(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-96724(P2019-96724A)
(43)【公開日】2019年6月20日
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体装置の製造方法、半導体装置のトリミング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20190530BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20190530BHJP
H01L 21/82 20060101ALI20190530BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20190530BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20190530BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20190530BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20190530BHJP
H01L 29/866 20060101ALI20190530BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20190530BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20190530BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20190530BHJP
【FI】
H01L27/04 V
H01L21/82 F
H01L21/88 S
H01L29/90 D
H01L29/91 E
H01L21/28 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-224518(P2017-224518)
(22)【出願日】2017年11月22日
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】児玉 一隆
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】 (修正有)
【課題】内部回路の特性をトリミングによって確実に所望の特性に調整することが可能な半導体装置、半導体装置の製造方法及びトリミング方法を提供すること。
【解決手段】基板10上に形成された絶縁層11上に半導体層を形成し、半導体層に不純物を拡散して形成した第1の導電部201と、逆導電型の第2の導電部202に接するPN接合部203とでツェナーダイオード20を形成しアンチヒューズ素子とする。第1の導電部201及び第2の導電部202の上面の領域にそれぞれ接続した導電部15a及び15bに電圧を印加してトリミングを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されている絶縁層と、
半導体材料からなり、前記基板の表面に沿った第1の方向に延在して前記絶縁層上に形成されている第1の導電部と、
前記第1の方向における前記第1の導電部の端部を被覆する絶縁部と、
前記絶縁部の表面と前記第1の導電部の上面の領域とを覆うように、前記絶縁部の表面から前記上面の領域に亘って延在する第2の導電部と、
前記第2の導電部の上面における、前記第1の導電部の前記上面の領域に対向する領域に接続された第3の導電部と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の導電部は、P型半導体領域と、前記上面の領域を含むN型半導体領域と、前記P型半導体領域及び前記N型半導体領域に接するPN接合部と、を有し、
前記第2の導電部の一部が前記N型半導体領域における前記上面の領域と接していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3の導電部に電圧供給装置が接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記P型半導体領域の上面に形成されている第4の導電部を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3の導電部に電圧を印加するトリミングにより前記N型半導体領域内に前記第2の導電部から前記PN接合部まで延在するフィラメントが形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の導電部は、
前記絶縁部の表面及び前記第1の導電部の前記上面の領域に接するバリアメタルと、
前記バリアメタル上に形成された金属膜と、を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記金属膜はアルミニウムであることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
