特開2020-123631(P2020-123631A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-123631(P2020-123631A)
(43)【公開日】2020年8月13日
(54)【発明の名称】フレキシブル配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/03 20060101AFI20200717BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20200717BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20200717BHJP
【FI】
   H05K1/03 670Z
   H05K1/14 C
   H01L21/60 311S
   H01L21/92 603C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-13616(P2019-13616)
(22)【出願日】2019年1月29日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発/次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】岡本 朋子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 和志
(72)【発明者】
【氏名】益子 剛明
【テーマコード(参考)】
5E344
5F044
【Fターム(参考)】
5E344AA01
5E344AA16
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB05
5E344CC17
5E344CD02
5E344CD34
5E344DD06
5E344DD10
5E344EE30
5F044KK03
5F044LL07
5F044LL13
5F044LL17
(57)【要約】
【課題】曲げ耐性に優れ、断線が生じにくいフレキシブル配線基板の提供。
【解決手段】第1基板と、第1基板に対向する第2基板と、第1基板上の、金属粒子と樹脂を含むバンプと、第2基板上の、バンプと接続する導電部と、第1基板と前記第2基板の間に位置する絶縁層とを有し、絶縁層の押込み弾性率が1MPa以上100MPa以下である、フレキシブル配線基板。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板上の、導電性粒子と樹脂を含むバンプと、
前記第2基板上の、前記バンプと接続する導電部と、
前記第1基板と前記第2基板の間に位置する絶縁層とを有し、
前記絶縁層の押込み弾性率が1MPa以上100MPa以下である、フレキシブル配線基板。
【請求項2】
前記第1及び第2基板の少なくとも一方の押込み弾性率が10MPa以上500MPa以下である、請求項1に記載のフレキシブル配線基板。
【請求項3】
前記バンプの底面の直径が10μm〜300μm以下である、請求項1又は2に記載のフレキシブル配線基板。
【請求項4】
前記バンプの押込み弾性率が1GPa以上30GPa以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
【請求項5】
前記導電部の押込み弾性率が100MPa以上1GPa以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
【請求項6】
前記絶縁層と前記第1基板との剥離強度が1N/cm以上20N/cm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
【請求項7】
前記第1基板と前記第2基板の間に位置し、前記第1基板と前記第2基板の間の距離を保つためのダミーバンプを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
【請求項8】
前記第1基板が曲面を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
【請求項9】
前記第1基板が前記バンプの位置する部分において曲面を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型軽量化やフレキシブルデバイス及びストレッチャブルデバイスの開発に伴い、電子機器に搭載されるフレキシブル配線基板には、更なる柔軟性が要求されている。
【0003】
