【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業 術中の迅速な判断・決定を支援するための診断支援機器・システム開発」「術中の迅速な呼吸異常評価のための連続呼吸音モニタリングシステムの研究開発」委託研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【解決手段】本発明の呼吸音検出装置は、被検者の複数箇所に取り付けられ、前記複数箇所から呼吸音を検出する検出部と、前記検出部により前記複数箇所から検出された呼吸音の各特徴を特定する特定部と、前記被検者のモデルを表示する表示部における前記モデルの前記複数箇所に対応する各位置に、前記各特徴に応じて色の濃淡が異なるように設定した標章を表示させる制御部と、を備える。
前記標章は、文字、図形、記号若しくは前記文字、前記図形及び前記記号の少なくとも2つ以上の結合、又は、色彩及び模様の少なくとも1つが付された、前記文字、前記図形、前記記号若しくは前記結合とされている、
請求項2に記載の呼吸音検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている前記ビジュアル聴診器は、複数箇所からの音を集音するが、表示手段には複数箇所のうちの一箇所のみの音の情報しか表示しない。そのため、使用者が前記ビジュアル聴診器を使用した場合、複数箇所からの音の表示に基づいて音の特徴を相対的に把握し難い。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、被検者の複数箇所から検出された呼吸音の各特徴を把握させ易い呼吸音検出装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
被検者の複数箇所に取り付けられ、前記複数箇所から呼吸音を検出する検出部と、
前記検出部により前記複数箇所から検出された呼吸音の各特徴を特定する特定部と、
前記被検者のモデルを表示する表示部における前記モデルの前記複数箇所に対応する各位置に、前記各特徴に応じて色の濃淡が異なるように設定した標章を表示させる制御部と、
を備える呼吸音検出装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
被検者の複数箇所に取り付けられ、前記複数箇所から呼吸音を検出する検出部と、
前記検出部により前記複数箇所から検出された呼吸音の各特徴を特定する特定部と、
前記被検者のモデルを表示する表示部における前記モデルの前記複数箇所に対応する各位置に、前記各特徴から得られる緊急度に応じて設定した標章を表示させる制御部と、
を備える呼吸音検出装置である。
【0008】
請求項9に記載の発明は、
コンピュータを、
被検者の複数箇所に取り付けられ、前記複数箇所から呼吸音を検出する検出手段、
前記検出部により前記複数箇所から検出された呼吸音の各特徴を特定する特定手段、
及び、
前記被検者のモデルを表示する表示部における前記モデルの前記複数箇所に対応する各位置に、前記各特徴に応じて色の濃淡が異なるように設定した標章を表示させる制御手段、
として機能させ、呼吸音を検出するためのプログラムである。
【0009】
請求項10に記載の発明は、
コンピュータを、
被検者の複数箇所に取り付けられ、前記複数箇所から呼吸音を検出する検出手段、
前記検出部により前記複数箇所から検出された呼吸音の各特徴を特定する特定手段、
及び、
前記被検者のモデルを表示する表示部における前記モデルの前記複数箇所に対応する各位置に、前記各特徴から得られる緊急度に応じて設定した標章を表示させる制御手段、
として機能させ、呼吸音を検出するためのプログラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
≪概要≫
以下、本発明の第1〜第6実施形態について、それぞれ図面を参照しながら説明する。次いで、各実施形態の変形例について説明する。なお、参照するすべての図面では同様の機能を有する構成要素に同様の符号を付し、明細書では適宜説明を省略する。
【0012】
≪第1実施形態≫
以下、第1実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、本実施形態の呼吸音検出装置10(