基板上に形成されている絶縁層上に、半導体材料からなる第1の導電部材を形成する半導体部材形成工程と、
前記第1の導電部材に不純物を注入することによりN型領域、及び前記N型領域に接するP型領域を形成する不純物注入工程と、
前記P型領域の一部を露出させる第1の開口部と前記N型領域の上面の一部を露出させる第2の開口部とを有する絶縁部を形成する絶縁部形成工程と、
前記第2の開口部によって露出した前記N型領域の上面、及び前記絶縁部の表面に第2の導電部を形成する第2導電部形成工程と、
前記第2の導電部における、前記第2の開口部に対応した領域の上面に第3の導電部を形成する第3導電部形成工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2導電部形成工程は、前記第1の開口部によって露出した前記P型領域の上面に導電部を形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2導電部形成工程では、
前記第2の開口部によって露出した前記N型領域の上面、及び前記絶縁部の表面にバリアメタルを形成し、引き続き前記バリアメタル上に金属膜を形成することを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記金属膜はアルミニウムであることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
基板上に形成されている絶縁層と、
P型半導体領域と、N型半導体領域と、前記P型半導体領域及び前記N型半導体領域に接するPN接合部と、を含み、前記基板の表面に沿った第1の方向に延在して前記絶縁層上に形成されている第1の導電部と、
前記第1の方向における前記N型半導体領域の端部を被覆する絶縁部と、
前記絶縁部の表面及び前記N型半導体領域の上面の領域を覆うように、前記絶縁部の表面から前記N型半導体領域の前記上面の領域に亘り延在する第2の導電部と、
前記第2の導電部の上面における、前記N型半導体領域の前記上面の領域に対向する領域に接続された第3の導電部と、
前記P型半導体領域の上面に形成されている第4の導電部と、を有する半導体装置のトリミング方法であって、
前記第4の導電部を接地電位に設定し、
前記PN接合部の耐圧を超える電圧を前記第3の導電部に印加することを特徴とする半導体装置のトリミング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特にトリミングによって特性調整が可能な半導体装置、この半導体装置の製造方法及びトリミング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造後の半導体装置の特性を調整するトリミング技術が知られている。トリミングに用いられるアンチヒューズ素子として、製造直後はカソードからアノードへ向けて電流が流れない「非導通状態」を維持し、トリミングによって電流が流れる「導通状態」に設定されるツェナーダイオードが知られている(例えば、特許文献1参照)。当該ツェナーダイオードは、N型不純物領域、P型不純物領域及びPN接合部を有するツェナーダイオード部と、ツェナーダイオード部の両端に接続された電極(カソード、アノード)と、を有する。
【0003】
このようなアンチヒューズ素子(ツェナーダイオード)に対するトリミングでは、先ず、上記した電極を介して、ツェナーダイオード部のPN接合の耐圧を超える電圧を逆方向に印加する。このPN接合耐圧を超える逆方向の電圧印加によりPN接合部が降伏すると共に発熱する。これにより、電極の構成物である例えばアルミニウムが溶解すると共に、N型不純物領域からP型不純物領域に向けて逆方向の電流が流れる。すると、溶解したアルミニウムがN型不純物領域からツェナーダイオード部に侵入する。この際、溶解したアルミニウムがN型不純物領域を介してPN接合部に到達することにより、N型不純物領域内にアルミニウムのフィラメントが形成され、ツェナーダイオード部の両端が導通した「導通状態」となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−183617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されているツェナーダイオードでは、トリミング時に、アルミニウムによるフィラメント形成が不十分となり、PN接合部まで到達しない場合がある。このような場合、引き続き、複数回に亘り、PN接合耐圧を超える逆方向の電圧を印加することで、フィラメントをこのPN接合部に至らせる。
【0006】
しかしながら、複数回に亘る電圧印加によって、アルミニウムをツェナーダイオード部に侵入させると、その分だけ、電極内に含まれるアルミニウムの量が減少し、電極内での電気抵抗が高くなる。よって、十分な電流を流せなくなり、アルミニウムをツェナーダイオード部のPN接合部に到らせることが困難となる。
