【解決手段】画素データを取り込んでクロック信号のエッジのタイミングで出力するデータ取込部と、データ取込部から出力された画素データに対応した階調電圧を増幅するアンプと、アンプの動作電流の電流値を設定するバイアス電圧を生成してアンプに供給するバイアス電圧生成部とを具備し、バイアス電圧生成部は、動作電流の電流値を第1の電流値に設定するバイアス電圧を表す第1の情報と、動作電流の電流値を第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定するバイアス電圧を表す第2の情報と、を記憶するレジスタを含む。バイアス電圧生成部は、クロック信号のエッジの時点から第1の期間の経過時点までの間は第1の電圧値のバイアス電圧を生成し、第1の期間の経過時点で第2の電圧値に切り替える。
前記第1の期間は、前記階調電圧における最低輝度を表す電圧値から最高輝度を表す電圧値への遷移に応答して前記アンプから出力される前記駆動電圧の電圧値が前記最低輝度に対応した電圧値から前記最高輝度に対応した電圧値に遷移するまでに掛かる時間に対応した期間長を有することを特徴とする請求項1に記載の表示ドライバ。
前記表示デバイスにおいて前記第1〜第Nのデータラインに交叉して配置されている第1〜第Mの水平走査ライン(Mは2以上の整数)に順に水平走査パルスを印加して、前記第1〜第Mの水平走査ラインの各々を順に駆動する走査ドライバを含み、
前記第1〜第Mの水平走査ラインのうちで前記第1〜第Nのアンプから遠い位置に配置されている前記水平走査ラインの駆動時に前記バイアス電圧生成部が用いる前記第1の期間の長さが、前記第1〜第Nのアンプから近い位置に配置されている前記水平走査ラインの駆動時に前記バイアス電圧生成部が用いる前記第1の期間の長さよりも長いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の表示ドライバ。
前記第1〜第Nの駆動電圧のうちで電圧値の遷移幅が最も大きい駆動電圧の電圧値が所定の参照電圧値を超えた時点を前記第1の期間の経過時点として設定する切換判定部を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示ドライバ。
前記第1〜第Nの駆動電圧のうちで電圧値の遷移幅が最も大きい駆動電圧の電圧値と、前記遷移幅が最も大きい駆動電圧に対応した前記階調電圧との電圧値が等しくなった時点を前記第1の期間の経過時点として設定する切換判定部を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示ドライバ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る表示ドライバを含む表示装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、表示装置100は、駆動制御部11、走査ドライバ12、データドライバ13、及び表示デバイス20を有する。
【0017】
表示デバイス20は、例えば有機ELパネル又は液晶表示パネル等からなる。表示デバイス20には、2次元画面の水平方向に伸張する水平走査ラインS1〜Sm(mは2以上の整数)と、2次元画面の垂直方向に伸張するデータラインD1〜Dn(nは2以上の整数)と、が形成されている。水平走査ラインとデータラインとの各交叉部の領域(破線にて囲まれた領域)には表示セルが形成されている。
【0018】
尚、水平走査ラインS1〜Smは走査ドライバ12に接続されており、データラインD1〜Dnはデータドライバ13に接続されている。
【0019】
駆動制御部11は、映像信号VD中から水平同期信号を検出して走査ドライバ12に供給する。また、駆動制御部11は、映像信号VDに基づき画素の輝度レベルを例えば8ビットの輝度階調で表す画素データ片の列を含む画像データ信号PDを生成し、これをデータドライバ13に供給する。
【0020】
走査ドライバ12は、駆動制御部11から供給された水平同期信号に同期したタイミングで、水平走査パルスを表示デバイス20の水平走査ラインS1〜Smの各々に順次印加する。
【0021】
データドライバ13は、半導体IC(integrated circuit)チップに形成されており、データ取込部131、階調電圧生成部132及び出力アンプ部133を含む。
【0022】
データ取込部131は、画像データ信号PDに含まれる画素データ片を1水平走査ライン分ずつ、つまりn個毎に取り込む。データ取込部131は、取り込んだn個の画素データ片を画素データP1〜Pnとし、これら画素データP1〜Pnを、クロック信号CLKの例えば立ち上がりエッジのタイミングで階調電圧生成部132に供給する。
【0023】
階調電圧生成部132は、データ取込部131から供給された画素データP1〜Pnを、夫々の輝度レベルに対応した電圧値を有する階調電圧V1〜Vnに変換して出力アンプ部133に供給する。
【0024】
図2は、出力アンプ部133の内部構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、出力アンプ部133は、メインバイアス回路MB、サブバイアス回路SB1〜SB3、及び制御部CNを含むバイアス電圧生成部1330と、アンプAP1〜APnと、を有する。
【0025】
アンプAP1〜APnは、階調電圧V1〜Vnを増幅して得たn個の電圧を駆動電圧G1〜Gnとし、夫々を半導体ICチップの出力端子T1〜Tnを介して出力する。出力端子T1〜Tnは、表示デバイス20のデータラインD1〜Dnに夫々接続されている。