図1及び
図3参照)の機能及び構成について説明する。次いで、本実施形態の呼吸音検出装置10による呼吸音検出動作について説明する。次いで、本実施形態の効果について説明する。
【0013】
<第1実施形態の呼吸音検出装置の機能及び構成>
図1は、本実施形態の呼吸音検出装置10(コンピュータの一例)のシステム構成図である。
図2は、本実施形態の呼吸音検出装置10による呼吸音検出動作を説明するための図である。
図3は、本実施形態の呼吸音検出装置10による呼吸音検出動作とその結果の表示例とを示す図である。
本実施形態の呼吸音検出装置10は、被検者HBの複数箇所から呼吸音を検出し、当該複数箇所から検出した呼吸音の各特徴を特定し、被検者HBのモデルMLの前記複数箇所に対応する各位置に、前記各特徴に応じて色の濃淡が異なるように設定した標章MKを表示する機能を有する。本実施形態の呼吸音検出装置10は、
図1に示されるように、信号取得部20(検出部及び検出手段の一例)と、制御部30と、表示部40とを備えている。
【0014】
〔信号取得部〕
信号取得部20は、被検者HBの複数箇所に取り付けられ、前記複数箇所から呼吸音を検出する機能を有する。信号取得部20は、一例として5個の信号取得部20A〜20Eを有している。5個の信号取得部20A〜20Eは、
図3に示されるように、それぞれ、被検者HBの胴体における、喉部下側、胸部右側、胸部左側、腹部右側及び腹部左側に、すなわち、被検者HBの複数箇所に取り付けられるようになっている。
そして、信号取得部20(5個の信号取得部20A〜20E)は、取り付けられた被検者HBの胴体の各箇所からの生体音を、時間に対する振幅(強度)として検出するようになっている(
図2及び
図3参照)。また、
図1に示されるように、信号取得部20(5個の信号取得部20A〜20E)は、検出した被検者HBの胴体の各箇所からの生体音(胴体に対する取付位置に対応した生体音)を、生体信号として、後述する制御部30の信号解析部32に送信するようになっている。
【0015】
ここで、信号取得部20(5個の信号取得部20A〜20E)が検出する各生体音は、
図2に示されるように、通常(各生体音が正常な状態の場合)、振幅が大きいピーク(吸気極大値A)と、振幅が小さいピーク(呼気極大値B)とが、時間に対して入れ違いで検出される音圧スペクトルとなっている。以下の説明では、ある吸気極大値Aの検出時から次の吸気極大値Aの検出時までの時間(又はある呼気極大値Bの検出時から次の呼気極大値Bの検出時までの時間)を周期(一呼吸周期)という。
【0016】
〔制御部〕
制御部30は、信号取得部20と、表示部40とを制御する機能を有する。制御部30は、
図1に示されるように、信号解析部32と、呼気吸気判定部34と、異常呼吸音判定部36と、データ比較部38と、記録部39とを有している。記録部39には、本実施形態の呼吸音検出装置10に呼吸音検出動作を行わせるためのプログラムCPが収容されている。制御部30の具体的な機能については、後述する呼吸音検出装置10による呼吸音動作の説明の中で説明する。なお、本実施形態の制御部30は、特定部、特定手段及び制御手段の一例でもある。
【0017】
〔表示部〕
表示部40は、被検者HBのモデルMLを表示する機能と、モデルMLにおける、被検者HBの複数箇所に取り付けられた信号取得部20A〜20Eに対応する各位置に、制御部30が特定した呼吸音の各特徴に応じて色の濃淡が異なるように制御部30が設定した各標章MKを表示する機能を有する。
【0018】
以上が、本実施形態の呼吸音検出装置10の機能及び構成についての説明である。
【0019】
<第1実施形態の呼吸音検出装置による呼吸音検出動作>
次に、本実施形態の呼吸音検出装置10による呼吸音検出動作について
図1〜
図3を参照しながら説明する。
【0020】
まず、使用者(医師等の診断者等)は、被検者HBの複数箇所に信号取得部20A〜20Eを取り付ける。また、使用者は、呼吸音検出装置10の主電源(図示省略)をオンにする。
【0021】
次いで、使用者が呼吸音検出装置10の検出開始スイッチ(図示省略)をオンにすると、制御部30は記録部39に収容されているプログラムCPに従い、呼吸音検出動作を開始する。具体的には、以下のとおりである。
