【解決手段】CMP研磨組成物は、セリアコートシリカ等のセリアコート無機酸化物粒子の研磨材と;調節可能な酸化物膜除去速度及び調節可能なSiN膜除去速度を提供するための2重の化学添加剤とを含む。化学添加剤は、少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物と、1つより多くのヒドロキシル官能基有機を有する少なくとも1種の非イオン性有機分子とを含む。
前記セリアコート無機酸化物粒子が、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア粒子及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記粒子が、0.01質量%〜20質量%、0.05質量%〜10質量%、及び0.1質量%〜5質量%からなる群から選択される範囲にて組成物中に存在する、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
前記セリアコート無機酸化物粒子が、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア粒子及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記粒子の濃度が、0.01質量%〜2.00質量%、0.025質量%〜1.0質量%、及び0.05質量%〜0.5質量%からなる群から選択される濃度範囲にて存在する、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
前記少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物が、0.0001質量%〜2.0質量%、0.001質量%〜1.0質量%、及び0.0025質量%〜0.25質量%からなる群から選択される濃度において組成物中に存在し、前記少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物が、
【化1】
(式中、
R
1は、水素、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
R
2は存在してもしなくてもよく;
R
2は、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。);
【化2】
(式中、
R
3は、水素、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
R
4は存在してもしなくてもよく、存在する場合、R
4は、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。);
【化3】
(式中、
R
5は存在してもしなくてもよく;R
5は、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。);
【化4】
(式中、
R
6は存在してもしなくてもよく;R
6は、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。);
【化5】
(式中、
R
7は存在してもしなくてもよく;R
7は、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。);
及び
(f)これらの組み合わせ
を含む群から選択される一般分子構造を有する、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
前記組成物が、0.0001質量%〜0.05質量%のバイオサイドをさらに含み、前記バイオサイドが5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−メチル−−イソチアゾリン−3−オンを含む、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
前記組成物が0質量%〜1質量%のpH調節剤をさらに含み、前記pH調節剤が、酸性pH条件について、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸及びこれらの混合物からなる群から選択されるか;アルカリ性pH条件について、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキル水酸化アンモニウム、有機水酸化第4級アンモニウム化合物、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
セリアコートコロイダルシリカを含み、前記少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物が、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、2−アミノベンズイミダゾール及びその誘導体、アミトロール及びその誘導体、トリアゾール及びその誘導体、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択され;前記1つより多くのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の非イオン性有機分子が、ズルシトール、D−ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【発明の概要】
【0002】
本発明の背景
本発明は、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスのためのSTI CMP化学研磨組成物及び化学機械平坦化(CMP)に関する。
【0003】
マイクロエレクトロニクスデバイスの製造において、含まれる重要な工程は、研磨、特に選択された材料を回収し、及び/又は構造を平坦化するための化学機械研磨に関する表面の研磨である。
【0004】
例えば、SiN層は、研磨停止層として働くように、SiO
2層の下に堆積する。係る研磨停止の働きは、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造において特に重要である。選択性は、酸化物研磨速度と窒化物研磨速度の比として特徴的に表現される。例は、窒化ケイ素(SiN)と比較した二酸化ケイ素(SiO