フレキシブル配線基板と回路部材とを接続する方法として、はんだ付けができる配線基板の場合はコネクターを介して回路部材を接続するが、はんだ付けができない配線基板の場合はACF(Tape Automated Bonding)法で接続するのが一般的である。他の方法としては、バンプ法等が一般的に知られている。このうち、バンプ法にて用いられるバンプの種類には、半田バンプ、ワイヤーボンディングバンプ、銅めっきバンプ、及び導電性ペーストバンプ等が挙げられる。
【0004】
特許文献1は、フォトリソグラフィー技術により金属バンプを作製する方法を開示している。金属バンプは、接着剤層を介して被接続体の接続パットに圧着されている。特許文献2は、開口を有する印刷製版を用い、導電性ペーストを基板上に印刷してバンプを作製することを開示している。バンプは、実装基板と外部導体部材とを電気的に接続するものであり、実装基板と外部導体部材との間に非導電性接着剤が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3770794号公報
【特許文献2】特許第5513417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法は、フォトリソグラフィー技術を必要とすることから製造コストが高い。また、金属バンプと被接続体の接続パットとの接続圧着は、より強固な接続となるよう一般的に150〜300℃の高温で行う必要があるため、耐熱性を有する接着剤を使用する必要がある。このような接着剤は硬化されて絶縁層となるが、十分な柔軟性を有していない。その結果、金属バンプの形成された基板、絶縁層及び被接続体との積層体の曲げ性が不十分であり、フレキシブルデバイス及びストレッチャブルデバイスへの適用が困難である。特許文献2は、非導電性接着剤の具体的な硬度について開示していない。
【0007】
このように、フレキシブル配線基板の配線間に位置する絶縁層が十分な柔軟性を有していない場合、フレキシブル配線基板を曲げたときに生じる応力によって、配線やバンプで断線が生じやすい。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、曲げ耐性に優れ、断線が生じにくいフレキシブル配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の態様を有する。
[1]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板上の、導電性粒子と樹脂を含むバンプと、前記第2基板上の、前記バンプと接続する導電部と、前記第1基板と前記第2基板の間に位置する絶縁層とを有し、前記絶縁層の押込み弾性率が1MPa以上100MPa以下である、フレキシブル配線基板。
[2]前記第1及び第2基板の少なくとも一方の押込み弾性率が10MPa以上500MPa以下である、[1]に記載のフレキシブル配線基板。
[3]前記バンプの底面の直径が10μm以上300μm以下である、[1]又は[2]に記載のフレキシブル配線基板。
[4]前記バンプの押込み弾性率が1GPa以上30GPa以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
[5]前記導電部の押込み弾性率が100MPa以上1GPa以下である[1]〜[4]のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
[6]前記絶縁層と前記第2基板との剥離強度が1N/cm以上20N/cm以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
[7]前記第1基板と前記第2基板の間に位置し、前記第1基板と前記第2基板の間の距離を保つためのダミーバンプを有する、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
[8]前記第1基板が曲面を有する、[1]〜[7]のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
[9]前記第1基板が前記バンプの位置する部分において曲面を有する、[1]〜[8]のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、曲げ耐性に優れ、断線が生じにくいフレキシブル配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一態様におけるフレキシブル配線基板の模式断面図である。
図2】本発明の一態様におけるフレキシブル配線基板の作製方法を説明するための模式断面図である。
図3】本発明の一態様におけるフレキシブル配線基板の作製方法を説明するための模式断面図である。
