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特開2020-118662容器の乾燥及び分析試験のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-118662(P2020-118662A)
(43)【公開日】2020年8月6日
(54)【発明の名称】容器の乾燥及び分析試験のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20200710BHJP
   G01M 3/20 20060101ALI20200710BHJP
【FI】
   G01M99/00 Z
   G01M3/20 B
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-85542(P2019-85542)
(22)【出願日】2019年4月26日
(31)【優先権主張番号】16/255,923
(32)【優先日】2019年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100210686
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マシュー デイビッド バーナード
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン トーマス マクダーモット
(72)【発明者】
【氏名】アリソン バーボー ホプキンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ ジェイ.シーマー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アルツシュール ピンギトア
【テーマコード(参考)】
2G024
2G067
【Fターム(参考)】
2G024AD50
2G024BA11
2G024CA16
2G024CA30
2G024EA01
2G067AA44
2G067BB02
2G067BB30
2G067CC13
2G067DD17
2G067EE11
2G067EE12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】再使用のために洗浄された有機金属前駆体源及び有機シラン前駆体源のアンプルの乾燥及び試験を実施するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】アンプル自動乾燥分析容器システムは、精製不活性ガス供給システム302と統合された制御可能なインラインヒーター310を備える。不活性ガス供給システムは、乾燥プロセス中にアンプル320の内部に、入口マニフォールド312及びバルブ318を通じて加熱された高純度不活性ガスを導入する。各アンプルの堤部314から通じる出口マニフォールド324から、乾燥プロセスの間に生成される含水流入不活性ガスを、流入ライン324及びバルブ322、358、364へ導出する。試料ライン342、348、354、360のシステムは、出口ガスマニフォールド324から含水量分析器344、粒子計測器350、及び差圧セル356の1つ又は複数まで通じる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンプルを乾燥するための方法であって、
(a)アンプルと乾燥システムとの間に入口接続部及び出口接続部を作り出す工程であって、前記入口接続部及び前記出口接続部のそれぞれが、前記アンプルと前記乾燥システムとの間での流体流れ連通を提供する工程、
(b)前記アンプルを乾燥する工程、
(c)前記アンプルにおいて少なくとも1つの試験を実施する工程であって、前記少なくとも1つの試験が、含水量試験、粒子試験、差圧試験、及びアンプルリーク試験からなる群より選択される工程、
(d)工程(c)で実施した前記少なくとも1つの試験のそれぞれについて、少なくとも1つのセンサを使用して品質制御データを収集する工程、
(e)工程(a)の後に工程(b)〜(d)、並びに、工程(b)の後に工程(c)及び(d)を実施する工程、及び
(f)工程(a)〜(d)で、前記入口接続部と前記出口接続部を維持する工程とを含む、方法。
【請求項2】
(g)密封チャンバーに前記アンプルを設置して、前記密封チャンバーから前記アンプルを取り除くことなく工程(b)及び(c)を実施する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの試験が、含水量試験、粒子試験、差圧試験、及びアンプルリーク試験からなる群より選択される少なくとも2つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの試験が、含水量試験、粒子試験、差圧試験、及びアンプルリーク試験からなる群より選択される少なくとも3つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)が、
(b)(i)前記アンプルをアンプル乾燥ボックスに挿入すること、
(b)(ii)加熱された精製パージガスの源と流体流れ連通した前記入口接続部を提供すること、
(b)(iii)前記アンプルを前記加熱された精製パージガスでパージすること、
(b)(iv)前記加熱された精製パージガスを圧力循環すること、及び
(b)(v)前記アンプル乾燥ボックスを加熱することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アンプル乾燥ボックスが第1の領域及び第2の領域を含み、前記アンプルが、少なくとも1つの弾性バルブシートを含み、工程(b)(v)が、前記第1の領域を第1の温度に、前記第2の領域を前記第1の温度より高い第2の温度に加熱することをさらに含み、前記弾性バルブシートの全てが前記第1の領域に位置する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)が、
(b)(vi)前記入口接続部と前記加熱された精製パージガスの源との間での流体流れ連通を遮断すること、
(b)(vii)真空ポンプと流体流れ連通した前記出口接続部を設置すること、
(b)(viii)前記加熱された精製パージガスの源と流体流れ連通した前記入口接続部を設置すること、
(b)(ix)工程(b)(vi)と同時に又は工程(b)(vi)の後に、工程(b)(vi)を実施すること、及び
(b)(x)工程(b)(vii)の後に工程(b)(viii)を実施することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)が、
(b)(xi)工程(b)(vi)〜(b)(viii)を少なくとも2回実施することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの試験が前記差圧試験を含み、前記差圧試験が、
(c)(i)前記アンプルの出口と差圧試験分析器との間での流体流れ連通を可能とする工程、及び
(c)(ii)前記アンプルの出口ポートが精製パージガスの供給部と流体流れ連通している場合に、前記アンプルの出口ポートと前記精製パージガスの供給部との間の差圧を測定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの試験が前記アンプルリーク試験を含み、前記アンプルリーク試験が、
(c)(i)ヘリウム源と流体流れ連通した前記アンプルの出口ポートを設置する工程、
(c)(ii)ヘリウム検出器と流体流れ連通した前記アンプルの入口ポートを設置する工程、及び
(c)(iii)工程(c)(i)〜(c)(ii)が実施されている間、前記ヘリウム検出器を使用してヘリウムリーク速度を測定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記アンプルリーク試験が、
(c)(iv)空気中で1体積%以上のヘリウムの濃度までアンプル乾燥ボックスをヘリウムで充填する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの試験が前記含水量試験を含み、前記含水量試験が、少なくとも1つの含水量センサを使用して実施され、かつ、1.2体積ppb(十億分率)以下の検出レベルをもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの試験が前記粒子試験を含み、少なくとも1つの粒子計数器を使用する前記粒子試験が、複数のマイクロメートルサイズの粒子を検知し、複数の粒子計数器チャネルを利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