【0007】
よって、ツェナーダイオードを確実に「導通状態」に設定できなくなり、半導体装置に形成されている内部回路を所望の特性に調整することが出来なくなるという不具合が生じた。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、内部回路の特性をトリミングによって確実に所望の特性に調整することが可能な半導体装置、半導体装置の製造方法及びトリミング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体装置は、基板上に形成されている絶縁層と、半導体材料からなり、前記基板の表面に沿った第1の方向に延在して前記絶縁層上に形成されている第1の導電部と、前記第1の方向における前記第1の導電部の端部を被覆する絶縁部と、前記絶縁部の表面と前記第1の導電部の上面の領域とを覆うように、前記絶縁部の表面から前記上面の領域に亘って延在する第2の導電部と、前記第2の導電部の上面における、前記第1の導電部の前記上面の領域に対向する領域に接続された第3の導電部と、を有する。
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板上に形成されている絶縁層上に、半導体材料からなる第1の導電部材を形成する半導体部材形成工程と、前記第1の導電部材に不純物を注入することによりN型領域、及び前記N型領域に接するP型領域を形成する不純物注入工程と、前記P型領域の一部を露出させる第1の開口部と前記N型領域の上面の一部を露出させる第2の開口部とを有する絶縁部を形成する絶縁部形成工程と、前記第2の開口部によって露出した前記N型領域の上面、及び前記絶縁部の表面に第2の導電部を形成する第2導電部形成工程と、前記第2の導電部における、前記第2の開口部に対応した領域の上面に第3の導電部を形成する第3導電部形成工程と、を有する。
【0011】
本発明に係る半導体装置のトリミング方法は、基板上に形成されている絶縁層と、P型半導体領域と、N型半導体領域と、前記P型半導体領域及び前記N型半導体領域に接するPN接合部と、を含み、前記基板の表面に沿った第1の方向に延在して前記絶縁層上に形成されている第1の導電部と、前記第1の方向における前記N型半導体領域の端部を被覆する絶縁部と、前記絶縁部の表面及び前記N型半導体領域の上面の領域を覆うように、前記絶縁部の表面から前記N型半導体領域の前記上面の領域に亘り延在する第2の導電部と、前記第2の導電部の上面における、前記N型半導体領域の前記上面の領域に対向する領域に接続された第3の導電部と、前記P型半導体領域の上面に形成されている第4の導電部と、を有する半導体装置のトリミング方法であって、前記第4の導電部を接地電位に設定し、前記PN接合部の耐圧を超える電圧を前記第3の導電部に印加する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、アンチヒューズ素子としての半導体材料からなる第1の導電部を、第2の導電部を介して、トリミング時に高電圧の供給を受ける第3の導電部(電極)と電気的に接続する。第2の導電部は、下面が第1の導電部の一部の領域と接しており且つ上面が第3の導電部に接続されている下部領域と、第1の導電部の端部を被覆する絶縁層の表面に形成されている上部領域と、からなる。
【0013】
かかる構成によれば、トリミング時には、第1の導電部に接している第2の導電部が発熱し、その下部領域に含まれる金属が溶解して第1の導電部に流れ込み、この流れ込んだ金属がフィラメントとなって第1の導電部を導通状態に設定する。この際、第2の導電部の下部領域から消失した分の金属は、この下部領域よりも高い位置に存在する第2の導電部の上部領域から補充される。これにより、トリミング時に第3の導電部から第1の導電部に向けて流れる電流の経路、つまり第2の導電部の下部領域中には、トリミングに伴う金属膜の薄膜化は生じない。従って、十分な量の金属を第1の導電部に侵入させることができるので、半導体材料からなる第1の導電部を確実に導通状態に設定することが可能となる。
【0014】
よって、本発明によれば、半導体装置の内部回路の特性をトリミングによって確実に所望の特性に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る半導体装置100の断面を表す断面図である。
【
図2】半導体装置100の製造手順を示すフロー図である。
【
図3】下層絶縁層形成工程S1での工程断面図である。
【
図4】半導体部材形成工程S2での工程断面図である。
【
図5】不純物注入・パターニング工程S3での工程断面図である。
【
図6】中間絶縁層・第1導電部形成工程S4での工程断面図である。
【
図8】第2導電部形成工程S6の工程断面図である。
【
図9】上層絶縁層形成工程S7の工程断面図である。
【
図10】開口部形成工程S8での工程断面図である。
【