【0026】
尚、アンプAP1〜APnの各々は、例えばオペアンプを含み、サブバイアス回路SB1〜SB3から供給されたバイアス電圧VBH1〜VBH3及びVBL1〜VBL3に応じて、当該オペアンプの差動段、並びにカレントミラー段に流す動作電流が設定される。これにより、アンプAP1〜APnの各々は、バイアス電圧VBH1〜VBH3及びVBL1〜VBL3に応じて自身の出力スルーレートが調整される。
【0027】
メインバイアス回路MBは、所定の一定電流を有する基準電流IBを生成し、これをサブバイアス回路SB1〜SB3に夫々供給する。
【0028】
サブバイアス回路SB1〜SB3の各々は、基準電流IBに基づき、バイアス電圧制御信号PWRCに応じた電圧値を有するバイアス電圧VBH1〜VBH3及びVBL1〜VBL3を生成する。
【0029】
サブバイアス回路SB1は、生成したバイアス電圧VBH1〜VBH3及びVBL1〜VBL3を、アンプAP1〜APnを3つのグループに区分けした際の第1のグループに属するAP1〜APr(rはn未満の整数)に供給する。サブバイアス回路SB2は、当該バイアス電圧VBH1〜VBH3及びVBL1〜VBL3を、アンプAP1〜APnのうちの第2のグループに属するAP(r+1)〜APg(gは、rより大であり且つn未満の整数)に供給する。サブバイアス回路SB3は、上記した電圧値の調整が施されたバイアス電圧VBH1〜VBH3及びVBL1〜VBL3を、アンプAP1〜APnのうちの第3のグループに属するAP(g+1)〜APnに供給する。
【0030】
制御部CNは、バイアス電圧VBH1〜VBH3及びVBL1〜VBL3の電圧値を設定するバイアス電圧制御信号PWRCを生成し、これをサブバイアス回路SB1〜SB3に供給する。
【0031】
以下に、制御部CN、メインバイアス回路MB、サブバイアス回路SB1〜SB3の内部構成について詳細に説明する。尚、サブバイアス回路SB1〜SB3各々の内部構成は同一であるので、当該サブバイアス回路SB1のみを抜粋して説明する。
【0032】
図3は、制御部CN、メインバイアス回路MB、及びサブバイアス回路SB1の内部構成の一例を表す図である。
【0033】
制御部CNは、電圧遷移時バイアス設定レジスタRG1、出力一定時バイアス設定レジスタRG2、切換タイミングレジスタCRG及び制御信号生成部SGを含む。
【0034】
電圧遷移時バイアス設定レジスタRG1には、駆動電圧Gの立ち上がり又は立ち下がり期間中においてアンプAP1〜APrを高スルーレート化する為のバイアス電圧VBH1〜3、VBL1〜3の電圧値を示すバイアス電圧情報Bs1が記憶されている。電圧遷移時バイアス設定レジスタRG1は、バイアス電圧情報Bs1を制御信号生成部SGに供給する。
【0035】
出力一定時バイアス設定レジスタRG2には、駆動電圧Gの電圧値の遷移量が所定値未満となる出力一定期間中においてアンプAP1〜APrを低消費電力化する為のバイアス電圧VBH1〜3、VBL1〜3の電圧値を示すバイアス電圧情報Bs2が記憶されている。出力一定時バイアス設定レジスタRG2は、バイアス電圧情報Bs2を制御信号生成部SGに供給する。
【0036】
切換タイミングレジスタCRGには、バイアス電圧VBH1〜3、VBL1〜3の電圧値を切り替えるタイミングを示す切換タイミング情報TGが記憶されている。切換タイミングレジスタCRGは、切換タイミング情報TGを制御信号生成部SGに供給する。
【0037】
制御信号生成部SGは、クロック信号CLK、切換タイミング情報TG、バイアス電圧情報Bs1及びBs2に基づき、バイアス電圧制御信号PWRCを生成する。
【0038】
つまり、制御信号生成部SGは、クロック信号CLKの例えば立ち上がりエッジのタイミングで、先ず、バイアス電圧情報Bs1及びBs2のうちのBs1を取り込む。次に、制御信号生成部SGは、バイアス電圧情報Bs1にて示される電圧値を有するバイアス電圧(VBH1〜3、VBL1〜3)をサブバイアス回路SB1側で生成させる為のバイアス電圧制御信号PWRCを生成し、これを当該サブバイアス回路SB1に供給する。ここで、制御信号生成部SGは、切換タイミング情報TGにて示されるタイミングで、バイアス電圧情報Bs2を取り込む。そして、制御信号生成部SGは、バイアス電圧情報Bs2にて示される電圧値を有するバイアス電圧(VBH1〜3、VBL1〜3)をサブバイアス回路SB1側で生成させる為のバイアス電圧制御信号PWRCを生成し、これを当該サブバイアス回路SB1に供給する。
【0039】
尚、バイアス電圧制御信号PWRCは、例えば、
図3に示すようにサブバイアス回路SB1に含まれるPチャネルMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)型のトランジスタQ3〜Q5のうちで、オン状態に設定するトランジスタの数を指定する情報を含む。
【0040】
メインバイアス回路MBは、電源電位VDDを受けて基準電流IBを生成し、これをノードL1を介してサブバイアス回路SB1に供給する電流源G1を有する。
【0041】
サブバイアス回路SB1は、PチャネルMOS型のトランジスタQ1〜Q5及びスイッチ回路SW1〜SW3を含む電圧調整部VCNと、PチャネルMOS型のトランジスタQ6〜Q12と、NチャネルMOS型のトランジスタR1〜R10と、を有する。
【0042】