アンプルのための乾燥システムであって、
密封可能な内部容積を提供すること、加熱されたクリーンドライエアの源及びボックスベントのそれぞれとの流体流れ連通を選択的に可能にすること、及び前記密封可能な内部容積内に入口ポート及び出口ポートを有するアンプルを収容することに適合した乾燥ボックスと、
前記入口ポートと、ヘリウムリーク検出器及びインラインヒーターを有する精製パージガスの源のそれぞれとの間での流体流れ連通を選択的に可能にするのに適合した少なくとも1つの入口導管及び少なくとも1つの入口マニフォールドバルブを含む入口マニフォールドと、
前記出口ポートと、少なくとも1つの品質制御分析器、真空ポンプ、ヘリウム源、及び出口ベントのそれぞれとの間での流体流れ連通を選択的に可能にするように構成された少なくとも1つの出口導管及び少なくとも1つの出口マニフォールドバルブを含む出口マニフォールドと、
含水量分析器、粒子分析器、差圧試験分析器、及びヘリウムリーク調査分析器からなる群より選択される品質制御分析器と、
前記加熱されたクリーンドライエアの源、前記ボックスベント、前記精製パージガスの源、前記インラインヒーター、前記入口マニフォールドバルブ、前記出口マニフォールドバルブ、前記アンプルの入口ポート、前記アンプルの出口ポート、前記品質制御分析器、前記真空ポンプ、及び前記出口ベントを制御するのに適合した少なくとも1つのコントローラとを含む、システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのコントローラが、請求項1に記載の方法を実施するのに適合した実行可能コードを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記乾燥ボックスが、それぞれが制御可能な加熱部材を有する第1の加熱領域及び第2の加熱領域をさらに含み、前記少なくとも1つのコントローラが、前記第1の加熱領域より高い温度に前記第2の加熱領域を加熱するのに適合している、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の加熱領域が、前記第2の加熱領域の上に位置している、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記品質制御分析器が、1.2体積ppb(十億分率)の濃度で含水量を測定することが可能である含水量分析器である、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記品質制御分析器が、複数のマイクロメートルサイズの粒子を検知し、かつ、複数の粒子計測器チャネルを利用する粒子計測器を含む粒子分析器である、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書で説明される実施形態は、概して、有機金属化合物及び有機シラン化合物のような前駆体材料を処理チャンバーに提供するのに使用されるアンプルとしても知られる前駆体源キャニスタを乾燥及び試験するための方法及び装置に関する。アンプルは、液体前駆体材料及び/又は蒸発した固体前駆体材料を処理チャンバーに提供することができる。アンプルは、乾燥されて再使用される前に、洗浄のために定期的に使用が停止される。
【0002】
化学気相堆積(CVD)及び原子層堆積(ALD)は、半導体ウエハのような基材上に材料の1つ又は複数の層を形成するための公知の技術である。材料は、一般的に、基材の表面上及び/又は基材の表面の近くで、気相化学物質の反応により形成される。CVD及びALDプロセスの実施形態は、基材表面にガス状の反応剤を輸送することを含み、化学反応は反応熱力学に好ましい温度及び圧力条件の下で起こる。
【0003】
ガス状の反応剤又は前駆体は、液体前駆体材料又は固体前駆体材料のいずれかから生成することができ、それらのいずれかは、源キャニスタ又はアンプル内に収容されることがある。一般的に、液体前駆体材料は、液体前駆体材料から気相前駆体を生成し、当該気相材料を処理チャンバーに輸送する蒸発器により、処理チャンバーに提供される。固体前駆体材料がアンプル内部で加熱され圧力制御されて、固体前駆体材料が昇華して気相前駆体材料になり、それがキャリアガスを使用して処理チャンバーに輸送される。様々なキャニスタ又はアンプル、例えばステンレス鋼のアンプルが、基材表面に前駆体を輸送するために商業的に利用可能である。
【0004】
前駆体源アンプルは、一定期間製造プロセスで使用され、そして、再利用のための洗浄及び調製のために前駆体化学物質供給元へ戻される。アンプルは、残留生成物と、反応生成物及び/又は分解生成物とを含有して供給元により収容される。大量のそのような残留材料は、回収プロセスを通じて除去される。そして、アンプルは、全ての残留生成物及び他の不純物を取り除くために洗浄プロセスを経る。
【0005】
この洗浄プロセスの後、アンプルは、分子レベルに洗浄されるが、全ての内面上及び弾性バルブシート内に、多くの液体水、物理吸着した水及び化学吸着した水が残っている。この残留水は、洗浄プロセスの結果として残存する。多くの有機金属化合物は水に対し高い反応性を示し、望まれない反応生成物、例えば、望まれない固形物及び粒状不純物を形成する。そのような固形物は、アンプルのバルブ、及び、アンプルから消費者の使用位置まで導く移送ラインで詰まることによりアンプル性能に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、アンプルを使用のために戻す前に、アンプルから残留空気を除去し、アンプルを乾燥するための効果的かつ信頼できる手段が極めて重要である。洗浄度及び性能基準のためのアンプルの標準化された品質制御試験がまた望まれている。
【0006】
従来の乾燥システムは、アンプル雰囲気全体を加熱する従来のオーブン中にアンプルを設置することを含む。その乾燥システムはアンプル雰囲気を、バルブシート又は他の感温性構成要素が耐えることができる最大温度により制限される温度にのみ加熱することができる。従来のオーブンシステムは洗浄システムとは分離されており、当該従来のオーブンシステムによって、より長い乾燥時間、高純度の不活性ガス流の圧力循環、及びアンプル廃液の高純度不活性ガス流の含水量分析のようなプロセスの増大を含むことが現実的になる。
【0007】
再使用に先立って、幾つかの従来技術に係る乾燥したアンプルは、不活性ガスリーク検出ステーション及び手動のポイント試験法を使用してリーク調査されている。アンプルは、リーク試験を行うために、乾燥ステーションから取り除かれ、そして別の物理領域に移動するか又は別の位置に運ばなければならない。リーク調査方法は、アンプルを囲うガス充填プラスチックバッグ又は同様の手動設置された囲いを用いて不活性ガス「インボード」リーク調査することを含む。インボード不活性ガスリークとは、本明細書で使用される場合、アンプル内に、例えば継手又は接続部に不活性ガスが浸透することを言い表す。リーク調査方法はまた、段階的なバルブ作動手順を使用してアンプルバルブを通じてリーク試験することを含む。
【0008】
上記タイプの手動リーク試験は、大きな手間を要し、オペレータによるアンプル操作を要する。当該リーク試験方法は、複数回の接続工程及び分離工程を要し、これは、アンプルにダメージを与え、周囲への露出を通じてポートを汚染し、密封接続部で誤動作を引き起こすことがある。特に、高信頼性の機械的密封部は、接続プロセス及び分離プロセス中に、変形、傷及びシール表面での異物の埋め込まれによりダメージを受ける場合がある。このタイプの手動の操作はまた、異なるオペレータにより実施される試験技術に内在する可変性に起因する誤動作が発生する。
【発明の概要】
【0009】
信頼性のないリーク試験手順は、欠陥のあるアンプルを見つけることができない場合がある。したがって、機械的に欠陥のあるアンプルが再使用に戻され、アンプルに戻された高純度の化学物質で満たされた後の操作上の不具合、品質の不満、及びアンプル供給者のための仕事の喪失をもたらす。化学物質充填プロセス中で検出された不具合を同様に避けることができる。信頼性のないリーク試験手順はまた、健全なアンプルについての誤検出をもたらす場合がある。そのような結果により、不必要なアンプルの補修を通じて資源の損失がもたらされる。
