【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0047】
<環状ポリエーテルの合成>
(合成例1)
THF(75mL)及びn−ヘプタン(25mL)の混合溶媒にKOH(3.3g)を分散させた分散液に対し、両末端にヒドロキシ基を有する直鎖状ポリエーテル(数平均分子量Mn:2000Da)(5.0g)及びトシルクロリド(0.64g)の乾燥THF溶液(100mL)をゆっくりと滴下し、40℃で6日間反応することにより、合成例1の環状ポリエーテル(PEO(1))を得た。得られた環状ポリエーテルのサイズ排除クロマトグラフィーより求めたピークトップ分子量Mpは2000Da、Mw/Mnは1.10であった。
【0048】
(合成例2)
THF(75mL)及びn−ヘプタン(25mL)の混合溶媒にKOH(3.3g)を分散させた分散液に対し、両末端にヒドロキシ基を有する直鎖状ポリエーテル(数平均分子量Mn:3000Da)(2.5g)及びトシルクロリド(0.24g)の乾燥THF溶液(50mL)をゆっくりと滴下し、40℃で6日間反応することにより、合成例2の環状ポリエーテル(PEO(2))を得た。得られた環状ポリエーテルのサイズ排除クロマトグラフィーより求めたピークトップ分子量Mpは3200Da、Mw/Mnは1.06であった。
【0049】
(合成例3)
THF(75mL)及びn−ヘプタン(25mL)の混合溶媒にKOH(3.3g)を分散させた分散液に対し、両末端にヒドロキシ基を有する直鎖状ポリエーテル(数平均分子量Mn:10000Da)(5.0g)及びトシルクロリド(0.21g)の乾燥THF溶液(100mL)をゆっくりと滴下し、40℃で6日間反応することにより、合成例3の環状ポリエーテル(PEO(3))を得た。得られた環状ポリエーテルのサイズ排除クロマトグラフィーより求めたピークトップ分子量Mpは10500Da、Mw/Mnは1.03であった。
【0050】
<修飾金属ナノ粒子の調製>
(実施例A−1:修飾銀ナノ粒子(A−1)の調製)
合成例1で合成したPEO(1)を用いて、修飾銀ナノ粒子(A−1)を調製した。
具体的には、PEO(1)(50mg)、硝酸銀(17.4mg)、アンモニア水溶液(34μL)、NaOH(40mg)、及びマルトース一水和物(360mg)を水(100mL)中、25℃で12時間反応させることにより、修飾銀ナノ粒子(A−1)を得た。修飾銀ナノ粒子(A−1)の平均粒径は45nmであった。
【0051】
(実施例A−2:修飾銀ナノ粒子(A−2)の調製)
合成例2で合成したPEO(2)を用いて、修飾銀ナノ粒子(A−2)を調製した。
具体的には、PEO(2)(50mg)、硝酸銀(17.4mg)、アンモニア水溶液(34μL)、NaOH(40mg)、及びマルトース一水和物(360mg)を水(100mL)中、25℃で12時間反応させることにより、修飾銀ナノ粒子(A−2)を得た。修飾銀ナノ粒子(A−2)の平均粒径は31nmであった。
【0052】
(実施例A−3:修飾銀ナノ粒子(A−3)の調製)
合成例3で合成したPEO(3)を用いて、修飾銀ナノ粒子(A−3)を調製した。
具体的には、PEO(3)(50mg)、硝酸銀(17.4mg)、アンモニア水溶液(34μL)、NaOH(40mg)、及びマルトース一水和物(360mg)を水(100mL)中、25℃で12時間反応させることにより、修飾銀ナノ粒子(A−3)を得た。修飾銀ナノ粒子(A−3)の平均粒径は35nmであった。
【0053】
(比較例X−1:修飾銀ナノ粒子(X−1)の調製)
直鎖のポリエチレンオキシドを用いて、修飾銀ナノ粒子(X−1)を調製した。
具体的には、数平均分子量Mnが約4000Daの直鎖ポリエチレンオキシド(50mg)、硝酸銀(17.4mg)、アンモニア水溶液(34μL)、NaOH(40mg)、及びマルトース一水和物(360mg)を、水(100mL)中、25℃で12時間反応させることにより、修飾銀ナノ粒子(X−1)を得た。修飾銀ナノ粒子(X−1)の平均粒径は36nmであった。
【0054】
(比較例X−3:修飾銀ナノ粒子(X−2)の調製)
直鎖のポリエチレンオキシドジメチルエーテルを用いて、修飾銀ナノ粒子(X−2)を調製した。