2)の調節可能な研磨選択性である。
【0005】
パターン化STI構造の全体的な平坦化において、SiN膜除去速度の調節及び酸化物トレンチディッシングの調節は、考慮される2つの重要な要素である。より低いトレンチ酸化物損失は、隣接したトランジスタ間に漏れる電流を防止する。ダイにわたる(ダイ内の)不均一なトレンチ酸化物損失はトランジスタ性能及びデバイス歩留まりに影響する。深刻なトレンチ酸化物損失(高い酸化物トレンチディッシング)は、トランジスタの絶縁を悪くし、デバイス障害をもたらす。したがって、STI CMP研磨組成物において酸化物トレンチディッシングの低減により、トレンチ酸化物損失を低減することも重要である。
【0006】
米国特許第5,876,490号は、研磨材粒子を含有し、法線応力効果を示す研磨組成物を開示する。スラリーはさらに非研磨粒子を含有し、研磨材粒子が高台で高い研磨速度を維持する一方で、凹部(リセス)で低減された研磨速度をもたらす。これは改善された平坦化をもたらす。より具体的には、スラリーは酸化セリウム粒子及び高分子電解質を含み、シャロートレンチアイソレーション(STI)研磨応用に用いることができる。
【0007】
米国特許第6,964,923号は、シャロートレンチアイソレーション(STI)研磨応用のための酸化セリウム粒子及び高分子電解質を含有する研磨組成物を教示する。用いられる高分子電解質は、米国特許第5,876,490号におけるものと類似したポリアクリル酸の塩を含む。セリア、アルミナ、シリカ及びジルコニアは研磨材として用いられる。係る示された高分子電解質の分子量は300〜20,000であり、ただし全体で<100,000である。
【0008】
米国特許第6,616,514号は、化学機械研磨により、窒化ケイ素に優先して物品の表面から第1の物質を除去するのに使用される化学機械研磨スラリーを開示する。この発明による化学機械研磨スラリーは、研磨材と、水性媒体と、プロトンが解離しない有機ポリオールとを含み、前記有機ポリオールは、水性媒体中で解離性でない少なくとも3つのヒドロキシル基を有する化合物、又は水性媒体中で解離性でない少なくとも3つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のモノマーから形成されたポリマーを含む。
【0009】
米国特許第6,984,588号は、3超のpHにおいて溶解性セリウム化合物を含む化学機械研磨組成物、並びに集積回路及び半導体の製造中にシングルステップにおいて窒化シリコン膜層に優先して選択的に酸化ケイ素過充填を研磨する方法を開示する。
【0010】
米国特許第6,544,892号は、研磨パッドと、水と、研磨材粒子と、カルボン酸官能基とアミン及びハロゲン化物から選択された第2の官能基の両方を有する有機化合物とを用いて表面を研磨することを含む化学機械研磨により、物品の表面から窒化ケイ素に優先して二酸化ケイ素を除去する方法を開示する。
【0011】
米国特許第7,247,082号は、研磨材、pH調節剤、選択比の向上剤、及び水を含む研磨組成物であって、研磨組成物の質量に基づいて、研磨材が0.5〜30質量%の量で含有され、pH調節剤が0.01〜3質量%の量で含有され、選択比の向上剤が0.3〜30質量%の量で含有され、水が45〜99.49質量%の量で含有され、向上剤がメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン、6−(ジメチルアミノ)−1−ヘキサノール、ビス(3−アミノプロピル)アミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ピペラジン、及びピペリジンからなる群から選択される1種又はそれより多くの化合物である研磨組成物を開示する。
【0012】
米国特許第8,778,203号は、基材の表面上の標的材料を選択的に除去する方法を開示する。方法は、標的材料及び非標的材料を含む基材を与える工程;所定の溶存酸素濃度を達成するように研磨溶液に酸素を溶解させる工程であって、研磨溶液は約5〜約11のpHを有し、研磨溶液は複数の研磨材シリカ粒子を含み、前記複数の研磨材シリカ粒子の少なくとも幾つかは、n−(トリメトキシシリルプロピル)イソチオロニウムクロリドで官能化されている工程;前記研磨溶液に連続的に実質的に純粋な酸素を適用することにより、約8.6mg/L〜約16.6mg/Lにて、又は約8.6mg/L〜約16.6mg/Lで前記研磨溶液の所定の溶存酸素濃度を維持する工程;研磨パッド及び表面の間に研磨溶液を配置する工程;表面に研磨パッドを適用する工程;及び選択的に、標的材料の所定厚さを除去する工程を含み;研磨溶液の溶存酸素含有量を変えることにより、除去工程中の標的材料対非標的材料の除去比が変化する。
【0013】
米国特許第6,914,001号は以下を含む化学的機械研磨方法を開示する:半導体ウェハの表面と研磨パッドの表面とを接触させること;研磨パッドの表面及び半導体ウェハの表面間のインターフェイスに、研磨材粒子と、除去速度促進剤と、異なる第1及び第2のパッシベーション剤とを含有する水溶液を供給すること、ただし第1のパッシベーション剤はアニオン性、カチオン性又は非イオン性界面活性剤である;及び研磨パッドの表面に対して半導体ウェハの表面を回転させて、半導体ウェハ上の酸化物材料を除去すること。
【0014】
しかしながら、これらの先に開示されたシャロートレンチアイソレーション(STI)研磨組成物は、調節可能な酸化物対窒化物選択性とともに、酸化物膜除去速度の調節、SiN膜除去速度の調節及び酸化物トレンチディッシングの低減、及び研磨されたパターン化ウェハ上のより均一な酸化物トレンチディッシングの重要性に対処しなかった。
【0015】
したがって、STI化学機械研磨(CMP)プロセスにおいて、調節可能な酸化物膜除去速度、調節可能なSiN膜除去速度及び低減された酸化物トレンチディッシング及びパターン化ウェハの研磨時の種々のサイズの酸化物トレンチ特徴にわたるより均一な酸化物トレンチディッシングを与えることができるSTI化学機械研磨の組成物、方法及び装置に対する分野内の必要が依然としてあることは、上記から容易に明らかになるはずである。
【0016】
本発明の概要