【0010】
上述した全ての方法は、処理中に、手動のアンプルバルブをオペレータが作動させることを要する。このプロセスは多くの労働力を要し、バルブ操作及び順序付け(sequencing)の誤動作(すなわち、順序において適切な時にバルブを開閉し損ねる)をもたらす。上述した全ての方法は、多くの労働力を要し、誤動作をもたらし、各アンプルについて、各分析工程で分析の追跡可能な証明を提供するためのコンピュータデータベースに次のデータ入力を要する手動のデータ記録を使用して行われる。
【0011】
従来技術の乾燥システムの別の欠点は、全体の清浄度及びアンプル構成要素を通る適切なフローコンダクタンスを確認するための手段がないことである。アンプルは、それらの脱粒速度及びアンプルにわたる圧力低下について試験され、これらの基準を評価することができる。しかしながら、そのような測定は、別々の脱粒試験ステーション及び差圧試験ステーションで行われなければならない。これらの試験ステーションは、時々、アンプル乾燥が行われる同一の場所に配置されないため、アンプルを現場から離れた場所へ運ばなければならない。アンプルの再配置が原因で高価になり時間がかかるのに加え、不純物及びフローコンダクタンスのためにアンプルを試験することは、複数回の接続工程及び分離工程を要し、それにより、さらにアンプルを傷つけ、周囲への露出を通じてポートを汚染し、密封接続部で誤動作を引き起こすことがある。アンプル使用者は、前駆体純度及びアンプル性能へのより厳しい管理制限を要求し続けている。アンプル調製プロセスは、純度、信頼性、効率、コスト低減、及び高品質な製品についての市場の要求を満たすために、これらの要求を満たすことができなければならない。したがって、製品品質についての消費者の要求を満たすことができるアンプルの調製のための包括的、効率的、そして標準化されたシステムについての満たされていないニーズが存在する。そのようなシステムを実施するための装置及び方法は、循環時間、人材、及び機械資源への制約を考慮しつつ、品質の問題に対処する完全に包括的な容器調製方法を提供しなければならない。
【0012】
本発明の実施形態は、有機金属材料、有機材料、有機シラン材料、又は他の材料を輸送するのに使用又は再使用されるステンレス鋼アンプルの乾燥、分析試験、手動バルブの自動操作、及びリーク調査を可能とするシステム及び方法を含む。装置及び方法は、運転中の事前使用又は初回使用のいずれかの後に洗浄されたアンプルを対象とする。本発明により、装置からアンプルを分離及び再接続することなく、又はプロセスの工程間でオペレータがアンプルを手動で移動させることなく、乾燥プロセス、試験プロセス、リーク調査プロセス及びデータ記録プロセスの全ての工程を自動的に行うために使用することができる統合された装置を提供することで、従来技術の方法についての制限が克服される。
【0013】
本発明の対象は、前の洗浄プロセス、初回の構築プロセス、又は再構築プロセスから受けるアンプルを完全に乾燥させることである。アンプルは、時々、当分野で許容される使用よりも多くの水分量を含んで受け入れられる場合がある。本発明は、1つ又は複数の技術;加熱した不活性ガス置換、循環パージ、真空、及び昇温した環境温度を使用したシステム及びプロセスを使用して、当分野での使用に対して要求される所望の乾燥を達成する。
【0014】
本発明の対象はまた、2つ以上の分析プロセス及びリーク調査プロセスを1つの統合されたシステムに組み合わせることである。本発明により、乾燥を含水量分析、脱粒及び粒子計測、差圧試験、並びにヘリウムリーク速度試験と組み合わせることが可能となる。
【0015】
本発明の対象は、液体化学物質を含まず、水分を含まない1つ又は複数のアンプルをリーク調査することである。プロセスの自動化及び統合により、アンプルが不純物を含まないことを確実にし、それにより、繰り返し可能かつ再現可能であるリーク速度調査の雰囲気及びプロセスをもたらす均一な一貫したプロセスフローを可能とする。
【0016】
本発明の対象は、具体的には、リーク調査のためにヘリウムを使用し、それにより、質量感応性検出器を使用することで選択的に検出されるべき低原子量及び能力に起因するリーク速度を決定するための最も高い感応性を持つ媒体を提供する。
【0017】
本発明の対象は、性能を監視し、一貫性を示し、追跡可能性を提供する手段として、各アンプルのリーク調査データ、分析データ、及びシステムのインプロセスデータを記録することである。データ収集の自動化及び入力/出力ロジックを通じたその使用は、繰り返し可能かつ再現可能である統合されたプロセスを可能とするシステムの統合された能力を向上させる。データ収集はまた、各アンプルの乾燥度、脱粒性能、差圧性能、又はリーク速度についての分析の証明を提供するために役立つ。
【0018】
また、本発明のシステム及び方法の幾つかの具体的な態様について以下で概要を述べる。
【0019】
態様1:アンプルを乾燥するための方法であって、
(a)アンプルと乾燥システムとの間に入口接続部及び出口接続部を作り出す工程であって、前記入口接続部及び前記出口接続部のそれぞれが、前記アンプルと前記乾燥システムとの間での流体流れ連通を提供する工程、
(b)前記アンプルを乾燥する工程、
(c)前記アンプルにおいて少なくとも1つの試験を実施する工程であって、前記少なくとも1つの試験が、含水量試験、粒子試験、差圧試験、及びアンプルリーク試験からなる群より選択される工程、
(d)工程(c)で実施した前記少なくとも1つの試験のそれぞれについて、少なくとも1つのセンサを使用して品質制御データを収集する工程、
(e)工程(a)の後に工程(b)〜(d)、並びに、工程(b)の後に工程(c)及び(d)を実施する工程、及び
(f)工程(a)〜(d)で、前記入口接続部と前記出口接続部を維持する工程とを含む、方法。
【0020】
態様2:(g)密封チャンバーに前記アンプルを設置して、前記密封チャンバーから前記アンプルを取り除くことなく工程(b)及び(c)を実施する工程をさらに含む、態様1に記載の方法。
【0021】
態様3:前記少なくとも1つの試験が、含水量試験、粒子試験、差圧試験、及びアンプルリーク試験からなる群より選択される少なくとも2つを含む、態様1又は2に記載の方法。
【0022】
態様4:前記少なくとも1つの試験が、含水量試験、粒子試験、差圧試験、及びアンプルリーク試験からなる群より選択される少なくとも3つを含む、態様2に記載の方法。
【0023】
態様5:工程(b)が、
(b)(i)前記アンプルをアンプル乾燥ボックスに挿入すること、
(b)(ii)加熱された精製パージガスの源と流体流れ連通した前記入口接続部を提供すること、
(b)(iii)前記アンプルを前記加熱された精製パージガスでパージすること、
(b)(iv)前記加熱された精製パージガスを圧力循環すること、及び
(b)(v)加熱されたクリーンドライエアの対流を使用して、前記アンプル乾燥ボックスを加熱することをさらに含む、態様1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【0024】
態様6:前記アンプル乾燥ボックスが第1の領域及び第2の領域を含み、前記アンプルが、少なくとも1つの弾性バルブシートを含み、工程(b)(v)が、前記第1の領域を第1の温度に、前記第2の領域を前記第1の温度より高い第2の温度に加熱することをさらに含み、前記弾性バルブシートの全てが前記第1の領域に位置する、態様5に記載の方法。
【0025】
態様7:工程(b)が、
(b)(vi)前記入口接続部と前記加熱された精製パージガスの源との間での流体流れ連通を遮断すること、
(b)(vii)真空ポンプと流体流れ連通した前記出口接続部を設置すること、
(b)(viii)前記加熱された精製パージガスの源と流体流れ連通した前記入口接続部を設置すること、
(b)(ix)工程(b)(vi)と同時に又は工程(b)(vi)の後に、工程(b)(vi)を実施すること、及び
(b)(x)工程(b)(vii)の後に工程(b)(viii)を実施することをさらに含む、態様5に記載の方法。
【0026】
態様8:工程(b)が、