図4】本発明の一態様におけるフレキシブル配線基板の作製方法を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、本発明の一態様におけるフレキシブル配線基板について説明する。以下の複数の実施形態では、好ましい例や条件を共有してもよい。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、数、量、位置及び形状等について変更、省略及び置換等してもよい。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてあることがある。
【0013】
本発明の一態様は、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板上の、導電性粒子と樹脂を含むバンプと、前記第2基板上の、前記バンプと接続する導電部と、前記第1基板と前記第2基板の間に位置する絶縁層とを有し、前記絶縁層の押込み弾性率が1MPa以上100MPa以下である、フレキシブル配線基板である。
【0014】
以下に本実施形態のフレキシブル配線基板について図1を参照して説明する。図1は、本実施形態におけるフレキシブル配線基板の模式断面図である。フレキシブル配線基板1は、第1基板2と、第2基板3と、電極4と、導電性粒子5及び樹脂6を含むバンプ7と、導電部8と、絶縁層9と、ダミーバンプ10とを有する。
【0015】
第1基板2と第2基板3とは対向して配置されている。電極4は、第1基板2上に位置する。バンプ7は、電極4と導電部8との間に位置し、バンプ7の導電性粒子5により電極4と導電部8とが電気的に接続されている。
【0016】
絶縁層9は、第1基板2と第2基板3との間を充填しており、第1基板2と第2基板3とを接着する接着剤が硬化したものである。
【0017】
ダミーバンプ10は、第1基板2と第2基板3との間の距離(クリアランス)を確保している。
【0018】
次に、各構成について詳細に説明する。
第1基板2は、可撓性を有する基板である。第1基板2に含まれる材料としては、市販のプラスチックフィルムを用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、熱可塑性ポリウレタン(TPU,Thermoplastic Polyurethane)及びポリエチレンナフタレート等が挙げられる。第1基板2は、これらの材料のうち1つのみ含んでいてもよいし、2以上を含んでいてもよい。
【0019】
第1基板2の押込み弾性率は、10MPa以上5000MPa以下であることが好ましく、10MPa以上500MPa以下であることがより好ましい。第1基板2の押込み弾性率が、10MPa以上500MPa以下であることにより、フレキシブル配線基板の曲げ性が向上し、フレキシブル配線基板が適用されるデバイスの三次元加工性を向上することができる。
【0020】
第1基板2の押込み弾性率は、ナノインデンター(例えば、エリオニクス社製、ENT−NEXUS)を用いて、第1基板の除荷曲線を得た後、その接線の傾きから押込み弾性率を算出することで得られる。
【0021】
第1基板2は、曲面を有する基板であってもよい。曲面は一部であってもよいし、全体が曲面を形成していてもよい。第1基板2の曲面の曲率半径は、例えば50mm以上1000mm以下である。第1基板2の曲面部分にバンプ7が形成されていてもよい。
【0022】
電極4は、第1基板2上に形成されている配線の途中又は端部である。配線は、例えばめっきやスクリーン印刷等により第1基板2上に所望のパターンで形成される。配線、すなわち電極4は、銅、金、ニッケル、銀、錫、アルミ、若しくは鉛、又はこれらのうち少なくとも1種を含む合金を含む。電極4は、配線上に他の導電層が形成されている多層構造であってもよい。
【0023】
電極4の幅は、50μm〜400μmであることが好ましく、100μm〜200μmであることがより好ましい。電極4の幅が100μm〜200μmであると、フレキシブル配線基板の電気的な接続性を十分確保でき、且つ適用されるデバイスの小型化や高集積化に寄与することができる。
【0024】
隣り合う電極4の間のピッチdは、100μm〜1000μmであることが好ましく、200μm〜400μmであることがより好ましい。ピッチdが200μm〜400μmであると、フレキシブル配線基板の電気的な接続性を十分確保でき、且つ適用されるデバイスの小型化や高集積化に寄与することができる。なお、隣り合う電極4の間のピッチdとは、隣り合う電極4の中心間の距離を意味する。
【0025】