トランジスタR1は、自身のドレイン端及びゲート端がノードL1とトランジスタR2のゲート端とに接続されている。トランジスタR1及びR2各々のソース端には接地電位VSSが印加されている。トランジスタR2のドレイン端は、ノードL2を介して電圧調整部VCNと接続されている。
【0043】
かかる構成によりトランジスタR2は、基準電流IBに対応した電流I2をノードL2に流す。
【0044】
電圧調整部VCNのトランジスタQ1及びQ2各々のゲート端はノードL2に接続されている。トランジスタQ1及びQ各々のソース端には電源電位VDDが印加されている。トランジスタQ2のドレイン端は、ノードL3を介してトランジスタR3のドレイン端及びゲート端に接続されている。トランジスタR3のソース端には接地電位VSSが印加されている。
【0045】
かかる構成により、トランジスタQ2は、上記した電流I2に対応した電流I3をノードL3に送出することにより、当該ノードL3に基準バイアス電圧VQを生成する。
【0046】
電圧調整部VCNのトランジスタQ3〜Q5各々のソース端には電源電位VDDが印加されており、夫々のドレイン端はノードL3に接続されている。
【0047】
スイッチ回路SW1は、バイアス電圧制御信号PWRCに応じて、電源電位VDDをトランジスタQ3のゲート端に供給する状態(オフ状態と称する)、又はノードL2をトランジスタQ3のゲート端に接続する状態(オン状態と称する)に設定される。スイッチ回路SW2は、バイアス電圧制御信号PWRCに応じて、電源電位VDDをトランジスタQ4のゲート端に供給する状態(オフ状態と称する)、又はノードL2をトランジスタQ3のゲート端に接続する状態(オン状態と称する)に設定される。スイッチ回路SW3は、バイアス電圧制御信号PWRCに応じて、電源電位VDDをトランジスタQ5のゲート端に供給する状態(オフ状態と称する)、又はノードL2をトランジスタQ5のゲート端に接続する状態(オン状態と称する)に設定される。
【0048】
トランジスタQ3は、スイッチ回路SW1がオン状態になる場合にだけオン状態となり、上記した電流I2に対応した電流IcをノードL3に送出する。トランジスタQ4は、スイッチ回路SW2がオン状態になる場合にだけオン状態となり、上記した電流I2に対応した電流IcをノードL3に送出する。トランジスタQ5は、スイッチ回路SW3がオン状態になる場合にだけオン状態となり、上記した電流I2に対応した電流IcをノードL3に送出する。
【0049】
上記した構成により、電圧調整部VCNは、基準電流IBに対応した電流I3と、バイアス電圧制御信号PWRCに応じてオン状態に設定されたトランジスタQ3〜Q5から送出された電流Icを合成した合成電流ItをノードL3に送出する。合成電流ItがノードL3に送出されることで生成された基準バイアス電圧VQの電圧値が調整される。
【0050】
例えば、電圧調整部VCNが、トランジスタQ3〜Q5のうちでオン状態に設定するトランジスタの数としてゼロを表すバイアス電圧制御信号PWRCを受けた場合には、ノードL3に流れる合成電流Itは電流I3となる。
【0051】
また、電圧調整部VCNが、トランジスタQ3〜Q5のうちでオン状態に設定するトランジスタの数として「2」を表すバイアス電圧制御信号PWRCを受けた場合には、例えばトランジスタQ3〜Q5のうちのQ3及びQ4のみがオン状態に設定される。これにより合成電流Itは、電流I3にトランジスタQ3及びQ4の各々から送出された電流Icを加えた電流(I3+2・Ic)となる。
【0052】
すなわち、
図3に示す電圧調整部VCNは、バイアス電圧制御信号PWRCに応じて4段階で基準バイアス電圧VQの電圧値を調整することにより、バイアス電圧情報Bs1又はBs2にて示される電圧値を有する基準バイアス電圧VQを生成する。
【0053】
図3において、トランジスタR4〜R7各々のゲート端は上記したトランジスタR3のゲート端及びノードL3に接続されており、トランジスタR4〜R7各々のソース端には接地電位VSSが印加されている。トランジスタR4のドレイン端は、ノードL4を介してトランジスタQ6のゲート端及びドレイン端に接続されている。トランジスタR5のドレイン端は、ノードL5を介してトランジスタQ7のゲート端及びドレイン端に接続されている。トランジスタR6のドレイン端は、ノードL6を介してトランジスタQ8のゲート端及びドレイン端に接続されている。トランジスタQ6〜Q8各々のソース端には電源電位VDDが印加されている。
【0054】
トランジスタR7のドレイン端は、トランジスタQ9のドレイン端、及びトランジスタQ9〜Q12各々のゲート端に接続されている。トランジスタQ9〜Q12各々のソース端には電源電位VDDが印加されている。トランジスタQ10のドレイン端はノードL7を介してトランジスタR8のゲート端及びドレイン端に接続されている。トランジスタQ11のドレイン端はノードL8を介してトランジスタR9のゲート端及びドレイン端に接続されている。トランジスタQ12のドレイン端はノードL9を介してトランジスタR9のゲート端及びドレイン端に接続されている。トランジスタR8〜R10各々のソース端には接地電位VSSが印加されている。
【0055】
上記したトランジスタR4及びQ6からなる回路では、トランジスタR4が、自身のゲート端に供給された基準バイアス電圧VQに対応した電流をノードL4に流す。これによって当該ノードL4に生じた電圧が、バイアス電圧VBH1としてアンプAP1〜APrに供給される。
【0056】