(b)(xi)工程(b)(vi)〜(b)(viii)を少なくとも2回実施することをさらに含む、態様7に記載の方法。
【0027】
態様9:前記少なくとも1つの試験が前記差圧試験を含み、前記差圧試験が、
(c)(i)前記アンプルの出口と差圧試験分析器との間での流体流れ連通を可能とする工程、及び
(c)(ii)前記アンプルの出口ポートが精製パージガスの供給部と流体流れ連通している場合に、前記アンプルの出口ポートと前記精製パージガスの供給部との間の差圧を測定する工程を含む、態様1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
態様10:前記少なくとも1つの試験が前記アンプルリーク試験を含み、前記アンプルリーク試験が、
(c)(i)ヘリウム源と流体流れ連通した前記アンプルの出口ポートを設置する工程、
(c)(ii)ヘリウム検出器と流体流れ連通した前記アンプルの入口ポートを設置する工程、及び
(c)(iii)工程(c)(i)〜(c)(ii)が実施されている間、前記ヘリウム検出器を使用してヘリウムリーク速度を測定する工程を含む、態様1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
態様11:前記アンプルリーク試験が、
(c)(iv)空気中で1体積%以上のヘリウムの濃度までアンプル乾燥ボックスをヘリウムで充填する工程をさらに含む、態様10に記載の方法。
【0030】
態様12:前記少なくとも1つの試験が前記含水量試験を含み、前記含水量試験が、少なくとも1つの含水量センサを使用して実施され、かつ、1.2体積ppb(十億分率)以下の検出レベルをもたらす、態様1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
態様13:前記少なくとも1つの試験が前記粒子試験を含み、少なくとも1つの粒子計数器を使用する前記粒子試験が、複数のマイクロメートルサイズの粒子を検知し、複数の粒子計数器チャネルを利用する、態様1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
態様14:アンプルのための乾燥システムであって、
密封可能な内部容積を提供すること、加熱されたクリーンドライエアの源及びボックスベントのそれぞれとの流体流れ連通を選択的に可能にすること、及び前記密封可能な内部容積内に入口ポート及び出口ポートを有するアンプルを収容することに適合した乾燥ボックスと、
前記入口ポートと、ヘリウムリーク検出器及びインラインヒーターを有する精製パージガスの源のそれぞれとの間での流体流れ連通を選択的に可能にするのに適合した少なくとも1つの入口導管及び少なくとも1つの入口マニフォールドバルブを含む入口マニフォールドと、
前記出口ポートと、少なくとも1つの品質制御分析器、真空ポンプ、ヘリウム源、及び出口ベントのそれぞれとの間での流体流れ連通を選択的に可能にするように構成された少なくとも1つの出口導管及び少なくとも1つの出口マニフォールドバルブを含む出口マニフォールドと、
含水量分析器、粒子分析器、差圧試験分析器、及びヘリウムリーク調査分析器からなる群より選択される品質制御分析器と、
前記加熱されたクリーンドライエアの源、前記ボックスベント、前記精製パージガスの源、前記インラインヒーター、前記入口マニフォールドバルブ、前記出口マニフォールドバルブ、前記アンプルの入口ポート、前記アンプルの出口ポート、前記品質制御分析器、前記真空ポンプ、及び前記出口ベントを制御するのに適合した少なくとも1つのコントローラとを含む、システム。
【0033】
態様15:前記少なくとも1つのコントローラが、態様1に記載の方法を実施するのに適合した実行可能コードを含む、態様14に記載のシステム。
【0034】
態様16:前記乾燥ボックスが、それぞれが制御可能な加熱部材を有する第1の加熱領域及び第2の加熱領域をさらに含み、前記少なくとも1つのコントローラが、前記第1の加熱領域より高い温度に前記第2の加熱領域を加熱するのに適合している、態様14又は15に記載のシステム。
【0035】
態様17:前記第1の加熱領域が、前記第2の加熱領域の上に位置している、態様16に記載のシステム。
【0036】
態様18:前記品質制御分析器が、1.2体積ppb(十億分率)の濃度で含水量を測定することが可能である含水量分析器である、態様14〜17のいずれか1つに記載のシステム。
【0037】
態様19:前記品質制御分析器が、複数のマイクロメートルサイズの粒子を検知し、かつ、複数の粒子計測器チャネルを利用する粒子計測器を含む粒子分析器である、態様14〜18のいずれか1つに記載のシステム。
【0038】
態様20:前記品質制御分析器が、1.2体積ppb(十億分率)の濃度で含水量を測定することが可能な含水量分析器である、態様14〜19のいずれか1つに記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本発明のある実施形態に係るアンプルを乾燥する分析容器の装置の斜視図である。
図2図2は、本発明のある実施形態に係るアンプルを乾燥する分析容器の装置の側面図及び前面図である。
図3図3は、本発明のある実施形態に係るアンプルを乾燥する分析容器の装置の簡易化したダイアグラムである。
図4図4は、本発明のある実施形態に係るアンプル乾燥プロセスのフローチャートである。
図5図5は、本発明のある実施形態に係るアンプル含水量分析方法のフローチャートである。
図6図6は、本発明のある実施形態に係るアンプル脱粒分析方法のフローチャートである。
図7図7は、本発明のある実施形態に係るアンプル差圧試験方法のフローチャートである。
図8図8は、本発明のある実施形態に係るアンプルリーク試験方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の詳細な説明は、好ましい例示の実施形態を提供するが、本発明の範囲、適用性又は構成を制限することは意図されない。むしろ、好ましい例示の実施形態の以下の詳細な説明は、本発明の好ましい例示の実施形態を実施するための実施可能な説明を当業者に提供するものである。添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく、部材の配置及び機能において様々な変更を行うことができる。
【0041】
本明細書及び添付の特許請求の範囲のために、「流体連通」又は「流体流れ連通」という用語は、それぞれ、制御された状態で構成要素間において液体及び/又は気体を輸送することを可能とする2つ以上の構成要素間での接続を言い表す。2つ以上の構成要素を結合(接続としても知られる)して、それらを互いに流体連通させることは、例えば、管、配管、及び/又は導管の使用等、当技術分野で公知の任意の適切な方法を伴うことができる。「選択的に」という用語は、2つ以上の流体流れ連通して接続された用語と共に使用された場合、例えば制御バルブ又は他の適切な機構により、接続又は結合を有効化及び無効化するのに適する手段が存在することを意味する。
【0042】
本発明の実施形態は、単一の装置を用いて、単一の場所でアンプル乾燥及び品質制御試験を実行し、かつ、アンプル及び装置において1回のみの手動の接続/分離工程を要求する装置及び方法を提供する。これは、同一の乾燥、分析及びヘリウムリーク調査の手順を実行するために複数の設備、並びに複数回の接続工程及び分離工程を要する従来技術と対比される。
【0043】
好ましい実施形態によれば、装置及び関連方法は、自動乾燥分析容器システム(ADACS)と言い表される。ADACSは統合化されており、かつ、効率的な均一な方法でアンプル乾燥、診断方法、及びヘリウムリーク調査を行うことができる単一ユニットに入れられたプログラム可能な組立設備である。
【0044】
アンプルが装置に接続された後、乾燥プロセス、並びにヘリウムリーク調査を含むような一連の品質制御試験手順を完了するために更なる接続/分離工程を要しない。1つの実施形態において、装置は、全てのアンプルについて同時に起こる乾燥プロセスを用いて同時に複数のアンプルを処理した後、次のアンプル品質制御試験を行うように設計される。装置は、乾燥プロセス及び品質制御試験を自動に実施し、各アンプルと関連する試験データを記録するようにプロミングされることができる。
【0045】