隣り合う電極4の間のスペースは、50μm〜800μmであることが好ましく、100μm〜300μmであることがより好ましい。スペースが100μm〜300μmであると、バンプ7と導電部8との圧着後に隣り合うバンプ7がショートし難い。なお、隣り合う電極4の間のスペースとは、隣り合う電極4の端部間の距離を意味する。一般的に、隣り合う電極4の間のスペースは、隣り合う電極4間のピッチの4分の1以上2分の1以下である。
【0026】
バンプ7は、電極4上に形成されている。図1に示すフレキシブル配線基板1は、電極4上にバンプ7が形成され、その後第2基板3上の導電部8と接続させる例であるが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、導電部8上にバンプ7が形成され、その後第1基板2上の電極4と接続されてもよい。
【0027】
バンプ7は、導電性粒子5と樹脂6との混合物である。導電性粒子5は、Ag、Cu、Au、Ni、Sn、Pb,Sb、Bi、In、Si若しくはGe、それらの少なくとも1種以上を含む合金、又は、それらの1種以上を含む化合物を含有する。導電性粒子5の平均粒径は、0.05μm〜50μmであることが好ましく、0.1μm〜10μmであることがより好ましい。導電性粒子5の平均粒径が0.1μm〜10μmであることにより、ディスペンサーで塗布した際にノズル詰まりが発生しにくく好適である。樹脂6として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0028】
導電性粒子5の平均粒径は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置を用いて測定された値であると定義する。具体的には、レーザー回折粒度分布計(HORIBA社製、LA−960)を用い、測定対象物0.5gを、エタノール溶液10mlに投入し、測定対象物を分散させた分散液を得る。得られた分散液について粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得る。得られた累積粒度分布曲線において、50%累積時の微小粒子側から見た粒子径(D50)の値を、平均粒径とする。
【0029】
バンプ7の底面の直径は、10μm〜300μmであることが好ましく、30μm〜100μmであることがより好ましい。バンプ7の底面の直径が30μm〜100μmであると、フレキシブル配線基板が適用されるデバイスの小型化や高集積化に寄与することができる。
【0030】
バンプ7の高さは、バンプ7の底面の直径に応じて設定される。例えば、バンプ7の底面の直径の0.2倍〜0.8倍である。つまり、バンプ7のアスペクト比(高さ/底面の直径)は、0.2〜0.8である。具体的には、バンプ7の高さは、10μm〜200μmであることが好ましく、20μm〜80μmであることがより好ましい。バンプ7の底面の直径及び高さは、以下のように測定する。包埋処理で樹脂に埋め込んだフレキシブル配線基板を研磨し、バンプ7の頂点を含む面まで研磨する。この状態のフレキシブル配線基板を光学顕微鏡(例えば、OLYMPUS社製、BX−53M)を用いて観察し、測定した値である。
【0031】
バンプ7の押込み弾性率は、1GPa以上30GPa以下であることが好ましく、5GPa以上20GPa以下であることがより好ましい。バンプ7の押込み弾性率が、1GPa以上30GPa以下であると、バンプ7と導電部8とを低い荷重で圧着することができる。また、フレキシブル配線基板の曲げ特性が向上し、フレキシブル配線基板が適用されるデバイスの三次元加工性を向上することができる。従来の第1基板と第2基板との接続部分であるバンプ形成部分は、バンプ材質としてめっき金属やはんだを使用しているため弾性率は30GPaより高く、硬く曲げに弱いが、バンプ7の押込み弾性率が、1GPa以上30GPa以下であることにより、バンプ7が曲げにより生じた応力を緩和し、バンプ形成部分においても曲げ特性が向上する。
【0032】
バンプ7の押込み弾性率は、ナノインデンター(例えば、エリオニクス社製、ENT−NEXUS)を用いて、バンプの除荷曲線を得た後、その接線の傾きから押込み弾性率を算出することで得られる。
【0033】
第2基板3は、可撓性を有する基板である。第2基板3に含まれる材料としては、市販のプラスチックフィルムを用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、及び熱可塑性ポリウレタン等が挙げられる。第2基板3は、これらの材料のうち1つのみ含んでいてもよいし、2以上を含んでいてもよい。
【0034】