トランジスタR5及びQ7からなる回路では、トランジスタR5が、自身のゲート端に供給された基準バイアス電圧VQに対応した電流をノードL5に流す。これによって当該ノードL5に生じた電圧が、バイアス電圧VBH2としてアンプAP1〜APrに供給される。
【0057】
トランジスタR6及びQ8からなる回路では、トランジスタR6が、自身のゲート端に供給された基準バイアス電圧VQに対応した電流をノードL6に流す。これによって当該ノードL6に生じた電圧が、バイアス電圧VBH3としてアンプAP1〜APrに供給される。
【0058】
尚、トランジスタR7は、自身のゲート端に供給された基準バイアス電圧VQに対応した電流をトランジスタQ9を介して流す。これにより、当該基準バイアス電圧VQに対応した電流が、トランジスタQ10〜Q12の各々のドレイン端からノードL7〜L9に夫々送出される。
【0059】
この際、トランジスタQ10が基準バイアス電圧VQに対応した電流をノードL7に送出することによって当該ノードL7に生じた電圧が、バイアス電圧VBL1としてアンプAP1〜APrに供給される。また、トランジスタQ11が基準バイアス電圧VQに対応した電流をノードL8に送出することによって当該ノードL8に生じた電圧が、バイアス電圧VBL2としてアンプAP1〜APrに供給される。また、トランジスタQ12が基準バイアス電圧VQに対応した電流をノードL9に送出することによって当該ノードL9に生じた電圧が、バイアス電圧VBL3としてアンプAP1〜APrに供給される。
【0060】
アンプAP1〜APrの各々は同一の内部構成を有する。そこで、以下にアンプAP1〜APrのうちのAP1を抜粋して、その内部構成について詳細に説明する。
【0061】
図4は、アンプAP1の内部構成を概略的に表すブロック図である。
図4に示すように、アンプAP1は、オペアンプOPA及び出力スイッチOSWを含む。
【0062】
オペアンプOPAは、出力端と反転入力端とが接続されている、いわゆるボルテージフォロワからなり、非反転入力端で受けた階調電圧V1を利得1で増幅して得られた出力電圧Y1を出力スイッチOSWに供給する。オペアンプOPAは、バイアス電圧VBH1〜VBH3及びVBL1〜VBL3に応じて自身の動作電流を調整することにより、出力スルーレートを変更する。出力スイッチOSWは、オン状態時にのみ、出力電圧Y1を駆動電圧G1として、半導体ICチップの出力端子T1から出力する。
【0063】
図5は、オペアンプOPAの内部構成を表す回路図である。オペアンプOPAは、差動段DFP、カレントミラー段CMR及び出力段OUPを含む。
【0064】
差動段DFPは、PチャネルMOS型のトランジスタU1〜U4、及びNチャネルMOS型のトランジスタJ1〜J4を含む。
【0065】
トランジスタU1のソース端には電源電位VDDが印加されており、ゲート端にはバイアス電圧VBH1が供給されている。トランジスタU1のドレイン端はトランジスタU2のソース端に接続されている。トランジスタU2のゲート端にはバイアス電圧VBH2が供給されており、ドレイン端はトランジスタU3及びU4各々のソース端に接続されている。
【0066】
かかる構成により、トランジスタU1及びU2は、電源電位VDDに基づき、バイアス電圧VBH1及びVBH2に応じた電流値を有する動作電流Iu1を生成し、これをトランジスタU3及びU4に供給する。
【0067】
トランジスタU3及びU4は、夫々のゲート端で受けた階調電圧V1とこのオペアンプOPAの出力である出力電圧Y1との電圧比で、トランジスタU2から供給された動作電流Iu1を2分割した電流を電流NCM1及びNCM2として生成する。トランジスタU3及びU4は、電流NCM1及びNCM2を夫々のドレイン端を介してカレントミラー段CMRのノードn3及びn4に供給する。
【0068】
すなわち、トランジスタU3は、階調電圧V1の電圧値に対応した電流NCM2をカレントミラー段CMRのノードn4に供給する。トランジスタU4は、出力電圧Y1の電圧値に対応した電流NCM1をカレントミラー段CMRのノードn3に供給する。
【0069】
トランジスタJ1のソース端には接地電位VSSが印加されており、ゲート端にはバイアス電圧VBL1が供給されている。トランジスタJ1のドレイン端はトランジスタJ2のソース端に接続されている。トランジスタJ2のゲート端にはバイアス電圧VBL2が供給されており、ドレイン端はトランジスタJ3及びJ4各々のソース端に接続されている。
【0070】
かかる構成により、トランジスタJ1及びJ2は、バイアス電圧VBL1及びVBL2に応じた電流値を有する動作電流Ij1を生成し、これをトランジスタJ3及びJ4のソース端から引き抜く。
【0071】
トランジスタJ3及びJ4は、夫々のゲート端で受けた階調電圧V1と出力電圧Y1との電圧比で動作電流Ij1を2分割した電流を電流PCM1及びPCM2として生成する。トランジスタJ3及びJ4は、電流PCM1及びPCM2を夫々のドレイン端を介してカレントミラー段CMRのノードn1及びn2から引き抜く。
【0072】
すなわち、トランジスタJ3は、階調電圧V1に対応した電流PCM2をカレントミラー段CMRのノードn2から引き抜き、これをトランジスタJ2のドレイン端に供給する。トランジスタJ4は、出力電圧Y1に対応した電流PCM1をカレントミラー段CMRのノードn1から引き抜き、これをトランジスタJ2のドレイン端に供給する。
【0073】