図11】トリミング時における半導体装置100の状態を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る半導体装置100の断面を表す断面図である。尚、
図1は、半導体装置100の全領域のうちで、アンチヒューズ素子としてのツェナーダイオード20の形成領域を抜粋して示す断面図である。
【0018】
図1において、例えばSi(シリコン)からなる半導体基板10上には、例えばシリコン酸化物を含む下層絶縁層11が形成されている。
【0019】
下層絶縁層11上には、半導体基板10の表面に沿った第1の方向に延在する第1の導電部としてのツェナーダイオード20が形成されている。ツェナーダイオード20は、N型の不純物を含むN型シリコン領域201と、P型の不純物を含むP型シリコン領域202と、N型シリコン領域201及びP型シリコン領域202によるPN接合部203と、を有する。
【0020】
下層絶縁層11及びツェナーダイオード20の上面を覆うように、例えばシリコン酸化物を含む中間絶縁層12が形成されている。ただし、中間絶縁層12には、
図1に示すようにN型シリコン領域201の上面の領域PAを露出させる第1の開口部と、P型シリコン領域202の上面の領域QAを露出させる第2の開口部とが設けられている。中間絶縁層12は、
図1に示すように、半導体基板10の表面に沿った第1の方向におけるツェナーダイオード20の端部を被覆する。
【0021】
当該第1の開口部にて露出したN型シリコン領域201の上面の領域、及び中間絶縁層12の表面には、第2の導電部としてのメタル層13aが形成されている。メタル層13aは、
図1に示すように、中間絶縁層12の表面fa、及びN型シリコン領域201の上面の領域PAを覆うように、中間絶縁層12の表面faから、N型シリコン領域201の上面の領域PAに亘り延在している。すなわち、メタル層13aは、中間絶縁層12の表面faに形成されている領域(以降、上部領域と称する)と、N型シリコン領域201と接している領域(以降、下部領域と称する)と、からなる。
【0022】
また、上記した第2の開口部にて露出したP型シリコン領域202の上面の領域、及び中間絶縁層12の表面には、メタル層13bが形成されている。メタル層13bは、
図1に示すように、中間絶縁層12の表面、及びP型シリコン領域202の上面の領域QAを覆うように、中間絶縁層12の表面から、P型シリコン領域202の上面の領域QAに亘り延在している。
【0023】
尚、メタル層13a及び13bは共に、Al(アルミニウム)膜131と、このAl膜131の上面を被覆する上層バリアメタル132と、このAl膜131の下面を被覆する下層バリアメタル133と、を含む。
【0024】
これらメタル層13a及び13bを覆うように、
図1に示すように上層絶縁層14が形成されている。
【0025】
更に、
図1に示すように、第3の導電部としての電極15aが、上層絶縁層14及びメタル層13aの上層バリアメタル132を貫通して、当該メタル層13aのAl膜131と接続されている。すなわち、
図1に示すように、メタル層13aの上面における、上記した領域PAに対向する領域に電極15aが接続されている。また、電極15bが、上層絶縁層14及びメタル層13bの上層バリアメタル132を貫通して、当該メタル層13bのAl膜131と接続されている。すなわち、
図1に示すように、メタル層13bの上面における、上記した領域QAに対向する領域に電極15bが接続されている。これらメタル層13bと電極15bとで第4の導電部を構成する。
【0026】
これら電極15a及び15bは共に、
図1に示されるように、Al(アルミニウム)膜151と、このAl膜151の上面を被覆する上層バリアメタル152と、かかるAl膜151の下面を被覆する下層バリアメタル153と、を含む。電極15a及び電極15bが、アンチヒューズ素子としての電極となる。
【0027】
以下に、
図1に示される半導体装置100の製造方法について、
図2に示す製造フローに沿って、
図3〜
図10に示される工程断面図を参照しつつ説明する。
【0028】
まず、シリコンを含む半導体基板10の表面を例えば900〜1000℃程度でスチーム酸化することにより、第1の絶縁層として、シリコン酸化物を含む下層絶縁層11を
図3に示すように形成する(下層絶縁層形成工程S1)。
【0029】
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、下層絶縁層11の上面に、多結晶のポリシリコン膜120を
図4に示すように形成する(半導体部材形成工程S2)。
【0030】
次に、フォトリソグラフィ技術及び異方性ドライエッチングによりポリシリコン膜120を所定のサイズにパターニングする。更に、フォトリソグラフィ技術及びイオンインプランテーション技術を用いて、所定のサイズにパターニングされたポリシリコン膜120のうちの一部の領域にN型の不純物を注入し、他部の領域にP型の不純物を注入して、
図5に示すN型シリコン領域201及びP型シリコン領域202を形成する(不純物注入・パターニング工程S3)。