第2基板3の弾性率は、10MPa以上5000MPa以下であることが好ましく、10MPa以上500MPa以下で以下であることがより好ましい。第2基板3の弾性率が、10MPa以上500MPa以下であることにより、フレキシブル配線基板の曲げ性が向上し、フレキシブル配線基板が適用されるデバイスの三次元加工性を向上することができる。第2基板3の弾性率は、第1基板2の弾性率の測定方法と同じ方法により測定することができる。
【0035】
導電部8は、第2基板3上に形成されている配線の途中又は端部である。この配線も、第1基板2上の配線と同じ方法により形成することができる。配線、すなわち導電部8は、銅、金、ニッケル、銀、錫、アルミ、若しくは鉛、又はこれらのうち少なくとも1種を含む合金を含む。導電部8は、電極4と同様に、配線上に他の導電層が形成されている多層構造であってもよい。例えば導電部8は、配線としての銅層上に、金めっき、ニッケルめっき、錫めっき、鉛めっきのうち少なくとも一つが施されている多層構造であってもよい。中でも錫めっきや錫銅合金めっきを含む導電層は、めっき条件を調整することでバンプよりも低い押込み弾性率を実現出来る点で好ましい。
【0036】
導電部8の押込み弾性率は100MPa以上1GPa以下が好適である。バンプよりも導電部8の押込み弾性率を低くすることで、熱圧着して接続させたときに、バンプが導電部8を変形させ、バンプと導電部8の接触面積が大きくなることから、接続信頼性の高い接続状態を維持することができる。
【0037】
導電部8は、電極4と対向して配置される。従って、隣り合う導電部8間のピッチは、電極4間のピッチdと同じであることが好ましい。なお、隣り合う導電部8間のピッチとは、それぞれの導電部8の中心間の距離を意味する。
【0038】
導電部8の幅は50μm〜400μmであることが好ましく、100μm〜200μmであることがより好ましい。導電部8の幅が100μm〜200μmであることより、バンプ7と導電部8との圧着後に隣り合うバンプ7がショートし難い。
【0039】
絶縁層9は、バンプ7を覆うように第1基板2と第2基板3との間に充填され、硬化したものである。絶縁層9は、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂、及び熱硬化樹脂等の硬化物である。中でも熱硬化性樹脂を用いることが、十分な剥離強度が得られる点で好ましい。具体的には、絶縁層9として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、及びシリコーン等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0040】
絶縁層9の押込み弾性率は、1MPa以上100MPa以下であることが好ましく、10MPa以上80MPa以下であることがより好ましい。絶縁層9の弾性率が10MPa以上100MPa以下であると、フレキシブル配線基板1を曲げたとき生ずる応力を絶縁層9により緩和することができる。これにより、フレキシブル配線基板1を曲げたときに、電極4、バンプ7、及び導電部8等の導電部分が断線するのを抑制することができる。
【0041】
絶縁層9の押込み弾性率は、以下の方法で測定することができる。接着剤を厚み0.5mmとなるように均一に塗布した後、100℃で10分間乾燥及び硬化させて、絶縁層を形成する。ナノインデンター例えば、エリオニクス社製、ENT−NEXUS)を用いて、絶縁層の除荷曲線を得た後、その接線の傾きから押込み弾性率を算出する。乾燥及び硬化条件は、接着剤に合わせて最適な条件を任意に選ぶことができる。
【0042】
絶縁層9と第2基板3との剥離強度は、1N/cm以上20N/cm以下であることが好ましく、3N/cm以上20N/cm以下であることがより好ましい。絶縁層9と第2基板3との剥離強度が3N/cm以上20N/cm以下であると、フレキシブル配線基板を曲げる等の変形を加えても絶縁層9と第2基板3との界面にて剥離が生じ難い。
【0043】
絶縁層9と第2基板3との剥離強度は、ピール試験機(例えばAIKOH社製、FTN4−15A)を用いて、90°剥離試験をすることで測定することができる。
【0044】
第1基板2及び第2基板3間を所望の距離に保つ目的で、ダミーバンプ10を用いてもよい。本実施形態におけるバンプ7は、金属バンプより弾性率が低く変形しやすいため、ダミーバンプ10を第1基板2及び第2基板3の間に配することで第1基板2及び第2基板3間の距離をより安定して保つことができる。
【0045】
