1−イルメチル)フェニル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]アクリルアミド、
[4−({(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]プロパ−2−エノイル}アミノ)フェニル]酢酸エチル、
(2E)−N−{4−[(2,4−ジオキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)メチル]フェニル}−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[(2−イソプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)フェニル]アクリルアミド、
(2E)−N−{4−[(5−エチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)メチル]フェニル}−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−N−[4−(ジメチルホスホノメチル)フェニル]−3−[5−(2−フリル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[(メチルチオ)メチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−[4−(メトキシメチル)フェニル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−[4−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イルメチル)フェニル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−N−{4−[(2−エチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]フェニル}−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
2−[4−({(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]プロパ−2−エノイル}アミノ)ベンジル]−1,3−チアゾール−4−カルボキサミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)メチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[(1,3−チアゾール−2−イル)メチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[(5−プロピル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)メチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)メチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−N−{4−[2−(5−エチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)エチル]フェニル}−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)エチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−[4−(1−ピロリジニルメチル)フェニル]アクリルアミド、
(2E)−N−{4−[(ジエチルホスホノ)(ヒドロキシ)メチル]フェニル}−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル]アクリルアミド、
(2E)−N−{4−[2−(ジエチルアミノ)−2−オキソエチル]フェニル}−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−N−{4−[(エチルスルフィニル)メチル]フェニル}−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−N−{4−[(エチルスルホニル)メチル]フェニル}−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)メトキシ]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−(4−{[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)チオ]メチル}フェニル)アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−[4−(2−オキソプロピル)フェニル]アクリルアミド、
(2E)−N−{4−[(1−エチル−1H−テトラゾール−5−イル)メチル]フェニル}−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)メチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−N−[4−(アミノメチル)フェニル]−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−{4−[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)メチル]フェニル}アクリルアミド、
(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−N−(4−{[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)スルホニル]メチル}フェニル)アクリルアミド
が好ましい化合物として挙げられる。
【0093】
また、国際公開第2012/008549号公報に記載されている(2E)−3−[4−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−イル]−N−{4−[2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)エチル]フェニル}プロパ−2−エンアミド、(4−{[(2E)−3−(4−フェニルピリジン−3−イル)プロパ−2−エノイル]アミノ}ベンジル)ホスホン酸ジメチル、(2E)−3−[4−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−イル]−N−[4−(1H−イミダゾール−1−イルメチル)フェニル]プロパ−2−エンアミドも同様の作用を有する化合物として挙げられる。
とりわけ、[4−({(2E)−3−[5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]プロパ−2−エノイル}アミノ)ベンジル]ホスホン酸ジエチル(化合物A)が好ましい。
【0094】
化合物(I)の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、このような塩としては、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
【0095】
無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
上記した塩の中でもナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩などが好ましい。
【0096】
化合物(I)またはその塩(以下、「本発明化合物」と称することがある)は、たとえば、国際公開第2004/039365号公報に記載された方法により、製造することができる。
【0097】
本発明においては、本発明化合物のプロドラッグを用いることもできる。
本発明化合物のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により本発明化合物に変換される化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を受けて本発明化合物に変化する化合物、胃酸等により加水分解等されて本発明化合物に変化する化合物をいう。
本発明化合物のプロドラッグとしては、本発明化合物のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例、本発明化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など);本発明化合物の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例、本発明化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);本発明化合物のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例、本発明化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など);等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって本発明化合物から製造することができる。
また、本発明化合物のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で本発明化合物に変化するものであってもよい。
【0098】
また、本発明化合物は、放射性同位元素(例、
3H,
14C,
35S,
125Iなど)などで標識されていてもよい。
さらに、本発明化合物は、無水物であっても、水和物であってもよい。
【0099】
本発明化合物およびそのプロドラッグは、毒性が低く、そのまま、または薬理学的に許容し得る担体などと混合して医薬組成物(以下、「本発明の医薬組成物」とも称する)とすることができる。
本発明の医薬組成物は、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対して、小胞体ストレス抑制剤として有用であり、小胞体ストレスに起因する疾患の予防または治療剤として用いることができる。