本発明は、セリアコート無機酸化物研磨材の相対的な低濃度の使用により、調節可能な酸化物膜除去速度、調節可能なSiN膜除去速度及び調節可能なTEOS:SiN選択性及び研磨されたパターン化ウェハ上の低減された酸化物トレンチディッシングのためのSTI CMP研磨組成物を提供する。
【0017】
本発明のSTI CMP研磨組成物は、酸性、中性及びアルカリ性のpH条件を含む広いpH範囲でのシャロートレンチアイソレーション(STI)CMP応用のための化学機械研磨(CMP)組成物において、酸化物及びSiN膜除去速度の調節、並びに酸化物トレンチディッシングの低減のための2重の化学添加剤を導入することにより、調節可能な酸化物対窒化物選択性を提供する。
【0018】
シャロートレンチアイソレーション(STI)CMP応用のための開示した化学機械研磨(CMP)組成物は、セリアコート無機酸化物研磨材粒子と、酸化物膜及び窒化物膜除去速度調節剤、並びに酸化物トレンチディッシング低減剤としての適切な2重の化学添加剤とを用いることの独特の組み合わせを有する。
【0019】
1つの側面において、少なくとも1種のセリアコート無機酸化物粒子;少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物;1つより多くのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の非イオン性有機分子;少なくとも1種の溶媒;及び任意選択的に、バイオサイド;及び任意選択的に、少なくとも1種のpH調節剤を含み、2〜12のpHを有する、化学機械研磨組成物が提供される。
【0020】
別の側面において、次の工程を含む酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材の化学機械研磨(CMP)の方法が提供される:半導体基材を与える工程;研磨パッドを与える工程;少なくとも1種のセリアコート無機酸化物粒子;少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物;1つより多くのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の非イオン性有機分子;少なくとも1種の溶媒;及び任意選択的に、バイオサイド;及び任意選択的に、少なくとも1種のpH調節剤を含み、2〜12のpHを有する化学機械研磨(CMP)組成物を与える工程;半導体基材の表面を研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触させる工程;及び二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を研磨する工程。
【0021】
さらに別の側面において、半導体基材;少なくとも1種のセリアコート無機酸化物粒子;少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物;1つより多くのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の非イオン性有機分子;少なくとも1種の溶媒;及び任意選択的に、バイオサイド;及び任意選択的に、少なくとも1種のpH調節剤を含み、2〜12のpHを有する化学機械研磨(CMP)組成物;研磨パッドを含み、酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面が研磨パッド及び化学機械研磨組成物に接している、酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材の化学機械研磨(CMP)の装置が提供される。
【0022】
研磨される酸化物膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、又はスピンオン酸化物膜であることができる。
【0023】
上記に開示された基材は、窒化ケイ素表面をさらに含むことができる。SiO
2:SiNの除去選択性は、関連するSTI CMP応用要求に応じて調節可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
パターン化STI構造の全体的な平坦化において、SiN除去速度の調節、種々のサイズの酸化物トレンチ特徴にわたる酸化物トレンチディッシングの低減、酸化物膜除去速度の調節、及び研磨材として相対的に低濃度のセリアコート無機酸化物粒子を用いることは考慮される重要な要素である。
【0025】
より低いトレンチ酸化物損失は、隣接したトランジスタ間に漏れる電流を防止する。ダイにわたる(ダイ内の)不均一なトレンチ酸化物損失はトランジスタ性能及びデバイス歩留まりに影響する。深刻なトレンチ酸化物損失(高い酸化物トレンチディッシング)は、トランジスタの絶縁を悪くし、デバイス障害をもたらす。したがって、STI CMP研磨組成物において酸化物トレンチディッシングの低減によってトレンチ酸化物損失を低減することは重要である。
【0026】
本開発は、シャロートレンチアイソレーション(STI)CMP応用のための、化学添加剤と、研磨材としてセリアコート複合粒子とを用いる化学機械研磨(CMP)組成物に関する。
【0027】
より具体的には、シャロートレンチアイソレーション(STI)CMP応用のための開示した化学機械研磨(CMP)組成物は、セリアコート無機酸化物無機酸化物研磨材粒子と、酸化物膜除去速度調節、酸化物トレンチディッシング低減及び窒化物除去速度調節のための2重の化学添加剤として2種類の化学添加剤とを用いる独特の組み合わせを有する。
【0028】
同じSTI CMP研磨組成物中で用いられる2重の化学添加剤は、望ましい酸化物膜除去速度、調節可能なSiN膜除去速度、及び調節可能な酸化物:SiN選択性を達成し、より重要なことには、著しく低減された酸化物トレンチディッシングを提供し、パターン化ウェハの研磨時の過研磨ウィンドウ安定性を改善するという利益を提供する。
【0029】
(本開示で型Iとも呼ばれる)第1の化学添加剤は、例えば、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、2−アミノベンズイミダゾール及びその誘導体、アミトロール及びその誘導体、並びにトリアゾール及びその誘導体等の少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物を含む。