ダミーバンプ10の材料としては、市販の絶縁樹脂が使用でき、例えばエポキシ樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、アクリル/スチレン樹脂(アクリレートとスチレンとの共重合体)、ポリオレフィン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及びジビニルベンゼン架橋体等が挙げられる。ダミーバンプの形状は特に限定されず、球形及び柱状等であってもよい。ダミーバンプ10の最大寸法は、第1基板2及び第2基板3間の距離より大きく、例えば、10μm〜200μmであることが好ましく、50μm〜150μmであることがより好ましい。ダミーバンプ10の数は、第1基板2の1mm四方当たり2個以上20個以下であることが好ましい。
【0046】
上述の構成を有するフレキシブル配線基板は、曲げ耐性に優れる。特に、第1基板及び第2基板との接続部分であるバンプ形成部分でフレキシブル配線基板を曲げる場合においても、接続部分における断線が生じ難い。
【0047】
以下にフレキシブル配線基板1の製造方法の一例について図2図4を参照して説明する。本実施形態では、一例としてバンプの形成方法としてディスペンサーによる塗布を適用したフレキシブル配線基板1の製造方法について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0048】
図2に示すように、第1基板2上にスクリーン印刷法又はグラビアオフセット印刷法等により導電ペーストを印刷することで電極4を有する引き出し電極パターン形成する。
【0049】
次に、バンプ前駆体12を形成する。導電性粒子5、樹脂6、及び溶媒を含む導電ペーストを、ディスペンサー(例えば、エンジニアリングシステム社製、R−jet)で塗布し、電極4の第1面4A上にバンプ前駆体12を形成する。コーンプレート型粘度計で測定された導電ペーストの粘度は、せん断速度が10s−1のときの粘度が20Pa・s以上500Pa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときの粘度が5Pa・s以上50Pa・s以下である。
【0050】
この段階におけるバンプ前駆体12の底面の直径は、30μm〜300μmであることが好ましく、50μm〜150μmであることがより好ましい。バンプ前駆体12のアスペクト比は、0.2〜0.8であることが好ましい。バンプ前駆体12の高さは、10μm〜200μmであることが好ましい。
【0051】
バンプ前駆体12は、第1面4Aに対して垂直方向上方に、先端12Aを含む先端部を有する。バンプ前駆体12の形状は、先端12Aを含む垂直断面を断面視した際、少なくとも先端部が尖塔型である。すなわち、バンプ全体が尖塔型であってもよいし、先端部のみが尖塔型であってもよい。また、尖塔型としては、円錐や多角錐等の錐状体が挙げられる。
【0052】
なお、バンプ前駆体12を形成する前に、第1基板2の、電極4の第1面4Aを含む表面にプラズマ処理してもよい。プラズマ処理により、第1面4Aに付着する有機物等の不純物が除去され、あるいは第1面4Aの改質がなされるため、第1面4Aとバンプ前駆体12との密着性が向上する。
【0053】
プラズマ装置は、電極4の第1面4Aのプラズマ処理が可能なものであれば、特に限定されない。このようなプラズマ装置としては、例えば、魁半導体社製、P500−SM等が挙げられる。プラズマ処理の条件としては、窒素雰囲気、圧力:0.15MPa、照射時間:5秒間、電極間ギャップ:4mmが好ましい。
【0054】
バンプ前駆体12を形成した第1基板2をホットプレート等で80℃以上120℃以下、15分間〜60分間乾燥させ、バンプ7を形成する。図3に示すように、バンプ7を形成した第1基板2上にディスペンサー(例えば武蔵エンジニアリング社製、ML−5000XII)を用いてダミーバンプ10を含む接着剤層11を直径が10μm〜200μmとなるよう塗布する。
【0055】
導電部8が形成された第2基板3を用意し、導電部8と電極4の位置が整合するよう固定し、熱圧着機(例えば、大橋製作所社製、BD−03)で80℃以上120℃以下、圧力0.5MPa以上2MPa以下の条件下で60秒間〜120秒間加熱圧着する。このとき接着剤層11が硬化して絶縁層9となることで、図4に示すフレキシブル配線基板1を作製することができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0057】
(評価方法)
【0058】
<絶縁層の押込み弾性率>
絶縁層を形成するための接着剤をスライドガラス上に厚み0.5mmとなるように均一に塗布した後、100℃で10分間乾燥及び硬化させて、絶縁層を形成した。ナノインデンター(エリオニクス社製、ENT−NEXUS)を用いて、絶縁層の除荷曲線を得た後、その接線の傾きから押込み弾性率を算出した。