尚、差動段DFPでは、バイアス電圧VBH1及びVBH2に応じて上記した動作電流Iu1の電流値が調整され、更に、バイアス電圧VBL1及びVBL2に応じて上記した動作電流Ij1の電流値が調整される。これにより、例えばバイアス電圧VBH1及びVBH2の電圧値が低いほど大きな電流がカレントミラー段CMRのノードn3及びn4に供給される。また、例えばバイアス電圧VBL1及びVBL2の電圧値が高いほど大きな電流がカレントミラー段CMRのノードn1及びn2から引き抜かれる。
【0074】
カレントミラー段CMRは、PチャネルMOS型のトランジスタU5〜U10、及びNチャネルMOS型のトランジスタJ5〜J10を含む。
【0075】
トランジスタU5及びU6各々のソース端には電源電位VDDが印加されており、夫々のゲート端は互いに接続されている。トランジスタU5のドレイン端はノードn1を介してトランジスタU7のソース端に接続されている。トランジスタU6のドレイン端はノードn2を介してトランジスタU8のソース端に接続されている。
【0076】
トランジスタU7及びU8のゲート端には共にバイアス電圧VBH3が印加されている。トランジスタU7のドレイン端は、ノードn5を介して上記したトランジスタU5及びU6各々のゲート端と、トランジスタU9のソース端と、トランジスタJ5のドレイン端とに接続されている。
【0077】
トランジスタU8のドレイン端は、高電位側の駆動ノードとしてのノードn6を介してトランジスタU10のソース端及びトランジスタJ6のドレイン端に接続されている。
【0078】
トランジスタU9及びU10各々のゲート端にはバイアス電圧VBH3が印加されている。トランジスタU9のドレイン端及びトランジスタJ5のソース端は、ノードn7を介してトランジスタJ7のドレイン端に接続されている。
【0079】
トランジスタU10のドレイン端及びトランジスタJ6のソース端は、低電位側の駆動ノードとしてのノードn8を介してトランジスタJ8のドレイン端に接続されている。トランジスタJ5及びJ6各々のゲート端にはバイアス電圧VBL3が印加されている。
【0080】
トランジスタJ7及びJ8各々のゲート端にはバイアス電圧VBL3が印加されている。トランジスタJ7のソース端はノードn3を介してトランジスタJ9のドレイン端に接続されている。トランジスタJ8のソース端は、ノードn4を介してトランジスタJ10のドレイン端に接続されている。
【0081】
トランジスタJ9及びJ10各々のソース端には接地電位VSSが印加されており、これらトランジスタJ9及びJ10各々のゲート端はトランジスタJ7のドレイン端に接続されている。
【0082】
上記した構成により、カレントミラー段CMRでは、差動段DFPから供給された電流PCM1と電流PCM2との差に対応した電流値を有する動作電流Iu2がノードn6に流れる。更に、カレントミラー段CMRでは、差動段DFPから供給された電流NCM1と電流NCM2との差に対応した電流値を有する動作電流Ij2がノードn8に流れる。
【0083】
これにより、カレントミラー段CMRでは、電流PCM1と電流PCM2との差に対応した動作電流Iu2を、駆動ノードとしてのノードn6に供給する又はノードn6から引き抜くことにより、ノードn6に高電位側の出力駆動電圧PGを生成する。カレントミラー段CMRは、当該出力駆動電圧PGを出力段OUPのPチャネルMOS型のトランジスタU11のゲート端に供給する。
【0084】
また、カレントミラー段CMRでは、電流NCM1と電流NCM2との差に対応した動作電流Ij2を、駆動ノードとしてのノードn8に供給する又はノードn8から引き抜くことにより、ノードn8に低電位側の出力駆動電圧NGを生成する。カレントミラー段CMRは、当該出力駆動電圧NGを出力段OUPのNチャネルMOS型のトランジスタJ11のゲート端に供給する。
【0085】
出力段OUPは、上記したトランジスタU11及びJ11の他に、位相補償用のキャパシタC1及びC2を含む。
【0086】
キャパシタC1の一端は、カレントミラー段CMRのノードn2に接続されており、その他端は出力ノードnZに接続されている。キャパシタC2の一端は、カレントミラー段CMRのノードn4に接続されており、その他端は出力ノードnZに接続されている。
【0087】
トランジスタU11のソース端には電源電位VDDが印加されており、そのゲート端には上記した出力駆動電圧PGが供給されている。トランジスタU11は、電源電位に基づき、出力駆動電圧PGに対応した電流を生成し、これを出力ノードnZに供給することにより、出力ノードnZの電位を増加させる。
【0088】
トランジスタJ11のソース端には接地電位VSSが印加されており、そのゲート端には上記した出力駆動電圧NGが供給されている。トランジスタJ11は、出力駆動電圧NGに対応した電流を出力ノードnZから引き抜くことにより、出力ノードnZの電位を低下させる。
【0089】
上記したトランジスタU11及びJ11の動作により、出力ノードnZに出力電圧Y1が生成され、これが出力端子を介して出力される。この際、出力された出力電圧Y1が差動段DFPの高電位側のトランジスタU4のゲート端、及び低電位側のトランジスタJ4のゲート端の各々に帰還して供給される。
【0090】
ところで、カレントミラー段CMRでは、バイアス電圧VBH3及びVBL3に応じて、上記した駆動ノードとしてのノードn6及びn8に流れる動作電流Iu2及びIj2の電流値が調整される。
【0091】