【0030】
(本開示で型IIとも呼ばれる)第2の化学添加剤は、1つより多くのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の非イオン性有機分子を含む。
【0031】
1つの側面において、少なくとも1種のセリアコート無機酸化物粒子;少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物;1つより多くのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の非イオン性有機分子;少なくとも1種の溶媒;及び任意選択的に、バイオサイド;及び任意選択的に、少なくとも1種のpH調節剤を含み、2〜12のpHを有する、STI CMP研磨組成物が提供される。
【0032】
セリアコート無機酸化物粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア、又は任意の他のセリアコート無機酸化物粒子が挙げられる。
【0033】
本開示に開示した発明におけるこれらのセリアコート無機酸化物粒子の粒子サイズは、10nm〜1,000nmの範囲であり、好ましい平均粒子サイズは20nm〜500nmの範囲であり、より好ましい平均粒子サイズは50nm〜250nmの範囲である。
【0034】
幾つかの実施態様において、これらのセリアコート無機酸化物粒子の濃度は0.01質量%〜20質量%の範囲であり、好ましい濃度は0.05質量%〜10質量%の範囲であり、より好ましい濃度は0.1質量%〜5質量%の範囲である。
【0035】
他の幾つかの実施態様において、これらのセリアコート無機酸化物粒子の濃度は0.01質量%〜2質量%の範囲であり、好ましい濃度は0.025質量%〜1.0質量%の範囲であり、より好ましい濃度は0.05質量%〜0.5質量%の範囲である。
【0036】
好ましいセリアコート無機酸化物粒子はセリアコートコロイダルシリカ粒子である。
【0037】
溶媒としては、以下に制限されるものではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒が挙げられる。
【0039】
STI CMP組成物は0.0001質量%〜0.05質量%;好ましくは0.0005質量%〜0.025質量%、より好ましくは0.001質量%〜0.01質量%のバイオサイドを含有することができる。
【0040】
バイオサイドとしては、以下に制限されるものではないが、Dupont/Dow Chemical Co.からの、Kathon
TM、Kathon
TMCG/ICP II、Dupont/Dow Chemical Co.からのBiobanが挙げられる。それらは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの活性成分を有する。
【0041】
STI CMP組成物はpH調節剤を含有することができる。
【0042】
酸性又は塩基性のpH調節剤を用いて、最適化されたpH値にSTI研磨組成物を調節することができる。
【0043】
pH調節剤としては、以下に制限されるものではないが、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
pH調節剤としては、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキル水酸化アンモニウム、有機水酸化第4級アンモニウム化合物、有機アミン、及びよりアルカリ性の方向に向けてpHを調節するのに用いることができる他の化学試薬等の塩基性のpH調節剤も挙げられる。
【0045】
本開示に開示した組成物のpHは、2〜12、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜9の範囲であることができる。
【0046】
STI CMP組成物は、0質量%〜1質量%、好ましくは0.01質量%〜0.5質量%、より好ましくは0.1質量%〜0.25質量%のpH調節剤を含有する。
【0047】
STI CMP組成物は、0.0001質量%〜2.0質量%、好ましくは0.001質量%〜1.0質量%、好ましくは0.0025質量%〜0.25質量%の、主に酸化物膜除去速度及びSiN膜除去速度を調節し、かつ酸化物トレンチディッシングを低減するように機能する化学添加剤としての少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物を含有する。
【0048】
STI CMP組成物は、0.001質量%〜2.0質量%、好ましくは0.0025質量%〜1.0質量%、好ましくは0.05質量%〜0.5質量%の、主にSiN膜除去速度及び酸化物膜除去速度調節剤、並びに酸化物トレンチディッシング低減剤として機能する、1つより多くのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の非イオン性有機分子も含有する。
【0049】
型Iの化学添加剤は、少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物を有する。
【0050】
本開示に開示した窒素含有芳香族複素環式化合物は、典型的には以下を含む群から選択される一般分子構造を有する:
【化1】
(式中、
R
1は、水素、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
R
2は存在してもしなくてもよく;R
2は、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。);
【化2】
(式中、
R
3は、水素、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
R
4は存在してもしなくてもよく;存在する場合、R
4は、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。);
【化3】
(式中、
R
5は存在してもしなくてもよく;R
5は、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。);
【化4】
(式中、
R
6は存在してもしなくてもよく;R