【0100】
小胞体ストレスに起因する疾患としては、(1)異常なタンパク質の蓄積によって小胞体ストレス反応が亢進し、細胞機能障害や細胞死が生じることにより発症する疾患、たとえば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症等の神経変性疾患、心筋症等;(2)小胞体ストレスによる細胞内情報伝達系の変化による機能不全による疾患、たとえば2型糖尿病、モルヒネ耐性形成等;(3)分泌細胞において、小胞体ストレスにより生理的な分泌需要の亢進の結果、代償不全による細胞分化阻害等による疾患、たとえば、1型糖尿病等;(4)酸化ストレスとあいまってミクログリア細胞の活性化と組織障害による疾患、例えば緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、虚血性眼疾患等が挙げられる。
特に、肺胞上皮の傷害に対し、その修復のためコラーゲン等が増加し、異常な修復反応が起こる結果、線維化が進行する特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF))や、WFS1遺伝子の変異を原因として、若年で発症する1型糖尿病が初発症状となり、次いで視神経障害をきたすウォルフラム症候群(Wolfram Syndrome)、ロドプシン遺伝子の変異による蛋白のミスフォールディングが引き起こす小胞体のストレス応答により、視細胞の細胞死が誘導されて発症する網膜色素変性症、エンドトキシンや自己免疫応答などによる炎症により視覚機能が障害されるぶどう膜炎などの予防または治療剤などとして、有効に用いることができる。
【0101】
本発明の医薬組成物に用い得る薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、基剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、安定剤、懸濁化剤、分散剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などが挙げられる。また必要に応じて、防腐剤、保存剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤の調製に汎用される添加剤を用いることもできる。
【0102】
賦形剤の好適な例としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ、ポリエチレングリコール6000などが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
基剤の好適な例としては、白色ワセリン、サラシミツロウ、ステアリルアルコール、セタノール、コレステロールなどが挙げられる。
【0103】
溶剤の好適な例としては、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液等の水性溶剤;イソプロパノール、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の水混和性有機溶剤;ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油等の油性溶剤などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
安定剤の好適な例としては、エデト酸ナトリウム、キシリトール、ヒト血清アルブミンなどが挙げられる。
懸濁化剤および分散剤の好適な例としては、ステアリン酸トリエタノールアミン塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート類(ポリソルベート80等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等)などの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
防腐剤および保存剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類(例、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。
着色剤の好適な例としては、水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素)、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩など)、天然色素(例、β−カロテン、クロロフィル、ベンガラなど)などが挙げられる。
甘味剤の好適な例としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。
【0104】
本発明の医薬組成物の剤形としては、例えば錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などの経口剤;および注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤など)、外用剤(例、経皮製剤、軟膏剤など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤など)、点鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤、点耳剤等の非経口剤などが挙げられ、これらはそれぞれ経口的あるいは非経口的に安全に投与できる。
これらの製剤は、速放性製剤または徐放性製剤などの放出制御製剤(例、徐放性マイクロカプセルなど)であってもよい。
【0105】
本発明の医薬組成物中における本発明化合物の含量は、剤形、本発明化合物の投与量などにより異なるが、例えば約0.1〜100重量%である。
【0106】
また、本発明の医薬組成物においては、本発明の特徴を損なわない範囲で、本発明化合物に加えて、小胞体ストレスに起因する疾患に対して対症療法的に用いられる薬物を併用することができる。
かかる薬物としては、特発性肺線維症に対して用いられるピルフェニドン、PDE
5阻害薬であるシルデナフィル、ウォルフラム症候群に対して用いられるインスリン、デスモプレッシン等が挙げられる。
【0107】
本発明の医薬組成物は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば日本薬局方製剤総則の製剤各条等に記載の方法等により製造することができる。
【0108】
以下に、製剤の具体的な製造法について詳述する。
固形状の経口剤、例えば錠剤は、有効成分である本発明化合物に、上記した賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などを添加し、混合して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは徐放性の付与を目的として、コーティング剤を用いて自体公知の方法でコーティングすることにより製造される。
【0109】
該コーティング剤としては、例えば糖衣剤、水溶性フィルムコーティング剤、腸溶性フィルムコーティング剤、徐放性フィルムコーティング剤などが挙げられる。
【0110】
糖衣剤としては、白糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナウバロウなどから選ばれる1種または2種以上を併用してもよい。
水溶性フィルムコーティング剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE〔オイドラギットE(商品名)、ロームファルマ社〕、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
腸溶性フィルムコーティング剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL〔オイドラギットL(商品名)、ロームファルマ社〕、メタアクリル酸コポリマーLD〔オイドラギットL−30D55(商品名)、ロームファルマ社〕、メタアクリル酸コポリマーS〔オイドラギットS(商品名)、ロームファルマ社〕などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物などが挙げられる。
徐放性フィルムコーティング剤としては、例えばエチルセルロースなどのセルロース系高分子;アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS〔オイドラギットRS(商品名)、ロームファルマ社〕、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体懸濁液〔オイドラギットNE(商品名)、ロームファルマ社〕などのアクリル酸系高分子などが挙げられる。
【0111】
上記したコーティング剤は、その1種を単独で用いてもよく、また2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、コーティングの際に、例えば酸化チタン、三二酸化鉄等のような遮光剤を用いてもよい。
【0112】
液状の非経口剤、たとえば注射剤は、有効成分である本発明化合物を上記した分散剤、保存剤、等張化剤などと共に、上記した溶剤(水性溶剤、水混和性有機溶剤あるいは油性溶剤など)に溶解、懸濁あるいは乳化することにより製造される。この際、所望により、上記した溶解補助剤、安定剤、無痛化剤等の添加剤を用いてもよい。
【0113】
本発明の医薬組成物の投与量は、投与対象の種別、性別、年齢、本発明の医薬組成物の剤形、投与ルート、対象疾患、症状などによっても異なるが、例えば特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF))の成人患者に経口投与する場合、本発明化合物の量として通常1回あたり約0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.05〜30mg/kg体重、さらに好ましくは1〜10mg/kg体重であり、この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。