例えばバイアス電圧VBH3の電圧値が低いほど、駆動ノードとしてのノードn6に流れる動作電流Iu2が大きくなり、バイアス電圧VBL3の電圧値が高いほど、駆動ノードとしてのノードn8に流れる動作電流Ij2が大きくなる。これにより、出力駆動電圧PG及びNGの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が速くなるので、オペアンプOPAのスルーレートが高くなる。
【0092】
一方、バイアス電圧VBH3の電圧値が高いほど、駆動ノードとしてのノードn6に流れる動作電流Iu2が小さくなり、バイアス電圧VBL3の電圧値が低いほど、駆動ノードとしてのノードn8に流れる動作電流Ij2が小さくなる。これにより、オペアンプOPAの電力消費量が低下する。
【0093】
要するに、オペアンプOPAは、以下の動作を行う差動段、カレントミラー段、出力段及びバイアス調整部を含んでいる。すなわち、差動段(DFP)は、入力される階調電圧(V)と出力される出力電圧(Y)との電圧比で第1の動作電流(Iu1、Ij1)を2分割した第1の電流(PCM1、NCM1)及び第2の電流(PCM2、NCM2)を生成する。カレントミラー段(CMR)は、第1の電流と第2の電流との差に対応した第2の動作電流(Iu2、Ij2)を、駆動ノード(n6、n8)に供給する又は当該駆動ノードから引き抜くことにより、駆動ノードに出力駆動電圧(PG、NG)を生成する。出力段(OUP)は、当該出力駆動電圧に対応した出力電流を、出力ノード(nZ)に供給又は出力ノードから引き抜くことにより、出力ノードに出力電圧(Y)を生成する。バイアス調整部(U1、U2、J1、J2、U8、U10、J6、J8)は、バイアス電圧(VBH1〜3、VBL1〜3)に応じて、第1の動作電流(Iu1、Ij1)及び第2の動作電流(Iu2、Ij2)の電流値を調整する。
【0094】
次に、
図3に示す構成の動作について説明する。
【0095】
図6は、
図3に示す制御信号生成部SGが生成するバイアス電圧制御信号PWRCの一例と、アンプAP1〜APrのうちのAP1の内部に流れる動作電流の推移と、を表すタイムチャートである。
【0096】
ここで、切換タイミングレジスタCRGには、
図6に示すようにクロック信号CLKの立ち上がりエッジの時点から、高スルーレート期間Tst(以下、高SR期間Tstとも称する)経過した時点を切換タイミングとして表す切換タイミング情報TGが記憶されているものとする。尚、高SR期間Tstは、例えばアンプAPに入力された階調電圧が最低輝度を表す状態から最高輝度を表す状態に遷移した際に、駆動電圧Gが最低輝度を表す電圧値から、最高輝度を表す電圧値に遷移するまでに掛かる時間に、所定のマージン期間を加えた期間である。
【0097】
図6において、制御信号生成部SGは、先ず、クロック信号CLKの立ち上がりエッジの時点Tuから、切換タイミング情報TGにて示される高SR期間Tstに亘り、以下のバイアス電圧制御信号PWRCを生成し、これをサブバイアス回路SB1に供給する。すなわち、制御信号生成部SGは、バイアス電圧情報Bs1にて示される電圧値、つまり各アンプを高スルーレート化する電圧値を有するバイアス電圧をサブバイアス回路SB1側で生成させる為のバイアス電圧制御信号PWRCを生成する。例えば、制御信号生成部SGは、3つのトランジスタQ3〜Q5を全てオン状態に設定することを表す、信号レベルLVaを有するバイアス電圧制御信号PWRCを生成し、これをサブバイアス回路SB1に供給する。
【0098】
かかるバイアス電圧制御信号PWRCに応じて、サブバイアス回路SB1の電圧調整部VCNは、合成電流It(I3+3・Ic)をノードL3に送出することにより、基準バイアス電圧VQの電圧値を調整する。サブバイアス回路SB1は、電圧値の調整が施された基準バイアス電圧VQに基づき、バイアス電圧情報Bs1にて示されている電圧値に対応した電圧値を有するバイアス電圧VBH1〜3、VBL1〜3を生成し、アンプAP1〜APrに供給する。
【0099】
そして、当該高SR期間Tstが経過した時点Td以降、次のクロック信号CLKの立ち上がりエッジの時点までの間に亘り、制御信号生成部SGは、以下のバイアス電圧制御信号PWRCを生成する。すなわち、制御信号生成部SGは、バイアス電圧情報Bs2にて示されている電圧値、つまり各アンプを低消費電力化させる電圧値を有するバイアス電圧をサブバイアス回路SB1側で生成させる為のバイアス電圧制御信号PWRCを生成する。
【0100】
例えば、制御信号生成部SGは、3つのトランジスタQ3〜Q5を全てオフ状態に設定することを表す、信号レベルLVbを有するバイアス電圧制御信号PWRCを生成し、これをサブバイアス回路SB1に供給する。
【0101】
かかるバイアス電圧制御信号PWRCによると、サブバイアス回路SB1の電圧調整部VCNは、電流I3によって生成された基準バイアス電圧VQに対して電圧値を変更する調整は行わない。よって、この際、サブバイアス回路SB1は、電流I3のみによって生成された基準バイアス電圧VQに基づき、バイアス電圧情報Bs2にて示されている電圧値に対応した電圧値を有するバイアス電圧VBH1〜3、VBL1〜3を生成し、アンプAP1〜APrに供給する。
【0102】
上記動作によれば、
図6に示すように、クロック信号CLKの立ち上がり時点Tuから高SR期間Tstの間に、各アンプAPの差動段DFP、及びカレントミラー段CMRに流れる動作電流は、高SR期間Tstの経過時点以降に流れる動作電流に比べて大きい。