6は、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。);
【化5】
(式中、
R
7は存在してもしなくてもよく;R
7は、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖を有するアルコキシ基、1つ又は複数の炭素炭素二重結合を有するアルケン基、1つ又は複数の炭素炭素三重結合を有するアルキン基、第一級アミン基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、カチオン性有機第四級アンモニウム基、−COOH、−SO
3H、−H
2PO
4、−COOR’、−COOM(M=Na+、K+又はNH
4+)、−SO
3M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−HPO
4M(M=Na+、K+又はNH
4+)、−PO
4M
2(M=Na+、K+又はNH
4+)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。);及び
これらの組み合わせ。
【0051】
R
1が水素原子であり、かつ、R
2が構造(a)中に存在しない場合、有機芳香族複素環式化合物はベンゾトリアゾールである。
【0052】
R
1が水素原子以外の有機官能基であり、かつ、R
2が構造(a)中のベンゼン環上の−4、−5、6、又は−7の任意の位置で結合した別の有機官能基である場合、有機芳香族複素環式化合物はベンゾトリアゾールの誘導体分子である。
【0053】
R
3が水素原子であり、かつ、R
4が構造(b)中に存在しない場合、有機芳香族複素環式化合物は2−アミノベンズイミダゾールである。
【0054】
R
3が水素原子以外の有機官能基であり、かつ、R
4が構造(b)中のベンゼン環上の−4、−5、6、又は−7の任意の位置で結合した別の有機官能基である場合、有機芳香族複素環式化合物は2−アミノベンズイミダゾールの誘導体分子である。
【0055】
R
5が構造(c)中に存在しない場合、有機芳香族複素環式化合物は1,2,3−トリアゾールである。
【0056】
R
5が構造(c)中の1,2,3−トリアゾール環上の−4又は−5の任意の位置で結合した有機官能基である場合、有機芳香族複素環式化合物は1,2,3−トリアゾールの誘導体分子である。
【0057】
R
6が構造(d)中に存在しない場合、有機芳香族複素環式化合物は1,2,4−トリアゾールである。
【0058】
R
6が構造(d)中の1,2,4−トリアゾール環上の−3又は−5の任意の位置で結合した有機官能基である場合、有機芳香族複素環式化合物は1,2,4−トリアゾールの誘導体分子である。
【0059】
R
7が構造(e)中に存在しない場合、有機芳香族複素環式化合物は3−アミノ−1,2,4−トリアゾール又はアミトロールである。
【0060】
R
7が構造(e)の中の3−アミノ−1,2,4−トリアゾール環上の位置−5で結合した有機官能基である場合、有機芳香族複素環式化合物は3−アミノ−1,2,4−トリアゾールの誘導体分子である。
【0061】
分子中にヘテロ原子として窒素原子を有する有機芳香族複素環式化合物としては、以下に制限されるものではないが、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、2−アミノベンズイミダゾール及びその誘導体、アミトロール及びその誘導体、トリアゾール及びその誘導体、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
好ましい第1の型の化学添加剤としては、以下に制限されるものではないが、これらの分子中にヘテロ原子として窒素原子を有する有機芳香族複素環式化合物、例えば、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、2−アミノベンズイミダゾール及びその誘導体、アミトロール及びその誘導体、トリアゾール及びその誘導体が挙げられる。
【0063】
型IIの化学添加剤は、以下からなる群から選択される一般分子構造を有する1つより多くのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の非イオン性有機分子である。
【化6】
【0064】
一般分子構造(a)において、nは2〜5,000、好ましくは3〜12、より好ましくは4〜6から選択される。
【0065】
これらの一般分子構造において;R
1、R
2、及びR
3基は同じか異なる原子又は官能基であることができる。
【0066】
R
1、R
2、及びR
3は、水素、アルキル基C
nH
2n+1(nは1〜12、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3である。)、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ;少なくとも2つは水素原子である。
【0067】
別の実施態様において、型II化学添加剤は以下に示される一般構造を有する。
【化7】
【0068】
この構造において、1つの―CHO官能基は末端官能基として分子の1つの端部に位置する;nは2〜5,000、3〜12、及び好ましくは4〜7から選択される。
【0069】
R
1及びR
2の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができる。
【0070】
さらに別の実施態様において、型II化学添加剤は、少なくとも1つの(c)、少なくとも1つの(d)、少なくとも1(e)及びこれらの組み合わせを含む群から選択される分子構造を有する。
【化8】
【0071】
これらの一般分子構造において;R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、及びR
14は同じか異なる原子又は官能基であることができる。
【0072】
それらは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ;それらのうちの少なくとも2つ又はそれより多く、好ましくは4つ又はそれより多くは水素原子である。
【0073】