【0022】
被検者HBの複数箇所に取り付けられた信号取得部20(5個の信号取得部20A〜20E)は、各箇所からの生体音を検出し、各箇所からの生体音を生体信号として信号解析部32に送信する(
図1参照)。ここで、
図3における5つのグラフは、それぞれ、5個の信号取得部20A〜20Eで検出された生体音の音圧スペクトルである。
【0023】
次いで、信号解析部32は、呼気吸気判定部34を作動させて各生体信号の周期を判定する。また、信号解析部32は、異常呼吸音判定部36を作動させて、呼気吸気判定部34で判定した各周期の各生体信号に異常呼吸音が含まれているか否か(例えば、波形に所定の特徴が含まれているか否か)の判定を行う。この場合に信号解析部32が肯定判断をすると(異常呼吸音が含まれていると判断すると)、信号解析部32は各箇所における最大音圧レベルを算出する。これに対して、信号解析部32が否定判断をすると、信号解析部32は各箇所における平均音圧レベルを算出する。
以上により、被検者HBの複数箇所に取り付けられた信号取得部20(5個の信号取得部20A〜20E)から検出された各呼吸音の各特徴(各呼吸音の一呼吸周期の音圧スペクトル)が特定される。
【0024】
次いで、データ比較部38は、信号解析部32により算出された各呼吸音の各特徴から各箇所の緊急度を判断する。緊急度の技術的意義については後述する。
【0025】
次いで、表示部40は、
図3に示されるように、制御部30が各部を用いて算出、判定した結果(制御部30が特定した各特徴)に基づいて、被検者HBのモデルMLにおける信号取得部20A〜20Eが取り付けられている複数箇所に対応する各位置に、各特徴に応じて色の濃淡が異なるように設定した標章MKを表示する。ここで、
図3における各標章MKは、一例として、形状(図形)が円で、同じ色で濃淡の異なるものとされ、すなわち、図形と色彩との結合とされ、その色が濃いほど、音圧レベルが高いことを意味する。
【0026】
そして、表示部40に
図3の各標章MKが表示されると、本実施形態の呼吸音検出装置10による呼吸音検出動作が終了する。
【0027】
以上が、本実施形態の呼吸音検出装置10による呼吸音検出動作についての説明である。
【0028】
<第1実施形態の効果>
本実施形態の呼吸音検出装置10は、前述のとおり、被検者HBのモデルMLにおける信号取得部20A〜20Eが取り付けられている複数箇所に対応する各位置に、各特徴に応じて色の濃淡が異なるように設定した標章MKを表示する(
図3参照)。例えば、
図3の場合、使用者は、表示部40のモデルMLの各位置に付された標章MKから、右肺(胸部右側)の音圧レベルが左肺(胸部左側)の音圧レベルよりも高いこと、別言すると、両肺の音圧レベルに左右差があることを簡単に把握することができる。
したがって、表示部40を見た使用者は、被検者HBの複数箇所から検出された呼吸音の各特徴を把握し易い。別の見方をすると、本実施形態の呼吸音検出装置10は、被検者HBの複数箇所から検出された呼吸音の各特徴を把握させ易い。
【0029】
以上が、本実施形態の効果についての説明である。また、以上が、第1実施形態についての説明である。
【0030】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態について
図4を参照しながら説明する。本実施形態については、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態の構成要素と同じ構成要素を用いる場合、同じ名称、同じ符号を用いて説明する。
【0031】
図4は、本実施形態の呼吸音検出装置10Aによる呼吸音検出動作を説明するための図である。本実施形態の呼吸音検出装置10Aは、第1実施形態の場合に対して、表示部40での表示形式のみが異なる。具体的には、本実施形態の場合、表示部40は、被検者HBのモデルMLにおける信号取得部20A〜20Eが取り付けられている複数箇所に対応する各位置に、各特徴に応じて色の濃淡が異なるように設定しつつ、音圧レベルの値(文字の一例)を付した標章MKを表示する。すなわち、本実施形態の標章MKは、文字、図形及び色彩の結合とされている。