【0103】
これにより、高速応答が要求される駆動電圧の立ち上がり又は立ち下がり区間中は、アンプAPのスルーレートが高くなるので、アンプAPから出力される駆動電圧の立ち上がり又は立ち下がり時間も短くなる。
【0104】
一方、高SR期間Tstが経過した時点Tdから次のクロック信号CLKの立ち上がりエッジの時点までの間に、アンプAPの差動段DFP及びカレントミラー段CMRに流れる動作電流は、
図6に示すように高SR期間Tst内で流れた動作電流よりも小さい。
【0105】
これにより、高速応答が要求されない駆動電圧の電圧値一定区間中は、アンプAPで消費される電力が少なくなる。
【0106】
よって、出力アンプ部133によれば、アンプAP1〜APnの他にダミーアンプを設け、このダミーアンプを動作させることで駆動電圧の遷移期間を検出する装置に比べて、小規模な構成で、確実に低消費電力且つ高速に表示デバイス20を駆動することが可能となる。
【0107】
また、
図3に示す構成によれば、電圧遷移時バイアス設定レジスタRG1及び出力一定時設定レジスタRG2に、所望とするバイアス電圧の電圧値を示す情報(Bs1、Bs2)を記憶しておけば、サブバイアス回路SB内でその電圧値を有するバイアス電圧(VBH1〜3、VBL1〜3)が生成される。
【0108】
よって、アンプAP1〜APnに対する製品出荷前のバイアス電圧の調整が容易に為されると共に、製品出荷後でも、適宜、当該バイアス電圧の電圧値を変更することにより、省電力モード、及び高速(通常)モードに夫々対応することが可能となる。
【0109】
尚、上記した実施例では、各アンプを高スルーレート化する期間である高SR期間Tstの期間長を固定にしているが、この高SR期間Tsの期間長を適宜変更するようにしても良い。
【0110】
図7は、かかる点に鑑みて為された、制御部CN、メインバイアス回路MB、及びサブバイアス回路SB1の内部構成の他の一例を表す図である。尚、
図7に示す構成では、制御部CNに含まれる切換タイミングレジスタCRGを省き、それに代えて切替判定部CDPを設けている。その他の構成は、
図3に示すものと同一である。
【0111】
図7に示す切換判定部CDPは、アンプAP1〜APrから出力された駆動電圧G1〜Grのうちで、電圧値の遷移幅が最も大きい駆動電圧の電圧値が所定の参照電圧値を超えたか否かを判定する。ここで、電圧値の遷移幅が最も大きい駆動電圧の電圧値が所定の参照電圧値を超えたと判定した時点で、切換判定部CDPは、切換指令信号CGTを制御信号生成部SGに供給する。当該切換指令信号CGTに応じて、制御信号生成部SGは、バイアス電圧制御信号PWRCで表される電圧値を、バイアス電圧情報Bs1にて示される電圧値からバイアス電圧情報Bs2にて示される電圧値に切り替える。
【0112】
よって、電圧値の遷移幅が最も大きい駆動電圧の電圧値が参照電圧値を超える時点が高SR期間Tsが経過した時点Tdとなる。
【0113】
かかる構成によれば、高SR期間Tsの期間長を固定する場合よりも、その期間長を短くすることが可能となるので、更なる消費電力の低減が図られるようになる。
【0114】
また、上記実施例では切換判定部CDPは、電圧値の遷移幅が最も大きい駆動電圧の電圧値と所定の参照電圧値とを比較しているが、当該駆動電圧の電圧値と、この駆動電圧を出力するアンプAPに入力される階調電圧とを比較するようにしても良い。この際、切換判定部CDPは、駆動電圧の電圧値と階調電圧の電圧値とが等しくなった時点、つまり、駆動電圧の立ち上がり又は立ち下がり区間が終了した時点で、切換指令信号CGTを制御信号生成部SGに供給する。
【0115】
ところで、表示デバイス20では、水平走査ラインS1〜Smのうちで水平走査パルスが印加された水平走査ラインS上のn個の表示セルが、データドライバ13からデータラインD1〜Dnを介して供給された駆動電圧G1〜Gnによって駆動対象となる。
【0116】
よって、データドライバ13から遠い位置に配置されている表示セルに印加される駆動電圧の立ち上がり又は立ち下がり時間は、データドライバ13から近い位置に配置されている表示セルに印加される駆動電圧の立ち上がり又は立ち下がり時間よりも長くなる。
【0117】
そこで、アンプAP1〜APnから遠い位置に配置されている表示セルを駆動対象としている際に用いる高SR期間Tstの期間長を、アンプAP1〜APnに近い位置に配置されている表示セルを駆動対象としている際に用いる高SR期間Tstの期間長よりも長くする。
【0118】
図8は、かかる点に鑑みて為された、制御部CN、メインバイアス回路MB、及びサブバイアス回路SB1の内部構成の他の一例を表す図である。尚、
図8に示す構成では、制御部CNに含まれる切換タイミングレジスタCRGに代えて切換タイミングレジスタCRG1〜3を採用し、制御信号生成部SGに代えて制御信号生成部SGaを採用した点を除く他の構成は、
図3に示すものと同一である。
【0119】
そこで、以下に切換タイミングレジスタCRG1〜3、及び制御信号生成部SGaの動作を中心に、その動作について説明する。
【0120】
切換タイミングレジスタCRG1には、表示デバイス20の表示領域を例えば
図9に示すように領域E1〜E3に分割した際の領域E1に属する各水平走査ラインSの駆動時に用いる高SR期間Tstの期間長t1を示す切換タイミング情報TG1が記憶されている。切換タイミングレジスタCRG1は、この切換タイミング情報TG1を制御信号生成部SGaに供給する。