さらに、別の実施態様において、型IIの化学添加剤は、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位と結合した少なくとも1つの六員環構造モチーフエーテルを含有するか、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位と、少なくとも1つの六員環ポリオールとを含有する。ポリオールはヒドロキシル基を含有する有機化合物である。
【0074】
化学添加剤に関する一般分子構造は(f):
【化9】
に示される。
【0075】
構造(f)において、一般分子構造(f)中のR
1〜R
5の基における少なくとも1つのRは、(i):
【化10】
(式中、n及びmは同じか異なることができる。m又はnは1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2から独立して選択され;R
6〜R
9は、同じか異なる原子又は官能基であることができ;R
6、R
7、R
8、及びR
9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され;それらのうちの少なくとも2つは水素原子である。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり;
R
1〜R
5の基における各Rの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、(ii):
【化11】
(式中、構造(ii)は、(ii)におけるR
11〜R
14から1つのRを除去することにより、酸素炭素結合を介して構造(f)に結合され、残りのR
10〜R
14の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。)に示される構造を有する六員環ポリオール;及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができる。
【0076】
幾つかの実施態様において、一般分子構造(f)において、R
1〜R
9の基におけるRのうちの少なくとも2つ、少なくとも4つ、又は少なくとも6つは水素原子である。したがって、化学添加剤はその分子構造中に少なくとも2つ、少なくとも4つ、又は少なくとも6つのヒドロキシル官能基を含有する。
【0077】
型II化学添加剤の例は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、リビトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−アラビノース、L−アラビノース、D−マンノース、L−マンノース、meso−エリトリトール、β−ラクトース、アラビノース、及びこれらの組み合わせを含む。好ましい化学添加剤はマルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−(+)−マンノース、β−ラクトース、及びこれらの組み合わせである。より好ましい化学添加剤はマルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、ベータラクトース及びこれらの組み合わせである。
【0078】
幾つかの実施態様において、CMP研磨組成物を2つ又はそれより多くの成分とし、使用の時点で混合することができる。
【0079】
型II化学添加剤の幾つかの例は以下に示される:
【化12】
【0080】
好ましい第1の型の化学添加剤はベンゾトリアゾール及びその誘導体、2−アミノベンズイミダゾール及びその誘導体、アミトロール及びその誘導体、トリアゾール及びその誘導体である。
【0081】
好ましい第2の型の化学添加剤はD−ソルビトール、ズルシトール、マルチトール、及びラクチトールである。
【0082】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)の方法が提供される。
【0083】
さらに別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)の装置が提供される。
【0084】
研磨される酸化物膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、又はスピンオン酸化物膜であることができる。
【0085】
上に開示された基材は、窒化ケイ素表面をさらに含むことができる。SiO
2:SiNの除去選択性は、STI CMP応用要求に応じて調節可能である。
【0086】
以下の非限定的な例はさらに本発明を示すために示される。
【0087】
例
CMP方法論
以下に示される例において、CMP実験は、以下に与えられる手順及び実験条件を用いて実施された。
【0088】
用語/成分
セリアコートシリカ:約100ナノメートル(nm)の粒子サイズを有する研磨材として用いられる;係るセリアコートシリカ粒子は、約20ナノメートル(nm)〜500ナノメートル(nm)の範囲の粒子サイズを有することができる;
【0089】
(種々のサイズを有する)セリアコートシリカ粒子は、日本のJGCC Inc.によって供給された。
【0090】
例えばベンゾトリアゾール及びその誘導体、2−アミノベンズイミダゾール及びその誘導体、アミトロール及びその誘導体、トリアゾール及びその誘導体等の窒素含有芳香族複素環式化合物、マルチトール、D−フルクトース、ズルシトール、D−ソルビトール等の化学添加剤、及び他の化学原料物質は、Sigma−Aldrich,St.Louis,MOによって供給されたか、Allentown,PAのEvonik Industriesによって供給された。
【0091】
TEOS:テトラエチルオルトシリケート
【0092】
研磨パッド:研磨パッド、すなわちIC1010及び他のパッドは、CMP中に用いられ、Dow Inc.により供給された。
【0093】
パラメータ
一般
Å又はA:オングストローム−長さの単位
【0095】
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
【0097】
DF:下向き力:CMP中に適用される圧力、psi単位
【0102】
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、rpm(回転数毎分)
【0104】