適切な乾燥期間の後、アンプルは、最先端の方法を使用して所定の位置で試験される。試験は、低いppm又はppbレベルまでの残留含水量について測定することを含む。試験は、アンプルが不純物を含まないことを確実にするために、混入粒状物についてマイクロメートルサイズの数分の一まで行われる。低いtorrレベルまでの差圧試験は、アンプルの流路において障害物がないことを確実にする。アンプルはまた、再充填した後にアンプルに大気不純物が入ることができないことを確実にするために厳しいヘリウムリーク調査を受ける。全ての上記プロセスは、標準化された装置及び方法を使用して、信頼性及び再現性を伴って実施される。統合された装置は、アンプル継手を損傷させ、周辺不純物をアンプルに導入し、そして試験プロセスでの誤動作のリスクを増加させ得る複数回の接続工程及び分離工程を行うことなく実施される乾燥及び試験手順を可能とする。
【0046】
乾燥及び試験プロセスは、誤動作、サンプリングバイアス、及びオペレータのアンプル操作を最小にするために自動化することで、改善される。電子データ記録は、結果の即値データベース及び各アンプルについての分析の追跡可能な証明を提供するために使用される。各アンプルについての記録されたデータは、好ましくは、各アンプルの固有の識別子と関連する。
【0047】
アンプル
本発明の実施形態は、以下で説明するようなアンプルを乾燥及び試験するために使用することができる。典型的にステンレス鋼又は他の金属合金の構造を有するアンプルは、半導体、太陽光発電、光学、ディスプレイ、及び電子産業のための様々な固体及び液体の有機金属前駆体又は有機シラン前駆体を収容するのに使用される。多くの種類の材料の構造及び設計タイプが一般的に使用される。このタイプのアンプルは、米国特許第6,526,824号及び同第7,124,913号明細書に記載され、これらの開示は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0048】
アンプルは、好ましくは、以下の特徴:マニフォールド組立体における手動パックレス(例えば、ベローズ又はダイアフラム型閉鎖)バルブ;マニフォールド組立体における自動(空気圧作動)パックレスバルブ;(好ましくは)自動バルブを収容するマニフォールド組立体におけるバイパス;レベルセンサ(液体製品用);充填ポート;ボルト締めされた又は溶接された頂部;弾性バルブシート(本明細書では弾性バルブシールとも称される);バブラー管又は入口管(液体製品用);固体製品又は液体製品を保持するための通常開口している容積を含む基部の1つ又は複数を含む。ダイアフラム型バルブは、ステンレス鋼又は他の耐腐食性ダイアフラムと共に、好ましくは、限定されないが、ポリイミド(例えばVespel(登録商標))、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE、例えば、Kel−F(商標))、ポリフルオロアルコキシアルカン(PFA(登録商標))、又は他の弾性シートを含む材料から構築される。
【0049】
そのようなアンプル中に収容されることがある固体製品及び液体製品としては、限定されないが、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、タンタルジメチルアミド(PDMAT)、ジカルボニルシクロペンタジエニルコバルト[CpCo(CO)]、ジバルトヘキサカルボニルt−ブチルアセチレン(CCTBA)、及び塩化タンタル(V)(TaCl)が挙げられる。
【0050】
窒素又はヘリウムのような高純度不活性ガスは、操作中に製品のキャリアとしてアンプルを通過することができる。高純度不活性ガスとしては、限定されないが、ヘリウム、アルゴン、窒素及びそれらの混合物が挙げられ、全不純物(水蒸気及び酸素を含む不純物)の100体積百万分率(ppmv)未満、好ましくは全不純物の1ppmv未満、最も好ましくは全不純物の0.001ppmv未満を有する。アンプルはまた、使用中に加熱されることがある。製品の制御された昇華又は蒸発に影響を及ぼすように加熱が行われ、それによって、制御された輸送速度の製品を使用場所に提供する。加熱は、アンプル中の製品の劣化又は不要な反応生成物がもたらされることがある。不要な固体の、場合により粒状の製品が、液体製品から形成されることがあり、アンプルのヘッドスペース及び/又はベントポート及び/又はバルブマニフォールドで懸濁されることがある。固体の不純物は、流路の障害物、増加した圧力降下、場合によりバルブ誤動作を引き起こす場合がある。これらの不純物は洗浄プロセス中に取り除かれる。
【0051】
本発明は、好ましくは、上述の一般タイプのステンレス鋼アンプルのために使用することができる。しかし、本発明はまた、システムの構成要素の規模を適切に増加又は減少させて、より大きい若しくはより小さいアンプル又は閉鎖ヘッドドラムを処理するように設計することができる。本発明は、任意の出力要求に関連して同時に複数のアンプルを処理するように設計することができる。
【0052】
自動乾燥分析容器システム(ADACS)
ADACSの実施形態の外観図は図1及び図2に提供される。図1を参照すると、例示のADACSシステム100が示される。この例において、2つの堤部(banks)又は乾燥ボックス101、103があり、それぞれは6つのアンプルを囲うためのものであるが、他の配置が可能である。1つの実施形態において、ADACSは、以下の構成要素:少なくとも1つのアンプル;アンプル堤部の乾燥構成要素;含水量分析構成要素;脱硫分析構成要素;差圧試験構成要素;及びリーク調査構成要素のうちの1つ又は複数で構成される。当該構成要素は、管、ポンプ、センサ、バルブ及び分析計器を通じて統合される。図示した実施形態において、品質制御分析計器、センサ及びコントローラは、計器パネル105、107に位置する。真空ポンプ109及び液体トラップ部111はまた、システムハウジングに取り付けられる。
【0053】
図2を参照すると、例示のADACS200の側面図及び前面図が示される。この例は、2つの堤部又は乾燥ボックス201、203を有し、それぞれが6個以下のアンプルを収容する。計器及びコントローラは、乾燥ボックス201、203の上に位置する計器パネル205、207に位置する。真空ポンプ209及び液体トラップ部211はADACSハウジングに取り付けられる。この実施形態において、各乾燥ボックスは、乾燥ボックスの内部でアンプルへのアクセスを可能にするために上方に回る開き戸213を有する。乾燥ボックス201、203のそれぞれは密封可能であり、戸が閉じた場合に乾燥ボックスが内部容積を維持し、アンプルを囲い、制御可能な組成及び温度を有することができることを意味する。乾燥ボックスは、加熱されたクリーンドライエアの源及びボックスベントのそれぞれとの流体流れ連通を選択的に可能とするのに適合する。
【0054】
図1及び図2で示されるシステム配置は例示の目的のために提供される。ADACS設備は、本発明の実施形態に係る様々な他の配置で構成することができる。そのような設備配置の変更は、利用可能な空間及び区画形状を収容し、並びに他の近隣の設備の安全の操作との干渉を防止するように設計される。
【0055】
図3は、ADACS300の構成要素の配置の例示の実施形態の簡易化した概略図を示す。当業者は、加工システムを完了するのに必要とされる追加のバルブ、導管、コントローラ、及び電気接続の可能な構成を理解することができる。ADACSの構成要素は、精製不活性ガス供給システム302と統合され、圧力制御レギュレータ(図示せず)、制限的な流れ開口部(図示せず)、及び温度フィードバック回路(図示せず)を含む制御可能なインラインヒーター310を備える。不活性ガス供給システムは、制御された温度及び制御された流量で乾燥プロセス中にアンプル320の内部に、流入マニフォールドとしても知られる入口マニフォールド312及びバルブ318を通じて加熱された高純度不活性ガスを導入するように設計される。入口マニフォールドは少なくとも1つの入口導管及び少なくとも1つの入口バルブを含む。図示した実施形態において、不活性ガスは窒素として示されているが、任意の適切な不活性ガス、例えば、限定されないが、ヘリウム、窒素、ネオン又はアルゴンを使用することができる。精製された及び高純度という用語は、工業ガスのグレードを記載するのに商業的に使用される用語を言い表す。各アンプルの堤部314から通じる流入ガスマニフォールドとしても知られる出口マニフォールド324は、乾燥プロセスの間に生成される含水流入不活性ガスを、液体トラップ部−ベントスクラバーシステム380、382又は真空ポンプ−液体トラップ部−ベントスクラバーシステム362のいずれかに向けられるのに適切な流入ライン324及びバルブ322、358、364を含む。出口マニフォールドは、少なくとも1つの出口導管及び少なくとも1つの出口バルブを含む。試料ライン342、348、354、360のシステムは、出口ガスマニフォールドからガスサンプリング計器、好ましくは含水量分析器344、粒子計測器350、及び差圧セル356の1つ又は複数まで通じる。バルブは、1つ又は複数のアンプルを、真空ポンプ又は品質制御分析器と流体流れ連通させるように操作される。1つの実施形態において、コントローラは、特定の乾燥又は分析プロセスのための所望の構成を提供するためにバルブの操作を自動化するために使用される。