【0121】
切換タイミングレジスタCRG2には、
図9に示す領域E2に属する各水平走査ラインSの駆動時に用いる高SR期間Tstの期間長として、上記した期間長t1よりも長い期間長t2を示す切換タイミング情報TG2が記憶されている。切換タイミングレジスタCRG2は、この切換タイミング情報TG2を制御信号生成部SGaに供給する。
【0122】
切換タイミングレジスタCRG3には、
図9に示す領域E3に属する各水平走査ラインSの駆動時に用いる高SR期間Tstの期間長として、上記した期間長t2よりも長い期間長t3を示す切換タイミング情報TG3が記憶されている。切換タイミングレジスタCRG3は、この切換タイミング情報TG3を制御信号生成部SGaに供給する。
【0123】
制御信号生成部SGaは、走査ドライバ12が
図9に示す領域E1に属する水平走査ラインSの各々に水平走査パルスを印加している期間中は、切換タイミング情報TG1〜TG3のうちから切換タイミング情報TG1を取り込む。そして、制御信号生成部SGaは、
図10に示すように、切換タイミング情報TG1にて示される期間長t1を有する高SR期間Tstの間に亘り各アンプを高スルーレート化する為に、信号レベルLVaを有するバイアス電圧制御信号PWRCを電圧調整部VCNに供給する。
【0124】
また、制御信号生成部SGaは、走査ドライバ12が
図9に示す領域E2に属する水平走査ラインSの各々に水平走査パルスを印加している期間中は、切換タイミング情報TG1〜TG3のうちから切換タイミング情報TG2を取り込む。そして、制御信号生成部SGaは、
図10に示すように、切換タイミング情報TG2にて示される期間長t2を有する高SR期間Tstの間に亘り各アンプを高スルーレート化する為に、信号レベルLVaを有するバイアス電圧制御信号PWRCを電圧調整部VCNに供給する。
【0125】
また、制御信号生成部SGaは、走査ドライバ12が
図9に示す領域E3に属する水平走査ラインSの各々に水平走査パルスを印加している期間中は、切換タイミング情報TG1〜TG3のうちから切換タイミング情報TG3を取り込む。そして、制御信号生成部SGaは、
図10に示すように、切換タイミング情報TG3にて示される期間長t3を有する高SR期間Tstの間に亘り各アンプを高スルーレート化する為に、信号レベルLVaを有するバイアス電圧制御信号PWRCを電圧調整部VCNに供給する。
【0126】
すなわち、水平走査ラインS1〜Smのうちで、アンプAP1〜APnから遠い位置に配置されている水平走査ラインSの駆動時に用いる高SR期間Tstの長さが、アンプAP1〜APnから近い位置に配置されている水平走査ラインSの駆動時に用いる高SR期間Tstの長さよりも長くなるように、高SR期間Tstの長さが変更される。
【0127】
これにより、表示デバイス20の表示領域の全域に亘り、駆動電圧G1〜Gn各々の立ち上がり又は立ち下がり時間を均一にすることが可能となる。
【0128】
尚、上記実施例では、各アンプAPは、1つの階調電圧Vを受けてこれを増幅することにより1つの駆動電圧Gを生成している。しかしながら、各アンプAPとしては、複数の階調電圧Vを受け、各階調電圧Vの平均電圧を1つの駆動電圧Gとして生成する多入力型のアンプを採用しても良い。
【0129】
尚、上記実施例では、半導体ICチップに含まれるデータドライバ13内に制御部CNを設けているが、この制御部CNを
図11に示すように、データドライバ13の外部、つまりデータドライバ13を含む半導体ICチップの外部に設けるようにしても良い。
【0130】
要するに、本発明に係る表示ドライバ(13)としては、N(Nは2以上の整数)個のデータラインを有する表示デバイス20を駆動するにあたり、以下のデータ取込部、階調電圧生成部、第1〜第Nのアンプ、及びバイアス電圧生成部を含むものであれば良い。
【0131】
すなわち、データ取込部(131)は、映像信号(VD)に基づく輝度レベルを画素毎に表す第1〜第Nの画素データ片(P1〜Pn)を受け、これら第1〜第Nの画素データ片をクロック信号(CLK)のエッジのタイミングで出力する。階調電圧生成部(132)は、データ取込部から出力された第1〜第Nの画素データ片を第1〜第Nの階調電圧(V1〜Vn)に変換する。第1〜第Nのアンプ(AP1〜APn)は、第1〜第Nの階調電圧を増幅して得た第1〜第Nの駆動電圧(G1〜Gn)を第1〜第Nのデータライン(D1〜Dn)に供給する。バイアス電圧生成部(1330)は、第1〜第Nのアンプ各々の動作電流(Iu1、Ij1、Iu2、Ij2)の電流値を設定するバイアス電圧(VBH1〜3、VBL1〜3)を生成して第1〜第Nのアンプに供給する。
【0132】
尚、バイアス電圧生成部は、動作電流の電流値を第1電流値に設定する為のバイアス電圧の電圧値として第1の電圧値を表す第1の情報(Bs1)と、動作電流の電流値をこの第1の電流値よりも低い第2の電流値に設定する為のバイアス電圧の電圧値として第2の電圧値を表す第2の情報(Bs2)と、を記憶するレジスタ(RG1、RG2)を含む。
【0133】
ここで、バイアス電圧生成部は、クロック信号(CLK)のエッジの時点から第1の期間(Tst)の経過時点(Td)までの間は、第1の情報(Bs1)で表される第1の電圧値を有するバイアス電圧を生成する。そして、バイアス電圧生成部は、第1の期間(Tst)の経過時点(Td)でバイアス電圧の電圧値を第2の情報(Bs2)で表される第2の電圧値に切り替えるのである。