質量%:(示された成分の)質量パーセント
【0105】
TEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)
【0107】
TEOS又はHDPの除去速度:所与の下向き圧力にて測定されたTEOS又はHDP除去速度。CMPツールの下向き圧力は以下に示された例において3.0psiだった。
【0108】
SiN除去速度:所与の下向き圧力にて測定されたSiN除去速度。CMPツールの下向き圧力は以下に示された例において3.0psiだった。
【0109】
計測
膜は、Creative Design Engineering,Inc,20565Alves Dr.,Cupertino,CA,95014よって製造されたResMap CDE、モデル168を用いて測定された。ResMapツールは四探針シート抵抗ツールである。膜について、5mmの端部除外にて49点の直径走査を行った。
【0110】
CMPツール
用いられたCMPツールは、Applied Materials,3050Boweres Avenue,Santa Clara,California,95054によって製造された200mmのMirra、又は300mmのReflexion である。DOW,Inc,451Bellevue Rd.,Newark,DE19713によって供給されたIC1000パッドを、ブランケット及びパターンウェハ研究に関してプラテン1上で用いた。
【0111】
IC1010パッドは、コンディショナー上で7lbsの下向き力にて18分間パッドをコンディショニングすることにより調整された。ツールの設定及びパッド調整を適格とするために、2つのタングステンモニター及び2つのTEOSモニターが、Versum Materials Inc.によって供給されたVersum(登録商標)STI2305組成物により、ベースライン条件で研磨された。
【0112】
ウェハ
研磨実験は、PECVD又はLECVD又はHD TEOSウェハを用いて行なわれた。これらのブランケットウェハは、Silicon Valley Microelectronics,2985Kifer Rd.,Santa Clara,CA95051から購入された。
【0113】
研磨実験
ブランケットウェハ研究において、酸化物ブランケットウェハ及びSiNブランケットウェハは、ベースライン条件で研磨された。ツールベースライン条件は次のとおりだった:テーブル速度;87rpm、ヘッド速度:93rpm、メンブレン圧力;3.1psiDF、スラリー流速:200ml/分。
【0114】
組成物は、SWK Associates,Inc.2920Scott Blvd.Santa Clara CA95054によって供給されたパターン化ウェハ(MIT860)上での研磨実験に用いられた。これらのウェハはVeeco VX300 profiler/AFM装置で測定された。3つの異なるサイズのピッチ構造が、酸化物ディッシング測定に用いられた。ウェハは中心、中間、及び端部のダイ位置で測定された。
【0115】
STI CMP研磨組成物から得られたTEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)は調節可能だった。
【0116】
以下の実施例において、0.2質量%のセリアコートシリカ、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、0.188質量%のD−ソルビトール及び脱イオン水を含むSTI研磨組成物が、pH5.35にて参照として調製された。
【0117】
研磨実施例組成物は、種々の質量%のセリアコートシリカ、種々の質量%のD−ソルビトール、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、種々の質量%の有機複素環式芳香族化合物、及び脱イオン水を用いて同じか異なるpH条件にて調製された。
【0118】
例1
例1において、酸化物研磨に用いられた研磨組成物は、表1に示された。
【0119】
実施例試料は、それぞれ0.2質量%のセリアコートシリカ、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、0.188質量%のD−ソルビトール、種々の質量%の2−アミノベンズイミダゾール又は0.05質量%のアミトロール、及び脱イオン水用いてpH5.35にて製造された。
【0120】
異なる膜について除去速度(RR、Å/min)が試験された。2重の化学添加剤、D−ソルビトール及び2−アミノベンズイミダゾール、又はD−ソルビトール及びアミトロールの膜除去速度への効果が観察され、表1に示された。
【表1】
【0121】
表1に示される結果のように、2重の化学添加剤研磨組成物を有するための研磨組成物中への異なる濃度の2−アミノベンズイミダゾール又はアミトロールの添加は、PECVD及びLPCVDの両方のSiN膜除去速度を効率よく加速した。
【0122】
研磨組成物中の2重の化学添加剤により、高く、望ましいTEOS及びHDP膜除去速度が得られた。
【表2】
【0123】
2重の化学添加剤に基づいた研磨組成物を形成するために2−アミノベンズイミダゾール又はアミトロールを用いることによるPECVD SiN及びLPCVD SiN膜除去速度の増加に対する加速効果は、表2に示された。
【0124】
表2に示される結果のように、研磨組成物中へ異なる濃度の2−アミノベンズイミダゾール又はアミトロールを添加して、2重の化学添加剤に基づいた研磨組成物を形成することにより、大幅な割合でPECVD及びLPCVDの両方のSiN膜除去速度が効率よく加速し、SiN膜除去速度が調節可能となった。
【0125】
例2
例2において、酸化物研磨に用いられた研磨組成物は、表3に示された。
【表3】
【0126】
実施例試料は、それぞれ0.2質量%のセリアコートシリカ、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、0.188質量%のD−ソルビトール、種々の質量%の2−アミノベンズイミダゾール又は0.05質量%のアミトロール、及び脱イオン水を用いてpH5.35にて製造された。
【0127】
異なる質量%の2−アミノベンズイミダゾール又は0.05質量%のアミトロールを用いて2重の添加剤に基づいた研磨組成物を形成することの酸化物トレンチディッシング対種々の過研磨時間に対する効果が試験され、結果は表3に示された。