具体的には、数平均分子量Mnは約4000Daの直鎖ポリエチレンオキシドジメチルエーテル(50mg)、硝酸銀(17.4mg)、アンモニア水溶液(34μL)、NaOH(40mg)、マルトース一水和物(360mg)を、水(100mL)中、25℃で12時間反応させることにより、修飾銀ナノ粒子(X−2)を得た。修飾銀ナノ粒子(X−2)の平均粒径は44nmであった。
【0055】
実施例A−2、比較例X−1及び比較例X−2で得られた修飾銀ナノ粒子について、以下の方法で耐塩性を評価した。
【0056】
(耐塩性評価試験)
修飾銀ナノ粒子を、種々の濃度のNaCl溶液(25mM、37.5mM、44mM、50mM、及び75mM)中に加えて試験サンプルを作成した。3時間経過後及び1週間経過後の試験サンプルについて、紫外可視分光法によって最大吸収波長を測定した。最大吸収波長における吸収の減少率(初期の吸収を100%としたときの吸収)を算出し、グラフ化した。結果を
図1に示す。
【0057】
(実施例B−1:修飾金ナノ粒子(B−1)の調製)
合成例1で合成したPEO(1)を用いて、修飾金ナノ粒子(B−1)を調製した。
具体的には、HAuCl
4水溶液(1.0mM、40mL)とクエン酸ナトリウム水溶液(4.0mM、39mL)とを混合し、10分間還流させて、金ナノ粒子を合成した。次いで、金ナノ粒子溶液(400μL)に対し、水(100μL)、PEO(1)(12.5mg)を添加し、25℃で10分反応させることにより、修飾金ナノ粒子(B−1)を得た。修飾金ナノ粒子(B−1)の平均粒径は14nmであった。
【0058】
(実施例B−2:修飾金ナノ粒子(B−2)の調製)
合成例2で合成したPEO(2)を用いて、修飾金ナノ粒子(B−2)を調製した。
具体的には、HAuCl
4水溶液(1.0mM、40mL)とクエン酸ナトリウム水溶液(4.0mM,39mL)とを混合し、10分間還流させて、金ナノ粒子を合成した。次いで、金ナノ粒子溶液(400μL)に対し、水(100μL)、PEO(2)(12.5mg)を添加し、25℃で10分反応させることにより、修飾金ナノ粒子(B−2)を得た。修飾金ナノ粒子(B−3)の平均粒径は14nmであった。
【0059】
(実施例B−3:修飾金ナノ粒子(B−3)の調製)
合成例3で合成したPEO(3)を用いて、修飾金ナノ粒子(B−3)を調製した。
具体的には、HAuCl
4水溶液(1.0mM、40mL)とクエン酸ナトリウム水溶液(4.0mM,39mL)とを混合し、10分間還流させて、金ナノ粒子を合成した。次いで、金ナノ粒子溶液(400μL)に対し、水(100μL)、PEO(3)(12.5mg)を添加し、25℃で10分反応させることにより、修飾金ナノ粒子(B−3)を得た。修飾金ナノ粒子(B−4)の平均粒径は14nmであった。
【0060】
(比較例Y−1:修飾金ナノ粒子(Y−1)の調製)
直鎖のポリエチレンオキシドを用いて、修飾金ナノ粒子(Y−1)を調製した。
具体的には、HAuCl
4水溶液(1.0mM、40mL)とクエン酸ナトリウム水溶液(4.0mM,39mL)とを混合し、10分間還流させて、金ナノ粒子を合成した。次いで、金ナノ粒子溶液(400μL)に対し、水(100μL)、数平均分子量Mnが2000Daの直鎖ポリエチレンオキシド(12.5mg)を添加し、25℃で10分反応させることにより、修飾金ナノ粒子(Y−1)を得た。修飾金ナノ粒子(Y−1)の平均粒径は14nmであった。
【0061】
(比較例Y−2:修飾金ナノ粒子(Y−2)の調製)
直鎖のポリエチレンオキシドを用いて、修飾金ナノ粒子(Y−2)を調製した。
具体的には、HAuCl
4水溶液(1.0mM、40mL)とクエン酸ナトリウム水溶液(4.0mM,39mL)とを混合し、10分間還流させて、金ナノ粒子を合成した。次いで、金ナノ粒子溶液(400μL)に対し、水(100μL)、数平均分子量Mnが4000Daの直鎖ポリエチレンオキシド(12.5mg)を添加し、25℃で10分反応させることにより、修飾金ナノ粒子(Y−2)を得た。修飾金ナノ粒子(Y−2)の平均粒径は14nmであった。
【0062】
(比較例Y−3:修飾金ナノ粒子(Y−3)の調製)
直鎖のポリエチレンオキシドを用いて、修飾金ナノ粒子(Y−3)を調製した。
具体的には、HAuCl