【0031】
次に、900〜950℃程度の熱処理を行うことにより、N型シリコン領域201及びP型シリコン領域202に夫々注入された不純物を拡散させてPN接合部203を形成する。これにより、第1の導電部としてのツェナーダイオード部20が形成される。そして、引き続き、CVD法により、N型シリコン領域201及びP型シリコン領域202上に、シリコン酸化物を含む中間絶縁層12を
図6に示すように形成する。(中間絶縁層・第1導電部形成工程S4)。
【0032】
次に、フォトリソグラフィ技術により、中間絶縁層12の上面の領域において、ツェナーダイオード部20の両端部の上方の領域、及びPN接合部203を含む中央部の上方の領域を除く領域にフォトレジストを形成する。そして、中間絶縁層12に異方性ドライエッチングを施す。これにより、
図7に示すように、中間絶縁層12には、N型シリコン領域201の上面を露出させる開口部APaと、N型シリコン領域201の上面を露出させる開口部APbと、が形成される(開口部形成工程S5)。
【0033】
次に、スパッタリングにより、中間絶縁層12の表面と、開口部APaにて露出したN型シリコン領域201の上面と、開口部APbにて露出したP型シリコン領域202の上面とに、例えばTi(チタン)、TiN(窒化チタン)等のバリアメタルを堆積させる。引き続き、スパッタリングによってアルミニウムを堆積させ、再びスパッタリングにより、バリアメタルを堆積させる。そして、上記したスパッタリングによって順に堆積させた3層のメタルを、フォトリソグラフィ技術及びRIE(Reactive Ion Etching)技術によってパターニングする。これにより、
図8に示すように、N型シリコン領域201の上面及び中間絶縁層12の表面に亘り、Al膜131と、当該Al膜131の上面及び下面を夫々被覆する上層バリアメタル132及び下層バリアメタル133と、を有する第2の導電部としてのメタル層13aが形成される。更に、P型シリコン領域202の上面及び中間絶縁層12の表面に亘り、Al膜131と、当該Al膜131の上面及び下面を夫々被覆する上層バリアメタル132及び下層バリアメタル133と、を有するメタル層13bが形成される(第2導電部形成工程S6)。
【0034】
次に、CVD法により、シリコン酸化物を含む上層絶縁層14を
図9に示すように形成する(上層絶縁層形成工程S7)。
【0035】
次に、フォトリソグラフィ技術により、上層絶縁層14の上面の領域のうちで、
図9に示される凹部の領域を除く領域にフォトレジストを形成する。すなわち、
図7に示す開口部APa及び開口部APbに対向する上層絶縁層14の表面の領域に内包される領域を露出する開口部を有するフォトレジストを形成する。そして、上層絶縁層14に異方性ドライエッチングを施す。これにより、
図10に示すように、上層絶縁層14には、メタル層13aにおけるAl膜131の開口部APaに対向する上面領域の一部を露出させる開口部OPaと、メタル層13bにおけるAl膜131の開口部APbに対向する上面領域の一部を露出させる開口部OPbと、が形成される(開口部形成工程S8)。
【0036】
次に、スパッタリングにより、上層絶縁層14の表面と、開口部OPaにて露出したメタル層13aのAl膜131の上面と、開口部OPbにて露出したメタル層13bのAl膜131の上面とに、上記したバリアメタルを堆積させる。引き続き、スパッタリングによってアルミニウムを堆積させ、再びスパッタリングにより、バリアメタルを堆積させる。そして、上記したスパッタリングによって順に堆積させた3層のメタルを、フォトリソグラフィ技術及びRIE技術によってパターニングする。
【0037】
これにより、
図1に示すように、メタル層13aの上面における上記した領域PAに対向する領域に内包される領域に接続される、Al膜151と、Al膜151の上面及び下面を夫々被覆する上層バリアメタル152及び下層バリアメタル153と、を有する電極15aが第3導電部として形成される。更に、
図1に示すように、メタル層13bの上面における上記した領域QAに対向する領域に、Al膜151と、Al膜151の上面及び下面を夫々被覆する上層バリアメタル152及び下層バリアメタル153と、を有する電極15bが形成される(第3導電部形成工程S9)。
【0038】
以下に、
図1に示されるアンチヒューズ素子としてのツェナーダイオード20のトリミング方法について説明する。
【0039】
先ず、半導体装置100の製造直後の非トリミング時には、電極15aに正極の電圧、電極15bに接地電位を印加しても、ツェナーダイオード20には電流は流れない。つまり、この際、ツェナーダイオード20は、アンチヒューズ素子として「非導通状態」に設定されている。
【0040】
ここで、ツェナーダイオード20を「導通状態」に設定するには、
図11に示すように、電圧供給装置400により、PN接合耐圧を超える高電圧VDを所定期間の間に亘り電極15aに印加する。これにより、ツェナーダイオード20のPN接合部203でツェナー降伏して発熱し、メタル層13aのAl膜131が溶解する。そして、このAl膜131の一部がN型シリコン領域201に侵入し、