【0056】
圧力制御レギュレータ(図示せず)を備えた精製ヘリウムガス供給システム332は、ヘリウムガスを、出口マニフォールド324及び出口マニフォールドバルブ322につながる導管336を通じてアンプル320の内部に導入するように提供される。ヘリウムは、手動及び自動のバルブ作動の制御された順序を通じて制御された状態で導入することができる。バルブ作動の順序は、バルブマニフォールドにおける各バルブを横切るヘリウムガスのリークについて、個々に各アンプルを試験するように設計される。
【0057】
圧力制御レギュレータ(図示せず)を備えたヘリウム供給システム332はまた、導管334を通じてアンプル乾燥ボックス314に収容されるアンプルを囲う環境にヘリウムガスを導入するように構成される。適切な周辺モニタ、例えば酸素検出器(図示せず)は、直接的に又は間接的に、アンプルボックス内のヘリウム濃度を測定するためにアンプル乾燥ボックス内部に位置している。ヘリウムガスのアンプル乾燥ボックスへの導入は、真空内部へのヘリウムガスのリークについて、各アンプル及びアンプルバルブマニフォールドを個々に試験するように設計される。
【0058】
試料ライン及びバルブ318のシステムは、図3に示される入口マニフォールド312を通じて各アンプル320の入口側からヘリウムリーク検出器ステーション338に通じる。ヘリウムリーク検出器ステーションは、真空ポンプ、圧力ゲージ、バルブ、及びヘリウム感応計器(図示せず)を含む。ヘリウムリーク検出器ステーションは、アンプルマニフォールドバルブを通るリーク、又は「インボード」リークを通じたアンプル基部の中へのリーク若しくはアンプルバルブマニフォールド組立体中へのリークを測定するために、試料ライン及びバルブ318を通じて各アンプル320に個々に接続される。
【0059】
例えば知能型デバイス又は複数のプロセスロジックコントローラを含む、適切にプログラムされたコントローラは、説明されるシステムにおいて、全てのシステムバルブ、ヒーター、ファン、ダンパー、圧力センサ、フローセンサ、液体レベルセンサ、組成センサ、モニタ、計器、真空ポンプの制御をもたらし、及び/又はそれらからの入力を受信する。
【0060】
アンプル堤部の乾燥構成要素
アンプルを製品で再充填して再利用することができる前に残留水分を除去するために効率的及び信頼性のある乾燥プロセスが要求される。乾燥は、加熱、高純度不活性ガスパージ、及び圧力循環と組み合わせて行われる。乾燥プロセスは、レベルセンサ及びバルブシートを含むアンプル構成要素の最大の許容可能な動作温度を可能とする。本明細書で使用される場合、圧力循環という用語は、調整可能な事前選択された上側圧力に達するまで、陽圧下でパージガスを輸送することを言い表し、その時、圧力を調整可能な事前選択された下側圧力に低減することができる。高圧条件及び低圧条件が、交互の順序で、選択された反復回数繰り返される。
【0061】
ある実施形態は、複数のアンプルを同時に乾燥することができる自動アンプル乾燥システムを含む。図1及び図2に示されるようなシステムの実施形態は、6個のアンプル101、103の2つの堤部において一度に12個のアンプルまで処理することを提供する。複数のアンプル乾燥ボックスは、加熱されたクリーンドライエアの強制対流を使用して外部の加熱を通じてアンプルを乾燥するために、アンプルの1つ又は複数を収容するように提供される。乾燥ボックスは、アンプルを囲う雰囲気中でよく混合された大気を提供するために循環ファン(図示せず)を備えている。強制対流は、加熱されたクリーンドライエアにより提供される。クリーンドライエアとは、アンプル乾燥プロセスに悪影響を及ぼさないように十分に高純度で、周辺以下の含水量を有するエアを意味する。本明細書で使用される場合、クリーンドライエアとしては、乾燥ボックス中で使用されるのに適した任意の高純度かつ低含水量のガス、例えば、限定されないが、窒素が挙げられる。
【0062】
旋回フード又はドア213は、各対流乾燥ボックスの頂部又は側部に取り付けられ、収容されたアンプルの上部バルブマニフォールドにわたって閉鎖するように設計されたフード、及び、収容されたアンプルの空間の前部を閉鎖するように設計されたドアを含み、それにより、好ましくは弾力性シールと共にアンプルの密封可能な囲いを形成して、周辺エアとフード内部のガスとの混合を最小化する。各乾燥ボックス中の制御可能なダンパー(図示せず)のシステムは、各乾燥ボックス内、任意選択で各ボックスの上部フード容積内の混合された雰囲気環境を維持するために、あるパターンで循環エア流を向けることができる。
【0063】
各乾燥ボックスでの温度フィードバック循環で制御可能な加熱部材(図示せず)は、乾燥プロセス中にボックス内に収容されたアンプルを囲う環境において制御可能な上昇した温度を提供することができる。加熱部材は、アンプル及びアンプルマニフォールドバルブシステムの内部からの残留含水量を十分に取り除くために、アンプル温度を上昇させるように設計される。ある実施形態では、乾燥ボックス内で達成される最大温度は、アンプル構成要素の温度制限によって決まる。任意選択で、加熱の制御は、内部温度が安全設定を超えた場合に加熱部材を遮断するための独立センサを有することができる。
【0064】
図3に示されるような実施形態では、乾燥ボックスは、アンプルの温度感応部、例えば、アンプルの頂部の弾性バルブシートをより低い温度領域で分離することができる一方で、アンプルの残部をより高い温度領域で分離して乾燥プロセスを促進することができるように、2つ以上の分離した加熱領域314、316に物理的に分割される。したがって、多くの実施形態において、より低い温度領域がより高い温度領域の上部に位置し、各領域が、分離して制御可能なヒーターを有することが好ましい。
【0065】
加熱された不活性ガス、ベント、及び真空ポンプのシステムは、アンプル及びアンプルマニフォールドバルブシステムの内部から残留含水量を取り除くために十分にアンプルを加熱、洗浄及び圧力循環するための制御可能なバルブ配置を通じて動作させるように設計される。洗浄(パージとも知られる)中に各アンプルを通る好ましい高純度不活性ガスの流量は、0.1〜100標準リットル/分(slpm)である。
【0066】
含水量分析構成要素
図3を参照すると、各アンプル内のパージガスの含水量調査は、乾燥プロセスの完了後に水分感応性分析器344を使用して行われる。含水量分析器は第1の試料ライン342と流体連通しており、当該第1の試料ラインは、制御バルブ340の作動により流出ガスシステム324と選択的に流体連通する。含水量分析器は、好ましくは、1.2体積ppb(十億分率)(ppbv)未満の検出制限まで、不活性ガス流内の残留含水量を検出することができる。適切なモニタは当業者によく知られており、限定されないが、容量センサ、水分感応性振動結晶、及びキャビティーリングダウン分光を挙げることができる。全てのアンプル320は、高純度不活性ガスでパージされ、入口ラインバルブ318及び出口ラインバルブ322を使用して分離されたままである。そして、収容された高純度不活性ガスの含水量調査は、含水量分析器344を使用して行われる。各アンプルは、出口マニフォールド314を通じて一度にアンプル出口ライン322に含水量分析器を開くことで、含水量について個々に調査される。各アンプル320からの試料ガスは、マニフォールド324を通じて含水量分析器344まで流れる。サンプリング中に測定されるピークの含水量レベルは仕様(例えば1ppmv)と比較される。各アンプルについてのデータは、コントローラ(図示せず)により自動的に記録される。含水量分析手順は、以下でより詳細に説明される。