【0128】
表3に示される結果のように、2重の添加剤に基づいた研磨組成物を形成する、種々の質量%の2−アミノベンズイミダゾール又は0.05質量%のアミトロールの添加は、セリアコートシリカ研磨材及び0.188質量%のD−ソルビトールのみを用いた参照試料と比較して、類似の酸化物トレンチディッシング対種々の過研磨時間を維持した。
【0129】
異なる質量%の2−アミノベンズイミダゾール又は0.05質量%のアミトロールを添加して2重の添加剤に基づいた研磨組成物を形成することの酸化物トレンチディッシング速度に対する効果が試験され、結果は表4に示された。
【表4】
【0130】
表4に示される結果のように、2重の添加剤に基づいた研磨組成物を形成する、種々の質量%の2−アミノベンズイミダゾール又は0.05質量%のアミトロールの添加は、セリアコートシリカ研磨材及び0.188質量%のD−ソルビトールのみを用いた参照試料と比較して、類似の酸化物ディッシング速度を維持した。
【0131】
種々の質量%の2−アミノベンズイミダゾール又は0.05質量%のアミトロールを添加して、2重の添加剤に基づいた研磨組成物を形成することの酸化物トレンチディッシング対過研磨量の傾きに対する効果が試験され、結果は表5に示された。
【表5】
【0132】
表5に示される結果のように、2重の添加剤に基づいた研磨組成物を形成する、種々の質量%の2−アミノベンズイミダゾール又は0.05質量%のアミトロールの添加は、1種の添加剤0.188質量%のD−ソルビトールのみを用いた参照試料と比較して、酸化物ディッシング対過研磨量の非常に低く、類似の傾きを維持した。
【0133】
例3
例3において、酸化物研磨に用いられた研磨組成物は、表6に示された。
【0134】
実施例試料は、それぞれ0.2質量%のセリアコートシリカ、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、0.15質量%のD−ソルビトール、0.025質量%の2−アミノベンズイミダゾール又は0.05質量%のアミトロール、及び脱イオン水を用いて異なるpH条件にて製造された。
【0135】
2−アミノベンズイミダゾールを添加して、2重の添加剤に基づいた研磨組成物を形成することの異なるpH条件における種々の膜除去速度に対する効果が試験され、結果は表6に示された。
【0136】
表6に示される結果のように、異なるpHでの2重の添加剤に基づいた研磨組成物を形成する2−アミノベンズイミダゾールの添加は、すべての膜除去速度に影響した。
【表6】
【0137】
TEOS及びHDP膜除去速度の両方は、2重の添加剤を用いない参照試料について得られたTEOS及びHDPの膜除去速度と比較して、2重の添加剤に基づいた研磨組成物を用いることにより低減された。
【0138】
PECVD及びLPCVD SiN膜除去速度の両方は、5.35〜6.5のpHにおいて著しく加速されたが、pH7.5では、SiN除去速度に対する加速効果は全く又はほとんど観察されなかった。
【0139】
例4
例4において、酸化物研磨に用いられた研磨組成物は、表7に示された。
【0140】
参照試料は、0.2質量%のセリアコートシリカ、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、0.15質量%のD−ソルビトールを用いてpH5.35にて製造された。実施例試料は、それぞれ0.2質量%のセリアコートシリカ、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、0.15質量%のD−ソルビトール、0.025質量%の2−アミノベンズイミダゾール又は0.05の質量%アミトロール、及び脱イオン水を用いて異なるpH条件にて製造された。
【0141】
用いられた研磨工程条件は次のとおりだった:87/93rpmのテーブル/ヘッド速度での3.1psi DF及びエクスサイチューコンディショニングにおけるダウのIC1010パッド。
【0142】
0.025質量%の2−アミノベンズイミダゾールを添加して2重の添加剤研磨組成物を形成することの異なるpH条件における酸化物トレンチディッシング対種々の過研磨時間に対する効果が試験され、結果は表7に示された。
【表7】
【0143】
表7に示される結果のように、2重の添加剤研磨組成物を形成する、0.025質量%の2−アミノベンズイミダゾールの添加は、pH5.35においてセリアコートシリカ研磨材及び1種の添加剤0.15質量%のD−ソルビトールのみを用いた参照試料と比較して、低く、類似の酸化物トレンチディッシング対種々の過研磨時間を維持した。
【表8】
【0144】
0.025質量%の2−アミノベンズイミダゾールを添加して2重の添加剤研磨組成物を形成することの異なるpH条件における酸化物トレンチディッシング速度に対する効果が試験され、結果は表8に示された。
【0145】
表8に示される結果のように、2重の添加剤研磨組成物を形成する、0.025質量%の2−アミノベンズイミダゾールの添加は、セリアコートシリカ研磨材、及び1種の添加剤0.15質量%のD−ソルビトールのみを用いた参照試料と比較して、pH5.35又は6.5にて若干高い酸化物ディッシング速度、及びpH7.5にて若干低い酸化物トレンチディッシング速度を有していた。
【0146】
0.025質量%の2−アミノベンズイミダゾールを添加して2重の添加剤研磨組成物を形成することの酸化物トレンチディッシング対過研磨量の傾きに対する効果が試験され、結果は表9に示された。
【表9】
【0147】
表9に示される結果のように、2重の添加剤研磨組成物を形成する0.025質量%の2−アミノベンズイミダゾールの添加は、セリアコートシリカ研磨材及び0.15質量%のD−ソルビトールのみを用いた参照試料と比較して、pH5.35、及びpH6.5条件にて酸化物トレンチディッシングのより高い傾きを有していたが、7.5のpHでは類似の傾き値のままだった。
【0148】
実施例を含む上に示された本発明の実施形態は、本発明から作ることのできる例示的な多数の実施形態である。プロセスの多くの他の構成を用いることができ、プロセスにおいて用いられる材料は、具体的に開示されたもの以外の多くの材料から選択することができることが企図される。