図11の破線矢印にて示すように、ツェナーダイオード20のPN接合部203に向けて伸張するフィラメントが形成される。
【0041】
上記したような所定期間に亘る逆バイアスの印加を、Al膜131の一部、つまり溶解したアルミニウムからなるフィラメントがN型シリコン領域201を通ってPN接合部203に到達して、ツェナーダイオード20が「導通状態に」になるまで繰り返し行う。これにより、N型シリコン領域201内において、第2の導電部としてのメタル層13aから、PN接合部203まで延在するフィラメントが形成される。
【0042】
この際、メタル層13aのうちの上部領域(中間絶縁層12の表面fa上の領域)に含まれるアルミニウムが、N型シリコン領域201に侵入したアルミニウムの量の分だけ、メタル層13aの下部領域(N型シリコン領域201と接する領域)に流れ込む。
【0043】
それに伴い、メタル層13aの上部領域内には、
図11に示すように空洞Caが形成される。空洞Caが形成されることにより、
図11に示すように、メタル層13aの上部領域内には、Al膜131の膜厚が薄くなる区間ができる。Al膜131の膜厚が薄くなる区間では、他の区間に比して電気抵抗が高くなる。
【0044】
ところで、半導体装置100では、電圧供給装置400からの電流を受ける電極15aは、メタル層13aのうちでN型シリコン領域201と接している下部領域に接続されている。
【0045】
よって、電極15aが受けた電流はAl膜131の膜厚が薄くなる上部領域を介さずに、N型シリコン領域201に流れ込む。したがって、トリミング時において、十分な量の電流をN型シリコン領域201からP型シリコン領域202に向けて流すことが可能となる。これにより、十分な量のアルミニウムをN型シリコン領域201に侵入させることができるので、確実にアンチヒューズ素子(ツェナーダイオード20)を「導通状態」に設定することが可能となる。
【0046】
このように、半導体装置100では、ツェナーダイオード20のN型シリコン領域201と、トリミング時において高電圧VDの供給を受ける電極15aと、をメタル層13aを介して電気的に接続している。ここで、メタル層13aは、その下面がN型シリコン領域201と接しており且つその上面に電極15aが形成されている下部領域と、ツェナーダイオード20の端部を被覆する中間絶縁層12の表面に形成されている上部領域と、からなる。
【0047】
よって、かかる構成によると、トリミング時には、N型シリコン領域201に接しているメタル層13aが発熱し、その下部領域に含まれる金属、例えばアルミニウムが溶解してN型シリコン領域201に流れ込む。この際、メタル層13aの下部領域から消失した分のアルミニウムは、この下部領域よりも高い位置に存在するメタル層13aの上部領域から補充される。これにより、電極15aからN型シリコン領域201に流れる電流の経路、つまりメタル層13aの下部領域中には、トリミングに伴うAl膜の薄膜化は生じない。従って、十分な量のアルミニウムをN型シリコン領域201に侵入させることができるので、ツェナーダイオード20を確実に「導通状態」に設定することが可能となる。
【0048】
尚、上記実施例では、メタル層13a及び13bとして、上層バリアメタル132と下層バリアメタル133とで被覆したAl膜131を採用しているが、Al膜に代えて、例えばAu(金)、Ag(銀)又はCu(銅)からなる金属膜を採用しても良い。
【0049】
また、
図1に示す実施例では、トリミング時に、接地電位の供給を受けて、ツェナーダイオード20のP型シリコン領域202に供給する構成として、電極15a及びメタル層13aと同様な形態の電極15b及びメタル層13bを採用している。しかしながら、トリミング時においてメタル層13b内のアルミニウムがP型シリコン領域202に侵入することはない。よって、メタル層13bの形状、並びにメタル層13bのどの箇所に電極15bを接続するのかは限定されない。
【0050】
要するに、半導体装置100としては、以下の第1〜第3の導電部、及び絶縁部を含むアンチヒューズ素子を有するものであれば良いのである。
【0051】
すなわち、第1の導電部(201〜203)は、半導体材料(例えばシリコン)からなり、基板(10)の表面に沿った第1の方向に延在して絶縁層(11)上に形成されている。絶縁部(12)は、第1の導電部の第1の方向における端部を被覆する。第2の導電部(13a)は、絶縁部(12)の表面と第1の導電部の上面の領域(PA)とを覆うように、絶縁部の表面から第1の導電部の上面の領域に亘り延在する。第3の導電部(15a)は、第2の導電部(13a)の上面における、第1の導電部の上面の領域(PA)に対向する領域に接続されている。
【符号の説明】
【0052】
11 下層絶縁層
12 中間絶縁層
13a メタル層
15a 電極
20 ツェナーダイオード
131 Al膜
201 N型シリコン領域
202 P型シリコン領域
203 PN接合部