【0067】
脱粒分析構成要素
流れる高純度不活性ガス流出流内に懸濁された粒子の濃度の測定は、少なくとも1つの自動粒子計測器350を使用してなされる。アンプルの構成に応じて、異なるアンプルの流路を通じて複数の測定が可能である。粒子計測器は、制御バルブ346の作動により出口マニフォールド324と選択的に流体連通される第2の試料ライン348と流体流れ連通している。粒子計測器は、好ましくは、高純度不活性ガス流に懸濁された粒子をマイクロメートルサイズの様々な断片まで検出することができる。ある実施形態では、粒子計測の前又は粒子計測の間、アンプルからの粒子の検出を除去及び促進するために、アンプルに機械ショックを付与するための設備を任意選択で利用可能である。各アンプルについてのデータは、コントローラ(図示せず)により自動的に記録される。
【0068】
差圧試験構成要素
差圧試験は、差圧セル356(DPセル)を用いて行われる。アンプルの構成に応じて異なるアンプルの流路を通じて複数の測定が可能となる。DPセル356は、制御バルブ352の作動により出口マニフォールド324と選択的に流体流れ連通する第3の試料ライン354と流体流れ連通している。差圧セル356はまた、各アンプルの入口(図示せず)と選択的に流体流れ連通している。DPセル356は、アンプルを通じて流れる高純度不活性ガスの設定流量で各アンプルの入口と出口との間の圧力差を検出する。差圧セル356は、好ましくは、個々のアンプルを通じて様々なアンプル内部圧力、ガス流量及び温度において1torr程度の圧力差を検出することができる。
【0069】
DPセル356はまた、各アンプル上で、入口バルブと出口バルブとの間の差圧を試験するために使用することができる。バイパスラインを持つアンプルにおいて、当該バイパスラインのみを通る差圧をまた試験することができる。各アンプルについての差圧データは、コントローラ(図示せず)により自動的に記録される。
【0070】
リーク調査構成要素
ヘリウムリーク検出器338は、個々のアンプルの入口バルブ318の作動の際、入口マニフォールド312を通じて各個々のアンプル320に流体流れ連通して選択的に接続される。ある実施形態において、アンプルは、乾燥プロセス及び上述した含水量、粒子、及び差圧試験プロセスの完了後、一度にリーク調査される。入口マニフォールド312及び入口バルブ318は、一度に1つのアンプルと流体流れ連通するためにリーク検出器を開けるように選択的に制御され、堤部の他のアンプルは、入口及び出口で適切に位置したバルブを通じて分離される。真空源は、バルブシールの完全性を検証するため、及びアンプル中への侵入リークについて調査するために、アンプルの一部を排気するように提供される。リーク調査方法は、以下で詳細に説明される。
【0071】
ヘリウムリーク検出プロセスは、10−12atm−cc/秒程度のリークを検出することができる。各アンプルについてのリーク調査データはコントローラ(図示せず)により自動的に記録される。
【0072】
任意の追加構成要素
ある実施形態では、ADACSは、コントローラを使用して電気接続した各アンプルのバルブマニフォールド上の手動作動バルブを開閉することができる自動システムを含む。自動システムは、プログラム化された順序と関連して各アンプル上で各手動バルブを周期的に開閉することができる。開ける及び/又は閉める際のバルブ性能は、所望の位置に達するために要求されるトルク又はトルク調整、所望の位置に達するための回転度の測定、固定軸周りの回転度とトルクの組み合わせにより測定することができる。
【0073】
モニタは、不安全な人的挙動をADACSに警告し、全ての動作部、例えば、上記自動操作の手動作動バルブデバイスに自動停止信号を向けるように設計される。そのようなモニタは、光カーテン、電子眼、動きセンサ、フロア圧力パッド、システムセンサなどを含むことができる。
【0074】
本発明のある実施形態は、各アンプルに関連する固有の識別子(すなわち、バーコード、RFIDタグなど)をスキャンするための手段、並びに、バルブマニフォールドの構成情報及び各アンプルについての試験結果を電子的に保存する手段を提供する。
【0075】
ADACSの使用方法
適切な標準化手順により、圧力循環と組み合わされた加熱された高純度不活性ガス洗浄を使用して含水アンプルを乾燥すること;含水量、脱粒、及び差圧についてアンプルを試験すること;及び繰り返し可能なプログラム化された順序でヘリウムリーク調査を通じて微小リークについてアンプルを調査することについて提供される。
【0076】
プロセスフローは、好ましくは、洗浄されかつ事前乾燥されたアンプルの受領から、アンプル乾燥、アンプル含水量試験、アンプル粒子試験、アンプル差圧試験、アンプルリーク調査に進行する。そして、アンプルは、不合格のアンプルのための再構築操作(本発明の範囲内ではない)のために送られるか、又は成功した処理後アンプルについての高純度製品での再充填(本発明の範囲内ではない)のために送られる。
【0077】
幾つかのアンプルが事前に決定された含水量の仕様を満たさない場合、必要に応じて、乾燥工程を繰り返すことができる。そのような含水量の仕様を満たさない不合格のものは、洗浄及び事前乾燥工程(本発明の範囲内ではない)の後にアンプル内に存在する余分な含水量から生じることがある。
【0078】
幾つかのアンプルは、粒子試験及び/又は差圧試験の仕様を満たさない場合がある。そのような不合格のものは、洗浄工程後に残る余分な残留不純物、並びに/又は、アンプル及び/若しくはマニフォールドバルブでの重大な構造的欠陥から生じることがある。そのような問題は、不合格アンプルの取り外し及び/又は再構築を要することがある。
【0079】
幾つかのアンプルは、ヘリウムリーク調査の仕様を満たさない場合がある。そのような不合格は、周辺雰囲気からのアンプル内部への測定可能なリークを生じさせるアンプルのマニフォールドバルブ及び/又は他の構造的欠陥の不完全な遮断密封から生じる場合がある。そのような問題は、不合格のアンプルの取り外し及び再構築を要することがある。
【0080】
以下の工程は、本発明の装置及び方法を使用して自動的に行われる。好ましいADACS装置の構成要素及び典型的なADACS手順の主要な態様が本明細書に含まれる。
【0081】
アンプル乾燥
図4は、本発明の実施形態に係るアンプル乾燥プロセス400についてのフローダイアグラムを示す。アンプル乾燥は、本発明の装置(ADACS)402において最初にアンプルを導入することで行われる。導入プロセスは、乾燥ボックスの内部に各アンプルを設置することと、ADACSとアンプル間で入口接続部及び出口接続部を作り出すこととを含む。導入された各アンプルのドッキング位置及び設計タイプは、好ましくは各アンプルの固有の識別子、例えばバーコードスキャン又はRFIDタグを通じてコントローラにログインされる。具体的に導入されたアンプルの設計タイプが、固有の識別子の既存データベース内に収容されていない場合は、コントローラはそれを含むようにアップデートすることができる。
【0082】
ソレノイド型パイロットバルブからの空気ラインは、導入の間に全てのアンプルの自動バルブに接続される。任意の不使用の空気ラインのドッキング位置は蓋をされる。次いで、全ての重要なシステム構成要素、手動バルブ位置、及び供給ガス圧の手動の調査が、自動乾燥手順が開始される前になされる。次いで、アンプルは、圧力降下リーク調査を使用して、適切な導入のためにチェックされる404。全ての重大なアンプルリークの警告がオペレータになされる。
【0083】
次いで、全ての導入されたアンプルについて同時に初期の高純度不活性ガスパージが開始される406。次いで、0.1〜100標準リットル/分(slpm)の不活性ガス流を確実にするために、各アンプルが個々に調査される408。オペレータは、この事前設定された流量からの有意な偏差を通知される410、412。そのような偏差は、閉鎖バルブ、アンプル/バルブマニフォールド組立体における構造的欠陥、又はアンプルを通る流路を邪魔する有意な残留固体不純物から生じる場合がある。流れ調査は、全てのアンプルが調査されるまで各アンプルについて繰り返される416。各個々のアンプルの流れ調査が完了した後414、アンプル全てのバルブが同時に開き、アンプル全てを通じた累積の流量が測定される418。
【0084】