なお、本実施形態の標章MKのうちの音圧レベルの値(文字)については、例えば、各箇所の図形の付近(上側、横等)に表示してもよい。また、ポップアップ方式で表示する等でもよい。
【0032】
本実施形態の呼吸音検出装置10Aの場合、使用者は、表示部40のモデルMLの各位置に付された標章MKの音圧レベルの値から、比較的色の濃淡が同等の右肺(胸部右側)の音圧レベルと、腹部右側の音圧レベルとの大小差を簡単に把握することができる。
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態の効果を奏しつつ、更に、各箇所の音圧レベルの値を使用者に把握させ易い。
【0033】
以上が、第2実施形態についての説明である。
【0034】
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態について
図5を参照しながら説明する。本実施形態については、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態の構成要素と同じ構成要素を用いる場合、同じ名称、同じ符号を用いて説明する。
【0035】
図5は、本実施形態の呼吸音検出装置10Bによる呼吸音検出動作を説明するための図である。本実施形態の呼吸音検出装置10Bは、第1実施形態の場合に対して、表示部40での表示形式のみが異なる。具体的には、本実施形態の場合、表示部40は、被検者HBのモデルMLにおける信号取得部20A〜20Eが取り付けられている複数箇所に対応する各位置に、異常呼吸音の有無が認識されるような標章MKを表示する。
図5では、例えば、正常呼吸音の場合に円にベタの色彩が付された標章MKを表示し、異常呼吸音の場合には円にハッチングが付された標章MKを表示する。なお、異常呼吸音とは、制御部30が特定した各特徴から得られる緊急度を要する呼吸音を意味する。また、本実施形態の標章MKは、図形及び色彩又は模様の結合とされている。また、本実施形態における異常呼吸音及び正常呼吸音を表示する標章MKはそれぞれ一例であり、これらの差異が表示できれば本実施形態の場合と異なる標章MKであってもよい。
【0036】
本実施形態の呼吸音検出装置10Bの場合、使用者は、表示部40のモデルMLの各位置に付された標章MKから、右肺(胸部右側)及び腹部右側に異常呼吸音が検出されていることを簡単に把握することができる。
したがって、表示部40を見た使用者は、被検者HBの複数箇所から検出された呼吸音の各特徴から具体的な異常個所を把握し易い。別の見方をすると、本実施形態の呼吸音検出装置10Bは、被検者HBの複数箇所から検出された呼吸音の各特徴から異常個所を把握させ易い。
【0037】
以上が、第3実施形態についての説明である。
【0038】
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態について
図6を参照しながら説明する。本実施形態については、第1及び第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施形態の説明において、第1及び第3実施形態の構成要素と同じ構成要素を用いる場合、同じ名称、同じ符号を用いて説明する。
【0039】
図6は、本実施形態の呼吸音検出装置10Cによる呼吸音検出動作を説明するための図である。本実施形態の呼吸音検出装置10Cは、第3実施形態の場合に対して、表示部40での表示形式のみが異なる。具体的には、本実施形態の場合、表示部40は、被検者HBのモデルMLにおける信号取得部20A〜20Eが取り付けられている複数箇所に対応する各位置に、異常呼吸音の有無が認識されるような標章MKを表示したうえで、異常呼吸音の種類、状態等についての情報を、ポップアップ等を用いて常時表示する。なお、この場合のポップアップ等は、例えば、常時表示するのではなく、必要なときのみに表示するようにしてもよい。
【0040】
本実施形態の呼吸音検出装置10Cの場合、使用者は、表示部40のモデルMLの各位置に付された標章MKから、右肺(胸部右側)及び腹部右側に異常呼吸音が検出されていることを簡単に把握しつつ、ポップアップ等から異常呼吸音の種類、状態等についての情報(当該情報も標章MKの一部)を簡単に把握することができる。