4水溶液(1.0mM、40mL)とクエン酸ナトリウム水溶液(4.0mM,39mL)とを混合し、10分間還流させて、金ナノ粒子を合成した。次いで、金ナノ粒子溶液(400μL)に対し、水(100μL)、数平均分子量Mnが6000Daの直鎖ポリエチレンオキシド(12.5mg)を添加し、25℃で10分反応させることにより、修飾金ナノ粒子(Y−3)を得た。修飾金ナノ粒子(Y−3)の平均粒径は14nmであった。
【0063】
実施例及び比較例で得られた修飾金ナノ粒子について、以下の方法で耐塩性を評価した。
【0064】
(耐塩性評価試験)
修飾金ナノ粒子を、種々の濃度のNaCl溶液(45mM、90mM、120mM、及び180mM)中に加えて試験サンプルを作製した。3時間経過後の試験サンプルについて、紫外可視分光法によって最大吸収波長を測定した。測定された最大吸収波長が初期の最大吸収波長からほとんど変化しなかった(5nm未満)場合をA、15nm未満の変化であった場合をB、15nm以上変化した場合をC、ピークが幅広となり最大吸収波長の測定が困難となった場合をDとして評価した。結果を表1に示す。なお、評価結果がB及びCの場合は、表1中の括弧内に変化量を示した。
【0065】
【表1】
【0066】
(実施例C−1:修飾金ナノ粒子(C−1)の調製)
平均粒径10nmの金ナノ粒子と合成例2で合成したPEO(2)とを用いて、修飾金ナノ粒子(C−1)を調製した。
具体的には、金ナノ粒子の水分散液(金ナノ粒子の含有量0.05mg/mL、金ナノ粒子の平均粒径10nm、nanoComposix社製)を0.54mL準備し、この水分散液に、1.5mgのPEO(2)を溶解させ、25℃で10分反応させることにより、修飾金ナノ粒子(C−1)を含む水分散液を得た。
【0067】
(実施例C−2〜C−6:修飾金ナノ粒子(C−2)〜(C−6)の調製)
金ナノ粒子の平均粒径を15nm(実施例C−2)、20nm(実施例C−3)、30nm(実施例C−4)、40nm(実施例C−5)又は50nm(実施例C−6)に変更したこと以外は、実施例C−1と同様にして修飾金ナノ粒子を調製した。
【0068】
実施例C−1〜C−6の修飾金ナノ粒子(C−1)〜(C−6)について、以下の方法で耐塩性を評価した。
【0069】
(耐塩性評価試験)
修飾金ナノ粒子を含む水分散液に対して、0.06mLのリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4、NaCl濃度:1500mM)を加えて試験サンプルを作製した。試験サンプルについて、日本分光株式会社製紫外可視近赤外分光光度計を用い、37℃の条件で、時間経過による吸光度の変化を測定した。測定開始時の吸光度に対する相対吸光度を縦軸、経過時間を横軸に取ったグラフは、
図2に示すとおりとなった。
【0070】
(実施例D−1:修飾金ナノ粒子(D−1)の調製)
平均粒径10nmの金ナノ粒子と合成例1で合成したPEO(1)とを用いて、修飾金ナノ粒子(D−1)を調製した。
具体的には、金ナノ粒子の水分散液(金ナノ粒子の含有量0.05mg/mL、金ナノ粒子の平均粒径10nm、nanoComposix社製)を0.54mL準備し、この水分散液に、1.5mgのPEO(1)を溶解させ、25℃で10分反応させることにより、修飾金ナノ粒子(D−1)を含む水分散液を得た。
【0071】
(実施例D−2及びD−3:修飾金ナノ粒子(D−2)及び(D−3)の調製)
金ナノ粒子の平均粒径を30nm(実施例D−2)又は50nm(実施例D−3)に変更したこと以外は、実施例D−1と同様にして修飾金ナノ粒子を調製した。
【0072】
実施例D−1〜D−3の修飾ナノ粒子(D−1)〜(D−3)について、以下の方法で耐塩性を評価した。
【0073】
(耐塩性評価試験)
修飾金ナノ粒子を含む水分散液に対して、0.06mLのリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4、NaCl濃度:1500mM)を加えて試験サンプルを作製した。試験サンプルについて、日本分光株式会社製紫外可視近赤外分光光度計を用い、45℃の条件で、時間経過による吸光度の変化を測定した。測定開始時の吸光度に対する相対吸光度を縦軸、経過時間を横軸に取ったグラフは、
図3に示すとおりとなった。