高純度不活性ガスの流量は、各アンプルの上流に位置した制限的な流れ開口部、制御バルブ又は質量流れコントローラを使用して制御することができ、電子流れトランスデューサにより監視される。他の適切な流れ調整/監視デバイス、例えば電子流れコントローラをまたこの目的のために使用することができる。
【0085】
次いで、アンプル乾燥ボックス及び全てのアンプルへ流入した高純度不活性ガス流を事前選択した乾燥温度に加熱する420。当該事前選択した温度は、アンプルの温度感応構成要素の許容値に基づき、通常、構成要素の製造業者の仕様又は使用の経験則に基づく。好ましい乾燥温度の範囲は50〜250℃である。
【0086】
次いで、アンプルの圧力循環が開始される422。圧力循環は、操作上の仕様を満たすために、所定の時間で繰り返し可能な方法で、0.1〜7600torr、好ましくは0.5〜3500torr、より好ましくは1〜760torrの範囲で行われる。
【0087】
加熱された圧力循環は、アンプルの乾燥の全時間で継続される。次いで、圧力循環は停止され、アンプルは周辺温度まで冷却される424。冷却は、周辺温度の高純度不活性パージガスをアンプルに通過させることと、アンプルボックスを通じて周辺温度のエアを流すこととを同時に行うことで実施される。次いで、全てのアンプルはアンプルの最大許容動作圧力を超えない任意の圧力に加圧される。アンプルは、好ましくは、0〜200psigに高純度不活性ガスで加圧される。次いで、アンプルは入口ラインバルブ及び出口ラインバルブを使用して分離される。これで乾燥プロセスを終える426。アンプルはADACSに接続されたままであり、含水量分析工程の準備ができている状態となる428。
【0088】
含水量試験
図5は、本発明の実施形態に係る含水量試験プロセス500についてのフローダイアグラムを示す。全てのアンプルは、乾燥プロセスが終わった際に、高純度不活性ガス圧力及び周辺又はわずかに高い温度下で分離されたままである。ADACSに対する全てのアンプルの入口接続部及び出口接続部は接続されたままである。各アンプルに収容される高純度不活性ガスの含水量調査は、水分感応分析器を使用して各アンプル上で連続して行われる530。各アンプルは、一度に含水量分析器にアンプルベントラインを開けることで含水量について個々に調査される532。ピークが観測されるまで、各アンプルからの試料ガスは含水量分析器に流れる534。分析時間中に測定されるピーク含水量レベルは仕様と比較される。各アンプルについてのデータはコントローラにより自動的に記録される。ADACSに導入された各アンプルについて含水量分析プロセスが繰り返される536。含水量分析が全てのアンプル上で行われた後、アンプルは0psigに減圧され、高純度不活性ガスを使用して、外部放出水分がなくなるように洗浄し、含水量分析を完了する538。アンプルはADACSに接続されたままであり、粒子分析工程の準備ができている状態となる540。
【0089】
脱粒分析
図6は、本発明の実施形態に係る脱粒分析プロセス600についてのフローダイアグラムを示す。DPセルと流体連通してアンプル出口を接続するようにADACSを構成することで644、脱硫速度のためにアンプルを個々に及び連続して試験する642。高純度不活性ガスは選択された流量で一度に各アンプルを通過する。好ましくは、その流量は0.1〜100slpmである。流れる不活性ガス流出流中の懸濁粒子の濃度の測定は、少なくとも1つの自動粒子計測器を使用してなされる646。分析は、標準化されかつ一貫した結果のために正確であるように事前決定された時間の間で行われる。好ましい分析時間は5〜15分間である。粒子計測器は、好ましくは、マイクロメートルサイズの様々な断片まで不活性ガス流内の懸濁粒子を検出することができる。脱粒分析プロセスは、ADACSに導入された各アンプルについて繰り返される652。脱硫分析が全てのアンプル上で行われた648後、アンプルは差圧分析に進むための準備ができている状態となる。
【0090】
差圧試験
図7は、本発明の実施形態に係る差圧試験プロセス700についてのフローダイアグラムを示す。各アンプルは、差圧セルを使用して固定条件のガス流下で差圧について調査される756。ADACSは、アンプルに流体流れ連通したDPセルを設置するように構成される758。この計器は、各アンプルの基部又は各アンプルのバイパスラインを通じて流れる高純度不活性ガスの圧力降下を高精度で測定する759。所定圧力、例えば0psigでの高純度不活性ガスは、設定流量で一度に各アンプルを通過する。好ましくは、流量は0.1〜100slpmである。差圧分析は各アンプルについて連続的に繰り返される764。各アンプルについてのデータはコントローラにより自動的に記録される。全てのアンプルが試験された場合、差圧分析プロセスは終了し762、アンプルはADACSに接続されたままであり、ヘリウムリーク調査プロセス進むための準備ができている状態となる766。
【0091】
上述の工程において含水量、清浄度、又は差圧についての試験に不合格であったアンプルは、この時点で、再洗浄、再乾燥、又は再動作のためにADACSから取り除かれることがある。好ましくは、上述の品質試験全てを合格したアンプルがヘリウムリーク調査のためにADACSに残される。
【0092】
アンプルリーク調査
図8は、本発明の実施形態に係るアンプルリーク調査プロセス800についてのフローダイアグラムを示す。乾燥プロセス中のアンプルの加熱により、接続部の膨張/収縮が生じる。管及び継手に生じた負荷は、粗悪なリークの成長をもたらす場合がある。真空崩壊調査は、一度に各アンプルの接続部で行われる。ADACSは、第1のアンプルの入口ポートと流体流れ連通するようにヘリウムリーク検出器ステーションを構成する868。アンプル入口の継手は、ヘリウムリーク検出器ステーションを使用して排気される870。アンプル出口(ベント)の継手は、スクロール型真空ポンプを使用して排気される。次いで、接続部での真空は、電子圧力トランスデューサを使用して調査される。検出された接続部でのあらゆる粗悪なリークは、コントローラによりオペレータに報告される。
【0093】
アンプルボックスは、インボードリークについて調査するためにヘリウムで満たされる872。アンプルを囲い、リーク試験に適する環境における好ましいガス混合物は、空気中に1体積%以上のヘリウムを含んだものである。インボードリーク調査分析は、各アンプルについて連続的に繰り返される878。各アンプルについてのデータはコントローラにより自動的に記録される。全てのアンプルが試験された場合、インボードリーク調査分析が完了する。
【0094】
次いで、クリーンドライエア洗浄を使用してアンプルボックスからヘリウムを取り除く876。自動バルブマニピュレータは、このプログラム化された順序の間に手動のアンプルバルブを開く/閉じるために使用することができる。自動バルブは、コントローラにより自動的に開かれる/閉じられる。全ての試験点は、適切なヘリウムリーク検出器ステーションを使用して10−12atm−cc/秒程度のリーク速度まで測定される。各アンプルについてのデータはコントローラにより自動的に記録される。
【0095】
次いで、アンプルは、高純度ヘリウムガスを使用して精密なリークについて調査される880。リーク調査は、一度に各アンプル上で行われる。試験は各アンプルについて繰り返される886。高純度ヘリウムはアンプルの出口(ベント)ライン接続部に導入され、一度に、閉鎖したアンプルマニフォールドバルブの適切な密封について調査する。調査プロセスは、プログラム化された順序で行われる。全てのアンプルが試験された場合、貫通バルブリーク調査プロセスは完了する882。
【0096】
アンプルの基部は真空下に置かれたままである。次いで、アンプルはADACSから取り除くことができ884、ADACSシステムはシャットダウンされる890。リーク調査が不合格であった不良アンプルは再構築プロセスに向けられる。ADACSにより全ての品質試験を成功して合格したアンプルは再利用に向けられる。
【0097】
本発明の原理を好ましい実施形態と関連して上で説明してきたが、この説明は例示のみのためになされたものであり、本発明の範囲を限定するものとしてなされたものでないことが明確に理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】
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