したがって、表示部40を見た使用者は、被検者HBの複数箇所から検出された呼吸音の各特徴から具体的な異常個所及びその詳細情報を把握し易い。別の見方をすると、本実施形態の呼吸音検出装置10Cは、被検者HBの複数箇所から検出された呼吸音の各特徴から異常個所及びその詳細情報を把握させ易い。
【0041】
以上が、第4実施形態についての説明である。
【0042】
≪第5実施形態≫
次に、第5実施形態について
図7を参照しながら説明する。本実施形態については、第1及び第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施形態の説明において、第1及び第3実施形態の構成要素と同じ構成要素を用いる場合、同じ名称、同じ符号を用いて説明する。
【0043】
図7は、本実施形態の呼吸音検出装置10Dによる呼吸音検出動作を説明するための図である。本実施形態の呼吸音検出装置10Dは、第3実施形態の場合に対して、表示部40での表示形式のみが異なる。具体的には、本実施形態の場合、表示部40は、被検者HBのモデルMLにおける信号取得部20A〜20Eが取り付けられている複数箇所に対応する各位置のうち、定められた期間以上の無呼吸状態が認識された箇所に標章MKを表示したうえで、緊急度が高い(被検者HBの危険性が高い、すなわち、異常である)ことを報知するための標章MK1を表示する。ここで、定められた期間とは、一例として10秒に設定されている。なお、定められた期間は、10秒未満又は10秒以上であってもよい。
【0044】
本実施形態の呼吸音検出装置10Dの場合、使用者は、表示部40のモデルMLにおける異常位置に付された標章MK1から、緊急度が高いことを把握することができる。
したがって、表示部40を見た使用者は、被検者HBの複数箇所から検出された呼吸音の各特徴から緊急度の高い箇所を把握し易い。別の見方をすると、本実施形態の呼吸音検出装置10Dは、被検者HBの複数箇所から検出された呼吸音の各特徴から緊急度の高い箇所を把握させ易い。
【0045】
以上が、第5実施形態についての説明である。
【0046】
≪第6実施形態≫
次に、第6実施形態について
図8を参照しながら説明する。本実施形態については、第1、第3及び第5実施形態と異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施形態の説明において、第1、第3及び第5実施形態の構成要素と同じ構成要素を用いる場合、同じ名称、同じ符号を用いて説明する。
【0047】
図8は、本実施形態の呼吸音検出装置10Eによる呼吸音検出動作を説明するための図である。本実施形態の呼吸音検出装置10Eは、第3実施形態の場合に対して、表示部40での表示形式のみが異なる。具体的には、本実施形態の場合、表示部40は、被検者HBのモデルMLにおける信号取得部20A〜20Eが取り付けられている複数箇所に対応する各位置のうち、定められた呼吸回数(一例として3回)以上の異常呼吸音状態が認識された箇所に標章MKを表示したうえで、緊急度が中くらい(被検者HBが危険な状態になり得る状態である、すなわち、異常予備状態である)ことを報知するための標章MK2を表示する。また、表示部40は、標章MK1を表示する場合よりも更に多い定められた呼吸回数(5回)以上の異常呼吸音状態が認識された箇所に標章MKを表示したうえで、緊急度が高い(被検者HBが危険な状態である、すなわち、異常状態である)ことを報知するための標章MK1を表示する。
なお、本実施形態では前述のような標章MK、MK1、MK2を用いて表示するとしたが、異常呼吸音状態を把握させることができれば、異なる標章MKを用いてもよい。例えば、緊急度によって標章MKの色を変えてもよい。また、標章MKの中に標章MK1、MK2等を重ねて表示してもよい。
【0048】
本実施形態の呼吸音検出装置10Eの場合、使用者は、表示部40のモデルMLにおける異常位置に付された標章MK1、MK2から、緊急度の程度を把握することができる。
したがって、表示部40を見た使用者は、被検者HBの複数箇所から検出された呼吸音の各特徴から緊急度の高い箇所とその程度を把握し易い。別の見方をすると、本実施形態の呼吸音検出装置10Eは、被検者HBの複数箇所から検出された呼吸音の各特徴から緊急度の高い箇所とその程度を把握させ易い。