【0059】
<バンプの押込み弾性率>
バンプを形成するための導電性ペーストをスライドガラス上に厚み0.5mmとなるように均一に塗布した後、120℃で30分間乾燥及び硬化させて、ナノインデンター(エリオニクス社製、ENT−NEXUS)を用いて、バンプの除荷曲線を得、その接線の傾きから押込み弾性率を算出した。
【0060】
<フレキシブル配線基板の導通評価と曲げ試験>
各実施例のフレキシブル配線基板について、FPCの電極と、印刷電極シートの導体部とをそれぞれ評価ボードに接続させて、テスター(SANWA社製、PC700)を用いてバンプによる接続部の導通の有無(抵抗値1kΩ以下)を確認した。100箇所の接続部について導通の有無を確認し、導通が確認された接続部の割合を算出し、初期の接続割合とした。
【0061】
その後、無負荷U字試験機(ユアサシステム社製、DMX−FS)を用い、フレキシブル配線基板繰り返し曲げ試験を行った。折り曲げる際の曲率は半径5mm、折り曲げ方向は印刷電極シートの引き出し電極パターンの長手方向と垂直な方向とした。曲げ回数1万回毎に、上述の方法で導通の有無を確認し、導通が確認されなくなる(または抵抗値1kΩ以上)まで、すなわち断線が発生するまでの折り曲げ回数を確認した。
【0062】
<接続可能な圧着時の圧力の下限値>
各実施例のフレキシブル配線基板の作製手順における、バンプと導電部との圧着時の圧力を1MPaから0.1MPaずつ下げた各条件でフレキシブル配線基板を作製し、それぞれ初期の接続割合を上述の方法により算出した。初期の接続割合が100%である最小の圧着時の圧力を、接続可能な圧着時の圧力の下限値とした。
【0063】
<短絡しない電極ピッチの下限値>
各実施例のフレキシブル配線基板の作製手順における、FPC上の電極のピッチを0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、及び0.1mmとし、同様に印刷電極シート上の導電部のピッチを0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、及び0.1mmとしてフレキシブル配線基板を作製した。圧着前のバンプの直径は、電極からはみ出さないように調整した。
【0064】
圧着後のフレキシブル配線基板の、FPC上の電極と印刷電極シート上の導電部をそれぞれ評価ボードに接続させて、それぞれ隣り合う電極又は導電部との短絡の有無を、テスター(SANWA社製、PC700)を用いて確認した。短絡が発生しなかった最小の電極ピッチを短絡しない電極ピッチの下限値とした。
【0065】
<曲面を有する基板を用いた導通評価>
各実施例のフレキシブル配線基板において、印刷電極シートとして曲率半径100mmとなるようモールド加工されたポリカーボネート基板を用いた。上述の方法により導通評価を行い、初期の接続割合を算出した。
【0066】
(実施例1)
ポリエチレンナフタレートのフィルム基材上にグラビアオフセット印刷法により導電ペースト(DNPファインケミカル社製、FAINAP)を印刷することで電極を有する引き出し電極パターン形成し、印刷電極シートを作製した。引き出し電極パターンは、電極のピッチが0.5mm、電極幅が0.25mm、電極間スペースが0.25mm、電極数が100本のパターンとした。
【0067】
ポリイミドフィルムと銅の引き出し配線のFPC(太洋工業社製)を準備した。引き出し配線の導電部の銅表面にはニッケル及び金めっきが施されていた。引き出し電極の導電部のピッチは、印刷電極シートの電極のピッチと同様に0.5mmとし、導電部数も100本とした。ナノインデンターで測定した導電部の押込み弾性率は20GPaであった。
【0068】
平均粒子径が1μmの銀粉、市販のエポキシ樹脂、硬化剤である市販のフェノール樹脂、及び有機溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを混合し、ディスペンサーで吐出可能な粘度となるよう、有機溶剤で粘度を適宜調整し、導電性ペーストを得た。コーンプレート型粘度計で測定された導電ペーストの粘度は、せん断速度が100s−1のときの粘度が12Pa・sであった。この導電ペーストを用いて、ディスペンサー(エンジニアリングシステム社製、R−jet)で塗布し、印刷電極シートの電極上にバンプ前駆体を形成した。塗布条件は、シリンジ背圧(空圧)を0.2Pa、R−unitの空圧を0.2Pa、ディスペンサーのノズル内径を40μmとした。
【0069】
バンプ前駆体を形成した印刷電極シートをホットプレート上で120℃30分間乾燥させ、バンプを形成した。白色干渉顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、VS1330)を用いて観察したバンプの底面直径は100μm、高さは50μm(アスペクト比:0.5)であった。
【0070】
バンプを形成した印刷電極シート上にディスペンサー(例えば武蔵エンジニアリング社製、ML−5000XII)を用いて接着剤(味の素ファインテクノ社製、DJ−68)を50μmとなるよう塗布した。
【0071】
FPCと印刷電極シートをFPCの導電部と印刷電極シートの電極の位置が整合するよう固定し、熱圧着機(大橋製作所社製、BD−03)で100℃、圧力1MPa下で90秒間加熱圧着し、フレキシブル配線基板を得た。圧着ツールとしては、2mm×40mmの長方形のものを用いた。
【0072】
(実施例2)
FPCの導電部を、大気圧プラズマ装置(魁半導体社製、P500−SM)を用いて、窒素雰囲気中において、圧力:0.15Paの条件で5秒間プラズマ処理を行った後、FPCと印刷電極シートの熱圧着を行った以外は、実施例1と同じ方法でフレキシブル配線基板を得た。
【0073】
(実施例3)
バンプ前駆体を作製する際、実施例1で用いた導電ペーストのかわりに導電ペースト(太陽ホールディング社製、AF6100 H20)を用い、スクリーン印刷でバンプを形成した。白色干渉顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、VS1330)を用いて観察したバンプの底面直径は150μm、高さは30μm(アスペクト比:0.2)であった。これ以外は、実施例2と同じ方法でフレキシブル配線基板を得た。
【0074】
(実施例4)
FPCの引き出し配線の導電部の銅表面に錫銅合金めっきが施されていた以外は、実施例2と同じ方法でフレキシブル配線基板を得た。ナノインデンター(エリオニクス社製、ENT−NEXUS)で測定した導電部の押込み弾性率は230MPaであった。
【0075】
(比較例1)
接着剤として共立化学社製の9150を用いた以外は、実施例2と同じ方法でフレキシブル配線基板を得た。
【0076】
(比較例2)
接着剤として共立化学社製、9150を用いた以外は、実施例3と同じ方法でフレキシブル配線基板を得た。
【0077】
(比較例3)
実施例2におけるバンプの形成及び接着剤の塗布のかわりに、プラズマ処理後のFPC上に異方導電ペースト(京セラ社製、XAP−900)を厚さ50μmとなるよう塗布した。FPCと印刷電極シートをFPCの導電部と印刷電極シートの電極の位置が整合するよう固定し、熱圧着機(大橋製作所社製、型番:BD−03)で150℃、圧力0.1MPa下で10秒間加熱圧着し、フレキシブル配線基板を得た。圧着ツールは2mm×40mmの長方形のものを用いた。
【0078】
実施例1〜4、比較例1〜3のフレキシブル配線基板の絶縁層の押込み弾性率、バンプ形状、断線が発生するまでの曲げ回数及び接続可能な圧着時の圧力の下限値の結果を表1に示す。なお、全ての実施例及び比較例において、フレキシブル配線基板の導通評価における初期接続割合は100%であった。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例1〜4の絶縁層の押込み弾性率は、0.046GPaであった。また、断線が発生するまでの折り曲げ回数はいずれも10万回以上であり、曲げに対する耐性が確認された。比較例1〜3で使用された絶縁層より押込み弾性率の低い絶縁層を用いることで、フレキシブル配線基板を曲げたときに生じるバンプや電極等の接続部分周辺に応じる応力を絶縁層が緩和し、バンプや電極等の破損が抑制されたものと考えられる。また、導電ペーストにより形成されたバンプは、金属で形成されたバンプより押込み弾性率が低いため、フレキシブル配線基板を曲げたときに生じる応力の緩和に寄与しているものと考えられる。
【0081】
実施例2及び3のフレキシブル配線基板について、短絡しない電極ピッチの下限値を測定したところ、それぞれ0.1μm及び0.4μmであった。この結果からフレキシブル配線基板に要求される微細化に対応できるといえる。
【0082】
実施例2、比較例2及び3のフレキシブル配線基板について、曲面を有する基板を用いた場合の初期の接続割合を評価した。実施例2では、初期の接続割合が100%であり、接続部分が局面を有する場合であっても電気的接続を十分に維持できることが分かった。一方で、比較例2及び3では、初期の接続割合が10〜20%と低かった。
【符号の説明】
【0083】
1…フレキシブル配線基板、2…第1基板、3…第2基板、4…電極、5…導電性粒子、6…樹脂、7…バンプ、8…導電部、9…絶縁層、10…ダミーバンプ。
図1
図2
図3
図4