【0049】
以上が、第6実施形態についての説明である。
【0050】
以上のとおり、本発明について第1〜第6実施形態を例示してそれぞれ別個に説明した。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。例えば、下記のような形態(変形例)も、本発明の技術的範囲に属する。
【0051】
例えば、
図9に示される第1変形例の呼吸音検出装置10Fのように、各箇所の詳細情報についてポップアップ等を用いて表示してもよい。第1変形例は、第3又は第4実施形態(
図5及び
図6参照)の変形例といえる。
【0052】
また、
図10に示される第2変形例の呼吸音検出装置10Gのように、各箇所の詳細情報についてポップアップ等を用いつつ、緊急度を表示する標章MK1も表示してもよい。第2変形例は、第4実施形態(
図6参照)と第6実施形態(
図8参照)とを組み合せた形態(変形例)といえる。
【0053】
また、
図11に示される第3変形例の呼吸音検出装置10Hのように、例えば、第1実施形態(
図3参照)のモデルMLの表示を、検査時間の経過(
図11では、時間t
1→t
2→t
3→t
4→t
5→t
6→t
7:tの下付き数字が大きいほど検査時間が経過していることを意味する。)に沿って連続的に表示してもよい。本変形例によれば、使用者は、被検者HBの状態を連続的に観察できることで、その状態がどのように変化しているか容易に把握することができる点で有効である。
【0054】
なお、ここでは、各実施形態(
図1〜
図8参照)の変形例として第1〜第3変形例(
図9〜
図11)を例示して説明したが、各変形例を更に変形させた形態も本発明の技術的範囲に属する。例えば、第3変形例の場合に、第1実施形態のモデルMLに換えて他の実施形態又は他の変形例のモデルMLを連続的に表示してもよい。また、各実施形態及び各変形例の1つに他の実施形態等の表示方法を組み合せてもよい。
【0055】
また、各実施形態では、標章MKについてそれぞれ各実施形態の場合の例示として説明した。しかしながら、標章MKは、文字、図形、記号若しくは前記文字、前記図形及び前記記号の少なくとも2つ以上の結合、又は、色彩及び模様の少なくとも1つが付された、前記文字、前記図形、前記記号若しくは前記結合であればよい。
【0056】
また、各実施形態では、標章MKは、記録部39に収容されているプログラムCPに従い設定されているとした。この場合、各箇所に表示する標章MKは、複数箇所ごとに異なる基準で変更するように設定されていればよい。さらに、この場合、異なる基準は、測定された被検者HBの呼吸音の測定結果を用いて設定されるようにしてもよい。具体的には、以下のようなに設定してもよい。すなわち、個人や部位ごとに呼吸音レベルの基準値設定を変更してもよい。また、緊急度の条件は、前述した実施形態と異なる条件でもよい。例えば、緊急度の条件は、呼吸音のレベルが徐々に落ちている場合や一定以上レベルが下がった(又は上がった)場合としてもよい。
【0057】
また、各実施形態の説明では、呼吸音検出装置10、10A等は、表示部40を備えているとしたが、表示部40は必須の構成要件ではない。
【0058】
また、各実施形態の説明では、各呼吸音の特徴は、一例として、各呼吸音の一呼吸周期の音圧スペクトルとした。しかしながら、少なくとも一呼吸周期の音圧スペクトルを含んでいれば、各呼吸音の特徴は一呼吸周期の音圧スペクトルでなくてもよい。例えば、各呼吸音の特徴は複数回の呼吸周期の音圧スペクトルであってもよい。そして、この変形例では、正常な呼吸音のみで構成される複数回の呼吸周期の音圧スペクトルを正常呼吸音の特徴とし、1回の呼吸周期のみに異常状態(例えば無呼吸状態)を示す複数回の呼吸周期の音圧スペクトルを異常呼吸音の特徴としてもよい。また、各呼吸音の特徴を複数回の呼吸周期の音圧スペクトルとすることで、複数回の呼吸周期のうち異常呼吸音が検出される回数により緊急度のレベルを分けるようにしてもよい。
なお、ここでいう「複数回」とは、連続する複数回の組み合せでもよく、不連続な複数回の組み合せでもよい。